JP2005291342A - 針状ころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温,高速条件下で使用されても焼付き,かじり等が生じにくく長寿命で、且つ、モーメント荷重を受けた場合にも変形や損傷が生じにくい針状ころ軸受を提供する。【解決手段】 プラネタリーギヤ用軸受のプラネタリーシャフト15及びニードルローラー17の少なくとも一方は、炭素を0.2質量%以上0.6質量%以下、クロムを2.5質量%以上7質量%以下、マンガンを0.5質量%以上2質量%以下、ケイ素を0.1質量%以上1.5質量%以下、モリブデンを0.5質量%以上3質量%以下含有する合金鋼で構成されている。そして、浸炭窒化処理(又は浸炭処理),焼入れ,焼戻しの順の熱処理が施されており、表面の炭素濃度と窒素濃度との和が1質量%以上2.5質量%以下とされている。さらに、表面硬さはHRC60以上、表面の残留オーステナイト量は15体積%以上45体積%以下、平均残留オーステナイト量は8体積%以下である。
【選択図】 図2

Description

本発明は針状ころ軸受に関する。
一般に、転がり軸受においては、軌道輪と転動体との間で転がり運動が行われるため、軌道輪の軌道面及び転動体の転動面は繰り返し接触応力を受ける。そのため、これらの部材を構成する材料には、硬い、負荷に耐える、転がり疲労寿命が長い、滑りに対する耐摩耗性が良好である等の性質が要求される。
そこで、一般的には、これらの部材を構成する材料には、軸受鋼としては日本工業規格のSUJ2、そして肌焼鋼としては日本工業規格のSCR420相当の鋼やSCM420相当の鋼等がよく使用されている。これらの材料は前述のように繰り返し接触応力を受けるので、転がり疲労寿命等の必要とされる性質を得るために、軸受鋼であれば焼入れ,焼戻しが施され、肌焼鋼であれば浸炭処理又は浸炭窒化処理後に焼入れ,焼戻しが施されて、硬さがHRC58以上64以下とされている。
一方、針状ころ軸受は、内径に対する外径の比が小さく、すなわち肉厚が薄い軸受であるが、その割には比較的大きな負荷容量を有しているという特徴があることから、自動車のトランスミッション,エンジン等の高負荷部分に広く使用されている。
以下に、ラジアル針状ころ軸受について、トランスミッション等に幅広く使用されているプラネタリーギヤを軸支するプラネタリーギヤ用軸受を例に説明する。プラネタリーギヤ用軸受では、外輪に相当するプラネタリーギヤからの力の伝達が滑らかに行われるように、一般的にははすば歯車が使用されるために、力関係から、内輪に相当するプラネタリーシャフトの走行跡がねじれた形となる。このため、プラネタリーギヤとプラネタリーシャフトとの間に配されたニードルローラーに対して、不均一な力が作用するので、エッジロードやスキュー等が発生して、軸受の寿命が低下したり焼付きが発生したりしやすいという問題があった。
このような問題に対処するため、従来は、ニードルローラーにクラウニング加工を施してエッジロードを軽減したり、また、円周方向すきま及びラジアルすきまを精密に管理して、未然にスキュー発生を抑えたりしていた。
また、特許文献1には、ニードルローラー及び内方部材の少なくとも一方を、外方部材よりも線膨張係数が小さい鋼、又は、平均残留オーステナイト量が2%以下の鋼で構成することにより、回転速度の高速化等に伴う焼付きやかじりを抑制する技術が開示されている。
さらに、特許文献2には、軌道輪及び転動体の少なくとも一方の表面層について、残留オーステナイト量(γR )とC,Cr,Moの含有量とが規定されているとともに、浸炭又は浸炭窒化処理された表面層の表面硬さ(Hv)と残留オーステナイト量とが所定の関係を満足する合金鋼で構成された転がり軸受が開示されている。
また、上記のようなプラネタリーギヤ用軸受は、サンギヤ等の歯車と同一容器内で使用されることから、ギヤ間の相対接触や摺動によって生じた硬い異物が軸受の潤滑油中に侵入して、軸受寿命に悪影響を与える場合があるという問題もあった。
このような問題に対処するため、従来は、材料の改良とすきまの適正化とがなされていた。すなわち、NSK Technical Journl No.656(1993)に記載されているような浸炭窒化処理技術を用いて、軸受鋼又は浸炭鋼における表面層中の残留オーステナイト量を高めるとともに、円周方向すきま及びラジアルすきまを適正化することによって、圧痕縁の応力集中を緩和して長寿命化を達成しようとしていた。
