JP2005292780A - 感光性樹脂組成物、スクリーン印刷版、スクリーン印刷版の製造方法および電子部品の製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、スクリーン印刷版、スクリーン印刷版の製造方法および電子部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水および溶剤に対する膨潤率が低く、スクリーン印刷版の製造に用いた場合に、高精度のファインラインの画像形成が可能なスクリーン印刷版を得ることが可能な感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いたスクリーン印刷版、、その製造方法および電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】感光性樹脂組成物を、(a)部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、(b)酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンと、(c)光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーと、(d)ジアゾ樹脂とを含有する組成とする。 また、(a)スチルバゾリウム基を付加した部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、(b)ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンと、(c)光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーとを含有する組成とする。
【選択図】なし

Description

本願発明は、耐溶剤性、耐水性及び印刷適性に優れた感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いたスクリーン印刷版、該感光性樹脂組成物を用いたスクリーン印刷版の製造方法および電子部品の製造方法に関する。
スクリーン印刷法は、アルミニウム枠や木枠にスクリーンメッシュを張り、これに水溶性の感光性樹脂組成物の被膜を形成し、紫外線照射によって光架橋させた後、水現像あるいはアルカリ現像することにより、スクリーンメッシュに所定のパターンの印刷用ペーストを通過させない樹脂膜を形成したスクリーン印刷版を用いて、スクリーンメッシュの樹脂膜のないスクリーン部分からインクを押し出して印刷を行う方法である。
このスクリーン印刷法は、印刷版の作製及び印刷が簡便であること、画像精度が高いこと、印刷される塗膜の厚みが厚いこと、被印刷体の種類が限定されにくいことなどの特徴を有していることから、種々の分野に広く利用され、ポスターや捺染の印刷から、プリント基板作製のソルダーレジストの印刷、銅厚膜回路のファインライン印刷、積層セラミックコンデンサなどの内部電極の印刷などの電子部品の製造工程に至るまで、その用途が拡大している。
ところで、現在スクリーン印刷版の製造に用いられている樹脂組成物としては、例えば、水溶性高分子である部分けん化ポリビニルアルコール、アクリル酸エステル共重合エマルジョン、酢酸ビニルを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョン、アクリロイル基を有する反応性モノマー、メタクロロイル基を有する反応性オリゴマー、光重合開始剤、光架橋剤などを所定の割合で配合した感光性樹脂組成物が用いられている(特許文献1)。
そして、この感光性樹脂組成物を用いることにより、耐溶剤性や耐刷性、解像度などの特性が良好なスクリーン印刷版を得ることが可能になるとされている。
しかしながら、上記従来の感光性樹脂組成物は、アクリル酸エステル共重合エマルジョンの含有率が高く、反応性モノマーの含有率が低いため、印刷すべき導電ペーストなどに汎用されているα−テルピネオールなどの溶剤に対して膨潤しやすく、版厚65μm、配線幅30μmというようなファインラインを印刷しようとした場合、印刷パターンのラインが膨潤によって閉塞してしまい、断線が発生するという問題点がある。
また、反応性モノマーの含有率が低いため、光硬化物中の3次元網目架橋密度が低下して、膜の硬度が低下することから、上述の溶剤膨潤率が大きいことと併せてさらに断線不良が発生しやすくなる。
また、上記従来の感光性樹脂組成物は、アクリル系のポリマー材料であるために、水溶性のポリビニルアルコールとの混和性が十分に得られず、分離しやすいという問題点がある。
特開平7−325399号公報
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、耐水性や耐溶剤性に優れ、水や溶剤に対する膨潤率が低く、スクリーン印刷版の製造に用いた場合に、例えば、20μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成が可能なスクリーン印刷版を得ることができる感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いたスクリーン印刷版、および、該感光性樹脂組成物を用いたスクリーン印刷版の製造方法および電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)の感光性樹脂組成物は、
(a)部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、
(b)酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンと、
(c)光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーと、
(d)ジアゾ樹脂と
を含有する感光性樹脂組成物であって、
露光して硬化させた後の露光硬化膜の、水に対する膨潤率が0%以上、5%以下で、かつ、水現像し、乾燥させた後の乾燥膜の、α−テルピネオールに対する膨潤率が0%以上、5%以下であることを特徴としている。
また、請求項2の感光性樹脂組成物は、前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液として、部分けん化ポリビニルアルコール濃度が10〜20重量%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液を用いた場合において、
前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液、前記(b)のアクリル酸エステル共重合エマルジョン、および前記(c)の反応性モノマーの合計量に対して、
前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液の割合が45重量%以上、60重量%以下、
前記(b)の酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンの割合が0.5重量%以上、20重量%以下、
前記(c)の反応性モノマーの割合が33重量%以上、50重量%以下
の範囲にあることを特徴としている。
また、請求項3の感光性樹脂組成物は、前記ジアゾ樹脂が、前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液、前記(b)のアクリル酸エステル共重合エマルジョン、および前記(c)の反応性モノマーの合計量の0.2重量%以上、2.0重量%以下の割合で含有されていることを特徴としている。
また、請求項4の感光性樹脂組成物は、前記ジアゾ樹脂が、ホルムアルデヒド重縮合による硫酸タイプ、またはホルムアルデヒド重縮合によるりん酸タイプのジアゾ樹脂であることを特徴としている。
また、本願発明(請求項5)の感光性樹脂組成物は、
(a)スチルバゾリウム基を付加した部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、
(b)ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンと、
(c)光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーと
を含有する感光性樹脂組成物であって、
露光して硬化させた後の露光硬化膜の、水に対する膨潤率が0%以上、5%以下で、かつ、水現像し、乾燥させた後の乾燥膜の、α−テルピネオールに対する膨潤率が0%以上、5%以下であることを特徴としている。
また、請求項6の感光性樹脂組成物は、前記(a)のスチルバゾリウム基を付加した部分けん化ポリビニルアルコール水溶液の割合が45重量%以上、60重量%以下、
前記(b)のポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンの割合が0.5重量%以上、20重量%以下、
前記(c)の光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーの割合が33重量%以上、50重量%以下、
の範囲にあることを特徴としている。
また、請求項7の感光性樹脂組成物は、請求項1〜6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物において、前記(c)の光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーとして、少なくともジペンタエリスリトールカプロラクトン付加ヘキサアクリレートを含有することを特徴としている。
また、本願発明(請求項8)のスクリーン印刷版は、請求項1〜7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の塗膜を、感光し、現像することにより形成された、印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂膜を備えていることを特徴としている。
