JP6804341B2 - 保持器付き針状ころおよびそれを備えた遊星歯車機構支持構造 - Google Patents

保持器付き針状ころおよびそれを備えた遊星歯車機構支持構造 Download PDF

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Description

本発明は、保持器付き針状ころおよびそれを備えた遊星歯車機構支持構造に関する。
保持器付き針状ころは、複数の針状ころと保持器とからなり、保持器は、軸方向に離間した一対の環状部と、軸方向に延在して前記環状部同士を連結する複数の柱部とを有するものである。そして、周方向に沿って隣り合う柱部間に形成されるポケットに針状ころが保持される。また、針状ころは、相手部材とのエッジロード(ころと軌道面が接触するとき、接触領域の端部に発生する過大な圧力)を回避するために、中央領域に直径が一定の円筒面部と、この円筒面部の両側に設けられる傾斜面部とを有するクラウニングころを用いる場合がある。
従来、特許文献1に記載のように、ころの端面から円筒面部と傾斜面部との境界部位までの長さをDpとし、ころの端面に対面するポケットの壁面から保持器案内面までの軸方向の最短距離をAとしたときに、Dp<Aを満たすように設定されていた。
このように設定することによって、円筒面部と傾斜面部との境界部位が案内面に接触しないように、傾斜面部の長さを調整することができ、長寿命の保持器付きころを提供しようとするものである。
また、従来には、特許文献2に記載のように、保持器において、柱部の軸方向両側の内径側と外径側とに、ころの抜け落ちを防止する内側突起部と外側突起部を設けたものがある。この場合も、ころに、中央ストレート部(円筒面部)とその両側のクラウニング部(傾斜面部)とからなるクラウニングころを用いている。そして、柱部の内側突起部と外側突起部を、ストレート部(円筒面部)とその両側のクラウニング部(傾斜面部)の繋ぎ目(境界部位)よりもクラウニング部側に設けている。
このように構成することによって、ころ外周面と、柱部の内側突起部、外側突起部との隙間が広くなる。そのため、内側突起部と外側突起部によって、ころの外表面の潤滑油が掻き取られず、また、内側突起部と外側突起部に潤滑油中に混入した金属摩耗粉等の塵埃が滞留しない。よって、潤滑油がころとポケットの隙間をスムーズに流れる。
さらに、従来には、特許文献3に記載のように、保持器において、周方向で隣り合う各ポケット間の柱部のそれぞれにおける軸方向中間と軸方向両端との3カ所に、径方向内外に延びる油溝を設けたものがある。この場合も、ころに、円筒形領域(円筒面部)とその両側のクラウニング領域(傾斜面部)とからなるクラウニングころを用いている。そして、軸方向両端に設けられる油溝の軸方向中心寄り端縁が、ポケット内に収納された状態でのころの外周面における円筒形領域とクラウニング領域との連接部に対して一致あるいは連接部よりもころの軸方向中央寄りに配置されている。
このように設定することによって、ころ案内面での油膜切れを防止でき、ころの転動動作が安定するようにしている。
特開2008−215475号公報 特開2013−87886号公報 特開2001−41250号公報
保持器付きころ(保持器付き針状ころ)においては、軸又はハウジングに組付ける際、容易に組付けられるように、ころは、保持器から非脱落構造としたほうが望ましい。前記特許文献1に記載のものでは、ころを保持するころ止め部は、柱部における径方向外側に位置する第1の直線部にて構成することになる。この場合、ころが脱落しないように、ころ径より小さくする必要がある。しかしながら、このように設定すると、これによりころ止めがある部分はころとのすきまが小さくなるので、潤滑油が入りにくく、潤滑不良による摩耗や剥離が生じやすくなる。
また、この特許文献1では、Dp(ころの端面から円筒面部と傾斜面部との境界部位までの長さ)<A(ころの端面に対面するポケットの壁面から保持器案内面までの軸方向の最短距離)に設定しているので、ころの円筒面部と傾斜面部との境界部位が、ころ止め部分と軸方向位置に重なることになる。このため、装着された軸やハウジングの傾きがあった場合にエッジ面圧が発生するころ円筒面部と傾斜面部の境界部が、潤滑不良によってより摩耗や剥離が生じやすくなる。
