JP4375038B2 - スラスト針状ころ軸受 - Google Patents

スラスト針状ころ軸受 Download PDF

Info

Publication number
JP4375038B2
JP4375038B2 JP2004033839A JP2004033839A JP4375038B2 JP 4375038 B2 JP4375038 B2 JP 4375038B2 JP 2004033839 A JP2004033839 A JP 2004033839A JP 2004033839 A JP2004033839 A JP 2004033839A JP 4375038 B2 JP4375038 B2 JP 4375038B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
rolling
wear
needle roller
surface roughness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004033839A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005226683A (ja
Inventor
滋 沖田
耕一 八谷
岳雪 吉場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2004033839A priority Critical patent/JP4375038B2/ja
Publication of JP2005226683A publication Critical patent/JP2005226683A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4375038B2 publication Critical patent/JP4375038B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Description

本発明は、冷媒を含有する冷凍機油で潤滑されるスラスト針状ころ軸受に関する。
エアコンディショナ,冷凍機,給湯器等の圧縮機に用いられる転がり軸受は、冷媒を含有する冷凍機油で潤滑される。圧縮機においては、その機構上の理由から潤滑油の使用量が少ないので、転がり軸受に供給される潤滑油の量も少なくなり、転がり軸受は厳しい潤滑条件下で使用される傾向にある。さらに、この潤滑油には冷媒が溶け込んでいるため、潤滑油の潤滑性能も低下する傾向にある。よって、圧縮機に用いられるスラスト針状ころ軸受は、前述のように厳しい潤滑条件下で使用されるため、内輪,外輪,及び転動体に摩耗や剥離が生じる場合がある。
摩耗や剥離を抑制して転がり軸受を長寿命化する技術は、従来から多数提案されている。例えば、表面に微小な凹凸を形成し、この凹凸の粗さを一定範囲に抑えることにより転動ローラを長寿命とする技術(特許文献1を参照)や、表面に存在する凹部の深さと開口部長さとの比が所定値以下となるように転動体及び軌道輪に表面加工を施すことにより、転がり軸受の長寿命化を図る技術(特許文献2を参照)が提案されている。
また、一般的なスラスト針状ころ軸受における摩耗の問題に対しては、内輪,外輪,及び転動体に浸炭窒化処理を施して窒素を積極的に付与することによって耐摩耗性を向上させる技術(特許文献3を参照)が提案されている。
特許第2758518号公報 特開2003−214445号公報 特許第3326834号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載の技術のように表面粗さを規定することによって摩耗や剥離を抑制することは可能であるが、冷媒を含有する冷凍機油で潤滑されるスラスト針状ころ軸受のように厳しい潤滑条件下で使用されるものについては、表面粗さを規定するだけでは摩耗や剥離を十分に抑制することは困難であった。
また、特許文献3に記載の技術は、表面粗さ等が考慮されておらず、転がり軸受の長寿命化に改良の余地があった。