さらに、CO2 排出規制に伴なって燃費の向上が求められているので、高速回転時の回転効率を高めるために潤滑油が低粘度化される傾向にあり、それによって、高速回転時の耐焼付性や希薄潤滑下における耐久性の向上が、ますます求められるようになってきている。
従来、このようなプラネタリーギヤ用の針状ころ軸受の潤滑性を確保するために、例えば、ニードルローラーを複列化するとともに、内輪に相当するプラネタリーシャフトのニードル間位置まで軸端から油穴を設け、該油穴を通じて給油を行う油穴給油方式を採用している。
特開2002−188643号公報 特許第2541160号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、モーメント荷重を受けた場合に、プラネタリーシャフトやニードルローラーが変形するおそれがあった。また、特許文献2に開示の転がり軸受は、今後さらなる高温域で使用されることを考えると、さらなる改良が必要であった。
さらに、プラネタリーギヤ用の針状ころ軸受は、そもそも潤滑油が供給されにくい構造を有している。このことに加えて、近年のトランスミッションの小型化等により、プラネタリーギヤ(外輪)は最高回転速度のさらなる高速化が求められており、それに伴う使用温度の上昇が考えられる。また、トランスミッションの小型化に伴い、プラネタリーギヤ用の針状ころ軸受は、今まで以上にモーメント荷重を受けるようになっている。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高温,高速条件下で使用されても焼付き,かじり等が生じにくく長寿命で、且つ、モーメント荷重を受けた場合にも変形や損傷が生じにくい針状ころ軸受を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明の針状ころ軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える針状ころ軸受において、前記内輪及び前記転動体の少なくとも一方が、下記の3つの条件A,B,Cを満足することを特徴とする。なお、さらに下記の条件Dを満足することがより好ましい。
条件A:炭素を0.2質量%以上0.6質量%以下、クロムを2.5質量%以上7質量%以下、マンガンを0.5質量%以上2質量%以下、ケイ素を0.1質量%以上1.5質量%以下、モリブデンを0.5質量%以上3質量%以下含有する合金鋼で構成されている。
条件B:浸炭処理又は浸炭窒化処理,焼入れ,焼戻しの順の処理により、表面の炭素濃度と窒素濃度との和が1質量%以上2.5質量%以下とされている。
条件C:表面硬さがHRC60以上、表面の残留オーステナイト量が15体積%以上45体積%以下である。
条件D:平均残留オーステナイト量が8体積%以下である。
このように、内輪及び転動体の少なくとも一方を、クロムの含有量の高い合金鋼で構成し、その表面について、炭素濃度と窒素濃度との和,表面硬さ,及び残留オーステナイト量をそれぞれ規定したので、高温,高速条件下で使用されても長寿命であり、且つ、モーメント荷重を受けた場合にも変形や損傷が生じにくい。
なお、本発明においては、「平均残留オーステナイト量」とは、内輪又は転動体の全体における残留オーステナイト量の平均値を意味し、例えば、表面から芯部までの残留オーステナイト量の分布を測定し、その平均値を算出することにより得ることができる。
また、本発明は種々の針状ころ軸受に適用することができるが、針状ころ軸受が、プラネタリーギヤの内周面とプラネタリーシャフトの外周面との間に転動自在に配設された複数のニードルローラーと、を備えていて、プラネタリーギヤがプラネタリーシャフトを軸として回転自在とされているプラネタリーギヤ用軸受である場合には、プラネタリーシャフトが内輪に相当し、プラネタリーギヤが外輪に相当し、ニードルローラーが転動体に相当する。
以下に、本発明の針状ころ軸受における条件A〜D中の前述の各数値(合金鋼中の合金元素の含有量、表面硬さ等)の臨界的意義について説明する。
〔炭素の含有量について〕
炭素(C)は、基地に固溶して焼入れ,焼戻し後の硬さを向上させて強度を向上させるとともに、鉄,クロム,モリブデン,バナジウム等の炭化物形成元素と結合して炭化物を形成し、耐摩耗性を高める作用を有する元素である。