特許文献2に記載のものでは、ころ止め部である内側突起部と外側突起部両方が柱部の軸方向両側にあり、ほぼ軸方向同じ位置にあるため、潤滑油の流入性が悪くなる懸念がある。
特許文献3に記載のものでは、軸の傾斜が大きい場合等において、ころと軌道輪との接触面圧を小さくしようとすれば、クラウニング長さを長くすればよい。しかしながら、クラウニング長さを長くすれば、ころ止めが軸方向中心側へ移動することになる。このため、ころを軸方向中心側で保持することになり、保持器に対してころの傾き量が大きくなる。ころの傾きが大きくなると、軸やハウジングに保持器付き針状ころを組付ける際、ころが軸やハウジング内径と干渉しやすくなり、組付けにくくなるという課題がある。また、この特許文献3においても、前記特許文献2と同様、ころ止め部である内側突起部と外側突起部両方が柱部の軸方向両側にあり、ほぼ軸方向同じ位置にあるため、潤滑油の流入性が悪くなる懸念がある。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、高いエッジ面圧部分が潤滑不良になりにくく、摩耗や剥離の発生を抑え、しかも、潤滑油の流入性を損なわせることなく、ころの脱落を防止できる保持器付き針状ころ及びそれを備えた遊星歯車機構支持構造を提供するものである。
本発明の保持器付き針状ころは、複数の針状ころと保持器とからなる保持器付き針状ころにおいて、前記保持器は、軸方向に離間した一対の環状部と、軸方向に延在して前記環状部同士を連結する複数の柱部とを有し、前記保持器は、その軸方向の両端部にころピッチ円径よりも外径側に設けられる外径側ころ止めと、軸方向の中央部にころピッチ円径よりも内径側に設けられる内径側ころ止めと、前記外径側ころ止めと前記内径側ころ止めとを接続する傾斜接続部とを有し、前記外径側ころ止めと前記内径側ころ止めとは軸方向に重ならないように配設され、前記針状ころは、その中央領域に直径が一定の円筒面部と前記円筒面部の両側に傾斜面部とを有するクラウニングころであり、前記円筒面部と前記傾斜面部との境界部位を前記傾斜接続部に対応させるとともに、この傾斜接続部を前記針状ころとの接触を避けるぬすみ形状とし、前記円筒面部と傾斜面部との境界部位を前記傾斜接続部に対応させるとともに、この傾斜接続部を前記針状ころとの接触を避けるぬすみ形状とし、傾きが生じた場合にも、エッジ面圧を発生する部位である前記境界部位が前記傾斜接続部と接触しないものである。
本発明の保持器付き針状ころによれば、保持器は、外径側ころ止めと内径側ころ止めとを有するので、針状ころの脱落を有効に防止できる。また、ころの円筒面部と傾斜面部との境界部位が、保持器からころが外径に脱落しないようにするためのころ止め部と軸方向で重ならないように、外径側ころ止め部よりも軸方向中心側になるように配置しているので、高いエッジ面圧部分が潤滑不良になりにくい。しかも、クラウニング長さが長くても、装着した軸やハウジング内径に組付ける際、組付けにくくなることはない。
また、外径側ころ止め部の内径側に内径側ころ止め部を配置しないようにし、保持器ところの空間を設けることになって、ころ止め部が両方(内径側外径側)の軸方向位置であることによって潤滑油の流入性が悪くなることを軽減できる。さらには、ころの円筒部と傾斜部の境界部位を内径側ころ止め部よりも軸方向両端側になるように配置することになって、高いエッジ面圧部分が潤滑不良になりにくくなる。ころの円筒部と傾斜部の境界部位の軸方向位置は、保持器の外径側ころ止め部と内径側ころ止め部との接続部(傾斜部)になるが、この部分は保持器と接触しない構成となっている。これによって、高いエッジ面圧部分が潤滑不良になりにくくなる。
前記保持器の周方向に隣合う柱部間に針状ころが配置されるポケットが形成され、このポケットは、内径側から外径側に放射状に広がっているのが好ましい。前記保持器は、ポケットが打ち抜かれた鋼板の溶接接合品とすることができる。
