JP2017058022A - 遊星歯車の支持構造 - Google Patents

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Hiromitsu Kawai
弘光 河合
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理之 冨加見
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Abstract

【課題】保持器付き針状ころの組立作業を複雑にすることなく寿命延長を図る。
【解決手段】保持器付き針状ころの保持器14は径Dに対して幅Bを大きくし、保持器の柱部18は、軸方向の中央部にころピッチ円径PCDよりも内径側のころ止め18aを有し、軸方向の両端部にころピッチ円径PCDよりも外径側のころ止め18bを有し、内径側のころ止め18aと外径側のころ止め18bは斜行部18cを介して連続し、斜行部18cに針状ころ12との干渉を避けるための第一のぬすみ22が形成してあり、隣り合った柱部18間に矩形状のポケット20が形成され、ポケット20の四隅に第二のぬすみ24が形成され、第二のぬすみ24はポケット20の短辺を円周方向に延長した位置から外径側のころ止め18bの外端まで、保持器軸方向に延在している。
【選択図】図1

Description

この発明は保持器付き針状ころに関し、より詳しくは保持器付き針状ころの保持器の改良に関する。保持器付き針状ころは、複数の針状ころを保持器に分離しないように組み付けたもので、たとえば遊星歯車機構(プラネタリギヤ)におけるピニオン支持用の軸受として利用することができる。
自動車のトランスミッションには遊星歯車機構が用いられ、その遊星歯車機構におけるピニオンを支持するための軸受として保持器付き針状ころが使用されている。図5を参照すると、遊星歯車機構は、リングギヤ(内歯歯車)2と、サンギヤ(太陽歯車)4と、複数のピニオン(遊星歯車)6と、キャリア8とで構成される。大きなリングギヤ2の中心にサンギヤ4が位置し、リングギヤ2とサンギヤ4との間に複数のピニオン6が介在している。キャリア8はピニオン軸8aを有し、各ピニオン軸8aでピニオン6を支持している。したがって、ピニオン6は自転しながらサンギヤ4の周りを公転することができる。
図5(B)に示すように、各ピニオン6は保持器付き針状ころ10を介してピニオン軸8a上に回転自在に支持されている。保持器付き針状ころ10は、多数の針状ころ12と保持器14とで構成され、軸受内輪および軸受外輪は用いず、ピニオン軸8aの外周面を内側軌道面とし、ピニオン6の内周面を外側軌道面として利用するようになっている。ピニオン軸8aの内部には潤滑油を供給するための通油孔8bが形成してある。このように、ピニオン軸8aの内部に形成した通油孔8bを通じて潤滑油を引き込み、ピニオン軸8aの外周面に導くことにより、保持器付き針状ころ10の潤滑を行うようにした構造のものが多い。
ピニオン6は、サンギヤ4からピニオン軸8aが受ける力や遠心力の作用で、比較的撓みやすい条件下にある。したがって、単列ころの場合、ピニオン軸8aが撓むと、針状ころ12の端部にエッジ応力が生じやすい。加えて、トランスミッション用の遊星歯車機構にはヘリカルギヤが用いられることから、ねじり角によるスラストが発生する。スラストは軸受にモーメントとして作用し、これによりギヤが傾くため、ころ端部の面圧が非常に高くなり、これもエッジ応力が発生する要因となる。いずれにしても、エッジ応力は軸受寿命を短くする。
