JP2005291614A - 穀粒乾燥機における繰出バルブのシール装置 - Google Patents

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啓市 宮崎
Hiroto Morimoto
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直樹 向山
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正史 弓立
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Abstract

【課題】循環式穀物乾燥機の繰出バルブに対してシールを保持すものにおいて、異物噛み込みによる破損の防止を図る。
【解決手段】繰出バルブ7の左右周面部と左右の穀物流下通路5,5の下端部との間に形成される左・右間隙67,67を閉鎖すべく繰出バルブ7に摺接対向するシール69,69をシール保持枠体に支持構成し、このシール保持枠体68を機体前後方向に沿う軸心イ回りに回動可能に設け上記間隙を閉じる第1姿勢とこの間隙を開く第2姿勢とに切り替わる構成とし、該シール保持枠体68と機体との間には第1姿勢に付勢する支点越えスプリング76を設けている。
【選択図】図10


Description

この発明は、穀粒乾燥機の繰出バルブにおいて、繰出バルブとシール保持枠体との間へ異物を噛み込んでも容易に退避動できるシール装置に関する。
循環式穀粒乾燥機における繰出バルブのシール構造として特許文献1がある。即ち、穀槽底部の一対に対向する傾斜流し板の突き合わされた下端部との間に形成されるスリット状の排出口に、周壁の一部に軸方向に沿うスリット状の開口を具備せしめたドラムシャッター(繰出バルブ)を、それの周壁の左右の側面が前記一対の傾斜流し板の各上面側の流穀路の下端を堰止めて前記排出口を塞ぐよう配位し、回転軸により正逆に交互に切換わって回転するよう軸架し、前記傾斜流し板の下端部位には、支持部材に支持せしめたゴム等の柔軟な資材よりなるシール部材を、前記傾斜流し板の下端部と前記ドラムシャッターの周壁外面とを密閉するよう配位して、機体に装架せしめてなる穀粒乾燥装置の排出口のシール装置において、前記各傾斜流し板の下端部とドラムシャッターの周壁外面との間には、穀粒が外部に流出する流出口となる広い間隔を形成し、前記柔軟な資材よりなるシール部材は、その広い間隔を埋めるよう幅広に形成し、そのシール部材を支持せしめる支持部材は、支持するシール部材が前記広い間隔を開閉するよう回動自在に、かつ、シール部材を支持したまま機外に取出せるよう取り外し自在に機体に装設したものである。
この特許文献1によると、ドラムシャッターが正逆に交互に切換わって回転し、かつ、そのドラムシャッターの左右の両側にそれぞれ傾斜流し板の下端部からドラムシャッター周壁の外面に向けて突出するようにシール部材を装設する際に、そのシール部材の上面に穀粒が停滞しがちにはなるが、損傷・噛み込みが生じない姿勢に装設しながら、穀粒の排出が迅速かつ確実に行えるとともにシール部材が摩耗したときの交換作業が楽に行えるようになるものである。
実公平1−14580号公報
前記特許文献1に示す従来の構成では、穀粒排出の迅速確実性、及びシール交換の目的でシールを支持する支持部材がシール部材が広い間隔を開閉するよう回動自在に構成したものであるが、この開閉動は人手によるほかなく、機械の運転を停止した状態で行うものであるから、穀粒中に混在する夾雑物が間隔部に噛み込んで周辺各部の破損を生じる恐れがある、
そこで、この発明は上記のような不具合を解消しようとするものである。
前記問題点を解決するために、この発明は次のような技術的手段を講じた。
