JP2020118178A - 保持器付きころおよび遊星歯車支持構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】強度上有利で研削加工し易く安価に製造できる保持器の改良技術を提供する。【解決手段】保持器13の柱部31は、円環部30と結合する1対の端部32,32と、一方の端部および他方の端部の間に位置する中央部33と、端部および中央部の間に位置する1対の途中部34,34とを含み、保持器の外径は、柱部の端部で最も大きくされ、柱部の途中部で最も小さくされ、柱部の中央部で端部よりも小さく途中部よりも大きくされ、保持器の内径は、中央部で途中部よりも大きくされ、端部には径方向外側へのころのポケット脱落を規制する外爪が設けられ、途中部には径方向内側へのころのポケット脱落を規制する内爪が設けられる。【選択図】図4
Description
本発明は、保持器付きころおよび遊星歯車機構に関する。
太陽歯車と遊星歯車と内歯歯車とキャリアを備える遊星歯車機構に関し、遊星歯車を回転自在に支持するころ軸受が特許第5012438号公報(特許文献1)および特開2007−255494号公報(特許文献2)に開示されている。特許文献1の保持器は、いわゆるM型保持器と称され、ころ軸受の軸線を含む平面で保持器の柱部を切断すると、切断面の形状がM型である。
これに対し特許文献2の保持器では、保持器の柱部における切断面の形状が逆M型である。つまり保持器の柱部において、軸方向の中央側部分が両側部分よりも外径側に片寄って形成される。また柱部によって接続される1対の円環部が、外径側へ突出する鍔部を含む。さらに、柱部の両側部分の内径面は保持器案内面とされ、この内径面には円周方向に断続して延びる断続油溝が設けられる。また円環部の内径面には、円周方向に連続して延びる連続油溝が設けられる。また柱部の両側部分の内径面および円環部の内径面には、軸方向に延び、断続油溝および連続油溝と接続する油供給溝が設けられる。
遊星歯車は、上述したころ軸受を中心として単に自転するだけでなく、キャリアの回転によって太陽歯車の周囲を高速で公転する。このため上述したころ軸受には、太陽歯車の軸を中心とする遠心力が作用する。かかる環境の下では、単に自転する場合と比較して、ころ軸受の保持器に大きな遠心力が作用するので、保持器が破損し易いという問題や、保持器が摩耗し易いという問題がある。
また特許文献1および特許文献2の保持器は、保持器の内径面でシャフト外径の内側軌道面に案内されると考えられ、保持器内径面が摩耗し易い。この対策として、保持器とシャフトの摺接面を研削加工により滑らかに仕上げることが考えられる。ところが、遊星歯車の中心に配置されるころ軸受は小径であり、保持器内周面はさらに小径であるから、研削加工の加工効率が悪く、コストアップの原因になる。
本発明は上述の実情に鑑み、保持器に関し、強度上有利で、研削加工し易く安価に製造できる改良技術を提供することを目的とする。
この目的のため本発明による保持器付きころは、軸方向に離隔する1対の円環部、およびこれら円環部同士を接続する複数の柱部を有し、周方向で隣り合う柱部同士間にポケットを区画する保持器と、ポケットに配置されるころと、を備える。保持器の柱部は、保持器の円環部のそれぞれと結合する1対の端部と、一方の端部および他方の端部の間に位置する中央部と、端部および中央部の間に位置する1対の途中部とを含む。保持器の外径は、柱部の端部で最も大きくされ、柱部の途中部で最も小さくされ、柱部の中央部で端部よりも小さく途中部よりも大きくされる。保持器の内径は、柱部の中央部で途中部よりも大きくされる。端部には、保持器の径方向外側へのころのポケット脱落を規制する外爪が設けられ、途中部には、保持器の径方向内側へのころのポケット脱落を規制する内爪が設けられる。
かかる本発明によれば、柱部の中央部および両端部の外径および内径が、柱部の途中部の外径および内径よりも大きいことから、柱部を全体的に太くすることができる。したがって保持器の強度を大きくすることができる。また柱部の両端部の外径が柱部の中央部および途中部の外径よりも大きいことから、柱部の両端部の外径面を保持器の案内面とすることができる。外径面の研削加工は容易であり、製造コストの低減を図ることができる。なお保持器の外径は、円環部で最も大きくされてもよい。
本発明の一局面として保持器の円環部は、柱部の端部との結合箇所よりも内径側に形成される鍔部を含む。
本発明の遊星歯車支持構造は、上述した保持器付きころと、保持器付きころの中心に通される軸体と、軸体に設けられて保持器の中央部へ指向する油供給孔と、軸体および保持器付きころが配置される中心孔を有する遊星歯車と、軸体の端部と結合するキャリアとを具備する。
