JP2008186601A - 固体高分子型形燃料電池のセパレータとそれに用いるステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

固体高分子型形燃料電池のセパレータとそれに用いるステンレス鋼の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ステンレス鋼製セパレータの長所を活用すると共に、その耐酸性を従来材よりも格段に向上させたステンレス鋼を開発することを課題とし、これを解決することにより固体高分子型燃料電池の耐久性向上に寄与すると共に、その性能向上に寄与する。
【解決手段】ニッケルを実質的に含有させず、窒素の高濃度添加によりオーステナイト系ステンレス鋼とすることにより、耐食性の大幅な向上をはかり、しかも塑性加工性を確保すると共に、非金属介在物を低減させる成分組成に規定して清浄鋼とすることにより、腐食の起点を低減したステンレス鋼を創製したことにより、耐酸性に優れた高分子型燃料電池のセパレータとして有利に使用できることを目的とする。
【選択図】 図6

Description

本願発明は、燃料電池における固体高分子電解質膜を挟むセパレータとそれに用いられるステンレス鋼の製造方法強酸に曝される環境下における耐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼であって、通電部品として用いられ、特に固体高分子型燃料電池のセパレータ用基材ステンレス鋼に適した金属材料に関するものである。
燃料電池の中でも固体高分子型燃料電池は、運転温度が60〜100℃の低温で作動するので、起動・停止が容易であり起動時間が短いこと、及び小型軽量で高出力密度が得られること等の特徴をもっている。そこで、例えば、都市ガスを燃料とする家庭用小型分散電源や、水素ガス、メタノールあるいはガソリンを燃料とする低公害電気自動車への搭載用電源として実用化が期待される。
固体高分子型燃料電池は、分子中にプロトン交換基を持つ固体高分子樹脂が、プロトン伝導性電解質として機能することを利用したものであり、他の形式の燃料電池と同様に、固体高分子膜の一側に水素等の燃料ガスを流し、他側に空気等の酸化性ガスを流す構造になっている。
図1及び図2に、固体高分子型燃料電池の構造を示す。図1は、燃料電池の単セル(1)の分解構成図であり、固体高分子電解質膜(2)の一方の面に燃料電極膜(アノード)(3)が配設され、その他方の面には酸化剤電極膜(カソード)(4)が配設される。そして、各電極(3)及び(4)は、その固体高分子電解膜(2)の面側のそれぞれにアノード触媒層(3a)及びカソード触媒層(4a)が担持されている。このように構成された膜電極接合体(MEA)(5)の両側にそれぞれセパレータ(6)及び(7)が配設されている。そして、図2に示すように、この単セル(1)を数十から数百枚積層し、得られたスタックの両側に集電板(8)及び(9)が配設される。1セル当たりの発電量が極く僅かであるので、セパレータ(6)及び(7)で挟まれた固体高分子電解質膜(2)を1単位とし、多数のセルをスタックすることにより、取出し可能な電力量を大きくしている。
固体高分子電解質膜(2)の代表的なものとしては、水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系交換樹脂膜がある。また、アノード触媒層(3a)及びカソード触媒層(4a)のそれぞれとして、粒子状の白金触媒と黒鉛粉、更に必要に応じて水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素樹脂からなる高分散担持された触媒が用いられ、燃料ガス(10)又は酸化性ガス(11)と接触するように構成されている。燃料ガス(10)はセパレータ(6)に設けられた流路(6a)に流されて、水素が燃料電極膜(アノード)(3)に供給される。一方、酸化性ガス(11)はセパレータ(7)に設けられた流路(7a)に流されて、酸素が酸化剤電極膜(カソード)(4)に供給される。燃料ガス(10)としては水素又は水素含有ガスが用いられ、酸化性ガス(11)としては空気のような酸素ガス含有ガスが用いられる。
このように供給されたガスにより、下記電気化学反応が生じて直流電力が発生する。
アノード:H→2H+2e ・・・・・・・・・(1)
カソード:2H+1/2O+2e→HO ・・・・・・・・・(2)
全電池反応:H+1/2O=HO ・・・・・・・・・(3)
これまで主に用いられているセパレータの構成材料としては、カーボン樹脂モールドセパレータ及び膨張黒鉛モールドセパレータ並びに金属セパレータに分けられる。これらのセパレータのそれぞれには長短がある。
セパレータに使用される材料としては、表面が強酸に曝されるので、これに耐え得る材料であることに加えて、良好な導電性を有することが必要であることから、カーボン板が用いられる。しかし、カーボン板にはガスの不浸透処理を施し、板表面にガス流路形成のために溝加工を施す。しかし、そのための高価な切削加工を避けるために、黒鉛粉末を混錬した樹脂を圧縮又は射出成形してガス流路を形成する方法があるが、混錬する樹脂量を多くして成形性をよくすると、電気抵抗が増大し、一方、セパレータの厚さを小さくして電気抵抗を減らすと、機械的強度が低下する。
