JP2013141627A - 水処理方法及び水処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】海水などのホウ素含有水からホウ素を除去する水処理方法を提供する。
【解決手段】ホウ素含有水における炭酸カルシウムの過飽和度を増大させて、炭酸カルシウム結晶核を生成させる第1工程と、ホウ素含有水における炭酸カルシウムの過飽和度を低下させて、炭酸カルシウム結晶核の生成を抑制すると共に、第1工程で生成した炭酸カルシウム結晶核を結晶成長させつつ結晶中にホウ酸イオンを取り込む第2工程とを設けることにより、ホウ素含有水中のホウ酸イオン(ホウ素)を高効率に除去する。
【選択図】図1

Description

本発明は、海水などのホウ素含有水からホウ素を除去する水処理方法及び水処理装置に関するものである。
従来、ホウ素を除去する水処理方法として、ホウ素を含有したホウ素含有水から、25〜200mmol/Lのカルシウムイオンと、6〜30mmol/Lの硫酸イオンと、ホウ素とアルミニウムとの原子比Al:Bが1.7〜20:1のアルミニウムイオンとを含有し且つそのpHが10.5〜11.5の溶液を調整する溶液調整工程と、該溶液のpHを11.0〜12.0に上昇させて析出物を析出させ、該析出物に該ホウ酸を共沈、共析又は吸着させて除去する析出工程と、高分子吸着剤により該溶液中に残存するホウ素を吸着する吸着工程とを有するものが提案されている(特許文献1を参照)。
特開2004−167351号公報(特に、特許請求の範囲)
特許文献1に開示される水処理方法では、ホウ素を除去するために、大量のカルシウムイオンを添加する必要があるという問題点があった。すなわち、「金属防食技術便覧」、日本学術振興会編、1972年に記載されるように、例えば海水中には約400mg/L(10mmol/L)のカルシウムイオンが溶存しているが、特許文献1に開示される水処理方法によれば、少なくとも25mmol/Lのカルシウムイオンが必要なので、15mmol/Lものカルシウムイオンを添加する必要があった。
従って、本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、カルシウムイオンの添加量が少ないかもしくはカルシウムイオンを添加しなくても、ホウ素を高効率に除去できる水処理方法及びそれに用いる水処理装置を提供することを目的とする。
そこで、本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、炭酸カルシウム結晶核を処理の初期にある程度生成させた後は、過飽和度をやや下げ、炭酸カルシウム源(炭酸イオン及びカルシウムイオン)がある程度存在する環境下で、炭酸カルシウム結晶核の生成を抑制しつつ生成した炭酸カルシウム結晶核の結晶成長を促すことによりホウ酸イオンを高効率に除去できることを見出した。
以下、本発明を完成するに至った経緯を詳細に説明する。
イオン交換水に、CaClを10mmol/L、NaHCOを2.4mmol/L、MgClを53mmol/L、NaSOを28mmol/L、NaClを400mmol/L、NaBrを0.8mmol/L、KClを9.7mmol/L、HBOを0.4mmol/L溶解させた人工海水を作製した。人工海水に含まれる各イオンの濃度は表1に示す通りである。
Figure 2013141627
ここで、実際の海水のイオン濃度として示している値は、「金属防食技術便覧」、日本学術振興会編、1972年より引用したものであり、人工海水はこれを模擬した組成となっている。通常、自然水では、ホウ素はホウ酸イオン(BO 3−)として存在するため、実験結果や分析結果はホウ酸イオン濃度で示している。
<実験1>
