JP4639411B2 - ペースト組成物、電子部品およびセラミックグリーンシート、ならびに多層セラミック基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、無機粉末を含むペースト組成物およびセラミックグリーンシート、これらを用いて製造される電子部品、ならびに、多層セラミック基板の製造方法に関するもので、特に、ペースト組成物またはセラミックグリーンシートを得るためのスラリーにおけるゲル化を抑制するための改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯端末機器やコンピュータ等の電子機器中に内蔵される回路基板において、その回路基板としての機能を発揮させるためには、基板内にパターニングされた導体膜やバイアホール導体等の配線導体を形成する必要がある。しかも、近年にあっては、高周波電子機器の高密度化や高速信号化に伴って、これら電子機器に備える回路基板中の導体膜やバイアホール導体等の配線導体は、微細かつ高精度であることが求められている。
【0003】
上述した高周波電子機器に備える回路基板のような高周波電子部品において、導体膜を形成するため、一般に、鉄または銅等の多価金属からなる導電性金属粉末と有機バインダおよび有機溶媒からなる有機ビヒクルとを混合した導体ペーストを用い、これを絶縁性基体上に、所望のパターンをもって付与し、次いで乾燥した後、焼成するといった方法が用いられている。
【0004】
ここで、パターニングされた導体膜の形成は、スクリーン印刷法によるのが通常であるが、この方法で形成した導体膜の場合には、その配線幅および配線間ピッチをより狭くしようとしても、50μm程度とするのが限界である。
【0005】
これに対して、特開平5−287221号公報、特開平8−227153号公報等には、感光性導体ペーストを用いたフォトリソグラフィ技術による微細厚膜配線の形成方法が提案されている。この方法においては、導電性金属粉末、側鎖にカルボキシル基およびエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体、光反応性化合物、光重合開始剤等からなる感光性導体ペーストを絶縁性基体上に塗布し、これを乾燥した後、フォトリソグラフィ技術に基づいてパターニングすることが行なわれる。
【0006】
他方、バイアホール導体は、一般に、有機ビヒクル中にガラス等の絶縁性無機粉末を混合してなる絶縁体ペースト組成物を所定のスクリーンマスクを介して印刷することによって、バイアホール用の貫通孔が形成された絶縁体ペースト膜を形成した後、バイアホール用の貫通孔内に導体ペースト組成物を充填し、これを焼成するといった方法で形成されている。
【0007】
しかしながら、上述の方法では、スクリーン印刷によるにじみやかすれ等により、せいぜい直径200μmのバイアホール用貫通孔を作るのが限界である。
【0008】
これに対して、特開平6−283846号公報には、絶縁体ペースト組成物に対して感光性有機成分をさらに混合して得られた感光性ペースト組成物を用い、フォトリソグラフィ技術によって微細なバイアホール用貫通孔を形成するといった方法が提案されている。
【0009】
また、高周波モジュール用基板やハイブリッドIC用基板に代表される多層セラミック基板についても、これをより多機能化、高密度化、高性能化するためには、配線を高密度に施すことが有効である。そして、特に多層セラミック基板にあっては、多層セラミック基板内に高精度の受動部品を内蔵することも、より多機能化、高密度化、高性能化のために有効である。
【0010】
上述したように受動部品を内蔵する多層セラミック基板を製造するための方法が、たとえば特開平9−92983号公報に記載されている。この公報では、インダクタやコンデンサ等の受動部品を内蔵した多層セラミック基板を製造するため、絶縁性、誘電性、磁性等の様々な特性をそれぞれ有する複数種類のセラミックグリーンシートを用いて、多層セラミック基板内部に部分的にインダクタやコンデンサを形成する方法が開示されている。
【0011】
また、多層セラミック基板の多機能化、高密度化、高性能化のためには、前述したセラミックグリーンシートに、必要に応じて、微細なバイアホール導体を設けなければならない。セラミックグリーンシートにバイアホール導体を設けるために貫通孔を形成する方法としては、従来から金型によって打ち抜く方法が一般的である。
【0012】
しかしながら、上述の打ち抜く方法では、セラミックグリーンシートに力学的負荷をかけて加工するため、貫通孔をより小径にしようとしても、せいぜい直径100μm程度とするのが限界である。
【0013】
これに対して、より微細なバイアホールのための貫通孔を形成する方法として、たとえば、特開平10−279364号公報には、フォトリソグラフィ技術によるバイアホール用貫通孔の形成方法が開示されている。この方法は、感光性樹脂とセラミック粉末とを混合してなる感光性スラリーをシート状に成形して感光性セラミックグリーンシートを作製し、これにフォトマスクを介して紫外光等の活性光線を用いて露光した後に現像処理を施すといった工程を経て、微細なバイアホール用貫通孔を形成するというものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
近年、感光性ペーストまたは感光性スラリーを用いたフォトリソグラフィ技術においては、環境への配慮から、水またはアルカリ水溶液による現像が可能であることが望まれている。
【0015】
そのため、感光性ペーストまたは感光性スラリーにおいては、プロトンを遊離する性質のあるカルボキシル基やヒドロキシル基等の酸性官能基を側鎖に導入した有機高分子化合物を含む有機バインダが用いられている。
【0016】
しかしながら、感光性ペーストまたは感光性スラリーを調製するため、上述のような酸性官能基を有する有機高分子化合物を含む有機バインダに、ガラス粉末やセラミック粉末等の多価金属もしくはその酸化物を含有する粉末を加えると、このような粉末から溶出した多価金属イオンと、プロトン遊離後に生成される有機高分子化合物のアニオンとがイオン架橋し、3次元的なネットワークを形成することによってゲル化が発生することが判明した。
【0017】
このようにゲル化が生じた不均一なペーストまたはスラリーは、加工性が低く、そのため、適正なパターンをもっての塗布、均一な厚みでのシート成形、さらには微細な貫通孔の形成等を困難にする。また、塗布された感光性ペースト膜に対する現像が不安定になるという問題も引き起こす。また、不均一なスラリーをもって成形されたセラミックグリーンシートを用いてセラミック基板等の電子部品を作製しようとすると、その焼成時にクラックが入る等の理由で、結果として力学的に脆いセラミック基板等の電子部品しか得られない。
【0018】
なお、ゲル化を防止する方法として、たとえば特開平9−218509号公報ではリン酸等のリン含有化合物を、特開平9−218508号公報ではベンゾトリアゾール等のアゾール構造を持つ化合物を、特開平9−222723号公報では酢酸等のカルボキシル基を有する有機化合物を、それぞれ、ゲル化抑制剤として感光性ペーストに含有させることが開示されている。
【0019】
しかしながら、これらの方法は、感光性ペーストがゲル化するまでの時間を若干長くするにすぎないため、感光性ペーストの実用上の困難さは実質的に解消されていない。
【0020】
また、特開平10−171107号公報では、有機溶剤として、3−メチル−3−メトキシブタノールを使用することによってゲル化を防止できるとしている。しかしながら、3−メチル−3−メトキシブタノールは沸点が174℃と低いため、塗布後の感光性ペーストを乾燥させたときに有機溶剤成分が完全に蒸発してしまい、ゲル化防止の効果がなくなる。その結果、乾燥状態のペースト中でもゲル化と似たような現象、すなわちイオン架橋による3次元ネットワークが形成されて実質的な分子量が高くなるという現象が起こって、未露光部が現像液に溶出しなくなる、等の問題が生じることがある。
【0021】
なお、上述した種々の問題は、そのいくつかについては、感光性ペーストまたは感光性スラリーに特有のものであるが、このような感光性特有の問題を除けば、酸性官能基を有する有機高分子化合物を含む有機バインダを含有するペーストまたはスラリー全般に当てはまるものである。
【0022】
そこで、この発明の目的は、上述した問題を解決しようとすることである。
【0023】
この発明のより特定的な目的は、基体との密着力が高く、微細かつ厚膜の導体膜のような機能材料膜またはバイアホール導体を有する層を形成でき、さらにゲル化を抑制して保存安定性に優れた、ペースト組成物を提供しようとすることである。
【0024】
この発明のより特定的な他の目的は、上述のようなペースト組成物を用いて形成された機能材料膜または層を備える、回路基板のような電子部品を提供しようとすることである。
【0025】
この発明のより特定的なさらに他の目的は、スラリーのゲル化を抑制して、均一性および加工性に優れた、セラミックグリーンシートを提供しようとすることである。
【0026】
この発明のより特定的なさらに他の目的は、上述のようなセラミックグリーンシートを用いて構成される、力学的に丈夫なセラミック基板のような電子部品を提供しようとすることである。
【0027】
この発明のより特定的なさらに他の目的は、上述のようなセラミックグリーンシートを用いて実施され、かつ、高密度でかつ微細なパターンをもって導体膜およびバイアホール導体が設けられた、多層セラミック基板の製造方法を提供しようとすることである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本件発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、溶液中に、酸性官能基を有する有機高分子化合物を含む有機バインダのアニオンと多価金属のイオンとが溶出してしまうような系に、アミド構造を持つ化合物を含有させることにより、ゲル化を有効に抑制できることを見出し、この発明をなすに至ったものである。
【0029】
まず、この発明は、ペースト組成物に向けられる。このペースト組成物は、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体を含む有機バインダと、多価金属またはその化合物を含む無機粉末とを含むとともに、分子量が1000未満のアミド構造を持つ化合物と、感光性有機成分とを含むことを特徴としている。
【0030】
上述した無機粉末は、多価金属またはその化合物を含む、導電性金属粉末または導電性金属粉末とガラス粉末との混合物であっても、ガラス粉末および/またはセラミック粉末であってもよい。上記導電性金属粉末としては、たとえば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデンおよびタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む粉末が用いられる。
【0031】
この発明は、また、基体と、上述したようなペースト組成物を、基体上に付与し、次いで焼成することによって得られた、機能材料膜とを備える、電子部品にも向けられる。
【0032】
また、この発明は、上述のようなペースト組成物を焼成することによって得られた層を備える、電子部品にも向けられる。
【0033】
この発明に係るペースト組成物によれば、アミド構造を有する化合物を含有しているので、塗布前のペースト状態および塗布・乾燥後の塗膜状態のいずれにおいても、ゲル化の進行を十分に抑制することができ、また、基体との密着力が高く、導体膜やバイアホール導体等の各種配線導体を微細かつ高精度に形成でき、ひいては、高密度配線化かつ高速信号化を十分に達成し得る回路基板等の電子部品を得ることができる。
【0034】