これに対して、ステンレス鋼をセパレータに使用することにより耐久性が向上する。コスト削減を目的として金属セパレータが注目されている。金属セパレータとしては、チタンやステンレス鋼の金属材料が検討されているが、チタンは材料コストが高い。一方、ステンレス鋼は比較的安価な材料であり、表面に形成される不動態皮膜の存在により、セパレータとしての使用環境で比較的良好な耐食性が発揮される。しかし、カーボン材に比べると耐食性が劣り、一般的に接触抵抗が大きくなるので、接触表面の研究改善が進められている。また、ステンレス鋼は溶出する金属イオンによる高分子電解質膜の性能劣化により、電池の寿命を短くするという問題がある。
ステンレス鋼製セパレータとしての使用が検討されているものとして、例えばSUS316(主要成分組成:Fe−13Ni−17Cr−2Mo)系を基礎組成としたステンレス鋼がある。例えば、特開2002−151111号公報(特許文献1)の実施例の表1(供試材の「鋼種:f」を参照)にはSUS316LにCuが0.72質量%含有された材料がある。しかしながら、本願発明者等がSUS316Lステンレス鋼について、厳しい腐食条件下における試験を行なったところによれば、耐食性が十分であるとは言えないことがわかった。
特開2002−151111
上記現状に鑑み、上述したステンレス鋼製セパレータの長所を活用すると共に、その耐酸性を従来材よりも格段に向上させたステンレス鋼を開発することを課題とし、これを解決することにより固体高分子型燃料電池の耐久性向上に寄与すると共に、その性能向上に寄与することを本願発明の目的とする。
本願発明は、ニッケルを実質的に含有させず、窒素の高濃度添加によりオーステナイト系ステンレス鋼とすることにより、耐食性の大幅な向上をはかり、しかも塑性加工性を確保すると共に、非金属介在物を低減させる成分組成に規定して清浄鋼とすることにより、腐食の起点を低減したステンレス鋼を創製したことにより、耐酸性に優れた高分子型燃料電池のセパレータとして有利に使用できることを知見したことによる。
本願第1発明に係る固体高分子型燃料電池のセパレータは、化学成分組成(単位:質量%)が、
0<C≦0.08
0≦Si≦0.50
0≦Mn≦0.30
P≦0.020
S≦0.002
O≦0.005
19.0≦Cr≦28.0
Ni≦0.01
1.0≦Mo≦3.0 及び
1.00<N≦2.00
であり、
更に、0≦Ca<0.0050及び0.0005≦sol.Al≦0.020の内、少なくとも1種を含有し、
残部がFe及び不可避不純物からなるステンレス鋼を基材とすることを特徴とする
本願第2発明に係る固体高分子型燃料電池のセパレータは、第1発明において、C、Si、Mn、O及びNi含有量が、
0<C≦0.03
0≦Si≦0.30
0≦Mn≦0.10
O≦0.003
Ni≦0.005
を満たしていることに特徴を有するものである。
本願第3発明は、第1又は第2発明のセパレータに使用されるステンレス鋼の製造法にであって、ステンレス鋼の鋼塊を熱間鍛造によりスラブ形状に加工した後、熱間圧延し、得られた熱間圧延ステンレス鋼板に完全焼なまし処理を施し、これを少なくとも酸洗することを特徴とする。
本願発明によれば、Niを実質的に含有させずにN含有量を高濃度として耐酸性を向上させると共に、主要な脱酸剤元素としてAlとCaとの適切な複合脱酸による低酸素化と十分な脱硫処理によるS含有量の低下とにより非金属介在物を低減させた高清浄ステンレス鋼の溶製を行ない、そしてNiフリーにもかかわらずNの高濃度添加によるオーステナイト系ステンレス鋼とすることにより塑性加工性の向上を図ることにより、固体高分子型燃料電池のセパレータの使用環境に耐える耐酸性及び耐食性をそなえたステンレス鋼を提供することが可能となる。その結果、ステンレス鋼セパレータの耐食性が向上すると共に、耐酸性の著しい向上により、金属イオンの溶出による高分子電解質膜の性能劣化が改善され、電池の長寿命化に寄与し、工業上有益な効果がもたらされる。
以下、本願発明を詳細に説明すると共に、本願発明の望ましい実施形態について説明する。
本願発明のステンレス鋼の化学成分組成を有する鋼塊の溶製方法としては、エレクトロスラグリメルティング(以下「ESR」と略称する)法において、溶製雰囲気を1気圧以上に加圧することができる加圧式ESR法を用いることが望ましい。これは、N含有量を高濃度に添加するため、及び清浄なステンレス鋼を調製するためである。そして、本願発明のステンレス鋼を構成すべき化学成分としては、C、Si、Mn、Cr、Mo及びNの他に、Ca及びAlの内少なくとも1種の化学成分の所定含有量が必要である。
但し、Si及びMnは実質的に0質量%であってもよい。また、Ca含有量とsol.Al含有量との関係については、sol.Alの含有量が、0.0005質量%以上であれば、Ca含有量は実質的に0質量%であってもよい。一方、Caの含有量が0質量%を超えていれば、sol.Al含有量は実質的に0質量%であってもよい。ここで、Caの含有量又はsol.Al含有量が実質的に0質量%であるとは、通常の鉄鋼分析において所謂トレースであると認められる場合を指す。これは、鋼塊の溶製方法として、ESR法を採用することにより、溶鋼の十分な脱酸及び溶鋼中の酸化物系非金属介在物のスラグ相への十分な分離が行なわれ、酸化物系非金属介在物について良好な清浄性が実現されるからである。
一方、Niは本願発明では必要な構成元素ではなく、少ないほどよく、鋼に共通の不可避元素であるP、S及びOは、上限値を後述のとおり低含有量に規制する。
以下、本願発明における化学成分組成を、請求項1及び2に係る発明に記載されている通りに限定した理由について述べる。
C:0.08質量%以下(但し、0質量%を含まず)