請求項1に記載の発明は、穀粒乾燥機の乾燥室3内に通気性網体5a,5aを左右に対向させて傾斜状の穀物流下通路5,5を形成し、該左右一対の穀物流下通路5,5を正面視V字型に形成すると共に下端の左右合流部下方には繰出バルブ7を設け、繰出バルブ7の左右周面部と左右の穀物流下通路5,5の下端部との間に形成される左・右間隙67,67を閉鎖すべく繰出バルブ7に摺接対向するシール69,69をシール保持枠体に支持して設け、このシール保持枠体68を機体前後方向に沿う軸心イ回りに回動可能に設け上記間隙を閉じる第1姿勢とこの間隙を開く第2姿勢とに切り替わる構成とし、該シール保持枠体68と機体との間には第1姿勢に付勢する支点越えスプリング76を設けてなる穀粒乾燥機における繰出バルブのシール装置とする。
上記の構成によると、常時は第1姿勢に付勢されるシール保持枠体68が所定に制止され、シール69は繰出バルブ7の周面部に摺接するものであるから、間隙67部からの穀粒溢出を防ぐ。また、この間隙67部に異物が入り込んできたときは、シール69のみならずシール保持枠体68に下向きの押圧力が作用し支点越えスプリング76の付勢力に抗して該シール保持枠体68を回動して第2姿勢に切り換わる。このため間隙67が開放状態となって異物は停滞することなく下方へ排出される。
請求項2に記載の発明は、穀粒乾燥機の乾燥室3内に通気性網体5a,5aを左右に対向させて傾斜状の穀物流下通路5,5を形成し、該左右一対の穀物流下通路5,5を正面視V字型に形成すると共に下端の左右合流部下方には繰出バルブ7を設け、繰出バルブ7の左右周面部と左右の穀物流下通路5,5の下端部との間に形成される左・右間隙67,67を閉鎖すべく繰出バルブ7に摺接対向するシール69,69をシール保持枠体に支持して設け、このシール保持枠体68を機体前後方向に沿う軸心イ回りに回動可能に設け上記間隙を閉じる第1姿勢とこの間隙を開く第2姿勢とに切り替わる構成とし、シール保持枠体68が第1姿勢にないことを検出する位置検出手段を設け、該位置検出手段の検出結果に基づいて穀粒乾燥機への穀粒張込指令出力を停止する制御手段を備えたことを特徴とする穀粒乾燥機における繰出バルブのシール装置の構成とする。
新たに穀粒張込のため、穀粒張込スイッチ操作を行い運転各部に駆動指令出力するが、前回の乾燥作業等において異物噛み込みによってシール保持枠体68が所期の第1姿勢から切り換わっていると、位置検出手段は該シール保持枠体が第1姿勢にないことを検出出力し、張込作業に必要な運転各部又はその一部を起動出力しない。
請求項1に記載の発明は、常時は第1姿勢でシール69が繰出バルブ7に接して間隙67を閉鎖状態になすが、この間隙67部に異物が入り込んできたときは、シール69のみならずシール保持枠体68に下向きの押圧力が作用し支点越えスプリング76の付勢力に抗して該シール保持枠体68を回動して第2姿勢に切り換わり、無理な押圧力が周辺部材に作用して破損するなどの恐れがない。
請求項2に記載の発明は、位置検出手段によって第1姿勢にないことを検出すると、穀粒張込作業に必要な運転各部又はその一部を起動出力しないから、不測に張込して間隙67から溢出することを防止できる。
シール保持枠体を第1姿勢と第2姿勢とに切り換わるようになし、異物の噛み込みには自動的に退避動するようになし、第2姿勢にあるときは不測に穀粒移動を行わせないようにして繰出バルブ周囲からの排出を防止する。
以下、図面に基づきこの発明の一実施例を説明する。
まず、この発明を具備する穀物乾燥機の全体構成について説明する。1は穀物乾燥機の機枠で、内部に貯溜タンク2、乾燥室3、集穀室4の順に積み重ねられている。乾燥室3内には、通気性網体5a,5aを左右に対向させて傾斜状の穀物流下通路5,5を形成し、左右一対の穀物流下通路5,5を正面視V字型に形成している。各穀物流下通路5,5の上位側は更にV字型を形成するように左右の穀物流下通路5,5の内側を断面菱形の空間部とし、この空間部を熱風室6に形成している。なお、菱形断面の空間形成体のうち下半部は通気網体により構成し、V字型の上半部は非通気性の板材により構成している。
穀物流下通路5,5下端の左右合流部下方には繰出バルブ7を設けている。この繰出バルブ7は断面円形の筒体に構成されていて、正回転及び逆回転に伴って外周の一部に形成した導入口部から穀物を受入れて、正逆回転に従って下方の集穀室4に落下させる構成である。