また、請求項9のスクリーン印刷版は、前記樹脂膜のビッカース硬度が2Hv以上、12Hv以下であることを特徴としている。
また、請求項10のスクリーン印刷版は、前記樹脂膜の被印刷体に接する版の粗さ(Sa)が0.5μm以下であることを特徴としている。
また、請求項11のスクリーン印刷版は、前記樹脂膜の被印刷体に接する版の粗さ(Sa)が0.2μm以下であることを特徴としている。
また、本願発明(請求項12)のスクリーン印刷版の製造方法は、
(a)請求項1〜7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を、版枠に張設されたスクリーンメッシュに塗布し、塗膜を形成する塗布工程と、
(b)前記塗膜の、所定の領域に光を照射して感光させる露光工程と、
(c)前記塗膜を水で現像した後、乾燥させて、印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂膜を形成する現像・乾燥工程と
を備え、かつ、
前記(b)の露光工程で形成される露光膜の水に対する膨潤率が0%以上、5%以下、
前記(c)の現像・乾燥工程で形成される樹脂膜の、α−テルピネオールに対する膨潤率が0%以上、5%以下
であることを特徴としている。
また、請求項13のスクリーン印刷版の製造方法は、前記樹脂膜のビッカース硬度が2Hv以上、12Hv以下であることを特徴としている。
また、請求項14のスクリーン印刷版の製造方法は、前記樹脂膜の被印刷体に接する版の粗さ(Sa)が0.5μm以下であることを特徴としている。
また、請求項15のスクリーン印刷版の製造方法は、前記樹脂膜の被印刷体に接する版の粗さ(Sa)が0.2μm以下であることを特徴としている。
また、本願発明(請求項16)の電子部品の製造方法は、請求項8〜11に記載のスクリーン印刷版を用いて導電ペーストを被塗布体に印刷することにより、被塗布体に電極パターンを形成する工程を具備することを特徴としている。
本願発明(請求項1)の感光性樹脂組成物は、(a)部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、(b)酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンと、(c)光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーと、(d)ジアゾ樹脂とを含有しているので、均一性、安定性を向上させることが可能になるとともに、露光硬化膜の、水に対する膨潤率、および水現像し、乾燥させた後の乾燥膜の、α−テルピネオールなどの溶剤に対する膨潤率を低く抑えて特性を向上させることが可能になる。
すなわち、本願発明の感光性樹脂組成物においては、部分けん化ポリビニルアルコールと同じ材料系である酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリルポリマー材料(アクリル酸エステル共重合エマルジョン)を使用しているため、アクリルポリマー材料と、水溶性の部分けん化ポリビニルアルコールの混和性を向上させることが可能になるとともに、構成材料として、低温時に造膜安定性の高い材料が用いられているため、均一で安定した感光性樹脂組成物を得ることが可能になる。
そして、この感光性樹脂組成物を用いることにより、露光することにより得られる硬化膜(露光硬化膜)の状態(時点)で、現像に用いられる水に対する膨潤率が低く、かつ、水現像後、乾燥した乾燥膜の状態(時点)で、導電ペーストなどに汎用されるα−テルピネオールなどの溶剤に対する膨潤率の低い樹脂膜を得ることが可能になる。
したがって、感光性樹脂組成物を用いて、印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂膜を備えたスクリーン印刷版を製造することにより、水現像時に膨潤が少なく、ファインラインパターンを形成することが可能で、かつ、ペーストを印刷する際のペーストに含まれる溶剤による膨潤が少なくて、印刷性の良好なスクリーン印刷版を得ることが可能になる。
なお、部分けん化ポリビニルアルコールのけん化度の好ましい範囲は、70〜95mol%である。これは、けん化度が70mol%未満の場合、感光性樹脂組成物の粘度が低すぎて、必要な厚みの樹脂膜を形成することが困難になり、また、95mol%を超えると、感光性樹脂組成物を十分に現像することができず、好ましくないことによる。
また、請求項2の感光性樹脂組成物は、請求項1の感光性樹脂組成物において、(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液として、部分けん化ポリビニルアルコール濃度が10〜20重量%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液を用いた場合に、(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液、(b)のアクリル酸エステル共重合エマルジョン、および(c)の反応性モノマーの合計量に対して、(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液の割合が45重量%以上、60重量%以下、(b)の酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンの割合が0.5重量%以上、20重量%以下、(c)の反応性モノマーの割合が33重量%以上、50重量%以下の割合となるようにしているので、より確実に、水に対する膨潤率の低い露光硬化膜、および、α−テルピネオールなどの溶剤に対する膨潤率の低い、水現像後の乾燥膜を得ることが可能になる。
すなわち、酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョン(アクリルポリマー材料)の割合を、0.5〜20重量%と低くし、反応性モノマーの割合を33〜50重量%と高くすることにより、水および溶剤に対する膨潤をさらに効率よく抑制することが可能になり、水に対する膨潤率の低い露光硬化膜、および、α−テルピネオールなどの溶剤に対する膨潤率の低い、水現像後の乾燥膜を得ることが可能になる。
なお、本願請求項2の感光性樹脂組成物では、部分けん化ポリビニルアルコール濃度が10〜20重量%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液を用いるようにしているが、これは、部分けん化ポリビニルアルコールの濃度が10重量%未満になると、十分な架橋性が得られず、水や溶剤に対する耐膨潤性、硬度などに関し、所望の特性を備えた樹脂膜を形成することが困難になること、また、部分けん化ポリビニルアルコールの濃度が20重量%を超えると、各成分が十分に分散した乳化状の感光性樹脂組成物を得ることが困難になることなどの理由による。
また、請求項3の感光性樹脂組成物のように、ジアゾ樹脂の割合を、(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液、(b)のアクリル酸エステル共重合エマルジョン、および前記(c)の反応性モノマーの合計量に対して、0.2〜2.0重量%の範囲とした場合、保存安定性を確保しつつ、適正露光領域を広くすることが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
なお、ジアゾ樹脂の割合が0.2重量%未満になると、本願発明の感光性樹脂組成物を用いて形成したスクリーンを、露光エネルギーを変化させて露光硬化させる工程を経てスクリーン印刷版を製造した場合における、マスク寸法と実際の製版寸法の差(μm)を露光エネルギー(mJ/cm2)で除したときの直線の傾き(ラチチュード)が大きくなり、適正露光範囲が狭くなりすぎて、製造安定性がやや低下する。また、ジアゾ樹脂の割合が2.0重量%を超えると、ジアゾ樹脂の暗反応による架橋が進行する場合があり、保存安定性がやや悪いという問題点がある。したがって、ジアゾ樹脂の添加量は、0.2〜2.0重量%の範囲とすることが望ましい。
また、請求項4の感光性樹脂組成物のように、ジアゾ樹脂として、ホルムアルデヒド重縮合による硫酸タイプ、またはホルムアルデヒド重縮合によるりん酸タイプのジアゾ樹脂を用いた場合、その添加量を調整することにより、マスク寸法と実際の製版寸法の差(μm)を露光エネルギー(mJ/cm2)で除したときの直線の傾き(ラチチュード)を最適な値とすることが可能になり本願発明をさらに実効あらしめることができる。
また、本願発明(請求項5)の感光性樹脂組成物は、(a)スチルバゾリウム基を付加した部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、(b)ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンと、(c)光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーとを含有しており、露光して硬化させた後の露光硬化膜の、水に対する膨潤率が0%以上、5%以下で、かつ、水現像し、乾燥させた後の乾燥膜の、α−テルピネオールに対する膨潤率が0%以上、5%以下となるようにしているので、均一性、安定性を向上させることが可能になるとともに、露光、硬化させた場合の露光硬化膜の、水に対する膨潤率、および水現像し、乾燥させた後の乾燥膜の、α−テルピネオールなどの溶剤に対する膨潤率を向上させることが可能になる。
すなわち、本願発明の感光性樹脂組成物においては、スチルバゾリウム基を付加させた水溶性の部分けん化ポリビニルアルコールと同じ材料系であるポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリルポリマー材料(アクリル酸エステル共重合エマルジョン)を使用しているため、アクリルポリマー材料と、スチルバゾリウム基を付加させた水溶性の部分けん化ポリビニルアルコールの混和性を向上させることが可能になるとともに、構成材料として、低温時に造膜安定性の高い材料が用いられているため、均一で安定した感光性樹脂組成物を得ることが可能になる。
