JP2003222142A - アンギュラ玉軸受 - Google Patents

アンギュラ玉軸受

Info

Publication number
JP2003222142A
JP2003222142A JP2002024521A JP2002024521A JP2003222142A JP 2003222142 A JP2003222142 A JP 2003222142A JP 2002024521 A JP2002024521 A JP 2002024521A JP 2002024521 A JP2002024521 A JP 2002024521A JP 2003222142 A JP2003222142 A JP 2003222142A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bearing
weight
temperature
rolling
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002024521A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaru Kawabe
優 川辺
Shigeru Okita
滋 沖田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2002024521A priority Critical patent/JP2003222142A/ja
Publication of JP2003222142A publication Critical patent/JP2003222142A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2360/00Engines or pumps
    • F16C2360/23Gas turbine engines
    • F16C2360/24Turbochargers

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)
  • Supercharger (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温・高速使用条件下においても転がり疲労
寿命や耐摩耗性および寸法安定性に優れ、且つ、異音と
なる音響不良の生じることがないアンギュラ玉軸受を提
供する。 【解決手段】 合金鋼材料で形成された内輪及び外輪か
らなる軌道輪と、軸受用鋼で形成されて前記内輪と前記
外輪との間に周方向に転動可能に介装され、表面層にH
v800以上の窒化層を有すると共に、表面粗さが中心
線平均粗さで0.1μmRa以下である複数個の転動体
とを備え、前記軌道輪を形成する合金鋼材料は少なくと
もSi:0.9〜1.2重量%、Cr:0.7〜1.5
重量%、Mo: 0.7〜1.5重量%を鋼中に含有し、
且つ,表面に浸炭窒化処理が施され、更に、接触角が1
0〜18°であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アンギュラ玉軸受
に関し、特に自動車のターボチャージャ等の高温・高速
条件下で使用されるアンギュラ玉軸受の寿命向上に関す
る。 【0002】 【従来の技術】自動車のターボチャージャ等に用いられ
るアンギュラ玉軸受は、一般に高い面圧下で繰返しせん
断応力を受ける厳しい条件下で使用されるため、このせ
ん断応力に耐え得る転がり疲労寿命を確保することが必
要とされている。また、この種の転がり軸受において
は、稼働中の軌道輪と転動体との間の滑りに起因した摩
耗が生じることを回避する必要があり、従って、耐摩耗
性が良好であることも要求される。 【0003】このため、従来の転がり軸受においては、
軌道輪材料及び転動体材料に高炭素クロム軸受鋼(SU
J2)を使用し、該高炭素クロム軸受鋼に焼入・焼戻処
理を施すことにより、転がり疲労寿命や耐摩耗性を確保