合金鋼中のCの含有量が少ないと、十分な硬化層深さを得るために浸炭処理又は浸炭窒化処理に要する時間が長くなるため、コストアップを招き、場合によってはδフェライトが生じて靱性が低下する。一方、Cの含有量が多いと、製鋼時に粗大な共晶炭化物が生成しやすくなって、疲労寿命や強度が低下するおそれがある。また、鍛造性,冷間加工性,被削性が低下して、加工コストの上昇を招くおそれもある。このような理由から、合金鋼中のCの含有量は0.2質量%以上0.6質量%以下とする必要があり、0.3質量%以上0.5質量%以下とすることがより好ましい。
〔クロムの含有量について〕
クロム(Cr)は、基地に固溶して焼入れ性,焼戻し軟化抵抗性,耐食性,及び疲労寿命を高める作用を有する元素である。また、Cや窒素(N)等の侵入型固溶元素を実質的に動きにくくして、基地の組織を安定化し、水素侵入時の寿命低下を大幅に抑制する作用も有している。さらに、合金鋼中に微細に分布する炭化物が、より高硬度の(Fe,Cr)3 Cや(Fe,Cr)7 3 等の炭化物からなるために、耐摩耗性を高める作用も有している。
合金鋼中のCrの含有量が少ないと、前述のような作用が十分に得られないおそれがある。一方、Crの含有量が多いと、冷間加工性,被削性,浸炭処理性が低下して、コストの上昇を招くおそれがある上、製鋼時に粗大な共晶炭化物が生成しやすくなって、疲労寿命や強度が低下するおそれがある。このような理由から、合金鋼中のCrの含有量は2.5質量%以上7質量%以下とする必要があり、2.5質量%以上5質量%以下とすることがより好ましい。
〔マンガンの含有量について〕
マンガン(Mn)は、製鋼時に脱酸剤として作用することから、0.5質量%以上添加する必要がある。また、Crと同様に基地に固溶しMs点を降下させて、多量の残留オーステナイトを確保したり、焼入性を高める作用を有している。
ただし、多量に添加すると、冷間加工性や被削性を低下させるだけでなく、マルテンサイト変態開始温度を低下させて、浸炭処理後に多量の残留オーステナイトが残存して十分な硬さが得られなくなる場合がある。このような理由から、合金鋼中のMnの含有量は0.5質量%以上2質量%以下とする必要があり、0.8質量%以上1.5質量%以下とすることがより好ましく、0.8質量%以上1.2質量%以下とすることがさらに好ましい。
〔ケイ素の含有量について〕
ケイ素(Si)は、Mnと同様に製鋼時に脱酸剤として作用する。また、Cr,Mnと同様に焼入性を向上させるとともに、基地のマルテンサイト化を強化し、軸受寿命の向上に有効な元素である。さらに、焼戻し軟化抵抗性を高める作用も有している。ただし、多量に添加すると、鍛造性,冷間加工性,被削性,及び浸炭処理性を低下させる場合がある。このような理由から、合金鋼中のSiの含有量は0.1質量%以上1.5質量%以下とする必要があり、0.1質量%以上0.7質量%以下とすることがより好ましい。
〔モリブデンの含有量について〕
モリブデン(Mo)は、Crと同様に基地に固溶して焼入れ性,焼戻し軟化抵抗性,耐食性,及び疲労寿命を高める作用を有する元素である。また、Crと同様にCやN等の侵入型固溶元素を実質的に動きにくくして、基地の組織を安定化し、水素侵入時の寿命低下を大幅に抑制する作用も有している。さらに、Mo2 C等の微細炭化物を形成して、耐摩耗性を高める作用も有している。
合金鋼中のMoの含有量が少ないと、前述のような作用が十分に得られないおそれがある。一方、Moの含有量が多いと、冷間加工性や被削性が低下して、加工コストの上昇を招いたり、粗大な共晶炭化物が生成して疲労寿命や強度が低下するおそれがある。このような理由から、合金鋼中のMoの含有量は0.5質量%以上3質量%以下とする必要があり、0.5質量%以上1.5質量%以下とすることがより好ましい。
〔表面の炭素濃度と窒素濃度との和について〕
表面硬さ及び表面の残留オーステナイト量を好適な値とし、且つ、表面損傷を軽減するために必要な量の微細な炭化物と炭窒化物を得るためには、浸炭処理又は浸炭窒化処理,焼入れ,焼戻しの順の処理が施された後の表面の炭素濃度と窒素濃度との和は、1質量%以上とする必要があり、1.2質量%以上とすることがより好ましい。ただし、炭素濃度が必要以上に高くなると、炭化物が粗大化して転がり疲労寿命が低下する場合があるので、表面の炭素濃度と窒素濃度との和は2.5質量%以下とする必要がある。