ところで、ころ軸受は、転動体としてのころと軌道面とが線接触しているために負荷容量が高いという利点を有する。その一方で、ころと軌道面の有効接触部の端部でエッジロードと呼ばれる面圧集中が発生し易く、これが過大になると軸受寿命の低下を招くことが知られている。エッジロードの発生を回避するため、ころ軸受の設計に際しては、ころの外周面(転動面)、外輪軌道面、あるいは内輪軌道面の少なくとも一つに母線形状が非直線状となるクラウニングを形成するのが一般的である。また、エッジロードを抑えて接触面圧を一様にするクラウニングとして、クラウニングの母線形状を対数曲線で表すようにするのが好ましい。このため、前記針状ころは、例えば、対数関数で近似される形状の対数クラウニング形状であるのが好ましい。
保持器は、環状部の外端に内向きフランジを有するM型又は環状部の外端に内向きフランジを有さないV型であってみもよい。
本発明の遊星歯車機構支持構造は、内歯歯車と、この内歯歯車の中心に配設された太陽歯車と、前記内歯歯車と前記太陽歯車とに噛合う複数の遊星歯車と、この遊星歯車を支持するキャリアとを備えた遊星歯車機構を支持するための支持構造であって、前記遊星歯車が前記キャリアに設けられたピニオン軸に転がり軸受を介して回転自在に支持され、前記転がり軸受が前記保持器付き針状ころにて構成されているものである。
本発明の遊星歯車機構支持構造は、転がり軸受に前記保持器付き針状ころを用いるので、針状ころの脱落を有効に防止できる。しかも、クラウニング長さが長くても、軸やハウジング内径に組付ける際、組付けにくくなることはない。また、潤滑油の流入性が悪くなることを軽減できる。さらには、高いエッジ面圧部分が潤滑不良になりにくくなる。
前記ピニオン軸の外径面を内側軌道面とするとともに、遊星歯車の内径面を外輪軌道面とし、前記保持器付き針状ころに用いられる保持器は、軸方向に両端部で遊星歯車の内径面で構成される外輪軌道面と接触し、かつ前記ピニオン軸の内部に、このピニオン軸の外径面で構成される内側軌道面に開口する通油孔を設けるように構成できる。
このように、通油孔を設けることによって、この保持器用針状ころの潤滑を行うようにできる。保持器案内形式としては、高速運動下での保持器運動の安全性の面からころ案内よりも軌道輪案内が望ましく、さらには、遠心力による潤滑油挙動の観点から内輪案内よりも外輪案内が好ましい。
遊星歯車機構支持構造は、自動車用トランスミッションに使用することが可能である。このように自動車用トランスミッションを用いられる場合、はねかけでピニオン軸(支持軸)の通油孔に入ってくる構造のため、潤滑油量が少ない。したがって、この遊星歯車機構支持構造を、自動車のトランスミッションに用いるのが最適となる。
本発明では、高いエッジ面圧部分が潤滑不良になりにくく、摩耗や剥離の発生を抑えることができ、さらには、潤滑油の流入性の悪化を有効に防止できる。このため、耐用性に優れた好適な保持器付き針状ころを提供できる。しかも、ころの脱落を有効に防止できる。また、ころのクラウニング長さが長くなっても、軸やハウジング内径に組み付ける際に、組み付け性に優れる。
本発明の保持器付き針状ころの断面図である。 図1に示す保持器付き針状ころの保持器の要部拡大断面図である。 保持器のポケットの拡大図である。 図2のA−A線拡大断面図である。 本発明の保持器付き針状ころの針状ころの側面図である。 保持器の他の実施形態の要部拡大断面図である。 遊星歯車機構の簡略図である。 遊星歯車機構の支持構造の断面図である。 自動車用トランスミッションの要部断面図である。
以下本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1に保持器付き針状ころ30を示し、この保持器付き針状ころ30は、複数の針状ころ1を保持器2に組み付けて構成される。なお、以下の説明において、保持器付き針状ころ30の中心軸に沿う方向を「軸方向」、当該中心軸に直交する方向を「径方向」、中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」と呼ぶ。
保持器2は、軸方向に離間した一対の環状部3,3と、軸方向に延在して環状部3,3同士を連結する複数の柱部4とを有するものである。そして、周方向に沿って隣り合う柱部4,4間に、図3に示すような形状の複数のポケット5が形成され、当該ポケット5に針状ころ1が配置される。保持器2は、図2に示すように、断面形状が略M字形であり、このような断面形状を有することから、本実施形態の保持器2はM型保持器と呼ばれる。M型保持器は、環状部3の外端に内向きフランジ3aを有するものである。