乾燥室3内側の菱型空間部に形成した熱風室6内には、多角形の筒状に構成されていて乾燥室3正面側壁から後面側壁に亘る長さに形成された遠赤外線放射体10を配置し、機壁前面及び後面に夫々着脱自在に固着している。この遠赤外線放射体10の断面形状は、前記菱型空間部の断面形状に相似して対応するように上部の逆V字形状と下部のV字形状とを短い垂直部で連結する略6角形状に構成されていて、上部突端と下部突端とには前後に亘るスリット状の開口11,12を形成し、実質的には左半部と右半部とを所定間隙を隔てて対向配置するように構成している(図3参照)。なお、左・右半部の前・後壁への取り付けは、左・右半部の前側上部をまたぐ形状の係止具26により前壁にボルト・ナットで取り付け、左・右半部の前側下部及び後側上・下部を独立的に設ける係止具27,27により前・後壁に夫々ボルト・ナットで着脱自在に固着している。
前記遠赤外線放射体10の入口側には、乾燥機正面に配置するバーナ13からの熱風を受け入れる構成である。即ち、例えば気化型バーナ13を中心部に配置したバーナ風胴14を機体前側壁に取り付け、このバーナ風胴14と遠赤外線放射体10の入口部とを連通している。
機体の背面側には、吸引ファン15を設け、この吸引ファン15の起風によって、菱形空間である熱風室6から穀物流下通路5,5を経て、穀物流下通路5,5の外側に形成される排風路16,16に向けて通風するように構成している。
集穀室4にはその中央に移送螺旋を備えた下部搬送装置25を設け、繰出バルブ7から繰り出した穀粒を下部搬送装置25で受けて例えば機体の正面側に移送する。機体の正面側には昇降機17を設け、内部にバケット17a,17a…を備え、下部搬送装置25からの穀粒を掬い上げて上部天井に設ける上部搬送装置31の始端部に揚穀するように構成している。移送螺旋を備えた上部搬送装置31の終端側の天井中央部には垂下軸32を設け、この垂下軸32に回転拡散板33を取り付けている。
また、図6に示すように、バーナ風胴14を囲うように外気導入スリット36a,36a…の形成された入口風胴36を機壁正面に取り付け、この入口風胴36の前面には乾燥機用コントローラ(制御部)40を設けている。入口風胴36の正面にはコントローラ40操作盤41を備えている。この操作盤41には張込スイッチ42、通風スイッチ43、乾燥スイッチ44、排出スイッチ45、停止スイッチ46を備え、これらのスイッチ群により各種の運転モードに切り替えると共に運転停止を司る。また、緊急スイッチ47を設け、この緊急スイッチ47を操作すると、機体運転部の全体を略同時に停止することができる。
これらのスイッチ42〜47の他に、張込量を設定する張込量設定スイッチ48、最終仕上げ水分値を設定する水分設定スイッチ49、及び、乾燥設定スイッチ50(籾乾燥の場合には乾燥速度を速い・普通・遅いに設定し、また、他の穀粒乾燥の場合には、例えば小麦・大麦等の品種に関連付けて予め設定した乾燥速度に設定する)を備えている。更に、乾燥仕上がりを水分値によらないで処理時間により乾燥する等のためのタイマ増・減スイッチ51,52を備えている。
水分検出手段は一粒式の水分計53を採用し、所定時間毎に所定粒数単位で水分値を測定し、所定回数の検出結果を平均処理して水分値を算出し、前記操作盤41の表示部54に検出熱風温度等と交代的に表示する構成である。制御部40は併せて一粒水分値から水分のバラツキを判定したり、未熟粒の多少を判定できる構成とし、これらを3個のLED55,56により表示している。
制御部40には、操作盤41のスイッチから乾燥情報等を入力するほか、各種センサから検出情報が入力され、前記気化型バーナ13の燃料供給量を制御したり、穀粒の移送系手段を運転制御するように構成している。
次に、前記構成の作用について説明する。