〔表面硬さについて〕
摩耗や表面疲労が生じることを抑制するためには、表面硬さはHRC60以上とする必要があり、HRC61以上とすることがより好ましい。
〔表面の残留オーステナイト量について〕
残留オーステナイトは表面疲労を軽減する作用があるので、15体積%以上とする必要があり、20体積%以上とすることがより好ましい。一方、表面の残留オーステナイト量が多いと、表面硬さが低下したり、軸受の組み立て時に変形が生じやすくなり組み立て性が低下する場合があるので、45体積%以下とする必要があり、40体積%以下とすることがより好ましい。
〔平均残留オーステナイト量について〕
残留オーステナイト量が多いと、モーメント荷重を受けた場合に変形が生じやすくなるとともに、エッジロードやスキューが発生して軸受寿命が短くなるおそれがある。さらに、高温下で使用される場合には、残留オーステナイトが分解して寸法変化が生じるため、すきまが減少して焼付きが生じるおそれがある。よって、平均残留オーステナイト量は8体積%以下とする必要がある。
本発明の針状ころ軸受は、高温,高速条件下で使用されても長寿命であり、且つ、モーメント荷重を受けた場合にも変形や損傷が生じにくい。
本発明に係る針状ころ軸受の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1はプラネタリーギヤ装置の分解斜視図であり、図2は、図1のプラネタリーギヤ装置の要部の断面図である。また、図3は、図1のプラネタリーギヤ装置が組み込まれた自動変速機の断面図である。
図示しないエンジンから出力されるトルクは、コンバータ2を介して自動変速機1に伝達され、複数列のプラネタリーギヤ装置3が組み合わされてなる減速機構によって複数段に減速される。そして、減速されたトルクは、出力軸4に連結された図示しないドライブ及びレーンに出力されるようになっている。
プラネタリーギヤ装置3は、図1に示すように、図示しない軸が挿通されたサンギヤ11と、サンギヤ11と同心に配されたリングギヤ12と、サンギヤ11及びリングギヤ12に噛み合う複数(図1においては3個)のプラネタリーギヤ13と、サンギヤ11及びリングギヤ12と同心に配されプラネタリーギヤ13を回転自在に支持するキャリヤ14と、を備えている。
図1のプラネタリーギヤ装置3の要部(すなわちプラネタリーギヤ用軸受の部分)の断面図である図2に示すように、プラネタリーギヤ13の中心には、キャリヤ14に固定されたプラネタリーシャフト15が挿通されており、また、プラネタリーギヤ13の内周面に形成された軌道面とプラネタリーシャフト15の外周面に形成された軌道面との間には、複数のニードルローラー17が転動自在に配されていて、これによりプラネタリーギヤ13はプラネタリーシャフト15を軸として回転自在とされている。
このように、プラネタリーギヤ13,プラネタリーシャフト15,及びニードルローラー17からラジアル針状ころ軸受が構成されており、このラジアル針状ころ軸受がプラネタリーギヤ用軸受をなしている。
なお、ニードルローラー17は、図2に示すように単列でもよいが複列でもよい。また、プラネタリーギヤ用軸受は、保持器を有するケージアンドローラータイプの針状ころ軸受でもよい。さらに、本実施形態におけるプラネタリーシャフト15が、本発明の構成要件である内輪に相当し、プラネタリーギヤ13が同じく外輪に相当し、ニードルローラー17が同じく転動体に相当する。
本実施形態においては、プラネタリーシャフト15及びニードルローラー17の少なくとも一方は、炭素を0.2質量%以上0.6質量%以下、クロムを2.5質量%以上7質量%以下、マンガンを0.5質量%以上2質量%以下、ケイ素を0.1質量%以上1.5質量%以下、モリブデンを0.5質量%以上3質量%以下含有する合金鋼で構成されている。そして、浸炭窒化処理(又は浸炭処理),焼入れ,焼戻しの順の熱処理が施されており、表面の炭素濃度と窒素濃度との和が1質量%以上2.5質量%以下とされている。さらに、表面硬さはHRC60以上、表面の残留オーステナイト量は15体積%以上45体積%以下となっている。さらにまた、平均残留オーステナイト量は8体積%以下である。
