JP4253306B2 - 感光性ペースト及びそれを用いて形成した焼成物パターン - Google Patents
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Description
以下、添付図面を参照しながら簡単に説明する。
なお、上記構造のPDPでは、一対の表示電極2aと2bの間に交流のパルス電圧を印加し、同一基板上の電極間で放電させるので、「面放電方式」と呼ばれている。
また、上記構造のPDPでは、放電により発生した紫外線が背面基板11の蛍光体膜14a、14b、14cを励起し、発生した可視光を前面基板1の透明電極3a、3bを透して見る構造となっている。
しかし、感光性ペーストを調製するため、上述のようなカルボキシル基を含有した有機高分子化合物にガラス粉末やセラミック粉末等の多価金属もしくはその酸化物を含有する粉末を加えると、このような粉末から溶出した多価イオンと有機高分子化合物のカルボキシル基がイオン架橋し、3次元的なネットワークを形成することによって増粘やゲル化が発生する。さらに樹脂の酸価や分子量が大きい場合、ゲル化するスピードは早くなる傾向にある。
しかしながら、この方法は、感光性ペーストがゲル化するまでの時間を若干長くするにすぎず、増粘が大きいため、感光性ペーストの実用上の困難さは実質的に解消されていないのが現状である。
さらに本発明によれば、このような感光性ペーストを用いて得られる隔壁パターン、誘電体パターン、電極パターン、及びブラックマトリックスパターンなどの焼成物パターンが提供される。
さらに、多価アルコールを用いることで、ほう酸の酸性度が向上し、酸価や分子量の大きいカルボキシル基含有樹脂を用いた場合でも、安定性に優れた感光性ペーストを提供することができる。
このように、保存安定性に優れた感光性ペーストにすることにより、輸送・保管中のゲル化が減少し、またこの感光性ペーストにより製造されるPDPの品質向上に貢献でき、さらにPDPのコストダウンにも貢献できる。
なお、平均粒経(D50)とは、粒度分布において、粒子数の積算値が粒子総数の50%となる時の粒子径を、示す値である。
前記ほう酸を除く無機微粒子(A)としては、公知慣用の無機微粒子を用いることができ、特にガラス微粒子、黒色顔料、及び導電性粉末からなる群から選ばれた少なくとも1種が好適に用いることができる。
上記ガラス微粒子としては、ガラス転移点(Tg)が300〜500℃で、ガラス軟化点(Ts)が400〜600℃であるガラス、例えば酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛または酸化リチウムを主成分とするガラスが好適に使用できる。また、解像度の点からは、平均粒径10μm以下、好ましくは5μm以下のガラス粉末を用いることが好ましい。
上記合成アモルファスシリカ微粉末の具体例としては、日本アエロジル(株)製のAEROSIL(登録商標)50、130、200、200V、200CF、200FAD、300、300CF、380、OX50、TT600、MOX80、MOX170、COK84、日本シリカ工業(株)製のNipsil(登録商標)AQ、AQ−S、VN3、LP、L300、N−300A、ER−R、ER、RS−150、ES、NS、NS−T、NS−P、NS−KR、NS−K、NA、KQ、KM、DS等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、一次粒子径が5〜50nm、比表面積が50〜500m2/gのものが好ましい。
(1)不飽和カルボン酸と不飽和二重結合を有する化合物を共重合させることによって得られるカルボキシル基含有樹脂、
(2)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と不飽和二重結合を有する化合物の共重合体のエポキシ基に、1分子中に1つのカルボキシル基を有し、エチレン性不飽和結合を持たない有機酸を反応させ、生成した2級の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂、及び
(3)水酸基含有ポリマーに多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂などが挙げられる。
(1)不飽和カルボン酸と不飽和二重結合を有する化合物の共重合体のカルボキシル基に、エチレン性不飽和基をペンダントとして部分的に付加させることによって得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(2)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と不飽和二重結合を有する化合物の共重合体のエポキシ基に、不飽和カルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(3)不飽和二重結合を有する酸無水物と不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、水酸基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(4)多官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、及び
(5)水酸基含有ポリマーに多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂に、エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物をさらに反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂などが挙げられる。
これらの光重合開始剤(D)及び光増感剤の配合割合は、前記カルボキシル基含有樹脂(B)及び/又はカルボキシル基含有感光性樹脂(B’)100質量部当り、1〜30質量部が適当であり、好ましくは、5〜20質量部である。
このような平均粒経(D50)20μm以下のほう酸(E)の配合割合は、前記ほう酸を除く無機微粒子(A)100質量部当り、0.01〜10質量部が適当であり、好ましくは、0.1〜2質量部である。