このように本発明によれば、従来のM型保持器および逆M型保持器よりも強度上有利である。また研削加工の容易な保持器の外径面を保持器案内面とすることにより、低コストで製造可能になる。
本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
(遊星歯車支持構造の概要)
はじめに、図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る保持器付きころ10が用いられる遊星歯車機構100の概要について説明する。図1は、本発明の一実施形態になる遊星歯車支持構造を示す正面図である。図2は、同実施形態のころ軸受を示す縦断面図である。遊星歯車機構100は、内歯を有し外周を取り囲む内歯歯車(リングギア)101と、外歯を有し内歯歯車101の中心に配置される太陽歯車(サンギア)102と、外歯を有し内歯歯車101と太陽歯車102の間に配置される複数の遊星歯車(ピニオンギア)103とを備える。
はじめに、図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る保持器付きころ10が用いられる遊星歯車機構100の概要について説明する。図1は、本発明の一実施形態になる遊星歯車支持構造を示す正面図である。図2は、同実施形態のころ軸受を示す縦断面図である。遊星歯車機構100は、内歯を有し外周を取り囲む内歯歯車(リングギア)101と、外歯を有し内歯歯車101の中心に配置される太陽歯車(サンギア)102と、外歯を有し内歯歯車101と太陽歯車102の間に配置される複数の遊星歯車(ピニオンギア)103とを備える。
遊星歯車103は小歯車(ピニオン)であり、内歯歯車101および太陽歯車102と噛合する。各遊星歯車103の中心孔にはシャフト状のピニオン軸105が通される。中心孔の孔壁面は、遊星歯車103の内周面を構成する。遊星歯車103の内周面とピニオン軸105の外周面で区画される環状空間には、保持器付きころ10が配置される。
各ピニオン軸105の端部は、共通するキャリア104に固定される。これにより複数の遊星歯車103は、1個のキャリア104に支持される。また各遊星歯車103は、保持器付きころ10によって回転可能とされる。各ピニオン軸105の両端部はそれぞれ、ワッシャ107に通される。ワッシャ107は、保持器付きころ10の端部とキャリア104の間に配置される。なお、図2では、便宜上、ワッシャ107は遊星歯車103に当接しているが、実際はワッシャ107と遊星歯車103との間には微小隙間があり、当該隙間から潤滑油が供給されることがある。
例えば内歯歯車101が回転を停止したまま太陽歯車102が図1に矢で示すように時計回りに回転する場合、各遊星歯車103は反時計回りに自転するとともに、太陽歯車102の外周を時計回りに公転し、キャリア104が反時計回りに回転する。
遊星歯車機構100は、例えば自動車の変速機などに用いられる。遊星歯車機構100における遊星歯車103を回転可能に支持するために、保持器付きころ10が使用されている。すなわち、本実施形態に係る保持器付きころ10は、自動車用保持器付きころである。
図2を参照して、各遊星歯車103は、本実施形態に係る保持器付きころ10を介して、ピニオン軸105上に回転自在に支持されている。つまり、保持器付きころ10は、遊星歯車103をピニオン軸105に回転可能に支持する軸受である。また本実施形態に係る遊星歯車支持構造は、遊星歯車103と、ピニオン軸105と、保持器付きころ10とを備える。
保持器付きころ10は、複数のころ12と1個の保持器13とで構成される。保持器13は各ころ12を保持するポケットを複数有する。ポケットについては後述する。ころ12および保持器13は金属製である。ピニオン軸105の外周面は、転動体であるころ12が転動する内側軌道面である。遊星歯車103の内周面は、ころ12が転動する外側軌道面である。本実施形態のころ12は、針状ころである。本実施形態の保持器13は、いわゆる外輪案内で用いられ、外側軌道面と摺接する。
ピニオン軸105の内部には、潤滑油を供給するための通油孔106が形成されている。ピニオン軸105の内部に形成した通油孔106を通じて潤滑油をピニオン軸105の外周面に導くことにより、ころ12の潤滑を行っている。具体的には、通油孔106は、図2の紙面上の右方から軸方向に延在する第1通油孔106aと、ピニオン軸105の軸方向中央付近で外周面と連通する第2通油孔106bとを含む。ピニオン軸105の通油孔106a,106bから供給された潤滑油は、図2に矢faで示すように、保持器13の軸方向両側に向かって、保持器13の内周面とピニオン軸105の外周面との間を通過して保持器付きころ10の外部へと流出する。また、同様に、ピニオン軸105の通油孔106a,106bから供給された潤滑油は、図2に矢fbで示すように、後述する保持器13のポケットを通り抜け、保持器13の外周面と遊星歯車103の内周面との間を通過して、保持器付きころ10の外部へと流出する。これにより、保持器13の内周面と、ピニオン軸105の外周面と、ポケット壁面と、保持器13の外周面と、遊星歯車103の内周面と、ころ12外周の転動面が潤滑される。
