JP2005305273A - フッ素含有排水の処理方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加して、カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて効率的にフッ素を除去する。
【解決手段】フッ素含有排水をpH中性に調整した後、カルシウム塩と二酸化炭素を添加する。原水のpHがどのようなpHであっても、予めpH調整を行うことにより、カルシウム塩と二酸化炭素とを殆ど過不足なく等当量で反応させて炭酸カルシウムを効率的に生成させ、フッ素を低濃度にまで除去することができる。
【選択図】図1
【解決手段】フッ素含有排水をpH中性に調整した後、カルシウム塩と二酸化炭素を添加する。原水のpHがどのようなpHであっても、予めpH調整を行うことにより、カルシウム塩と二酸化炭素とを殆ど過不足なく等当量で反応させて炭酸カルシウムを効率的に生成させ、フッ素を低濃度にまで除去することができる。
【選択図】図1
Description
本発明はフッ素含有排水の処理方法及び装置に係り、特にカルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去することにより、フッ素濃度が著しく低減された処理水を得ることができるフッ素含有排水の処理方法及び装置に関する。
半導体部品製造におけるシリコンウェハ製造工程から排出されるフッ素含有廃水、ステンレス鋼板製造工程から排出される酸洗廃水、アルミニウム表面処理廃水、フッ酸製造廃水、肥料製造廃水、ゴミ焼却廃水等のフッ素含有排水は、排水基準を満たすようにフッ素の除去処理を行った後排出する必要がある。フッ素含有排水については、その排水基準が平成13年度にフッ素濃度15mg/Lから8mg/Lに強化されたことに伴い、フッ素の除去により、処理水のフッ素濃度をより一層低減することができる処理技術の開発が望まれている。
従来、フッ素含有排水の処理方法としては、フッ素含有排水に消石灰等のカルシウム塩を添加して、排水中のフッ素を難溶性のフッ化カルシウムとして分離する方法が知られているが、この方法では、フッ化カルシウムの溶解度以下に処理水のフッ素濃度を低減することができず、排水基準を満たすことはできない。
特開2002−254086号公報には、排水基準以下にまで処理水のフッ素濃度を低減することが可能な方法として、フッ素含有排水を水酸化カルシウムと接触させ、更に二酸化炭素を加えて水酸化カルシウムとの反応で炭酸カルシウムを生成させる方法が提案されている。この方法では、フッ素と水酸化カルシウムとの反応でフッ化カルシウムを生成させ、更に、水酸化カルシウムと二酸化炭素の反応で生成する炭酸カルシウム粒子の中にフッ素を封じ込めると共に炭酸カルシウム表面にフッ素を吸着させて、排水中のフッ素を効率的に吸着除去することができるため、処理水のフッ素濃度を排水基準である8mg/L以下に低減することができる。
即ち、被処理水に炭酸カルシウムの結晶を添加して攪拌混合するだけでは、炭酸カルシウム表面とフッ素の反応だけにとどまる。しかしながら、被処理水中で水酸化カルシウムと二酸化炭素との反応で炭酸カルシウムを生成させた場合には、最終的に生成した炭酸カルシウムの結晶内部にまでフッ素が含まれ、より効率的にフッ素を吸着除去することができる。生成される炭酸カルシウムはフッ素を吸着しつつ結晶粒子を成長させてゆき、反応する水酸化カルシウムが系内から無くなるまで、粒子は次第に大きくなってゆき、最終的に生成された炭酸カルシウムはその表面だけではなく結晶粒子の中にまでフッ素を封じ込めた形態となる。
この方法では、水酸化カルシウムの添加後、pH7〜11、特にpH8〜10となるように二酸化炭素を添加することが好ましいとされている。
特開2002−254086号公報において、pH7〜11、特に8〜10が好ましい理由は次の通りである。即ち、被処理水中に炭酸カルシウムが多く生成されれば上述の理由によりフッ素濃度が低下するため、被処理水中のpHは7に近づくほどフッ素の処理においては効果が高い。しかし、炭酸カルシウムは酸性中で溶解するために、処理したフッ素を再溶出させる可能性がある。従って、被処理水へ二酸化炭素を加える際には、pHがアルカリ側であることが好ましく、具体的にはpH7〜11、特にpH8〜10となるように二酸化炭素の添加量を調整することが好ましい。
特開2002−254086号公報
特開2002−254086号公報の方法であれば、フッ素を高度に吸着除去してフッ素濃度が十分に低減された処理水を得ることができるが、pH値に基いて二酸化炭素の吹き込み量を制御する特開2002−254086号公報の方法では、次のような不具合があった。