特許文献1には、針状ころを3列以上とし、列によって針状ころのころ長さやクラウニング量を異ならせ、軸受の寿命を延ばすようにした技術が記載されている。たとえば、ころ長さに関しては、内側の列よりも外側の列を短くし(特許文献1の段落0014および図4)、クラウニング量に関しては、内側の列のクラウニング量よりも外側の列のクラウニング量を大きくする(特許文献1の段落0016ならびに図6、図7)、といった具合である。特許文献2には、2つのニードルベアリングで遊星歯車を支持した、言い換えればころ列を複列にした遊星歯車式の無段変速機が示されている(特許文献2の段落0028、段落0029ならびに図1)。
保持器付き針状ころの保持器は針状ころを収容するためのポケットを有し、そのポケットの四隅には、応力集中の緩和を主たる目的として、ぬすみを設けるのが一般的である。特許文献3に記載してあるように、通常、ドリル加工やミリング加工でぬすみを形成することから、ぬすみは円弧形状のものが多い。
特開2005−172187号公報 特開2006−090458号公報 特開2009−068677号公報
特許文献1、2のように複数のころ列を設けると、組立工程が増えてしまうという問題がある。しかも、ころ列によってころ長さやクラウニング量を異ならせる場合、ころ長さやクラウニング量の異なるころ同士を混同しないように、組立時に細心の注意を払う必要があるため、作業能率が著しく低下する。
また、遊星歯車機構の回転中、針状ころにはサンギヤを中心とする公転による遠心力が働くため、この遠心力により針状ころ1本1本が保持器に負荷を与える。保持器には保持器自身の質量による遠心力も作用し、この遠心力により保持器はピニオンの内周面に押し付けられてピニオンと一緒に回転しようとする。しかし、針状ころはピニオンの約1/2の速度で公転するため、保持器の外周面(外径案内面)とピニオンの内周面との間に摩擦が生ずる。
さらに、遊星歯車機構におけるピニオンを支持するために使用される軸受は、ピニオン軸が撓むことでエッジ応力が発生しやすく、しかも、潤滑油も供給されにくい構造であることが多い。したがって、ころ端部での損傷が発生しやすい。保持器付き針状ころの潤滑に関しては、特許文献1、2のもののようにピニオン軸の内部の通油孔に潤滑油を引き込む構造では、通油孔を通ってピニオン軸の外周面に出た潤滑油をさらに針状ころの長手方向に行き渡らせる必要があり、針状ころ全体に潤滑油が十分供給されない場合がある。
なお、保持器のポケットの四隅に設けたぬすみは、その主目的が応力緩和であることや、加工上の理由から、円弧状のぬすみが一般的である。しかも、針状ころの端部(面取り部)との干渉を避ける必要上、曲率半径の制限を受ける。これらの理由から、ポケットの四隅に設ける円弧状のぬすみの場合、ころ端部の潤滑に対する貢献はあまり期待できない。
この発明の目的は、従来の保持器付き針状ころの上記問題点を除去することにある。具体的には、この発明は、組立作業を複雑にすることなく、寿命延長を図った保持器付き針状ころを提供することを目的とする。
この発明は、単列で、径に対して幅寸法が大きい保持器付き針状ころとすることによって課題を解決した。すなわち、この発明の保持器付き針状ころは、単列に配置した多数の針状ころ12と保持器14とからなり、保持器14は、径Dに対して幅Bが大きく、軸方向に離間した一対の環状部16と、軸方向に延在して環状部16どうしを連結する複数の柱部18とを有する。
柱部18は、軸方向の中央部にころピッチ円径PCDよりも内径側のころ止め18aを有し、軸方向の両端部にころピッチ円径PCDよりも外径側のころ止め18bを有し、これらの内径側のころ止め18aと外径側のころ止め18bは斜行部18cを介して連続している。斜行部18cには針状ころ12との干渉を避けるための第一のぬすみ22が形成してある。
隣り合った柱部18間に針状ころ12を収容するためのポケット20が形成され、各ポケット20は短辺が環状部16と平行な矩形状で、各ポケット20の四隅に柱部18を部分的に切り欠くことにより第二のぬすみ24が形成してある。第二のぬすみ24は、ポケット20の短辺を円周方向に延長した位置から外径側のころ止め18bの外端まで、保持器軸方向に延在している。