上述したゲル化の抑制は、アミド構造を有する化合物中のアミド部位が、有機バインダに含まれるアクリル系共重合体のカルボキシル基に比べて、多価金属イオンとの結合力が際立って強く、したがって、ペースト組成物の溶液部分に溶出した多価金属イオンとこのアミド構造を有する化合物とが先に反応して、アクリル系共重合体のアニオンと多価金属イオンとのイオン架橋およびその3次元ネットワーク形成を妨げることによるものである。
【0035】
この発明は、さらに、セラミックグリーンシートにも向けられる。このセラミックグリーンシートは、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体を含む有機バインダと、少なくともセラミック粉末を含み、かつ多価金属またはその化合物を含有した無機粉末と、分子量が1000未満のアミド構造を持つ化合物と、感光性有機成分とを含むスラリーを、シート状に成形することによって得られたものであることを特徴としている。
【0036】
上述した無機粉末としては、たとえば、ホウ素、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、鉛、ビスマス、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、クロム、ストロンチウムおよびチタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の多価金属および/またはその酸化物を含むものが用いられる。
【0037】
この発明は、また、上述のようなセラミックグリーンシートを焼成してなるセラミック層を備える、電子部品にも向けられる。
【0038】
さらに、この発明は、上述のようなセラミックグリーンシートを用いて実施される、多層セラミック基板の製造方法にも向けられる。この多層セラミック基板の製造方法は、この発明に係る複数のセラミックグリーンシートを用意する工程と、これらセラミックグリーンシートの特定のものにフォトリソグラフィ技術を用いて貫通孔を設ける工程と、貫通孔内に導体ペーストを付与することによってバイアホール導体を形成する工程と、バイアホール導体に接続されるようにセラミックグリーンシート上に導体ペーストを付与することによって導体膜を形成する工程と、バイアホール導体が形成されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層することによって生の積層体を作製する工程と、この生の積層体を焼成する工程とを備えることを特徴としている。
【0039】
このようなセラミックグリーンシートにおいても、これを成形するために用意されるスラリーに含まれるアミド構造を有する化合物が、前述したペースト組成物の場合と同様の作用を果たし、ゲル化の進行を十分に抑制する。
【0040】
この発明において、アミド構造を持つ化合物としては、モノアミド化合物または脂肪酸アミドが好適に用いられる。脂肪酸アミドが用いられる場合、好ましくは、飽和脂肪酸アミドが用いられる。
【0041】
また、この発明において、アミド構造を持つ化合物は、ペースト組成物またはセラミックグリーンシートのためのスラリー中において、0.03重量%〜0.5重量%含有することが好ましい。
【0046】
この発明において、ペースト組成物またはセラミックグリーンシートのためのスラリーは、さらにモノオール化合物を含むことが好ましい。
【0047】
また、この発明において、ペースト組成物またはセラミックグリーンシートのためのスラリーは、有機バインダに含まれる有機高分子化合物のアニオンを吸着する性質を有するアニオン吸着性物質をさらに含むことが好ましい。
【0048】
また、この発明において、ペースト組成物またはセラミックグリーンシートのためのスラリーは、さらにチクソ剤を含むことが好ましい。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係るペースト組成物またはセラミックグリーンシートのためのスラリーを、その好ましい実施形態に関連して、より詳細に説明する。
【0050】
この発明に係るペースト組成物またはスラリーにおいて、アミド構造を有する化合物としては、アミド部位を1つしか有しないモノアミド化合物が好適に用いられる。それは、アミド部位を2つ以上有する化合物の場合、その化合物が十分低分子量であればゲル化することはないが、分子量1000以上の高分子であると、化合物中のアミド部位によって多価金属イオンと当該化合物との3次元ネットワークが形成されてゲル化することがあるからである。よって、アミド構造を持つ化合物としては、分子量が1000未満のものが用いられる。
【0051】
また、アミド構造を有する化合物として、脂肪酸アミド化合物を好適に用いることができる。それは、多価金属と結合する部位に電子供与性基が隣接すると、その部位と多価金属イオンとの結合力が強まるからであり、超共役による電子供与性のある脂肪族炭化水素鎖がアミド部位に隣接する脂肪酸アミド化合物においては、このメカニズムによって多価金属イオンとアミド部位の結合力が極めて強くなっているためである。
【0052】
上記脂肪酸アミドは、特に、飽和脂肪酸アミドであることが望ましい。それは、アミド部位に隣接する脂肪族炭化水素鎖が飽和脂肪族炭化水素鎖である方が、共役による電子吸引がない分、アミド部位に対する電子供与性が高くなるためである。
【0053】
このようにアミド構造を有する化合物としては、たとえば、酢酸アミド、酪酸アミド、プロピオン酸アミド、吉草酸アミド、ヘキサン酸アミド、ヘプチル酸アミド、オクタン酸アミド、デカン酸アミド、ノナン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。
【0054】
上記アミド構造を有する化合物をペースト組成物またはスラリー中に含有させる方法としては、単にペースト組成物またはスラリー中に混合する方法や、無機粉末表面またはセラミック粉末/ガラス粉末表面にコーティングする方法などがある。後者の粉末表面にコーティングする方法としては、適宜の有機溶剤中にアミド構造を持つ化合物を溶解した溶液を作製した後、この溶液に粉末を投入した状態で、この溶液を攪拌し、次いで、吸引濾過して残渣を取り出し、この残渣を乾燥させる方法などがある。
【0055】
上記アミド構造を有する化合物の、ペースト組成物またはスラリー中に占める量としては、0.03重量%〜0.5重量%であることが望ましい。0.03重量%未満であると、ゲル化を有効に防止できず、他方、0.5重量%を超えると、ペースト組成物を適宜の基体上に塗布したり、スラリーを適宜の基体上でシート状に成形したりする際に、ペースト組成物またはスラリーの、基体に対する表面張力が高くなり、基体上に均一にペースト組成物を塗布したり、均一なセラミックグリーンシートを作製したりすることが困難になるためである。
【0056】
この発明に係るペースト組成物について言えば、そこに含まれる無機粉末としては、導電性金属粉末、または導電性金属粉末とガラス粉末の混合物、またはガラス粉末および/もしくはセラミック粉末が用いられる。
【0057】
上述したガラス粉末としては、ホウ珪酸系ガラス粉末等の公知のガラス粉末を使用できる。また、ガラス粉末は、特に、SiO2 −PbO系、SiO2 −ZnO系、SiO2 −Bi2 O3 系、SiO2 −K2 O系、SiO2 −Na2 O系、SiO2 −PbO−B2 O3 系、SiO2 −ZnO−B2 O3 系、SiO2 −Bi2 O3 −B2 O3 系、SiO2 −K2 O−B2 O3 系、SiO2 −Na2 O−B2 O3 系等の、2価以上の価数を持つ多価金属酸化物を含むものであってもよい。
【0058】
上述したセラミック粉末としては、結晶化ガラス系、ガラス複合系、非ガラス系の公知のセラミック粉末を用いることができる。また、セラミック粉末は、2価以上の価数を持つ多価金属化合物を含むセラミック粉末であってもよい。
【0059】
上述の多価金属化合物を含むセラミックとしては、たとえば、Al、Ba、Ti、Sr、Pb、Zr、Mn、Co、Ni、Fe、Y、Nb、LaおよびRuからなる群より選ばれる少なくとも1種の多価金属の酸化物、硼化物、窒化物またはケイ化物等が挙げられる。
【0060】
上述した導電性金属粉末としては、たとえば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、タングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものを用いることができる。
【0061】
特に、導電性金属粉末として、多価金属である、銅、アルミニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、タングステンまたはそれらの混合物を含むものを用いると、この多価金属によるイオンと側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体のアニオンとのイオン架橋および3次元ネットワークの形成を有効に抑制できる。
【0062】
すなわち、この発明に係るペースト組成物において、導電性金属粉末を構成する金属が2価以上の価数を有する多価金属である場合、ガラス粉末またはセラミック粉末が2価以上の価数を有する多価金属を含む化合物である場合、あるいは、これらの両方である場合には、溶液中に溶出してくる多価金属のイオンと、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体のアニオンとのイオン架橋および3次元ネットワークの形成を抑制することができ、ペースト組成物のゲル化を有効に抑制することができる。
【0063】
この発明に係るセラミックグリーンシートのためのスラリーについて言えば、そこに含まれる無機粉末は、ホウ素、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、鉛、ビスマス、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、クロム、ストロンチウムおよびチタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の多価金属もしくはその酸化物を含む粉末であることが望ましい。
【0064】
より具体的には、上述した無機粉末として、SiO2−PbO系、SiO2−ZnO系、SiO2−Bi2O3系、SiO2−K2O系、SiO2−Na2O系、SiO2−PbO−B2O3系、SiO2−ZnO−B2O3系、SiO2−Bi2O3−B2O3系、SiO2−K2O−B2O3系、SiO2−Na2O−B2O3系等の種々の材料系の粉末を用いることができる。
【0065】
特に、B、Ba、Mg、Al、Ca、Pb、Bi、Cu、Zn、Zr、Nb、Cr、SrまたはTiの多価金属イオンがスラリー中に溶出すると、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体のアニオンと多価金属イオンとがイオン架橋してゲル化を生じやすいので、この発明に従って、スラリーにアミド構造を持つ化合物を含有させて、そのゲル化を有効に抑制できることの意義は大きい。
【0066】
なお、セラミックグリーンシートのためのスラリーは、結晶化ガラス粉末、あるいはガラスとセラミックとの混合粉末を含むことが望ましい。これによって、セラミックグリーンシートを低温焼結可能とすることができ、このようにセラミックグリーンシートを低温焼結化することにより、配線導体のために比抵抗の小さな銀、銅等の低融点金属を含む導体を用いることができ、かつこのような低融点金属を含む導体との同時焼結が可能となるためである。
【0067】
また、この発明に係るセラミックグリーンシートとしては、
(1)絶縁体セラミック粉末と有機バインダとガラス粉末等の無機粉末を混合して得られたスラリーをシート状に成形してなる、絶縁体セラミックグリーンシート、
