JP2005302713A - 通電部材用金属材料,それを用いた燃料電池用セパレータおよびその燃料電池 - Google Patents

通電部材用金属材料,それを用いた燃料電池用セパレータおよびその燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐食性が良好であると同時に、接触抵抗が小さい(すなわち電気伝導性に優れる)通電部材用金属材料,特にステンレス鋼,チタン,またはチタン合金等の不動態皮膜が生成される性質を備える通電部材用金属材料、中でも固体高分子型燃料電池セパレータ用の金属材料,それを用いたセパレータ、およびそのセパレータを用いた固体高分子型燃料電池を提供する。
【解決手段】 不動態皮膜が生成される性質を備える金属材料の表面の局部山頂の平均間隔が0.3μm以下である通電部材用金属材料を使用する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐食性に優れるとともに接触抵抗値の小さい通電部材用の金属材料、特にステンレス鋼,チタン(工業用純チタン、以降チタンという)、またはチタン合金等の不動態皮膜が容易に生成される性質を備える金属材料,それを用いた固体高分子型燃料電池用セパレータ、およびそのセパレータを用いた固体高分子型燃料電池に関するものである。
近年、地球環境保全の観点から、発電効率に優れ、CO2 を排出しない燃料電池の開発が進められている。この燃料電池はH2 とO2 から電気化学反応によって電気を発生させるものであり、その基本構造は、電解質膜(すなわちイオン交換膜),2つの電極(すなわち燃料極と空気極),O2(すなわち空気)とH2の拡散層,および2つのセパレータから構成される。そして、使用される電解質膜の種類に応じて、リン酸型燃料電池,溶融炭酸塩型燃料電池,固体電解質型燃料電池,アルカリ型燃料電池,固体高分子型燃料電池等が開発されている。
これらの燃料電池のうち、固体高分子型燃料電池は、他の燃料電池に比べて、
(a) 発電温度が80℃程度であり、格段に低い温度で発電できる、
(b) 燃料電池本体の軽量化,小型化が可能である、
(c) 短時間で立上げができる、
等の利点を有している。このため、固体高分子型燃料電池は、電気自動車の搭載用電源,家庭用あるいは業務用の定置型発電機,携帯用の小型発電機として利用するべく、今日もっとも注目されている燃料電池である。
固体高分子型燃料電池は、高分子膜を介してH2 とO2 から電気を取り出すものであり、図1に示すように、ガス拡散層2,3(たとえばカーボンペーパ等)およびセパレータ4,5によって膜−電極接合体1を挟み込み、これを単一の構成要素(いわゆる単セル)とし、セパレータ4とセパレータ5との間に起電力を生じさせるものである。
なお膜−電極接合体1は、MEA(すなわち Membrance-Electrode Assembly )と呼ばれており、高分子膜とその膜の表裏面に白金系触媒を担持したカーボンブラック等の電極材料を一体化したものであり、厚さは数10μm〜数100μmである。ガス拡散層2,3は、膜−電極接合体1と一体化される場合も多い。
固体高分子型燃料電池を上記した用途に適用する場合は、このような単セルを直列に数十〜数百個つないで燃料電池スタックを構成して使用している。
セパレータ4,5には、
(A) 単セル間を隔てる隔壁
としての役割に加え、
(B) 発生した電子を運ぶ導電体、
(C) O2 (すなわち空気)とH2 が流れる空気流路,水素流路、
(D) 生成した水やガスを排出する排出路
としての機能が求められる。さらに固体高分子型燃料電池を実用に供するためには、耐久性や電気伝導性に優れたセパレータ4,5を使用する必要がある。
耐久性に関しては、電気自動車の搭載用電源として使用される場合は、約5000時間と想定されている。あるいは家庭用の定置型発電機等として使用される場合は、約40000時間と想定されている。したがってセパレータ4,5には、長時間の発電に耐えられる耐食性が要求される。その理由は、腐食によって金属イオンが溶出すると電解質膜のプロトン伝導性が低下するからである。
また電気伝導性に関しては、セパレータ4,5とガス拡散層2,3との接触抵抗は極力低いことが望まれる。 その理由は、セパレータ4,5とガス拡散層2,3との接触抵抗が増大すると、固体高分子型燃料電池の発電効率が低下するからである。つまり、セパレータとガス拡散層との接触抵抗が小さいほど、発電特性が優れている。
現在までに、セパレータ4,5としてグラファイトを用いた固体高分子型燃料電池が実用化されている。このグラファイトからなるセパレータ4,5は、接触抵抗が比較的低く、しかも腐食しないという利点がある。しかしながら衝撃によって破損しやすいので、小型化が困難であり、しかも空気流路6,水素流路7を形成するための加工コストが高いという欠点がある。グラファイトからなるセパレータ4,5が有するこれらの欠点は、固体高分子型燃料電池の普及を妨げる原因になっている。
そこでセパレータ4,5の素材として、グラファイトに替えて金属素材を適用する試みがなされている。特に、耐久性向上の観点から、ステンレス鋼,チタン,またはチタン合金を素材としたセパレータ4,5の実用化に向けて、種々の検討がなされている。
たとえば特開平8-180883号公報には、スタンレス鋼またはチタン合金等の不動態皮膜を形成しやすい金属をセパレータとして用いる技術が開示されている。しかし不動態皮膜の形成は、接触抵抗の上昇を招くことになり、発電効率の低下につながる。このため、これらの金属素材は、グラファイト素材と比べて接触抵抗が大きく、しかも耐食性が劣る等の改善すべき問題点が指摘されていた。
また特開平10-228914号公報には、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)等の金属セパレータの表面に金めっきを施すことにより、接触抵抗を低減し、高出力を確保する技術が開示されている。しかし、薄い金めっきではピンホールの発生防止が困難であり、逆に厚い金めっきではコストの問題が残る。
また特開2000-277133号公報には、フェライト系ステンレス鋼基材にカーボン粉末を分散させて、電気伝導性を改善(すなわち接触抵抗を低下)したセパレータを得る方法が開示されている。しかしながらカーボン粉末を用いた場合も、セパレータの表面処理には相応のコストがかかることから、依然としてコストの問題が残っている。 また、表面処理を施したセパレータは、組立て時にキズ等が生じた場合に、耐食性が著しく低下するという問題点も指摘されている。
さらに、ステンレス鋼に表面処理を施さず、そのままセパレータに適用しようとする試みがなされている。たとえば特開2000-239806号公報や特開2000-294255号公報には、Cu,Niを積極的に添加した上で、S,P,N等の不純物元素を低減し、かつC+N≦0.03質量%,10.5質量%≦Cr+3×Mo≦43質量%を満足するセパレータ用フェライト系ステンレス鋼が開示されている。また、特開2000-265248 号公報や特開2000-294256号公報には、Cu,Niを 0.2質量%以下に制限して金属イオンの溶出を抑えた上で、S,P,N等の不純物元素を低減し、かつC+N≦0.03質量%,10.5質量%≦Cr+3×Mo≦43質量%を満足するセパレータ用フェライト系ステンレス鋼が開示されている。
しかし、これらの発明は、いずれもステンレス鋼の成分を所定の範囲に規定して、不動態皮膜を強固にすることによって、表面処理を施さず、そのまま使用しても溶出金属イオンによる電極担持触媒の触媒能の劣化を低減し、腐食生成物による電極との接触抵抗の増加を抑制しようとする思想に基づいている。したがって、ステンレス鋼自体の接触抵抗を低下させようとするものではない。また、数万時間にわたって出力電圧の低下を防止する耐久性を確保できるものでもない。
さらに、セパレータの表面粗さが接触抵抗に及ぼす影響についても検討されている。たとえば特開2002-270196号公報には、表面に凹凸を形成したステンレス鋼からなるセパレータを使用し、かつそのステンレス鋼の表面がCr富化された不動態皮膜で覆われている高分子型燃料電池が開示されている。この技術では、表面粗さパラメータ:中心線平均粗さRa ,すなわち算術平均粗さが0.03〜2μmであるのが好ましいとしている。しかしながら本発明者らの知見によれば、同程度のRa を有するステンレス鋼材でも接触抵抗は著しく異なるので、Ra を所定の範囲に維持するだけでは、接触抵抗を大幅に低減することは困難である。
一方、プレス成形によって流路溝を形成する場合は、オーステナイト系ステンレス鋼材の方が、フェライト系ステンレス鋼材に比べて成形性が優れている。そのため、プレス成形に対応できる素材として、接触抵抗値の低いオーステナイト系ステンレス鋼材が求められていた。
特開平8-180883号公報 特開平10-228914号公報 特開2000-277133号公報 特開2000-239806号公報 特開2000-294255号公報 特開2000-265248 号公報 特開2000-294256号公報 特開2002-270196号公報
本発明は、従来の技術が抱えている上記のような問題点に鑑み、耐食性が良好であると同時に、接触抵抗が小さい(すなわち電気伝導性に優れる)通電部材用金属材料,特にステンレス鋼,チタン,またはチタン合金等の不動態皮膜が容易に生成される性質を備える通電部材用金属材料、中でも固体高分子型燃料電池セパレータ用の金属材料,それを用いたセパレータ、およびそのセパレータを用いた固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、不動態皮膜が生成される性質を備える金属材料の成分のみならず、種々の表面粗さパラメータのうち、ガス拡散層との接触抵抗に多大な影響を及ぼす表面粗さパラメータを所定の範囲に規定することによって、金めっき等の表面処理を施さなくても、接触抵抗が小さく、発電効率が優れ、かつ金属材料自体の耐食性が高い固体高分子型燃料電池セパレータ用の金属材料,それを用いたセパレータ、およびそのセパレータを用いた固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
[1] 本発明は、不動態皮膜が大気によって容易に生成される性質を備える金属材料の表面の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔が0.3μm以下である通電部材用金属材料である。
[2] 本発明の通電部材用金属材料においては、金属材料の表面の粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜が0.05以上であることが好ましい。