図1(B)b寸法(斜線部)領域は外径案内面となる。また、第一のぬすみ22の外端は外径側のころ止め18bの内端に相当する。ここで、外端とは保持器の軸方向における端面側の端を意味し、内端とは保持器の軸方向における反端面側の端を意味する。したがって、第二のぬすみ24の軸方向寸法L2を変更することにより、外径側のころ止め18bの外端の位置が変わり、それゆえにまた外径側のころ止め18bの軸方向寸法が変わる。
この発明の保持器付き針状ころは、径Dに対して幅Bが大きいため、ころ長さが長く、したがって、ころ列を複数にすることなく、寿命向上を図ることできる。しかも、単列であるため、組み立て作業を複雑にすることはない。
単列で、径Dに対して幅Bが大きい保持器付き針状ころは、ころ列を複数とした場合に比べて、組立が簡単になる。しかし、ころ長さが長くなるため、針状ころのスキューが大きくなり、すべりが発生しやすくなる。つまり、径Dに対して幅Bが大きい保持器付き針状ころは、通常よりも軸受として厳しい条件となる。この、ころ長さが長くなることに伴うスキューの問題については、ころ止め18a、18bの間隔を確保することによって対策する。
また、保持器14のポケット20の四隅に設けるぬすみ24を、従来一般的であった単なる円弧形状のものに代えて、矩形状のポケット20の短辺から外径側のころ止め18bの外端まで保持器軸方向に延在させることにより、十分な開口面積を確保することができる。このようにしてころ端部の通油性が改善され、ころ端部のエッジ応力が発生しがちな部分に潤滑油を十分に供給して油膜を形成させ、保持器付き針状ころの寿命を延ばすことができる。つまり、開口面積を拡大したぬすみ24をポケット20の短辺と直結した位置に配置することにより、ぬすみ24を通して外径案内面とピニオン内周面との間に潤滑油が導かれる。これにより、保持器の外周面(外径案内面)とピニオンの内周面との間に油膜を形成させて摩擦を軽減することができ、これも保持器付き針状ころの寿命向上に寄与する。
(A)は保持器のポケット部分の展開図、(B)は模式図である。 (A)はM形保持器の断面図、(B)はV形保持器の断面図である。 保持器付き針状ころの断面図である。 (A)はA形、(B)はF形の針状ころの正面図である。 (A)は遊星歯車装置の略図、(B)は(A)のピニオン部分の断面図である。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
まず、図3を参照すると、保持器付き針状ころ10は、単列に配置した多数の針状ころ12を保持器14に組み付けて構成されている。保持器14は、図1および図2に示すように、軸方向に離間した一対の環状部16と、軸方向に延在して環状部16どうしを連結する複数の柱部18とを有し、径Dに対して幅Bが大きい。具体例を挙げるならば、D<B<2Dの範囲が好ましい。図3における符号Dは保持器14の径を表し、符号Bは保持器14の幅を表している。図1(B)の斜線を施した領域すなわち、保持器14の外周面のうち環状部16に始まり柱部18の一部にまで及ぶ領域を外径案内面と呼ぶこととする。回転時、この外径案内面にて保持器14はピニオン6(図5(B))の内周面と案内接触し、いわゆる外輪案内形式となる。
保持器14の断面形状は、図2(A)に示すようなM形でも、あるいは図2(B)に示すようなV形であってもよい。M形とV形の違いは、前者にある環状部16の外端の内向きフランジ16aが後者にはない点のみである。
