JP3726626B2 - 感光性厚膜組成物ならびに電子部品、電子装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性有機成分および無機成分を主成分とする感光性厚膜組成物、ならびにこの感光性厚膜組成物を用いた電子部品、さらに、この電子部品を備えた電子装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動体通信用端末機器やコンピュータ等の各種電子装置の性能は著しく向上しており、特に、情報処理速度の高速化や装置の小型化が飛躍的に進められている。そして、こうした電子装置を支える電子部品においても、その小型化・高密度化が厳しく要求されており、電極パターンの三次元化やその微細化、高精度化が進められている。
【0003】
一般に、積層電子部品においては、その層間を電気的に接続するためにバイアホールが形成されており、バイアホールは、いわゆる厚膜印刷法による積層電子部品では、
(1)有機ビヒクル中にガラス粉末を混合し、絶縁ペーストを調製する。
(2)絶縁ペーストを基体上に印刷し、バイアホール用孔を有した塗膜を形成する。
(3)バイアホール用孔に導体ペーストを充填する。
(4)塗膜および導体ペーストを焼成する。
といった方法で形成されている。
【0004】
ところが、この種の積層電子部品において、バイアホール用孔のパターニングは、通常、絶縁ペーストのスクリーン印刷によって行われている。そのため、スクリーン印刷後の塗膜には、ペースト粘度やスクリーンメッシュの粗さ等に起因するにじみやかすれ等が生じ易く、100μmφ程度のバイアホール用孔を形成するのが限界であった。
【0005】
これに対して、たとえば特開平6−283846号公報には、ガラスを主成分とした絶縁ペーストに、光重合性モノマーや光重合開始剤等の感光性有機成分を添加・混合して感光性絶縁ペーストを作製し、これを基体上に塗布した後、露光処理および現像処理によって所望のバイアホール用孔を形成するといった手法が開示されている。このように、感光性絶縁ペーストを用いたフォトリソグラフィ法は、露光処理および現像処理を利用したパターニング手法であるので、微細なバイアホールを高精度に形成することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、感光性絶縁ペーストを用いたフォトリソグラフィ法においては、環境への配慮から、水やアルカリによる現像処理が望まれており、そのために、感光性有機成分中には、カルボキシル基等の酸性官能基を有する有機バインダが導入されている。
【0007】
しかしながら、ガラス粉末として2価以上の価数を持った多価金属酸化物(たとえばSiO2−Bi23−B23系ガラス)を用いた場合、感光性絶縁ペーストの溶質部分に多価金属のイオンが溶出し、この多価金属イオンが、有機バインダの酸性官能基(有機バインダのアニオン)と反応して、イオン架橋による3次元ネットワークが形成され、感光性絶縁ペーストのゲル化が進行してしまう。そして、感光性絶縁ペーストがゲル化すると、その塗布が困難になるばかりか、たとえ塗布できたとしても、現像処理が不安定になる。
【0008】
そこで、感光性ペーストのゲル化を防止する手法として、特開平9−218509号公報ではリン酸等のリン含有化合物を、特開平9−218508号公報ではベンゾトリアゾール等のアゾール構造を持つ化合物をそれぞれ添加するといった手法が開示されている。ところが、これらの手法は、感光性ペーストがゲル化するまでの時間を若干伸ばすに過ぎず、長期の保存安定性には優れていない。
【0009】
また、特開平10−171107号公報には、感光性ペースト中に3−メチル−3−メトキシブタノールを含有するといった手法が開示されている。しかしながら、3−メチル−3−メトキシブタノールは、感光性ペーストによる塗膜の乾燥処理を施した際に塗膜から揮発し易いため、乾燥後の塗膜がゲル化してしまい、特にその現像時には、未露光部が現像液に溶出しなくなることがある。
【0010】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸性官能基を有した有機バインダを含む感光性有機成分と、2価以上の価数を持った多価金属化合物を含む無機成分とを混合してなる感光性厚膜組成物において、そのゲル化を抑制し、バイアホール等の各種パターンを微細かつ高精度に形成できる感光性厚膜組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、微細かつ高精度の各種パターンを有し、小型・高信頼性の電子部品、さらには、小型化、高信頼性化を達成した電子装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酸性官能基を有した有機バインダを含む感光性有機