ビーカー中の人工海水1Lに水酸化ナトリウム溶液を滴下してpHを11とした。その後、放置した。
<実験2>
ビーカー中の人工海水1Lに水酸化ナトリウム溶液を滴下してpHを11とした。5分後、塩酸を滴下してpHを9まで下げ、その後、放置した。
実験1及び実験2は、25℃の水温で行った。
次に、結果について説明する。
図1は、実験1及び実験2におけるpHの経時変化を示したグラフである。水酸化ナトリウム溶液の滴下によりpHを11に調整した後、自然に降下させた実験1では、40分程度でpHが8まで下がり、その後も減少し続けた。一方、実験開始5分後の時点で塩酸の滴下によりpHを9まで降下させた実験2では、その後のpHの減少が緩やかとなり、pHが8に到達するのは120分後であった。
表2は、各実験のホウ酸イオン濃度及び経過時間のデータである。
Figure 2013141627
表2から分かるように、実験1では、実験開始30分後のホウ酸イオン濃度が0.14mmol/Lとなったが、その後は低減速度が鈍り、60分後及び120分後のホウ酸イオン濃度は、0.10mmol/Lであった。一方、実験2では、実験開始30分後のホウ酸イオン濃度は0.17mmol/Lとなり、実験1よりも若干高かったが、その後も減少を続け、60分後に0.08mmol/L、120分後に0.06mmol/Lとなった。
ここで、実験結果の考察を進める前に、既往の文献等に示されている事実について説明する。後藤芳彦著、「結晶成長」、内田老鶴圃に記載されるように、炭酸カルシウム結晶核が形成されるためには、核形成のためのエネルギー障壁を越えなければならない。対象とする溶液の炭酸カルシウムの過飽和度(炭酸カルシウムの溶解量が飽和量の何倍に相当するかの指標)が高いとき、エネルギー障壁は小さくなるため、核形成が起こりやすくなる。一方、「地下ダム水源の農業用水利施設における炭酸カルシウムスケール問題に関する調査」、農工技報206、p283〜297、2007年に記載されるように、溶液のpHが高いと炭酸カルシウムの過飽和度は大きくなる。
また、水中の炭酸イオンとカルシウムイオンとの反応系は、以下の式で表される。
CO(aq)+HO⇔HCO(aq) (1)
CO(aq)⇔HCO (aq)+H (2)
HCO (aq)⇔CO 2−(aq)+H (3)
O⇔H+OH (4)
Ca2+(aq)+CO 2−(aq)⇔CaCO(s) (5)
炭酸カルシウム結晶(CaCO(s))の析出が起こると、式(5)の反応が右に進行し、水中の炭酸イオン(CO 2−(aq))が減少する。すると、炭酸イオンの減少分を補うべく、式(2)及び式(3)の反応も右に進行し、水素イオン(H)が水中に放たれるため、pHは低下するというものである。
これらの事実も考慮すると、実験1では、pHが11から9に到達するまでの約10分間、炭酸カルシウムの過飽和度が非常に高く、炭酸カルシウム結晶核の生成が促進されたものと考えられる。その後、生成した炭酸カルシウム結晶核を基点に結晶成長が進行しながら、pHは低下し続けたと考えられる。
一方、実験2では、実験開始5分後にpHを強制的に9まで低下させたので、炭酸カルシウム結晶核の生成は抑制されたものと考えられる。その後、実験1と同様に、生成した炭酸カルシウム結晶核を基点に結晶成長が進行したと考えられるが、核生成と比べて結晶成長は緩やかに反応が進行するため、pHの減少も緩やかであったと考えられる。その結果、炭酸カルシウム結晶核の結晶成長に好適なpH領域であると考えられるpH8〜9の時間が長くなり、炭酸カルシウム結晶へのホウ酸イオンの取り込み量が増加したものと考えられる。これらのことから、炭酸カルシウムの析出初期に発生する「均一核」は、炭酸カルシウムの純物質であるため、この反応が支配的な状況下では、ホウ酸イオンなど他のイオンを取り込んだ複塩の生成は進み難く、むしろ、多孔質の炭酸カルシウム結晶成長が進行する過程で、ホウ酸イオンが多く取り込まれるということが分かった。