[1] 処理するフッ素含有排水(原水)のpHが酸性であってもアルカリ性であっても、良好な処理水を得ることができない。即ち、原水が酸性であると、pH制御に基く二酸化炭素の吹き込み量が添加したカルシウム塩に対して過少となって、十分量の炭酸カルシウムを生成させることができず、従って、十分なフッ素除去効率を得ることができないため、処理水水質が悪化する。逆に原水がアルカリ性であると、pH制御に基く二酸化炭素の吹き込み量が添加したカルシウム塩に対して過剰となって、やはり処理水水質が悪化する。この原水がアルカリ性の場合の処理水水質の悪化の原因は、過剰に吹き込まれた二酸化炭素から発生した炭酸イオン(CO3 2−)がフッ素イオンの炭酸カルシウムへの吸着を妨害するためと考えられる。
[2] 原水由来のカルシウムイオンが存在する場合であっても、pH値に基く二酸化炭素の吹き込み量制御では、原水由来のカルシウムイオンをフッ素の除去に有効に利用することができない。即ち、例えば、カルシウムイオンを含む中性の原水に水酸化カルシウムと二酸化炭素を添加する場合、二酸化炭素は、添加された水酸化カルシウムと等当量反応で炭酸カルシウムを生成するようになるため、原水由来のカルシウムイオンから炭酸カルシウムを生成させることができない。
従って、本発明は上記[1]及び[2]の問題点を解決し、フッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加して、カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて効率的にフッ素を除去する方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係るフッ素含有排水の処理方法及び装置は、前記[1]の問題を解決するものであり、以下を要旨とするものである。
フッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加し、カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去する方法において、該フッ素含有排水をpH中性に調整した後、カルシウム塩と二酸化炭素を添加することを特徴とするフッ素含有排水の処理方法。
フッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加し、該カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去する装置において、該フッ素含有排水をpH中性に調整するpH調整手段と、該pH調整手段でpH調整された水に、カルシウム塩と二酸化炭素を添加する反応槽とを備えることを特徴とするフッ素含有排水の処理装置。
このフッ素含有排水の処理方法及び装置では、原水のpHがどのようなpHであっても、予めpH調整を行うことにより、カルシウム塩と二酸化炭素とを殆ど過不足なく当量で反応させて炭酸カルシウムを効率的に生成させてフッ素を低濃度にまで除去することができる。
本発明の第2の態様に係るフッ素含有排水の処理方法及び装置は、前記[2]の問題を解決するものであり、以下を要旨とするものである。
カルシウムイオンを含むフッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加し、該カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去する方法において、該フッ素含有排水に該フッ素含有排水中に含まれるカルシウムイオンと等当量の水酸化カルシウム以外のアルカリと、カルシウム塩及び二酸化炭素を添加することを特徴とするフッ素含有排水の処理方法。
カルシウムイオンを含むフッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加し、該カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去する装置において、該フッ素含有排水に二酸化炭素を添加して反応させる反応槽と、該反応槽又は該反応槽に導入される水に該フッ素含有排水中に含まれるカルシウムイオンと等当量の水酸化カルシウム以外のアルカリを添加する手段とを備えることを特徴とするフッ素含有排水の処理装置。