なお、多段化が進む自動車の変速機に遊星歯車機構100が使用される場合、多数の遊星歯車機構100が変速機に組み込まれ、それに伴い多数の保持器付きころ10が使用される。かかる変速機において、自動車の更なる燃費向上を意図して、低粘度の潤滑油が保持器付きころ10へ供給されたり、潤滑油の攪拌抵抗を低下させるべく保持器付きころ10へと供給される潤滑油量が少量化したり等の事情がある。このような自動車の燃費向上のために用いられる潤滑油の動粘度は、たとえば、100℃で2センチストークス(cSt)〜8センチストークス(cSt)である。潤滑油はころ軸受および歯車等の遊星歯車機構100を構成する回転体を潤滑する。
(発明の実施形態)
次に、図2〜図5を参照して、本実施形態における保持器13について説明する。以下の説明では、保持器付きころ10の中心を示す軸線Oに沿った方向を「軸方向」、軸線Oと直交する方向を「径方向」、軸線O周りの円周方向を「周方向」という。
次に、図2〜図5を参照して、本実施形態における保持器13について説明する。以下の説明では、保持器付きころ10の中心を示す軸線Oに沿った方向を「軸方向」、軸線Oと直交する方向を「径方向」、軸線O周りの円周方向を「周方向」という。
保持器13は、一対の円環部30と、一対の円環部30を互いに連結する複数の柱部31とを有する。柱部31は、径方向に厚みを有する板状であり、保持器13の軸方向に延び、両端の端部32,32で一対の円環部30と結合する。円環部30は、軸方向に厚みを有する板状であり、端部32から内径側に突出する鍔部30bを含む。周方向に隣り合う柱部31,31の間には、ころ12が配置されるためのポケット14が設けられている。
各柱部31は、端部32,32間に中央部33を含む。端部32と中央部33は途中部34で連結される。一対の端部32,32と、一対の途中部34と、中央部33はそれぞれ、略同じ軸線方向長および略同じ径方向厚みを有し、軸線Oと平行に延びる。また各柱部31の周方向幅についても、後述する外爪38・内爪39を除き、略同じにされる。
軸線Oからの距離に関し、図2に示すように一対の途中部34は軸線Oに近い位置に配置され、中央部33および一対の端部32,32は軸線Oから遠い位置に配置される。このため径方向位置に関し、端部32と途中部34と中央部33は互い違いに配置される。このため端部32と途中部34の接続部分35、および中央部33と途中部34の接続部分36は、軸線Oに対して傾斜するように延びる。
保持器13の外径寸法に関し円環部30の外径寸法および端部32の外径寸法は、一致し、保持器13の外径寸法の中で最も大きい最大外径寸法を構成する。円環部30および端部32の外径面は研摩加工され、保持器13の他の外径面よりも滑らかな円弧面にされる。保持器13は外径案内であるから、柱部31の端部32の外径面はころ軸受の外側軌道面と摺接する摺接案内面を構成する。
中央部33の外径寸法は、端部32の外径寸法よりも僅かに小さく形成される。このため中央部33の外径面はころ軸受の外側軌道面と摺接しない。途中部34の外径寸法は中央部33の外径寸法よりも小さい。
保持器13の内径寸法に関し、円環部30の内径寸法が最も小さく、途中部34の内径寸法、中央部33の内径寸法、端部32の内径寸法、の順に大きくなる。一対の途中部34,34間に位置する中央部33に関し、中央部33の内径寸法が途中部34の内径寸法よりも大きいため、図2に示すように凹所Sが区画される。第2通油孔106bから径方向外側へ流出する潤滑油は、まず凹所Sに保持され、その後、矢fa,fbに示すように、ころ軸受の内径側および外径側に供給される。本実施形態によれば、ころ軸受の内径側および外径側の双方を万遍なく潤滑することができる。
ころ12,12・・・のピッチ円からみて外径側へ片寄って配置される端部32には円環部30から離れた箇所に外爪38が形成される。外爪38は、ポケット14の周方向両側を画成するポケット壁面にそれぞれ形成され、ころ12がポケット14から径方向外側に脱落することを規制する。