すでに述べたとおり、保持器14の柱部18は、軸方向の中央部に内径側のころ止め18aを有し、軸方向の両端部に外径側のころ止め18bを有する。内径側、外径側とは、ころピッチ円径PCD(図3)を基準として内径側か外径側かを表現したものである。つまり、内径側のころ止め18aと外径側のころ止め18bはころピッチ円を挟んで互いに反対側に位置している。内径側のころ止め18aと外径側のころ止め18bは斜行部18cを介して連続している。斜行部18cには、針状ころ12の外周面との干渉を避けるための第一のぬすみ22が形成してある。第一のぬすみ22の外端は外径側のころ止め18bの内端に相当する。
隣り合った柱部18間に針状ころ12を収容するためのポケット20が形成されている。ポケット20は円周方向に等間隔に配置してあり、各ポケット20に針状ころ12が収容される。ポケット20は保持器14を半径方向に貫通しており、針状ころ12は保持器14から部分的に突出する。そして、針状ころ12は、ピニオン軸8a(図5(B))の外周面を内側軌道面とし、かつ、ピニオン6の内周面を外側軌道面として、これらの軌道面上を転動する。
図1に示すように、各ポケット20は、針状ころ12を収容するものであることから矩形状で、短辺が環状部16と平行になっている。ポケット20の四隅には柱部18を部分的に切り欠くことにより第二のぬすみ24が形成してある。第二のぬすみ24は、ポケット20の短辺を円周方向に延長した位置から外径側のころ止め18aの外端まで、保持器14の軸方向に延在している。図1に示した例では第二のぬすみ24も矩形で、長辺が保持器14の軸方向と平行に延在している。符号L2は第二のぬすみ24の軸方向寸法を表している。符号L1は、第二のぬすみ24の外端すなわちポケット20の短辺から外径側のころ止め18bの内端までの軸方向寸法を表している。
ここで、外端、内端とは、保持器の両端面のうちの一方の端面を基準とした表現であって、その端面に近い側の端を外端といい、その端面から遠い側の端を内端というものとする。したがって、第二のぬすみ24の軸方向寸法L2を変更すると、外径側のころ止め18bの外端の位置が変わり、それゆえにまた外径側のころ止め18bの軸方向寸法(L1−L2)が変わる。
第二のぬすみ24の軸方向寸法L2は、寸法L1の40%以上70%以下とするのが好ましい。第二のぬすみ24の軸方向寸法L2が寸法L1の40%未満、具体的には35%では、通油性改善による効果(寿命向上)が明確に見られず、40%以上80%以下の範囲で寿命向上効果が見られた。ただし、70%を超えると、外径側のころ止め18bの長さが短くなって針状ころ12の保持力が低下し、加えて、針状ころ12が長い場合にはその自重も大きいため、振動により、針状ころ12が保持器14から抜けてしまうおそれがある。
寸法L1と寸法L2は、前者を増やすと後者が減るという関係にある。そこで、第二のぬすみ24の軸方向寸法L2の下限を寸法L1の40%までとり、その分だけ外径側のころ止め18aの軸方向寸法を短くする。ころ止め18aは針状ころの外周面と接触する部分であることから、面押しなどの加工を施すものであるところ、かかる加工に伴い、柱部の幅面を変形させてしまうおそれもある。それゆえ、ころ止め18aの軸方向寸法を短くすることにより、ころ止め18aの加工に伴う加工力が柱部に及ぼし得る悪影響を回避することができる。また、ころ止め18aの軸方向寸法が短くなりすぎると針状ころ12の保持、案内に支障を来すおそれがあるため、第二のぬすみ24の軸方向寸法L2の上限は寸法L1の70%にとどめる。これにより、外径側のころ止め18aの軸方向寸法を確保して、針状ころ12が保持器14から抜けてしまうことを回避する。
保持器24は、円筒状の素材をM形またはV形にプレス成形し、ポケットを打ち抜いて製造するほか、溶接保持器とすることによりコストを抑えることもできる。溶接保持器の製造工程を例示するならば、大略次のとおりである。
(a)素材として、成形性の良好なSPC等の冷間圧延鋼板をスリッターで所定幅にせん断した帯状鋼材を使用する。