このようなプラネタリーギヤ用軸受は、高温,高速条件下や希薄潤滑下で使用されても焼付き,かじり等が生じにくく長寿命である。また、高温下においても、残留オーステナイトの分解による寸法変化が生じにくい。さらに、モーメント荷重を受けた場合にも変形や損傷が生じにくい(特に、プラネタリーシャフト15に変形が生じにくい)。
熱処理の条件は特に限定されるものではないが、一例を以下に示す。前述の合金鋼を鍛造又は切削加工により所望の形状に成形した後、浸炭窒化処理(又は浸炭処理)を施す。浸炭窒化処理(又は浸炭処理)は、例えば、RXガス,エンリッチガス,及びアンモニアを導入した炉内で900〜960℃程度に数時間保持することにより行われる。この処理の後にそのまま焼入れを行うと、旧オーステナイトの粒径が大きく、主として大きな残留オーステナイト粒とレンズ状のマルテンサイトとからなる組織になって、寿命が不十分となる傾向がある。よって、浸炭窒化処理(又は浸炭処理)の後には、一旦A1 変態点以下に長時間保持するか又は室温まで冷却した後に、再度820〜900℃程度に加熱して焼入れを行い、最終的に160〜200℃程度で焼戻しを行う。なお、このような熱処理を施した場合には、微細且つ高硬度の炭化物や炭窒化物が、マルテンサイト及びオーステナイトからなる基地組織に均一に分散した良好な組織を呈する。
ここで、前述の減速機構の作動原理を、図4を参照しながら説明する。まず、1速の場合は、図4の(a)に示すように、サンギヤ11をドライブ側とし、プラネタリーギヤ13(キャリヤ14)をドリブン側とし、リングギヤ12を固定することによって、大きな減速比が得られる。2速の場合は、図4の(b)に示すように、サンギヤ11を固定し、プラネタリーギヤ13(キャリヤ14)をドリブン側とし、リングギヤ12をドライブ側とすることによって、中程度の減速比が得られる。3速の場合は、図4の(c)に示すように、サンギヤ11を固定し、プラネタリーギヤ13(キャリヤ14)をドライブ側とし、リングギヤ12をドリブン側とすることによって、小さな減速比が得られる。なお、後退の場合は、図4の(d)に示すように、サンギヤ11をドリブン側とし、プラネタリーギヤ13(キャリヤ14)を固定し、リングギヤ12をドライブ側とすることによって、入力されたトルクに対して出力されるトルクの回転方向を逆転させることができる。
〔実施例〕
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。表1に示すような組成を有する種々の合金鋼で構成されたプラネタリーシャフト(外径12.2mm、長さ28.2mm)を用意して、耐久試験を行った。なお、合金鋼のC,Si,Mn,Cr,Mo以外の成分は、鉄及び不可避の不純物である。また、表1の鋼種Gは、JIS鋼種SUJ2である。
Figure 2005291342
プラネタリーシャフトは、合金鋼を所定の寸法に旋削加工し、後述のような浸炭処理又は浸炭窒化処理を施し、さらに所定温度で焼入れ,焼戻しを施した後に、仕上げ研削を施すことにより製造した。浸炭処理の条件は、雰囲気がRXガスとエンリッチガスの混合物、処理時間が約3〜5時間、処理温度が820〜950℃である。浸炭窒化処理の条件は、雰囲気がRXガス,エンリッチガス,及びアンモニアガス(5%)の混合物、処理時間が約3〜5時間、処理温度が820〜950℃である。
得られた各プラネタリーシャフトの性状(表面の残留オーステナイト量,表面硬さ等)を、表2にまとめて示す。なお、プラネタリーシャフトの表面の炭素濃度及び窒素濃度は、電子プローブ微量分析装置(EPMA)で測定した値であり、表面の残留オーステナイト量(γR )はX線回折装置で測定した値である。
Figure 2005291342
次に、耐久試験の方法について、図5を参照しながら説明する。
外輪21にプラネタリーシャフト20が挿通されており、プラネタリーシャフト20の外周面に形成された軌道面と外輪21の内周面に形成された軌道面との間に転動自在に介装された複数のニードルローラー22(外径2mm、長さ15mm)によって、プラネタリーシャフト20が回転可能とされている。このプラネタリーシャフト20の外周面(円筒面)には図示のように潤滑油の給油孔20aが開口しており、端面の開口部20bに注入された潤滑油が給油孔20aから軌道面に給油されるようになっている。