[3] また、金属材料が、Crを16〜45質量%,Cを0.03質量%以下,Nを0.03質量%以下,C+Nを0.03質量%以下,Moを0.1〜5.0質量%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するフェライト系ステンレス鋼であることが好ましい。
[4] さらに、そのフェライト系ステンレス鋼が、前記した [3]の組成に加えて下記の(1)〜(4)の群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(1) Si:1.0質量%以下
(2) Mn:1.0質量%以下
(3) Cu:3.0質量%以下
(4) Ti,Nb,VおよびZrのうちの少なくとも1種以上を合計で0.01〜0.5質量%
[5] あるいは金属材料が、C:0.03質量%以下,Cr:16〜30質量%,Mo:0.1〜10.0質量%,Ni:7〜40質量%を含有し残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼であることが好ましい。
[6] さらに、そのオーステナイト系ステンレス鋼が、前記した [5]の組成に加えて下記の(1)〜(5)の群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(1) N:2.0質量%以下
(2) Cu:3.0質量%以下
(3) Si:1.5質量%以下
(4) Mn:2.5質量%以下
(5) Ti,Nb,VおよびZrのうちの少なくとも1種以上を合計で0.01〜0.5質量%
[7] あるいは、金属材料が、Ti:70質量%以上を含有するチタンまたは、チタン合金であることが好ましい。
[8] また本発明は、上記の金属材料を用いた固体高分子形燃料電池用セパレータである。
[9] また本発明は、固体高分子膜,電極,ガス拡散層およびセパレータからなる固体高分子形燃料電池であって、上記したセパレータを用いる固体高分子形燃料電池である。
[10]また本発明は、C:0.03質量%以下,N:0.03質量%以下,Cr:16〜45質量%,Mo:0.1〜5.0質量%を含有し、かつC含有量とN含有量の合計が0.03質量%以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するステンレス鋼材であって、ステンレス鋼材の表面に存在する局部山頂の平均間隔が0.3μm以下である固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材である。
[11]本発明の固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材においては、ステンレス鋼材が、前記した[10]の組成に加えて下記の(1)〜(4)の群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(1) Si:1.0質量%以下
(2) Mn:1.0質量%以下
(3) Cu:3.0質量%以下
(4) Ti,Nb,VおよびZrのうちの少なくとも1種以上を合計で0.01〜0.5質量%
[12]また本発明は、ステンレス鋼材からなる固体高分子型燃料電池セパレータであって、ステンレス鋼材がC:0.03質量%以下,N:0.03質量%以下,Cr:16〜45質量%,Mo:0.1〜5.0質量%を含有し、かつC含有量とN含有量の合計が0.03質量%以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつステンレス鋼材の表面に存在する局部山頂の平均間隔が0.3μm以下である固体高分子型燃料電池用セパレータである。
[13]本発明の固体高分子型燃料電池セパレータにおいては、ステンレス鋼材が、前記した[12]の組成に加えて下記の(1)〜(4)の群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(1) Si:1.0質量%以下
(2) Mn:1.0質量%以下
(3) Cu:3.0質量%以下
(4) Ti,Nb,VおよびZrのうちの少なくとも1種以上を合計で0.01〜0.5質量%
[14]また本発明は、固体高分子膜,電極およびセパレータからなる固体高分子型燃料電池であって、セパレータとして上記の固体高分子型燃料電池用セパレータを用いる固体高分子型燃料電池である。
[15]また本発明は、C:0.03質量%以下,Cr:16〜30質量%,Mo:0.1〜10.0質量%,Ni:7〜40質量%を含有し残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するステンレス鋼材であって、ステンレス鋼材の表面に存在する局部山頂の平均間隔が0.3μm以下である固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材である。
[16]本発明の固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材は、前記した[15]の組成に加えて下記の(1)〜(5)の群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(1) N:2.0質量%以下
(2) Cu:3.0質量%以下
(3) Si:1.5質量%以下
(4) Mn:2.5質量%以下
(5) Ti,Nb,VおよびZrのうちの少なくとも1種以上を合計で0.01〜0.5質量%
[17]また本発明は、ステンレス鋼材からなる固体高分子型燃料電池セパレータであって、ステンレス鋼材がC:0.03質量%以下,Cr:16〜30質量%,Mo:0.1〜10.0質量%,Ni:7〜40質量%を含有し残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつステンレス鋼材の表面に存在する局部山頂の平均間隔が0.3μm以下である固体高分子型燃料電池用セパレータである。
[18]本発明の固体高分子型燃料電池セパレータにおいては、ステンレス鋼材が、前記した[17]の組成に加えて下記の(1)〜(5)の群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(1) N:2.0質量%以下
(2) Cu:3.0質量%以下
(3) Si:1.5質量%以下
(4) Mn:2.5質量%以下
(5) Ti,Nb,VおよびZrのうちの少なくとも1種以上を合計で0.01〜0.5質量%
[19]また本発明は、固体高分子膜,電極およびセパレータからなる固体高分子型燃料電池であって、セパレータとして上記の固体高分子型燃料電池セパレータを用いる固体高分子型燃料電池である。
本発明によれば、従来のグラファイト製セパレータや金めっきステンレス鋼製セパレータと同等に接触抵抗値が低く、かつ耐食性に優れた通電部材用金属材料や固体高分子型燃料電池セパレータ用金属材料が得られる。したがって、高価なグラファイト製セパレータや金めっきステンレス鋼製セパレータを使用していた固体高分子型燃料電池に、安価なステンレス鋼製セパレータや比較的安価なチタン製セパレータを提供することが可能となった。
さらに、メッキ,クラッド,蒸着などで表面のみをステンレス鋼,チタンまたは、チタン合金とした場合にも利用できる。
なお本発明は、固体高分子型燃料電池セパレータに限らず、電気伝導性を有する金属製通電部品としても広く利用できる。
本発明者らは、接触抵抗を低く抑えた上で、高い耐食性を発揮するための金属材料製セパレータについて、不動態皮膜を形成し易いステンレス鋼,チタンまたはチタン合金の成分および表面粗さの観点から鋭意研究を行なった。その結果、ガス拡散層との間の接触抵抗を低減するためには、触針式粗さ計などで測定されるピッチの凹凸(例えば、算術平均粗さRa) を制御するのではなく、むしろサブミクロンレベルの微細な凹凸の間隔(局部山頂の平均間隔)を小さくすることにより接触抵抗を大幅に低減できることを見出した。さらに触針式粗さ計で測定した粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜を大きくすることが効果的であることを見出した。
ここで局部山頂とは、JIS規格B0601−1994に定義されているが、図3に示すように、金属材料の平面をそれに垂直な断面で切断したとき、その断面に現れる断面曲線の長波長成分を除去した表面粗さ曲線上の局所的な凹凸の凸部(2つの隣り合う極小点の間にある局部山の最も高い標高点)13を指す。その局部山頂13の平均間隔Sは、JIS規格B0601−1994に定義されているが、互いに隣り合う局部山頂の間隔Si の平均値である( (1)式参照)。
Figure 2005302713
局部山頂13の間隔Si の測定値は、測定手法により異なる。すなわち、JIS規格B0601−1994に定義されたような一般的に用いられる触針式の粗さ計では、触針の先端の半径が2μmなので、ミクロンレベル以上の比較的粗大な間隔の凹凸を測定することになる。たとえば図3に示した断面図では、触針式の粗さ計で測定される局部山頂の間隔はLである。ところが触針式の粗さ計で識別される互いに隣り合う山頂部の間(すなわち間隔Lの間)はよりミクロなスケールで見ると平坦ではなく、微細な凹凸が存在する。その場合、触針式の粗さ計より分解能の高い測定方法を用いれば、局部山頂13の間隔Si の測定値は、触針式の粗さ計の局部山頂の間隔Lの測定値より小さい値となる。
本発明者らの知見によれば、接触抵抗の低減に効果があるのは、触針式の粗さ計で測定される局部山頂14の間隔Lより、はるかに微細な凹凸の間隔であり、局部山頂13の間隔Si の測定には相応の分解能を持った測定法を採用する必要がある。一方、たとえば原子間力顕微鏡などを用いれば原子レベルでの凹凸を測定することも可能であるが、極端に微細な凹凸の間隔は接触抵抗に影響を及ぼさない。そのため、局部山頂13の間隔Si を測定する際には、これを除去する必要がある。
すなわち本発明における局部山頂13の間隔Si は、水平方向(すなわち粗さ曲線の横方向)の分解能が0.1μm以下で、かつ垂直方向(すなわち粗さ曲線の高さ方向)の分解能が0.1μm以下の測定方法を用いて、粗さ曲線の0.01μm未満の波長成分を検出しない方法で測定した値か、あるいはフィルターによって除去して測定した値である。これには、たとえば走査電子顕微鏡の反射電子像を用いた解析方法などを用いることができる。
また、表面粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜△qとは、JIS規格B0660−1998に定義されているが、図6に示すように、触針式粗さ計で測定されて得られた粗さ曲線上の各点における変化率△yi/△xi(傾き、接線の傾斜)の二乗平均平方根である( (2)式参照)。