Cは、鋼の強度向上に寄与すると共に、オーステナイト相生成元素として有効であるが、反面鋼の耐食性及び靱性を損なう元素であるから、他の成分による強度確保及びオーステナイト相確保を前提とし、耐食性及び靱性確保の観点からはできるだけその含有量を低減すべきである。そして、C含有量は実質的に0質量%であっても、本願発明が目標とするステンレス鋼は、以下に述べるその他の化学成分組成を満たすことにより達成され得る。しかしながら、C含有量を実質的に0質量%とするためには、ESRにおける電極調製用原材料のコストが著しく高くなるので、現実的には得策とはいえない。従って、本願発明に係るステンレス鋼においては、C含有量は0質量%を含まないものとした。そして、本願発明における材質特性を高水準に確保するため、及び製鋼プロセスにおけるステンレス鋼の製造性を考慮すると、C含有量は上限値を0.08質量%まで許容すべきである。但し、ステンレス鋼板をセパレータ形状に冷間塑性加工することを考慮すると、Cはできるだけ低い方が望ましいので、上限値を0.03質量%とすることが一層望ましい。
Si(ケイ素):0.50質量%以下(0質量%を含む)
Siは、脱酸剤として作用する元素であるが、その反面Siは脱酸生成物であるSiOを生成させることにより酸化物系非金属介在物の生成・成長が助長されるので、耐食性の低下を招く。またSiは、材料の延性を低下させるので、低値に抑えるべきである。更にSiは、磁性を示すデルタフェライト相の生成を促進するので、これを阻止する点からも低値に抑えるべきである。一方、脱酸能を確保するために、他の脱酸元素として適量のCa及び/又はAlを添加し、ESRプロセスにおける酸化物系非金属介在物のスラグ相への分離除去作用と相俟って、鋼中酸化物系非金属介在物の量を著しく低減することにした。その上で、製造性も考慮してSi含有量の上限値を0.50質量%とした。そして、本願発明においては、ESRという溶製プロセスであって、しかも後述するように、所定圧力のN雰囲気で溶解・精錬を行なうので、上記Ca及び/又はAlによる脱酸操作を適切に行なう限り、Si含有量は実質的に0質量%であっても、十分な脱酸を行なうことができる。但し、溶鋼中へのAlの添加は、ESRの消耗電極用鋼塊の調製までに完了させておくが、溶鋼中へのCaの添加は、無酸化雰囲気であるESRにおける溶解精錬において添加することにより仕上げ脱酸とし、ESR鋼塊の清浄性向上を確保するものとする。従ってまた、Si含有量は0質量%でもよい。なお、Ca及び/又はAl含有量が本願発明の範囲内にある限り、酸化物系非金属介在物量の低減の観点からSi含有量は0.30質量%以下であることが一層望ましい。
なお、本願発明においては、前述したようにN含有量を、従来例のステンレス鋼中のN含有量と比較して極めて高含有量である1.0質量%超え2.0質量%以下に限定しているので、後述する本願発明者等が創案した改良加圧式ESR法(後述する。以下、同じ)により、N添加源として窒化ケイ素等のSiを含有する添加源物質は用いず、窒化フェロクロム合金や窒化クロム等を用いると共に、ESRにおける溶解精錬雰囲気の窒素ガス最大圧力を5MPaとし、且つ添加スラグ成分としてCaF単味系を使用することにより、溶湯からスラグへの非金属介在物の分離を促進すると共に、溶湯へのSiの混入源を制限して、Si含有量のコントロールを有利にした。以上により、Si含有量を0.50質量%以下(0質量%を含む)に限定し、一層望ましくは0.30質量%以下(0質量%を含む)に限定する。
Mn:0.30質量%以下(0質量%を含む)
Mnは、Siと同様脱酸剤として作用する元素であり、またオーステナイト相の安定化に寄与する。更に、Mnは溶湯中のNの溶解度を高めるので、一般に高N含有鋼を製造しようとする場合には、これに対して極めて有効な元素である。
本願発明においては、N含有量を1.0質量%超え2.0質量%以下という高値に限定しているので、この観点からはMnを積極的に含有させることは、一見、極めて有利である。しかしながら、Mn含有量を増加させると、Si含有量の増加の場合に準じて、脱酸生成物であるMnOが酸化物系非金属介在物の生成・成長を助長する作用があるので、鋼の耐食性が低下すると共に、靱性も低下する。
そこで、本願発明においては、Mn含有量をできるだけ低くすべきであることに着眼した。この着眼は、本願発明の著しい特徴の一つである。本願発明においては、Mnの脱酸作用に関してはSiと同様、添加量を制限しても脱酸能を確保することができるようにするために、適量のAl及びCa又はAlとCaとのいずれかを添加して溶湯中の溶解酸素を極低値に低下させるものである。
かかる制御された脱酸方法の採用により、本来脱酸機能を有するMnの含有量を更に低下させることが可能となり、0.30質量%以下とする。
望ましくはMn含有量を0.10質量%未満とすることができ、このようにすることにより、更にMn系酸化物を含む非金属介在物の量を減らし、しかも形態寸法を小さくすることができるので、本願発明の鋼及び鋼材の耐食性向上に対して極めて効果的である。
また一層の酸化物系非金属介在物対策としては、上記Si含有量に関するところでも述べたように、適切な条件下での改良加圧式ESR法で溶解・精錬を行なうものとしている(この改良加圧式ESR法の好適な溶解・精錬条件についての更に詳細な説明は、別途後述する)。