なお、スチルバゾリウム基を付加させた水溶性の部分けん化ポリビニルアルコールと同じ材料系である酢酸ビニルを保護コロイドとしたアクリルポリマー材料でも同様の効果を得ることができる。
なお、この請求項5の感光性樹脂組成物においても、部分けん化ポリビニルアルコールのけん化度の好ましい範囲は、70〜95mol%である。これは、けん化度が70mol%未満の場合、感光性樹脂組成物の粘度が低すぎて、必要な厚みの樹脂膜を形成することが困難になり、また、95mol%を超えると、感光性樹脂組成物を十分に現像することができず、好ましくないことによる。
また、スチルバゾリウム基を付加した部分けん化ポリビニルアルコールにおいて、スチルバゾリウム基の付加モル数の好ましい範囲は2mol%以上8mol%以下である。これは、スチルバゾリウム基の付加モル数が2mol%未満になると、十分な架橋密度が得られないために硬化膜硬度が低下して、印刷時のスキージ擦動により硬化膜が磨耗しやすくなり、スクリーン版として使用するのに好ましくないこと、また、スチルバゾリウム基の付加モル数が8mol%を超えると、硬化膜の硬度が高くなりすぎて、スクリーン印刷時に硬化膜にひび割れが発生しやすくなり、好ましくないことによる。
また、請求項6の感光性樹脂組成物は、(a)のスチルバゾリウム基を付加した部分けん化ポリビニルアルコール水溶液の割合が45重量%以上、60重量%以下、(b)のポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンの割合が0.5重量%以上、20重量%以下、(c)の光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーの割合が33重量%以上、50重量%以下の範囲となるようにしているので、より確実に感光性樹脂組成物の均一性、安定性を向上させることが可能になるとともに、露光、硬化させた場合の露光硬化膜の、水に対する膨潤率、および水現像し、乾燥させた後の乾燥膜の、α−テルピネオールなどの溶剤に対する膨潤率を向上させることが可能になる。
また、スチルバゾリウム基を付加させた部分けん化ポリビニルアルコール水溶液の含有率を45〜60重量%と高くしているので、本願発明(請求項6)の感光性樹脂組成物を用いてスクリーン印刷版を形成した場合に、十分な解像性を得ることが可能になる。
また、請求項7の感光性樹脂組成物のように、光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーとして、少なくともジペンタエリスリトールカプロラクトン付加ヘキサアクリレートを含有させることにより、耐水性および耐溶剤性に優れた硬化膜を得ることが可能になる。
また、本願発明(請求項8)のスクリーン印刷版は、請求項1〜7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の塗膜を、感光し、現像することにより形成された、印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂膜を備えており、本願発明の感光性樹脂組成物を用いて形成した樹脂膜は、露光、硬化させた場合における水に対する膨潤率が低く、また、水現像し、乾燥させた場合におけるα−テルピネオールなどの溶剤に対する膨潤率も低く、しかも、マスク寸法と実際の製版寸法の差(μm)を露光エネルギー(mJ/cm2)で除したときの直線の傾き(ラチチュード)を調整することが可能であるため、例えば、20μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成が可能なスクリーン印刷版を得ることが可能になる。
また、請求項9のスクリーン印刷版のように、樹脂膜のビッカース硬度が2Hv以上、12Hv以下となるようにした場合、セラミックグリーンシートなどの被印刷体上に、例えばシートくずやゴミなどの異物が付着した状態で印刷を行った場合にも、異物の影響を受けにくく、連続印刷したときにも高精度の印刷を行うことが可能で、印刷にじみによるショート不良の発生が少なく、しかも耐久性のあるスクリーン印刷版を製造することが可能になる。
また、樹脂膜のビッカース硬度が2〜12Hvの範囲にある場合、被印刷体(セラミックグリーンシート)とスクリーン印刷版の間に、仮に異物を挟んで印刷した場合にも、印刷パターン図形部の永久的な変形の発生を防止することが可能で、印刷パターン図形部の永久的な変形に起因する印刷のにじみや、それによるショート不良の発生を防止することができる。
なお、樹脂膜のビッカース硬度は、ポリマーエマルジョンの添加量を調整することにより制御することができる。ただし、添加量が多すぎる場合には、感光性樹脂組成物自体が水に溶解するために樹脂膜が膨潤して解像性が悪くなる。
また、添加量が少ない場合には形成される樹脂膜のビッカース硬度が高く、にじみ不良が発生する場合がある。
さらに、樹脂膜のビッカース硬度は、ジアゾ樹脂の添加量を調整することによっても制御することができる。なお、ジアゾ樹脂の添加量が多くなるほど、架橋密度が高くなるため樹脂膜のビッカース硬度が高くなる。また、ジアゾ樹脂の添加量が少なくなると樹脂膜のビッカース硬度が低くなるとともに、硬化部分と非硬化部分のコントラストがつきにくくなるため、解像性が悪くなる。
また、樹脂膜のビッカース硬度は、スチルバゾリウム基を付加した部分けん化ポリビニルアルコールにおける、スチルバゾリウム基の付加モル数によっても調整することが可能である。
また、請求項10のスクリーン印刷版のように、樹脂膜の被印刷体に接する版の粗さ(Sa)が0.5μm以下になるようにした場合、高精度の印刷を行うことが可能になり、連続印刷したときにも印刷のにじみや、それによるショート不良の発生を少なくすることが可能になる。
なお、樹脂膜の表面粗さに関しては、ポリマーエマルジョンの添加量が増えるほど水に対して膜が膨潤しやすくなるため、添加量が多くなるほど表面粗さが粗くなる傾向がある。しかし、ポリマーエマルジョン水溶液の添加量が20重量%までであれば表面粗さへの影響は小さい。
また、ジアゾ樹脂の添加量が増えるほど水に対して樹脂膜が膨潤しにくくなり、表面粗さが小さくなる傾向があるため、ジアゾ樹脂の添加は高解像化に有利である。
また、請求項11のスクリーン印刷版のように、樹脂膜の被印刷体に接する版の粗さ(Sa)が0.2μm以下となるようにした場合、さらに確実に、高精度の印刷を行うことが可能になり、連続印刷したときにも印刷のにじみや、それによるショート不良の発生を少なくすることが可能になる。
また、本願発明(請求項12)のスクリーン印刷版の製造方法は、(a)請求項1〜7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物をスクリーンメッシュに塗布し、塗膜を形成する塗布工程と、(b)塗膜の、所定の領域に光を照射して感光させる露光工程と、(c)塗膜を水で現像した後、乾燥させて、印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂膜を形成する現像・乾燥工程とを備えており、上記 (b)の露光工程で形成される露光膜として、水に対する膨潤率が0〜5%、上記 (c)の現像・乾燥工程で形成される樹脂膜の、α−テルピネオールに対する膨潤率が0〜5%の樹脂膜を備えたスクリーン印刷版を確実に製造することができる。
また、請求項13のスクリーン印刷版の製造方法のように、ビッカース硬度が2Hv以上、12Hv以下の樹脂膜を形成するようにした場合、異物の影響を受けにくく、耐久性のある、連続印刷したときにも印刷にじみによるショート不良の発生が少ないスクリーン印刷版を製造することが可能になる。
また、請求項14のスクリーン印刷版の製造方法のように、樹脂膜の被印刷体に接する版の粗さ(Sa)を0.5μm以下とすることにより、印刷精度を向上させて、印刷にじみによるショート不良率を低下させることができる。
また、請求項15のスクリーン印刷版の製造方法のように、樹脂膜の被印刷体に接する版の粗さ(Sa)が0.2μm以下とした場合、さらに確実に、印刷にじみによるショート不良の発生が少なく、しかも耐久性のあるスクリーン印刷版を得ることが可能になる。
セラミックグリーンシートなどの被印刷体上に、例えばシートくずやゴミなどの異物が付着した状態で印刷を行った場合にも、連続印刷時の印刷にじみによるショート不良率を下げることが可能になる。
また、本願発明(請求項16)の電子部品の製造方法のように、請求項8〜11のスクリーン印刷版を用いて導電ペーストを被塗布体に印刷し、被塗布体に電極パターンを形成するようにした場合、微細で所望のパターンを有する電極を形成することが可能になるため、小型、高性能で、特性の安定した信頼性の高い電子部品を提供することが可能になる。
以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
[感光性樹脂組成物の作製]
重合度1500、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、濃度が15重量%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
また、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加ヘキサアクリレート(DPCA)850gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン(開始剤)8.5g、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル(促進剤)8.5gを完全に溶解した。