することが行われていた。ところが、近年では、転がり
軸受を使用する機械の高温化・高速化に伴って転がり軸
受の使用条件は益々厳しいものとなってきており、従来
の転がり疲労特性や耐摩耗特性では満足出来なくなって
きている。 【0004】特に、自動車のターボチャージャ等に使用
されるアンギュラ玉軸受は、平均使用温度が例えば15
0〜200°C(最大使用温度300°C)と非常に高
く、高速回転で使用され、且つ、回転速度が0〜180
000min-1の範囲で急加減速運転されるため、軸受
材料として使用される高炭素クロム軸受鋼の硬さ低下を
招来し、その結果、転がり疲労特性や耐摩耗特性を満た
すことが出来なくなってきている。 【0005】また、上述した高温・高速の使用環境下で
は、軌道輪の寸法安定性が良好であることも要求され
る。そして、軌道輪の良好な寸法安定性を得るために
は、軸受の使用温度よりも高い温度で焼戻処理を施す必
要があるため、高温で焼戻処理を施しても十分な硬さの
得ることが出来る高温強度の良好な耐熱材料を使用する
必要がある。 【0006】そこで、このような観点から、高温硬さが
良好で、転がり疲労特性や耐摩耗特性を満足させるもの
として、炭化物形成炭素(Cr,Mo,V等)を多量に
含有したM50等の耐熱鋼を使用した転がり軸受が提案
されている。(例えば実公平8−9452号)この転が
り軸受においては、軸受材料として耐熱鋼を使用し、該
耐熱鋼に対して500°C近傍の所定温度で焼戻処理を
施すことにより、微細炭化物を2次析出させて耐熱性を
確保するようにし、これにより、高温使用における硬さ
の低下等を抑制して高温・高速環境下での転がり疲労寿
命や耐摩耗性の充実を図っている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】自動車のターボチャー
ジャにおいては、他のターボチャージャに比べてオイル
メンテナンスをする回数が少なく、また、潤滑油を軸受
に供給するための細かいフィルタを使用することが出来
ず、潤滑油中に異物の混入する可能性が高い。このた
め、上記異物が軌道輪と転動体との間に入り込んで噛み
込むことにより軌道輪の走行部に圧痕が生じ、その結
果、圧痕縁での応力集中により圧痕を起点とした表面起
点型の早期剥離が生じ、軸受の早期破損を招く問題があ
る。 【0008】即ち、前記表面起点型の早期剥離を防止す
るには、残留オーステナイトが材料表面に存在すること
が有効であるとされているが、上記耐熱鋼を使用した従
来の転がり軸受においては、微細炭化物を2次析出させ
て耐熱性を確保しているため、材料表面に残留オーステ
ナイトが殆ど存在しないものとなっており、従って、耐
久性に劣り軸受の早期破損を招くという問題がある。 【0009】また、上述した異物の中でも砥粒の様な特
に硬い異物が軌道輪と転動体との間に噛み込むことによ
り異物が軌道輪の走行部にめり込んで走行部に固着して
しまう場合もあり、この状態で転動体が前記軌道輪の走
行部を転動すると、前記転動体に帯状の周部的な圧痕集
中が発生する。そして、このような帯状圧痕集中の生じ
た転動体は、更にその自転軸を変えながら軸受内を回転
するため、軸受の異音となる音響不良が生じるという問
題点がある。 【0010】本発明はこのような不都合を解消するため
になされたものであり、高温・高速使用条件下において
も転がり疲労寿命や耐摩耗性および寸法安定性に優れ、
且つ、異音となる音響不良の生じることがないアンギュ
ラ玉軸受をを提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るアンギュラ玉軸受は、合金鋼材料で形
成された内輪及び外輪からなる軌道輪と、軸受用鋼で形
成されて前記内輪と前記外輪との間に周方向に転動可能
に介装され、表面層にHv800以上の窒化層を有する
と共に、表面粗さが中心線平均粗さで0.1μmRa以
下である複数個の転動体とを備え、前記軌道輪を形成す
る合金鋼材料は少なくともSi:0.9〜1.2重量
%、Cr:0.7〜1.5重量%、Mo: 0.7〜1.