張込ホッパ(図示省略)に投入された穀粒は、張込スイッチ42をONすることにより駆動される昇降機17、上部搬送装置32等を経由して貯溜タンク2に張り込まれる。穀粒の張込が完了すると、乾燥作業に移行するが、前段階で水分設定スイッチ49及び乾燥設定スイッチ50により穀粒種類の設定や希望の乾燥仕上げ水分値を設定する。
前記の設定操作の終了後に乾燥スイッチ44をONすると、昇降機17、上・下搬送装置25,31、繰出バルブ7等の駆動が開始されると共に、バーナ13も駆動されて熱風が乾燥室3の菱形空間である熱風室6の入口部に向けて供給される。
ここで、バーナの火炎は吸引ファン15の回転により熱風化され、適宜に導入される外気と混合されながら遠赤外線放射体10内に流入し、遠赤外線放射体10を加熱しつつ上部及び下部に形成されているスリット状開口11、12を経て遠赤外線放射体10の外に流出する。その際に遠赤外線放射体10の加熱により遠赤外線放射体10の表面から遠赤外線が放射されて、この熱放射及び前記熱風は共に流下通路5,5を流下中の穀粒に作用し、遠赤外線による輻射熱と熱風により穀粒内部での水分移行が促進され、熱風による水分除去作用に伴って効率的な乾燥作用が行なわれる。
穀物流下通路5,5の前後に亘って遠赤外線の放射と熱風による乾燥作用がなされ、穀物流下通路5,5を通過した熱風は排風室16,16を経て排風される。乾燥室3で乾燥された穀粒は、集穀室4の下部搬送装置25、昇降機17、上部移送螺旋31を経由して再び貯溜タンク2に戻されて調質作用を受ける。このような行程を繰り返し、所定の水分値に達すると乾燥が終了するものである。
前記図3に示す実施例では、遠赤外線放射体10の断面形状を穀類流下通路5,5の断面形状に略沿うように構成したので、遠赤外線放射体10からの遠赤外線放射を流下穀粒に均等に作用させることができる。
また、前記図3に示す実施例では、遠赤外線放射体10,10を左右対称形状に構成し、熱風室6に上下に間隔を設けて配置することによりスリット状開口11,12を構成したので、上下面双方から熱風が流出し、遠赤外線放射体10,10の過熱を防止できる。
また、図5に示すように熱風室6に遠赤外線放射体10を配置してもよい。即ち、遠赤外線放射体10の後側部を蓋61により閉鎖し、機枠1の後側壁62に対して間隔を空けて金具により遠赤外線放射体10を取り付ける。そして、遠赤外線放射体10の後端部上方の左右に熱風温度センサ63及び排風温度センサ64を取り付ける。また、図6に示すように、蓋61の左右両側に取付片61a,61aをプレス加工により一体的に構成すると、部品点数を少なくしながら遠赤外線放射体10に蓋61を強固に取り付けることができる。
前記のように、遠赤外線放射体10と後側壁62との間に所定の間隔を設けたので、熱風室6の後側部の温度が部分的に高くなり過ぎることもなく、熱風温度センサ63及び排風温度センサ64の検出温度を適正化することができる。
また、図7に示すように、集穀室4部の後側壁62の遠赤外線放射体10の後側部の対応する部位の下方にスリット65を設けてもよい。このように構成することにより、スリット65からの外気吸入により熱風室6後端部の過度の温度上昇を防止し温度分布を均等化することができ、熱風温度センサ63及び排風温度センサ64により適正な温度検出をすることができる。
また、遠赤外線放射体10を放熱鋼板により構成してもよい。耐熱鋼板等に遠赤外線放射塗料を塗装するものに比べて工程を省略し組付生産面でのコストの低減を図ることができる。
また、図8に示すように、遠赤外線放射体10の下側部を閉鎖状態とし、上側部の前側部にのみ開口部66を構成してもよい。バーナ13に近い前側部にのみ開口部66を設けることにより、遠赤外線放射体10の前側部の温度が上昇し、熱風室6の前後の温度分布を均等化することができる。即ち、バーナに近い入口側は火炎の影響をそれほど受け得ず熱気が後側に流れる傾向にあって、熱風室入口側の温度が低い傾向となっており、これを解消するために上記開口部66を設けて温度分布の均一化を図るものである。