それから、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液1000gと、開始剤および促進剤を溶解したDPCA850g(PVA:アクリルの固形分比率(重量比)=15:85)を、プロペラ式の撹拌機で高速回転して乳化させ、O/W型(水中油滴型)乳化組成物を得た。
さらに、この乳化組成物に酢酸ビニルを保護コロイドとしたアクリルポリマーエマルジョン(最低造膜温度0℃)を100g添加し、上記のプロペラ式の撹拌機を用いて均一に混合した。
また、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液、アクリルポリマーエマルジョン、および開始剤と促進剤とを溶解した反応性モノマーの合計量に対して1.15重量%に相当する量のホルムアルデヒド重縮合タイプの硫酸型ジアゾ樹脂粉末を、純水に溶解してジアゾ水溶液を作製した。
そして、このジアゾ水溶液と青色顔料を、前記の乳化組成物に添加して、均一に撹拌することにより、本願発明の実施例1にかかる感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を作製した。なお、この感光性樹脂組成物(試料)は、表1の試料番号1−2に条件を示す感光性樹脂組成物である。
[スクリーン印刷版の作製]
上述のようにして作製した感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を、線径18μmのステンレス(SUS304)製の線材を用いた400メッシュのスクリーンメッシュ(ステンレスメッシュ)(厚み35μm)に、バケットを用いて塗布した。
このとき、感光性樹脂組成物をスキージ面側に2回塗布、プリント面側に3回塗布し、40℃で乾燥して成膜した。
その後、プリント面側に3回塗布し、40℃で乾燥する作業を12回繰り返して、35μm厚のスクリーンメッシュに30μm厚の感光性樹脂塗膜を形成することにより、未露光のスクリーン印刷版を得た。全体の版厚は35μm(スクリーンメッシュ)+30μm(樹脂塗膜)=65μmである。
それから、感光性樹脂塗膜に、プリント配線用の30μmライン&スペースのテストパターンフィルムを真空密着処理により付与し、4kWのメタルハライドランプで60秒間露光処理した。
次いで、水現像を行い、未露光部の感光性樹脂を除去した。水現像を行うにあたっては、露光後のスクリーン印刷版(スクリーンメッシュ)を、25℃の水に3分間浸漬して未露光部の大部分を溶出させ、さらに25℃の水を6kg/cm2の水圧のスプレーガンにより30cmの距離より噴射して画線部に残存する感光性樹脂を完全に除去した。
それから、40℃の温風で15分間乾燥して、プリント配線用の30μmライン&スペースの細線を有するスクリーン印刷版(試料番号1−2の試料)を得た。
Figure 2005292780
また、同様の材料および調合方法により、材料の配合割合を表1に示すように変化させて、試料番号1−1,および1−3〜1−14の感光性樹脂組成物を作製し、さらにその感光性樹脂組成物を用いてスクリーン印刷版(試料)を作製した。
なお、試料番号1−1〜1−7は組成が本願請求項2の発明の要件を満たす試料であり、試料番号1−8〜1−14は組成が本願請求項2の範囲から外れた試料である。
さらに、比較のため、上記の方法に準じる方法により、表1の試料番号1−15および1−16の感光性樹脂組成物(従来の組成の感光性樹脂組成物)を作製し、さらにその感光性樹脂組成物を用いてスクリーン印刷版を作製した。
なお、表1において、感光性樹脂組成物の組成が本願請求項2の範囲外の試料については、試料番号に*印を付している。
なお、表1の部分けん化ポリビニルアルコールは、重合度1500、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコールの15重量%水溶液である。
また、表1のポリマーエマルジョンは、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加ヘキサアクリレート(DPCA)850gに、2,4−ジエチルチオキサントン(開始剤)8.5g、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル(促進剤)8.5gを溶解したものであって、酢酸ビニルを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンである。
なお、このポリマーエマルジョンは、低造膜温度:0℃の、低温での造膜安定性を有するものである。
また、試料番号1−15,1−16の従来例では、ポリマーエマルジョンとして、保護コロイドなしのアクリル酸エステル共重合エマルジョンを用いた。
また、表1のモノマーは、6官能のジペンタエリスリトールカプロラクトン付加ヘキサアクリレートである。
表1のジアゾ樹脂は、ホルムアルデヒド重縮合タイプの硫酸型ジアゾ樹脂粉末を、純水に溶解して作製したジアゾ水溶液である。
なお、表1のジアゾ樹脂の量は、添加したジアゾ樹脂の固形分量を、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液、ポリマーエマルジョン、およびモノマーの合計量で除した値に100を掛けた値であり、いわゆる外掛けの100分率の値である。なお、ジアゾ樹脂の量に関しては、以下の他の表においても同様である。
また、表1のオリゴマーは、トリメチロールプロパントリアクリレートの2量体である。
[特性の評価]
上述のようにして作製した各感光性樹脂組成物について、水膨潤率、溶剤膨潤率、および硬度を調べるとともに、各感光性樹脂組成物を用いて作製したスクリーン印刷版について、30μm解像性、および印刷性を調べた。その結果を表1に併せて示す。
なお、表1の各特性は以下に説明する方法により調べた。
<水膨潤率>
PETフィルム上にドクターブレード法によりで成膜した感光性樹脂組成物(感光性乳剤)の塗膜を露光し、20mm□にカットした後、水に10分間浸漬し、面積の増加率を定量化した。
<溶剤膨潤率>
PETフィルム上にドクターブレード法により成膜した感光性樹脂組成物(感光性乳剤)の塗膜を露光し、水現像、乾燥を行った後、20mm□にカットし、α−テルピネオールに24時間浸漬した後、面積増加率を調べた。
<硬度>
露光、水現像、および乾燥を行った後の樹脂膜につき、ビッカース硬度試験を行って調べた値である。
<30μm解像性>
上記のプリント配線用の30μmライン&スペースのテストパターンフィルム原版(30μmマスク)を真空密着処理により付与し、4kWのメタルハライドランプで60秒間露光処理した場合において、十分に解像したものを○、糸曳きあるいは目詰まりが発生したものを△、解像しなかったものを×として評価した。
<印刷性>
上述のようにして作製した30μmライン&スペースのスクリーン印刷版を用いて銅ペースト(0.5μm球状銅粉末、エチルセルロース樹脂バインダ、α−テルピネオール溶剤からなる導電ペースト)を印刷した場合の印刷性を示すものであり、断線なく印刷することができたものを○、断線が発生したものを×として評価した。
表1に示すように、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液の比率が45〜60重量%、酢酸ビニルを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンの比率が0.5〜20重量%、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加ヘキサアクリレート(アクリロイル基を有する反応性モノマー)の比率が33〜50重量%の範囲にある試料番号1−1から1−7の試料では、水膨潤率、溶剤膨潤率が5%以下と小さく、しかも、印刷対象基材にあわせて、膜硬度をスクリーン印刷用版に適正な硬度(1.5〜8Hv)に調整することが可能であることが確認された。
また、解像度に関しても、組成が本願請求項2の要件を満たす試料番号1−1〜1−7の試料の場合には、水膨潤率が小さいことから、糸曳きや、目詰まりがなく、良好な解像性が得られることが確認された。
図1に、糸曳きや、目詰まりがなく、解像性が良好なスクリーン印刷版のSEM像を示す。
また、印刷性に関しても、組成が本願請求項2の要件を満たす試料番号1−1から1−7の試料の場合には、電子回路用の銅ペーストを用いて、30μmラインをかすれなく印刷できることが確認された。なお、このとき、実測ライン幅は25μmであった。
図3に、かすれなく印刷された30μmライン(実測25μmライン)の印刷例を示す。
さらに、印刷回数が10,000Shotに達しても、樹脂膜の磨耗による印刷性の劣化の発生は認められなかった。
また、上述の本願請求項2の組成範囲(部分けん化ポリビニルアルコール水溶液の比率45〜60重量%、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加ヘキサアクリレート(アクリル酸エステル共重合エマルジョン)の比率が0.5〜20重量%、アクリロイル基を有する反応性モノマーの比率が、33〜50重量%の組成)から外れた試料番号1−10,1−12,1−13の試料では、水膨潤率が大きく、糸曳きあるいは目詰まりが発生し、良好な解像性が得られなかった。また、溶剤膨潤率も大きく、30μmラインに断線が発生した。また、試料番号1−8,1−9,1−11,1−14の試料では水膨潤率が大きく、パターンが解像しなかった。
さらに、従来の組成範囲の試料番号1−15,1−16の試料の場合、水膨潤率が大きいため、糸曳きあるいは目詰まりが発生し、良好な解像性が得られなかった。また、溶剤膨潤率も大きく、30μm印刷ラインに断線が発生した。
なお、図2に、水膨潤率が大きく、糸曳きの発生した解像不良のスクリーン版のSEM像を示す。また、図4に断線が発生した30μmラインの印刷例を示す。
この実施例2では、ポリマーエマルジョンの効果について検討した。その結果を表2に示す。