5重量%を鋼中に含有し、且つ、表面に浸炭窒化処理が
施され、更に、接触角が10〜18°であることを特徴
とする。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本実施形態に係るアンギュラ玉軸受は、合金鋼材
料で形成された内輪及び外輪からなる軌道輪と、軸受用
鋼で形成されて前記内輪と前記外輪との間に周方向に転
動可能に介装され、表面層にHv800以上の窒化層を
有すると共に、表面粗さが中心線平均粗さで0.1μm
Ra以下である複数個の転動体とを備え、前記軌道輪を
形成する合金鋼材料は少なくともSi:0.9〜1.2
重量%、Cr:0.7〜1.5重量%、Mo: 0.7〜
1.5重量%を鋼中に含有し、且つ,表面に浸炭窒化処
理が施され、更に、接触角が10〜18°とされてい
る。 【0013】以下、詳述する。転動体における局部的な
圧痕集中を回避して上述した音響不良の発生を防止する
ためには、転動体材料として耐摩耗性に優れたセラミッ
ク材料を使用することが好ましいと考えられる。一方、
転動体としてセラミックを使用すると、材料が高価であ
り、また、軌道輪と転動体との間に異物が噛み込んだ場
合に、噛み込みに起因した圧痕が硬さで劣る鋼製の軌道
輪側に一方的に生じ、しかも、該圧痕の形状は合金鋼材
料からなる転動体を使用した場合に比べ、大きく、且
つ、深いものとなる。そして、軌道輪側に生じる前記圧
痕の形状が大きく、且つ、深くなると、圧痕縁での応力
集中も大きくなり、このため、表面起点型の早期剥離に
よる破損が生じ易くなる。 【0014】そこで、本発明者等は鋭意研究を行った結
果、Si,Cr,Moを適当量添加した合金鋼材料に浸
炭窒化処理を施すことにより、材料マトリックス(マル
テンサイト組織)の高温強度を向上させることが出来る
と共に、表面起点型の剥離防止に有効な残留オーステナ
イトを材料表面に存在させることが可能になるという知
見を得た。 【0015】転動体について、表面層にHv800以上
の窒化層を有し、且つ、表面粗さを0.1μmRa以下
としているのは、局部的な帯状の圧痕集中が転動体に発
生するのを回避することで、音響劣化に対して改善を図
ることが出来るからである。また、軌道輪を形成する合
金鋼材料が、少なくともSi:0.9〜1.2重量%、
Cr:0.7〜1.5重量%、Mo:0.7〜1.5重
量%を鋼中に含有し、且つ、前記合金鋼材料の表面に浸
炭窒化処理が施すようにしているは、軌道輪の高温強度
を向上させ、且つ、表面に残留オーステナイトを存在さ
せることにより、表面起点型の早期剥離を防止するため
である。 【0016】更に、軌道輪の寸法安定性は、上述したよ
うに使用温度よりも高温で焼戻処理を施すことにより改
善されるが、高温で焼戻処理を施しても多量の残留オー
ステナイトが鋼中に存在すると、残留オーステナイトの
分解により軸受寸法が経時変化を起こし、寸法安定性の
悪化を招く。即ち、表面に残留オーステナイトを存在さ
せて表面起点型剥離を防止する一方で、軌道輪の寸法安
定性を良好なものとするためには、残留オーステナイト
の鋼中に占める容量を低く抑える必要があり、そのため
には、心部の残留オーステナイト量を出来るだけ抑制す
る必要がある。 【0017】そこで、更に鋭意研究した結果、所望の寸
法安定性を得るためには、軸受表面・芯部を含めた平均
の残留オーステナイトを5体積%以下に設定する必要が
あるとの知見を得、そのためには残留オーステナイト量
が依存する素材(浸炭窒化以前)の炭素(C)濃度を転
がり軸受に対して0.3〜0.6重量%に設定すること
が好ましいことが判明した。 【0018】次に、軌道輪を形成する合金鋼材料におけ
るSi,Cr,Moの鋼中含有量の臨界的意義、C濃
度、浸炭窒化処理、転動体の窒化層および接触角の限定
理由について説明する。Siは、焼戻し軟化抵抗性に効
果のある元素であり、高温強度を向上させると共に、平
均残留オーステナイト量を5体積%以下にするため高温
焼戻し(例えば280°C以上)した時の表面硬さ低下
(HRC58以上)をきたさないようにするため、少な
くとも0.9重量%以上添加することが必要である。 【0019】一方、Siの含有量が多すぎる場合は、加
工性及び機械的強度の低下を招き、また、Siは浸炭阻
害性のある元素であることから、上限を1.2重量%に
設定した。これにより、Siの含有量は、0.9〜1.