(2)磁性体セラミック粉末と有機バインダとガラス粉末等の無機粉末を混合して得られたスラリーをシート状に成形してなる、磁性体セラミックグリーンシート、または
(3)誘電体セラミック粉末と有機バインダとガラス粉末等の無機粉末を混合して得られたスラリーをシート状に成形してなる、誘電体セラミックグリーンシート
等の種々の特性をそれぞれ有するものがある。このような種々の特性を有するセラミック粉末としては、従来公知のセラミックグリーンシートのためのセラミック材料を使用できる。
【0068】
この発明に係るペースト組成物またはセラミックグリーンシートのためのスラリーに含まれる有機バインダは、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体を含むものでさえあれば、さらに他の成分として、有機ポリマーや有機溶剤等を含んでいてもよい。この有機ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等を使用できる。
【0069】
この発明に係るペースト組成物またはセラミックグリーンシートのためのスラリーには、感光性有機成分が含まれている。これによって、感光性ペースト組成物または感光性セラミックグリーンシートを与えることができる。
【0070】
このように構成された感光性ペースト組成物は、分子量が1000未満のアミド構造を有する化合物を含んでいるから、塗布前のペースト状態および塗布・乾燥後の塗膜状態のいずれにおいても、ゲル化が十分に抑制され、その安定性が向上するとともに、フォトリソグラフィ技術における現像処理を安定に実施でき、微細かつ厚膜の各種パターンを有する導体膜等の機能材料膜を、基体との密着性が良好な状態で形成することができる。
【0071】
また、感光性セラミックグリーンシートによれば、これを成形するためのスラリーのゲル化を抑制して、分散性および加工性に優れたセラミックグリーンシートとすることができると同時に、セラミックグリーンシート中にフォトリソグラフィ技術による微細かつ高精度のバイアホール用貫通孔を容易に形成することができる。
【0072】
なお、感光性有機成分とは、従来から公知の光重合性、または光変性化合物のことであって、たとえば、
(1)不飽和基等の反応性官能基を有するモノマーやオリゴマーと芳香族カルボニル化合物等の光ラジカル発生剤との混合物、
(2)芳香族ビスアジドとホルムアルデヒドとの縮合体等のいわゆるジアゾ樹脂、
(3)エポキシ化合物等の付加重合性化合物とジアリルヨウドニウム塩等の光酸発生剤との混合物、および
(4)ナフトキノンジアジド系化合物、
等が挙げられる。
【0073】
これらのうち、特に好ましいのは、不飽和基等の反応性官能基を有するモノマーやオリゴマーと芳香族カルボニル化合物等の光ラジカル発生剤との混合物である。
【0074】
上記反応性官能基含有モノマー/オリゴマーとしては、ヘキサンジオールトリアクリレート、トリプロピレングリコールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、1、3−ブタンジオールジアクリレート、1、4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1、4−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1、6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1、3−ブチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
【0075】
また、光ラジカル発生剤としては、ベンジル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4' −メチルジフェニルサルファイド、ベンジルジメチルケタール、2−n−ブトキシ−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3、3' −ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2、4−ジメチルチオキサントン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2、2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォルメート、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0076】
また、この発明に係るペースト組成物中の有機バインダまたはセラミックグリーンシートのためのスラリー中の有機バインダに含まれる有機高分子化合物は、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体である。このような有機高分子化合物は、感光性有機バインダとしても有用であり、アルカリ系または水系の現像液で溶解しやすく、そのため、ペースト膜またはセラミックグリーンシートの現像処理を容易に行なうことができるとともに、現像精度が高まるので、より微細なパターンやバイアホール用貫通孔を形成することが可能になる。
【0077】
なお、有機高分子化合物が、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体である場合、この共重合体によるアニオンと溶液中に溶出してくる多価金属イオンとがイオン架橋し、3次元ネットワークが形成されやすい。したがって、この発明に従って、このような系に対してアミド構造を持つ化合物を含有させて、そのゲル化を有効に抑制できることの意義は大きい。
【0078】
側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、たとえば、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物を共重合させることにより製造することができる。
【0079】
上述の不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸およびこれらの無水物等を用いることができる。
【0080】
他方、エチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、フマル酸モノエチル等のフマル酸エステル等を用いることができる。
【0081】
また、アクリル系共重合体は、以下のような形態の不飽和結合を導入したものであってもよい。
(1)アクリル系共重合体の側鎖のカルボキシル基に、これと反応可能な、たとえばエポキシ基等の官能基を有するアクリル系モノマーを付加したもの。
(2)側鎖のカルボキシル基の代わりにエポキシ基が導入されてなるアクリル系共重合体に、不飽和モノカルボン酸を反応させた後、さらに飽和または不飽和多価カルボン酸無水物を導入したもの。
【0082】
また、この発明に係るペースト組成物またはセラミックグリーンシートのためのスラリーにおいて、ヒドロキシル基を1つだけ持つモノオール化合物をさらに加えることができる。なお、この発明に係るペースト組成物またはスラリーにおいて、アミド構造を持つ化合物の代わりに、モノオール化合物を加えた場合においても、ゲル化はある一定期間防止されるが、この発明のように、アミド構造を持つ化合物を加えることにより、ゲル化を防止できる期間を飛躍的に延長することができ、均一性の高いペースト組成物またはスラリーを得ることができる。
【0083】
上記モノオール化合物としては、1−オクチルアルコール、2−オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、1−メチルシクロヘキサノール、トリメチルシクロヘキサノール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、トリメチルヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、クレゾール、乳酸ブチル、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルアクリレート、フェネチルアルコール、メルカプトブタノール、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルピペラジン、シクロヘキサノンオキシム、ヒドロキシメトキシアリルベンゼン、ヒドロキシメトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシメチルピペラジン、ヒドロキシプロピオニトリル、ヒドロキシアセトナフトン、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシアセトフェノン、ヒドロキシベンゾイミダゾール、フェニルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシベンゾフェノン、ベンゾイン、チモール、ヒドロキシメトキシ安息香酸、ヒドロキシメチル安息香酸、ヒドロキシメチルピロン、ヒドロキシナフトエ酸、ヒドロキシナフトキノン、ヒドロキシノルボルネンジカルボキシイミド、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルグリシン、ヒドロキシフタルイミド、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ヒドロキシプロピオフェノン、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシこはく酸イミド、ヒドロキシトルイル酸、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレートなどが挙げられる。
【0084】
また、この発明に係るペースト組成物またはスラリーにおいて、さらに有機高分子化合物のアニオンを吸着する性質を有するアニオン吸着性物質をさらに加えることができる。この発明に係るペースト組成物またはスラリーにおいて、アミド構造を持つ化合物の代わりに、アニオン吸着性物質を加えた場合においても、ゲル化はある一定期間防止されるが、この発明のように、アミド構造を持つ化合物を加えることにより、ゲル化を防止できる期間を飛躍的に延長することができ、均一性の高いペースト組成物またはスラリーを得ることができる。
【0085】
上記アニオン吸着性物質は、平均粒径0.01〜50μmの微粒子であることが望ましい。このような粒径を有する微粒子であると、アニオン吸着性物質が、効率良く、有機高分子化合物のアニオンを吸着することができる。
【0086】
また、アニオン吸着性物質は、無機微粒子や有機微粒子の形態をとるものであってもよい。
【0087】
上述の無機微粒子としては、ハイドロキシアパタイト、ハイドロタルサイト、リン酸ジルコニウム、含水酸化アンチモン等が好適である。
【0088】
また、有機微粒子としては、アニオン交換性樹脂等を用いることができ、たとえば、
(1)ジビニルベンゼンと、アクリレート、メタクリレートまたはアクリロニトリルとの共重合体を母体に、1級、2級、3級または4級アミノ基をイオン交換基として導入したもの、
(2)トリビニルベンゼンと、アクリレート、メタクリレートまたはアクリロニトリルとの共重合体を母体に、1級、2級、3級または4級アミノ基をイオン交換基として導入したもの、
(3)トリメチロールプロパントリメタクリル酸エステルと、アクリレート、メタクリレートまたはアクリロニトリルとの共重合体を母体に、1級、2級、3級または4級アミノ基をイオン交換基として導入したもの、および
(4)エチレングリコールジメタクリル酸エステルと、アクリレート、メタクリレートまたはアクリロニトリルとの共重合体を母体に、1級、2級、3級または4級アミノ基をイオン交換基として導入したもの、
等が挙げられる。
【0089】