Figure 2005292780
なお、表2において、試料番号に*印を付した試料は、感光性樹脂組成物の組成が本願請求項2の範囲外のものである。
表2の試料番号1−1,1−2,1−3,1−4および1−7の試料は、実施例1の表1で示した、酢酸ビニルを保護コロイドとしたアクリル共重合エマルジョンを用いた試料番号1−1,1−2,1−3,1−4および1−7の試料(組成が本願請求項2の要件を備えた試料)と同一の試料である。
また、表2の試料番号2−1から2−5の試料は、ポリマーエマルジョンとして、酢酸ビニルを保護コロイドとしたアクリル共重合エマルジョンの代わりに、保護コロイドを有しないアクリル共重合エマルジョンを用いた試料である。
また、表2の試料番号2−6から2−10の試料は、ポリマーエマルジョンとして、酢酸ビニルを保護コロイドとしたアクリル共重合エマルジョンの代わりに、ポリ酢酸ビニルエマルジョンを用いた試料である。
表2に示すように、ポリマーエマルジョンとして、酢酸ビニルを保護コロイドとしたアクリル共重合エマルジョンを用いた本願発明の実施例にかかる試料番号1−1,1−2,1−3,1−4および1−7の試料では、水膨潤率、溶剤膨潤率が5%以下と小さく、良好な解像性および印刷性を示すこと、および、印刷対象基材にあわせて、膜硬度をスクリーン印刷用版に適正な硬度(1.5〜8Hv)に調整することが可能であることが確認された。
しかしながら、試料番号1−1,1−2,1−3,1−4および1−7の試料と同じ配合割合で、ポリマーエマルジョンとして、保護コロイドを有しないアクリル共重合エマルジョンおよびポリ酢酸ビニルエマルジョンを使用した試料番号2−2から2−5、および試料番号2−6から2−10の試料の場合には、いずれも水および溶剤に対する膨潤率が5%を超えて大きくなり、解像性不良、印刷性不良を引き起こすことが確認された。また、試料番号2−1は、溶剤膨潤率は4%と低かったが、水膨潤率が6%と高く、良好な解像度が得られなかった。
以上の結果より、酢酸ビニルを保護コロイドとしたアクリル共重合エマルジョンの使用が30μm細線の解像には不可欠であることが確認された。
このように、酢酸ビニルを保護コロイドとしたアクリル共重合エマルジョンを用いた場合に、耐水性および耐溶剤性が優れているのは、エマルジョンの周りに酢酸ビニルが少量コーティングされており、水溶性樹脂である部分けん化ポリビニルアルコールとの混和性が良好となることに起因するものと考えられる。すなわち、部分けん化ポリビニルアルコールとの混和性が良好であるために、均一な乳剤組成となり、微細な配線および図形においても、安定した解像性を実現することが可能になることによるものと考えられる。
この実施例3では、ジアゾ樹脂の効果について検討した。
[感光性樹脂組成物の作製]
重合度1500、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%部分けん化ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
また、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加ヘキサアクリレート(DPCA)850gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン(開始剤)8.5g、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル(促進剤)8.5gを完全に溶解した。
それから、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液1000gと、開始剤および促進剤を溶解したDPCA850g(PVA:アクリルの固形分比率(重量比)=15:85)を、プロペラ式の撹拌機で高速回転して乳化させ、O/W型(水中油滴型)乳化組成物を得た。
さらに、この乳化組成物に酢酸ビニルを保護コロイドとしたアクリルポリマーエマルジョン(最低造膜温度0℃)を100g添加し、上記のプロペラ式の撹拌機を用いて均一に混合した。
また、化学式1に示すような構造を有するホルムアルデヒド重縮合タイプの硫酸型ジアゾ樹脂(ジアゾ樹脂A)の粉末を、純水に溶解してジアゾ水溶液を調製した。
Figure 2005292780
また、化学式2に示すような構造を有するホルムアルデヒド重縮合タイプのりん酸型ジアゾ樹脂(ジアゾ樹脂B)の粉末を、純水に溶解してジアゾ水溶液を作製した。
Figure 2005292780
そして、このジアゾ樹脂Aおよびジアゾ樹脂Bを用いたジアゾ水溶液と、青色顔料を乳化組成物に添加して、均一に撹拌することにより、表3の試料番号3−1から3−20の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を作製した。また、試料番号3−1から3−20の感光性樹脂組成物を用いて上記実施例1と同様の方法でスクリーン印刷版を作製した。
なお、表3の試料番号3−1から3−20の感光性樹脂組成物においては、ジアゾ樹脂AおよびBの割合(固形分の割合)は、それぞれ、部分けん化ポリビニルアルコールの固形分量に対して、0.1〜2.5%の範囲で変化させた。
[特性の評価]
そして、上述のようにして作製した各感光性樹脂組成物について、水膨潤率、溶剤膨潤率、および硬度を調べるとともに、各感光性樹脂組成物を用いて作製したスクリーン印刷版について、30μm解像性、および印刷性を調べた。なお、各特性は上記実施例1の場合と同様の方法により調べた。その結果を表3に示す。
また、表3の感光性樹脂組成物を塗布したスクリーンメッシュに、マスクを用いて露光する際に、露光エネルギーを変化させてスクリーン印刷版を形成し、マスク寸法と実際の製版寸法の差(μm)を露光エネルギー(mJ/cm2)で除したときの直線の傾き(ラチチュード)を求めた。その結果を表3、表4および図5に示す。
Figure 2005292780
Figure 2005292780
なお、表3,表4において、ジアゾ樹脂の添加量は、部分けん化ポリビニルアルコールの固形分量に対するジアゾ樹脂の割合(%)である。
表3に示すように、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液の比率が45〜60重量%、アクリル酸エステル共重合エマルジョンの比率が0.5〜20重量%、アクリロイル基を有する反応性モノマーの比率が33〜50重量%の組成の範囲内で、かつ、ジアゾ樹脂の添加量がポリビニルアルコール水溶液、ポリマーエマルジョン、およびモノマーの合計添加量に対して0.1〜2.5重量%の範囲(試料番号3−1から3−20)において、良好な、水膨潤率、溶剤膨潤率が得られることが確認された。
また、表3の感光性樹脂組成物を用いて形成したスクリーン印刷版においては、印刷対象基材にあわせて、膜硬度をスクリーン印刷用版に適正な硬度(2〜10Hv)に調整することが可能であること、良好な解像性および印刷性が得られることが確認された。
また、表4および図5に示すように、0.1〜2.5重量%の範囲では、ジアゾ樹脂の濃度が高くなるほどラチチュードは小さくなり、適正露光領域を広く設計できることが確認された。
ただし、ジアゾ樹脂が0.2重量%未満になると、ラチチュードが大きくなり過ぎて(試料番号3−1の場合0.046、試料番号3−11の場合0.044)、適正露光範囲が狭くなって、製造安定性がやや低下する傾向があり、また、ジアゾ樹脂が2.0重量%を超えると、ラチチュードは小さいが、ジアゾ樹脂の暗反応による架橋が進行する場合があるため、保存安定性がやや悪くなることがある。したがって、ジアゾ樹脂の添加量は、部分けん化ポリビニルアルコールの固形分量に対して、0.2〜2.0重量%の範囲とすることが望ましい。
なお、表3,表4および図5に示すように、ジアゾ樹脂として、ホルムアルデヒド重縮合タイプの硫酸型ジアゾ樹脂(ジアゾ樹脂A)と、ホルムアルデヒド重縮合タイプのりん酸型ジアゾ樹脂(ジアゾ樹脂B)のいずれを用いた場合にも、同様の効果が得られることが確認された。
[感光性樹脂組成物の作製]
重合度1500、スチルバゾリウム基2mol%を付加した、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、濃度が15重量%のスチルバゾリウム基付加ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
また、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加ヘキサアクリレート(DPCA)850gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン(開始剤)を8.5g、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル(促進剤)8.5gを完全に溶解した。
それからスチルバゾリウム基付加ポリビニルアルコール水溶液1000gと、開始剤を溶解したDPCA850g(PVA:アクリルの固形分比率(重量比)=15:85)を、プロペラ式の撹拌機で高速回転して乳化させO/W型(水中油滴型)乳化組成物を得た。
さらに、この乳化組成物にポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリルポリマーエマルジョン(最低造膜温度0℃)を100g添加し、上記の撹拌機を用いて均一に混合した。
それから、青色顔料を上記の乳化組成物に添加して、均一に撹拌し、感光性乳剤を作製した。
[スクリーン印刷版の作製]
上述のようにして作製した感光性乳剤を、線径18μmのステンレス(SUS304)製の線材を用いた400メッシュのスクリーンメッシュ(ステンレスメッシュ)(厚み35μm)に、バケットを用いて塗布した。
このとき、感光性樹脂組成物をスキージ面側に2回塗布、プリント面側に3回塗布し、40℃で乾燥して成膜した。