2重量%に限定した。Cr及びMoは、上記Siと同様
に、焼戻し軟化抵抗性に効果のある元素であり、高温強
度を向上させる効果がある。また、Cr及びMoは、浸
炭窒化された表面に微小な炭化物を形成する炭化物形成
元素としての役割を担う元素であり、、表面起点型剥離
の防止に効果的な元素であるが、この効果を奏するため
にはCr及びMoは共に、少なくとも0.7重量%以上
添加することが必要である。 【0020】一方、Cr及びMoの含有量が1.5重量
%を超えると、素材の段階で巨大炭化物が形成されて該
炭化物の脱落を招き、軸受の転がり疲労寿命を低下させ
る。従って、Cr及びMoの含有量は、共に0.7〜
1.5重量%に限定した。ところで、上述したように、
軌道輪の鋼中の残留オーステナイト量が多すぎると、残
留オーステナイトが分解して寸法の経時変化を招き、軌
道輪の寸法安定性を損なう。 【0021】一方、軌道輪表面における残留オーステナ
イトの存在は表面起点型剥離の防止に効果的である。従
って、軌道輪表面に残留オーステナイトを存在させた上
で、軌道輪全体に占める残留オーステナイトの容量を制
限するのが好ましく、そのためには軌道輪の心部の残留
オーステナイトを抑制する必要がある。そして、このよ
うな観点から軌道輪の表面及び心部を含めて平均残留オ
ーステナイトの鋼中に占める容量を5体積%以下とする
のが好ましく、そのためには残留オーステナイトが存在
する炭素濃度(C濃度)を0.6重量%以下にする必要
がある。 【0022】また、炭素濃度を過度に低くした場合は、
浸炭窒化処理で所定の浸炭深さを得るのに長時間を要す
るため、全体的なコストアップを招く結果となる。この
点を考慮すると、鋼中の炭素濃度を0.3重量%以上と
する必要がある。従って、軌道輪の寸法安定性をより一
層良好なものとするには、鋼中の炭素濃度を0.3〜
0.6重量%に限定することが好ましい。 【0023】軌道輪の浸炭窒化処理については、軌道輪
を形成する合金鋼材料に対して、例えばRxガスとエン
リッチガスと5%アンモニアガスの雰囲気中で850〜
930°Cにて約1〜4時間の浸炭窒化処理を施し、そ
の後、820〜850°Cで1〜2時間焼入れし、次い
で、230〜340°Cにて焼戻し処理を施す。なお、
焼戻しについては、平均残留オーステナイトの鋼中に占
める容量を約0体積%とするため、320℃〜340°
Cでの焼戻しが望ましい。 【0024】このように表面処理として浸炭窒化処理を
施すこととしたのは、以下の理由による。 (1)表面にC(炭素)を付加することにより、マトリ
ックス(マルテンサイト組織)を固溶強化することがで
きると共に、極表層部において表面起点型剥離の防止に
有効な多量の残留オーステナイトを形成することが出来
る。 (2)表面にN(窒素)を付加することにより、焼戻抵
抗性及び高温強度が向上し、耐摩耗性の向上を達成する
ことが出来ると共に、極表層部において表面起点型剥離
の防止に有効な多量の残留オーステナイトを存在させる
ことが出来る。しかも、表面に形成される炭化物は微細
であり、従って、炭化物の脱落も防止することが出来
る。 【0025】なお、浸炭窒化処理の処理条件としては、
浸炭窒化処理後の表面炭素濃度が0.8〜1.1重量
%、表面窒素濃度が0.2〜0.6重量%となるように
条件設定することが望ましい。その理由は、表面炭素濃
度が0.8重量%未満の場合は、表面硬さが低下して転
がり疲労寿命や耐摩耗性が悪化するからであり、表面炭
素濃度が1.1重量%を超えると、浸炭窒化時に巨大炭
化物が析出し、転がり疲労寿命を低下させる事となるか
らである。 【0026】また、表面窒素濃度が0.2重量%未満の
場合は、高温強度が低下して耐摩耗性が悪化するからで
あり、表面窒素濃度が0.6重量%を超えると、軸受製
造時における研削仕上げが難研削となり、軸受の生産性
低下を招く事となるからである。転動体の窒化層につい
ては、Nv窒化(エアウォーター(株):商品名)又は
低温で塩浴軟質化を行なうパルソナイト処理(日本パー
カライジング(株):登録商標)でHv1100以上の
表面硬さで、且つ、3μm以上Da(転動体平均直径)
の2%以下の膜厚とするのが好ましい。 【0027】図1に、Nv窒化による転動体の製造工程