ラジアル荷重4200N、回転速度10000min-1、潤滑油の温度150℃の条件でプラネタリーシャフト20を回転させ、はくりや焼付きが生じて回転時の振動が初期の2倍になった時点、又は、プラネタリーシャフト20の温度が急激に上昇して185℃に達した時点を寿命として評価した。なお、ラジアル荷重は、図示しないサポート軸受を介して外輪21に負荷した。また、供給する潤滑油の温度は150℃であるが、試験中のプラネタリーシャフト20の温度は、発熱によってさらに10℃程度高温であると推測される。
耐久試験の結果を表2に示す。表2から分かるように、実施例1〜8は、比較例1〜11と比べて格段に長寿命であった。特に、実施例1〜6は、平均残留オーステナイト量が8体積%以下であるので、高温下且つモーメント荷重を受ける条件下においても、焼付き及びはくりが全く生じなかった。
これに対して、比較例1〜9は、合金鋼の組成が本発明の範囲から外れているので、実施例1〜8と比べて短寿命であった。比較例1,2はSUJ2製であり、比較例1の場合はずぶ焼入れが施してあり、比較例2の場合は浸炭窒化処理が施してあるが、大きな効果は見られなかった。また、比較例10,11の場合は、合金鋼の組成は好適であるが、比較例10については表面の炭素濃度と窒素濃度との和が好適な値ではなく、比較例11については、表面の炭素濃度と窒素濃度との和、表面硬さ、表面の残留オーステナイト量、平均残留オーステナイト量が全て好適な値ではないため、短寿命であった。
本発明の針状ころ軸受は、高温,高速条件下においても好適に使用可能である。特に、自動車,建設機械,農業機械等のエンジン,トランスミッション等に好適に使用可能である。
プラネタリーギヤ装置の分解斜視図である。 図1のプラネタリーギヤ装置の要部の断面図である。 プラネタリーギヤ装置が組み込まれた自動変速機の断面図である。 減速機構の作動原理を説明する図である。 プラネタリーシャフトの耐久試験の方法を説明する断面図である。
符号の説明
3 プラネタリーギヤ装置
11 サンギヤ
12 リングギヤ
13 プラネタリーギヤ
14 キャリヤ
15 プラネタリーシャフト
17 ニードルローラー
20 プラネタリーシャフト
21 外輪
22 ニードルローラー

Claims (2)

  1. 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える針状ころ軸受において、前記内輪及び前記転動体の少なくとも一方が、下記の3つの条件を満足することを特徴とする針状ころ軸受。
    条件A:炭素を0.2質量%以上0.6質量%以下、クロムを2.5質量%以上7質量%以下、マンガンを0.5質量%以上2質量%以下、ケイ素を0.1質量%以上1.5質量%以下、モリブデンを0.5質量%以上3質量%以下含有する合金鋼で構成されている。
    条件B:浸炭処理又は浸炭窒化処理,焼入れ,焼戻しの順の処理により、表面の炭素濃度と窒素濃度との和が1質量%以上2.5質量%以下とされている。
    条件C:表面硬さがHRC60以上、表面の残留オーステナイト量が15体積%以上45体積%以下である。
  2. 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える針状ころ軸受において、前記内輪及び前記転動体の少なくとも一方が、下記の4つの条件を満足することを特徴とする針状ころ軸受。
    条件A:炭素を0.2質量%以上0.6質量%以下、クロムを2.5質量%以上7質量%以下、マンガンを0.5質量%以上2質量%以下、ケイ素を0.1質量%以上1.5質量%以下、モリブデンを0.5質量%以上3質量%以下含有する合金鋼で構成されている。
    条件B:浸炭処理又は浸炭窒化処理,焼入れ,焼戻しの順の処理により、表面の炭素濃度と窒素濃度との和が1質量%以上2.5質量%以下とされている。
    条件C:表面硬さがHRC60以上、表面の残留オーステナイト量が15体積%以上45体積%以下である。
    条件D:平均残留オーステナイト量が8体積%以下である。
JP2004106487A 2004-01-20 2004-03-31 針状ころ軸受 Pending JP2005291342A (ja)

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