なお、ステンレス鋼におけるN添加は、オーステナイト相の安定化にも大きく寄与する。かくして、本願発明においては、上述した耐食性及び靱性改善の観点に、改良加圧式ESRプロセスにおける製造性、特に消耗電極の成分上及び供給上の安定的調製を考慮して、Mn含有量を0.30質量%以下とした。ここで、Mn含有量の下限値については、Si含有率における場合と同様、本願発明においては、ESRプロセスであって、しかも後述するように、所定圧力のN雰囲気(従って、無酸化雰囲気でもある)で溶解・精錬を行なうので、上記Ca及び/又はAlの脱酸操作を適切に行なう限り、Mn含有量は実質的に0質量%であっても、十分な脱酸を行なうことができる。また、適切量のAl添加脱酸によっても、十分な脱酸を行うことができると共に、Al含有介在物の生成を抑制し、残留量を極低下させることができる。
一方、MnSの生成量を抑制するためにも、Mn含有量を可能な限り低含有量とし、更に望ましくは、後述するように、S含有量を0.002質量%未満に規定することにより、MnS介在物の生成量を一層低下させることができるという、相乗効果も得られる。
従って、Mn含有量は0質量%でもよい。以上により、Mn含有量を0.30質量%以下(0質量%を含む)に限定し、望ましくは0.10質量%以下(0質量%を含む)に限定する。
本願発明においては、耐食性、強度及び成形性に一層優れたステンレス鋼又はこのステンレス鋼が用いられたセパレータを製造するために、不可避不純物としてのP、S及びOの各含有量については下記の通り限定する。
P:0.020質量%以下
Pは、結晶粒界に偏析し、耐食性の低下を招き易く、また靱性の低下を招く。従って、その含有量は少ない方が望ましい。しかしながら、必要以上の低減はコスト上昇をきたすので、製造性を考慮して、上限を0.020質量%まで許容する。
S:0.002質量%以下
Sは、耐食性及び熱間加工性を低下させる。本願発明においては、Mn含有量を0.30質量%以下に規定しており、MnS系非金属介在物の生成量を低減させるためにはS含有量をできるだけ低下させることが望ましい。また、それによりCrS系非金属介在物の生成も低減させることができ、耐食性の向上のためにはS含有量を極力少なくするのが望ましい。しかし、S含有量を極低水準に制限すると、脱硫コストが大きく上昇するので、上限値を0.002質量%まで許容する。
O(酸素):0.005質量%以下
Oは、酸化物系非金属介在物の生成・成長を助長して、耐食性の低下を招くので、その含有量は極力少なくすることが望ましい。しかしながら、製造性も考慮する必要があり、O含有量の上限値を0.005質量%まで許容する。但し、耐食性低下の観点からは0.003質量%以下とするのが望ましい。
Cr:19.0〜28.0質量%
Crは、ステンレス鋼に耐食性を確保するために基本的に必要な元素であり、酸浸漬によりCrが富化した不動態皮膜を形成させるために19質量%以上のCr含有量が必要であり、Cr含有量の増加にともない接触抵抗が安定し、酸性雰囲気下の耐酸性も向上する。本願発明に係るステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼の化学成分組成と規定している。その理由は、オーステナイト系ステンレス鋼はフェライト系に比較して塑性加工性に優れているので、プレス加工によるセパレータの加工に際して溝形状等への成形に有利であるからである。しかしながら、Crはフェライト生成元素でもあり、過剰に含有させるとσ相等の金属間化合物が析出し易くなり、その結果、鋼の脆化を招く。従って、Cr含有量は28.0質量%以下にする。一方、本願発明者等は、Cr以外の化学成分組成が本願発明の範囲内にある場合において、Cr含有量を20.0質量%以上25.0質量%以下の範囲内に規定することにより、溶体化処理後の薄鋼板における機械的性質として、強度が十分に確保された状態で、伸び及び絞りが著しく向上することを知見している(特願2006−197418)。そこで、本発明におけるCr含有量の範囲として19.0〜28.0質量%に限定し、一層望ましくは20〜25質量%の範囲内に限定する。
Ni(ニッケル):0.01質量%以下
Niは、オーステナイト生成元素であるからオーステナイト相の安定化に寄与し、またNiは耐食性の向上にも有効である。
一方、本願発明者等は、耐食性指数として知られているCr%+3Mo%+10N%に鑑み、Nの耐食性向上作用に注目すると共に、本願発明者等が先に行なったアレルギー発症を伴う生体環境を想定したpH=2.8におけるステンレス鋼からのNi溶出試験結果において、Niフリーの高N含有オーステナイト系ステンレス鋼が良好な成績を得た(前記特願2006−197418参照)ことにヒントを得て、Ni含有量を極力低くし、これに対して高N含有によりオーステナイト系ステンレス鋼を調製した。Niを実質的に含有しない濃度として、0.01質量%以下とし、望ましくは0.005質量%とした。
Mo:1.0〜3.0質量%
Moは、Crと共にステンレス鋼の耐食性向上に寄与する元素であり、特に1.0質量%以上のMo添加により耐孔食性を改善する効果が得られる。Moの耐孔食改善効果は、Crとの共存によって効果的となる。Cr含有量が多いほどMoを多量に添加できるが、その含有量が増加するほど材料を硬質化させて、材料の加工性を低下させる。よって、Mo含有量の上限を3.0質量%とする。
N:1.00質量%超え〜2.00質量%