また、この発明に係るペースト組成物またはスラリーにおいて、さらにチクソ剤を加えることができる。この発明に係るペースト組成物またはスラリーにおいて、アミド構造を持つ化合物の代わりに、チクソ剤を加えた場合においても、ゲル化はある一定期間防止されるが、この発明のように、アミド構造を持つ化合物を加えることにより、ゲル化を防止できる期間を飛躍的に延長することができ、均一性の高いペースト組成物またはスラリーを得ることができる。
【0090】
上記チクソ剤の含有量は、感光性ペースト組成物またはスラリー全量に対して、好ましくは、0.001〜30重量%、より好ましくは、0.1〜10重量%とされる。0.001重量%未満ではゲル化を十分に抑制することが困難であり、他方、30重量%を超えると、ペーストの粘度が高すぎて使用が困難になるためである。
【0091】
また、チクソ剤としては、一般に、「増粘・ダレ止・沈降防止剤」、「ダレ止・沈降防止剤」または「顔料湿潤・分散・沈降防止剤」と言われているものを使用できる。
【0092】
「増粘・ダレ止・沈降防止剤」としては、植物重合油系、ポリエーテル・エステル型界面活性剤、水添ひまし油系、水添ひまし油系とアマイド系の混合物、脂肪酸アマイドワックス系等が挙げられる。
【0093】
また、「ダレ止・沈降防止剤」としては、特殊脂肪酸系、硫酸エステル型・アニオン系界面活性剤、酸化ポリエチレン系、酸化ポリエチレン系とアマイド系の混合物等を使用できる。
【0094】
「顔料湿潤・分散・沈降防止剤」としては、脂肪酸系多価カルボン酸、高分子ポリエステルのアミン塩、ポリエーテル・エステル型アニオン系界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩、長鎖ポリアミノアマイドと高分子酸ポリエステルの塩、長鎖ポリアミノアマイドとリン酸の塩、特殊変性ポリアマイド系、リン酸エステル系界面活性剤、高分子ポリエステル酸のアマイドアミン塩等を使用できる。
【0095】
なお、この発明に係るペースト組成物またはスラリーには、必要に応じて、さらに、重合禁止剤等の保存安定剤、酸化防止剤、染料、顔料、消泡剤、界面活性剤、紫外線吸収材等を、適宜、添加してもよい。
【0096】
この発明に係るペースト組成物またはスラリーは、多層セラミック基板等の回路基板や多層回路素子等のチップ部品といった種々の電子部品を製造するために用いることができ、より具体的には、チップコンデンサ、チップLCフィルタ等の高周波回路用電子部品や、VCO(Voltage Controlled Oscillator )やPLL(Phase Locked Loop )等の高周波モジュール用多層セラミック基板や、圧電部品等を製造するために用いることができる。
【0097】
次に、この発明に係るペースト組成物が、上述のような電子部品を製造するために適用されたいくつかの実施形態について、より具体的に説明する。
【0098】
この発明に係るペースト組成物を、スクリーン印刷法等の方法によって、適宜の基体上に塗布すれば、所望のパターンをもってペースト膜を形成することができる。
【0099】
この場合、感光性ペースト組成物を用いると、これを、スクリーン印刷法、スピンコート法等の方法によって、適宜の基体上に塗布し、これを乾燥した後、露光・現像することにより、ペースト膜に対して、従来のスクリーン印刷法では得られない、たとえば、幅やピッチが50μm以下といった微細パターンを与えることができる。なお、上述の乾燥は、具体的には、40〜100℃、10分〜2時間の条件で行なわれる。
【0100】
したがって、たとえば、セラミックグリーンシートに、この発明に係るペースト組成物によるペースト膜を、上述のように、所望のパターンで形成し、しかる後、焼成等の熱処理を施すことによって、厚膜で構成された機能材料膜を備える、回路基板または回路素子のような電子部品を製造することができる。
【0101】
この場合、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の支持体上に、所望のパターンをもって、この発明に係るペースト組成物を付与することによって、ペースト膜を形成した後、このペースト膜をセラミックグリーンシート上に熱転写する方法が採用されてもよい。
【0102】
また、この発明に係るペースト組成物によるペースト膜を、セラミックグリーンシートまたは支持体上に、所望のパターンをもって形成するにあたって、前述したように、感光性ペースト組成物を用いる場合には、これを、スクリーン印刷法、スピンコート法等の方法によって塗布し、これを乾燥した後、露光・現像することにより、所望のパターンをペースト膜に与えるようにすればよい。
【0103】
このように、特に、感光性ペースト組成物として、この発明に係るペースト組成物を用いれば、フォトリソグラフィ技術における現像処理を安定に実施できるので、バイアホール導体や導体膜等の電子回路に必須な配線導体を微細かつ厚膜に形成でき、高周波特性に優れた小型の回路基板または回路素子を製造することができるようになる。したがって、チップインダクタ、チップ積層コンデンサ等の高周波チップ電子部品等の高密度化や信号の高速化に十分に対応できる。
【0104】
この発明に係るペースト組成物によるペースト膜を形成するための前述したセラミックグリーンシートは、通常、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混合したスラリーをシート状に成形したものであり、必要に応じて、さらにガラス粉末を混合しておいてもよい。
【0105】
上述のセラミック粉末としては、たとえば、Al2 O3 等の絶縁性セラミック粉末、BaTiO3 等の誘電体セラミック粉末、ニッケル亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛銅フェライト等のフェライト系粉末、RuO2 、Pb2 Ru2 O7 、Bi2 Ru2 O7 、Mn・Co・Niの複合酸化物等の導電性セラミック粉末、PZT等の圧電体セラミック粉末等を、適宜選択して用いることができる。
【0106】
また、後述する多層セラミック基板の製造方法に関する実施形態において詳細に説明するように、セラミックグリーンシートを得るためのスラリーに含まれる有機ビヒクルに感光性有機成分を混合しておくことによって、セラミックグリーンシートとして、感光性のものを使用し、これに、フォトリソグラフィ技術によって微細なバイアホール用貫通孔を形成しておいてもよい。
【0107】
次に、この発明に係る多層セラミック基板の製造方法についての好ましい実施形態を、図1を参照しながら説明する。
【0108】
図1に示す多層セラミック基板1は、絶縁体層2、3、4、5、6および7と誘電体層8および9とを備える積層構造を有している。多層セラミック基板1は、また、種々の内部導体膜10およびバイアホール導体11を内部に形成し、かつ、いくつかの外部導体膜12を外表面上に形成している。
【0109】
上述した内部導体膜10およびバイアホール導体11の特定のものによって、多層セラミック基板1の内部には、コンデンサ素子C、コイル素子L、ストリップライン等が形成されている。
【0110】
また、多層セラミック基板1の一方主面上には、チップコンデンサ等のチップ部品13、厚膜抵抗体14、半導体IC15等が設けられており、これらは、対応の外部導体膜12およびバイアホール導体11を介して特定の内部導体膜10と電気的に接続されている。
【0111】
この多層セラミック基板1は、たとえば、次のようにして製造することができる。
【0112】
まず、ガラス粉末およびセラミック粉末と、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体および感光性有機成分を含む有機バインダと、アミド構造を持つ化合物とを混合することによって、感光性を付与した絶縁体セラミックグリーンシート用スラリーを調製する。また、同様にして、感光性を付与した誘電体セラミックグリーンシート用スラリーを調製する。
【0113】
次いで、得られた各スラリーをドクターブレード法等によってシート状に成形し、50〜150℃の温度で乾燥させて、感光性の絶縁体セラミックグリーンシートおよび感光性の誘電体セラミックグリーンシートをそれぞれ作製する。
【0114】
次いで、このように作製された各セラミックグリーンシートの特定のものの上に、コンデンサ素子Cやコイル素子L等を構成するための内部導体膜10となる導体ペーストを、所定のパターンをもって印刷等により付与する。
【0115】
また、各セラミックグリーンシートの特定のものには、バイアホール導体11を設ける。そのため、まず、フォトマスクを介してたとえば直径50μmのバイアホール用貫通孔のためのパターンを露光し、次いで、アルカリ水溶液等による現像処理を行なって不要箇所を除去することによって、バイアホール用貫通孔を形成した後、バイアホール用貫通孔に導体ペーストを充填することが行なわれる。
【0116】
次いで、内部導体膜10および/またはバイアホール導体11が設けられたセラミックグリーンシートを含む、複数のセラミックグリーンシートを積み重ね、圧着した後、所定温度にて焼成する。
【0117】
次いで、外部導体膜12を、所定のパターンをもって形成した後、チップ部品13、半導体IC15を搭載し、また、厚膜抵抗体14を印刷すれば、目的とする多層セラミック基板1が完成される。
【0118】
上述した多層セラミック基板1の製造方法によれば、絶縁体層2〜7が、この発明に係る感光性の絶縁体セラミックグリーンシートによって形成され、また、同様に、誘電体層8および9が、この発明に係る感光性の絶縁体セラミックグリーンシートによって形成されることができる。
【0119】
したがって、これら絶縁体層2〜7ならびに誘電体層8および9において、微細なバイアホール導体11を、精度高く、簡易に形成することができる。
【0120】
すなわち、この発明に係る感光性セラミックグリーンシートによれば、ゲル化による経時的な粘度変化が少なく、加工性に優れているので、粘性劣化に起因する印刷にじみ等を抑制して、内部導体膜10のための導体ペースト膜を高精度に形成できるとともに、たとえば、直径150μm未満、特に直径50μm以下といった極めて微細なバイアホール用貫通孔を高精度に形成できる。また、スラリーの構成成分が均一に分散されているので、焼結後には、緻密かつ高強度であって特性の優れた絶縁体層2〜7ならびに誘電体層8および9とすることができる。
【0121】
そのため、得られた多層セラミック基板1において、高密度かつ高精度に内部導体膜10およびバイアホール導体11のような配線導体を配置することができるとともに、優れた機械的かつ電気的特性を実現することができる。
【0122】
なお、上述の製造方法においては、絶縁体層2〜7ならびに誘電体層8および9を作製するために、この発明に係る感光性セラミックグリーンシートを用いたが、絶縁体層および誘電体層のいずれか一方を感光性セラミックグリーンシートとし、他方は感光性を有しないセラミックグリーンシートで形成してもよい。
【0123】
また、上述のような多層セラミック基板の製造方法において、この発明に従って調製された、磁性体セラミック粉末を含む磁性体セラミックグリーンシートを用い、磁性体層を備える多層セラミック基板を得るようにしてもよい。たとえば、図1において、絶縁体層5を磁性体層に置き換えると、この磁性体層に関連して形成されたコイルパターン状の内部導体膜10によって、コイル素子Lのインダクタンスをより高くすることができる。
【0124】
また、上述した多層セラミック基板1の製造方法において、内部導体膜10および外部導体膜12の形成のために、前述したこの発明に係るペースト組成物を用いてもよい。すなわち、この発明に係るペースト組成物からなるペースト膜を、前述した方法によって、所望のパターンをもって、各セラミックグリーンシート上に形成すれば、このペースト膜によって、多層セラミック基板1中の内部導体膜10が与えられる。また、焼成後において、多層セラミック基板1の表面に、この発明に係るペースト組成物からなるペースト膜を、前述した方法によって、所望のパターンをもって形成すれば、このペースト膜によって、外部導体膜12が与えられる。