成分と、多価金属化合物を含む、ガラス粉末またはセラミック粉末である無機成分とを含む感光性厚膜組成物に、ヘキサントリオール、ヘプタントリオール、トレイトール、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、アドニトール、グルシトール、マンニトール、イジトール、タリトール、ガラクチトール、マリトール、ペルセイトール、ボレミトールの多価アルコールのうち少なくとも一つの多価アルコールを含有させることによって、そのゲル化を十分に抑制できることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明は、(A)酸性官能基を有した有機バインダを含む感光性有機成分、(B)多価金属化合物を含む、ガラス粉末またはセラミック粉末である無機成分、および、(C)ヘキサントリオール、ヘプタントリオール、トレイトール、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、アドニトール、グルシトール、マンニトール、イジトール、タリトール、ガラクチトール、マリトール、ペルセイトール、ボレミトールの多価アルコールのうち少なくとも一つの多価アルコール、からなることを特徴とする感光性絶縁ペーストに係るものである。
【0013】
本発明の感光性絶縁ペーストによれば、ヘキサントリオール、ヘプタントリオール、トレイトール、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、アドニトール、グルシトール、マンニトール、イジトール、タリトール、ガラクチトール、マリトール、ペルセイトール、ボレミトールの多価アルコールのうち少なくとも一つの多価アルコールを含有しているので、塗布前のペースト状態、塗布・乾燥後の塗膜状態のいずれにおいても、そのゲル化を十分に抑制することができ、バイアホ−ル等の各種パターンを微細かつ高精度に形成することができる。
【0014】
これは、多価アルコール中のアルコール性水酸基(−OH)が、有機バインダの酸性官能基(たとえばカルボキシル基)に比べて、多価金属イオンとの結合力が際立って強く、したがって、感光性絶縁ペーストの溶液部分に溶出する多価金属イオンは、有機バインダのアニオンに先立って多価アルコールと反応して、有機バインダのアニオンと多価金属イオンとのイオン架橋およびそれによる3次元ネットワークの形成を妨げることによるものである。
【0015】
また、本発明は、本発明の感光性絶縁ペーストを焼成してなる層を備えることを特徴とする電子部品、さらには、この電子部品を備えた電子装置を提供するものである。
【0016】
すなわち、本発明の電子部品によれば、絶縁体層をフォトリソグラフィ法に基づいて微細かつ高精度にパターニングすることができるので、微細かつ高精度の各種パターンを有した小型・高信頼性の電子部品が得られ、ひいては、これを備えた電子装置の小型化、高信頼性化が達成される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の感光性厚膜組成物をさらに詳細に説明する。
【0018】
本発明の感光性厚膜組成物において、多価アルコールとしては、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール、ヘプタントリオール、ブタンテトロール、グリシトールなどの脂肪族系多価アルコール、グルコン酸等のカルボキシル基含有多価アルコール、グアヤコール等の芳香族系多価アルコール、低分子量ポリビニルアルコールなどの高分子系多価アルコールなどが挙げられる。
【0019】
特に、多価アルコールは、1分子中に2以上、6以下のアルコール性水酸基を有しているもの、つまり2価〜6価のアルコールが望ましく、たとえば2価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ブテンジオール、ヘキサメチレングリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等、3価アルコールとしてはグリセリン、ヘキサントリオール、ヘプタントリオール等、4価アルコールとしてはトレイトール、エリトリトール等、5価アルコールとしてはアラビトール、キシリトール、リビトール、アドニトール等、6価アルコールとしてはグルシトール、マンニトール、イジトール、タリトール、ガラクチトール、マリトール等が挙げられる。なお、7価アルコールとしてペルセイトール、ボレミトール等を使用することもできる。
【0020】