ころ12,12・・・のピッチ円からみて内径側へ片寄って配置される途中部34には内爪39が形成される。内爪39は途中部34の軸方向中央領域に配置される。内爪39は、ポケット14の周方向両側を画成するポケット壁面にそれぞれ形成され、ころ12がポケット14から径方向内側に脱落することを規制する。
図5はポケット14を取り出して示す拡大図であり、外径側からみた状態を表す。各ポケット14の周方向寸法(隣り合う柱部31,31の間隔)は、互いに対向する外爪38,38および内爪39,39を除き、ころ12の直径よりも大きいこと勿論であるが、周方向に隣り合う中央部33,33間のポケット間隔P33と、周方向に隣り合う途中部34,34間のポケット間隔P34の大小関係は、P33>P34である。このように規定することにより、中央部33のポケット壁面ところ12の転動面の隙間を従来のM型保持器の場合よりも大きくして、潤滑油がポケット14を通り抜け易くなり、通油性が向上する。
本実施形態によれば、中央部33がころ12のピッチ円から外径側に片寄って配置されることから、中央部33の断面積を小さくすることなく、中央部33,33間のポケット間隔P33を大きく確保することができる。したがって通油性を向上しつつ、保持器13の強度も確保することができる。
保持器13の製造方法につき附言すると、まず1対の成形ロールの間に帯鋼を通して、当該帯鋼を所定断面形状に成形し、次にプレス機で帯鋼を打ち抜いてころを保持するポケットを多数形成し、さらにプレス機で外爪および内爪を成形し、次に帯鋼を短冊状に切断し、次に短冊を円筒状に曲げ、当該短冊の端面同士を溶接して、保持器13の素形材が作製される。この製造方法では、成形ロール加工によって保持器13の所定断面形状(図4に示すように軸線Oを含む平面で柱部31を切断した切断面)を成形する際に、柱部31の中央部33が作成される。本実施形態によれば、保持器13の製造コストが低減され、安価に潤滑油の流通性を向上することができる。
(対比例)
発明の理解を容易にするため対比例について説明すると、図6は対比例の保持器40を備える保持器付きころの縦断面図であり、図7は保持器40のポケット44を取り出して示す拡大図であり外径側からみた状態を表す。保持器40はM型保持器であり、保持器40の縦断面形状がM字状に形成される。本実施形態の柱部31は、軸方向に延びる点で上述した図4に示す実施形態と一致するが、端部32,32間を除いた柱部31の過半を占める中央領域43が端部32よりも内径側に配置される。そして内爪39が、中央領域43の軸方向両端部分にそれぞれ形成される。周方向に隣り合う柱部31,31と一対の円環部30はポケット44を区画し、ポケット壁面を有する。中央領域43は軸線Oと平行に真っ直ぐ延びる。周方向に隣り合う中央領域43,43の間隔は、前述した図5に示す途中部34,34の間隔P34と同じである。
発明の理解を容易にするため対比例について説明すると、図6は対比例の保持器40を備える保持器付きころの縦断面図であり、図7は保持器40のポケット44を取り出して示す拡大図であり外径側からみた状態を表す。保持器40はM型保持器であり、保持器40の縦断面形状がM字状に形成される。本実施形態の柱部31は、軸方向に延びる点で上述した図4に示す実施形態と一致するが、端部32,32間を除いた柱部31の過半を占める中央領域43が端部32よりも内径側に配置される。そして内爪39が、中央領域43の軸方向両端部分にそれぞれ形成される。周方向に隣り合う柱部31,31と一対の円環部30はポケット44を区画し、ポケット壁面を有する。中央領域43は軸線Oと平行に真っ直ぐ延びる。周方向に隣り合う中央領域43,43の間隔は、前述した図5に示す途中部34,34の間隔P34と同じである。
対比例では、図5に示すような凹所Sが形成されないので、第2通油孔106bから流出する潤滑油をころ軸受で保持することができず、本実施形態よりも潤滑性能に劣る。また周方向に隣り合う中央領域43,43のポケット間隔P34が上述した図5に示す実施形態のポケット間隔P33よりも狭いため(P33>P34)、中央領域43,43のポケット壁面ところ12の転動面の隙間が上述した実施形態(図5)よりも小さい。そうすると潤滑油がポケット44を通り抜け難く、ころ軸受の内径側および外径側の潤滑が不均一になる虞がある。
(本発明の概要)