そこで、本発明は前述のような従来技術が有する問題点を解決し、冷媒を含有する冷凍機油で潤滑されるという厳しい潤滑条件下において使用されても、摩耗や剥離が生じにくく長寿命なスラスト針状ころ軸受を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1のスラスト針状ころ軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、冷媒を含有する冷凍機油で潤滑されるスラスト針状ころ軸受において、前記内輪,前記外輪,及び前記転動体は、炭素を0.8質量%以上1.2質量%以下、ケイ素を0.15質量%以上0.5質量%以下、マンガンを0.15質量%以上0.5質量%以下、クロムを1質量%以上2質量%以下含有し、残部が鉄及び不可避の不純物からなる合金鋼で構成され、前記内輪及び前記外輪の軌道面は、浸炭窒化処理により、窒素濃度が0.1質量%以上、炭素濃度と窒素濃度との和が1.1質量%以上とされており、さらに、前記両軌道面の表面粗さRaが0.2μm以下、前記転動体の転動面の表面粗さRaが0.1μm以下であることを特徴とする。
本発明のスラスト針状ころ軸受は、冷媒を含有する冷凍機油で潤滑されるという厳しい潤滑条件下において使用されても長寿命である。
本発明に係るスラスト針状ころ軸受の実施の形態を、図1を参照しながら詳細に説明する。
図1のスラスト針状ころ軸受は、図示しない軸に固定される内輪1と、図示しないハウジングに固定される外輪2と、これら両輪1,2の間に転動自在に配された複数の転動体3と、複数の転動体3を両輪1,2の間に保持する保持器4と、を備えており、両輪1,2の間に形成され転動体3が内設された空隙部内に供給される冷凍機油5によって潤滑されている。なお、この冷凍機油5は、エアコンディショナ,冷凍機,給湯器等の圧縮機に使用される冷媒を含有している。
内輪1,外輪2,及び転動体3は、炭素を0.8質量%以上1.2質量%以下、ケイ素を0.15質量%以上0.5質量%以下、マンガンを0.15質量%以上0.5質量%以下、クロムを1質量%以上2質量%以下含有する合金鋼で構成されている。また、両輪1,2の軌道面1a,2aは、浸炭窒化処理により、窒素濃度が0.1質量%以上、炭素濃度と窒素濃度との和が1.1質量%以上とされている。さらに、両軌道面1a,2aの表面粗さRaは0.2μm以下、転動体3の転動面3aの表面粗さRaは0.1μm以下とされている。
エアコンディショナ,冷凍機,給湯器等の圧縮機等に使用される転がり軸受は、冷媒を含有する冷凍機油で潤滑され、しかも潤滑油の供給量も少ないという厳しい潤滑条件下において使用されるが、図1のスラスト針状ころ軸受であれば、このような厳しい潤滑条件下において使用されても、摩耗や剥離が生じにくく長寿命である。すなわち、このスラスト針状ころ軸受は、内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aの窒素濃度及び炭素濃度と窒素濃度との和が好適な値に制御され、且つ、両軌道面1a,2aの表面粗さRa及び転動体3の転動面3aの表面粗さRaが好適な値に制御されているので、上記のような厳しい潤滑条件下において使用されても長寿命である。
以下に、本発明のスラスト針状ころ軸受における前述の各数値(合金鋼中の合金元素の含有量、表面粗さ等)の臨界的意義について説明する。
〔炭素の含有量について〕
炭素(C)は、転がり軸受として要求される硬さを得るために必要である。硬さのみを考えれば、Cの含有量は0.6質量%以上でも十分であるが、寿命を考えると0.8質量%以上とする必要がある。一方、炭素の含有量が1.2質量%を超えると、製鋼時に粗大な炭化物が析出し、寿命の低下を引き起こす場合がある。
軌道輪を構成する合金鋼中のCの含有量と軌道輪の摩耗量との関係を、図2のグラフに示す。このグラフから分かるように、Cの含有量が0.8質量%未満であると軌道輪の摩耗量が多い。1.2質量%超過であると摩耗量は少ないが、巨大な炭化物を起点とした剥離が発生しやすい。
〔ケイ素の含有量について〕
ケイ素(Si)は、合金鋼の焼戻し軟化抵抗性や焼入性を高め、転がり寿命を向上させる効果を有する。このような効果を十分に得るためには、Siの含有量は0.15質量%以上とする必要がある。ただし、Siの含有量が多くなると、冷間加工性の低下,粒界酸化層の増加,及び脱炭量の増加等が生じるため、Siの含有量の上限は0.5質量%とする必要がある。
〔マンガンの含有量について〕