のフローを示す。まず、冷間で線引加工された鋼材か
ら、ヘッダー加工及びブラッシングにより素球を作成
し、焼入れ、焼戻し、場合によってはサブゼロ処理を併
用して硬化させる。次に、この焼入れ処理が施された素
球を、真球度3.0μm以下、好ましくは1.0μm以
下まで仕上加工(ラップ仕上げ)を行ない、半加工球と
して、次の窒化処理工程に用いた。この仕上加工は、目
標寸法、すなわち完成品寸法に設定取り代を加算した寸
法まで研削を行う加工処理である。この設定取り代は、
具体的には、目標とする精度まで仕上加工を行う際の必
要取り代を示すが、もちろん、この後の窒化処理による
膨縮量も含んでいる。 【0028】一般に、焼入れ処理された素球は、その真
球度及び直径相互差等は非常に大きく(8〜20μm程
度)、これを等級3(G3)以上の高精度球に仕上加工
を行なうためには、数十〜百μm程度の設定取り代が必
要とされる。この焼入れ処理された素球(仕上加工はし
ていない)を使用して窒化処理すると、窒化層は一般に
は処理物の形状にならった形で生成するため、それを仕
上加工すると窒化層の厚さが不均一となると同時に、窒
化処理によって生じた内部応力のバランスがくずれて、
要求精度を出すために研削に長時間を要したり、目標精
度が達成できなくなる場合が多い。 【0029】なお、取り扱い中に表面にキズを付けるこ
とを防止するため半加工球を作製する際に、熱処理後に
バレルあるいはボールピーニング等の機械的硬化加工に
よって、幾分硬さを高めておいてもよい。次に、得られ
た半加工球に窒化処理を行い、転動体(鋼球)の表面に
窒化層を設けた。窒化処理の方法としては、Nv窒化プ
ロセス(商品名:大同ほくさん株式会社)を採用し、そ
の条件は、処理温度380〜460°C、雰囲気NH3
10〜75%(残部はN2 、H2 )、処理時間16〜2
4時間とした。 【0030】上記の窒化処理条件を適宜選択すること
で、得られる窒化層の品質を調整することができる。そ
して、窒化処理を施された転動体に、再び仕上加工(ラ
ップ仕上げ)を行い、目標精度、具体的にはJIS B
1501記載の等級3以上の高精度球に仕上げた。こ
のような製造方法によれば、仕上加工の際に窒化層が不
均一に研削されることが少なくなり、応力バランスが崩
れにくくなって窒化層の厚さが非常に均一になると同時
に、容易に上記精度が達成できる。 【0031】なお、窒化処理方法としては、一般的に、
ガス窒化法、塩浴窒化法、イオン窒化法があげられる。
窒化処理後には、最表面の窒化層と母材との間に拡散硬
化層が形成されるため、蒸着やめっき等のデポジットし
た改質膜と比較して被膜(窒化層)と母材との密着性が
強く、比較的剥離しにくい。しかし、転がり軸受の場
合、表面より少し深い位置において、大きな剪断応力を
受けるため、窒化層より深いところで強度が不足する
と、窒化層を支えることができなくなって窒化層が破損
する場合がある。 【0032】よって、転動体(鋼球)の心部の硬さをH
RC57以上とすることが好ましい。具体的には、転動
体の心部の硬さは、母材である鋼の耐熱性と窒化処理温
度との関係で決まるため、窒化処理温度は460℃以下
とするこが好ましい。窒化処理温度がこの温度よりも高
いと、窒化層自体が脆弱化するとともに、その後の仕上
げ加工が困難となる。 【0033】また、窒化処理方法の中でイオン窒化法
は、量産性に欠け、さらに、被処理物の形状などの影響
も強く受け、球体表面に均一な窒化層を形成させること
が困難である。さらに、一般のガス窒化法、塩浴窒化法
は、処理温度が500°C以上と高く、母材の耐熱性が
不足する場合もある。本実施形態において採用したNv
窒化プロセス(商品名:大同ほくさん株式会社)は、窒
化処理の前処理であるフッ化処理を行うプロセスと、窒
化処理を行なうプロセスからなっている。フッ化処理を
行なうプロセスは、例えば、NF3 (三フッ化窒素)等
のフッ素系ガスを用いて200〜350°Cで行なわれ
る。そして、窒化処理を行なうプロセスは、例えばNH
3 ガス、あるいはNH3 ガスとN2 ガス、H2 ガス等と
の混合ガスにより行われる。 【0034】Crを多量に含有する鋼の場合、表面に緻