また、図9に示すように、熱風室6の中心部に遠赤外線放射体10を配置し、遠赤外線放射体10の左右外周部と左右の穀物流下通路5,5との間隔を左右均等にしてもよい。このように構成することにより、吸入空気の熱風室6内での風速分布が均等化し安定した温度分布とすることができる。また、遠赤外線放射体10の断面略6角形状の左・右上・中・下面部10a,10a、10b,10b、10c,10cと左右の穀物流下通路5,5の上通路5b,5b・中通路5c,5c・下通路5d,5dとを対向させることができ、熱風室6全体を輻射熱により均等に温めることができる。
次に、図10〜図12に基づき繰出バルブ7のシール構成について説明する。
左右の穀物流下通路5,5の下端合流部下方には、断面円筒状で正転及び逆転を繰り返しながら穀粒を繰り出す円筒状の繰出バルブ7を設け、この繰出バルブ7には穀物流下通路5,5の全幅に対応する穀粒繰出用の繰出開口部7aを構成し、繰出バルブ7の左右周面部と左右の穀物流下通路5,5の下端部との間に左・右間隙67,67を構成している。
左右の穀物流下通路5,5の下端部下方で且つ繰出バルブ7の左右両側部位に断面凹状の左右のシール保持枠体68,68を配置している。即ち、断面U状に形成した外枠体68aと該外枠体68aに嵌合する内枠体68bとを一体的に構成する。このシール保持枠体68,68の内側部、つまり該内枠体68bの一隅部には繰出バルブ7に摺接対向するシール69,69を包持すべく包持体69aをもってボルト・ナットで着脱自在に固着している。すなわちシールはゴム製で基部側厚肉部69bは包持体69aの嵌合凹部69cに嵌合し、シールの先端側薄肉部69dは繰出バルブ7の外周に摺接しうる。
上記シール保持枠体68,68の前後両端部にはブラケット70a,70bを取り付け、機枠1の前・後側壁71a,71bの支持孔71´a,71´bと前記ブラケット70a,70bの支持孔70´a,70´bに前後の支持軸73a,73bを挿通して、このシール保持枠体68,68を前・後側壁71a,71bに回動自在に軸支する。回動軸心(イ)について前側の支持軸73aにアーム74を設け、このアーム74を前側壁71aの外側に沿って回動可能に構成している。前後の支持軸73a,73bの一端部にはアーム74をシール保持枠体68と一体的に設け、このアーム74の先端部と機枠の所定個所との間に支点越えスプリング76を設ける。77は該スプリング76の引張り強さを調整するアジャストボルトである。このスプリング76の弾性力によりシール保持枠体68,68が前記通気性網体5a,5aの下端部に接して停止保持される第1姿勢の状態(図11中実線)と、支点越えしてシール保持枠体68,68を反転する第2姿勢(図11中仮想線)とに切換できる構成である。そして上記の第1姿勢ではシール69,69は繰出バルブ7外周面に接し、第2姿勢ではシール69,69は該外周面から離脱するものである。第1姿勢において異物の噛み込みによってシール保持枠体68に負荷がかかるとスプリング76が伸びて該シール保持枠体68の軸回りの回転を許容し支点越えした該スプリング76の引張力で第2姿勢に切り換わる構成である。なお、第2姿勢はスプリング76の自由長で静止しうるものである。上記第2姿勢でアーム74の動きによってオンするリミットスイッチ78(位置検出手段)を設けて異物噛み込みを報知するなどの措置を講じるものである。
図13は、このリミットスイッチ78のオン出力によって張込作業を受け付けない構成とするものである。張込スイッチ42をオンし張込作業に入るが(ステップ101)、前回乾燥作業において異物噛み込みしてシール保持枠体68と繰出バルブ7との間に該異物が噛み込みされスプリング76が支点越えしてシール保持枠体68が退避動して第2姿勢の状態であったときは、リミットスイッチ78をオンしている(ステップ102)。このオンによってブザーによる鳴動や警報ランプによって異常報知する(ステップ103)と共に、昇降機17の駆動を停止出力する(ステップ104)ことによってシールの退避動(第2姿勢)から第1姿勢への復帰を促すと共に張込運転を受け付けない構成としている。