(b)帯状鋼材にプレス加工を施して保持器の基本断面形状(M形またはV形)を形成する。
(c)帯状鋼材の長さ方向に所定ピッチでポケットを打ち抜き形成する。その後、両端に溶接代を考慮して所定の長さに帯状鋼材を切断する。
(d)帯状鋼材を環状に曲げる。
(e)両端部を突き合わせ溶接して製品を得る。
このようにして得られた製品たる保持器に軟窒化処理あるいは浸炭焼入れ等の熱処理を施し、溶接によって生じたひずみを除去するとともに、保持器の表面に硬化層を形成し、耐摩耗性および機械的強度を向上させる。
第二のぬすみを円弧形状とし、かつ、曲率半径を変えずに保持器14の外径案内面の幅寸法b(図1(B))を大きく取ろうとすると、外径側のころ止め18bの軸方向寸法が大きくなってしまう。その場合、ころ止め18bを形成するために施す加工(面押しやバニシ加工)の量が多くなるので、柱部18の幅面を変形させてしまうおそれがある。ころ止め18bの軸方向寸法を小さくしようとすると、第二のぬすみの曲率半径を大きくする必要があり、その結果、柱部18の幅が狭くなり、保持器強度が落ちてしまう。そこで、第二のぬすみ24につき、従来一般的であった単一曲率半径のぬすみに代えて、保持器円周方向の寸法に対して軸方向の寸法を大きくした矩形状のぬすみとする。第二のぬすみをこのような形状とすることにより、第二のぬすみ24の軸方向長さL2を変更することで、外径側のころ止め18aの外端の位置、したがってまた外径案内面の幅bを調整することができる。
なお、保持器14の外径案内面の幅bを小さくすれば上記の問題は解決できるが、遊星歯車機構のように自転、公転があるような用途では、保持器14の外径面に掛かる負荷が高いため、保持器14の外径案内面の幅bを小さくすると、保持器14の破損につながるおそれがある。それゆえ、外径案内面の幅b+bを保持器14の幅Bの35%以上確保する。外径案内面の幅bを拡大すると、外径側のころ止め18aの外端が内側に移動することになる。しかし、外径側のころ止め18aの外端が内側に入り過ぎると、両側のころ止め18a間の間隔が短くなって、針状ころ12のスキューが発生して早期破損につながるおそれがある。それゆえ、保持器14の幅Bに占める外径案内面の幅b+bの上限は60%とする。要するに、保持器14の外径案内面の軸方向寸法b+bを保持器の幅Bの35%以上60%以下とするのが好ましい。
針状ころ12は、図4(A)に示すように端面が丸面のA形と、図4(B)に示すように端面が平面のF形がある。A形を採用することにより、針状ころ12の端面と、保持器14のポケット20の短辺との間にすきまが形成され、しかも、そのすきまは、端面が平面のF形針状ころの場合に比べて大きな面積となる。さらに、そのすきまとオーバーラップするようにして第二のぬすみ24が位置することになるため、針状ころ12の端部に十分な量の潤滑油が供給される。また、第二のぬすみ24を通って内径側から外径側へ通過した潤滑油は、外径案内面とピニオン6(図5(B))の内周面との間に供給され、潤滑を行う。
このように、上述の実施例は、針状ころ12の端面形状をA形としたことと、保持器14のポケット20の第二のぬすみ24を軸方向に拡張したこととが相まって、針状ころ12の端部と保持器14との間を半径方向に貫通する空間の断面積が増え、潤滑油の通油性が改善される。したがって、エッジ応力が発生しがちな針状ころ12の端部に潤滑油を十分に送って油膜を形成させることにより、軸受寿命を延ばすことができる。また、通油性がよくなることで、ピニオン軸8a(図5(B))の内部に形成する通油孔8bは1本でも十分であり、ピニオン軸8aに通油孔8bを形成するための加工を最小限にとどめてコストを抑えることができる。
10 保持器付き針状ころ
12 針状ころ
14 保持器
16 環状部