密なクロム酸化物層が形成され、これが窒化反応を阻害
し、均一な窒化層を形成できなくする場合がある。この
プロセスであれば、フッ化処理によって窒化反応を阻害
するクロム酸化物層が除去され、表面層にごく薄いフッ
化層が形成されて表面が活性化される。そのため、その
後の窒化処理によって非常に均一な窒化層を形成させる
ことが可能となるので、420°C以下での極めて低い
温度での窒化処理も可能である。 【0035】なお、低温窒化転動体(窒化層3μm以
上、Daの2%以下)では、Hv800以上は容易に達
成されるが、Hv800付近で窒化層の膜厚が3μmの
下限付近の厚さになると、窒化層が損傷を受け易く、高
温下の耐摩耗性が不十分となる。従って、特に窒化層が
薄い3μm付近ではバンド摩耗上、Hv1100以上と
することが好ましい。 【0036】また、窒化層の膜厚がDaの2%を超えた
場合は耐衝撃値が低下する傾向にあることから、Daの
2%以下の窒化層となることが好ましい。この時の表面
硬さは、Hv800以上となっていれば窒化(物)層の
高温耐摩耗性上充分な効果を発揮するが、好ましくはH
v1100以上であれば更にこの効果を促進できる。軸
受の接触角については、10°未満では、アンギュラ玉
軸受のアキシアル剛性が低いために外部荷重により軸受
の振動が大きくなり、また、形成される軸受のラジアル
すきまが小さく、軸受とハウジングの線膨張係数の相互
差により焼付きを生じ大幅に寿命が低下する。 【0037】一方、18°を越えると、高速回転時にお
いて転動体のジャイロスピン滑りの発生が大きくなり、
転動体が温度上昇することにより軸受温度が急激に上昇
し、潤滑不足時により軸受が焼付きを生じ、大幅に寿命
が低下する。よって、接触角は10〜18°に限定し
た。 【0038】 【実施例】上記構成のアンギュラ玉軸受を本発明軸受L
〜Zとし、従来のアンギュラ玉軸受を比較軸受A〜K
(転動体(鋼球)の窒化層無)として、以下に示す試験
条件で寿命試験を行った。 (試験条件) 試験機:高温高速寿命試験機(スピンテスト) 試験軸受:本発明軸受および比較軸受共に40BNC1
0T 試験温度:150°C P/C=0.06 (P:動等価荷重、C:基本動定格
荷重) 回転速度:N=30000min-1 オイルエア潤滑(潤滑油:タービンVG10) なお、軸受寿命は、本発明軸受および比較軸受共に1条
件について各5個の寿命試験を行い、この時間をもって
表現した。 【0039】結果を表1に示す。 【0040】 【表1】【0041】表1の素材成分中のSiの含有比率につい
ては、比較軸受C、Jは0.9重量%未満であり、ま
た、比較軸受Dは1.2重量%を超えているのに対し
て、本発明軸受L〜Zのそれは全て0.9〜1.2重量
%の範囲として両者の間に明確に差をつけ、Si元素が
軸受の寿命の減少率に及ぼす影響を検討した。本発明軸
受L〜Zの寿命減少率は比較軸受C、D、Jのそれに対
し特段に減少しており、Si元素が高温環境下において
表面起点型剥離の防止に対し極めて効果がある事がわか
る。 【0042】また、素材成分中のCr及びMoの含有比
率について、比較軸受EはCrが0.7重量%未満、比
較軸受GはMoが0.7重量%未満であり、また、比較
軸受FはCrが1.5重量%を超え、比較軸受HはMo
が1.5重量%を超えているのに対し、本発明軸受L〜
Zのそれは全て0.7〜1.5重量%の範囲として両者
の間に明確に差をつけ、Cr及びMo元素が軸受の寿命
の減少率に及ぼす影響を検討した。 【0043】本発明軸受L〜Zの寿命減少率は比較軸受
E、F、G、Hのそれに対し特段に減少しており、Cr
及びMoが転がり疲労寿命に対し極めて効果がある事が
わかる。素材成分中のCの含有比率については、比較軸
受Bは0.3重量%未満であり、また、比較軸受A,
J,Kは0.6重量%を超えているのに対し、本発明軸
受L〜Zのそれは全て0.3〜0.6重量%の範囲とし
て両者の間に明確に差をつけ、C元素が軸受の寿命の減
少率に及ぼす影響を検討した。 【0044】本発明軸受L〜Zの寿命減少率は比較軸受
A,B,J,Kのそれに対し特段に減少しており、C元
素が高温環境下において寸法安定性に対し極めて効果が
ある事がわかる。そして、軸受の接触角については、比