柱部4は、一対の外径部4a,4aと、内径部4bと、傾斜部4cとを含んでいる。外径部4aは、一対の環状部3の各外径部から軸方向内方へ伸びる。内径部4bは一対の環状部3、3の間であって、外径部4aよりも内径側に配設される。傾斜部4cは、外径部4aと内径部4bとを連結する。
図2および図4に示すように、外径部4aに外径側抜け止め(以下、外径側ころ止めとも呼ぶ)6が形成され、内径部4bに内径側抜け止め(以下、内径側ころ止めとも呼ぶ)7が形成されている。外径側抜け止め6は、内径側から外径側に向かってポケット5内部へ突出する内径側テーパ部6aと、外径側から内径側に向かってポケット5内部へ突出する外径側テーパ部6bとを有する。ポケット5内に配置された針状ころ1は、内径側テーパ部6aにて受けられる。また、内径側抜け止め7は、外径側から内径側に向かってポケット5内部へ突出する外径側テーパ部7aと、外径側テーパ部7aの内径端から径方向内方に延びる端面部7bとを有する。ポケット5内に配置された針状ころ1は、内径側テーパ部6a及び外径側テーパ部7aにて受けられる。なお、保持器5に対するころ1の動き量が確保できれば、内径側テーパ部6a、外径側テーパ部7aは設けなくてもよい。
また、針状ころ1は、図5に示すように、中央領域に直径が一定の円筒面部10と、円筒面部10の両側に設けられた傾斜面部(以下、クラウニング部とも呼ぶ)11とを有するクラウニングころである。
一般には、ころ軸受は、転動体としてのころと軌道面とが線接触しているために負荷容量が高いという利点を有する。その一方で、ころと軌道面の有効接触部の端部でエッジロードと呼ばれる面圧集中が発生し易く、これが過大になると軸受寿命の低下に注意が必要である。エッジロードの発生を回避するため、ころ軸受の設計に際しては、ころの外周面(転動面)、外輪軌道面、あるいは内輪軌道面の少なくとも一つに母線形状が非直線状となるクラウニングを形成するのが一般的である。 エッジロードを抑えて接触面圧を一様にするクラウニングとして、クラウニングの母線形状を対数曲線で表すようにするのが好ましい。このため、本実施形態に係る保持器付き針状ころ30の針状ころ1は、例えば、対数関数で近似される形状の対数クラウニング形状であるのが好ましい。
ここで、針状ころ1に施された対数クラウニングについて説明する。針状ころ1の転動面1aのクラウニング部11b、11bの母線は、次式(数1)で表される対数クラウニングの対数曲線に基づいて求められる。この対数クラウニング式は、本出願人の特許第4429842号公報に記載されているものを引用した。この場合、ころ軸受の軸線方向断面におけるクラウニングの輪郭線を、内輪軌道面、外輪軌道面又はころ転動面のいずれかの母線をy軸とし、母線直交方向にz軸をとった、y−z座標系を用いて数1で表わした。
Figure 0006804341
数1において、Aは次の数2で表され、aは、内輪軌道面、外輪軌道面又はころ転動面のいずれの母線上にとった原点から有効接触部の端部までの長さである。
Figure 0006804341
上記の対数クラウニング式中の設計パラメータK1、K2およびzmが設計の対象となる。対数クラウニングの数理的最適化手法について説明する。設計パラメータK2を定めた上で、対数クラウニングを表す関数式中のK1、zmを適切に選択することによって、最適な対数クラウニングを設計することができる。クラウニングは、一般的に接触部の面圧もしくは応力の最大値を低下させるように設計する。ここでは、転動疲労寿命は、Misesの降伏条件に従って発生すると考え、Misesの相当応力の最大値を最小にするようにK1、zmを選択する。K1、zmは適当な数理的最適化手法を用いて選択することが可能である。数理的最適化手法のアルゴリズムには種々のものが提案されているが、その一つである直接探索法は、関数の微係数を使用せずに最適化を実行することが可能であり、目的関数と変数が数式によって直接的に表現できない場合に有用である。ここでは、直接探索法の一つであるRosenbrock法を用いてK1、zmを求める。
本実施形態における針状ころ1のクラウニング部11,11の形状は、上記の数式によって求められた対数曲線クラウニングとした。このように設定することによって、この保持器付き針状ころ30が装着される軸に傾き等がある場合でも接触面圧を小さく抑えることができ、長寿命化を図ることができる。ただし、対数形状は、上記の数式に限られるものではなく、他の対数クラウニング式を用いて対数曲線を求めてもよい。