【0125】
また、上述したような多層セラミック基板の製造方法は、多層回路素子のような電子部品の製造方法にも適用することができる。
【0126】
また、多層セラミック基板または多層回路素子を製造するため、上述したように、所望の内部導体膜10およびバイアホール導体11が形成された複数のセラミックグリーンシートを積層する方法によるのではなく、この発明に係るペースト組成物を使って、基板や支持体等上に導体膜を形成した後、適宜の機能材料と有機バインダとを含む混合物を塗布し、また、必要に応じて、バイアホール導体をこの発明に係るペースト組成物によって形成することを繰り返して、積層構造物を作製し、この積層構造物に対して焼成等の熱処理を施すことによって、多層回路基板または多層回路素子を製造することもできる。
【0127】
なお、上述の機能材料としては、セラミック粉末や、これにガラス粉末を加えたものや、場合によっては、銅、銀等の導電性金属からなる粉末等を用いることができる。
【0128】
以下、この発明の構成および効果を、実験例に従って、より具体的に説明する。
【0129】
【実験例1】
まず、実験例1では、この発明に係るペースト組成物について説明する。
【0130】
以下の例1ないし例13に係る各ペースト組成物を作製した。
【0131】
例1
次の組成および配合量の各種成分を混合後、3本ロールミルによる混練を行ない、感光性ペースト組成物とした。
【0132】
<有機バインダ>
メタクリル酸/メタクリル酸メチルの共重合割合が重量基準で25/75の共重合体(重量平均分子量=50,000):2.0g
<導電性金属粉末>
銅粉末(平均粒径3μm):15.0g
<反応性官能基含有モノマー>
トリメチロールプロパントリアクリレート:1.0g
<光重合開始剤>
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン:0.4g
2,4−ジエチルチオキサントン:0.1g
<有機溶剤>
チルカルビトールアセテート:4.0g
<アミド構造を持つ化合物>
ステアリン酸アミド:0.01g
<紫外線吸収材>
アゾ系赤色顔料:0.1g
例2
ステアリン酸アミドを添加しない以外は例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0133】
例3
ステアリン酸アミド0.01gの代わりにリン酸0.1gを添加した以外は例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0134】
例4
ステアリン酸アミド0.01gの代わりにベンゾトリアゾール0.02gを添加した以外は例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0135】
例5
ステアリン酸アミド0.01gの代わりに酢酸1.0gを添加した以外は例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0136】
例6
ステアリン酸アミドの代わりに3−メトキシ−3−メチルブタノールを用いた以外は例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0137】
例7
導電性金属粉末を銅粉末15.0gの代わりに銀粉末(平均粒径3μm)12.0gを用い、さらにガラス粉末としてSiO2 −PbO−B2 O3 系ガラス粉末(ホウ酸含有量17重量%、平均粒径3μm)0.9gを添加した以外は、例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0138】
例8
ステアリン酸アミドを添加しない以外は例7と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0139】
例9
ステアリン酸アミド0.01gの代わりにリン酸0.1gを添加した以外は例7と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0140】
例10
ステアリン酸アミド0.01gの代わりにベンゾトリアゾール0.02gを添加した以外は例7と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0141】
例11
ステアリン酸アミド0.01gの代わりに酢酸1.0gを添加した以外は例7と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0142】
例12
ステアリン酸アミドの代わりに3−メトキシ−3−メチルブタノールを用いた以外は例7と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0143】
例13
導電性金属粉末を添加せず、ガラス粉末としてSiO2 −PbO−B2 O3 系ガラス粉末(ホウ酸含有量17重量%、平均粒径3μm)0.9gの代わりにSiO2 −K2 O−B2 O3 系ガラス粉末(ホウ酸含量17%、平均粒径3 μm)5.0gを添加した以外は、すべて例7と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0144】
例14
ステアリン酸アミドを添加しない以外は例13と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0145】
例15
ステアリン酸アミド0.01gの代わりにリン酸0.1gを添加した以外は例13と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0146】
例16
ステアリン酸アミド0.01gの代わりにベンゾトリアゾール0.02gを添加した以外は例13と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0147】
例17
ステアリン酸アミド0.01gの代わりに酢酸1.0gを添加した以外は例13と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0148】
例18
ステアリン酸アミドの代わりに3−メトキシ−3−メチルブタノールを用いた以外は例13と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0149】
例19
ガラス粉末を添加せず、無機粉末としてニッケル亜鉛銅フェライト5.0gを添加した以外は、例13と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0150】
例20
ステアリン酸アミドを添加しない以外は例19と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0151】
例21
ステアリン酸アミド0.01gの代わりにリン酸0.1gを添加した以外は例19と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0152】
例22
ステアリン酸アミド0.01gの代わりにベンゾトリアゾール0.02gを添加した以外は例19と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0153】
例23
ステアリン酸アミド0.01gの代わりに酢酸1.0gを添加した以外は例19と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0154】
例24
ステアリン酸アミドの代わりに3−メトキシ−3−メチルブタノールを用いた以外は例19と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0155】
例25
無機粉末として、ニッケル亜鉛銅フェライト5.0gの代わりに、SiO2 −PbO−B2 O3 系ガラス粉末(ホウ酸含量17%)3.0gとRuO2 (抵抗体)2.0gの混合物を添加した以外は、例19と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0156】
例26
ステアリン酸アミドを添加しない以外は例25と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0157】
例27
ステアリン酸アミド0.01gの代わりにリン酸0.1gを添加した以外は例25と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0158】
例28
ステアリン酸アミド0.01gの代わりにベンゾトリアゾール0.02gを添加した以外は例25と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0159】
例29
ステアリン酸アミド0.01gの代わりに酢酸1.0gを添加した以外は例25と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0160】
例30
ステアリン酸アミドの代わりに3−メトキシ−3−メチルブタノールを用いた以外は例25と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0161】
次に、例1および例7の各感光性ペースト組成物を、アルミナ絶縁性基板上にスピンコーターによって塗布し、これら各々を100℃にて1時間乾燥して、20μm厚の塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜を24時間放置した後、露光処理を行なった。ここで、ライン/スペース(L/S)=20/20(μm)のパターンが描画されたマスクを通して、高圧水銀灯の光線を250mJ/cm2 の露光量で照射した。その後、炭酸ナトリウム水溶液による現処理像を行なうことにより、L/S=20/20(μm)のパターンを得ることができた。そして、脱脂処理を施した後、900℃、N2 雰囲気中で焼成して、L/S=10/30(μm)の導体パターンを形成することができた。
【0162】
また、例13の感光性ペースト組成物を、上述の例1および例7の場合と同様の方法に従って、塗布して、乾燥して、20μm厚の塗膜を形成し、次いで、得られた塗膜を24時間放置した後、露光処理し、現像処理することによって、L/S=20/20(μm)のパターンを形成した。そして、これを850℃、空気中で焼成して、L/S=10/30(μm)の絶縁体パターンを得た。
【0163】
また、例19の感光性ペースト組成物を、前述の例1および例7の場合と同様の方法に従って、塗布し、乾燥して、20μm厚の塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜を24時間放置した後、露光処理を行なった。ここでは、直径20μmのバイアホール用貫通孔のためのパターンが描画されたマスクを通して、高圧水銀灯の光線を250mJ/cm2 の露光量で照射した。引き続いて、炭酸ナトリウム水溶液による現像処理を行なうことにより、直径20μmのバイアホール用貫通孔を作製した。さらに、バイアホール用貫通孔に導体ペースト組成物を充填した後、950℃、空気中で焼成して、直径30μmのバイアホール導体を形成した。
【0164】
また、例25の感光性ペースト組成物をアルミナ絶縁性基板上にスピンコーター法によって塗布し、これを100℃にて1時間乾燥して、30μm厚の塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜を24時間放置した後、露光処理を行なった。ここでは、30μm角の正方形のパターンが描画されたマスクを通して、高圧水銀灯の光線を250mJ/cm2 の露光量で照射した。その後、炭酸ナトリウム水溶液による現像処理を行なうことにより、30μm×30μm×30μmの立方体構造物を得ることができた。そして、これを850℃、空気中で焼成して、20μm×20μm×20μmの抵抗体を得た。この抵抗体の電気抵抗を測ったところ、16kΩであった。