Nは、耐食性の向上に有効であると共に、またオーステナイト生成元素としても、大きな役割を担っている。本願発明の化学成分組成にあっては、オーステナイト結晶構造の安定化を図るためには、N含有量の下限は1.00質量%超えにすべきである。一方、N含有量を高めることは、強度向上にも寄与する。しかしながら、N含有量が2.00質量%を超えると、特にCr窒化物の生成が助長され、Cr含有量の低下によるCr酸化物皮膜の減少により耐食性が却って低下する。また、靭性も低下する。従って、N含有量を1.00質量%超えから2.00質量%以下の範囲内に限定する。
次に、Ca及びAlは、いずれか一方又は両方を含有する必要がある。但し、Al含有量は、有効な脱酸元素濃度としての観点から、sol.Al含有量をする。
Ca:0.0050質量%未満
Caは、脱酸剤及び脱硫剤として有効である。従って、非金属介在物の低減に寄与して、耐食性及び靱性の向上に寄与する。但し、本願発明においては、S含有量を上記の通り0.002質量%以下に規定しているので、主として脱酸元素としての観点から規定した。Ca含有量は、本願発明における改良加圧式ESRプロセスによれば、ESR中におけるCa脱酸によりESR鋼塊のCa含有量が、0.0050質量%未満であっても、脱酸及び脱硫作用効果が十分発揮される。一方、Ca含有量の下限値は特に限定しない。そして、分析値が0質量%であってもよい。その理由は、Caの定量分析の検出限界とその精度を考慮すると、Ca含有量が極めて低い場合には、その分析値が所謂トレース(trace)と判定され、Ca含有量が0ppmと記載されることがあり得るからである。本願発明に係るステンレス鋼は、このように微量のCaが存在する状態における鉄鋼分析上の測定値が所謂トレース(trace)の場合において、極めてO含有量が低く、清浄性の極めて良好なステンレス鋼を排除するものではないからである。
これに対してCaの過剰添加は、CaN析出物の生成及び非金属介在物の残留量の増加を招き、耐食性の劣化をきたすので、これらを防止するためにも、Ca含有量の上限を0.0050質量%に制限すべきである。
Al:0.0005〜0.020質量%
本願発明に係るステンレス鋼の製造過程におけるESRにおける消耗式電極の本体部分(消耗式電極のベースとなる部分)に対しては、予め溶解精錬炉において所定の成分組成の溶鋼に溶製し、凝固させた鋼塊を供する。この鋼塊を調製するまでの工程において、溶鋼を少なくともAlを脱酸剤として使用し、酸化物系非金属介在物の低減を図る。この鋼塊段階におけるsol.Al含有量として、0.010〜0.050質量%程度を必要とし、これを用いてESRで製造された清浄な鋼塊としては、そのsol.Alを少なくとも0.0005質量%以上含有すべきである。一方、ESRによる非金属介在物のスラグ相への分離により十分に清浄なステンレス鋼塊とするためには、sol.Al含有量の上限値は、0.020質量%とすべきである。
本願発明に係るステンレス鋼の化学成分組成は、不可避化学成分としてのP、S及びOの規制値を含めて、上述した範囲内のものとする。
なお、固体高分子型燃料電池のセパレータ用基材材料として上記化学成分組成のセパレータ以上の耐食性を備えたオーステナイト系ステンレス鋼を製造する目的で、更にWを過剰とならない範囲で、例えば4質量%以下において添加しても差し支えない。また、セパレータの製作に際して、切削加工を伴う場合には、切削性向上を目的として、例えば、Cuを0.05質量%以上含有させてもよい。但し、Cuの過剰の添加は熱間加工性を損なうので、望ましくは1.0質量%以下にすべきである。
この発明に係るステンレス鋼を溶製する方法としては、改良加圧式ESR法に
おいて、特に、高N含有量のステンレス鋼とするための添加方法及び高清浄鋼溶製のためのCa主体の脱酸方法が重要である。そのためには、例えば次の通り創案された改善ESR操業を行なえばよい。
先ず、円柱状の消耗式ベース電極の外周部に所定深さと幅とを有する複数本の溝を鉛直方向に複数本形成し、この内、所定の溝の中に、この溝に沿って所定重量のCaワイヤを挿入し、更に、各溝に嵌合させるように、N添加源を収容した下記鋼製パイプをセットする。即ち、所定成分のステンレス鋼製パイプにN添加源として例えば窒化フェロクロム(FeCrN)粉末を所定の充填密度で真空封入・封止し、真空炉で900℃前後で焼結させて、このN添加源が収容された鋼製パイプを調製して上記溝にセットする。このようにセットされたこのN添加源収容パイプを、上記消耗式ベース電極に溶接で接合・固設して、ESR用の窒素添加型消耗式電極を調製する。但し、上記窒化フェロクロム粉末のパイプへの封入量と消耗式ベース電極の化学成分組成とは、溶製すべきESR鋼塊の化学成分組成を考慮し、適正に調整しておくと共に、加圧式ESRの溶解・精錬雰囲気を例えば0.1〜5MPa程度の範囲内で、適切な圧力の窒素ガス雰囲気に調整する。なお、上記電極の溶解・精錬期に、上記Caワイヤは窒素雰囲気中にて溶解するので、雰囲気による酸化が防止されると共に、徐々に溶湯に添加されつつ、脱酸反応に寄与する。
一方、ESRスラグとしては、添加スラグとして例えばCaF単味系を使用する。これにより、溶湯からスラグへの非金属介在物の分離を促進すると共に、溶湯へのSiの混入源を制限して、Si含有量の上限コントロールを有利にすることができる。SiO成分は、ESR鋼塊のSi含有量調整を容易にするために、またAl成分は、ESR鋼塊のAl含有量調整のために添加しない。
かかる条件下で適宜、加圧式ESR装置を運転することにより、上記所望の化学成分組成を有するESR鋼塊を溶製することができる。なお、N添加源物質としては、窒化フェロクロム(FeCrN)に限定されず、クロム窒化物(CrN)等の無機窒素であればよい。但し、Mn及びSiの混入を避けるために、少なくともいずれかの元素でも含有する窒化フェロマンガン(FeMnN)及び窒化ケイ素(SiN)等は使用しない。