針状ころ1のクラウニング部11は、機械加工又はタンブラー加工によって、クラウニング加工される。ここで、針状ころ1のクラウニング部11をタンブラー加工にてクラウニング加工する場合は、円筒面部10の外周面(円筒面部10のうち径方向最外端)からドロップ量が、例えば、0.5μmの位置を境界部位12とすることが好ましい。
ところで、図1に示すように、保持器2では、その外径側抜け止め6がころピッチ円径PCDよりも外径側に配設され、その内径側抜け止め7がピッチ円径PCDよりも内径側に配設されている。これによって、外径側抜け止め6と内径側抜け止め7とが軸方向に重ならないように設定している。すなわち、外径側抜け止め6は、内径側抜け止め7に対してオフセットしている。
また、図1に示すように、保持器2のポケット5に針状ころ1が配設された状態では、針状ころ1の円筒面部10と傾斜面部11との境界部位12が、外径部4aと内径部4bとを連結する傾斜部4cに対応することになる。このため、この針状ころ1の境界部位12は、外径側抜け止め6および内径側抜け止め7と軸方向で重ならない状態となっている。すなわち、境界部位12は、外径側抜け止め6および内径側抜け止め7に対してオフセットしている。
この場合、外径部4aと内径部4bとを連結する傾斜部4cが、外径側抜け止め6と内径側抜け止め7とを接続する接続部8を構成し、この接続部8は図3に示すぬすみ形状とされている。すなわち、傾斜部4cに、不等辺三角形状の切欠部9が設けられる。針状ころの円筒面部10と傾斜面部11との境界部位12を、保持器2の外径側ころ止め6と内径側ころ止め7との間、すなわち、接続部8に対応する位置に配置されるように設定し、また、境界部位12が接続部8と接触しないように設定している。
ところで、図2に示す保持器付き針状ころ30の保持器2は、前記したように、M型保持器と呼ばれるものであったが、図6に示すように、V型保持器と呼ばれるものであってもよい。図2に示すM型保持器は、環状部3の外端に内向きフランジ3aを有するものであるのに対して、図6に示すようにV型保持器と呼ばれるものは、このようなフランジを有さなないものである。このため、本実施形態においては、図2に示すM型保持器を用いても、図6に示すV型保持器を用いてもよい。
ところで、本実施形態の保持器付き針状ころ30は、図7に示すような遊星歯車機構Sを支持する支持構造に用いることができる。遊星歯車機構Sは、内歯歯車(リングギヤ)15と、この内歯歯車15の中心に配設された太陽歯車(サンギヤ)16と、内歯歯車15と太陽歯車16とに噛合う複数の遊星歯車(ピニオン)17とを備える。
すなわち、大きな内歯歯車15の中心に太陽歯車16が位置し、内歯歯車15と太陽歯車16との間に複数の遊星歯車17が介在している。また、各遊星歯車17は、図8に示すように、キャリア18のピニオン軸18aに回転自在に支持されている。
この場合、ピニオン軸18aと遊星歯車17との間に保持器付き針状ころ30が配置され、当該保持器付き針状ころ30が遊星歯車17をピニオン軸18a上に回転自在に支持することで遊星歯車機構Sを支持する支持構造を構成できる。
保持器付き針状ころ30の保持器2は、ピニオン軸18aの外径面を内側軌道面とするとともに、遊星歯車17の内径面を外側軌道面とする。保持器2は、その軸方向両端部で遊星歯車17の内径面で構成される外側軌道面と接触する外径案内面20(図1参照)を構成する。ここで、外径案内面20は、図1に示すように、保持器2の外周面のうち環状部3に始まり柱部の一部にまで及ぶ範囲Hである。回転時、この外径案内面20にて保持器2はピニオン(遊星歯車)17の内周面(内径面)と案内接触する。このため、この保持器2は、いわゆる外輪案内形式となる。
ところで、保持器案内形式としては、高速運動下での保持器運動の安全性の面からころ案内よりも軌道輪案内が望ましく、さらには、遠心力による潤滑油挙動の観点から内輪案内よりも外輪案内形式が好ましい。