以上のことから、本発明者らは、過飽和度を増大させて、炭酸カルシウム結晶核を処理の初期にある程度生成させた後、過飽和度を低下させ、炭酸カルシウム源がある程度存在する環境下で、炭酸カルシウム結晶核の生成を抑制しつつ生成した炭酸カルシウム結晶核の結晶成長を促すことがホウ酸イオンの除去に有効であることに想到し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ホウ素含有水における炭酸カルシウムの過飽和度を増大させて、炭酸カルシウム結晶核を生成させる第1工程と、ホウ素含有水における炭酸カルシウムの過飽和度を低下させて、炭酸カルシウム結晶核の生成を抑制すると共に、第1工程で生成した炭酸カルシウム結晶核を結晶成長させつつ結晶中にホウ酸イオンを取り込む第2工程と、第2工程で得られたホウ酸イオン含有炭酸カルシウム結晶をホウ素含有水から分離する第3工程とを有することを特徴とする水処理方法である。
また、本発明は、ホウ素含有水を受け入れる処理槽と、ホウ素含有水のpHを計測するpH計測手段と、処理槽にアルカリを添加するアルカリ添加手段と、処理槽に酸を添加する酸添加手段と、pH計測手段で計測されたpH値に基づいてアルカリ添加手段によるアルカリの添加量及び酸添加手段による酸の添加量を制御する制御手段であって、受け入れたホウ素含有水のpHが10超になるまでアルカリを添加した後、ホウ素含有水のpHが10に低下した時点で酸の添加を開始し、pHが8超10未満になったら酸の添加を停止する制御手段と、処理槽中のホウ素含有水から炭酸カルシウム結晶を分離する分離手段とを備えることを特徴とする水処理装置である。
本発明によれば、炭酸カルシウム結晶核を生成させた後、結晶核の生成反応を抑制すると共に、生成した結晶核を結晶成長させるため、結晶へのホウ酸イオンの取り込みを促進することができ、結果としてホウ酸イオンを高効率に除去することができる。
本発明の基本的原理を導くに至った実験結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態1による水処理装置を説明するための図である。 本発明の実施の形態2による水処理装置を説明するための図である。
実施の形態1.
図2は、実施の形態1による水処理装置を説明するための図である。本実施の形態による水処理装置は、ホウ素含有水(例えば海水)を受け入れて、ホウ素除去処理を行うための処理槽1と、処理槽1中のホウ素含有水のpHを計測するためのpH計2とを備えている。pH計2は、信号線2aを介してコントローラ3と接続されている。処理槽1には、ホウ素含有水を処理槽1に導くための配管1aと、処理後のホウ素含有水を処理槽1から排出するための配管1bとが接続されている。これらの配管1a及び配管1bにはそれぞれ導入用弁4及び排出用弁5が設けられている。導入用弁4及び排出用弁5はそれぞれ信号線4a及び信号線5aを介してコントローラ3と接続されている。更に、処理槽1には、アルカリ(例えば水酸化ナトリウム溶液)を貯えておくためのアルカリ貯留槽6が配管6aを介して接続されると共に、酸(例えば塩酸溶液)を貯えておくための酸貯留槽7が配管7aを介して接続されている。これらの配管6a及び配管7aの途中にはそれぞれアルカリ供給用ポンプ8及び酸供給用ポンプ9が設置されている。アルカリ供給用ポンプ8及び酸供給用ポンプ9はそれぞれ信号線8a及び信号線9aを介してコントローラ3と接続されている。コントローラ3は、pH計2で計測されたホウ素含有水のpH値に基づくアルカリ供給用ポンプ8及び酸供給用ポンプ9の駆動と停止、並びにホウ素含有水の導入と排出を制御するものである。