図1〜図5に示すように本実施形態の保持器付きころ10は、軸方向に離隔する1対の円環部30,30、およびこれら円環部30,30同士を接続する複数の柱部31を有し、周方向で隣り合う柱部31,31同士間にポケット14を区画する保持器13と、ポケット14に配置されるころ12と、を備える。柱部31は、円環部30のそれぞれと結合する1対の端部32,32と、一方の端部32および他方の端部32の間に位置する中央部33と、端部32,32および中央部33の間に位置する1対の途中部34、34とを含む。保持器13の外径は、端部32で最も大きくされ、途中部34で最も小さくされ、中央部33で端部32よりも小さく途中部34よりも大きくされる。保持器13の内径は、中央部33で途中部34よりも大きくされる。ころ12のピッチ円よりも外径側に片寄って配置される端部32には、ころ12の径方向外側へのポケット脱落を規制する外爪38が設けられる。ころ12のピッチ円よりも内径側に片寄って配置される途中部34には、ころ12の径方向内側へのポケット脱落を規制する内爪39が設けられる。
図1〜図5に示すように本実施形態の保持器付きころ10は、軸方向に離隔する1対の円環部30,30、およびこれら円環部30,30同士を接続する複数の柱部31を有し、周方向で隣り合う柱部31,31同士間にポケット14を区画する保持器13と、ポケット14に配置されるころ12と、を備える。柱部31は、円環部30のそれぞれと結合する1対の端部32,32と、一方の端部32および他方の端部32の間に位置する中央部33と、端部32,32および中央部33の間に位置する1対の途中部34、34とを含む。保持器13の外径は、端部32で最も大きくされ、途中部34で最も小さくされ、中央部33で端部32よりも小さく途中部34よりも大きくされる。保持器13の内径は、中央部33で途中部34よりも大きくされる。ころ12のピッチ円よりも外径側に片寄って配置される端部32には、ころ12の径方向外側へのポケット脱落を規制する外爪38が設けられる。ころ12のピッチ円よりも内径側に片寄って配置される途中部34には、ころ12の径方向内側へのポケット脱落を規制する内爪39が設けられる。
本実施形態の円環部30は、柱部31の端部32との結合箇所よりも内径側に形成される鍔部30bを含む。本実施形態の遊星歯車支持構造は、保持器付きころ10の中心に通されるピニオン軸105と、ピニオン軸105に設けられて保持器13の中央部33へ指向する通油孔106bと、ピニオン軸105および保持器付きころ10が配置される中心孔を有する遊星歯車103と、ピニオン軸105の端部と結合するキャリア104とを具備する。
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。例えば上述した1の実施形態から一部の構成を抜き出し、上述した他の実施形態から他の一部の構成を抜き出し、これら抜き出された構成を組み合わせてもよい。
10 保持器付きころ、 12 ころ、 13 保持器、
14 ポケット、 30 円環部、 30b 鍔部、 31 柱部、
32 端部、 33 中央部、 34 途中部、
38 外爪、 39 内爪、 100 遊星歯車機構、
103 遊星歯車、 104 キャリア、 105 ピニオン軸(軸体)、
O 保持器およびころ軸受の軸線、 S 凹所。
14 ポケット、 30 円環部、 30b 鍔部、 31 柱部、
32 端部、 33 中央部、 34 途中部、
38 外爪、 39 内爪、 100 遊星歯車機構、
103 遊星歯車、 104 キャリア、 105 ピニオン軸(軸体)、
O 保持器およびころ軸受の軸線、 S 凹所。
Claims (3)
- 軸方向に離隔する1対の円環部、および前記円環部同士を接続する複数の柱部を有し、周方向で隣り合う前記柱部同士間にポケットを区画する保持器と、
前記ポケットに配置されるころと、を備え、
前記柱部は、前記円環部のそれぞれと結合する1対の端部と、一方の前記端部および他方の前記端部の間に位置する中央部と、前記端部および前記中央部の間に位置する1対の途中部とを含み、
前記保持器の外径は、前記端部で最も大きくされ、前記途中部で最も小さくされ、前記中央部で前記端部よりも小さく前記途中部よりも大きくされ、
前記保持器の内径は、前記中央部で前記途中部よりも大きくされ、
前記端部には、径方向外側への前記ころのポケット脱落を規制する外爪が設けられ、
前記途中部には、径方向内側への前記ころのポケット脱落を規制する内爪が設けられる、保持器付きころ。 - 前記円環部は、前記柱部の前記端部との結合箇所よりも内径側に形成される鍔部を含む、請求項1に記載の保持器付きころ。
- 請求項1または2に記載の保持器付きころと、
前記保持器付きころの中心に通される軸体と、
前記軸体に設けられて前記保持器の前記中央部へ指向する油供給孔と、
前記軸体および前記保持器付きころが配置される中心孔を有する遊星歯車と、
前記軸体の端部と結合するキャリアとを具備する、遊星歯車支持構造。
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