Figure 2005302713

表面粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜△qは、粗さ曲線の縦方向の高さと、横方向の凹凸の間隔の両方に依存している。すなわち、同じ算術平均粗さRaで横方向の山頂間隔Lが長い場合には△qは小さくなり、山頂間隔Lが短い場合には△qは大きくなる。また、金属材料が圧延、あるいは研磨されている場合には、測定方向によって△qの値は異なり、圧延あるいは研磨方向と直交した方向で測定した場合に最も大きい。
本発明者らの知見によれば、前記のサブミクロンオーダの微細な局所山頂の間隔Sに加え、ミクロンオーダ以上の比較的大きな山頂間隔の凹凸も接触抵抗に一定の影響を及ぼすが、算術平均粗さRaではなくむしろ表面粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜△qが直接的に接触抵抗と関連している。さらに、金属材料が圧延、あるいは研磨されている場合には、測定方向によって△qの値は異なるが、圧延あるいは研磨方向と直交した方向で△qが大きければ、効果が認められた。
なお、△qの測定は、触針式の粗さ計を用いて、JISB0601−1994 に規定される条件で行なえばよい。また、金属材料が圧延、あるいは研磨されている場合には、圧延、あるいは研磨と直交方向に測定する。
まず本発明を想到するにいたった実験結果について説明する。
実験では、C:0.004質量%,N:0.007質量%,Si:0.1質量%,Mn:0.1質量%,Cr:30.5質量%,Mo:1.85質量%,P:0.03質量%,S:0.005質量%を含有し、冷間圧延を施し、さらに大気中で焼鈍( 950℃,2分)したフェライト系ステンレス鋼(厚さ 0.5mm)と、市販のオーステナイト系ステンレス鋼SUS316L (厚さ0.5mm)および工業用純チタン(純度99%,板厚2mm)を素材として用いた。
フェライト系ステンレス鋼は、湿式で エメリー紙による180〜600番研磨およびバフ研磨(鏡面仕上げ)を行なった。また、オーステナイト系ステンレス鋼および工業用純チタンは、湿式で エメリー紙による180〜600番研磨を行なった。さらにこれらの素材を酸性水溶液に浸漬して粗さ調整した後、純水洗浄,冷風乾燥して、接触抵抗の測定および表面粗さの測定に供した。
なお酸性水溶液への浸漬条件は下記のとおりした。
条件A :25質量%の硝酸水溶液(60℃)に1時間浸漬
条件B1:10質量%の硝酸と30質量%の塩酸を含む水溶液(55℃)に60秒浸漬 (フェライト系ステンレス鋼用)
条件B2:10質量%の硝酸と20質量%の塩酸を含む水溶液(55℃)に60秒浸漬 (オーステナイト系ステンレス鋼用)
条件B3:5質量%の硝酸と30質量%の塩酸水溶液(40℃)に10秒浸漬 (工業用純チタン用)
条件B4:7質量%の硝酸と2質量%のフッ酸を含む水溶液(55℃)に60秒浸漬 (フェライト系ステンレス鋼用)
なお、条件Aは不動態化処理として知られている条件であり、表面粗さの調整にほとんど影響を及ぼさないが、比較のために実施した。
また、条件B4は焼鈍後の脱スケールなどを目的として従来から行われている酸洗条件である。
接触抵抗の測定は、図2に示すように2枚の試験片8を、その両側から同じ大きさの3枚のカーボンペーパ9(東レ製TGP-H-120)で交互に挟み、さらに銅板に金めっきを施した電極10を接触させ、137.2N/cm2 (すなわち14kgf/cm2 )の圧力をかけて試験片8間の抵抗を測定した。その測定値に接触面の面積を乗じ、さらに接触面の数(=2)で除した値を接触抵抗値とした。
なお接触抵抗値は、同一処理をした2枚1組の試験片8を交換しながら6回測定した測定値に基づいてそれぞれ算出し、その平均値をフェライト系ステンレス鋼の場合を表1,オーステナイト系ステンレス鋼の場合を表2,純チタンの場合を表3に示す。
参考例として、表面に金めっき(厚さ約0.1μm)を施したステンレス鋼板(厚さ0.3mm,SUS304相当)およびグラファイト板(厚さ5mm)についても、同様の測定を行ない、接触抵抗値を算出した。その結果を表1,表2および表3に併せて示す。
Figure 2005302713
Figure 2005302713
Figure 2005302713
表面粗さの測定は、表面粗さ調整処理を施した後、触針式の粗さ計および走査型電子顕微鏡を用いて行なった。
触針式の粗さ計による計測では、JISB0601−1994に準拠し、先端の半径が2μmの触針を用い、高域フィルタのカットオフ値および基準長さを0.8mm,低域フィルタのカットオフ値を2.5μm,評価長さを4.0mmとして、算術平均粗さRaおよび二乗平均平方根傾斜△qを測定した。測定方向は、研磨方向と直交方向とした。同様の測定を5箇所で行ない、その平均値を算出した。その結果を表1,表2および表3に併せて示す。
走査電子顕微鏡による粗さ測定は、反射電子強度から表面の凹凸形状を計測する機能を有する走査電子顕微鏡(日立:S-4100)を用いて行ない、10000倍の倍率で撮影した反射電子像(凹凸像)から、長さ10μmの粗さ曲線を0.5μm間隔で20本作成して局部山頂の平均間隔S2 を算出した。
2 を算出するための反射電子像の観察は6箇所で行った。このうち3箇所については研磨方向と同じ方向に粗さ曲線を作成し、他の3箇所については研磨方向に直交する方向に粗さ曲線を作成した。これら6箇所でのS2 の平均値を各サンプルの局部山頂の平均間隔Sとした。ここで、表面粗さ曲線を作成する際に、間隔が0.02μm未満の波長成分および10μmより長い波長成分は、それぞれ周波数解析ソフトの低域フィルタおよび高域フィルタを用いて除去した。したがって、局部山頂の間隔Si の下限値は0.02μmとなる。また、局部山頂13と認識する高さ方向の識別値は0.01μmとした。その結果は表1,表2および表3に示すとおりである。
さらに、フェライト系ステンレス鋼板を条件B1および条件B4で処理した後、SEM観察を行なった。その結果は、それぞれ図5(A) ,(B) に示す通りである。
表1,表2および表3から明らかなように、フェライト系ステンレス鋼板,オーステナイト系ステンレス鋼板または工業用純チタン板のいずれの金属材料においても、その表面粗さを示す指標のうち、触針式の粗さ計で測定したRaの平均値は湿式研磨の条件に応じて変化するが、表面粗さ調整処理の条件には依存しない。一方、走査電子顕微鏡で測定した局部山頂13の平均間隔Sは、表面粗さ調整処理の条件に応じて変化するが、湿式研磨の条件には依存しない。また、接触抵抗値は、表面粗さ調整処理の条件に応じて変化するが、湿式研磨の条件にはあまり依存しない。つまり接触抵抗値は、局部山頂13の平均間隔Sとの相関性が強いことが分かった。また、同時に粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜△qが0.05以上であれば、接触抵抗値がさらに低くなることが分かった。
図5(A) ,(B) のSEM像(反射電子凹凸像)から明らかなように、本発明の浸漬条件B1と通常の酸洗条件である浸漬条件B4で処理した場合を比較すると、本発明の浸漬条件B1の場合にのみ、サブミクロンレベルの微細な凹凸が形成されていることがわかった。一方、通常の酸洗処理後の表面には、本発明のようなサブミクロンサイズの微細な凹凸は、認められなかった。このように、本発明のようなサブミクロンレベルの微細な凹凸を持つ金属表面は、従来からの通常の酸洗条件では得られないものである。
さらに表1,表2に示すように、フェライト系ステンレス鋼板,オーステナイト系ステンレス鋼板のいずれの金属材料においても、S値が0.3μm以下であれば、接触抵抗値が著しく低減して20mΩ・cm2 以下となる。接触抵抗値を20mΩ・cm2 以下に低減すれば、燃料電池のセパレータとして悪影響を及ぼさず、支障なく使用できる。
また、同時に△qが0.05以上のとき、接触抵抗値はさらに低く、10mΩ・cm2以下となる。
チタンにおいても、表3に示すように、処理から30日後および100日後には、皮膜の成長により接触抵抗は増加するものの、Sが0.3μm以下であれば、100日後でも工業用純チタンの接触抵抗値は20mΩ・cm2以下となる。接触抵抗値はステンレス鋼板に比べ高いものの、20mΩ・cm2以下であれば、燃料電池のセパレータとして支障なく使用できる。
従来、不働態皮膜を形成する金属材料の接触抵抗を下げることは困難であると考えられていたが、この実験によって、サブミクロンピッチの局部山頂の平均間隔Sを調整すれば接触抵抗を大幅に低減できるという、従来にない知見を得た。
従来から、算術平均粗さRa を所定の範囲に調整して接触抵抗を低減する技術は知られていた(特開2002-270196号公報参照)。しかしながら本発明者らは、上記したように、Ra は必ずしも接触抵抗値を決定する支配因子ではなく、むしろ局部山頂13の平均間隔Sを好適範囲に維持すれば、接触抵抗を大幅に低減できるという新たな知見を得た。本発明は、このような研究結果に基づいてなされたものである。
まず本発明の固体高分子型燃料電池用セパレータの素材となる金属材料が具備すべき特性について説明する。
金属材料の種類:
高い耐久性や電気伝導性が求められる通電部材、特に、固体高分子型燃料電池用セパレータ用の金属材料として、不動態皮膜が、容易に生成される性質を備える金属材料が好ましい。特に、不動態皮膜の厚さが数nmと極めて薄い不動態皮膜を作るステンレス鋼、純チタン、または、チタン合金が極めて高い耐食性が得られるので、好ましい。なお、アルミニウムやアルミニウム合金も不動態皮膜を作るが、皮膜自体の導電性が低く、また燃料電池運転環境での耐食性が十分でないため、燃料電池用セパレータに適用することが、困難である。しかし、表面粗さ調整により接触抵抗が、低減するため、燃料電池用セパレータ以外では、用途によっては使用できる。なお、セパレータをプレス加工で製作する場合は、特に、フェライト系ステンレス鋼あるいはオーステナイト系ステンレス鋼が加工性に優れているので、より好ましい。
局部山頂の平均間隔:0.3μm以下
セパレータ用金属材料の表面粗さは、接触抵抗を低減する上で重要な因子である。セパレータ用金属材料の表面粗さを示す指標は局部山頂の平均間隔Sを採用し、そのS値を 0.3μm以下に維持することによって、接触抵抗値を20mΩ・cm2 以下に低減することができる。接触抵抗値が20mΩ・cm2 以下であれば、固体高分子型燃料電池セパレータとして支障なく使用できる。
前述したように、また図5(A) ,(B) で示したように、本発明のようなサブミクロンレベルの微細な凹凸を持つ金属表面は、従来からある通常の酸洗条件では得られないものである。これは、後述するように、局部的に不働態皮膜が粗さ調整処理によって破壊され、不働態皮膜および下地金属表面が局所的に溶解した後、再び不働態皮膜が再生されることにより、金属表面にサブミクロンレベルの微細な凹凸が生じたものと考えられる。