なお、6価アルコールであるグルシトール等は、無機成分中の多価金属化合物に含まれる多価金属イオンと錯体を形成し易く、有機バインダの酸性官能基と多価金属イオンとが結合するのを十分に抑制するため、特に望ましい。また、露光・現像前、乾燥処理時に多価アルコールが完全に消失してしまうと、乾燥後の塗膜に対するゲル化防止能が低下することから、安定した現像処理が実施できなくなる。したがって、乾燥後の塗膜に若干でも多価アルコールを残存させ、安定した現像処理を実施させるために、多価アルコールの沸点が178℃以上であることが望ましい。沸点178℃以上あるいは室温で固体状の多価アルコールは、その点からも有用な添加物(ゲル化防止剤)となり得る。
【0021】
また、本発明の感光性厚膜組成物において、多価アルコールは、それが室温で液体状の場合、無機成分に対して、0.1倍以上、5倍以下の重量比率で含有されていることが望ましい。その割合が0.1倍未満であると、ゲル化を十分に防止することが困難である。また、その割合が5倍を超えると、感光性厚膜組成物の粘度が低下し、その塗布性が劣化することがある。
【0022】
あるいは、多価アルコールは、それが室温で固体状の場合、多価アルコールと無機成分との合計量のうち、0.01重量%以上、20重量%以下を占めていることが望ましい。その割合が0.01重量%未満であると、ゲル化を十分に防止することが困難である。また、その割合が20重量%を超えると、感光性厚膜組成物の粘度が上昇し、その調製や塗膜形成が困難になる。
【0023】
また、本発明の感光性厚膜組成物において、無機成分は、体積分率で30%以上、90%以下を占めていることが望ましい。体積分率が30%未満であると、焼成時の体積収縮が大きくなることがある。他方、体積分率が90%を超えると、塗膜強度が低下してしまうことがある。なお、本発明において、無機成分の体積分率は、(感光性厚膜組成物の無機成分の体積)/(感光性厚膜組成物の固形分の体積)を意味する。ここで、感光性厚膜組成物の固形分とは、露光・現像処理前の乾燥処理によっては消失しない成分のことであり、無機成分や導電性金属成分のほか、有機バインダも含まれる。また、多価アルコールとして室温で固体状のものを選択した場合も、通常の乾燥処理によっては消失しないのでこれに該当する。また、導電性金属成分の体積分率も同様の意味である。
【0024】
また、本発明の感光性厚膜組成物において、無機成分は、粉末状の無機成分(つまり無機粉末)であってよく、特に、ガラス粉末またはセラミック粉末であることが望ましい。また、無機粉末の平均粒径(D50)は、露光処理に必要な光量を最小限に抑え、かつ、現像処理を安定して実施できることから、0.1〜10μmであることが望ましい。無機粉末の平均粒径が0.1μm未満では、露光感度が低下し、必要な露光光量が増大する傾向にあり、他方、平均粒径が10μmを超えると、その現像時には、疎粒による解像度の低下が生じることがある。
【0025】
なお、ガラス粉末としては、ホウ珪酸系ガラス粉末等の公知のガラス粉末を使用でき、セラミック粉末は、誘電体セラミック粉末、絶縁体セラミック粉末、誘電体セラミック粉末、磁性体セラミック粉末等の種々のセラミック粉末を使用することができる。特に、結晶化ガラス系セラミック粉末、ガラス複合系セラミック粉末、非ガラス系セラミック粉末のように、AgやCu等の低融点金属と同時焼成できる低温焼結セラミック粉末が望ましい。
【0026】
また、ガラス粉末やセラミック粉末等の無機成分は、B、Pb、Zn、Bi、Al、Mg、Ca、Ba、Ti、Sr、Zr、Mn、Co、Ni、Fe、Y、Nb、LaおよびRuからなる群より選ばれる少なくとも1種の多価金属のイオンを含んだ多価金属化合物であってよい。すなわち、感光性厚膜組成物における無機成分が多価金属化合物である場合、その溶質部分に多価金属イオンが溶出し、これが有機バインダの酸性官能基(特にカルボキシル基)と反応してゲル化が生じるが、本発明にしたがってその組成物中に多価アルコールを含有していれば、これが多価金属イオンと有機バインダのアニオンとの反応を妨げ、そのゲル化を抑制することができる。
【0027】
具体的には、ガラス粉末としては、SiO2−PbO系、SiO2−ZnO系、SiO2−Bi23系、SiO2−K2O系、SiO2−Na2O系、SiO2−PbO−B23系、SiO2−ZnO−B23系、SiO2−Bi23−B23系、SiO2−K2O−B23系、SiO2−Na2O−B23系等の非晶質ガラス粉末を用いることができる。
【0028】
また、セラミック粉末としては、Al、Ba、Ti、Sr、Pb、Zr、Mn、Co、Ni、Fe、Y、Nb、LaおよびRuからなる群より選ばれる少なくとも1種の多価金属の酸化物、硼化物、窒化物、ケイ化物等を用いることができる。より具体的に言えば、Al23やZrO2等からなる絶縁体セラミック粉末、BaTiO3等からなる誘電体セラミック粉末、ニッケル亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛銅フェライト等からなるフェライト系粉末、RuO2、Pb2Ru27、Bi2Ru27、Mn・Co・Niの複合酸化物等からなる高抵抗セラミック粉末、PZT等からなる圧電体セラミック粉末等を用いることができる。