【0165】
また、例1、例7、例13、例19および例25の各感光性ペースト組成物について、温度20℃下、空気中にて、作製直後、1日後、3日後、1週間後、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後および6カ月後の各時点でその保存状態を評価した。その結果、これら例による感光性ペースト組成物はいずれの時点においてもゲル化していなかった。すなわち、作製直後、1日後、3日後、1週間後、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後および6カ月後の各時点で、絶縁性基板上にスピンコーターによる塗布を行ない、かつ、フォトリソグラフィ技術によるパターン形成を行なうことが可能であった。
【0166】
他方、例2〜6、例8〜12、例14〜18、例20〜24、および例26〜30の各感光性ペースト組成物の保存安定性を、上述したのと同様の条件で評価した。
【0167】
これらの評価結果が、以下の表1に示されている。なお、表1中の「○」は、感光性ペースト組成物がゲル化しておらず、塗布可能な状態であったことを意味する。また、「×」は、感光性ペースト組成物がゲル化しており、塗布不可能な状態であったことを意味する。
【0168】
【表1】
【0169】
表1から、例2〜6、例8〜12、例14〜18、例20〜24、および例26〜30のように、アミド構造を持つ化合物を全く含まない感光性ペースト組成物やアミド構造を持つ化合物以外のゲル化防止剤を含む感光性ペースト組成物は、その作製直後はゲル化を防止して良好な安定性を示していたが、例6、12、18、24、30の各感光性ペースト組成物を除いて、経時的にゲル化が生じ始めてしまったことがわかる。
【0170】
また、例6、例12および例18の各感光性ペースト組成物について、例1、例7および例13の場合と同様にして、L/S=20/20(μm)のパターン形成を試みた。また、例24の感光性ペースト組成物について、例19の場合と同様にして、直径20μmのバイアホール導体の作製を試みた。また、例30の感光性ペースト組成物について、例25の場合と同様にして、20μm×20μm×20μmの抵抗体の作製を試みた。そして、例6、例12、例18、例24および例30の各感光性ペースト組成物による塗膜について、現像処理時の安定性の評価を行なった。
【0171】
以下の表2には、上述の例6、例12、例18、例24および例30の各感光性ペースト組成物の評価結果が、例1、例7、例13、例19および例25による各感光性ペースト組成物の評価結果とともに示されている。なお、表2中の「○」は、未露光部が現像液に溶出してパターン形成を良好に行なうことができたことを意味する。また、表2中の「△」は、未露光部が現像液に一部溶出しているものの、パターン形成が十分に行なえなかったことを意味し、「×」は、未露光部が現像液に溶出せず、パターン形成ができなかったことを意味する。
【0172】
【表2】
【0173】
表2から、アミド構造を持つ化合物を含んだ例1、例7、例13、例19および例25による各感光性ペースト組成物によれば、未露光部が現像液に容易に溶出して、形状性に優れたパターンを形成できたことがわかる。
【0174】
これに対して、例6、例12、例18、例24および例30のように、ゲル化防止剤が3−メトキシ−3−メチルブタノールの場合、未露光部が現像液に十分に溶出せず、形状性の良いパターン形成ができなかった。これは、感光性ペースト組成物の塗布後、その乾燥処理時に塗膜から3−メトキシ−3−メチルブタノールが蒸発してしまい、ゲル化防止能が経時的に劣化してしまったことによるものと思われる。
【0175】
また、以下の例31ないし例36に係る各ペースト組成物を作製した。
【0176】
例31
ステアリン酸アミドを添加せず、エチルカルビトールアセテートの量を1.0gにし、モノオール化合物としてジプロピレングリコールモノメチルエーテル4.0gを添加した以外は、例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0177】
例32
ステアリン酸アミド0.01gを添加した以外は、例31と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0178】
例33
ステアリン酸アミドを添加せず、ハイドロキシアパタイト(平均粒径5μm)0.1gを添加した以外は、例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0179】
例34
ステアリン酸アミド0.01gを添加した以外は、例33と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0180】
例35
ステアリン酸アミドを添加せず、チクソ剤(ディスパロン305、楠本化成社製:水添ひまし油系)0.1gを添加した以外は、例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0181】
例36
ステアリン酸アミド0.01gを添加した以外は、例35と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0182】
以上、例31〜36の各感光性ペースト組成物の保存安定性を評価した。なお、感光性ペースト組成物の保存は20℃下、空気中にて行なった。その評価結果を下記表3に示す。なお、表3において、「○」および「×」は、それぞれ、表1に示した「○」および「×」と同様のことを意味する。
【0183】
【表3】
【0184】
表3から、例31、例33および例35のように、アミド構造を持つ化合物を全く含まない感光性ペースト組成物であっても、モノオール化合物、またはヒドロキシアパタイト、またはチクソ剤を含有していれば、その作製から2ヶ月まではゲル化を防止して良好な安定性を示していたが、経時的にゲル化が生じ始めてしまったことがわかる。
【0185】
これに対して、例32、例34および例36のように、さらにアミド構造を持つ化合物としてステアリン酸アミドを添加した各感光性ペースト組成物では、その作製から12ヶ月までゲル化を防止して良好な安定性を示しており、アミド構造を持つ化合物を添加することで飛躍的にペースト安定性を向上できることがわかる。
【0186】
また、以下の例37および例38に係る各ペースト組成物を作製した。
【0187】
例37
アミド構造を持つ化合物として、ステアリン酸アミド0.01gの代わりにメタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸アミドの共重合体(共重合割合が重量基準で25/70/5の共重合体、重量平均分子量=5,000)0.1gを添加した以外は、例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0188】
例38
アミド構造を持つ化合物として、ステアリン酸アミド0.01gの代わりにアクリル酸アミド0.1gを添加した以外は、例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0189】
以上、例37および例38の各感光性ペースト組成物の保存安定性を評価した。なお、感光性ペースト組成物の保存は20℃下、空気中にて行なった。その評価結果を、例1による感光性ペースト組成物の評価結果とともに以下の表4に示す。なお、表4において、「○」および「×」は、それぞれ、表1に示した「○」および「×」と同様のことを意味する。
【0190】
【表4】
【0191】
表4から、例37のように、アミド構造を持つ化合物としてモノアミド化合物を含まない感光性ペースト組成物は、その作製から2ヶ月はゲル化を防止して良好な安定性を示していたが、経時的にゲル化が生じ始めてしまったことがわかる。
【0192】
また、例38のように、アミド構造を持つ化合物として飽和脂肪酸アミドを含まない感光性ペースト組成物は、その作製から3ヶ月はゲル化を防止して良好な安定性を示していたが、経時的にゲル化が生じ始めてしまったことがわかる。
【0193】
また、以下の例39に係るペースト組成物を作製した。
【0194】
例39
トリメチロールプロパントリアクリレート1.0g、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン0.4g、2,4−ジエチルチオキサントン0.1gを添加しない以外は、例1と同様にして、ペースト組成物を作製した。
【0195】
次いで、例39のペースト組成物を用いてアルミナ絶縁性基板上にスクリーン印刷法によってパターンを形成し、これを100℃にて1時間乾燥して、L/S=100/100(μm)のパターンを形成した。次いで、このアルミナ絶縁性基板を24時間放置した後、900℃、N2 雰囲気中で焼成して、L/S=80/120(μm)の導体パターンを形成した。
【0196】
また、例39のペースト組成物について、温度20℃、空気中にて、作製直後、1日後、3日後、1週間後、1ヶ月後の各時点での保存状態を評価した。その結果、この例39によるペースト組成物はいずれの時点においてもゲル化していなかった。すなわち、作製直後、1日後、3日後、1週間後、1ヶ月後の各時点で、基板上にスクリーン印刷による塗膜形成を行なうことが可能であった。
【0197】
また、以下の例40ないし例44に係る各ペースト組成物を作製した。
【0198】
例40
ステアリン酸アミドのペースト組成物中に占める割合を0.02重量%になるように、ステアリン酸アミドの添加量を変えた以外は、例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0199】
例41
ステアリン酸アミドのペースト組成物中に占める割合を0.03重量%になるように、ステアリン酸アミドの添加量を変えた以外は、例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0200】
例42
ステアリン酸アミドのペースト組成物中に占める割合を0.4重量%になるように、ステアリン酸アミドの添加量を変えた以外は、例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0201】
例43
ステアリン酸アミドのペースト組成物中に占める割合を0.5重量%になるように、ステアリン酸アミドの添加量を変えた以外は、例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0202】
例44
ステアリン酸アミドのペースト組成物中に占める割合を0.6重量%になるように、ステアリン酸アミドの添加量を変えた以外は、例1と同様にして、感光性ペースト組成物を作製した。
【0203】
以上、例40〜44の各感光性ペースト組成物の作製直後、1日後、3日後、1週間後、2週間後、3週間後、1ヶ月後の各時点での保存安定性を評価した。なお、感光性ペースト組成物の保存は20℃下、空気中にて行なった。その評価結果を、例1による感光性ペースト組成物の評価結果とともに以下の表5に示す。なお、表5において、「○」および「×」は、それぞれ、表1に示した「○」および「×」と同様のことを意味する。
【0204】
【表5】
【0205】
表5を参照して、例41〜44のように、アミド構造を持つ化合物の含有率が0.03重量%以上の感光性ペースト組成物は、作製直後、1日後、3日後、1週間後、2週間後、3週間後、1ヶ月後のいずれの時点においても、ゲル化しておらず、これらの時点のいずれにおいても、絶縁性基板上にスピンコーターによる塗布を行ない、かつ、フォトリソグラフィ技術によるパターン形成を行なうことが可能であった。