局部山頂の平均間隔:0.3μm以下にすることによって、接触抵抗値が低下する理由は、明確ではないが、以下のように考えられる。
固体高分子型燃料電池のガス拡散層に用いられるカーボンペーパは直径約6μmの炭素繊維からなっており、セパレータとの真の接触部は見かけの接触面積のごく一部である。この接触部はマクロに見ると点接触といえるが、各接触点におけるカーボンペーパの表面はミクロ的には、平坦ではない。したがって、Sが小さいとミクロな接触部での接触面積が大きくなり、低い接触抵抗を得ることができるのと推定される。また、カーボンペーパ以外の材料の表面も、ミクロ的には平坦でないため、同様の効果が得られるものと思われる。
局部山頂13の平均間隔Sを算出するためには、局部山頂13の間隔Si を測定しなければならない。Si 値の測定には、水平方向(すなわち粗さ曲線の横方向)の分解能が0.1μm以下で、かつ垂直方向(すなわち粗さ曲線の高さ方向)の分解能が0.1μm以下の測定方法を用いて、粗さ曲線の0.02μm未満の波長成分を検出しない方法で測定した値か、あるいはフィルターによって除去して測定した値である。たとえば走査型電子顕微鏡で10000倍以上に拡大して局部山頂13の間隔Si を測定し、その平均値Sを算出する。その際、Si の測定回数や測定場所は特に限定しない。Si 値の測定手段や測定試料の寸法等に応じて適宜設定すれば良い。
局部山頂の平均間隔Sが0.3μm以下になるようにS値を所定の範囲に調整する方法は、酸性水溶液への浸漬あるいは電解等の手法が使用できる。
具体的な処理方法は、従来技術(酸洗)のように、不動態皮膜も含め素材を均一に除去するのでは、なく、サブミクロンレベル以下の間隔で局所的に不動態皮膜を破壊する条件が望ましい。しかし金属内部に深いピッティングを生じる条件は避ける必要がある。そのための好適な溶液の濃度や好適な温度範囲、浸漬時間の範囲を決定する必要があるが、これは、処理される金属材料の組成やその金属材料の表面に形成される不動態皮膜の組成に応じて、それらの好適な範囲は異なる。一例として、短時間の浸漬で局所的に不動態皮膜を破壊できるような最適な溶液の組成、濃度範囲、温度範囲にする方法が好ましい。
例えば、浸漬の場合には、塩酸,フッ酸、およびこれらと硝酸の混合液(混酸)を用いることができるが、通常の酸洗で用いられる混酸に比べて、塩酸,フッ酸の濃度を高くする必要がある。実験例で示したように、30Cr−2Mo鋼の場合には、10%硝酸+30%塩酸(55℃,60秒)で良好な結果が得られた。
ただし、本発明の粗さ調整処理は、これに限るものではない。
セパレータ用金属材料の表面粗さの調整は、セパレータに加工した後で行なうのが好ましい。その理由は、表面粗さを調整した後でセパレータに加工(たとえばプレス加工等)すると、表面粗さが変化する恐れがあるからである。ただし、セパレータ用金属材料のガス拡散層と接する側の表面粗さに影響を及ぼさない加工法(すなわち予め調整したS値を維持できる加工法)が採用できる場合には、セパレータに加工する前に、セパレータ用金属材料の表面粗さを調整しても良い。
表面粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜△q:0.05以上
さらに低い接触抵抗値を得るためには、前記の局部山頂の平均間隔Sの最適化に加えて、表面粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜△qを0.05以上とすることが好ましい。△qは表面粗さ曲線の傾きを表すパラメータである。前述したとおり、セパレータとカーボンクロスの接触部は見かけの接触面積のごく一部であり、この接触部はマクロに見ると点接触といえる。このとき、△qが小さすぎると点接触する数が少なくなり、さらに低い接触抵抗を得ることができないものと推定される。なお、△qは、少なくとも一方向において、0.05以上になっていれば良い。また、カーボンペーパ以外の材料に対しても、接触点増加の効果により同様の効果が得られる。
表面粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜△qの測定は、前述のように、触針式の粗さ計で、JISB0601−1994に準拠し、先端の半径が2μmの触針を用い、高域フィルタのカットオフ値および基準長さを0.8mm,低域フィルタのカットオフ値を2.5μm,評価長さを4.0mmとして、算術平均粗さRa および二乗平均平方根傾斜△qを測定する。また、金属材料が圧延あるいは研磨されている場合は、少なくとも一方向において0.05以上になっていれば良いので、△qが大きい圧延あるいは研磨方向と直交する方向に測定する。
このようにして作製したステンレス鋼製セパレータを用いて固体高分子型燃料電池を製造すると、接触抵抗が低く、発電効率に優れ、かつ耐久性が高い固体高分子型燃料電池が製造できる。
次に、本発明に係るセパレータ用フェライト系ステンレス鋼の成分の限定理由を説明する。
C:0.03質量%以下,N:0.03質量%以下,C+N:0.03質量%以下 CおよびNは、いずれもセパレータ用フェライト系ステンレス鋼中のCrと反応して化合物を形成し、粒界にCr炭窒化物として析出するので、耐食性の低下をもたらす。したがってC,Nの含有量は小さいほど好ましく、Cが0.03質量%以下,N:0.03質量%以下であれば、耐食性を著しく低下させることはない。またC含有量とN含有量の合計が0.03質量%を超えると、セパレータ用フェライト系ステンレス鋼の延性が低下し、セパレータへ加工する際に割れが発生しやすくなる。したがってCは0.03質量%以下,Nは0.03質量%以下,かつC+Nは0.03質量%以下とする。なお、好ましくはC:0.015質量%以下,N:0.015質量%以下,C+N:0.02質量%以下である。
Cr:16〜45質量%
Crは、フェライト系ステンレス鋼板としての基本的な耐食性を確保するために必要な元素であり、Cr含有量が16質量%未満では、セパレータとして長時間の使用に耐えられない。一方、Cr含有量が45質量%を超えると、σ相の析出によって靭性が低下する。したがってCr含有量は、16〜45質量%の範囲内を満足する必要がある。なお、好ましくは18〜35質量%である。
Mo:0.1〜5.0 質量%
Moは、セパレータ用フェライト系ステンレス鋼の隙間腐食等の局部腐食を抑制するのに有効な元素である。この効果を得るためには、0.1質量%以上含有させる必要がある。一方、5.0 質量%を超えると、セパレータ用フェライト系ステンレス鋼が著しく脆化して生産性が低下する。したがってMoは、0.1〜5.0 質量%の範囲内を満足する必要がある。なお、好ましくは0.5〜3.0 質量%である。
本発明のセパレータ用フェライト系ステンレス鋼では、C,N,Cr,Mo,CとNの合計含有量の限定に加えて、必要に応じて下記の元素を添加しても良い。
Si:1.0質量%以下
Siは、脱酸のために有効な元素であり、セパレータ用フェライト系ステンレス鋼の溶製段階で添加される。このような効果を得るためには、0.01質量%以上が好ましい。しかし過剰に含有させるとセパレータ用フェライト系ステンレス鋼が硬質化し、延性が低下する。したがってSiを添加する場合は、1.0質量%以下が好ましい。ただし、0.01〜0.6質量%が一層好ましい。
Mn:1.0質量%以下
Mnは、不可避的に混入したSと結合し、セパレータ用フェライト系ステンレス鋼に固溶したSを低減する効果を有するので、Sの粒界偏析を抑制し、熱間圧延時の割れを防止するのに有効な元素である。このような効果は、含有量が0.001質量%以上、1.0質量%以下で発揮される。したがってMnを添加する場合は、1.0質量%以下が好ましい。ただし、0.001〜0.8質量%が一層好ましい。
Cu:3.0質量%以下
Cuは、セパレータ用フェライト系ステンレス鋼の耐食性改善に効果のある元素で、必要に応じて適宜添加する。ただし、3.0質量%を超えて添加すると、熱間加工性が低下し、生産性の低下を招く。したがってCuを添加する場合は、3.0質量%以下が好ましい。ただし、0.01〜2.5質量%が一層好ましい。
Ti,Nb,VおよびZrのうちの少なくとも1種:0.01〜0.5質量%
Ti,Nb,VおよびZrは、いずれもセパレータ用フェライト系ステンレス鋼中のC,Nと反応して炭窒化物を形成する。Ti,Nb,VおよびZrは、このようにしてC,Nを固定するので、Cr炭窒化物析出に伴う耐食性の低下を防止し、さらにセパレータ用フェライト系ステンレス鋼のプレス成形性を改善するのに有効な元素である。CとNの含有量が合計0.03質量%以下では、Ti,Nb,VまたはZrのいずれかを添加する場合のプレス成形性の改善効果は、それぞれ0.01質量%以上で発揮される。Ti,Nb,VおよびZrをともに添加する場合のプレス成形性の改善効果は、Ti,Nb,VおよびZrの含有量が合計0.01質量%以上で発揮される。一方、Ti,Nb,VおよびZrは、それぞれ0.5質量%,合計で0.5質量%を超えて含有させてもその効果は飽和する。したがってTi,Nb,VおよびZrの少なくとも1種以上を添加する場合は、その合計が0.01〜0.5質量%の範囲内が好ましい。
本発明では、上記した元素の他に、セパレータ用フェライト系ステンレス鋼の熱間加工性向上のためにCa,Mg,希土類元素(いわゆるREM )をそれぞれ 0.1質量%以下,溶鋼段階での脱酸の目的でAlを0.2質量%以下の範囲内で添加しても良い。またセパレータ用フェライト系ステンレス鋼の靭性向上のためにNiを1質量%以下の範囲内で添加しても良い。
その他の元素は、残部Feおよび不可避的不純物である。
次に、本発明のフェライト系ステンレス鋼の好適な製造方法について述べる。
本願発明のフェライト系ステンレス鋼の溶製方法は、公知の溶製方法がすべて適用でき、特に限定する必要はない。例えば、転炉で溶製し、強攪拌・真空酸素脱炭処理(SS-VOD)により2次精錬を行うのが好適である。鋳造方法は、生産性、品質の面から連続鋳造法が好ましい。鋳造により得られたスラブは、例えば、1000〜1250℃に加熱され、熱間圧延により所望の板厚の熱延板とされる。この熱延板は、800〜1150℃の熱延板焼鈍後、酸洗された後、さらに、冷間圧延して所定の製品板厚とし、あるいはさらに800〜1150℃の焼鈍、また、あるいはさらに酸洗処理を施して製品とするのが好ましい。この冷間圧延工程では、生産上の都合により、必要に応じて中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を行ってもよい。