マンガン(Mn)は、合金鋼の焼入れ性を向上させる元素であり、転がり寿命を向上させる効果を有する。このような効果を十分に得るためには、Mnの含有量は0.15質量%以上とする必要がある。ただし、Mnの含有量が多くなると、冷間加工性や熱間加工性が低下する傾向があるため、Mnの含有量の上限は0.5質量%とする必要がある。
〔クロムの含有量について〕
クロム(Cr)は、合金鋼の焼戻し軟化抵抗性や焼入性を高め、転がり寿命を向上させる効果を有する。ただし、Crの含有量が多すぎると、製鋼時に粗大な炭化物が析出し、寿命の低下を引き起こす場合がある。このような理由から、合金鋼中のCrの含有量は、1質量%以上2質量%以下とする必要がある。
軌道輪を構成する合金鋼中のCrの含有量と軌道輪の摩耗量との関係を、図3のグラフに示す。このグラフから分かるように、Crの含有量が1質量%未満であると軌道輪の摩耗量が多い。2質量%超過であると摩耗量は少ないが、巨大な炭化物を起点とした剥離が発生しやすい。
〔軌道面の窒素濃度について〕
窒素濃度は合金鋼の摩耗に大きく影響し、窒素濃度を高めれば耐摩耗性が向上する。ただし、窒素濃度が高くなるにしたがって加工性が低下する傾向がある。
軌道面の窒素濃度(軌道輪の軌道面をなす表層部の窒素濃度)と軌道輪の摩耗量との関係を、図4のグラフに示す。このグラフから、窒素濃度が0.1質量%以上であると摩耗量が少なく、0.13質量%以上であると摩耗量がより少なく、0.3質量%以上であると摩耗量が極めて少ないことが分かる。ただし、窒素濃度を高めることによる耐摩耗性の向上効果は飽和していることに加えて、窒素濃度が高くなると加工性が低下し、表面粗さが悪化する傾向があることから、軌道面の窒素濃度は0.5質量%以下とすることが好ましい。
〔軌道面の炭素濃度と窒素濃度との和について〕
窒素濃度は合金鋼の摩耗に大きく影響するが、窒素濃度を制御しただけでは耐摩耗性が十分に向上しない場合がある。
軌道面の炭素濃度と窒素濃度との和(軌道輪の軌道面をなす表層部の炭素濃度と窒素濃度との和)と、軌道輪の摩耗量と、の関係を、図5のグラフに示す。なお、軌道面の窒素濃度は0.1質量%に統一してある。このグラフから、窒素濃度が十分であっても、炭素濃度と窒素濃度との和が1.1質量%未満であると、摩耗の抑制に有効な炭窒化物の析出が不十分となり、摩耗量が多くなる場合があることが分かる。よって、軌道面の炭素濃度と窒素濃度との和は、1.1質量%以上とする必要がある。より優れた耐摩耗性を得るためには、1.2質量%以上とすることが好ましい。
ただし、炭素濃度と窒素濃度との和を高めることによる耐摩耗性の向上効果は飽和していることに加えて、炭素濃度と窒素濃度との和が高くなると、初析炭化物がネット状に発生して、寿命が低下するおそれがあることから、軌道面の炭素濃度と窒素濃度との和は1.6質量%以下とすることが好ましい。
〔軌道面の表面粗さRaについて〕
軌道面の表面粗さRaは、転動体の摩耗に大きな影響を及ぼす傾向がある。すなわち、軌道面が粗いと、軌道面の微小な凹凸部が転動体の滑らかな転動面と接触して、転動体の転動面にピーリング損傷と呼ばれる摩耗や微小剥離を生じさせる。
軌道面の表面粗さRaと転動体の摩耗量との関係を、図6のグラフに示す。このグラフから、軌道面の表面粗さRaが0.2μm超過であると、転動体の摩耗量が多いことが分かる。よって、軌道面の表面粗さRaは、0.2μm以下とする必要がある。転動体の摩耗量をより少なくするためには、軌道面の表面粗さRaを0.1μm以下とすることが好ましい。
ただし、軌道面の表面粗さRaを小さくすることによる転動体の摩耗抑制効果は飽和していることに加えて、軌道面の表面粗さRaを小さくするためには、加工工程の複雑化や長時間化が必要となってしまうことから、軌道面の表面粗さRaは0.02μm以上とすることが好ましい。0.02μm程度の表面粗さRaであれば、転がり軸受に一般的に用いられているスーパーフィニッシュ加工を施すことにより実現することが可能である。
〔転動体の転動面の表面粗さRaについて〕
軌道面の表面粗さRaは転動体の摩耗に大きく影響するが、軌道面の表面粗さRaを制御しただけでは転動体の摩耗を十分に抑制できない場合がある。
転動体の転動面の表面粗さRaと転動体の摩耗量との関係を、図7のグラフに示す。なお、軌道面の表面粗さRaは0.2μmに統一してある。このグラフから、軌道面の表面粗さRaが十分に小さくても、転動体の転動面の表面粗さRaが0.1μm超過であると、軌道面と転動面それぞれの凸部同士が接触するなどして、潤滑油による油膜形成が不十分となり、転動体の摩耗量が多くなる場合があることが分かる。よって、転動体の転動面の表面粗さRaは、0.1μm以下とする必要がある。転動体の摩耗量をより少なくするためには、転動体の転動面の表面粗さRaを0.05μm以下とすることが好ましい。