【0206】
これに対して、例40のように、アミド構造を持つ化合物の含有率が0.03重量%未満の感光性ペースト組成物は、表5から、その作製直後から2週間後はゲル化を防止して良好な安定性を示していたが、経時的にゲル化が生じ始めてしまったことがわかる。
【0207】
また、例40〜44の各感光性ペースト組成物の均一塗布性を評価した。ここで、均一塗布性は、ペースト組成物をドクターブレード法を使ってポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した際の均一塗布性をもって評価した。
【0208】
その評価結果が、例1による感光性ペースト組成物の評価結果とともに、以下の表6に示されている。なお、表6において、「○」は、感光性ペースト組成物の表面張力が弱く、均一に塗布可能であったことを意味する。また、「×」は、感光性ペースト組成物の表面張力が強く、均一に塗布できなかったことを意味する。
【0209】
【表6】
【0210】
表6から、アミド構造を持つ化合物の含有率が0.5重量%以下の例1および例40〜43による各感光性ペースト組成物によれば、感光性ペースト組成物の表面張力が弱く、均一に塗布可能であったことがわかる。
【0211】
これに対して、例44のように、アミド構造を持つ化合物の含有率が0.5重量%を超える感光性ペースト組成物の場合、感光性ペースト組成物の表面張力が強く、均一に塗布することができなかったことがわかる。
【0212】
【実験例2】
次に、実験例2では、この発明に係るセラミックグリーンシートについて説明する。
【0213】
以下の実施例1ないし3ならびに比較例1ないし3に係る各セラミックグリーンシートを作製した。
【0214】
実施例1(絶縁体セラミックグリーンシート)
ホウ珪酸系ガラス粉末37.3g、アルミナ粉末24.9g、カルボキシル基含有アクリル系有機バインダ6.2g、エタノール3.1g、および、ステアリン酸アミド0.01gを混合して得たスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、さらに100℃で乾燥させて、シート厚み30μmの絶縁体セラミックグリーンシートを得た。
【0215】
実施例2(誘電体セラミックグリーンシート)
ホウ珪酸系ガラス粉末6.2g、チタン酸バリウム56.0g、カルボキシル基含有アクリル系有機バインダ6.2g、エタノール3.1g、および、ステアリン酸アミド0.01gを混合して得たスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、さらに100℃で乾燥させて、シート厚み30μmの誘電体セラミックグリーンシートを得た。
【0216】
実施例3(磁性体セラミックグリーンシート)
ホウ珪酸系ガラス粉末6.2g、ニッケル亜鉛フェライト56.0g、カルボキシル基含有アクリル系有機バインダー6.2g、エタノール3.1g、および、ステアリン酸アミド0.01gを混合して得たスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、100℃で乾燥させて、シート厚み30μmの磁性体セラミックグリーンシートを得た。
【0217】
比較例1(絶縁体セラミックグリーンシート)
ステアリン酸アミドを混合しない以外は実施例1と同様のスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、さらに100℃で乾燥させて、シート厚み30μmの絶縁体セラミックグリーンシートを得た。
【0218】
比較例2(誘電体セラミックグリーンシート)
ステアリン酸アミドを混合しない以外は実施例2と同様のスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、さらに100℃で乾燥させて、シート厚み30μmの誘電体セラミックグリーンシートを得た。
【0219】
比較例3(磁性体セラミックグリーンシート)
ステアリン酸アミドを混合しない以外は実施例3と同様のスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、100℃で乾燥させて、シート厚み30μmの磁性体セラミックグリーンシートを得た。
【0220】
以上、実施例1〜3ならびに比較例1〜3の各セラミックグリーンシートを脱脂した後、900℃、空気中で焼成した。そして、得られた焼成後のセラミック基板(焼結体)の抗折強度および密度を測定した。その測定結果を以下の表7に示す。
【0221】
【表7】
【0222】
表7から、実施例1〜3の各々による絶縁体セラミックグリーンシート、誘電体セラミックグリーンシートおよび磁性体セラミックグリーンシートは、抗折強度と密度とのバランスに優れ、強度が大きく、基板特性に優れていることがわかる。
【0223】
これに対して、比較例1〜3の各々による各種セラミックグリーンシートは、アミド構造を持つ化合物であるステアリン酸アミドを含んでいないので、抗折強度が小さいか、あるいは、焼結基板の密度が小さくなってしまった。これは、セラミックグリーンシート用スラリーがゲル化によって不均一になったことを意味する。
【0224】
また、以下のように、感光性を付与した実施例4〜6ならびに比較例4〜6の各々に係る感光性セラミックグリーンシートを作製した。
【0225】
実施例4(感光性絶縁体セラミックグリーンシート)
ホウ珪酸系ガラス粉末37.3g、アルミナ粉末24.9g、カルボキシル基含有アクリル系有機バインダ6.2g、エタノール3.1g、トリメチロールプロパントリアクリレート3.0g、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン1.2g、2,4−ジエチルチオキサントン0.3g、および、ステアリン酸アミド0.01gを混合して得たスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、さらに100℃で乾燥させて、シート厚み30μmの感光性絶縁体セラミックグリーンシートを得た。
【0226】
実施例5(感光性誘電体セラミックグリーンシート)
ホウ珪酸系ガラス粉末6.2g、チタン酸バリウム56.0g、カルボキシル基含有アクリル系有機バインダ6.2g、エタノール3.1g、トリメチロールプロパントリアクリレート3.0g、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン1.2g、2,4−ジエチルチオキサントン0.3g、および、ステアリン酸アミド0.01gを混合して得たスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、さらに100℃で乾燥させて、シート厚み30μmの感光性誘電体セラミックグリーンシートを得た。
【0227】
実施例6(感光性磁性体セラミックグリーンシート)
ホウ珪酸系ガラス粉末6.2g、ニッケル亜鉛フェライト56.0g、カルボキシル基含有アクリル系有機バインダー6.2g、エタノール3.1g、トリメチロールプロパントリアクリレート3.0g、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン1.2g、2,4−ジエチルチオキサントン0.3g、および、ステアリン酸アミド0.01gを混合して得たスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、100℃で乾燥させて、シート厚み30μmの感光性磁性体セラミックグリーンシートを得た。
【0228】
比較例4(感光性絶縁体セラミックグリーンシート)
ステアリン酸アミドを混合しない以外は実施例4と同様のスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、さらに100℃で乾燥させて、シート厚み30μmの感光性絶縁体セラミックグリーンシートを得た。
【0229】
比較例5(感光性誘電体セラミックグリーンシート)
ステアリン酸アミドを混合しない以外は実施例5と同様のスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、さらに100℃で乾燥させて、シート厚み30μmの感光性誘電体セラミックグリーンシートを得た。
【0230】
比較例6(感光性磁性体セラミックグリーンシート)
ステアリン酸アミドを混合しない以外は実施例6と同様のスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、100℃で乾燥させて、シート厚み30μmの感光性磁性体セラミックグリーンシートを得た。
【0231】
以上、実施例4〜6ならびに比較例4〜6に係るセラミックグリーンシートに、直径30μmのバイアホール用貫通孔のためのパターンが描画されたマスクを通して、高圧水銀灯の光線を250mJ/cm2 の露光量で照射した。引き続いて、炭酸ナトリウム水溶液による現像を行なうことにより、直径30μmのバイアホール用貫通孔を作製した。そして、このバイアホール用貫通孔に導体材料を充填し、脱脂した後、900℃、空気中で焼成した。
【0232】
得られた焼成後のセラミック基板の抗折強度および密度を測定した。その測定結果を以下の表8に示す。
【0233】
【表8】
【0234】
表8から、実施例4〜6の各々による絶縁体セラミックグリーンシート、誘電体セラミックグリーンシートおよび磁性体セラミックグリーンシートは、いずれも、抗折強度と密度とのバランスに優れ、強度が大きく、基板特性に優れていることがわかる。また、表8には示していないが、バイアホール導体の形状性にも優れていた。
【0235】
これに対して、比較例4〜6による各種セラミックグリーンシートは、アミド構造を持つ化合物であるステアリン酸アミドを含んでいないので、抗折強度が小さいか、あるいは、焼結基板の密度が小さくなってしまった。さらに、バイアホールの形状が悪かった。これは、セラミックグリーンシート用スラリーがゲル化によって分散性が低下し、不均一になったことを意味する。
【0236】
以上のように、セラミックグリーンシート用スラリー中にステアリン酸アミドのようなアミド構造を持つ化合物を含有させることによって、ゲル化が進行せず、均一なスラリーが得られるため、このようなスラリーから作製されたセラミックグリーンシートは、バイアホール導体や導体膜の形成に関して優れた加工性を示し、さらに、焼成後もクラックが発生せず、結果として力学的に丈夫なセラミック基板を得ることができた。
【0237】
また、実施例4におけるスラリーに含まれるアミド構造を有する化合物として、ステアリン酸アミド以外のものを用いた、実施例7および8の各々に係る感光性セラミックグリーンシートを作製した。
【0238】
実施例7
スラリーに、 アミド構造を持つ化合物として、ステアリン酸アミド0.01gの代わりにメタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸アミドの共重合体(共重合割合が重量基準で25/70/5の共重合体、重量平均分子量=5,000)0.1gを添加した以外は、実施例4と同様にして、セラミックグリーンシートを作製した。
【0239】
実施例8
スラリーに、 アミド構造を持つ化合物として、ステアリン酸アミド0.01gのかわりにアクリル酸アミド0.1gを添加した以外は、実施例4と同様にして、セラミックグリーンシートを作製した。
【0240】
これら実施例7および8に係る各セラミックグリーンシートに対して、前述した実施例4〜6ならびに比較例4〜6の場合と同様の方法に従って、露光および現像を行なうことにより、直径30μmのバイアホール用貫通孔を作製し、そして、このバイアホール用貫通孔に導体材料を充填し、脱脂した後、900℃、空気中で焼成した。