また、用途によっては、冷延焼鈍後に軽度の調質圧延(たとえばスキンパス圧延等)を加える。このようにして得られたステンレス鋼板を、プレス加工等によりガス流路を形成した後、さらに表面粗さ調整処理をし、セパレータとすることが望ましい。また、熱間圧延されたままの熱延板や、熱間圧延後に焼鈍された熱延板を用いて、切削加工でガス流路を形成してセパレータとしても良い。セパレータ用ステンレス鋼の表面粗さの調整は、セパレータに加工した後で行なうのが好ましい。その理由は、表面粗さを調整した後でセパレータに加工(たとえばプレス加工等)すると、表面粗さが変化する恐れがあるからである。ただし、セパレータ用ステンレス鋼のガス拡散層と接する側の表面粗さに影響を及ぼさない加工法(すなわち予め調整したS値を維持できる加工法)が採用できる場合には、セパレータに加工する前に、セパレータ用ステンレス鋼の表面粗さを調整しても良い。
なお、表面粗さの調整処理方法の好適な条件は、まとめて後述する。
次に、本発明に係るセパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼の成分の限定理由を説明する。
C:0.03質量%以下
Cは、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼中のCrと反応して化合物を形成し、粒界にCr炭窒化物として析出するので、耐食性の低下をもたらす。したがってCの含有量は小さいほど好ましく、0.03質量%以下であれば耐食性を著しく低下させることはない。したがってCは0.03質量%以下とする。なお、好ましくは0.015質量%以下である。
Cr:16〜30質量%
Crは、オーステナイト系ステンレス鋼板としての基本的な耐食性を確保するために必要な元素であり、Cr含有量が16質量%未満では、セパレータとして長時間の使用に耐えられない。一方、Cr含有量が30質量%を超えると、オーステナイト組織を得るのが困難である。したがってCrは、16〜30質量%の範囲内を満足する必要がある。なお、好ましくは18〜26質量%である。
Mo:0.1〜10.0質量%
Moは、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼の隙間腐食等の局部腐食を抑制するのに有効な元素である。この効果を得るためには、0.1質量%以上含有させる必要がある。一方、10.0質量%を超えると、セパレータ用ステンレス鋼が著しく脆化して生産性が低下する。したがってMoは、0.1〜10.0質量%の範囲内を満足する必要がある。なお、好ましくは0.5〜7.0質量%である。
Ni:7〜40質量%
Niは、オーステナイト相を安定させる元素である。Ni含有量が7質量%未満では、オーステナイト相の安定化の効果が得られない。一方、Ni含有量が40質量%を超えると、Niを過剰に消費することによってコストの上昇を招く。したがってNiは、7〜40質量%の範囲内を満足する必要がある。
本発明のセパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼では、C,Cr,Mo,Niに加えて、必要に応じて下記の元素を添加しても良い。
N:2.0質量%以下
Nは、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼の局部腐食を抑制する作用を有する元素である。しかしN含有量を2.0質量%を超えて含有させるのは工業的には困難であるのでこれを上限とする。さらに通常の溶製方法では、0.4質量%を超えると、セパレータ用ステンレス鋼の溶製段階でNを添加するために長時間を要するので生産性の低下を招く。したがってコストの面では0.4質量%以下がさらに好ましい。さらに、0.01〜0.3 質量%が一層好ましい。
Cu:3.0質量%以下
Cuは、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼の耐食性を改善する作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.01質量%以上が好ましい。しかしCu含有量が3.0質量%を超えると、熱間加工性が低下し、生産性の低下を招く。したがってCuを添加する場合は、3.0質量%以下が好ましい。ただし、0.01〜2.5質量%が一層好ましい。
Si:1.5質量%以下
Siは、脱酸のために有効な元素であり、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼の溶製段階で添加される。このような効果を得るためには、0.01質量%以上が好ましい。しかし過剰に含有させるとセパレータ用ステンレス鋼が硬質化し、延性が低下する。したがってSiを添加する場合は、1.5質量%以下が好ましい。ただし、0.01〜1.0質量%が一層好ましい。
Mn:2.5質量%以下
Mnは、不可避的に混入したSと結合し、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼に固溶したSを低減する効果を有するので、Sの粒界偏析を抑制し、熱間圧延時の割れを防止するのに有効な元素である。このような効果は、含有量が0.001質量%以上、1.0質量%以下で発揮される。したがってMnを添加する場合は、2.5質量%以下が好ましい。ただし、0.001〜2.0質量%が一層好ましい。
Ti,Nb,VおよびZrのうちの少なくとも1種:0.01〜0.5質量%
Ti,Nb,VおよびZrは、いずれもセパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼中のC,Nと反応して炭窒化物を形成する。Ti,Nb,VおよびZrは、このようにしてC,Nを固定するので、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼の耐粒界腐食性を改善するのに有効な元素である。Cの含有量が0.03質量%以下では、Ti,Nb,VまたはZrのいずれかを添加する場合の耐食性の改善効果は、Ti,Nb,VおよびZrの1種以上がそれぞれ0.01質量%以上,合計で0.01質量%以上で発揮される。Ti,Nb,VおよびZrをともに添加する場合の耐食性の改善効果は、Ti,Nb,VおよびZrの含有量が合計0.01質量%以上で発揮される。一方、Ti,Nb,VおよびZrは、それぞれ0.5質量%,合計で0.5質量%を超えて含有させてもその効果は飽和する。したがってTi,Nb,VおよびZrの1種以上を添加する場合は、その合計が0.01〜0.5 質量%の範囲内が好ましい。
本発明では、上記した元素の他に、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼の熱間加工性を向上するために、Ca,Mg,希土類元素(いわゆるREM )をそれぞれ0.1質量%以下、溶鋼段階での脱酸の目的でAlを0.2質量%以下の範囲内で添加しても良い。
その他の元素は、残部Feおよび不可避的不純物である。
次に、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼の好適な製造方法について述べる。
本願発明のセパレータ用ステンレス鋼の溶製方法は、公知の溶製方法がすべて適用でき、特に限定する必要はない。例えば、転炉で溶製し、強攪拌・真空酸素脱炭処理(SS-VOD)により2次精錬を行うのが好適である。鋳造方法は、生産性、品質の面から連続鋳造法が好ましい。鋳造により得られたスラブは、例えば、1000〜1250℃に加熱され、熱間圧延により所望の板厚の熱延板とされる。この熱延板は、800〜1150℃の熱延板焼鈍後、酸洗された後、さらに、冷間圧延して所定の製品板厚とし、あるいはさらに800〜1150℃の焼鈍、また、あるいはさらに酸洗処理を施して製品とするのが好ましい。この冷間圧延工程では、生産上の都合により、必要に応じて中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を行ってもよい。
また、用途によっては、冷延焼鈍後に軽度の調質圧延(たとえばスキンパス圧延等)を加える。このようにして得られたステンレス鋼板を、プレス加工等によりガス流路を形成した後、さらに表面粗さ調整処理をし、セパレータとすることが望ましい。また、熱間圧延されたままの熱延板や、熱間圧延後に焼鈍された熱延板を用いて切削加工でガス流路を形成してセパレータとしても良い。
セパレータ用ステンレス鋼の表面粗さの調整は、セパレータに加工した後で行なうのが好ましい。その理由は、表面粗さを調整した後でセパレータに加工(たとえばプレス加工等)すると、表面粗さが変化する恐れがあるからである。ただし、セパレータ用ステンレス鋼のガス拡散層と接する側の表面粗さに影響を及ぼさない加工法(すなわち予め調整したS値を維持できる加工法)が採用できる場合には、セパレータに加工する前に、セパレータ用ステンレス鋼の表面粗さを調整しても良い。
なお、表面粗さの調整処理方法の好適な条件は、まとめて後述する。
本発明に係るチタンおよびチタン合金の組織や化学組成は特に限定しないが、耐食性に優れたチタン酸化物が主体の不働態皮膜を得るためには、70質量%以上のチタンを含むことが望ましい。さらに、耐食性向上,成形性向上等を目的に種々の元素を添加しても良い。
本発明に係るチタン(工業用純チタン、以下チタンという)またはチタン合金の具体的な組織と成分の限定理由を説明する。
チタンまたはチタン合金の組織:
本発明に係るチタンおよびチタン合金の組織は特に限定しない。
チタンの組織は882℃以下ではα相(最密六方構造(hcp))、それ以上の温度ではβ相(体心立方構造(bcc))である。塑性変形する場合の滑り系の数が少ないが、加工硬化性が小さく、六方晶金属の中では塑性加工性に富む材料であり、また一般にチタン合金に比べ安価なため、本発明の目的の1つであるセパレータに加工するに好ましい材料である。
一方、チタン合金の組織は、α相を主とするα型、β相を主とするβ型および、α相とβ相の二相からなる(α+β)型の3種類に分類される。これらチタン合金の組織は、純チタンに添加される合金元素の種類とその添加量,加工方法と熱処理によって決まり、α相とβ相で性質が異なるため、合金の種類によって特性が大きく異なる。(α+β)型合金は超塑性を示すことから超塑性成形により、またβ型合金は冷間塑性加工性に優れているのでプレス加工等の冷間加工により、本発明の目的の1つであるセパレータに加工することができ、好ましい。
以下、チタンの化学組成について規定する。
チタン:
工業用純チタンであり、チタン以外の元素は不純物である。不純物として、Fe,O,C,NおよびHがあり、これらの元素の中で特にOとFeは強度を高めるためにチタンに添加される場合がある。その量が高いほど強度が上昇するが、その合計量が1%を超えると効果は飽和する。したがって、OとFeの合計は1%以下で、残部Tiであることが好ましい。