【0029】
つまり、本発明の感光性厚膜組成物において、無機成分として絶縁体セラミック粉末やガラス粉末を用いれば、絶縁性の感光性厚膜組成物を調製することができ、誘電体セラミック粉末を用いれば誘電性の感光性厚膜組成物、高抵抗セラミック粉末を用いれば高抵抗の感光性厚膜組成物、圧電体セラミック粉末を用いれば圧電性の感光性厚膜組成物をそれぞれ調製できる。
【0030】
また、本発明の感光性厚膜組成物において、有機バインダは、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体であることが望ましい。このような有機バインダは感光性有機バインダとして有用であり、かつ、アルカリ系又は水系の現像液で現像処理ができる。なお、有機バインダが側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体であって、無機成分が上述したガラス粉末やセラミック粉末を含む場合、イオン架橋による3次元ネットワークが特に形成され易いが、このような系に前述の多価アルコール含有させることによって、そのイオン架橋による3次元ネットワークの形成(つまりゲル化)を有効に抑制できる。
【0031】
側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体を含む有機バインダは、たとえば、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物を共重合させることにより製造することができる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸およびこれらの無水物等が挙げられる。一方、エチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、フマル酸モノエチル等のフマル酸エステル等が挙げられる。また、アクリル系共重合体は、以下のような形態の不飽和結合を導入したものを使用してもよい。
(1)アクリル系共重合体の側鎖のカルボキシル基に、これと反応可能な、たとえばエポキシ基等の官能基を有するアクリル系モノマーを付加したもの。
(2)側鎖のカルボキシル基の代わりにエポキシ基が導入されてなるアクリル系共重合体に、不飽和モノカルボン酸を反応させた後、さらに飽和又は不飽和多価カルボン酸無水物を導入したもの。
【0032】
なお、本発明における感光性有機成分は、酸性官能基を有した有機バインダの他、光重合性モノマー(反応性官能基含有モノマー)、光重合開始剤、有機溶剤等を含有するものである。具体的には、
(1)不飽和基等の反応性官能基を有するモノマーやオリゴマーと、芳香族カルボニル化合物等の光ラジカル発生剤の混合物、
(2)芳香族ジアゾニウム化合物とホルムアルデヒドの縮合体等のいわゆるジアゾ樹脂、
(3)エポキシ化合物等の付加重合性化合物とジアリルヨウドニウム塩等の光酸発生剤の混合物、
(4)ナフトキノンジアジド系化合物、
等を含有していることが望ましい。このうち、特に望ましいのは、不飽和基等の反応性官能基を有するモノマーやオリゴマーと、芳香族カルボニル化合物等の光ラジカル発生剤の混合物である。
【0033】
反応性官能基含有モノマー・オリゴマーとしては、ヘキサンジオールトリアクリレート、トリプロピレングリコールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、1、3−ブタンジオールジアクリレート、1、4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1、4−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1、6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1、3−ブチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
【0034】
また、光ラジカル発生剤としては、ベンジル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルジメチルケタール、2−n−ブトキシ−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3、3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2、4−ジメチルチオキサントン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2、2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォルメート、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0035】