このフッ素含有排水の処理方法及び装置では、原水中にカルシウム塩例えば塩化カルシウム(CaCl2)が存在する場合に、このカルシウムイオンと等当量の水酸化カルシウム以外のアルカリ、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)を添加することにより、以下の反応でCa(OH)2を添加した場合と同様な状態とすることができるため、原水由来のカルシウムイオンを二酸化炭素との反応で炭酸カルシウム生成に有効利用することができるため、カルシウム塩の添加量の低減が可能である。
Ca2++2Cl−+2NaOH→Ca2++2OH−+2Na++2Cl−
Ca2++2Cl−+2NaOH→Ca2++2OH−+2Na++2Cl−
例えば、半導体工場などでは、純水製造装置などで使用された廃アルカリが排出されるので、この廃アルカリを利用して薬品使用量を低減することもできる。
ところで、フッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加してカルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去する方法は、次のような反応式に従って、フッ素の処理が行われる。
Ca2++CO3 2−→CaCO3(固体) …(1)
n(CaCO3)+F→(CaCO3)n・F(吸着) …(2)
n(CaCO3)+CaF2→(CaCO3)n・CaF2(共沈) …(3)
Ca2++CO3 2−→CaCO3(固体) …(1)
n(CaCO3)+F→(CaCO3)n・F(吸着) …(2)
n(CaCO3)+CaF2→(CaCO3)n・CaF2(共沈) …(3)
即ち、(1)の反応でカルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した固体の炭酸カルシウムに、(2)のようにフッ素が吸着して除去される。また、カルシウム塩とフッ素との反応で生成した微細、コロイド状のフッ化カルシウムは、固体の炭酸カルシウムと共沈して除去される。従って、(2),(3)の反応でフッ素を高度に除去するためには上記(1)の反応で、固体のCaCO3が生成する必要があるが、HCO3 −やガス状のCO2とCa2+との反応では固体のCaCO3を生成せず、固体のCaCO3の生成のためには、まず、二酸化炭素から炭酸イオン(CO3 2−)が生成する必要がある。しかし特開2002−254086号公報で採用されるpH7〜11の範囲においては、図3に示す水中の炭酸成分の形態分布図からも明らかなように、二酸化炭素がイオン化して炭酸イオン(CO3 2−)になりにくい。このため固体の炭酸カルシウムが生成し難い。
そこで、本発明においては、上記(1)〜(3)の反応を、原水にカルシウムと二酸化炭素を添加してpH11以上で行った後、更に二酸化炭素を添加してpH7〜9で行うようにすることが好ましい。
このように1段目の反応をpH11以上で行うと、水中の炭酸成分の形態が80%以上炭酸イオン(CO2 2−)になるため、固体炭酸カルシウムの生成効率が高い。また、2段目で二酸化炭素(CO2)を更に添加してpHを8〜9に調整することで、炭酸カルシウムの再溶解を防止してフッ素をより効果的に吸着除去することができる。
請求項1,4のフッ素含有排水の処理方法及び装置によれば、原水のpHに係わらず、常にフッ素を効率的に吸着除去して高水質の処理水を得ることができる。
また、請求項2,5のフッ素含有排水の処理方法及び装置によれば、原水中に存在するカルシウムイオンをもフッ素の吸着除去に有効に利用することができ、薬品コストの低減が可能となる。
請求項3,6のフッ素含有排水の処理方法及び装置によれば、より一層効率的な処理を行える。
以下に図面を参照して本発明のフッ素含有排水の処理方法及び装置の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の第1の態様に係るフッ素含有排水の処理方法及び装置の実施の形態を示す系統図であり、図2は本発明の第2の態様に係るフッ素含有排水の処理方法及び装置の実施の形態を示す系統図である。
図1,2において、1は第1反応槽、2は第2反応槽、3は凝集槽、4は沈殿槽であり、1M,2M,3M,4Mは攪拌機、1P,2PはpH計である。また、図1において、5はpH調整槽、5Mは攪拌機、5PはpH計である。
図1においては、まず、原水(フッ素含有排水)をpH調整槽5に導入して、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ剤、又は塩酸、硫酸等の酸をpH調整剤として添加してpH中性、具体的にはpH6〜8、好ましくはpH6.5〜7.5にpH調整する。なお、アルカリとしては前述の廃アルカリを用いても良く、また、酸としても廃酸を用いることができる。