次に、チタン合金の化学組成について規定する。
Ti:70質量%以上
耐食性に優れたチタン酸化物が主体の不働態皮膜を得るためには、70質量%以上のチタンを含むことが望ましい。
Al:0.5〜9質量%
Alは、チタン合金中にα相安定化元素として添加され、耐食性を損なうことなく、強度上昇に寄与する。その効果を得るためには、0.50質量%以上が好ましい。また、Alが9質量%を超えると脆化相が析出し、熱間変形抵抗が増大するとともに、割れ感受性が著しく増大し、製造性が悪くなる。Alの範囲は、好ましくは0.5〜7質量%である。
さらに、本発明のチタン合金は、上記の元素に加えて、必要に応じて下記の元素を添加しても良い。
Fe, Ni, Co およびCrの一種以上を0.2〜3質量%:
Fe, Ni, Co およびCrは共析型β相安定化元素であり、主にβ相に固溶し強度を上昇させる。また、β変態点を低下させることにより、超塑性発現温度を低下させることができる。さらに、これらの元素はチタン中での拡散速度が大きく、また熱間加工性の良いβ相の体積率が増大させることにより、熱間加工時、特に超塑性成形時の変形抵抗を下げる、割れ等の欠陥の発生を抑えられる効果がある。それらの効果を得るためには、Fe, Ni, Co およびCrは、0.2質量%以上が好ましい。一方、Fe, Ni, Co およびCrの含有量が3質量%を超えると、これらの元素とTiとの間に脆化相である金属間化合物が形成され、さらに、溶解、凝固時にβフレックと呼ばれる偏析相が形成され、その結果、合金の機械的性質、特に延性が劣化する。したがって、Fe, Ni, Co およびCrの一種以上を0.2〜3質量%が好ましい。
Mo,V:各1〜25質量%
Mo,Vは、全率固溶型β相安定化元素であり、主にβ相に固溶し強度を上昇させる。その効果を得るためには、1質量%以上が好ましいが、その合計が25質量%を超えると、その効果が飽和する。また、Mo,Vは重い元素であり、かつ高価な元素であることから25質量%を超えて添加するのは好ましくない。さらに、Moはチタン中での拡散速度が小さいために、熱間加工時、特に超塑性成形時の変形応力が増大する。したがって、Mo,Vの含有量は、その合計で1〜25質量%が好ましい。
O:0.05〜0.5質量%
Oは、α相に固溶して強度を上昇させる。その効果を得るためには、0.05質量%以上が好ましい。一方、O含有量が0.5質量%を超えると、冷間加工性や延性を劣化させる。したがって、Oは、0.05〜0.5質量%が好ましい。
Zr,Snの一種以上を合計0.2〜6質量%
Zr,Snは、チタン合金中に中性元素として添加され、延性を低下させることなく強度を上昇させ、耐食性を損なうこともない。また、耐食磨耗性も改善される。その効果を得るためには、その合計が0.2質量%以上が好ましい。一方、Zr,Snの含有量が6質量%を超えると、目的とする効果が得られない。したがって、Zr,Snの合計は0.2〜6質量%が好ましい。
さらに本発明のチタン合金では、上記の元素の限定に加えて、必要に応じて下記の元素を添加しても良い。
Si:0.5質量%以下
Siは、耐食磨耗性向上に有効な元素であり、チタン合金の溶製段階で添加される。しかし過剰に含有させるとTiとの間に金属間化合物を形成し、延性が低下する。したがってSiを添加する場合は、0.5質量%以下が好ましい。ただし、0.05〜0.5質量%が一層好ましい。
Mn,Cuの一種以上を合計で5質量%以下
Mnは、共析型β相安定化元素であり、主にβ相に固溶し強度を上昇させる。また、β変態点を低下させることにより、超塑性発現温度を低下させることができる。それらの効果を得るためには、Mn,Cuの一種以上を合計で0.2質量%以上が好ましい。一方、Mn,Cuの合計の含有量が5質量%を超えると、これらの元素とTiとの間に脆化相である金属間化合物が形成され、さらに、溶解、凝固時にβフレックと呼ばれる偏析相が形成され、その結果、合金の機械的性質、特に延性が劣化する。したがって、Mn,Cuの一種以上を合計で5質量%以下含有するのが好ましい。
また本発明のチタン合金は、上記の組成に加えて、0.5質量%以下のPdあるいはRuを含有しても良い。これらの元素は、チタン合金の耐食性を向上させる。その効果を得るためには、それぞれ0.01質量%が好ましい。しかし、これらの元素は非常に高価であり、過剰な添加はコストの上昇を招くので、上限を0.5質量%とする。
その他の元素は、残部Tiおよび不可避的不純物である。
次に、本発明のチタンまたはチタン合金の好適な製造方法について述べる。
上記の成分組成を有するチタンまたはチタン合金インゴットを分塊鍛造または分塊圧延により鋳造組織を壊し、組織的に均質に近いものとした後、熱間鍛造,熱間圧延,熱間押し出し等の熱間加工により所定の形状に製造される。この際、加工性の観点より、熱間加工や熱間圧延に適した温度領域が存在するので、大断面インゴットまたは粗片から圧延する場合、または肉厚の薄い材料に圧延する(以下、薄物圧延という)場合には、インゴットまたは粗片を1回加熱した後、圧延して製品とする工程では、所望の製品を製造することが、困難であり、そのため、再加熱して圧延する多ヒート圧延をしなければならない。熱間圧延鋼板は、焼きなましと、脱スケールのあと大型の鉄鋼用やステンレス用冷間圧延機やゼンジミア圧延機等で、冷間圧延される。冷間圧延された冷延鋼板は、真空炉または不活性ガス雰囲気炉で、焼きなましし、鋼板全体の機械的性質や結晶粒度を均一化する。特に、α型チタン合金やα+β型チタン合金の冷間圧延は、純チタンよりも圧延が困難な場合が多く、粗片を炭素鋼によって、少なくとも、その上下2面を被覆し熱間圧延(パック圧延)をして薄板化する場合もある。β型合金は、冷間加工性が良好であるが、耳割れ防止,過度の冷間圧延に伴なう内部クラック発生防止のため、冷間圧延の中間焼きなまし回数を増やすこともある。
このようにして得られたチタンまたは、チタン合金を、プレス加工,超塑性加工等によりガス流路を形成した後、さらに表面粗さ調整処理をし、セパレータとすることが望ましい。また、熱間圧延されたままの熱延板や、熱間圧延後に焼鈍された熱延板を用いて切削加工でガス流路を形成してセパレータとしても良い。セパレータ用チタンまたは、チタン合金の表面粗さの調整は、セパレータに加工した後で行なうのが好ましい。その理由は、表面粗さを調整した後でセパレータに加工(たとえばプレス加工等)すると、表面粗さが変化する恐れがあるからである。ただし、セパレータ用チタンまたは、チタン合金のガス拡散層と接する側の表面粗さに影響を及ぼさない加工法(すなわち予め調整したS値を維持できる加工法)が採用できる場合には、セパレータに加工する前に、セパレータ用チタンまたは、チタン合金の表面粗さを調整しても良い。
表面粗さ調整処理:
不働態皮膜をサプミクロンレベルで局所的に破壊し、局部山頂の平均間隔Sを0.3μm以下にするためには、酸性水溶液への浸漬および電解等の手法を用いることができる。
ステンレス鋼の製造工程では、いわゆる酸洗工程として、各種の酸あるいは混酸への浸漬あるいは電解により、脱スケールが行われることが多い。また、耐食性の向上を目的として、酸洗を含む種々の不動態化処理が知られている。しかしながら、耐食性の向上とともに,接触抵抗の低減のために不働態皮膜を局所的に破壊し、局部山頂の平均間隔Sを0.3μm以下にするため、酸溶液への浸漬により調整するためには、通常の酸洗で用いられる溶液とは全く異なる組成の酸溶液を用いる必要がある。
具体的な処理方法は、従来技術のように、不動態被膜を均一に除去するのでは、なく、サブミクロンレベルで局所的に不動態被膜を破壊する条件が望ましい。そのための好適な溶液の濃度や好適な温度範囲、浸漬時間の範囲を決定する必要があるが、これは、処理される金属材料の組成やその金属材料の表面に形成される不動態被膜の組成に応じて、それらの好適な範囲は異なる。一例として、短時間の浸漬で局所的に不動態被膜を破壊できるような最適な溶液の組成、濃度範囲、温度範囲にする方法が好ましい。
本発明者の検討結果によれば、例えば,本発明の実験で示したように、本発明の組成範囲のフェライト系ステンレス鋼やオーステナイト系ステンレス鋼のような高Crステンレス鋼を、硝酸+塩酸水溶液で処理する場合には、硝酸の濃度に対して塩酸の濃度を2倍以上にした酸溶液で,良好な結果が得られた。
また、硝酸+フッ酸水溶液の場合には、硝酸の濃度に対してフッ酸の濃度を1.5倍以上にした酸溶液で,良好な結果が得られた。これらの硝酸+塩酸水溶液および硝酸+フッ酸水溶液の場合の好適な酸溶液の温度は、45℃以上で、酸溶液の温度が高いほど、処理時間を短くできる。ただし,本発明の処理に使用される処理液は、これらに限るものではなく、素材ステンレス鋼の組成、表面仕上げ等に応じて、浸漬により処理する場合には種々の酸の種類や組成の選択,酸溶液の温度や処理時間などの選択が可能である。電解により処理する場合には種々の電解液の組成や電解条件(電圧,電流,電解液の温度や処理時間などの選択が可能である。
このような表面粗さの調整は、ステンレス鋼板をセパレータに加工する前に行なっても良いし、あるいはセパレータに加工した後で行なっても良い。ただし、局部山頂の平均間隔を0.3μm以下の所定の範囲に安定して維持するためには、加工により表面粗さが変化する恐れがあるので、セパレータに加工した後で粗さ調整処理を行なうのが好ましい。
また、純チタンやチタン合金にたいしては、硝酸+塩酸、あるいは硝酸+フッ酸に浸漬して処理を行う場合には、硝酸の濃度に対して塩酸、あるいはフッ酸の濃度を3倍以上にした酸溶液で、良好な結果が得られた。これらの硝酸+塩酸水溶液および硝酸+フッ酸水溶液の場合の好適な酸溶液の温度は、酸溶液の温度が60℃を超えると、急激に反応が起こるため、60℃以下が好ましい。さらにチタンやチタン合金においても、電解法により粗さ調整を行なうこともできる。
しかし、本発明の表面粗さ調整処理は、上記の例に限るものではない。
なお、二乗平均平方根傾斜△qを0.05以上とするためには、エメリー紙による研磨や、ショットブラストなどを用いることができる。また、圧延や、圧延後の焼鈍・酸洗などによってもよい。高光沢を得るような、鏡面研磨を行った場合には、前記の方法で△qを調整するのがより望ましい。
このようにして作製したステンレス鋼製やチタン製または、チタン合金製のセパレータを用いて固体高分子型燃料電池を製造すると、接触抵抗が小さく、発電効率に優れ、かつ耐久性に優れた固体高分子型燃料電池を製造できる。
[実施例1]
転炉および2次精錬(SS−VOD法)によって表4に示す成分のフェライト系ステンレス鋼を溶製し、さらに連続鋳造法によって厚さ200mm のスラブとした。このスラブを1250℃に加熱した後、熱間圧延によって厚さ4mmの熱延ステンレス鋼板として焼鈍(850〜1100℃)および酸洗処理を施し、さらに冷間圧延と焼鈍(800〜1050℃)および酸洗を繰り返し、厚さ0.2mm とした後、光輝焼鈍BA(800〜1000℃)を行ない、いわゆるBA仕上げの冷延焼鈍板とした。