また、感光性有機成分中には、紫外線吸収剤が含まれていることが望ましい。紫外線吸収剤を含むことによって、露光光線の吸収性を向上できると同時に光散乱による露光不良を抑えることができる。紫外線吸収剤としては、アゾ系赤色顔料、アミン系赤色染料等が挙げられる。
【0036】
また、本発明の感光性厚膜組成物には、さらに必要に応じて、重合禁止剤等の保存安定剤、酸化防止剤、染料、顔料、消泡剤、界面活性剤等を適宜添加することができる。なお、また、本発明の感光性厚膜組成物はペースト状組成物(すなわち感光性ペースト)としてもよいが、スラリー状組成物としてもよい。
【0037】
次に、本発明の電子部品をチップインダクタを例にとって説明する。
【0038】
図1および図2に示すように、本実施の形態によるチップインダクタ1は、アルミナ等の絶縁性基板2a上に本発明の感光性厚膜組成物(ここでは感光性絶縁ペースト)による絶縁体層2b、絶縁体層2c、絶縁体層2dおよび絶縁体層2eが順次積層された積層構造を有している。そして、チップインダクタ1においては、絶縁性基板2a、絶縁体層2b〜2eからなる基体2の側面に外部電極3a、3bが形成されており、基体2の内部にはスパイラル状の内部電極4a、4b、4cおよび4dをそれぞれ有している。
【0039】
すなわち、基体2の内部には、コイルパターンを形成するスパイラル状の内部電極4a、4b、4cおよび4dが、絶縁性基板2a−絶縁体層2b間、絶縁体層2b−2c間、絶縁体層2c−2d間、絶縁体層2d−2e間にそれぞれ設けられている。そして、絶縁体層2a−2b間に設けられる内部電極4aは外部電極3a、絶縁体層2d−2e間に設けられる内部電極4dは外部電極3bにそれぞれ接続されている。
【0040】
さらに、絶縁性基板2a−絶縁体層2b間に設けられた内部電極4aは、絶縁体層2bに形成されたバイアホール5bを介して、絶縁体層2b−2c間に設けられた内部電極4bと電気的に接続されており、同様に、内部電極4bと内部電極4cとが、内部電極4cと内部電極4dとが、それぞれ絶縁体層2c、絶縁体層2dに形成されたバイアホール5c、5dを介して電気的に接続されている。
【0041】
そして、絶縁体層2b〜2dは、本発明による感光性絶縁ペーストの塗布→塗膜形成→乾燥→露光処理→現像処理→焼成処理によって形成されており、微細かつ加工形状の良いバイアホール5b、5cおよび5dが形成されている。すなわち、微細かつ高精度の電極パターンを備えており、小型化、高密度化を達成した信頼性の高いチップインダクタ1となる。
【0042】
次に、チップインダクタ1の製造方法例を説明する。
【0043】
図2に示すように、まず、アルミナ等からなる絶縁性基板2a上に、Ag等を主成分とする感光性導体ペーストを塗布した後、露光処理、現像処理等を経て、スパイラル状の導体パターンを形成する。続いて、たとえば、空気中、850℃で1時間程度焼成して、絶縁性基板2a上に内部電極4aを形成する。なお、感光性導体ペーストとしては、たとえば、フォーデルK3714(デュポン社製)等を使用可能である。また、その塗布方法は、スクリーン印刷法、スピンコート法、ドクターブレード法等いずれの方法を用いてもよい。但し、内部電極4aとなる導体パターンは、通常の導体ペーストを用い、スクリーン印刷法やフォトレジストを利用したパターニング法等に従って形成してもよい。
【0044】
次いで、内部電極4aを覆うように、絶縁性基板2a上に本発明による感光性絶縁ペーストを塗布して、絶縁性の塗膜を形成する。そして、この塗膜を乾燥した後、フォトマスクを介してたとえば直径50μmのバイアホール用パターンを露光する。その後、現像処理を行って不要箇所を除去し、さらに、たとえば大気中、所定温度で所定時間焼成して、バイアホール用孔を有する絶縁体層2bを形成する。ここで、感光性絶縁ペーストの塗布方法は、スクリーン印刷法、スピンコート法、ドクターブレード法等いずれの方法を用いてもよい。なお、塗膜は、たとえば40〜100℃、10分〜2時間の条件で乾燥させる。その後は、絶縁体層2bに形成したバイアホール用孔に導体材料を充填、乾燥した後、内部電極4aの一端と内部電極4bの一端とを接続するバイアホール5bを形成する。
【0045】
そして、上述したのとと同様の手法で、絶縁体層2b上にスパイラル状の内部電極4bを形成する。さらに同様の手順で、バイアホール5cを有する絶縁体層2c、内部電極4c、バイアホール5dを有する絶縁体層2d、内部電極4dを順次形成した後、絶縁体層2d上には、内部電極4dを覆うように、通常の絶縁ペースト或いは本発明による感光性絶縁ペーストを塗布して塗膜を形成し、これを乾燥した後、たとえば大気中、所定温度で所定時間焼成することによって保護用の絶縁体層2eを形成する。