pH調整槽5のpH調整水は次いで第1反応槽1に導入して、カルシウム塩を添加すると共に二酸化炭素(CO2)を吹き込んでpH11以上、好ましくは11〜12.5、特に11〜12に調整する。第1反応槽1のpHが11未満では、吹き込まれた二酸化炭素から生成する炭酸イオンの割合が少なく、前記(1)式により、固体の炭酸カルシウムを十分に形成し得ない。
原水に添加するカルシウム塩としては特に制限はなく、水酸化カルシウム(消石灰:Ca(OH)2)、塩化カルシウム等を用いることができるが、一般的には好ましくは水酸化カルシウムが使用される。
カルシウム塩の添加量は、原水のフッ素濃度及び要求される処理水フッ素濃度(フッ素除去量)に応じて適宜決定されるが、カルシウム塩として水酸化カルシウムを用いた場合、その添加量が5000mg/L以下であると、水酸化カルシウム添加によるpHの上昇が少なく、この結果、第1反応槽1でpH12以上となるような二酸化炭素添加量では、二酸化炭素添加量が不足する可能性がある。従って、この場合には、第1反応槽1のpHは特に11〜12の範囲で制御して、第1反応槽1に適量の二酸化炭素が供給できるようにすることが好ましい。また、水酸化カルシウム以外の中性のカルシウム塩を用いる場合には、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を併用して、適量の二酸化炭素の添加後も第1反応槽1のpHが11以上であるように制御する必要がある。
前述の如く、カルシウム塩の添加量は、フッ素除去量に応じて適宜決定されるが、例えばフッ素濃度10〜15mg/L程度の原水を、排水基準以下に処理するためには、水酸化カルシウム等のカルシウム塩を1000〜5000mg/L程度添加して、二酸化炭素を添加しない場合のpHが11.8〜12.0程度となるようにすることが好ましい。
この第1反応槽1では、添加されたカルシウム塩とフッ素との反応でフッ化カルシウムが生成すると共に、pH11以上の条件下で、吹き込まれた二酸化炭素から生成した炭酸イオン(CO3 2−)とカルシウム塩との反応で固体の炭酸カルシウムが生成し、この炭酸カルシウムへのフッ素の吸着、炭酸カルシウムとフッ化カルシウムとの共沈でフッ素が除去される。
第1反応槽1の処理水は、第2反応槽2に送給され、更に二酸化炭素が吹き込まれて、pH7〜9、好ましくはpH8〜9に調整される。即ち、pH7〜9、好ましくはpH8〜9となるように二酸化炭素が吹き込まれる。この第2反応槽2のpHが7未満では炭酸カルシウムの再溶解のおそれがあり、9を超えるとフッ素の除去性能が低下する。
なお、第1,第2反応槽1,2に吹き込む二酸化炭素としては、純ガス(約100%)の二酸化炭素ガスであっても良く、燃焼排ガス等の二酸化炭素含有ガスであっても良い。そのCO2濃度は0.1〜100%の広い範囲で使用可能であるが、CO2濃度が過度に低いとカルシウム塩との反応が進行し難いため、通常はCO2濃度1.0%以上の二酸化炭素含有ガス又は純ガスを用いることが好ましい。
第2反応槽2では、pH8〜9の条件で固体の炭酸カルシウムへのフッ素の吸着、炭酸カルシウムとフッ化カルシウムとの共沈がより一層進行し、水中のフッ素が高度に除去される。
第2反応槽2の処理水は、凝集槽3で高分子凝集剤が添加されて凝集処理された後、沈殿槽4で固液分離され、分離水は処理水として系外へ排出される。また、分離汚泥は、別途脱水等で処理される。
凝集槽3で添加する高分子凝集剤としては、例えば弱アニオン系ポリマー、ノニオン系ポリマーが好ましい。その添加量は通常1〜10mg/L程度とすることが好ましい。
なお、第1,第2反応槽1,2の反応時間(滞留時間)は、原水の水質や、pH、カルシウム塩添加量、反応槽の型式、その他の条件に応じて適宜決定されるが、第1,第2反応槽1,2の反応時間はいずれも10〜30分程度とすることが好ましい。
図1の方法は、特にpH8以上のアルカリ性の原水又はpH6以下の酸性の原水の処理に好適である。
図2においては、図1におけるpH調整槽5を省略し、第1反応槽1に原水中のカルシウムイオンと等当量のアルカリ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、或いは前述の廃アルカリを添加すること以外は、上述の図1の方法と同様に実施される。
従って、使用薬品やその添加量、処理条件等は、図1の説明で前述したものと同様である。
なお、ここで、原水中のカルシウムイオンと等当量のアルカリを添加するとは、原水中のカルシウムイオンと完全に等当量である必要はなく、原水中のカルシウムイオンに対して0.9〜1.1当量の範囲でアルカリを添加すれば良い。
