JP4631710B2 - ころ軸受 - Google Patents
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また、電気誘導で回転する電気機器に設置されるニードル軸受またはローラ軸受における特定の磁気現象を回避する目的で、異なる長さのニードルを相互にオフセットして配置する発明が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、潤滑油の供給を促進する目的で、一部のニードルを短くして、短くすることによって生じたスペースに油溜まりを設ける発明が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
すなわち、前記プラネタリギアは、外歯歯車であるサンギアと内歯歯車であるリングギアとの両方に噛み合って公転および自転をするものであるが、これらがヘリカルギアであることから、プラネタリギアに設置された針状ころ軸受は、軸方向の力(以下「スラスト力」と称す)を受けることになる。このとき、各ギア同士の間にはクリアランズやバックラッシュ、あるいは、外輪ところとの間もしくは内輪ところとの間にはクリアランスがあることから、ころにはモーメントが作用して、いわゆる「片当たり」が生じることになる。
このため、自動車の静寂走行や低燃費化の要求から抜本的な対策が渇望されていたものの、前記特許文献に開示された発明には、「モーメント負荷圏」に対する知見を欠くため、抜本的な対策になっていなかった。
前記ころが、軸方向の同一線上に複数本配置され、且つ、所定の直線上に配置された一方のころの長さと、当該直線上に配置された他方のころの長さとが相違し、
前記所定の直線上に配置された一方のころの端部の位置と、該一方のころに円周方向で対峙する他方のころの端部の位置とが、軸方向で異なる位相であることを特徴とする。
(i)負荷圏の入口側のころが短いため、L/D(長さと外径との比率)が小さいことによりすべりが小さく抑えられ、ピーリングが防止される。
(ii)また、負荷圏の入口側のころの長さが不揃いであるため、負荷圏の入口側にころが配置されない状態となり、ピーリングの防止が防止される。
(iii)また、端寄りに配置されたころの端部が同一平面内にあって、外輪に内フランジまたは内輪に外フランジが形成されるため、これらによりころが確実に案内されて保持器の負担が減少するから、耐久性が向上する。
(iv)さらに、外輪または内輪が機械の一部であるから、当該機械の軽量化がさらに促進される。
(その1)
図1は本発明の実施形態1に係るころ軸受の概略構成を示す、(a)は一部を省略した平面図、(b)は側面視の部分断面図である。なお、以下の図において図1と同じ部分または相当する部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図1において、ころ軸受110は、外歯ギア3と、円柱状の軸5(以下「内軸5」と称す)と、外歯ギア3の内周面30と内軸5の外周面50との間に並設された一列目ころ1および二列目ころ2と、一列目ころ1および二列目ころ2をそれぞれ所定位置に配置する孔付き円筒状の保持器4と、を具備している。
そして、一列目ころ1aと二列目ころ2aとは軸方向で同一線上に配置され、一列目ころ1b(1c以降も同様)と二列目ころ2b(2c以降も同様)とについても同様に配置されている。
また、同一線上で、一列目ころ1aの長さと二列目ころ2aの長さとが相違し、一列目ころ1b(1c以降も同様)と二列目ころ2b(2c以降も同様)とについても同様に長さが相違している。さらに、円周方向で対峙する一列目ころ1同士の長さが相違している(たとえば、一列目ころ1aの長さと一列目ころ1bの長さ、一列目ころ1bの長さと一列目ころ1cの長さが相違している)。
すなわち、二列目ころ2bの一方の端部21bは、円周方向の両側が一列目ころ1aの側部(端部から所定の距離離れた範囲)および一列目ころ1cの側部(端部から所定の距離離れた範囲)に対峙し、二列目ころ2cの一方の端部21cは、円周方向の両側が二列目ころ2bの側部および二列目ころ2dの側部に対峙している。
なお、以上は、軸方向で同一線上に2列のころが配置されているものを例示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、3列以上のころをその端部が円周方向で千鳥状になるように配置するものであってもよい。
図2は本発明の実施形態1に係るころ軸受のその他の概略構成を示す平面図である。
図2において、ころ軸受130は、一列目ころ1a、1b、1c・・・の長さがそれぞれ同一であるものの、二列目ころ2の長さは2種類であって、二列目ころ2a、2c・・・の長さがそれぞれ同一で、二列目ころ2b、2d・・・の長さがそれぞれ同一である。