その後、プリント面側に3回塗布し、40℃で乾燥する作業を12回繰り返して、35μm厚のスクリーンメッシュに30μm厚の感光性樹脂塗膜を形成することにより、未露光のスクリーン印刷版を得た。全体の版厚は35μm(スクリーンメッシュ)+30μm(樹脂塗膜)=65μmである。
それから、感光性樹脂塗膜に、プリント配線用の30μmライン&スペースのテストパターンフィルムを真空密着処理により付与し、4kWのメタルハライドランプで60秒間露光処理した。
次いで、水現像を行い、未露光部の感光性樹脂を除去した。水現像を行うにあたっては、露光後のスクリーン印刷版(スクリーンメッシュ)を、25℃の水に3分間浸漬して未露光部の大部分を溶出させ、さらに25℃の水を6kg/cm2の水圧のスプレーガンにより30cmの距離より噴射して画線部に残存する感光性樹脂を完全に除去した。
それから、40℃の温風で15分間乾燥して、プリント配線用の30μmライン&スペースの細線を有するスクリーン印刷版を得た。
なお、上記のスクリーン印刷版(試料)は、表5の試料番号5−2に条件を示す試料である。
また、同様の材料および調合方法により、組成を表5に示すように変化させて、試料番号5−1,および5−3から5−7の感光性樹脂組成物を作製するとともに、それらの感光性樹脂組成物を用いてスクリーン印刷版(試料)を作製した。
また、上記の方法に準じる方法により、組成が本願請求項6の範囲外の、表5の試料番号5−8から5−14の感光性樹脂組成物を作製するとともに、それらの感光性樹脂組成物を用いてスクリーン印刷版(試料)を作製した。
さらに、比較のため、上記の方法に準じる方法により、表5の試料番号5−15および5−16の感光性樹脂組成物(従来の組成の感光性樹脂組成物)を作製し、さらにその感光性樹脂組成物を用いてスクリーン印刷版を作製した。
なお、表5において、感光性樹脂組成物の組成が本願請求項6の範囲外の試料については、試料番号に*印を付している。
Figure 2005292780
表5において、スチルバゾリウム基付加ポリビニルアルコールは、重合度1500、スチルバゾリウム基2mol%を付加した、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコールの15重量%水溶液である。
また、ポリマーエマルジョンは、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加ヘキサアクリレート(DPCA)850gに、2,4−ジエチルチオキサントン(開始剤)8.5g、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル(促進剤)8.5gを溶解したものであって、ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンである。なお、このポリマーエマルジョンは、低造膜温度:0℃の、低温での造膜安定性を有するものである。
また、表5のモノマーは、6官能のジペンタエリスリトールカプロラクトン付加ヘキサアクリレートである。
また、表5のオリゴマーは、トリメチロールプロパントリアクリレートの2量体である。
[特性の評価]
そして、上述のようにして作製した各感光性樹脂組成物について、水膨潤率、溶剤膨潤率、および硬度を調べるとともに、各感光性樹脂組成物を用いて作製したスクリーン印刷版について、30μm解像性、および印刷性を調べた。その結果を表5に併せて示す。
なお、各特性の測定方法は上記実施例1の場合と同様である。
表5より、スチルバゾリウム基付加ポリビニルアルコール水溶液の比率が、45〜60重量%、ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンの比率が0.5〜20重量%、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加ヘキサアクリレート(アクリロイル基を有する反応性モノマー)の比率が33〜50重量%の範囲にある試料番号5−1から5−7の試料では、水膨潤率、溶剤膨潤率が5%以下と小さく、しかも、印刷対象基材にあわせて、膜硬度をスクリーン印刷用版に適正な硬度(2〜10Hv)に調整することが可能であることが確認された。
また、解像度に関しても、組成が本願請求項6の要件を満たす試料番号5−1から5−7の試料の場合には、水膨潤率が小さいことから、糸曳きや、目詰まりなく、良好な解像性が得られることが確認された。
また、印刷性に関しても、組成が本願請求項6の要件を満たす試料番号5−1から5−7の試料の場合には、電子回路用の銅ペーストを用いて、30μmラインをかすれなく印刷できることが確認された。なお、このとき、実測ライン幅は25μmであった。
さらに、印刷回数が10,000Shotに達しても、樹脂膜の磨耗による印刷性の劣化の発生は認められなかった。
なお、上述の好ましい組成範囲(スチルバゾリウム基付加ポリビニルアルコール水溶液の比率が、45〜60重量%、ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンの比率が0.5〜20重量%、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加ヘキサアクリレート(アクリロイル基を有する反応性モノマー)の比率が33〜50重量%の範囲)から外れた試料番号5−10,5−12の試料では、水膨潤率が大きく、糸曳きあるいは目詰まりが発生し、良好な解像性が得られなかった。また、溶剤膨潤率も大きく、30μmラインに断線が発生した。また、試料番号5−8,5−9,5−11,5−13および5−14の試料では水膨潤率が大きく、パターンが解像しなかった。
さらに、従来の組成範囲の比較例、試料番号5−15,5−16の試料の場合、水膨潤率が大きいため、糸曳きあるいは目詰まりが発生し、良好な解像性が得られなかった。また、溶剤膨潤率も大きく、30μm印刷ラインに断線が発生した。
この実施例5では、ポリマーエマルジョンの効果について検討した。その結果を表6に示す。
Figure 2005292780
なお、表6において、試料番号に*印を付した試料は、感光性樹脂組成物の組成が本願請求項6の範囲外のものである。
表6の試料番号5−1,5−2,5−3,5−4および5−7の試料は、実施例4の表5で示した、ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル共重合エマルジョンを用いた試料番号5−1,5−2,5−3,5−4および5−7の試料(組成が本願請求項6の要件を備えた試料)と同一の試料である。
また、表6の試料番号6−1から6−5の試料は、ポリマーエマルジョンとして、ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル共重合エマルジョンの代わりに、保護コロイドを有しないアクリル共重合エマルジョンを用いた比較例の試料である。
また、試料番号6−6から6−10の試料は、ポリマーエマルジョンとして、ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル共重合エマルジョンの代わりに、ポリ酢酸ビニルエマルジョンを用いた試料である。
表6に示すように、ポリマーエマルジョンとして、ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル共重合エマルジョンを用いた本願発明の実施例にかかる試料番号5−1,5−2,5−3,5−4および5−7の試料では、水膨潤率、溶剤膨潤率が5%以下と小さく、良好な解像性および印刷性を示した。しかも、印刷対象基材にあわせて、膜硬度をスクリーン印刷用版に適正な硬度(2〜10Hv)に調整することが可能であることが確認された。
しかしながら、試料番号5−1,5−2,5−3,5−4および5−7の試料と同じ配合割合で、ポリマーエマルジョンとして、保護コロイドを有しないアクリル共重合エマルジョンおよびポリ酢酸ビニルエマルジョンを使用した場合には、いずれも水および溶剤に対する膨潤率が5%以上と大きくなり、解像性不良、印刷性不良を引き起こすことが確認された。
以上の結果より、ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル共重合エマルジョンの使用が30μm細線の解像には不可欠であることが確認された。
このように、ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル共重合エマルジョンを用いた場合に、耐水性および耐溶剤性が優れているのは、エマルジョンの周りにポリビニルアルコールが少量コーティングされており、水溶性樹脂であるスチルバゾリウム基付加部分けん化ポリビニルアルコールとの混和性が良好となることに起因するものと考えられる。すなわち、スチルバゾリウム基付加部分けん化ポリビニルアルコールとの混和性が良好であるため、均一な乳剤組成となり、微細な配線および図形においても、安定した解像性を実現することが可能になることによるものと考えられる。
本願発明の感光性樹脂組成物を用いてスクリーン印刷版を製造するにあたっては、感光性樹脂組成物を直接にスクリーンメッシュに塗布する直接法の他に、例えば、PETフィルムなどの剥離性フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥してフィルムを作製し、このフィルムを、水または本願発明の感光性樹脂組成物を塗布しておいたスクリーンメッシュに転写して貼り付ける方法(直間法)を用いることも可能である。
この実施例6では、(a)部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、(b)ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンと、(c)光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーと、(d)ジアゾ樹脂とを表7の割合で配合した感光性樹脂組成物を作製した。なお、樹脂膜の硬度(ビッカース硬度)の調整は、(b)のアクリル酸エステル共重合エマルジョンの添加量と、(d)のジアゾ樹脂の添加量を調整することにより行った。