なお、ステップ102でリミットスイッチ78がオフで第1姿勢を確認しているときは、昇降機を駆動して張込運転できる構成である(ステップ105)。このように構成すると、シール保持枠体68部に異物噛み込みして第2姿勢に切り換わることによって不測の破損を防止できると共に、張込作業中において張込穀粒を集穀室4部に異常堆積させる事態を防止できる。上例ではシール保持枠体68の位置検出手段としてのリミットスイッチ78は第2姿勢を検出する構成としたが、これを第1姿勢を検出できる構成としてもよく、第1第2いずれの姿勢も検出すべく夫々に配置してもよい。少なくとも第1姿勢にないことを検出しうる構成であればよいものである。したがって、シール保持枠体68の位置検出手段が第1姿勢にないことを検出すると、張込スイッチ出力を受け付けず、昇降機等の穀粒張込移送手段の起動を禁止して穀粒張込みを行い得ないものとするため、シール69が第1姿勢以外の位置にあっても不測に繰出バルブ7の外周側から排出されることがない。
また、上例のようにアジャストボルト77でスプリングの引張力の調整を可能とすれば、個々の製作誤差を吸収しながら適正引張力でシール保持枠体68を支持して異物噛み込みによる第2姿勢への退避動を円滑とさせる。
図14は穀粒温度Tgを熱風室温度Tbおよび排風室温度Teによって表す際の改良に関する。熱風温度と排風温度との関係から、
穀粒温度Tg=K×Tb+(1−K)×Te
で表される。ここで、Kは排風温度と熱風温度の配合率を表すもので、K=(k×t)/Mである。kは排風と熱風の割合を決定する値、tは乾燥時間による係数、Mは張込量による係数である。従来排風温度と熱風温度とから単純に穀粒温度を算出していたため、乾燥初期の穀粒温度が上がっていない状態では算出穀粒温度Tg´と実質の穀粒温度TGとの差が出るため、水分値へ穀粒温度を反映させるときには誤差が大きくなってしまう欠点があった。ところが、上記のように、排風温度Teや熱風温度Tbの係数Kを、熱風や排風の割合k、乾燥時間t、張込量Mを加味したものとすることによってより正確な穀粒温度Tgを算出することができる。
図15,16は、貯留タンク2を乾燥籾貯蔵に兼用させる構成に改良したものである。すなわち、穀粒乾燥機84にダクト80を巡らせ、この一端に熱風発生装置81から熱風を導入可能に構成し、穀粒乾燥を行わせ穀粒間の水分移行の促進を図り、乾燥速度の促進を行うと共に、籾貯蔵時には該ダクト80に所定の冷凍ユニット82からの冷気を切換導入可能に構成する。このように構成すると、乾燥作業時には乾燥速度の促進を行い、籾貯蔵時には低温貯蔵を行うように切換られ低温貯蔵を可能にする。冷凍ユニット82に接続するダクト80は、該冷凍ユニット82から出て横張込ホッパ83背面に構成する風胴83a一端に至る第1ダクト80a、この風胴83aから図2における熱風室・排風室相当個所である空間部84a・84b,84bを縫って前記冷凍ユニット82に還元する構成としている。84cは穀粒流下通路、84dは繰出バルブ、84eは下部移送螺旋、84fは昇降機であり、穀粒はこれらを順次移動して上部の貯留タンク84gに還元移送される構成である。84hは上記空間部84a・84b,84bに入る空気を穀粒流下通路84cを経て吸引する吸引ファンである。
上記横張込ホッパ83は、穀粒の漏下しない通気孔を形成した穀粒受部83bの裏面に対応して風胴83aを設け、これら穀粒受部83b及び風胴83aは一体的に穀粒乾燥機84の側面において開閉するよう構成している。この開いた位置では、前記冷凍ユニット82から導入される冷気を第1ダクト80aを経由して導入し、上記通気孔から上方に抜ける冷気は張込穀粒に作用して蒸れ防止を図ることができる。また蓋(図示せず)で通気孔を塞いで穀粒乾燥機84の側面を閉鎖する閉じ姿勢におくと、第1ダクト80aからの冷気は風胴83aを経由して略全量が第2ダクト80bを経由して冷凍ユニット82に還元され再度空気調整されてダクト80循環に供される構成である(図15,16点線矢印)。