こうして得られた本願発明の化学成分組成を有する高清浄なESRステンレス鋼塊から、固体高分子型燃料電池のセパレータまで成形加工するための望ましい加工方法について述べる。上記ESR鋼塊を熱間鍛造によりスラブ形状に加工した後、これを熱間圧延して鋼板とし、得られた熱間圧延ステンレス鋼板に完全焼なましを施し、酸洗した後、セパレータにプレス加工する方法がある。
従って、本願発明に係るステンレス鋼として、熱間圧延材を完全焼なましを施したステンレス鋼板は、セパレータ用材料として望ましい。
ところで、一般にオーステナイト系ステンレス鋼は、耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼に、オーステナイト組織を安定化させる作用を有する元素を添加して得られ、得られたステンレス鋼の化学成分組成により異なるが、約1010〜1180℃程度までの間の所定温度において十分に加熱した後、急冷することにより、含有する炭化物をオーステナイト組織に溶け込ませることにより製造され、これによりオーステナイト系ステンレス鋼は耐食性に優れた性質が具備される。オーステナイト系ステンレス鋼の機械的性質は、一般に鋼の合金成分が固溶体に溶解する温度以上に鋼を加熱し、十分時間を保持し、急冷してその析出を阻止する操作を行なった後、即ち溶体化処理を施した後の試験片について得られた試験値で評価される。
本願発明のオーステナイト系ステンレス鋼についても、熱間圧延鋼板の溶体化処理後の機械的特性値の水準を把握しておくことは、セパレータ用薄鋼板のプレス成形性評価の推定に役立つ。そこで、実施例において、熱間圧延鋼板を溶体化処理した後の引張試験による機械的特性値の水準値についても試験した。
この発明を実施例に基づいて詳しく説明する。表1に、この発明の範囲内に属する固体高分子型燃料電池のセパレータ用基材ステンレス鋼としての実施例、及び、この発明の範囲外にある固体高分子型燃料電池のセパレータ用基材ステンレス鋼としての比較例について、それぞれの化学成分組成を示す。
表1中の「実施例」の成分組成を有するステンレス鋼は、後述する金属の溶出試験及び発電試験の両方に供した。
これに対して「比較例1」の成分組成を有するステンレス鋼は、金属の溶出試験に供し、「比較例2」の成分組成を有するステンレス鋼は、発電試験に供した。
なお、表1中で、Alの含有量が「分析値なし」とあるのは、図3及び図4の消耗式ベース電極2を溶製するプロセスにおいてはAlによる脱酸をしているので、Alを含有しているが、本実施例のESR鋼塊の溶製段階においては、図3及び図4の窒素添加型消耗電極1には、Al脱酸用のAlは添加していないこともあり、Al分析をしていないことを意味する。これに対して、比較例1及び2のAl含有量の「分析値なし」は、通常、鋼塊又はスラブの溶製段階においては、Alによる脱酸を行なうので、一般に含有されているが、JISにAl含有量の規定がないので、Al分析をしていないことを意味する。

1.[実施例用供試材の調製方法]
(1)実施例用供試材の鋼塊の溶製方法
先ず、この発明の範囲内に属する実施例の化学成分組成を有するステンレス鋼塊を、以下に述べる改良加圧式ESR法により溶製した。ESR鋼塊の化学成分組成は、表1の実施例に示した通りであり、その溶製方法の詳細は次の通りである。
実施例のESR鋼塊の成分的特徴である高N含有量でNiフリーのオーステナイト系ステンレス鋼であって非金属介在物の清浄性に優れたものを溶製するために、従来の加圧式ESR装置における溶解・精錬反応の雰囲気加圧機構・能力及びESR本体外殻の耐圧能力を増強することにより、溶解・精錬期のNガス雰囲気圧力を、0.1〜5MPa程度の範囲内において調整可能に改造した装置を用いた。ESRの消耗式電極として、次に述べる工程で製作した改良型消耗式電極である窒素添加型消耗式電極をセットし、スラグとしてCaF−CaOの2成分のプリメルトスラグを使用し、上記窒素添加型消耗式電極を溶解原料とする再溶解・精錬を行ない、この実施例が目標とする化学成分組成を有する100mmφ×約320mm高さのNiフリー、極低Mn、超高N、且つ非金属介在物に関して高清浄の20kgESR鋼塊を溶製した。
その際、このESR鋼塊のN含有量を目標値の超高水準に調整するための基本操作として、(1)上記窒素添加型消耗式電極表層部に固設した窒素添加体に含まれるN含有量とその電極表層部の窒素添加体分布の対称性維持、(2)溶解・精錬期のNガス雰囲気圧力の制御、及び(3)溶解・精錬温度の制御により行なった。
また、高清浄鋼溶製の基本的手法は、溶湯の金属Ca主体による強脱酸を採用した。なお、Ca添加量は、消耗式電極重量に対して適正量を、金属Caワイヤーを消耗式電極に組み込んで取り付け調製し、更に、溶融スラグの成分組成については、スラグの酸素及び硫黄のポテンシャルの極低下及び流動性の適正化を図ることにより、脱酸生成物及び脱硫生成物の溶湯(溶鋼)バルク乃至溶滴から溶融スラグ相への浮上・分離除去の促進及び溶湯バルクの再酸化防止を図った。なお、Caには、同時に脱硫作用も行なわせた。
ここで、実施例用ESR鋼塊の原料とする上記窒素添加型消耗式電極の製作工程及びその性状・形態について述べる。窒素添加型消耗式電極は、溶製すべきESR鋼塊の成分の内、特にN含有量を所望含有量水準に調整するために有効な性状・形態を備えたものである。図3は、Ca添加方法を説明するための窒素添加型消耗式電極の斜視概略図であり、図4は、その水平方向断面図を示す。