【0241】
得られた焼成後のセラミック基板の抗折強度および密度を測定した。その測定結果を実施例4の測定結果とともに以下の表9に示す。
【0242】
【表9】
【0243】
表9から、実施例4によるセラミックグリーンシートは、実施例7および8の各場合と異なり、 アミド構造を持つ化合物として、モノアミド化合物であってかつ飽和脂肪酸アミドであるステアリン酸アミドを含んでいるので、実施例7および8の各場合よりも、抗折強度と密度とのバランスに優れ、強度が大きく、基板特性に優れていることがわかる。また、表9には示さないが、バイアホール導体の形状性にも優れていた。
【0244】
また、以下のような実施例7〜9ならびに比較例9〜11の各々に係るセラミックグリーンシートを作製した。
【0245】
比較例7
ステアリン酸アミドを添加せず、モノオール化合物としてジプロピレングリコールモノメチルエーテル0.5gを添加した以外は、実施例4と同様にして、セラミックグリーンシートを作製した。
【0246】
実施例9
ステアリン酸アミド0.01gを添加した以外は、比較例7と同様にして、セラミックグリーンシートを作製した。
【0247】
比較例8
ステアリン酸アミドを添加せず、ハイドロキシアパタイト(平均粒径5μm)0.1gを添加した以外は、実施例4と同様にして、セラミックグリーンシートを作製した。
【0248】
実施例10
ステアリン酸アミド0.01gを添加した以外は、比較例8と同様にして、セラミックグリーンシートを作製した。
【0249】
比較例9
ステアリン酸アミドを添加せず、チクソ剤(ディスパロン305、楠本化成社製:水添ひまし油系)0.1gを添加した以外は、実施例4と同様にして、セラミックグリーンシートを作製した。
【0250】
実施例11
ステアリン酸アミド0.01gを添加した以外は、比較例9と同様にして、セラミックグリーンシートを作製した。
【0251】
以上、実施例9〜11ならびに比較例7〜9の各セラミックグリーンシートに対して、前述した実施例4〜6ならびに比較例4〜6の場合と同様の方法に従って、露光および現像を行なうことにより、直径30μmのバイアホール用貫通孔を作製し、そして、このバイアホール用貫通孔に導体材料を充填し、脱脂した後、900℃、空気中で焼成した。
【0252】
得られた焼成後のセラミック基板の抗折強度および密度を測定した。その測定結果を以下の表10に示す。
【0253】
【表10】
【0254】
表10から、実施例9〜11による各セラミックグリーンシートは、比較例7〜9の場合と異なり、 アミド構造を持つ化合物としてステアリン酸アミドを含んでいるので、比較例7〜9よりも抗折強度と密度とのバランスに優れ、強度が大きく、基板特性に優れていることがわかる。また、表10には示さないが、実施例9〜11の場合には、バイアホール導体の形状性にも優れていた。
【0255】
この発明に係るペースト組成物によれば、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体を含む有機バインダ、および多価金属またはその化合物を含む無機粉末を混合してなるペースト組成物中に、分子量が1000未満のアミド構造を持つ化合物を含有させているので、これを適宜の基体上に塗布するとき、塗布前のペースト状態、塗布・乾燥後の塗膜状態のいずれにおいても、ゲル化の発生を十分に抑制することができ、また、基体との密着力が高く、微細かつ厚膜の導体膜のような機能材料膜を容易に形成することができる。
【0256】
特に、この発明に係るペースト組成物は、さらに感光性有機成分を含有しているので、上述したように、塗布前のペースト状態、塗布・乾燥後の塗膜状態のいずれにおいてもゲル化の発生を十分に抑制できるばかりでなく、フォトリソグラフィ技術による現像処理を安定して実施することができ、したがって、極めて微細なパターンをもって、厚膜の機能材料膜を高精度に容易に形成することができる。
【0257】
また、上述したようなペースト組成物を用いて構成される電子部品によれば、基体上に、この発明に係るペースト組成物によって所望のパターンを有する機能材料膜が形成されているので、この機能材料膜の基体との密着力を高くすることができるとともに、微細かつ厚膜の各種パターンを機能材料膜に与えることができ、機能材料膜が導体膜である場合には、高密度配線化、高速信号化を達成した回路基板等の電子部品を得ることができる。
【0258】
この発明に係るセラミックグリーンシートにあっては、これを得るためのスラリーが、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体を含む有機バインダ、および、少なくともセラミック粉末を含み、かつ多価金属またはその化合物を含有した無機粉末を含むとともに、分子量が1000未満のアミド構造を持つ化合物を含んでいるので、このスラリーのゲル化が抑制され、そのため、セラミックグリーンシートの成形を円滑に進めることができるとともに、得られたセラミックグリーンシートを均一かつ加工性に優れたものとすることができる。
【0259】
特に、感光性有機成分を含有した感光性セラミックグリーンシートによれば、フォトリソグラフィ技術によって微細かつ高精度にバイアホール用貫通孔を形成することができるとともに、導体膜の微細化にも十分に対応可能なセラミックグリーンシートとすることができる。
【0260】
また、上述のようなセラミックグリーンシートを焼成してなるセラミック層を備える電子部品によれば、セラミック層を、その強度が高くかつ緻密なものとすることができる。
【0261】
また、この発明に係る多層セラミック基板の製造方法によれば、均一かつ加工性に優れた、上述のようなセラミックグリーンシートを用いるので、バイアホール導体や導体膜のような配線導体を高密度かつ微細に形成できると同時に、力学的に丈夫で信頼性の高い多層セラミック基板を得ることができる。
【0262】
上述の多層セラミック基板の製造方法において、感光性有機成分を含有した感光性セラミックグリーンシートを用いると、フォトリソグラフィ技術により微細かつ高精度にバイアホール用貫通孔を形成することがより容易になり、これによって、配線導体のさらなる高密度化および微細化に寄与させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による製造方法によって得られた多層セラミック基板1を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 多層セラミック基板
2〜7 絶縁体層
8,9 誘電体層
10 内部導体膜
11 バイアホール導体
12 外部導体膜
Claims (24)
- 側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体を含む有機バインダと、
多価金属またはその化合物を含む無機粉末と、
分子量が1000未満のアミド構造を持つ化合物と、
感光性有機成分と
を含む、ペースト組成物。 - 前記アミド構造を持つ化合物は、モノアミド化合物である、請求項1に記載のペースト組成物。
- 前記アミド構造を持つ化合物は、脂肪酸アミドである、請求項1または2に記載のペースト組成物。
- 前記アミド構造を持つ化合物は、飽和脂肪酸アミドである、請求項3に記載のペースト組成物。
- 前記アミド構造を持つ化合物は、当該ペースト組成物中において、0.03重量%〜0.5重量%含有する、請求項1ないし4のいずれかに記載のペースト組成物。
- 前記無機粉末は、多価金属またはその化合物を含む、導電性金属粉末または導電性金属粉末とガラス粉末との混合物である、請求項1ないし5のいずれかに記載のペースト組成物。
- 前記導電性金属粉末は、金、銀、銅、白金、アルミニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデンおよびタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む粉末である、請求項6に記載のペースト組成物。
- 前記無機粉末は、多価金属またはその化合物を含有する、ガラス粉末および/またはセラミック粉末である、請求項1ないし5のいずれかに記載のペースト組成物。
- さらにモノオール化合物を含む、請求項1ないし8のいずれかに記載のペースト組成物。
- さらに前記有機高分子化合物のアニオンを吸着する性質を有するアニオン吸着性物質を含む、請求項1ないし9のいずれかに記載のペースト組成物。
- さらにチクソ剤を含む、請求項1ないし10のいずれかに記載のペースト組成物。
- 基体と、請求項1ないし11のいずれかに記載のペースト組成物を、前記基体上に付与し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、次いで焼成することによって得られた、機能材料膜とを備える、電子部品。
- 請求項1ないし11のいずれかに記載のペースト組成物を焼成することによって得られた層を備える、電子部品。
- 側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体を含む有機バインダと、
少なくともセラミック粉末を含み、かつ多価金属またはその化合物を含有した無機粉末と、
分子量が1000未満のアミド構造を持つ化合物と、
感光性有機成分と
を含むスラリーを、シート状に成形することによって得られた、セラミックグリーンシート。 - 前記アミド構造を持つ化合物は、モノアミド化合物である、請求項14に記載のセラミックグリーンシート。
- 前記アミド構造を持つ化合物は、脂肪酸アミドである、請求項14または15に記載のセラミックグリーンシート。
- 前記アミド構造を持つ化合物は、飽和脂肪酸アミドである、請求項16に記載のセラミックグリーンシート。
- 前記アミド構造を持つ化合物は、前記スラリー中において、0.03重量%〜0.5重量%含有する、請求項14ないし17のいずれかに記載のセラミックグリーンシート。
- 前記無機粉末は、ホウ素、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、鉛、ビスマス、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、クロム、ストロンチウムおよびチタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の多価金属および/またはその酸化物を含む、請求項14ないし18のいずれかに記載のセラミックグリーンシート。
- 前記スラリーは、さらにモノオール化合物を含む、請求項14ないし19のいずれかに記載のセラミックグリーンシート。
- 前記スラリーは、さらに前記有機高分子化合物のアニオンを吸着する性質を有するアニオン吸着性物質を含む、請求項14ないし20のいずれかに記載のセラミックグリーンシート。
- 前記スラリーは、さらにチクソ剤を含む、請求項14ないし21のいずれかに記載のセラミックグリーンシート。
- 請求項14ないし22のいずれかに記載のセラミックグリーンシートを焼成してなるセラミック層を備える、電子部品。
- 請求項14ないし22のいずれかに記載の複数のセラミックグリーンシートを用意する工程と、
前記セラミックグリーンシートの特定のものにフォトリソグラフィ技術を用いて貫通孔を設ける工程と、
前記貫通孔内に導体ペーストを付与することによってバイアホール導体を形成する工程と、
前記バイアホール導体に接続されるように前記セラミックグリーンシート上に導体ペーストを付与することによって導体膜を形成する工程と、
前記バイアホール導体が形成された前記セラミックグリーンシートを含む複数の前記セラミックグリーンシートを積層することによって生の積層体を作製する工程と、
前記生の積層体を焼成する工程と
を備える、多層セラミック基板の製造方法。
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