なお、アルカリとしては水酸化ナトリウム溶液に限定されるものではなく、水酸化カリウム溶液等の他のアルカリ性溶液を用いることができる。また、酸としても塩酸溶液に限定されるものではなく、硫酸溶液等の他の酸性溶液を用いることができる。
次に、図2を参照しながら、実施の形態1による水処理装置の動作を説明する。コントローラ3は、導入用弁4を開け、ホウ素含有水の導入を開始する。コントローラ3の指示は、信号線4aを介して導入用弁4に伝えられる。ホウ素含有水は導入用弁4を通過した後、配管1aを通じて処理槽1に導入される。所定量のホウ素含有水が処理槽1内に導入されると、コントローラ3は、導入用弁4を閉じ、pH計2によるホウ素含有水のpHの計測を開始する。
ここで、導入用弁4を閉じるタイミングは、処理槽1内に設けられた水位計の値が所定値に達したときとしてもよいし、タイマーで計測した時間が所定時間に達したときとしてもよい。また、配管1aに流量計を設けておき、流量の積算値が所定値に達したときとしてもよい。
pH計2で計測されるpH値は、信号線2aを介してコントローラ3に伝えられる。海水のpHは一般的に7.8程度なので、これを10超まで上昇させるために、コントローラ3はアルカリ供給用ポンプ8を駆動させる。アルカリ供給用ポンプ8が駆動されると、アルカリ貯留槽6に貯留されたアルカリが配管6aを介して処理槽1に供給され、ホウ素含有水のpHは上昇する。このpHの上昇により炭酸カルシウムの過飽和度が増大する。pH計2で計測されるpH値が10超、好ましくは11近傍に達したとき、コントローラ3はアルカリ供給用ポンプ6を停止させる。コントローラ3の指示は、信号線8aを介してアルカリ供給用ポンプ8に伝えられる。
アルカリ供給用ポンプ8を停止させると、処理槽1内では炭酸カルシウム結晶核の生成が進み、これに伴ってpHが降下する。pH計2で計測されるpH値が10に達したとき、コントローラ3は酸供給用ポンプ9を駆動させる。酸供給用ポンプ9が駆動されると、酸貯留槽7に貯留された酸が配管7aを介して処理槽1に供給され、ホウ素含有水のpHは更に降下する。このpHの降下により炭酸カルシウムの過飽和度が低下する。pH計2で計測されるpH値が8超10未満、好ましくは9近傍に達したとき、コントローラ3は酸供給用ポンプ9を停止させる。コントローラ3の指示は、信号線9aを介して酸供給用ポンプ9に伝えられる。
酸供給用ポンプ9を停止させると、処理槽1内では炭酸カルシウム結晶核の結晶成長が進み、これに伴ってpHが除々に低下する。pH計2で計測されるpH値が8に達したとき、コントローラ3は処理終了と判断して、排出用弁5を開き、ホウ素含有水の排出を開始する。コントローラ3の指示は、信号線5aを介して排出用弁5に伝えられる。
このように、第1工程では、ホウ素含有水のpHを10超に調整することにより、炭酸カルシウムの過飽和度を増大させて、炭酸カルシウム結晶核を生成させ、これをホウ素含有水のpHが10になるまで維持した後、第2工程に切り替え、ホウ素含有水のpHを8超10未満に調整することにより、炭酸カルシウムの過飽和度を低下させて、炭酸カルシウム結晶核の更なる生成を抑制すると共に、炭酸カルシウム結晶核を結晶成長させることにより、ホウ素含有水中のホウ酸イオンを結晶中に高効率に取り込むことができる。
処理槽1から排出されたホウ素含有水に浮遊しているホウ酸イオン含有炭酸カルシウム結晶を分離する第3工程は、特に限定されるものではなく、沈降分離、膜分離又は吸着材への吸着により行うことができる。
実施の形態1によれば、従来技術のようにカルシウムイオンをホウ素含有水に添加しなくても、ホウ素を高効率に除去することができる。