較軸受I(接触角19°)の18°を超えると、高速回
転時の転動体ジャイロスピン滑りの発生が大きくなり、
転動体の温度上昇によって軸受温度が急激に上昇するこ
とで、大幅な寿命低下が見られた。 【0045】本発明軸受L〜Zの寿命減少率は比較軸受
A〜Kのそれに対し特段に減少しており、組込み鋼球の
窒化処理が転がり疲労寿命に対して極めて効果がある事
がわかる。以上のことから、特に自動車のターボチャー
ジャ等に用いられるアンギュラ玉軸受で、一般に高い面
圧下で繰返し剪断応力を受ける厳しい条件下で使用さ
れ、剪断応力に耐え得る転がり疲労寿命を確保すること
が必要とされているこの種の転がり軸受において、高温
・高速使用条件下においても転がり疲労寿命や耐摩耗性
および寸法安定性に優れ、且つ、異音となる音響不良の
生じることがないことが確認された。 【0046】 【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
によれば、高温・高速使用条件下においても転がり疲労
寿命や耐摩耗性および寸法安定性に優れ、且つ、異音と
なる音響不良の生じることがないアンギュラ玉軸受を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】Nv窒化プロセスによる転動体の製造工程を示
すフロー図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C21D 9/40 C21D 9/40 A Fターム(参考) 3G005 FA13 FA14 FA41 GB51 3J101 AA02 AA03 AA42 BA01 BA51 BA70 CA32 DA02 EA03 FA06 FA31 GA29 4K042 AA22 BA03 BA04 BA10 CA06 CA08 CA13 DA01 DA02 DC02 DC03 DC04

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 合金鋼材料で形成された内輪及び外輪か
    らなる軌道輪と、軸受用鋼で形成されて前記内輪と前記
    外輪との間に周方向に転動可能に介装され、表面層にH
    v800以上の窒化層を有すると共に、表面粗さが中心
    線平均粗さで0.1μmRa以下である複数個の転動体
    とを備え、 前記軌道輪を形成する合金鋼材料は少なくともSi:
    0.9〜1.2重量%、Cr:0.7〜1.5重量%、
    Mo: 0.7〜1.5重量%を鋼中に含有し、且つ、表
    面に浸炭窒化処理が施され、更に、接触角が10〜18
    °であることを特徴とするアンギュラ玉軸受。
JP2002024521A 2002-01-31 2002-01-31 アンギュラ玉軸受 Pending JP2003222142A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002024521A JP2003222142A (ja) 2002-01-31 2002-01-31 アンギュラ玉軸受

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002024521A JP2003222142A (ja) 2002-01-31 2002-01-31 アンギュラ玉軸受

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003222142A true JP2003222142A (ja) 2003-08-08

Family

ID=27746942

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002024521A Pending JP2003222142A (ja) 2002-01-31 2002-01-31 アンギュラ玉軸受

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003222142A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005068675A1 (ja) * 2004-01-20 2005-07-28 Nsk Ltd. 転がり軸受