上記冷凍ユニット82に代えて熱風発生装置81を装着するときは、第2ダクト80bを経て第1ダクト80aに至り熱風発生装置81に還元される構成である。なお、熱風発生装置81の具体例としては電気ヒータを採用するものである。なお、ダクト80内を順・逆方向に冷気及び熱気を流通すべく、正逆に切り替わる通気用のファンをダクト80に接続するようになっている。
上記のように構成すると、穀物乾燥にあたっては、熱風発生装置81を第1、第2ダクト80a,80bに接続しておき、該熱風発生装置81からの熱風は、図15,16の実線矢印のように流通して特に空間部84a・84b,84bにおいて熱輻射によって流下通路84cの穀粒に作用して乾燥する構成である。熱輻射等によって昇温された熱風は吸引ファン84hの作用により流下通路84cを流通して排気される。
一方、上記熱風発生装置81に代えて冷凍ユニット82を接続し冷気を図の点線で示すように流通させる。乾燥前の穀粒を張り込むときは、横張込ホッパ83を開きバラで投入するが、このとき通気孔から冷気が導入され、張込途中の穀粒に作用させることができる。また、乾燥済み穀粒を貯留タンク84gに貯留しておくときは、横張込ホッパ83を閉じることにより風胴83aと第2ダクトとが通じ、第2ダクト80bに流通する冷気が乾燥機機体の穀粒に作用して所定に冷温維持し得て穀物品質の劣化を生じさせない。なお、ダクト80a,80bには通気孔を形成して冷気や熱風を空間部84a・84b,84bに排出させる構成とすれば効果的である。
なお、上記の籾貯蔵時における場合には乾燥機各部に配設した通気孔の開口を塞ぐ構成とすれば効果的である。
次に図17に基づき警報制御システムの構成について説明する。
穀粒乾燥機89を設置する倉庫90の入口ドア91に開閉状態を検知する開閉センサ92を設け、この開閉センサ92を穀粒乾燥機89のセンサ群、例えば熱風温度センサ・排風温度センサ等に直列又は並列に接続している。開閉センサ92の作動出力は乾燥機89のコントローラ(制御部)93に入力され、該制御部93は倉庫90のドアの開放を検出する構成である。制御部93には、パトライト94や乾燥機89に付設の警報ブザー(図示せず)等に警報出力する構成としている。このように構成すると、乾燥機89の制御部93に倉庫89の盗難防止システムが備えられ、各別な開閉センサ92の検出に伴うコントローラや警報ブザー等を不要とするので、安価に構成できる。
次いで水分計53について説明する。
前記昇降機17の途中部に水分計53のホッパ95をのぞませ、該ホッパ95の排出口を搬送板96と外周に螺旋条を形成した繰出ロール97とからなる1粒繰出部98の始端側にのぞませる。1粒繰出部98の移送終端部下方には一対の電極ロール99,99を設ける。電極ロール99,99間の電気的抵抗値Erを読み取る構成とし、所定粒数(例えば100粒)の測定毎に所定の換算式M=f(Er)に基づいて実行されるように構成している。そしてその複数粒の平均値をもって今回の測定値として採用され表示出力あるいは乾燥制御に用いられる。
ところで、穀粒乾燥は乾燥処理によってその表面部と中心部との水分差が生じ、例えば遠赤外線乾燥のように表面部への輻射熱照射作用を伴うときは水分差が著しく、このまま水分計53部に供給されて電気抵抗式水分測定が行われると、水分値は低く測定されることとなる。すなわち、表面部が急速に乾燥されるときは、内部水分との差が著しく、水分計53に供給される際にも水分移行が十分なされないまま供給される。穀粒温度TGは水分換算の際に考慮されて穀粒温度による補正を伴うのが水分検出精度上で常套であるが、この穀粒温度TGについては、上記のように穀粒中心部と表面部との水分差は穀粒温度TGの算出精度を悪くさせる。標準の乾燥による穀粒温度に対して表面部の温度が高い傾向となるから、乾燥処理として高速乾燥か標準乾燥か、あるいは低速乾燥かによって区分し穀粒温度の検出の差に伴う算出水分値を補正処理しようとするものである。図20に基づいて説明する。水分測定開始信号が出力されると(ステップ201)、電極ロール電圧Erが検出される(同202)。ここで穀粒温度TGが例えば熱風温度と排風温度とによって算出される(直接穀粒温度検出手段を用いてもよい)(同203)。次いで水分換算式M=f(Er,TG)に基づき、水分値が算出されるが(同204)、予め設定可能な乾燥速度モードを確認し(同205,206)、標準モードのときは所定粒数の平均をもって表示出力し(同207)、高速モードのときは算出水分値Mに+α値を加え(同208)、上記の表面水分の影響を加味した補正を行い水分値M´を算出するものである。なお、低速モードを備えるときは、逆に−βによって水分値M”を補正する(同209)。