したがって、一列目ころ1a、1b、1c・・・の一方の端部11a、11b、11c・・・はそれぞれ軸方向で千鳥状に位置して、一方の端部11a、11c・・・は軸方向で同一位相に位置し、一方の端部11b、11d・・・は軸方向で同一位相に位置している。
一方、二列目ころ2a、2b、2c・・・の他方の端部22a、22b、22c・・・は軸方向で同一位相に位置しているものの、一方の端部21a、21b、21c・・・はそれぞれ軸方向で千鳥状に位置して、一方の端部21a、21c・・・は軸方向で同一位相に位置し、一方の端部21b、21d・・・は軸方向で同一位相に位置している。
図3は本発明の実施形態1に係るころ軸受における負荷圏を説明する模式図である。
図3の(b)および(c)は、ころが単列の場合を示しているが、軸受の回転方向と軸受の傾き方向が決まると負荷圏は(c)の斜線で示すとおりになる。
図3の(a)は、それぞれころ軸受120およびころ軸受130の負荷圏を略S字状に太い実線で囲って示している。
すなわち、図3の(a)において、ころ軸受130は、一列目ころ1a、1b、1c・・・の一方の端部11a、11b、11c・・・が千鳥状に位置してから、ころ1b、1d・・・では最も端の部分(図中、左側)にころが配置されていない状態になっている。したがって、当該部分においては、ころのすべり(当接)がなくなっている。
すなわち、ころ軸受120については、一列目ころ1b、1d・・・の長さを二列目ころ2a、2c・・・の長さに等しくし、二列目ころ2b、2d・・・の長さを一列目ころ1a、1c・・・の長さに等しくする(後記図4に示すころ軸受200参照)。また、ころ軸受130については、二列目ころ2a、2b、2c・・・の長さをそれぞれ略等しくして、二列目ころ2の他方の端部22を千鳥状に位置させる(図示しない)。
そうすると、ころ軸受110(図1参照)は、正逆回転の仕様であって、前記すべりを小さくする効果と、ころが配置されていない効果との両方の効果を奏するものといえる。
図4は本発明の実施形態2に係るころ軸受の概略構成を示す、(a)は一部を省略した平面図、(b)は側面視の部分断面図である。
図4において、ころ軸受200は、外輪6と、円筒状の内輪7と、外輪6の内周面60と内輪7の外周面70との間に並設された一列目ころ1および二列目ころ2と、一列目ころ1および二列目ころ2をそれぞれ所定位置に配置する孔付き円筒状の保持器4と、を具備している。
すなわち、一列目ころ1の一方の端部11は内フランジ61によって案内され、二列目ころ2の他方の端部22は内フランジ62によって案内されることになる。したがって、保持器4の負担が軽度になるから、保持器4の耐久性が向上する。すなわち、本発明は、ころのスキューに伴う滑りによる損傷を防止すると共に保持器の負担を減らすことにより、耐久性を向上させるという顕著な効果を奏する。
2 二列目ころ
3 外歯ギア
4 保持器
5 内軸
6 外輪
7 内輪
11 一方の端部(一列目ころ)
12 他方の端部(一列目ころ)
21 一方の端部(二列目ころ)
22 他方の端部(二列目ころ)
30 内周面(外歯ギア)
50 外周面(内軸)
60 内周面(外輪)
61 一方の内フランジ(外輪)
62 他方の内フランジ(外輪)
70 外周面(内輪)
71 一方の外フランジ(内輪)
72 他方の外フランジ(内輪)
110 ころ軸受
120 ころ軸受
130 ころ軸受
200 ころ軸受
Claims (3)
- 円筒状の外輪と、円筒状または円柱状の内輪と、前記外輪の内周面と前記内輪の外周面との間で円周方向に並設されるころと、を具備するころ軸受であって、
前記ころが、軸方向の同一線上に複数本配置され、且つ、所定の直線上に配置された一方のころの長さと、当該直線上に配置された他方のころの長さとが相違し、
前記所定の直線上に配置された一方のころの端部の位置と、該一方のころに円周方向で対峙する他方のころの端部の位置とが、軸方向で異なる位相であることを特徴とするころ軸受。 - 前記所定の直線上で最も端寄りに配置された一方のころの端寄りの端部と、その他の直線上で最も端寄りに配置された他方のころの端寄りの端部とが軸方向で同位相であって、前記外輪の端縁に沿って内周側に突出する内フランジまたは前記内輪の端縁に沿って外周側に突出する外フランジの一方または両方が形成されてなることを特徴とする請求項1記載のころ軸受。
- 前記外輪の外周面または前記内輪の内周面の一方または両方に、ギアまたはスプラインが形成されてなることを特徴とする請求項1または2記載のころ軸受。
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