【0046】
しかる後、絶縁性基板2a、絶縁体層2b、2c、2dおよび2eからなる基体2に、外部電極3aおよび3bを付与することによって、スパイラル状の内部電極によるコイルパターンを備えた積層構造を有するチップインダクタ1を完成する。
【0047】
上述した製造方法によれば、絶縁体層2b、2cおよび2dを設けるために、本発明による感光性絶縁ペーストを用いているので、各絶縁体層中に微細なバイアホール5b、5cおよび5dを加工形状良く、高精度に形成できる。すなわち、本発明による感光性絶縁ペーストは、経時的な粘性劣化が少なく保存安定性に優れているので、粘性劣化に起因するにじみ等を抑制し、直径150μm未満、特に直径50μm以下の極めて微細なバイアホールを高精度に形成できる。また、フォトリソグラフィ法における現像処理を安定に実施できるので、バイアホールを微細かつ高精度に形成でき、小型で信頼性が高く、高周波特性等に優れたチップインダクタを製造できる。
【0048】
さらに、上述したチップインダクタは、小型・高性能で信頼性が高いものとなるから、これをたとえば移動体通信端末やコンピュータ等におけるノイズ除去用として用いることによってその機能を十分に発揮すると同時に、高い信頼性を有し、小型・軽量の電子装置を実現できる。
【0049】
以上、本発明の電子部品をチップインダクタについて説明したが、本発明の電子部品はこれに限定されるものではない、たとえば、多層セラミックコンデンサ、多層LCフィルタのように三次元的な内部電極を有する電子部品の他、VCO(Voltage Controlled Oscillator)やPLL(Phase Locked Loop)等の機能モジュール、さらには半導体デバイスを実装するためのセラミック多層基板やハイブリッドIC等であってよい。
【0050】
また、本発明の感光性厚膜組成物は上述の感光性絶縁ペーストの他、これをスラリー状に調製して感光性を有するセラミックグリーンシートの作製に利用することもできる。また、本発明の感光性厚膜組成物は、バイアホール形成以外にも、任意の絶縁体パターン、誘電体パターン、抵抗体パターン、磁性体パターンの形成に利用することができる。つまり、感光性厚膜組成物中の無機成分を絶縁性無機成分とすれば、その焼成膜は絶縁体パターンとなり、無機成分を誘電性無機成分とすれば誘電体パターン、高抵抗無機成分とすれば抵抗体パターン、磁性無機成分とすれば磁性体パターンを形成することができ、かつ、これらを微細かつ高精度に加工することができる。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
例1
下記組成、配合量の各種成分を混合後、3本ロールミルによる混練を行い、下記表1に示す感光性絶縁ペーストとした。
<ガラス粉末>
SiO2−K2O−B23系ガラス粉末(ホウ酸含量17%):5.0g
<有機バインダ>
メタクリル酸/メタクリル酸メチルの共重合割合が重量基準で25/75の共重合体(重量平均分子量=50,000):2.0g
<反応性官能基含有モノマー>
トリメチロールプロパントリアクリレート:1.0g
<光重合開始剤>
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(光重合開始剤A):0.4g
2、4−ジエチルチオキサントン(光重合開始剤B):0.1g
<有機溶剤>
エチルカルビトールアセテート:4.0g
<多価アルコール>
グルシトール(6価アルコール):0.1g
また、本例の感光性絶縁ペーストを、スピンコーターによってアルミナ絶縁性基板上に塗布し、これを100℃にて1時間乾燥して、30μm厚の塗膜を形成した。そして、得られた塗膜を所定の期間放置した後、露光処理を行った。なお、露光処理は、バイアホール径=50(μmφ)のパターンが描画されたマスクを介して、高圧水銀灯の光線(露光量:250mJ/cm2)の照射によって実施した。
【0052】
さらに、炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像処理を行い、アルミナ絶縁性基板上にバイアホール用孔(バイアホール径:50μmφ)を有する未焼成の絶縁体層を形成した。そして、これを850℃、空気中で焼成して、バイアホール用孔(バイアホール径:80μmφ)を有する絶縁体層を得た。
例2〜例10
また、例1と同様にして、下記表1に示す組成の感光性絶縁ペーストを作製した。なお、例2のペンタメチレングリコールは2価アルコールであり、例3のグリセリンは3価アルコール、例4のエリトリトールは4価アルコール、例5のキシリトールは5価アルコールである。例6のマンニトールで6価アルコールである。また、例7の3−メトキシ−3−メチルブタノールは1価アルコールである。
【0053】