[スクリーン印刷版の作製]
上述のようにして作製した表7の感光性樹脂組成物と、線径18μmのステンレス(SUS304)製の線材を用いた400メッシュのスクリーンメッシュ(ステンレスメッシュ)を用いて、上記実施例1のスクリーン印刷版の作製方法と同じ方法により、表7の試料番号7−2〜7−7に示すような、樹脂膜(膜厚10μm)の硬度(ビッカース硬度)が1〜30Hvで、スパイラル図形の30μmラインが解像するスクリーン印刷版を作製した。
また、比較のため、表7の試料番号7−1に示すような、線径18μmのステンレス(SUS304)製の線材を用いた400メッシュのスクリーンメッシュ(ステンレスメッシュ)を用いたサスペンドメタルマスク版を用意した。このサスペンドメタルマスク版は、版枠に外周を接着固定したスクリーンメッシュの印刷面側(印刷対象物との対向面側)に所定の画像透孔を有するニッケル薄膜(膜厚10μm)からなるメタルマスクを接着固定するとともに、スクリーンメッシュのスキージ面側(上記印刷面側とは逆側の面)に、メタルマスクの画像透孔を避けて樹脂を塗布固化したものである。
[導電ペーストの印刷]
上述のようにして作製したスクリーン印刷版および比較用のサスペンドメタルマスク版を搭載したスクリーン印刷機を用いて、厚み50μmのセラミックグリーンシート上に、銅粉末を導電成分として含有する粘度250Pa・Sの導電ペーストを印刷した。なお、スクリーン印刷を行うにあたっては、スキージ速度100mm/s、印圧71Nの条件で印刷した。
そして、30μmラインから形成されるスパイラル図形のショート不良発生率を調べた。なお、ショート不良発生率は、1ショットで印刷される6000個の図形を観察し、そのときの不良発生数から算出した。
また、ショート不良発生率を調べるにあたっては、
(a)セラミックグリーンシート上に異物がない場合(異物による凹み変形の影響を受けていないスクリーン印刷版)と、
(b)意図的にセラミックグリーンシートのカット時に発生する異物(カットくず)をセラミックグリーンシート上に載せて印刷を行い、その後、異物を除去した後に印刷した場合(異物による凹み変形の影響を受けたスクリーン印刷版)
の両方についてショート不良発生率を調べ比較した。
その結果を表7に併せて示す。
なお、表7において、*印を付した試料は、請求項9、13の要件(ビッカース硬度が2〜12の範囲にあるという要件)を備えていない試料である。
Figure 2005292780
表7に示すように、試料番号7−1の比較例のサスペンドメタルマスク版では、上記(a)の異物のない条件の場合にはショート不良の発生は認められなかったが、上記(b)の意図的に異物をセラミックグリーンシート上に載せて印刷を行い、その後、異物を除去した後に印刷した場合には、異物によりサスペンドメタルマスク版に変形が生じた箇所で導電ペーストのにじみが生じ、ショート不良が15.5%発生した。なお、図6に、異物により変形が生じたサスペンドメタルマスク版を用いて銅ペーストを印刷することにより形成した配線のショート発生箇所を示す。
また、感光性樹脂組成物を用いて作製したスクリーン印刷版の場合、樹脂膜(膜厚10μm)の硬度(ビッカース硬度)が12Hvを超える20Hv,30Hvで表面粗さ(Sa)が0.5μmよりも大きい場合(表7の試料番号7−2,7−3の場合)には、印刷にじみによるショート不良が発生した。これは、樹脂膜の硬度が高すぎてセラミックグリーンシートとスクリーン印刷版の密着性が悪く、導電ペーストが画像透孔(開口部)の縁からスクリーン印刷版の下面側にまで回り込んでしまうことによるものである。
ただし、試料番号7−2,7−3の試料の場合には、上記(b)の意図的に異物をセラミックグリーンシート上に載せて印刷を行い、その後、異物を除去した後に印刷した場合にも、ショート不良発生率の増加はわずかしか認められなかった。これは、異物を挟み込んだ場合にも、樹脂膜に変形が生じないことによる。
また、組成が本願請求項1の発明の要件を備えた感光性樹脂組成物を用いて作製した、樹脂膜の硬度(ビッカース硬度)が2Hv以上12Hv以下のスクリーン印刷版を使用した場合(表7の試料番号7−4,7−5,7−6の試料の場合)には、ショート不良の発生は認められなかった。これは、樹脂膜の硬度が適切で、セラミックグリーンシートとスクリーン印刷版の密着性が良好で、導電ペーストが画像透孔(開口部)の縁からスクリーン印刷版の下面側に回り込むことが阻止されたことによる。また、試料番号7−4,7−5,7−6の試料の場合、上記(b)の意図的に異物をセラミックグリーンシート上に載せて印刷を行い、その後、異物を除去した後に印刷した場合にも、スクリーン印刷版の変形が発生することはなく、ショート不良の発生は認められなかった。
なお、図7に、試料番号7−4のスクリーン印刷版を用いて銅ペーストを印刷することにより形成した配線を示す。
また、試料番号7−4,7−5,7−6の試料のうち、表面粗さ(Sa)が、0.5μmの試料番号7−4の場合には、5,000shotの連続印刷後に、わずかではあるが、0.4%にショート不良の発生が認められたが、表面粗さ(Sa)が、0.2μm以下である試料番号7−5,7−6の試料の場合、5,000shotの連続印刷後にも、ショート不良の発生は認められなかった。このデータから、表面粗さ(Sa)は0.5μm以下であることが望ましく、表面粗さ(Sa)が0.2μm以下であることがより望ましいことがわかる。
また、感光性樹脂組成物を用いて作製したスクリーン印刷版であって、樹脂膜の硬度が2Hv未満の1Hvである試料番号7−7の試料の場合には、樹脂膜の硬度が低いため、初期にじみや異物による変形によるにじみが抑制、防止され、上記(a)の異物のない条件の場合、および、上記(b)の意図的に異物をセラミックグリーンシート上に載せて印刷を行い、その後、異物を除去した後に印刷した場合のいずれの場合にも、ショート不良が発生することはなかった。しかし、5,000shotの連続印刷を行ったところ、樹脂膜に磨耗が発生し、導電ペーストが画像透孔(開口部)の縁からスクリーン印刷版の下面側にまで回り込んでにじみが発生し、ショート不良が5.7%発生することが確認された。
上述の結果から、本願発明の感光性樹脂組成物を用いて作製された、樹脂膜の硬度が2Hv以上、12Hv以下、印刷面の表面粗さ(Sa)が0.5μm以下のスクリーン印刷版を用いることにより、従来のサスペンドメタルマスク版を用いる場合に比べて、ショート不良の発生を低減して、配線幅30μmというようなファインラインを確実にしかも経済的に印刷することが可能になることがわかる。
[本願発明の電子部品の製造方法]
この実施例7では、本願発明の感光性樹脂組成物を用いて作製したスクリーン印刷版により導電ペーストを印刷する工程を経て電子部品を製造する方法について説明する。なお、実施例7では、図8に示すような構造を有する積層セラミックコンデンサを製造する場合を例にとって説明する
この積層セラミックコンデンサ1は、セラミック層(誘電体セラミック層)2と、第1の内部電極8及び第2の内部電極9が交互に積層された直方体形状の積層体(セラミック素子)3の第1の端面4及び第2の端面5に、第1の内部電極8と導通する第1の外部電極6及び第2の内部電極9と導通する第2の外部電極7が配設された構造を有するチップタイプの積層セラミックコンデンサである。なお、外部電極6,7の上には、それぞれ、第1のめっき層10,11、第2のめっき層12,13が形成されている。
以下、この積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。
(1)まず、出発原料として、チタン酸バリウムなどのセラミック原料粉末と、特性改質などを目的とした添加物を所定量ずつ秤量し、湿式混合を経て、混合粉とする。なお、各添加物成分として、通常は、酸化物粉末あるいは炭酸化粉末の形態のものが用いられる。
(2)次いで、上述の混合粉に有機バインダ及び溶媒を添加して分散させることによりセラミックスラリーを調製し、このセラミックスラリーをシート状に成形することにより、セラミック層2となるセラミックグリーンシートを形成する。
(3)次に、特定のセラミックグリーンシート上に、内部電極8及び9となるべき電極ペースト膜を印刷する。このとき、本願発明の感光性樹脂組成物を用いて、内部電極ペースト膜となる所望の形状が開口部として形成されているスクリーン印刷版を製版し、印刷に用いる。具体的には、この製版したスクリーン印刷版を、セラミックグリーンシート上部に配置し、例えばNi粉末、有機バインダとしてエチルセルロースと、溶剤としてターピネオールを含有する導電ペーストを、スクリーン印刷版上に準備する。この導電ペーストをスキージゴム等でスキージングすることによって、本願発明の感光性樹脂組成物の被膜が形成されていない開口部から導電ペーストが吐出され、被塗布体としてのセラミックグリーンシート上に内部電極ペースト膜が形成される。
(4)それから、上述のように内部電極ペースト膜を形成したセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層、圧着した後、必要に応じてカットする。これにより、内部電極8,9の各端縁が端面4,5に露出した状態の積層体(未焼成の積層体)3が得られる。
(5)次いで、この積層体3を還元性雰囲気下で焼成して、セラミックを焼結させる。
(6)その後、焼成された積層体(セラミック素子)3の第1及び第2の端面4,5に、外部電極形成用の導電ペーストを塗布して焼き付けることにより、第1及び第2の内部電極8,9の露出した各端縁と電気的に導通する第1及び第2の外部電極6,7を形成する。
なお、外部電極6,7の材料組成は、特に限定されるものではなく、内部電極8,9と同じ材料を使用することも可能であり、異なる材料を使用することも可能である。