Figure 2005302713
得られた冷延ステンレス鋼板の板幅中央部かつ長手方向中央部から200mm×200mmの試験片を4枚ずつ切り出した。試験片を、それぞれプレス加工によって、所定の形状を有するセパレータとした。次いで、一部のセパレータに対して、酸性水溶液への浸漬を行なって表面粗さを調整した。表面粗さの調整は、硝酸を0〜10質量%と塩酸または弗酸を3〜30質量%含有する酸性水溶液を使用し、55℃で 120秒間浸漬した。
セパレータ表面の局部山頂の平均間隔Sが0.3μm以下となる条件は、セパレータの素材となるフェライト系ステンレス鋼材の成分によって変化する。そのため、予め各成分のフェライト系ステンレス鋼材を用いて実験を行ない、酸性水溶液の最適濃度を決定しておき、その濃度に応じて硝酸と塩酸と弗酸を混合した酸性水溶液にセパレータを浸漬(55℃, 120秒)した。
次いで、セパレータの表面粗さの指標として局部山頂の平均間隔Sを求めた。その際、走査型電子顕微鏡を使用して、反射電子法で10000倍に拡大した反射電子像から長さ10μmの粗さ曲線を0.5μm間隔で20本作成して局部山頂の間隔Si を測定し、得られたSi の平均値を局部山頂の平均間隔S2 とした。S2 を算出するための反射電子像の観察は、図4に示すように9ケ所で行ない、粗さ曲線の作成は、3ケ所については溝(流路)と平行方向,3ケ所については直向方向,3ケ所については45°方向に行ない、その9個のS2 値の平均値を各セパレータの局部山頂13の平均間隔Sとした。ただし粗さ曲線を作成する際に、間隔が0.02μm未満の波長成分はフィルターを用いて除去した。したがって局部山頂の平均間隔Sの下限値は0.02μmとなる。その結果は表5に示す通りである。なお表5中の、表面粗さ調整処理を行なったセパレータのS値は、酸性水溶液に浸漬した後の数値である。
Figure 2005302713
また、表面粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜△qは、触針式の粗さ計を用いて行なった。触針式の粗さ計測では、JISB0601に準拠し、先端の半径が2μmの触針を用い、高域フィルタのカットオフ値および基準長さ0.8mm,低域フィルタのカットオフ値を2.5μm,評価長さを4.0mmとして、算術平均粗さRaおよび二乗平均平方根傾斜△qを測定した。測定方向は、セパレータのガス流路と平行方向とした。同様の測定を5箇所で行ない、その平均値を算出した。
このようにして表面粗さ調整処理を行なったセパレータ(すなわち局部山頂の平均間隔Sを調整したセパレータ)と、表面粗さ調整処理を行なわなかったセパレータとを用いて、発電特性を調査した。
発電特性を評価するため、高分子膜としてナフィオン(デュポン社製)を使用し、ガス拡散層2,3も一体化された有効面積50cm2 の膜−電極接合体1(エレクトロケム社製 FC50-MEA )を用いて、図1に示す形状の単セルを作成した。単セルの空気流路6と水素流路7は、いずれも高さ1mm,幅2mmの矩形とし、全体で17列配置した。カソード側には空気を流し、アノード側には超高純度水素(純度 99.9999体積%)を80±1℃に保持したバブラにより加湿した後供給して、電流密度0.4A/cm2 で10時間稼動させた後の出力電圧を測定した。
また同様の条件で1000時間にわたって連続して稼動させた後、出力電圧を測定した。この単セルの発電実験の期間中は、単セル本体の温度は80±1℃に保持した。また膜−電極接合体1,カーボンペーパ9等は試験片を替えるたびに新品に取り替えた。
参考例として、ステンレス鋼板(SUS304相当)を上記の鋼番号1〜10と同様の形状に加工した後、表面に金めっき(厚さ約0.1μm)を施したセパレータ、および厚さ4mmのグラファイト板の片面に幅2mm,高さ1mmの溝を切削加工によって2mm間隔で17列配置したセパレータを使用した単セルを用いて、電流密度0.4A/cm2 の出力電圧を測定した。出力電圧の測定方法は、上記の鋼番号1〜10と同じである。その結果を表5に併せて示す。
表5から明らかなように、本発明の成分範囲を満足する冷延ステンレス鋼板(すなわち鋼番号3〜6,9,10)に表面粗さ調整処理を施して、S値を0.3μm以下に調整したセパレータを用いた単セルは、10時間経過後(初期)の出力電圧および1000時間経過後の出力電圧ともに、金めっきを施したステンレス鋼のセパレータやグラファイト板のセパレータを用いた単セルと同等の出力電圧が得られた。ところが鋼番号3〜6,9,10の冷延ステンレス鋼板であっても、表面粗さ調整処理を行なわなかったセパレータを用いた単セルは、10時間経過後の発電特性が十分ではなかった。
一方、成分が本発明の範囲を外れる冷延ステンレス鋼板(すなわち鋼番号1,2,7,8)に表面粗さ調整処理を施してS値を0.3μm以下に調整したセパレータを用いた単セルは、10時間経過後(初期)の出力電圧が金めっきを施したステンレス鋼のセパレータやグラファイト板のセパレータを用いた単セルと同等であったが、1000時間経過後の発電特性は十分ではなかった。また、鋼番号1,2,7,8の冷延ステンレス鋼板であって表面粗さ調整処理を行なわなかったセパレータを用いた単セルは、10時間経過後の発電特性が十分ではなかった。
また、本発明の成分範囲を満足するステンレス鋼(すなわち鋼番号3〜6、9)であっても、表面粗さを調整しなかった場合には、接触抵抗が高いため初期発電特性が十分でない。
[実施例2]
実施例1で用いた鋼番号5の熱延板(4mmt)から200mm×200mmの試験片を8枚切り出した。試験片を、それぞれ切削加工によって、片面に幅2mm,高さ1mmの溝を2mm間隔で17列配置した形状を有するセパレータとした。次いで、セパレータ表面(カーボンペーパと接する面)を鏡面研磨した後、一部のセパレータに対して、酸性水溶液への浸漬を行って表面粗さを調整した。表面粗さの調整は、硝酸と塩酸またはフッ酸を含有する酸性水溶液を使用し、以下の条件で浸漬した。
酸処理A:硝酸10%+塩酸30%,55℃,300秒
酸処理B:硝酸10%+塩酸30%,55℃,30秒
酸処理C:硝酸8%+フッ酸3%,55℃,300秒
次いで、実施例と1と同様の条件で表面粗さ(S,Ra ,△q)を求めた。
さらに、実施例1と同様の条件で、単セルにより発電試験を実施した。その結果を表6に示す。
Figure 2005302713
表6から明らかなように、酸処理Aと酸処理BのSを0.3μm以下としたセパレータを用いた単セルは、10時間経過後の出力電圧および1000時間経過後の出力電圧ともに良好である。また、△qが0.05以上と大きい、酸処理Aを施したセパレータが酸処理Bより高い発電性能を示した。
一方、酸処理なしや酸処理CによりSが0.03を越えるセパレータを用いた単セルでは、初期の出力電圧が不十分であった。
[実施例3]
転炉および2次精錬(SS−VOD法)によって表7に示す成分のオーステナイト系ステンレス鋼を溶製し、さらに連続鋳造法によって厚さ200mm のスラブとした。このスラブを1250℃に加熱した後、熱間圧延によって厚さ4mmの熱延ステンレス鋼板として焼鈍(850〜1100℃)および酸洗処理を施し、さらに冷間圧延と焼鈍(800〜1050℃)および酸洗を繰り返し、厚さ0.2mm とした後、光輝焼鈍(800〜1000℃)を行ない、いわゆるBA仕上げの冷延焼鈍板(厚さ0.2mm )とした。
Figure 2005302713
得られた冷延ステンレス鋼板の板幅中央部かつ長手方向中央部から200mm×200mmの試験片を4枚ずつ切り出した。試験片を、それぞれプレス加工によって、所定の形状を有するセパレータとした。次いで、一部のセパレータに対して、酸性水溶液への浸漬を行なって表面粗さを調整した。表面粗さの調整は、硝酸を0〜10質量%と塩酸または弗酸を3〜30質量%含有する酸性水溶液を使用し、55℃で 120秒間浸漬した。
セパレータ表面の局部山頂の平均間隔Sが0.3μm以下となる条件は、セパレータの素材となるオーステナイト系ステンレス鋼材の成分によって変化する。そのため、予め各成分のオーステナイト系ステンレス鋼材を用いて実験を行ない、酸性水溶液の最適濃度を決定しておき、その濃度に応じて硝酸と塩酸と弗酸を混合した酸性水溶液にセパレータを浸漬(55℃,120秒)した。
次いで、セパレータの表面粗さの指標として局部山頂の平均間隔Sと粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜△qと算術平均粗さRa を実施例1と同様の方法で求めた。その結果を表8に示す。
Figure 2005302713
このようにして表面粗さ調整処理を行なったセパレータ(すなわち局部山頂の平均間隔Sを調整したセパレータ)と、表面粗さ調整処理を行なわなかったセパレータとを用いて、実施例1と同様の方法で発電特性を調査した。
参考例として、ステンレス鋼板(SUS304相当)を上記の鋼番号1〜9と同様の形状に加工した後、表面に金めっき(厚さ約0.1μm)を施したセパレータ、および厚さ4mmのグラファイト板の片面に幅2mm,高さ1mmの溝を切削加工によって2mm間隔で17列配置したセパレータを使用した単セルを用いて、電流密度0.4A/cm2 の出力電圧を測定した。出力電圧の測定方法は、上記の鋼番号1〜9と同じである。その結果を表8に併せて示す。
表8から明らかなように、本発明の成分範囲を満足する冷延ステンレス鋼板(すなわち鋼番号A2〜A6)に表面粗さ調整処理を施して、S値を0.3μm以下に調整したセパレータを用いた単セルは、10時間経過後(初期)の出力電圧および1000時間経過後の出力電圧ともに、金めっきを施したステンレス鋼のセパレータやグラファイト板のセパレータを用いた単セルと同等の出力電圧が得られた。ところが鋼番号A2〜A6の冷延ステンレス鋼板であっても、表面粗さ調整処理を行なわなかったセパレータを用いた単セルは、S値が0.3μmを超えるので、10時間経過後の発電特性が十分ではなかった。
一方、成分が本発明の範囲を外れる冷延ステンレス鋼板(すなわち鋼番号1,7〜9)に表面粗さ調整処理を施してS値を0.3μm以下に調整したセパレータを用いた単セルは、10時間経過後の出力電圧が金めっきを施したステンレス鋼のセパレータやグラファイト板のセパレータを用いた単セルと同等であったが、1000時間経過後の発電特性は十分ではなかった。また、鋼番号1,7〜9の冷延ステンレス鋼板であって表面粗さ調整処理を行なわなかったセパレータを用いた単セルは、S値が0.3μmを超えるので、10時間経過後(初期)の発電特性が十分ではなかった。