【表1】
Figure 0003726626
【0054】
そして、上記例1〜例10の感光性絶縁ペーストについて、温度20℃下、空気中における作製直後、1日後、3日後、1週間後、1ヶ月後の各時点での保存状態(保存安定性)を測定した。その評価結果を下記表2に示す。なお、下記表2中の「○」は、各所定の時点において、感光性絶縁ペーストがゲル化しておらず、塗膜形成およびパターン加工を良好に実施できたことを意味する。また、表中の「×」は、感光性絶縁ペーストがゲル化して塗膜形成が不可能であった、もしくは、未露光部が現像液に溶出せずパターン形成ができなかったことを意味する。
【0055】
【表2】
Figure 0003726626
【0056】
その結果、2価〜6価アルコールを含む例1〜例6の感光性絶縁ペーストは、いずれの時点においてもゲル化していなかった。すなわち、作製直後、1日後、3日後、1週間後、1ヶ月後の各時点において、アルミナ絶縁性基板上にのスピンコーターによる塗布、ならびに、フォトリソグラフィ法によるパターニングを実施可能であった。
【0057】
これに対して、例8〜10のように、多価アルコール以外の添加物を含有している場合、ペースト調製の1日後には、ペーストがゲル化して塗膜形成が不可能、もしくは、未露光部が現像液に溶出しなくなり、パターン形成ができなかった。また、例7のように、3−メトキシ−3−メチルブタノールを含むものでは、調製直後、1日後、3日後、1週間後、1ヶ月後の各時点においてゲル化が生じておらず、絶縁性基板上にスピンコーターによる塗布を安定して実施できたものの、その塗膜乾燥後、露光処理時には、未露光部が現像液に溶出せず、パターン形成ができなかった。
例11〜16
下記表3に示すようにグルシトール添加量を変化させ、例1と同様にして感光性絶縁ペーストを作製した。なお、グルシトールは室温(25℃)で固体状の6価アルコールであり、表3中、添加物の欄の「割合」は、ガラス粉末とグルシトールとの合計量のうち、グルシトールの重量割合を示す。
【0058】
【表3】
Figure 0003726626
【0059】
以上、例11〜例16の感光性絶縁ペーストについて、例1と同様にして、バイアホール径=50(μmφ)のパターン形成を試みた。そして、各感光性絶縁ペーストについて、例1と同様にして保存安定性の評価を行った。また、併せて、各感光性絶縁ペーストについてペースト塗布性を評価した。
【0060】
なお、下記表3において、保存安定性の欄の「○」は、各時点において、感光性絶縁ペーストがゲル化しておらず、塗膜形成およびパターン加工を良好に実施できたことを意味する。また、保存安定性の欄の「△」は、感光性絶縁ペーストの塗膜形成後、未露光部が現像液に溶出しにくく、パターン形成が困難であったことを意味する。さらに、ペースト塗布性の欄の「○」は、目的膜厚と実際の膜厚との差が±0.5μm以下であったことを意味し、「△」は、目的膜厚と実際の膜厚との差が±0.5μmを超えていたことを意味する。
【0061】
【表4】
Figure 0003726626
【0062】
表4から分かるように、感光性絶縁ペースト中のグルシトールとガラス粉末との合計量のうち多価アルコールが0.01〜20重量%を占めている例13〜例15の感光性絶縁ペーストによれば、長期間にわたった保存安定性に優れており、かつ、未露光部が現像液に容易に溶出して、形状性の良いバイアホールを形成できた。
【0063】
これに対して、例11〜例12の感光性絶縁ペーストのように、グルシトールの添加量が少ない場合、ペースト調製の1週間後もしくは1ヶ月後には、塗膜形成はできたものの、未露光部が現像液に溶出しにくくなり、パターン形成が困難になる傾向があった。他方、例16の感光性絶縁ペーストように、グルシトールの添加量が多すぎる場合、ペーストの保存安定性は優れているが、その粘度が上がりすぎてペースト塗布性がやや低下する傾向にあった。
例17〜例22
下記表4に示すようにペンタメチレングリコール添加量を変化させ、例1と同様にして感光性絶縁ペーストを作製した。なお、ペンタメチレングリコールは室温(25℃)で液体状の2価アルコールであり、表5中、添加物の欄の「割合」は、ペンタメチレングリコールのガラス粉末に対する重量比率を示す。
【0064】
【表5】
Figure 0003726626
【0065】
以上、例17〜例22の感光性絶縁ペーストについて、例1と同様にして、バイアホール径=50(μmφ)のパターン形成を試みた。そして、各感光性絶縁ペーストについて、例11〜例16と同様にして、保存安定性およびペースト塗布性を評価した。その評価結果を下記表6に示す。
【0066】
【表6】
Figure 0003726626
【0067】