(7)それから、必要に応じて外部電極6,7を、Ni、Cu、Ni−Cu合金などからなる第1のめっき層10,11によってそれぞれ被覆し、さらにこれらめっき層10,11上に、半田付け性を向上させる目的で、半田、錫などからなる第2のめっき層12,13を形成する。これにより、図8に示すような構造を有する積層セラミックコンデンサが得られる。
ここでは、積層セラミックコンデサの内部電極パターンを印刷する場合を例に挙げているが、例えば多層基板の導体パターンや、アルミナ基板へ回路配線パターン等を形成する際にも、本願発明のスクリーン印刷版を用いることができる。
上述のように、本願発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、耐久性、耐刷性に優れ、ファインライン画像形成が可能なスクリーン印刷版を作製することが可能になる。また、本願発明のスクリーン印刷版を用いることにより、長期間にわたって、形状精度の高いスクリーン印刷を行うことが可能になり、スクリーン印刷による印刷工法により内部電極などが形成される電子部品の小型化、高機能化の要求に応えることが可能になる。さらに、本願発明のスクリーン印刷版の製造方法によれば、本願発明の要件を備えたスクリーン印刷版を効率よく製造することが可能になる。
したがって、本願発明は、スクリーン印刷版の製造や、それを用いて形成される電子部品などに広く適用することが可能である。
本願発明の一実施例にかかるスクリーン印刷版のSEM像である。 従来組成の感光性樹脂組成物を用いて作製した比較例のスクリーン印刷版のSEM像である。 本願発明の一実施例にかかるスクリーン印刷版を用いて形成した30μmラインの印刷例を示す図である。 従来組成の感光性樹脂組成物を用いて作製した比較例のスクリーン印刷版を用いて形成した30μmラインの印刷例を示す図である。 感光性樹脂組成物を塗布したスクリーンメッシュに、マスクを用いて露光する際に、露光エネルギーを変化させてスクリーン印刷版を形成し、マスク寸法と実際の製版寸法の差(μm)を露光エネルギー(mJ/cm2)で除したときの直線の傾き(ラチチュード)と、ジアゾ樹脂のポリビニルアルコールに対する割合の関係を示す線図である。 従来のサスペンドメタルマスクを用いて銅ペーストを印刷することにより形成した配線のショート発生箇所を示す図である。 本願発明の一実施例(実施例6)にかかるスクリーン印刷版を用いて銅ペーストを印刷することにより形成した配線を示す図である。 本願発明の電子部品の製造方法により製造した積層セラミックコンデンサを示す断面図である。
符号の説明
1 積層セラミックコンデンサ
2 セラミック層(誘電体セラミック層)
3 積層体(セラミック素子)
4 第1の端面
5 第2の端面
6 第1の外部電極
7 第2の外部電極
8 第1の内部電極
9 第2の内部電極
10 第1の端面の第1のめっき層
11 第2の端面の第1のめっき層
12 第1の端面の第2のめっき層
13 第2の端面の第2のめっき層

Claims (16)

  1. (a)部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、
    (b)酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンと、
    (c)光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーと、
    (d)ジアゾ樹脂と
    を含有する感光性樹脂組成物であって、
    露光して硬化させた後の露光硬化膜の、水に対する膨潤率が0%以上、5%以下で、かつ、水現像し、乾燥させた後の乾燥膜の、α−テルピネオールに対する膨潤率が0%以上、5%以下であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. 前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液として、部分けん化ポリビニルアルコール濃度が10〜20重量%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液を用いた場合において、
    前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液、前記(b)のアクリル酸エステル共重合エマルジョン、および前記(c)の反応性モノマーの合計量に対して、
    前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液の割合が45重量%以上、60重量%以下、
    前記(b)の酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンの割合が0.5重量%以上、20重量%以下、
    前記(c)の反応性モノマーの割合が33重量%以上、50重量%以下
    の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記ジアゾ樹脂が、前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液、前記(b)のアクリル酸エステル共重合エマルジョン、および前記(c)の反応性モノマーの合計量の0.2重量%以上、2.0重量%以下の割合で含有されていることを特徴とする請求項1または2記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記ジアゾ樹脂が、ホルムアルデヒド重縮合による硫酸タイプ、またはホルムアルデヒド重縮合によるりん酸タイプのジアゾ樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  5. (a)スチルバゾリウム基を付加した部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、
    (b)ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンと、
    (c)光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーと
    を含有する感光性樹脂組成物であって、
    露光して硬化させた後の露光硬化膜の、水に対する膨潤率が0%以上、5%以下で、かつ、水現像し、乾燥させた後の乾燥膜の、α−テルピネオールに対する膨潤率が0%以上、5%以下であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  6. 前記(a)のスチルバゾリウム基を付加した部分けん化ポリビニルアルコール水溶液の割合が45重量%以上、60重量%以下、
    前記(b)のポリビニルアルコールを保護コロイドとしたアクリル酸エステル共重合エマルジョンの割合が0.5重量%以上、20重量%以下、
    前記(c)の光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーの割合が33重量%以上、50重量%以下、
    の範囲にあることを特徴とする請求項5記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記(c)の光重合開始剤を溶解したアクリロイル基を有する反応性モノマーとして、少なくともジペンタエリスリトールカプロラクトン付加ヘキサアクリレートを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の塗膜を、感光し、現像することにより形成された、印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂膜を備えていることを特徴とするスクリーン印刷版。
  9. 前記樹脂膜のビッカース硬度が2Hv以上、12Hv以下であることを特徴とする請求項8記載のスクリーン印刷版。
  10. 前記樹脂膜の被印刷体に接する版の粗さ(Sa)が0.5μm以下であることを特徴とする請求項8または9記載のスクリーン印刷版。
  11. 前記樹脂膜の被印刷体に接する版の粗さ(Sa)が0.2μm以下であることを特徴とする請求項8または9記載のスクリーン印刷版。
  12. (a)請求項1〜7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を、版枠に張設されたスクリーンメッシュに塗布し、塗膜を形成する塗布工程と、
    (b)前記塗膜の、所定の領域に光を照射して感光させる露光工程と、
    (c)前記塗膜を水で現像した後、乾燥させて、印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂膜を形成する現像・乾燥工程と
    を備えるスクリーン印刷版の製造方法であって、
    前記(b)の露光工程で形成される露光膜の水に対する膨潤率が0%以上、5%以下であり、
    前記(c)の現像・乾燥工程で形成される樹脂膜の、α−テルピネオールに対する膨潤率が0%以上、5%以下であること
    を特徴とするスクリーン印刷版の製造方法。
  13. 前記樹脂膜のビッカース硬度が2Hv以上、12Hv以下であることを特徴とする請求項12記載のスクリーン印刷版の製造方法。
  14. 前記樹脂膜の被印刷体に接する版の粗さ(Sa)が0.5μm以下であることを特徴とする請求項12または13記載のスクリーン印刷版の製造方法。
  15. 前記樹脂膜の被印刷体に接する版の粗さ(Sa)が0.2μm以下であることを特徴とする請求項12または13記載のスクリーン印刷版の製造方法。
  16. 請求項8〜11に記載のスクリーン印刷版を用いて導電ペーストを被塗布体に印刷することにより、被塗布体に電極パターンを形成する工程を具備することを特徴とする電子部品の製造方法。
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