なお、このピニオン軸18aの内部には潤滑油を供給するための通油孔18bが形成してある。通油孔18bは、ピニオン軸18aの軸方向に延びる第1通油孔18baと、当該第1通油孔18aからピニオン軸18aの径方向に延びる第2通油孔18bbとを有する。第2通油孔18bbは、第1通油孔18baとピニオン軸18aの外周面とを連通している。また、第2通油孔18bbは、保持器付き針状ころ30と軸方向に重なる位置に設けられている。ピニオン軸18aの内部に形成した通油孔18bを通じて潤滑油を引き込み、ピニオン軸18aの外周面に導くことにより、保持器付き針状ころ30の潤滑を行うようにした構造としている。
保持器2は、外径側ころ止め6と内径側ころ止め7とを有するので、針状ころ1の脱落を有効に防止できる。また、ころ1の円筒面部10と傾斜面部11との境界部位12が、保持器2からころ1が外径に脱落しないようにするためのころ止め部と軸方向で重ならないように、外径側ころ止め部6よりも軸方向中心側になるように配置しているので、高いエッジ面圧部分が潤滑不良になりにくい。しかも、クラウニング長さが長くても、軸やハウジング内径に組付ける際、組付けにくくなることはない。
また、外径側ころ止め部6の内径側に内径側ころ止め部7を配置しないようにし、保持器2ところ1の空間を設けることになって、ころ止め部6,7が両方(内径側外径側)に軸方向位置であることによって、潤滑油の流入性が悪くなることを軽減できる。特に、遊星歯車機構支持構造において、保持器2が外輪案内形式である場合、保持器2の外径案内面とピニオン軸18の内周面との接触案内部の面積が大きいので、針状ころ1の端部への通油性及び保持器2の外径案内面とピニオン軸18の内周面との間への潤滑油の通油性が重要である。そのため、保持器付き針状ころ30を用いることが効果的である。
さらには、ころ1の円筒部10と傾斜部11の境界部位12を内径側ころ止め部7よりも軸方向両端側になるように配置することになって、高いエッジ面圧部分が潤滑不良になりにくくなる。ころ1の円筒部10と傾斜部11の境界部位12の軸方向位置は、保持器2の外径側ころ止め部6と内径側ころ止め部7との接続部(傾斜部)8になるが、この部分8は保持器2と接触しない構成となっている。これによって、高いエッジ面圧部分が潤滑不良になりにくくなる。
このため、本実施形態では、高いエッジ面圧部分が潤滑不良になりにくく、摩耗や剥離の発生を抑えることができ、さらには、潤滑油の流入性の悪化を有効に防止できる。このため、耐用性に優れた好適な保持器付き針状ころ30を提供できる。しかも、ころ1のクラウニング長さが長くなっても、軸やハウジング内径に組み付ける際に、組み付け性に優れる。
また、保持器2にぬすみ部9を設けているので、ぬすみ9を通して外径案内面20と遊星歯車17の内周面との間に潤滑油が導かれる。これにより、保持器2の外周面(外径案内面20)と遊星歯車17の内周面との間に油膜を形成させて摩擦を軽減することができ、これも保持器付き針状ころ30の寿命向上に寄与する。
ところで、前記保持器2としては、ポケット5となる孔部を打ち抜いた鋼板を丸めて、その接合部位を溶接にて一体化して形成する。すなわち、保持器2は、ポケット5が打ち抜かれた鋼板の溶接接合品からなる。このように形成すれば、ポケット5は、内径側から外径側に向かって放射状に広がることになり、保持器2のポケット5の接続部にころ1が接触しないのを有効に防止できる。
また、図9に示すように、本実施形態の保持器付き針状ころ30を、トランスミッションT用の支持軸受に用いてもよい。すなわち、保持器付き針状ころ30は、自動車用保持器付き針状ころである。このトランスミッションTは、回転が順次伝達されるように2つの遊星歯車機構S,Sを設けたものである。各遊星歯車機構S,Sにおいて、支持軸25に保持器付き針状ころ30を介して遊星歯車26が設けられている。
遊星歯車機構が自動車のトランスミッションに用いられた場合、はねかけで支持軸(ピニオン軸)25の通油孔27に入ってくる構造のため、潤滑油量が少ない。また、トランスミッションに用いられる保持器付き針状ころでは、遠心力又は偏荷重によるエッジ応力などの過酷な使用環境になる。したがって、本実施形態に係る保持器付き針状ころ30を、自動車のトランスミッションに用いるのが最適となる。