表6から分かるように、感光性絶縁ペースト中のガラス粉末に対して、ペンタメチレングリコール添加量が重量比率で0.1〜5倍である例19〜例21の感光性絶縁ペーストによれば、長期間にわたって保存安定性に優れており、かつ、未露光部が現像液に容易に溶出して、形状性の良いバイアホールを形成できた。
【0068】
これに対して、例17〜例18の感光性絶縁ペーストのように、ペンタメチレングリコールの添加量が少ない場合、ペースト調製の1週間後もしくは1ヶ月後には、塗膜形成は可能であったが、未露光部が現像液に溶出しにくくなり、パターン形成が困難になる傾向があった。他方、例22の感光性絶縁ペーストのように、ペンタメチレングリコールの添加量が多すぎる場合、ペーストの保存安定性は優れているが、その粘度が下がりすぎてペースト塗布性が低下する傾向にあった。
【0069】
以上、酸性官能基を有する有機バインダを含む感光性有機成分と多価金属酸化物を含む無機粉末とを混合してなる感光性絶縁ペーストに、所定量の2価〜6価アルコールを含有していれば、長期にわたって、塗布前のペースト状態、乾燥後の塗膜状態のいずれにおいてもペーストのゲル化を十分に抑制し、微細なバイアホールを高精度に形成できた。特に、塗膜の安定性が高く、フォトリソグラフィ法における現像処理を安定して実施できた。
【0070】
【発明の効果】
本発明の感光性厚膜組成物によれば、(A)酸性官能基を有した有機バインダを含む感光性有機成分、(B)多価金属化合物を含む無機成分を含む感光性厚膜組成物において、(C)複数のアルコール性水酸基を有した多価アルコールを含有しているので、塗布前のペースト状態、塗布・乾燥後の塗膜状態のいずれにおいても、そのゲル化を十分に抑制することができ、フォトリソグラフィ法に基づいてバイアホール等の各種パターンを微細かつ高精度に形成することができる。
【0071】
また、本発明の電子部品によれば、絶縁体層、誘電体層、抵抗体層、磁性体層等をフォトリソグラフィ法に基づいて微細かつ高精度にパターニングすることができ、微細かつ高精度の各種パターンを有した小型・高信頼性の電子部品を達成できる。
【0072】
さらに、本発明の電子装置によれば、微細かつ高精度の各種パターンを有した小型・高信頼性の電子部品を備えているので、移動体通信機器やコンピュータ等の各種電子装置の小型化、高信頼性化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態によるチップインダクタの概略斜視図である。
【図2】同チップインダクタの概略分解斜視図である。
【符号の説明】
1・・・チップインダクタ
2a、2b、2c、2d、2e・・・絶縁体層
3a、3b・・・外部電極
4a、4b、4c、4d・・・内部電極
5b、5c、5d・・・バイアホール

Claims (8)

  1. (A)酸性官能基を有した有機バインダを含む感光性有機成分、(B)多価金属化合物を含む、ガラス粉末またはセラミック粉末である無機成分、および、(C)ヘキサントリオール、ヘプタントリオール、トレイトール、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、アドニトール、グルシトール、マンニトール、イジトール、タリトール、ガラクチトール、マリトール、ペルセイトール、ボレミトールの多価アルコールのうち少なくとも一つの多価アルコール、からなることを特徴とする感光性絶縁ペースト。
  2. 前記多価アルコールは、前記多価アルコールと前記無機成分との合計量のうち、0.01重量%以上、20重量%以下を占めていることを特徴とする、請求項1に記載の感光性絶縁ペースト。
  3. 前記無機成分は、体積分率で30%以上、90%以下を占めていることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の感光性絶縁ペースト。
  4. 前記多価金属化合物は、B、Pb、Zn、Bi、Al、Mg、Ca、Ba、Ti、Sr、Zr、Mn、Co、Ni、Fe、Y、Nb、LaおよびRuからなる群より選ばれる少なくとも1種の多価金属のイオンを含んでいることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の感光性絶縁ペースト。
  5. 前記有機バインダは、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の感光性絶縁ペースト。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の感光性絶縁ペーストを焼成してなる層を有することを特徴とする、電子部品。
  7. 前記層は、バイアホール加工が施された絶縁体層であることを特徴とする、請求項6に記載の電子部品。
  8. 請求項6または7に記載の電子部品を備えることを特徴とする、電子装置。
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