図21に示す例は、上記ステップ208のα値を実際運転中の乾燥速度に応じて変更しておくもので、実際運転中の乾燥速度を測定し、所定以上(例えば1.0%/時以上)であるときは(ステップ306)、予め設定した乾燥速度−水分値補正値関係表等に基づいて補正処理するように構成したものである(ステップ307)。このように構成すると、極め細かい補正処理が可能となる。
図22は単粒水分測定に伴って偏差を求め、その偏差が所定値以上の場合に(ステップ404)、水分表示のみならず、当該偏差を共に表示しようとする(同405)。オペレータは偏差と水分との両者の関係から適正な乾燥処理モードを選択したり、停止水分を設定することができて便利である。
全体の切断側面図。 全体の一部切断した正面図。 遠赤外線放射体一例の斜視図。 操作盤の正面図。 遠赤外線放射体の側面図。 蓋部の側面図、背面図、平面図。 集穀部の背面図。 遠赤外線放射体の側面図。 要部の正面概要図。 繰出バルブ及びそのシール部の正断面図。 繰出バルブシール部の拡大正面図。 シール保持枠体の平断面図。 フローチャート。 熱風、排風温度及び穀粒温度の変化グラフ。 異なる穀粒乾燥機を示す正断面図。 その平断面図。 警報システム一例を示す概要図。 水分計の側断面図。 水分計付き昇降機の平面図。 フローチャート。 フローチャート。 フローチャート。
符号の説明
1 穀物乾燥機の機枠
2 貯溜タンク
3 乾燥室
4 集穀室
5 穀物流下通路
6 熱風室
7 繰出バルブ7
7a 繰出開口部
67 間隙
68 シール保持枠体
69 シール
76 支点越えスプリング
78 リミットスイッチ(位置検出手段)

Claims (2)

  1. 穀粒乾燥機の乾燥室3内に通気性網体5a,5aを左右に対向させて傾斜状の穀物流下通路5,5を形成し、該左右一対の穀物流下通路5,5を正面視V字型に形成すると共に下端の左右合流部下方には繰出バルブ7を設け、繰出バルブ7の左右周面部と左右の穀物流下通路5,5の下端部との間に形成される左・右間隙67,67を閉鎖すべく繰出バルブ7に摺接対向するシール69,69をシール保持枠体に支持して設け、このシール保持枠体68を機体前後方向に沿う軸心イ回りに回動可能に設け上記間隙を閉じる第1姿勢とこの間隙を開く第2姿勢とに切り替わる構成とし、該シール保持枠体68と機体との間には第1姿勢に付勢する支点越えスプリング76を設けてなる穀粒乾燥機における繰出バルブのシール装置。
  2. 穀粒乾燥機の乾燥室3内に通気性網体5a,5aを左右に対向させて傾斜状の穀物流下通路5,5を形成し、該左右一対の穀物流下通路5,5を正面視V字型に形成すると共に下端の左右合流部下方には繰出バルブ7を設け、繰出バルブ7の左右周面部と左右の穀物流下通路5,5の下端部との間に形成される左・右間隙67,67を閉鎖すべく繰出バルブ7に摺接対向するシール69,69をシール保持枠体に支持して設け、このシール保持枠体68を機体前後方向に沿う軸心イ回りに回動可能に設け上記間隙を閉じる第1姿勢とこの間隙を開く第2姿勢とに切り替わる構成とし、シール保持枠体68が第1姿勢にないことを検出する位置検出手段を設け、該位置検出手段の検出結果に基づいて穀粒乾燥機への穀粒張込指令出力を停止する制御手段を備えたことを特徴とする穀粒乾燥機における繰出バルブのシール装置。
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