なお、実施の形態1では、酸添加のタイミング及びホウ素含有水排出のタイミングを、ホウ素含有水のpHにより制御したが、処理開始後からの経過時間により制御してもよい。例えば、処理開始後(ホウ素含有水のpHが11に達した後)5分が経過したとき、酸供給用ポンプ9の駆動を開始し、pHが9に達するまで酸供給用ポンプ9を駆動させる。ホウ素含有水のpHが9に達したとき、酸供給用ポンプ9を停止させ、それから90分〜120分経過したとき、処理終了として排出用弁5を開く。以上の動作により、本実施の形態とほぼ同等の効果を奏する。
また、実施の形態1では、炭酸カルシウムの過飽和度の増大及び低下を、ホウ素含有水への酸・アルカリの添加によって行ったが、ガスパージ(空気又は窒素の曝気により過飽和度を増大させ、炭酸ガスの曝気により過飽和度を低下させる)によって行ってもよいし、あるいは加熱・冷却(加熱により過飽和度を増大させ、冷却により過飽和度を低下させる)によって行ってもよい。
また、実施の形態1では、ホウ酸イオン含有炭酸カルシウム結晶の分離を処理槽1外で行ったが、処理槽1内で行ってもよい。
なお、処理終了のタイミングは、所望するホウ素イオン除去率もしくは除去量に応じて、適宜変更すればよい。
実施の形態2.
図3は、実施の形態2による水処理装置を説明するための図である。実施の形態2による水処理装置では、ホウ素含有水における炭酸カルシウムの過飽和度を増大させて、炭酸カルシウム結晶核を生成させる第1工程と、ホウ素含有水における炭酸カルシウムの過飽和度を低下させて、炭酸カルシウム結晶核の生成を一旦停止すると共に、第1工程で生成した炭酸カルシウム結晶核を結晶成長させつつ結晶中にホウ酸イオンを取り込む第2工程とを別個の処理槽で行う点が実施の形態1と異なる。
本実施の形態による水処理装置は、ホウ素含有水(例えば海水)を受け入れて、第1工程を行うための第1処理槽1Aと、第1処理槽1A中のホウ素含有水のpHを計測するための第1pH計10と、第1処理槽1Aから排出されたホウ素含有水を受け入れて、第2工程を行うための第2処理槽1Bと、第2処理槽1B中のホウ素含有水のpHを計測するための第2pH計11とを備えている。第1pH計10は、信号線10aを介して第1コントローラ12と接続されており、第2pH計11は、信号線11aを介して第2コントローラ13と接続されている。第1処理槽1Aには、ホウ素含有水を第1処理槽1Aに導くための配管1aが接続されており、第2処理槽1Bには、処理後のホウ素含有水を第2処理槽1Bから排出するための配管1bが接続されており、第1処理槽1Aと第2処理槽1Bとは連絡配管1abで接続されている。更に、第1処理槽1Aには、アルカリ(例えば水酸化ナトリウム溶液)を貯えておくためのアルカリ貯留槽6が配管6aを介して接続されている。また、第2処理槽1Bには、酸(例えば塩酸溶液)を貯えておくための酸貯留槽7が配管7aを介して接続されている。これらの配管6a及び配管7aの途中にはそれぞれアルカリ供給用ポンプ8及び酸供給用ポンプ9が設置されている。アルカリ供給用ポンプ8は、信号線8aを介して第1コントローラ12と接続されている。また、酸供給用ポンプ9は、信号線9aを介して第2コントローラ13と接続されている。第1コントローラ12は、第1pH計10で計測されたホウ素含有水のpH値に基づくアルカリ供給用ポンプ8の駆動と停止を制御するものである。第2コントローラ13は、第2pH計11で計測されたホウ素含有水のpH値に基づく酸供給用ポンプ9の駆動と停止を制御するものである。
なお、アルカリとしては水酸化ナトリウム溶液に限定されるものではなく、水酸化カリウム溶液等の他のアルカリ性溶液を用いることができる。また、酸としても塩酸溶液に限定されるものではなく、硫酸溶液等の他の酸性溶液を用いることができる。