ただし、転動体の転動面の表面粗さRaを小さくすることによる転動体の摩耗抑制効果は飽和していることに加えて、転動体の転動面の表面粗さRaを小さくするためには、加工工程の複雑化や長時間化が必要となってしまうことから、転動体の転動面の表面粗さRaは0.01μm以上とすることが好ましい。0.01μm程度の表面粗さRaであれば、転がり軸受に一般的に用いられているスーパーフィニッシュ加工を施すことにより実現することが可能である。
〔実施例〕
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。図1のスラスト針状ころ軸受とほぼ同様の構成の日本精工株式会社製の転がり軸受(内径40mm,外径60mm,軌道面の幅5mm)において、後述する諸条件(軌道面の窒素濃度や軌道面の表面粗さRa等)を種々変更したものを用意して、その耐摩耗性を評価した。
表1,2に示した実施例1〜17及び比較例1〜8のスラスト針状ころ軸受は、内輪,外輪,及び転動体がSUJ2で構成されている。また、表3に示した実施例21〜29及び比較例11〜14のスラスト針状ころ軸受は、内輪及び外輪が表3に示すような合金元素を有するSUJ2に類似の合金鋼(以降はSUJ2相当材と記すこともある)で構成されており、転動体がSUJ2で構成されている。なお、SUJ2相当材の成分は、表3に示す合金元素,鉄,及び不可避の不純物である。
Figure 0004375038
Figure 0004375038
Figure 0004375038
そして、全てのスラスト針状ころ軸受の内輪,外輪,及び転動体は、下記に示すような条件で熱処理(浸炭窒化焼入れ)が施されており、内輪,外輪の軌道面の窒素濃度及び炭素濃度と窒素濃度との和は、以下のような値とされている。すなわち、表1,2に示された軸受については各表に記載の通りであり、表3に示された軸受については、窒素濃度は0.12質量%で、炭素濃度と窒素濃度との和は1.34質量%である。
このような内輪及び外輪には、熱処理後に研削加工が施され、表面粗さを調整するために必要であればスーパーフィニッシュ加工が施される。また、転動体には、熱処理後に研削加工が施され、さらにスーパーフィニッシュ加工が施される。内輪,外輪の軌道面と転動体の転動面の表面粗さRaは、以下のような値とされている。すなわち、表1,2に示された軸受については各表に記載の通りであり、表3に示された軸受については、内輪,外輪の軌道面の表面粗さRaは0.09μmで、転動体の転動面の表面粗さRaは0.03μmである。なお、保持器は、SPCC材をプレス成形して製造したものである。
(熱処理条件)
830〜850℃で2〜4時間浸炭窒化処理を行い、さらにダイレクトに焼入れを行った。浸炭窒化処理の雰囲気は、RXガスの流量を15〜20m3 /h、カーボンポテンシャルを0.9〜1.3%、NH3 の流量を0.1〜0.3m3 /hの範囲内でそれぞれ制御することにより調整した。また、焼入れ時の油温は60〜120℃である。さらに、焼戻し条件は、180〜220℃で1.5〜3時間である。
このような実施例及び比較例のスラスト針状ころ軸受を、日本精工株式会社製のスラスト針状ころ軸受寿命試験機に装着し、下記のような条件で回転試験を行った。
(回転試験条件)
・回転速度 :1250min-1
・アキシアル荷重:8000N
・試験時間 :計算寿命(100時間)
・潤滑油 :ポリアルキレングリコールに白灯油を混合したもの(白灯油の 割合は60〜90質量%)
なお、本試験は、エアコンディショナ,冷凍機,給湯器等の圧縮機で使用される冷媒を含有する冷凍機油によって軸受が潤滑されている状態を再現するため、冷凍機油であるポリアルキレングリコールに白灯油を混合したものを潤滑油として用いた。
このような回転試験を行った後に、軌道面の剥離の有無を確認するとともに、内輪,外輪,及び転動体の摩耗量を下記のようにして測定した。
(摩耗量の測定方法)