この図2の方法は、特にカルシウムイオンを100〜1000mg/L程度含むpH中性(pH6〜8)の原水の処理に好適である。
なお、図1,2は、本発明の実施の形態の一例であって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示の方法に限定されるものではない。
例えば、図1,2のように、第1,第2反応槽を設ける連続処理の他、単一の反応槽で、pH11以上の第1の反応工程後に更に二酸化炭素を吹き込んで、pH7〜9の第2の反応工程を行うバッチ処理により本発明の方法を実施することもできる。また、沈殿槽の代りに膜分離装置や、遠心分離装置を用いても良い。
また、図1の方法において、pH調整槽を設けず原水の導入配管にpH調整剤を注入してpH調整しても良く、また、図2の方法において、原水へのアルカリ添加のための前処理槽を設けても良い。
このような本発明の方法及び装置により処理するフッ素含有排水のフッ素濃度には特に制限はないが、本発明は、特にフッ素濃度5〜15mg/L程度のフッ素含有排水の処理に好適である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1,2
図1に示す装置により、表1に示すフッ素濃度及びpHの原水を5L/hrで処理した。
図1に示す装置により、表1に示すフッ素濃度及びpHの原水を5L/hrで処理した。
pH調整槽5において、実施例1では原水にアルカリ(NaOH)を添加して、また、実施例2では原水に酸(HCl)を添加していずれも表1に示すpHに調整した。第1反応槽1への消石灰添加量は2000mg/L(Ca(OH)2換算)とし、第1,第2反応槽1,2は二酸化炭素の吹き込みで、表1に示すpHに調整した。このときの二酸化炭素吹き込み量(合計量)は表1に示す通りであった(二酸化炭素の溶解効率は50%程度)。また、凝集槽3には高分子凝集剤として栗田工業(株)製アニオン系ポリマー「PA331」を5mg/L添加した。pH調整槽5、第1,第2反応槽1,2及び凝集槽3の滞留時間はいずれも12分とした。
得られた処理水のフッ素濃度と、汚泥に取り込まれた二酸化炭素量を調べ、結果を表1に示した。
比較例1,2
実施例1,2において、各々原水のpH調整を行わなかったこと以外は同様にして処理を行い、二酸化炭素の吹き込み量、処理水のフッ素濃度、汚泥に取り込まれた二酸化炭素量を調べ結果を表1に示した。
実施例1,2において、各々原水のpH調整を行わなかったこと以外は同様にして処理を行い、二酸化炭素の吹き込み量、処理水のフッ素濃度、汚泥に取り込まれた二酸化炭素量を調べ結果を表1に示した。
表1より明らかなように、原水が酸性である場合、pH調整を行わないと二酸化炭素吹き込み量が不足し、生成する炭酸カルシウム量が少ないためにフッ素の吸着除去量も少なく、処理水フッ素濃度が高い。逆に、原水がアルカリ性であっても、pH調整を行わないと、二酸化炭素量は十分で汚泥取り込み量もpH調整を行った場合と同程度であるが、炭酸イオンによる吸着阻害で、やはり処理水フッ素濃度が高くなる。
これに対して、原水を予めpH中性に調整することにより、処理水フッ素濃度を十分に低減することができる。
実施例3
図2に示す装置により、表2に示すフッ素濃度、カルシウム濃度及びpHの原水を5L/hrで処理した。
図2に示す装置により、表2に示すフッ素濃度、カルシウム濃度及びpHの原水を5L/hrで処理した。
第1反応槽1への消石灰添加量は1000mg/L(Ca(OH)2換算)とし、また、第1反応槽1へはアルカリとして水酸化ナトリウム(NaOH)を表1に示す量(原水のカルシウム量と等当量)添加した。第1,第2反応槽1,2は二酸化炭素の吹き込みで、表1に示すpHに調整した。また、凝集槽3には高分子凝集剤として栗田工業(株)製アニオン系ポリマー「PA331」を5mg/L添加した。第1,第2反応槽1,2及び凝集槽3の滞留時間はいずれも12分とした。
得られた処理水のフッ素濃度とカルシウム濃度を調べ、結果を表2に示した。
比較例3
実施例3において、第1反応槽1に水酸化ナトリウムを添加しなかったこと以外は同様にして処理を行い、処理水のフッ素濃度及びカルシウム濃度を調べ、結果を表2に示した。
実施例3において、第1反応槽1に水酸化ナトリウムを添加しなかったこと以外は同様にして処理を行い、処理水のフッ素濃度及びカルシウム濃度を調べ、結果を表2に示した。