なお、本発明で言う疎水性溶媒(F)とは、水と自由に混合せず、分離してしまう溶媒であり、好ましくは25℃の水100gに対する溶解度が20g以下、より好ましくは、溶解度が10g以下の有機溶媒である。
本発明の疎水性溶媒(F)としては、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル類、プロピレングリコールフェニルエーテルなどのグリコールエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤、さらに2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートやテルピオネールなどのアルコール類が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、上記疎水性溶媒(F)は、感光性ペーストを調整する時のみに用いて、その後、キャリアフィルムに塗布・乾燥したグリーンシートとして、供給することも可能である。
また、必要に応じて、親水性溶媒を併用することも可能であるが、その場合、全溶媒中の疎水性溶媒の量が、30質量%以上となることが好ましい。このような親水性溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
このような多価アルコール(G)としては、マンニトール、ソルビトール、デキストリン、フラクトースグリセリンなどが挙げられ、中でも吸湿性の低いD(−)−マンニトールが好ましい。
上記多価アルコール(G)の配合量としては、前記平均粒経(D50)20μm以下のほう酸(E)1質量部に対して0.01〜10質量部が適当であり、好ましくは、0.5〜2質量部である。
重量平均分子量が約10,000、酸価が60mgKOH/gのメチルメタクリレート(MMA)とメチルアクリレート(MA)からなるカルボキシル基含有樹脂(B−1)と重量平均分子量が約50,000、酸価が120mgKOH/gのMMAとMAからなるカルボキシル基含有樹脂(B−2)を用い、以下の表に示す組成比にて配合し、攪拌機により攪拌調整した。
光重合性モノマー(C)はトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)を使用し、光重合開始剤(D)は2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン(イルガキュア379、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を用いた。
溶媒は、疎水性溶媒(F)としてジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA、ダウケミカル社製)およびソルベッソ#200(エクソンモービル化学社製)を用い、また比較例の親水性溶媒としてトリプロピレングリコールメチルエーテル(TPM、ダウケミカル社製)を用いた。
ほう酸については、市販品(関東化学社製)の平均粒経790μmのほう酸粉末(D1)をジェットミルで粉砕を行い、平均粒経20μmのほう酸(D2)、及び平均粒経1.7μm(D3)の微粉末を得た。
なお粒経の測定方法はレーザー法で、測定装置はマスターサイザー2000(乾式)である。
さらに、ガラス粉末としては、PbO 60%、B203 20%、SiO2 15%、Al203 5%を粉砕し、熱膨張係数α300=70×10−7/℃、ガラス転移点445℃、平均粒径1.6μmとしたものを使用した。また添加剤としてシリコンオイルKS−66(信越化学工業社製)を加えた。
下記表1に示す成分を、表に示す組成比にて配合し、攪拌機により攪拌後、3本ロールミルにより練肉して感光性ペーストを得た。
下記表2に示す成分を、表に示す組成比にて配合し、攪拌機により攪拌後、3本ロールミルにより練肉して感光性ペーストを得た。
(評価基板)この評価に使用する基板は、ITO膜付きガラス基板上に、評価用ペーストを300メッシュのポリエステルスクリーンを用いて全面に塗布し、次いで、熱風循環式乾燥炉にて90℃で20分間乾燥して指触乾燥性の良好な皮膜を形成した。その後、光源をメタルハライドランプとし、ライン幅10〜100μm、スペース幅100μmのストライプ状のネガマスクをもちいて、組成物上の積算光量が100mJ/cm2となるように露光した後、液温25℃の0.5wt%Na2CO3水溶液を用いて現像を30秒間行い、水洗した。
(評価方法)現像後のライン形状については、現像まで終了したパターンを顕微鏡観察し、ラインに不規則なばらつきがなく、現像残渣等がないかどうかで評価した。これらの評価結果を、下記表3に示す。
ライン形状の評価基準は以下の通りである。
○:不規則なばらつきがなく、現像残渣等がない。
△:不規則なばらつき、現像残渣等がある。
×:現像不可。
また、多価アルコールを加えた実施例5は、添加していない実施例4に比べて、保存安定性が向上していることも判る。
2a,2b 表示電極
3,3a,3b 透明電極
4,4a,4b バス電極
5 透明誘電体層
6 保護層
10 ブラックマトリックス
11 背面ガラス基板
12 リブ
13 アドレス電極
14a,14b,14c 蛍光
Claims (4)
- (A)ほう酸を除く無機微粒子、(B)カルボキシル基含有樹脂、(C)光重合性モノマー、(D)光重合開始剤、(E)平均粒経(D50)20μm以下のほう酸、及び(F)疎水性溶媒を含有することを特徴とする感光性ペースト。
- さらに(G)多価アルコールを含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性ペースト。
- 前記ほう酸を除く無機微粒子(A)が、ガラス微粒子、黒色顔料、及び導電性粉末からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性ペースト。
- 前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の感光性ペーストを用いて得られるパターンが、フラットパネルディスプレイの隔壁パターン、誘電体パターン、電極パターン、及びブラックマトリックスパターンからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする焼成物パターン。
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