[実施例4]
素材として、純度99%の工業用純チタン(素材A),0.15質量%のPdを含有し、残部がチタンと不可避的不純物からなるチタン合金(素材B)を用いた。素材A,素材B(板厚1mm,幅250mm,長さ400mm)を圧延と焼鈍を繰返し、板厚0.2mmの冷延焼鈍板とした。
得られた冷延焼鈍板を#600研磨した後、板幅中央部かつ、長手方向中央部から200mm×200mmのサンプルを各4枚切り出した。各素材について、4枚のサンプルをプレス加工により所定の形状を有するセパレータとした。その後、各素材について一部のセパレータに対して表面粗さ調整処理処理を行った。ここで、表面粗さ調整処理を行う際には、5質量%の硝酸と30質量%の塩酸の混合水溶液(40℃,10秒)を用いた。
また処理前後の表面粗さを実施例1と同様にSEM/反射電子法により測定し、局部山頂の平均間隔S,算術平均粗さRa ,二乗平均平方根傾斜△qを算出した。
こうして表面粗さ調整処理を行ったセパレータと処理を行なわなかったセパレータを用いて、発電特性を評価した。
参考例としてSUS304を上記と同一形状に加工したのち、表面に厚さ約0.1μmの金めっきを施したステンレス製セパレータ、および板厚3mmで片面に幅2mm,高さ0.5mmの溝を2mm間隔で17列切削加工したカーボン製セパレータを用いて、上記と同様の条件で単セルの発電特性を評価した。
発電特性の試験結果を表9に示す。
Figure 2005302713
表9に示すように、本発明の成分範囲を満足するチタンAおよびチタン合金Bを硝塩酸水溶液を用いて表面粗さを調整し、局部山頂の平均間隔を0.3μm以下としたセパレータの場合には、10時間後(初期)および1000時間後において、カーボンセパレータおよび金めっきステンレスセパレータと同等の出力電圧を確保できた。
一方、処理を行わなかったチタンAおよびチタン合金Bの局部山頂の平均間隔Sは本発明の範囲を外れており、十分な初期特性、1000時間後の発電特性が得られない。
固体高分子型燃料電池の単セルの例を模式的に示す斜視図である。 接触抵抗の測定方法を模式的に示す断面図である。 ステンレス鋼材の断面形状を模式的に示す断面図である。 局部山頂の平均間隔を求めた位置を模式的に示す斜視図である。 本発明の粗さ調整処理後と通常の酸洗処理後のSEM写真である。 表面粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜△qを模式的に説明する図である。
符号の説明
1 膜−電極接合体
2 ガス拡散層
3 ガス拡散層
4 セパレータ
5 セパレータ
6 空気流路
7 水素流路
8 試験片
9 カーボンペーパ
10 電極
11 X線照射位置
12 ステンレス鋼材
13 局部山頂
14 山頂部間隔L

Claims (19)

  1. 不動態皮膜が生成される性質を備える金属材料の表面の粗さ曲線における局部山頂の平均間隔が0.3μm以下であることを特徴とする通電部材用金属材料。
  2. 前記金属材料の表面の粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜が0.05以上であることを特徴とする請求項1に記載の通電部材用金属材料。
  3. 前記金属材料が、Crを16〜45質量%、Cを0.03質量%以下、Nを0.03質量%以下、C+Nを0.03質量%以下、Moを0.1〜5.0質量%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するフェライト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1または2に記載の通電部材用金属材料。
  4. 前記フェライト系ステンレス鋼が、前記組成に加えて下記の(1)〜(4)の群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項3に記載の通電部材用金属材料。
    (1) Si:1.0質量%以下
    (2) Mn:1.0質量%以下
    (3) Cu:3.0質量%以下
    (4) Ti、Nb、VおよびZrのうちの少なくとも1種以上を合計で0.01〜0.5質量%
  5. 前記金属材料が、C:0.03質量%以下、Cr:16〜30質量%、Mo:0.1〜10.0質量%、Ni:7〜40質量%を含有し残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1または2に記載の通電部材用金属材料。
  6. 前記オーステナイト系ステンレス鋼が、前記組成に加えて下記の(1)〜(5)の群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項5に記載の通電部材用金属材料。
    (1) N:2.0質量%以下
    (2) Cu:3.0質量%以下
    (3) Si:1.5質量%以下
    (4) Mn:2.5質量%以下
    (5) Ti、Nb、VおよびZrのうちの少なくとも1種以上を合計で0.01〜0.5質量%
  7. 前記金属材料が、Ti:70質量%以上を含有するチタンまたは、チタン合金であることを特徴とする請求項1または2に記載の通電部材用金属材料。
  8. 請求項1〜7に記載の通電部材用金属材料を用いることを特徴とする固体高分子形燃料電池用セパレータ。
  9. 固体高分子膜、電極、ガス拡散層およびセパレータからなる固体高分子形燃料電池であって、請求項8に記載のセパレータを用いることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
  10. C:0.03質量%以下、N:0.03質量%以下、Cr:16〜45質量%、Mo:0.1〜5.0質量%を含有し、かつC含有量とN含有量の合計が0.03質量%以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するステンレス鋼材であって、前記ステンレス鋼材の表面に存在する局部山頂の平均間隔が0.3μm以下であることを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材。
  11. 前記ステンレス鋼材が、前記組成に加えて下記の(1)〜(4)の群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項9に記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材。
    (1) Si:1.0質量%以下
    (2) Mn:1.0質量%以下
    (3) Cu:3.0質量%以下
    (4) Ti、Nb、VおよびZrのうちの少なくとも1種以上を合計で0.01〜0.5質量%
  12. ステンレス鋼材からなる固体高分子型燃料電池セパレータであって、前記ステンレス鋼材がC:0.03質量%以下、N:0.03質量%以下、Cr:16〜45質量%、Mo:0.1〜5.0質量%を含有し、かつC含有量とN含有量の合計が0.03質量%以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ前記ステンレス鋼材の表面に存在する局部山頂の平均間隔が0.3μm以下であることを特徴とする固体高分子型燃料電池用セパレータ。
  13. 前記ステンレス鋼材が、前記組成に加えて下記の(1)〜(4)の群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項12に記載の固体高分子型燃料電池用セパレータ。
    (1) Si:1.0質量%以下
    (2) Mn:1.0質量%以下
    (3) Cu:3.0質量%以下
    (4) Ti、Nb、VおよびZrのうちの少なくとも1種以上を合計で0.01〜0.5質量%
  14. 固体高分子膜、電極およびセパレータからなる固体高分子型燃料電池であって、前記セパレータとして請求項12または13に記載の固体高分子型燃料電池用セパレータを用いることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  15. C:0.03質量%以下、Cr:16〜30質量%、Mo:0.1〜10.0質量%、Ni:7〜40質量%を含有し残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するステンレス鋼材であって、前記ステンレス鋼材の表面に存在する局部山頂の平均間隔が0.3μm以下であることを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材。
  16. 前記ステンレス鋼材が、前記組成に加えて下記の(1)〜(5)の群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項15に記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材。
    (1) N:2.0質量%以下
    (2) Cu:3.0質量%以下
    (3) Si:1.5質量%以下
    (4) Mn:2.5質量%以下
    (5) Ti、Nb、VおよびZrのうちの少なくとも1種以上を合計で0.01〜0.5質量%
  17. ステンレス鋼材からなる固体高分子型燃料電池セパレータであって、前記ステンレス鋼材がC:0.03質量%以下、Cr:16〜30質量%、Mo:0.1〜10.0質量%、Ni:7〜40質量%を含有し残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ前記ステンレス鋼材の表面に存在する局部山頂の平均間隔が0.3μm以下であることを特徴とする固体高分子型燃料電池用セパレータ。
  18. 前記ステンレス鋼材が、前記組成に加えて下記の(1)〜(5)の群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項17に記載の固体高分子型燃料電池セパレータ。
    (1) N:2.0質量%以下
    (2) Cu:3.0質量%以下
    (3) Si:1.5質量%以下
    (4) Mn:2.5質量%以下
    (5) Ti、Nb、VおよびZrのうちの少なくとも1種以上を合計で0.01〜0.5質量%
  19. 固体高分子膜、電極およびセパレータからなる固体高分子型燃料電池であって、前記セパレータとして請求項17または18に記載の固体高分子型燃料電池用セパレータを用いることを特徴とする固体高分子型燃料電池。

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