以上、本実施形態につき説明したが、前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、外径側ころ止め6および内径側ころ止め7の形状として、図4に示すものではなく、ころ径>周方向に隣り合うころ止め6、6,7、7間の寸法となる範囲が一部にあればよい。また、外径側ころ止め6として、柱部4の外径部4aの全体に設けたものであっても、柱部4の外径部4aの一部に設けられたものであってもよい。また、内径側ころ止め7としても、柱部4の内径部4bの全体に設けたものであっても、柱部の内径部の一部に設けられたものであってもよい。保持器付き針状ころ30として、単列であっても複列であってもよい。
1 針状ころ
2 保持器
3 環状部
3a フランジ
4 柱部
5 ポケット
6 外径側ころ止め
7 内径側ころ止め
8 接続部
10 円筒面部
11 傾斜面部
12 境界部位
15 内歯歯車
16 太陽歯車
17 遊星歯車
18 キャリア
18a ピニオン軸
20 外径案内面
30 保持器付き針状ころ
S 遊星歯車機構
PCD ピッチ円径

Claims (8)

  1. 複数の針状ころと保持器とからなる保持器付き針状ころにおいて、
    前記保持器は、軸方向に離間した一対の環状部と、軸方向に延在して前記環状部同士を連結する複数の柱部とを有し、
    前記保持器は、その軸方向の両端部にころピッチ円径よりも外径側に設けられる外径側ころ止めと、軸方向の中央部にころピッチ円径よりも内径側に設けられる内径側ころ止めと、前記外径側ころ止めと前記内径側ころ止めとを接続する傾斜接続部とを有し、前記外径側ころ止めと前記内径側ころ止めとは軸方向に重ならないように配設され、
    前記針状ころは、その中央領域に直径が一定の円筒面部と前記円筒面部の両側に傾斜面部とを有するクラウニングころであり、
    前記円筒面部と傾斜面部との境界部位を前記傾斜接続部に対応させるとともに、この傾斜接続部を前記針状ころとの接触を避けるぬすみ形状とし、傾きが生じた場合にも、エッジ面圧を発生する部位である前記境界部位が前記傾斜接続部と接触しないことを特徴とする保持器付き針状ころ。
  2. 前記保持器の周方向に隣合う柱部間には、前記針状ころが配置されるポケットが形成され、
    前記ポケットは、内径側から外径側に放射状に広がっていることを特徴とする請求項1に記載の保持器付き針状ころ。
  3. 前記保持器は、前記ポケットが打ち抜かれた鋼板の溶接接合品であることを特徴とする請求項2に記載の保持器付き針状ころ。
  4. 前記針状ころは、対数関数で近似される形状の対数クラウニング形状であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の保持器付き針状ころ。
  5. 前記保持器は、環状部の外端に内向きフランジを有するM型又は環状部の外端に内向きフランジを有さないV型であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の保持器付き針状ころ。
  6. 内歯歯車と、この内歯歯車の中心に配設された太陽歯車と、前記内歯歯車と前記太陽歯車とに噛合う複数の遊星歯車と、この遊星歯車を支持するキャリアとを備えた遊星歯車機構を支持する遊星歯車機構支持構造であって、
    前記遊星歯車が前記キャリアに設けられたピニオン軸に転がり軸受を介して回転自在に支持され、前記転がり軸受が請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の保持器付き針状ころにて構成されていることを特徴とする遊星歯車機構支持構造。
  7. 前記ピニオン軸の外径面を内側軌道面とするとともに、遊星歯車の内径面を外輪軌道面とし、前記保持器付き針状ころに用いられる保持器は、軸方向に両端部で遊星歯車の内径面で構成される外輪軌道面と接触し、かつ前記ピニオン軸の内部に、このピニオン軸の外径面で構成される内側軌道面に開口する通油孔を設けたことを特徴とする請求項6に記載の遊星歯車機構支持構造。
  8. 自動車用トランスミッションに使用されることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の遊星歯車機構支持構造。
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