まず、内輪及び外輪の摩耗量の測定方法について説明する。株式会社東京精密製のサーフコム200B(商品名)を用いて、転動体の走行により摩耗した転動体の走行部(軌道面)と非走行部との段差の大きさ、すなわち摩耗により生じた凹部の深さを測定した。転動体の走行方向に垂直な平面で軌道面を破断した場合に生じる断面において最も摩耗した部分の深さを、その断面における摩耗深さとし、円周上の10カ所の断面の摩耗深さの平均値を、その軌道輪の平均摩耗量とした。回転試験は1種の軸受につき5個ずつ行い、得られた全ての平均摩耗量の中の最大値を、その軸受の軌道面の摩耗量として表1〜3に示した。
次に、転動体の摩耗量の測定方法について説明する。転動体の直径をマイクロメータで測定し、転動体の真円度を株式会社東京精密製のロンコム1D−72(商品名)で測定した。そして、未使用の転動体と比較することによって、摩耗の大きさを測定した。転動体の軸方向に垂直な平面で転動体を破断した場合に生じる断面において最も摩耗した部分の直径の減少量を、その転動体の摩耗深さとし、1個の軸受から無作為に選び出した10個の転動体の摩耗深さの平均値を、転動体の平均摩耗量とした。回転試験は1種の軸受につき5個ずつ行い、得られた全ての平均摩耗量の中の最大値を、その軸受の転動体の転動面の摩耗量として表1,2に示した。
ここで、内輪及び外輪がSUJ2で構成されている表1,2に示すスラスト針状ころ軸受の試験結果について説明する。表1,2から分かるように、実施例1〜17のスラスト針状ころ軸受は、内輪,外輪の軌道面の窒素濃度及び炭素濃度と窒素濃度との和が、所定値以上とされていることに加えて、軌道面及び転動面の表面粗さRaが良好であるので、軌道面及び転動面の摩耗量が少なかった。
これに対して、比較例1〜4のスラスト針状ころ軸受は、軌道面の窒素濃度が0.1質量%未満であるため、軌道面の摩耗量が多かった。また、比較例6のスラスト針状ころ軸受は、軌道面の窒素濃度は0.1質量%以上であるものの、軌道面の炭素濃度と窒素濃度との和が1.1質量%未満であるため、軌道面の摩耗量が多かった。
また、表面粗さRaに着目すると、比較例1,2,4,5のスラスト針状ころ軸受は、軌道面の表面粗さRaが0.2μm超過と悪いため、転動体の転動面の摩耗量が多かった。特に、比較例5のスラスト針状ころ軸受は、軌道面の窒素濃度及び炭素濃度と窒素濃度との和は前記所定値以上であるものの、軌道面の表面粗さRaが0.2μm超過と悪いため、転動体の転動面の摩耗量が多かった。さらに、比較例7,8のスラスト針状ころ軸受は、軌道面の表面粗さRaは良好であるものの、転動体の転動面の表面粗さRaが0.1μm超過と悪いため、転動体の転動面の摩耗量が多かった。
次に、内輪及び外輪がSUJ2相当材で構成されている表3に示すスラスト針状ころ軸受の試験結果について説明する。表3から分かるように、実施例21〜29のスラスト針状ころ軸受は、内輪及び外輪が所定の含有量の合金元素を有する合金鋼(SUJ2相当材)で構成されていることに加えて、内輪,外輪の軌道面の窒素濃度及び炭素濃度と窒素濃度との和が所定値以上とされており、さらに軌道面及び転動面の表面粗さRaが良好であるので、軌道面の摩耗量が少なく、軌道面に剥離が生じることもなかった。
これに対して、比較例11のスラスト針状ころ軸受は、合金鋼のCの含有量が少ないので軌道面の摩耗量が多く、比較例12のスラスト針状ころ軸受は、合金鋼のCの含有量が多いので軌道面に剥離が生じた。また、比較例13のスラスト針状ころ軸受は、合金鋼のCrの含有量が少ないので軌道面の摩耗量が多く、比較例14のスラスト針状ころ軸受は、合金鋼のCrの含有量が多いので軌道面に剥離が生じた。
本発明のスラスト針状ころ軸受は、エアコンディショナ,冷凍機,給湯器等の圧縮機等に好適に使用可能である。
本発明の一実施形態であるスラスト針状ころ軸受の構造を示す縦断面図である。 軌道輪を構成する合金鋼中のCの含有量と軌道輪の摩耗量との関係を示すグラフである。 軌道輪を構成する合金鋼中のCrの含有量と軌道輪の摩耗量との関係を示すグラフである。 軌道面の窒素濃度と軌道輪の摩耗量との関係を示すグラフである。 軌道面の炭素濃度と窒素濃度との和と軌道輪の摩耗量との関係を示すグラフである。 軌道面の表面粗さRaと転動体の摩耗量との関係を示すグラフである。 転動体の転動面の表面粗さRaと転動体の摩耗量との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 内輪
1a 軌道面
2 外輪
2a 軌道面
3 転動体
3a 転動面
5 冷凍機油