JP2005264216A (ja) * 2004-03-17 2005-09-29 Nsk Ltd 転がり軸受
JP2005291342A (ja) * 2004-03-31 2005-10-20 Nsk Ltd 針状ころ軸受
JP2009204122A (ja) * 2008-02-28 2009-09-10 Nsk Ltd 転がり軸受
JP2011068917A (ja) * 2009-09-24 2011-04-07 Ud Trucks Corp 鋼材とその熱処理方法
CN111765167A (zh) * 2020-08-19 2020-10-13 中国航发哈尔滨轴承有限公司 重载耐冲击球轴承设计方法
CN112322989A (zh) * 2020-11-23 2021-02-05 浙江宝武钢铁有限公司 一种耐高温耐磨损轴承钢

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005068675A1 (ja) * 2004-01-20 2005-07-28 Nsk Ltd. 転がり軸受
KR100827578B1 (ko) * 2004-01-20 2008-05-07 닛본 세이고 가부시끼가이샤 롤링 베어링
US8083868B2 (en) 2004-01-20 2011-12-27 Nsk Ltd Rolling bearing
JP2005264216A (ja) * 2004-03-17 2005-09-29 Nsk Ltd 転がり軸受
JP4534537B2 (ja) * 2004-03-17 2010-09-01 日本精工株式会社 転がり軸受
JP2005291342A (ja) * 2004-03-31 2005-10-20 Nsk Ltd 針状ころ軸受
JP2009204122A (ja) * 2008-02-28 2009-09-10 Nsk Ltd 転がり軸受
JP2011068917A (ja) * 2009-09-24 2011-04-07 Ud Trucks Corp 鋼材とその熱処理方法
CN111765167A (zh) * 2020-08-19 2020-10-13 中国航发哈尔滨轴承有限公司 重载耐冲击球轴承设计方法
CN112322989A (zh) * 2020-11-23 2021-02-05 浙江宝武钢铁有限公司 一种耐高温耐磨损轴承钢

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO1998044270A1 (fr) Palier a roulement
JP2001074053A (ja) 転がり軸受
JP2001193743A (ja) 転がり軸受
JP2002364648A (ja) 転がり軸受
JP2007297676A (ja) 軸の製造方法およびこの方法で得られた軸
JPH116526A (ja) 転がり軸受
JP2003222142A (ja) アンギュラ玉軸受
JPH10131970A (ja) 転がり軸受とその製造方法
JP2008151236A (ja) 転がり軸受
JP3013452B2 (ja) 転がり軸受
JP2006071022A (ja) 転がり軸受
JP2001289251A (ja) 転がり軸受及びその製造方法
JP2002155948A (ja) 転がり軸受
JP4375038B2 (ja) スラスト針状ころ軸受
JP2003148485A (ja) 転がり軸受
JP2000045049A (ja) 転がり軸受
JP2005337361A (ja) ころ軸受
JP2009250371A (ja) 水素ガスコンプレッサ用転がり軸受
JP2006183845A (ja) 転がり軸受
JP2003148488A (ja) 転動装置及びその製造方法
CN112824692A (zh) 推力滚子轴承
JP2000199524A (ja) 転動装置
JP2001323932A (ja) 転がり支持装置
JP2008150687A (ja) 車輪支持用転がり軸受装置
JP2005337362A (ja) 総ころ軸受