16a 内向きフランジ
18 柱部
18a ころ止め(内径側)
18b ころ止め(外径側)
18c 斜行部
20 ポケット
22 第一のぬすみ
24 第二のぬすみ
この発明は、内歯歯車と、この内歯歯車の中心に配置された太陽歯車と、前記内歯歯車と前記太陽歯車に噛合う複数の遊星歯車と、この遊星歯車を支持するキャリアとからなり、前記遊星歯車が前記キャリアに設けられたピニオン軸に転がり軸受を介して回転自在に支持された遊星歯車機構の遊星歯車の支持構造において、前記転がり軸受は、前記遊星歯車の内周面を外側軌道面とし、前記ピニオン軸の外周面を内側軌道面とし、これら両軌道面間に単列に配置された複数の針状ころと保持器とからなり、前記保持器の外径案内面が前記外側軌道面に接触案内される保持器付き針状ころにより構成され、前記遊星歯車の支持構造は、前記ピニオン軸の内部に通油孔を設け、この通油孔を内側軌道面となる前記外周面に開口させた軸受潤滑機構を有し、前記保持器は、軸方向に離間した一対の環状部と軸方向に延在して前記環状部を連結する複数の柱部とにより前記針状ころを収容するポケットが形成され、前記柱部は、その軸方向の中央部に内径側のころ止めが形成され、軸方向の両端部に外径側のころ止めが形成されこれら両ころ止めは斜行部を介して連続して形成され、前記斜行部に前記針状ころとの干渉を避けるための第一のぬすみが形成されり、前記軸受潤滑機構により供給される潤滑油の通油性を向上させるために、前記ポケットの四隅に第二のぬすみが形成されこの第二のぬすみは、矩形状で、その長辺が前記保持器の軸方向と平行で、かつ前記保持器の円周方向の寸法に対して軸方向の寸法を大きくしたことを特徴とする
単列で、径に対して幅寸法が大きい保持器付き針状ころとすることによって課題を解決した。すなわち、この発明の保持器付き針状ころは、単列に配置した多数の針状ころ12と保持器14とからなり、保持器14は、径Dに対して幅Bが大きく、軸方向に離間した一対の環状部16と、軸方向に延在して環状部16どうしを連結する複数の柱部18とを有する。
柱部18は、軸方向の中央部にころピッチ円径PCDよりも内径側のころ止め18aを有し、軸方向の両端部にころピッチ円径PCDよりも外径側のころ止め18bを有し、これらの内径側のころ止め18aと外径側のころ止め18bは斜行部18cを介して連続している。斜行部18cには針状ころ12との干渉を避けるための第一のぬすみ22が形成してある。
隣り合った柱部18間に針状ころ12を収容するためのポケット20が形成され、各ポケット20は短辺が環状部16と平行な矩形状で、各ポケット20の四隅に柱部18を部分的に切り欠くことにより第二のぬすみ24が形成してある。第二のぬすみ24は、ポケット20の短辺を円周方向に延長した位置から外径側のころ止め18bの外端まで、保持器軸方向に延在している。
図1(B)b寸法(斜線部)領域は外径案内面となる。また、第一のぬすみ22の外端は外径側のころ止め18bの内端に相当する。ここで、外端とは保持器の軸方向における端面側の端を意味し、内端とは保持器の軸方向における反端面側の端を意味する。したがって、第二のぬすみ24の軸方向寸法L2を変更することにより、外径側のころ止め18bの外端の位置が変わり、それゆえにまた外径側のころ止め18bの軸方向寸法が変わる。
図1に示すように、各ポケット20は、針状ころ12を収容するものであることから矩形状で、短辺が環状部16と平行になっている。ポケット20の四隅には柱部18を部分的に切り欠くことにより第二のぬすみ24が形成してある。第二のぬすみ24は、ポケット20の短辺を円周方向に延長した位置から外径側のころ止め18の外端まで、保持器14の軸方向に延在している。図1に示した例では第二のぬすみ24も矩形で、長辺が保持器14の軸方向と平行に延在している。符号L2は第二のぬすみ24の軸方向寸法を表している。符号L1は、第二のぬすみ24の外端すなわちポケット20の短辺から外径側のころ止め18bの内端までの軸方向寸法を表している。