窒素添加型消耗式電極1は次の通り製作した。円柱状の消耗式ベース電極2の外周部長手方向に複数本の溝3(同図では8本である)を成形加工し、その内部に、先ず金属Caワイヤ5を当該溝3に沿って挿入し、更に、この金属Caワイヤ5を円柱状の窒素添加体4で外側から押さえ込むようにして、その溝3の内部に嵌合し、窒素添加体4を消耗式ベース電極2に溶接接合で固設し、合体させた。
上記において、消耗式ベース電極2とは、ESR鋼塊溶製用の主要原料に相当するものであり、真空誘導溶解炉で溶製した清浄性の良好な鋼塊から調製した。この鋼塊の化学成分組成は、溶製すべきESR鋼塊の目標化学成分組成に対する、窒素添加体4、金属Caワイヤ5、スラグ組成並びに溶製時窒素雰囲気圧力等を考慮した、Niを実質的に含有しない化学成分組成に設定した。
また図4に示した上記窒素添加体4の構成は、ステンレス鋼製パイプ6の内部にクロム窒化物(CrN)粉末が真空充填・封入され、真空焼結されたもの(クロム窒化物粉末の焼結体)7であるものを示す。
上記窒素添加体4の調製方法について更に述べる。窒素添加源物質としてクロム窒化物(CrN)粉末(N含有量:20質量%)の微粉末(粒径:5μm以下)を用い、所定寸法のSUS403ステンレス鋼製パイプ6の一端を封じ、この内部に、充填密度3.2g/cmで充填し、その後10−3torr以下の圧力に減圧し保持しながら、パイプの他端を溶接で封止した。次いで、こうして得られた調製体を真空炉内で900℃においてクロム窒化物を焼結し、窒素添加体4を調製した。こうして得られた、内部にクロム窒化物の焼結体7が充填形成された窒素添加体4を、予め準備しておいた溝3加工付き65mmφの消耗式ベース電極2の外周部に形成されている複数本の溝3のそれぞれに、上述した通り取り付けて、窒素添加型消耗式電極1を製作した。
上記窒素添加型消耗式電極1において、消耗式ベース電極2の化学成分組成の設定、SUS403ステンレス鋼製パイプの化学成分組成及び寸法の選定、及び窒素添加体4の固設本数を、本願発明の範囲内に属する実施例用のステンレス鋼の目標化学成分組成を有するESR鋼塊を溶製し得るように適切に決定した。
以上のようにしてESR法により溶製された表1に示した実施例の化学成分組成を有する鋼塊を熱間鍛造し、次いでこれを熱間圧延して、板厚:15mm、板幅:70mmの熱延板とし、溶体化処理を施した後にスケールを除去し、次いで機械切削加工により減厚して厚さ5.0mmの板に仕上げた。こうして得られた供試材を、(イ)金属の溶出試験、及び(ロ)発電試験に供した。
なお、厚さ5.0mmに切削仕上げされた板の化学成分の内、少なくとも表1に示した化学成分に関して、その組成は表1に示したESR鋼塊のそれと同一でであって、上記加工及び熱処理工程においては変化していないと考えることができる。
2.[比較例用供試材の調製方法]
(イ)金属溶出試験用としては、表1に示した比較例1のオーステナイト系ステンレス鋼に属する公知のSUS316L成分に属する市販の板厚1.0mmの冷間圧延ステンレス鋼板を入手し、これを1230℃で15分間加熱した後、水冷して溶体化処理を施して供試材とした。
(ロ)発電試験用としては、表1の比較例2に示したオーステナイト系ステンレス鋼に属する公知のSUS304成分に属する市販の板厚6.0mmの熱間圧延ステンレス鋼板を入手して、これを供試材とした。
[確性試験方法]
本願発明に係るステンレス鋼を、固体高分子型燃料電池用のセパレータの材料として使用する場合に重要な特性値を試験するために、上記実施例及び比較例の供試材について、(1)腐食環境における金属の溶出試験、及び(2)燃料電池の単一セルによる発電試験を行なった。各確性試験の方法と得られた結果は次の通りである。
(1)金属の溶出試験方法及び試験結果
金属の溶出試験を次の通り行なった。実施例については、上記の溶体化処理された熱延板を厚さ5.0mmに機械切削仕上げされた板状供試材を用い、一方、比較例については上記比較例1の冷延板を溶体化処理された厚さ1.0mmの板供試材を用い、いずれも試料の全表面積が約7.5cmになるように切り出し、試料表面を#500のSiC研磨紙を用いて研磨処理を施した後、アセトンで洗浄して試験片とした。溶出試験はJIS G 0591を参考として浸漬試験法で行なった。
溶出量を測定した金属種は、Fe、Cr、Ni及びMoであり、金属溶出条件は、液温30℃±2℃の10%HSO溶液で、浸漬溶液量を225ml(試験片の表面積1cm当たり30ml)とし、溶出量測定のためのサンプリングを、浸漬開始後0hr、1hr、8hr、24hr、56hr、168hr(7日間)とし、1回の浸漬溶液の採取量は10mlとした。Fe、Cr、Ni及びMoの各金属の溶出量の定量分析をICP発光分析又はICP質量分析で行なった。測定結果は各金属の溶出量(μg/ml)から試験片の単位表面積当たりの溶出量(μg/cm)に換算した。その結果を表2に示す。なお、前記表1には、ステンレス鋼の耐食性指数(PRE)としてしばしば採用される式として、供試材の化学成分組成に基づくPRE=Cr+3×Mo+10×N(各成分の単位は質量%)を用いた算出値を併記した。
(実施例、比較例1の溶出試験結果)
表2に示した溶出試験結果より、下記事項がわかる。