次に、図3を参照しながら、実施の形態2による水処理装置の動作を説明する。まず、ホウ素含有水が、配管1aを介して第1処理槽1Aに導入される。第1コントローラ12は、第1処理槽1A内のホウ素含有水のpH、即ち、第1pH計10で計測されるpH値が10超、好ましくは11近傍を維持するように、アルカリ供給用ポンプ8を制御する。ここでの制御には、一般的なフィードバック制御のアルゴリズムを用いればよい。第1pH計10で計測されるpH値は、信号線10aを介して第1コントローラ12に伝えられる。また、第1コントローラ12の指示は、信号線8aを介してアルカリ供給用ポンプ8に伝えられる。
ここで、第1処理槽1Aは、アルカリの添加により制御されるホウ素含有水のpHに応じて、ホウ素含有水の滞留時間が1〜10分となるような容量に設計されている。例えば、ホウ素含有水のpHを10.1程度に維持する場合、第1処理槽1Aは、ホウ素含有水の滞留時間が10分程度となるような容量に設計され、ホウ素含有水のpHを12程度に維持する場合、第1処理槽1Aは、ホウ素含有水の滞留時間が1分程度となるような容量に設計される。これにより、第1処理槽1A内で、炭酸カルシウム結晶核の適度な生成を維持することができる。
第1処理槽1Aで処理されたホウ素含有水は、連絡配管1abを通じて第2処理槽1Bに導入される。第2コントローラ13は、第2処理槽1B内のホウ素含有水のpH、即ち、第2pH計11で計測されたpH値が8超10未満、好ましくは9近傍を維持するように、酸供給用ポンプ9を制御する。ここでの制御にも、一般的なフィードバック制御のアルゴリズムを用いればよい。第2pH計11で計測される値は、信号線11aを介して第2コントローラ13に伝えられる。また、第2コントローラ13の指示は、信号線9aを介して酸供給用ポンプ9に伝えられる。
ここで、第2処理槽1Bは、酸の添加により制御されるホウ素含有水のpHに応じて、ホウ素含有水の滞留時間が90分〜120分となるような容量に設計されている。これにより、第2処理槽1B内で、炭酸カルシウム結晶核の成長を促し、ホウ酸イオンの取り込みを十分に行うことができる。
第2処理槽1Bから排出されたホウ素含有水に浮遊しているホウ酸イオン含有炭酸カルシウム結晶の分離方法は、特に限定されるものではなく、沈降分離、膜分離又は吸着材への吸着により行うことができる。
このように、第1工程では、ホウ素含有水のpHを10超に維持することにより、炭酸カルシウムの過飽和度を増大させて、炭酸カルシウム結晶核を生成させ、続く第2工程では、ホウ素含有水のpHを8超10未満に維持することにより、炭酸カルシウムの過飽和度を低下させて、炭酸カルシウム結晶核の更なる生成を抑制すると共に、炭酸カルシウム結晶核を結晶成長させることにより、ホウ素含有水中のホウ酸イオンを結晶中に高効率に取り込むことができる。
また、実施の形態2では、炭酸カルシウムの過飽和度の増大及び低下を、ホウ素含有水への酸・アルカリの添加によって行ったが、ガスパージ(空気又は窒素の曝気により過飽和度を増大させ、炭酸ガスの曝気により過飽和度を低下させる)によって行ってもよいし、あるいは加熱・冷却(加熱により過飽和度を増大させ、冷却により過飽和度を低下させる)によって行ってもよい。
本発明の水処理方法は、単独で実施してもよいし、逆浸透膜等を用いた海水淡水化プラントの中の単位操作として実施してもよい。即ち、「海水淡水化・下廃水再利用を牽引する逆浸透膜技術」、学会誌EICA、第15巻、第4号、p44〜47、2011年にも記載されているように、ホウ酸イオンは逆浸透膜での除去が困難な物質として知られており、高圧逆浸透膜の後段にホウ酸イオン除去性能を有する特殊な低圧逆浸透膜を設けてこれを除去する方法が採用されている。本発明の水処理方法を適用することにより、従来のような特殊且つ高価な逆浸透膜は不要となるので、海水淡水化プラントを低コストで実現することができる。