寸法L1と寸法L2は、前者を増やすと後者が減るという関係にある。そこで、第二のぬすみ24の軸方向寸法L2の下限を寸法L1の40%までとり、その分だけ外径側のころ止め18の軸方向寸法を短くする。ころ止め18は針状ころの外周面と接触する部分であることから、面押しなどの加工を施すものであるところ、かかる加工に伴い、柱部の幅面を変形させてしまうおそれもある。それゆえ、ころ止め18の軸方向寸法を短くすることにより、ころ止め18の加工に伴う加工力が柱部に及ぼし得る悪影響を回避することができる。また、ころ止め18の軸方向寸法が短くなりすぎると針状ころ12の保持、案内に支障を来すおそれがあるため、第二のぬすみ24の軸方向寸法L2の上限は寸法L1の70%にとどめる。これにより、外径側のころ止め18の軸方向寸法を確保して、針状ころ12が保持器14から抜けてしまうことを回避する。
第二のぬすみ24を円弧形状とし、かつ、曲率半径を変えずに保持器14の外径案内面の幅寸法b(図1(B))を大きく取ろうとすると、外径側のころ止め18bの軸方向寸法が大きくなってしまう。その場合、ころ止め18bを形成するために施す加工(面押しやバニシ加工)の量が多くなるので、柱部18の幅面を変形させてしまうおそれがある。ころ止め18bの軸方向寸法を小さくしようとすると、第二のぬすみ24の曲率半径を大きくする必要があり、その結果、柱部18の幅が狭くなり、保持器強度が落ちてしまう。そこで、第二のぬすみ24につき、従来一般的であった単一曲率半径のぬすみに代えて、保持器円周方向の寸法に対して軸方向の寸法を大きくした矩形状のぬすみとする。第二のぬすみ24をこのような形状とすることにより、第二のぬすみ24の軸方向長さL2を変更することで、外径側のころ止め18の外端の位置、したがってまた外径案内面の幅bを調整することができる。

Claims (6)

  1. 単列に配置した多数の針状ころと保持器とからなる保持器付き針状ころにおいて、
    前記保持器は、径に対して幅寸法が大きく、軸方向に離間した一対の環状部と、軸方向に延在して前記環状部どうしを連結する複数の柱部とを有し、
    前記柱部は、軸方向の中央部にころピッチ円径よりも内径側のころ止めを有し、軸方向の両端部にころピッチ円径よりも外径側のころ止めを有し、前記内径側のころ止めと前記外径側のころ止めは斜行部を介して連続し、前記斜行部に前記針状ころとの干渉を避けるための第一のぬすみが形成してあり、
    隣り合った前記柱部間に前記針状ころを収容するためのポケットが形成され、各ポケットは短辺が前記環状部と平行な矩形状で、前記ポケットの四隅に前記柱部を部分的に切り欠くことにより第二のぬすみが形成してあり、前記第二のぬすみは、前記ポケットの短辺を円周方向に延長した位置から前記外径側のころ止めの外端まで、保持器軸方向に延在している、
    保持器付き針状ころ。
  2. 前記保持器の断面形状はM形またはV形である請求項1の保持器付き針状ころ。
  3. 前記第二のぬすみの軸方向寸法を前記ポケットの短辺から外径側のころ止めの内端までの軸方向寸法の40%以上70%以下とした請求項1または2の保持器付き針状ころ。
  4. 前記保持器の外径案内面の軸方向寸法を前記保持器の総幅の35%以上60%以下とした請求項1、2、または3の保持器付き針状ころ。
  5. 前記針状ころは端面が丸面である請求項1ないし4のいずれか1項の保持器付き針状ころ。
  6. 遊星歯車機構におけるピニオンの支持用である請求項1ないし5のいずれか1項の保持器付き針状ころ。
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