本願発明の範囲内にある実施例においては、Fe及びCrの溶出は極く僅かに検出された。例えば、168hr(7日)経過後において、Feは1.83μg/cm、Crは0.24μg/cmの溶出、Ni及びMoの溶出は全く検出されなかった。これに対して、本願発明の範囲外にある比較例1(従来材のSUS316L材)においては、Fe、Cr、Ni及びMoの全てについて、溶出が認められた。即ち、同じく168hr(7日)経過後において、Feは472.0μg/cm、Crは124.4μg/cm、Niは81.48μg/cm、Moは16.68μg/cmの溶出がみられ、実施例の溶出に対してFeについては約250倍の溶出、Crについては約500倍の溶出がみられた。このように、実施例においては従来材の例よりも耐食性が著しく向上していることが確認された。
(2)発電試験方法及び試験結果
発電試験を次の通り行なった。
実施例については、前記の厚さ5.0mmの板状供試材を用い、比較例については、前記の厚さ6.0mmのステンレス鋼板供試材(成分組成は表1の比較例2である)を用い、実施例及び比較例のいずれについてもサイズを80×80mmに機械切削加工し、バフ研磨仕上げを施し、ヘキサン中で15分間の超音波洗浄処理をし、次いでサーペンタイン加工領域を50×50mmとし、溝深さ:1mm、溝幅:1mm、溝間隔:1mmに機械切削加工してセパレータを調製し、これを用いて単セルを構成し、下記の発電条件にて、
(イ)セル電圧−時間試験、及び(ロ)電圧−電流試験
を行なった。発電条件は次の通りである。
アノードガス:純水素(利用率 70%、加湿温度 70℃)
カソードガス:空気 (利用率 40%、加湿温度 70℃)
MEA :市販品(日本ゴアテックス社製 PRIMEA5510)
(50mm×50mm)
但し、PRIMEAは、日本ゴアテックス社の登録商標である。
締め付け圧 :150N/cm
電流密度 :0.5A/cm
図4に実施例及び比較例におけるセル電圧−時間試験結果を示す。これによれば、実施例と比較例とのセル電圧低下の差は必ずしも明瞭ではないが、700時間経過付近において、実施例と比較例の曲線が交差しているようにも見える。
そこで、両者の発電開始時と1000時間経過時における電圧−電流(V−i)特性を比較する。図5及び図6のそれぞれには、実施例及び比較例におけるV−i特性を示す。図5によれば、実施例のV−i特性は1000時間経過後も殆ど低下していない。これに対して、図6によれば、比較例のV−i特性は1000時間経過後には明らかに低下している。
以上の結果より、1000時間という比較的短時間の結果ではあるが、実施例の発電特性は、比較例のそれに比べて明らかに優れていることがわかる。
固体高分子型燃料電池の単セルの構成を説明する概略図である。 固体高分子型燃料電池のセルスタックとその全体構成を説明する概略図である。 この発明における改良加圧式ESRプロセスでCaを添加するときの窒素添加型消耗式電極の概略斜視図である。 図3の水平方向断面図である。 実施例及び比較例のセパレータにおけるセル電圧−時間試験結果を示すグラフである。 実施例のセパレータにおける電圧−電流試験結果を示すグラフである。 比較例のセパレータにおける電圧−電流試験結果を示すグラフである。
符号の説明
1 燃料電池の単セル
2 固体高分子電解質膜
3 燃料電極膜(アノード)
3a アノード触媒層
4 酸化剤電極膜(カソード)
4a カソード触媒層
5 膜電極接合体(MEA)
6、7 セパレータ
6a、7a 流路
8、9 集電板
10 燃料ガス
11 酸化性ガス
12 窒素添加型消耗式電極(Ca添加のとき)
13 消耗式ベース電極
14 溝
15 窒素添加体
16 金属Caワイヤ
17 ステンレス鋼製パイプ
18 クロム窒化物粉末の焼結体
19 冷却水
20 抑え板
21 絶縁ペーパー

Claims (3)

  1. 燃料電池における固体高分子電解質膜を挟むセパレータであって、化学成分組成(単位:質量%)が、
    0<C≦0.08
    0≦Si≦0.50
    0≦Mn≦0.30
    P≦0.020
    S≦0.002
    O≦0.005
    19.0≦Cr≦28.0
    Ni≦0.01
    1.0≦Mo≦3.0 及び
    1.00<N≦2.00
    であり、更に、0≦Ca<0.0050及び0.0005≦sol.Al≦0.020の内、少なくとも1種を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなるステンレス鋼を基材とすることを特徴とする固体高分子型燃料電池のセパレータ。
  2. 請求項1に記載の固体高分子型燃料電池のセパレータにおいて、前記ステンレス鋼は、化学成分組成(単位:質量%)の内、下記成分は、
    0<C≦0.03
    0≦Si≦0.30
    0≦Mn≦0.10
    O≦0.003
    Ni≦0.005
    であることを特徴とする固体高分子型燃料電池のセパレータ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の請求項1に記載の固体高分子型燃料電池のセパレータに使用するステンレス鋼の製造方法であって、ステンレス鋼の鋼塊を熱間鍛造によりスラブ形状に加工した後、熱間圧延し、得られた熱間圧延ステンレス鋼板に溶体化処理を施し、これを酸洗することを特徴とする固体高分子型燃料電池のセパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
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