Claims (1)

  1. 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、冷媒を含有する冷凍機油で潤滑されるスラスト針状ころ軸受において、
    前記内輪,前記外輪,及び前記転動体は、炭素を0.8質量%以上1.2質量%以下、ケイ素を0.15質量%以上0.5質量%以下、マンガンを0.15質量%以上0.5質量%以下、クロムを1質量%以上2質量%以下含有し、残部が鉄及び不可避の不純物からなる合金鋼で構成され、
    前記内輪及び前記外輪の軌道面は、浸炭窒化処理により、窒素濃度が0.1質量%以上、炭素濃度と窒素濃度との和が1.1質量%以上とされており、
    さらに、前記両軌道面の表面粗さRaが0.2μm以下、前記転動体の転動面の表面粗さRaが0.1μm以下であることを特徴とするスラスト針状ころ軸受。
JP2004033839A 2004-02-10 2004-02-10 スラスト針状ころ軸受 Expired - Lifetime JP4375038B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004033839A JP4375038B2 (ja) 2004-02-10 2004-02-10 スラスト針状ころ軸受

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004033839A JP4375038B2 (ja) 2004-02-10 2004-02-10 スラスト針状ころ軸受

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005226683A JP2005226683A (ja) 2005-08-25
JP4375038B2 true JP4375038B2 (ja) 2009-12-02

Family

ID=35001567

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004033839A Expired - Lifetime JP4375038B2 (ja) 2004-02-10 2004-02-10 スラスト針状ころ軸受

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4375038B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112008001331T5 (de) 2007-05-17 2010-04-22 Ntn Corp. Wälzelement, Wälzlager und Verfahren zur Herstellung eines Wälzelements
CN101801602B (zh) 2007-08-28 2014-07-23 雷姆技术公司 检查和再磨光工程部件的方法
JP5057578B2 (ja) * 2008-01-31 2012-10-24 Ntn株式会社 斜板式コンプレッサ用スラストころ軸受
JP2011190921A (ja) * 2010-03-17 2011-09-29 Nsk Ltd スラストころ軸受
CN108603530A (zh) 2016-01-21 2018-09-28 Ntn株式会社 滚动轴承、滚动装置以及滚动装置的制造方法
WO2017126323A1 (ja) * 2016-01-21 2017-07-27 Ntn株式会社 転がり軸受、転動装置および転動装置の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005226683A (ja) 2005-08-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3128803B2 (ja) 転がり軸受
JP2002115030A (ja) 工作機械主軸用転がり軸受
JP5163183B2 (ja) 転がり軸受
JP2003193200A (ja) 転がり軸受
JP2002364648A (ja) 転がり軸受
JP4375038B2 (ja) スラスト針状ころ軸受
JP2008196033A (ja) スラスト軸受
JP2008174822A (ja) スラスト軸受
JP5058611B2 (ja) スラスト軸受
JP2013249500A (ja) 転がり軸受
JP4857746B2 (ja) 転がり支持装置
JP5998631B2 (ja) 転がり軸受
JP3013452B2 (ja) 転がり軸受
JP2014101896A (ja) 転がり軸受
JP2011190921A (ja) スラストころ軸受
JP2009250371A (ja) 水素ガスコンプレッサ用転がり軸受
JP2008232212A (ja) 転動装置
JP2008082379A (ja) スラスト軸受構成部品の製造方法
JP2005337362A (ja) 総ころ軸受
JP2005337361A (ja) ころ軸受
JP2006045591A (ja) 円すいころ軸受
JP2009174656A (ja) 転がり軸受
JP2008150687A (ja) 車輪支持用転がり軸受装置
JP2006183845A (ja) 転がり軸受
JP2003301849A (ja) 針状ころ軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090129

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090325

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090818

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090831

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120918

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120918

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130918

Year of fee payment: 4

S801 Written request for registration of abandonment of right

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R311801

ABAN Cancellation of abandonment
R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350