表2より、原水中に含まれるカルシウムイオンと等当量のアルカリを添加することにより、原水由来のカルシウムイオンからも炭酸カルシウムを生成させてフッ素の吸着に有効利用し、使用する消石灰量は同量であっても、フッ素を効率的に除去して処理水フッ素濃度を低減することができることが分かる。これに対して、アルカリを添加しない場合には、原水由来のカルシウムイオンをフッ素の吸着除去に有効利用することができず、処理水にカルシウムイオンが残留し、また処理水フッ素濃度も高い。
本発明のフッ素含有排水の処理方法及び装置は、半導体部品製造におけるシリコンウェハ製造工程から排出されるフッ素含有廃水、ステンレス鋼板製造工程から排出される酸洗廃水、アルミニウム表面処理廃水、フッ酸製造廃水、肥料製造廃水、ゴミ焼却廃水等のフッ素含有排水を効率的に処理して容易に排水基準以下の高水質処理水を得ることができる。
1 第1反応槽
2 第2反応槽
3 凝集槽
4 沈殿槽
5 pH調整槽
2 第2反応槽
3 凝集槽
4 沈殿槽
5 pH調整槽
Claims (6)
- フッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加し、カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去する方法において、該フッ素含有排水をpH中性に調整した後、カルシウム塩と二酸化炭素を添加することを特徴とするフッ素含有排水の処理方法。
- カルシウムイオンを含むフッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加し、該カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去する方法において、該フッ素含有排水に該フッ素含有排水中に含まれるカルシウムイオンと等当量の水酸化カルシウム以外のアルカリと、カルシウム塩及び二酸化炭素を添加することを特徴とするフッ素含有排水の処理方法。
- 請求項1又は2において、該フッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加してpH11以上で反応させた後、二酸化炭素を添加してpH7〜9で反応させることを特徴とするフッ素含有排水の処理方法。
- フッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加し、該カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去する装置において、該フッ素含有排水をpH中性に調整するpH調整手段と、該pH調整手段でpH調整された水に、カルシウム塩と二酸化炭素を添加する反応槽とを備えることを特徴とするフッ素含有排水の処理装置。
- カルシウムイオンを含むフッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加し、該カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去する装置において、該フッ素含有排水に二酸化炭素を添加して反応させる反応槽と、該反応槽又は該反応槽に導入される水に該フッ素含有排水中に含まれるカルシウムイオンと等当量の水酸化カルシウム以外のアルカリを添加する手段とを備えることを特徴とするフッ素含有排水の処理装置。
- 請求項4又は5において、該フッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加してpH11以上で反応させる第1の反応槽と、該第1の反応槽の処理水に更に二酸化炭素を添加してpH7〜9で反応させる第2の反応槽とを備えることを特徴とするフッ素含有排水の処理装置。
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KR100981011B1 (ko) | 2005-03-22 | 2010-09-07 | 산요덴키가부시키가이샤 | 배수 처리 장치 및 배수 처리 방법 |
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JP2016097330A (ja) * | 2014-11-19 | 2016-05-30 | Jfeエンジニアリング株式会社 | 副生塩の製造方法及び塩水の処理方法 |
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2004
- 2004-04-20 JP JP2004124365A patent/JP2005305273A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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