1 処理槽、1a 配管、1b 配管、2 pH計、2a 信号線、3 コントローラ、4 導入用弁、5 排出用弁、6 アルカリ貯留槽、6a 配管、7 酸貯留槽、7a 配管、8 アルカリ供給用ポンプ、8a 信号線、9 酸供給用ポンプ、9a 信号線、10 第1pH計、11 第2pH計、12 第1コントローラ、13 第2コントローラ、1ab 連絡配管。

Claims (6)

  1. ホウ素含有水における炭酸カルシウムの過飽和度を増大させて、炭酸カルシウム結晶核を生成させる第1工程と、
    ホウ素含有水における炭酸カルシウムの過飽和度を低下させて、炭酸カルシウム結晶核の生成を抑制すると共に、第1工程で生成した炭酸カルシウム結晶核を結晶成長させつつ結晶中にホウ酸イオンを取り込む第2工程と、
    第2工程で得られたホウ酸イオン含有炭酸カルシウム結晶をホウ素含有水から分離する第3工程と
    を有することを特徴とする水処理方法。
  2. 前記第1工程では、ホウ素含有水のpHを10超に調整することにより、炭酸カルシウムの過飽和度を増大させ、前記第2工程では、ホウ素含有水のpHを8超10未満に調整することにより、炭酸カルシウムの過飽和度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の水処理方法。
  3. 前記第1工程における炭酸カルシウム結晶核の生成を、ホウ素含有水のpHが10になるまで続けた後、前記第2工程に切り替えることを特徴とする請求項2に記載の水処理方法。
  4. 前記第1工程では、ホウ素含有水を加熱することにより、炭酸カルシウムの過飽和度を増大させ、前記第2工程では、ホウ素含有水を冷却することにより、炭酸カルシウムの過飽和度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の水処理方法。
  5. ホウ素含有水を受け入れる処理槽と、
    ホウ素含有水のpHを計測するpH計測手段と、
    処理槽にアルカリを添加するアルカリ添加手段と、
    処理槽に酸を添加する酸添加手段と、
    pH計測手段で計測されたpH値に基づいてアルカリ添加手段によるアルカリの添加量及び酸添加手段による酸の添加量を制御する制御手段であって、受け入れたホウ素含有水のpHが10超になるまでアルカリを添加した後、ホウ素含有水のpHが10に低下した時点で酸の添加を開始し、pHが8超10未満になったら酸の添加を停止する制御手段と、
    処理槽中のホウ素含有水から炭酸カルシウム結晶を分離する分離手段と
    を備えることを特徴とする水処理装置。
  6. ホウ素含有水を受け入れる第1処理槽と、
    第1処理槽中のホウ素含有水のpHを計測する第1pH計測手段と、
    第1処理槽にアルカリを添加するアルカリ添加手段と、
    第1pH計測手段で計測されるpH値が10超を維持するように、アルカリ添加手段からのアルカリ添加量を制御する第1制御手段と、
    第1処理槽から排出されたホウ素含有水を受け入れる第2処理槽と、
    第2処理槽中のホウ素含有水のpHを計測する第2pH計測手段と、
    第2処理槽に酸を添加する酸添加手段と、
    第2pH計測手段で計測されるpH値が8超10未満を維持するように、酸添加手段からの酸添加量を制御する第2制御手段と、
    第2処理槽中のホウ素含有水から炭酸カルシウム結晶を分離する分離手段と
    を備えたことを特徴とする水処理装置。
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