JP2005287506A - 蛋白質含有酸性飲食品用粉末組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】家庭にあるマドラーやシェーカーなどを使い、水でも酸性の果汁などでも凝集を生ずることなく容易に分散溶解ができ、喉越しがざらつかず、風味に優れた蛋白質含有酸性粉末飲料を提供する。また、酸性のヨーグルトなどの乳製品と混合しても、喉越しがざらつかず、風味に優れた粉末製品を提供する。
【解決手段】蛋白として酸性可溶大豆蛋白を造粒することにより、酸性下において容易に分散し、凝集が生ずることなく溶解することが可能である。さらに水溶性多糖類を含有させることが風味に優れ有効である。
【選択図】なし

Description

本発明は、蛋白質含有酸性飲食品の製造に際し、酸性pH域において溶解させても蛋白質が凝集することがなく、容易に分散可能な蛋白質含有酸性飲食品用粉末組成物に関する。
大豆蛋白の栄養、生理効果が見直され、一般消費者の健康志向と相まって、高齢者や健常人の食事代替品としても蛋白源として大豆蛋白食品の需要は高まっている。ここ数年、豆乳の消費量は著しく伸長しており、一般消費者の大豆に対する期待も高いことの現われである。その中で、筋肉増強や疲労回復を目的に分離大豆蛋白を含有する粉末飲食品が、アスリート向けに市販されており、一般消費者向けにも需要が広まりつつある。この粉末飲食品は、水や牛乳に溶かして飲むことが推奨されており、必要な蛋白質を効率よく補給することが可能である。しかし、これらの蛋白素材は粉末飲食品においては手撹拌やミキサーにより分散させるだけであり、液体飲食品のようにホモゲナイザー等で強撹拌されないため、水や牛乳には完全に溶解することなく摂取することとなる。そのためざらつき感などの食感への悪影響が生じてしまう。またこれら蛋白素材独特の風味があるため、嗜好的に満足できる製品は少ない。このような食感を改良するため、微粉砕した大豆蛋白を使用した蛋白飲料(特許文献1)、大豆蛋白をプロテアーゼで加水分解した大豆蛋白加水分解物を使用した蛋白飲料(特許文献2)などが提案されている。
一方、果汁などの酸性飲食品は爽やかな飲み口を楽しむことができ、一般的に好まれる傾向があるが、蛋白質が配合されている粉末組成物(例えばプロテインパウダーや豆乳粉末)を酸性の果汁飲食品などに溶かすと、蛋白質が直ぐさま凝集し、沈殿が発生してしまう。また上記問題に加えてさらに飲み口がざらつき嗜好性に著しく欠けるものとなりやすい。例えば酸性液体飲食品の場合、酸性下における凝集は製造工程中に発生するため、工程中で凝集物を高圧ホモゲナイザー等で均質化して、凝集物を微粒化し、これを増粘安定剤等により分散安定化する方法が一般的である(特許文献3〜6)。ところが粉末飲食品の場合、一般消費者が家庭で摂取する際に初めて凝集が生ずるため、上記のような均質化などの手段が使用できない。そのため凝集が生じ飲み口のざらついたものをそのまま摂取せざるを得なかった。また液体飲食品の場合も均質化や分散安定化を行ったとしても、保存中に沈殿や凝集が発生する問題を完全に防ぐことは高度な技術を要していた。
そこで大豆蛋白入り粉末組成物を酸性下に溶解した場合であっても全く凝集を起こすことなく、強撹拌によらず手撹拌でも簡便に良好な分散性と溶解性を示す蛋白質含有酸性粉末飲食品が熱望されている。
特開2000−270783号公報 特開平10−262619号公報 特開平5−308900号公報 特公昭63−20493号公報 特公昭63−38174号公報 特公昭62−55829号公報 再公表WO02/67690号公報
本発明は、上記の諸問題を解決するためになされたものであり、家庭にあるマドラーやシェーカーなどを使い、水でも酸性の果汁などでも凝集を生ずることなく容易に分散溶解ができ、喉越しがざらつかず、風味に優れた蛋白質含有酸性粉末飲食品用粉末組成物を提供することである。
本発明者らは鋭意研究の結果、蛋白質素材として酸性可溶大豆蛋白を選択し、さらにこれを造粒して得た粉末組成物が、酸性下において容易に分散し、凝集が生ずることなく溶解又は分散することが可能であることを見出した。さらに本発明者らは上記粉末組成物に水溶性多糖類を含有させると、渋味がなく風味に優れ有効であることを見出した。
すなわち本発明は、酸性可溶大豆蛋白の造粒物を含むことを特徴とする蛋白質含有酸性飲食品用粉末組成物である。また本発明は、さらに他の酸性物質もしくはその造粒物を含むことが好ましい。酸性可溶大豆蛋白と他の酸性物質の造粒物は一体であることもできる。さらに本発明は、水溶性多糖類を含むことが好ましい。
本発明の粉末組成物は簡便で、携帯性及び保存性に優れ、酸性域において凝集せずに分散性及び溶解性に優れ、酸性であることにより爽やかで喉ごしに優れるので、これを使用することにより嗜好性と栄養価に優れた蛋白質含有酸性飲食品を提供することができる。
特に、蛋白質を積極的に補給する必要のあるアスリートや高齢者にとって、簡便に蛋白質を摂取でき、酸性域であるがゆえに爽やかで美味しい蛋白質含有酸性飲食品は待望されていた食品のひとつである。
通常の大豆蛋白を含有する粉末組成物を添加して、酸性域において摂取しやすく、かつ美味しい飲食品に調製することは、多くの問題が伴うことは先に述べたとおりである。
一方、本発明における蛋白質含有酸性飲食品用粉末組成物(以下、本粉末組成物)は、酸性可溶大豆蛋白の造粒物を含むことを特徴とする。本粉末組成物は、一般の家庭にある簡単な調理器具、例えばスプーンなどを用い、簡単に蛋白質含有酸性飲食品が調製でき、また、酸性ゆえに爽やかで美味しいものである。以下、本発明の実施の形態について詳述する。
本発明における酸性可溶大豆蛋白は、特定の酸性pH域において可溶性を示す大豆蛋白であり、pH4.0以下の酸性pH域における溶解率(後述)が60%以上の大豆蛋白を用いるのが好ましい。酸性可溶大豆蛋白の製造法は特に問わないが、例えば大豆蛋白を含む溶液を、該蛋白質の等電点のpHより酸性域で、100℃を越える温度で加熱処理し、乾燥粉末化することで得られる。特に特許文献7に開示されている製造法により得られたものが、pH4.5以下での溶解性が60%以上であり好ましい。具体的には大豆蛋白を含む溶液において、(A)該溶液中の原料蛋白由来のポリアニオン物質を除去するか不活性化する処理、例えば大豆中のフィチン酸をフィターゼ等で分解除去する処理、(B)該溶液中にポリカチオン物質を添加する処理、例えばキトサンを添加する処理である、(A)又は(B)いずれか若しくは両方の処理を行った後、該蛋白質の等電点のpHより酸性域で、100℃を越える温度で該蛋白質溶液を加熱処理し、乾燥粉末化する方法である。
本粉末組成物中の酸性可溶大豆蛋白含有量は特に制限はなく、その最適な値は、分散させる溶媒や利用目的等により異なり一概には云えないが、例えばアスリートや高齢者のように蛋白質の高度摂取を目的とする人向けには、蛋白質として40〜99.5重量%、好ましくは80〜99.5重量%が適当である。
本発明に用いる酸性可溶大豆蛋白は造粒されていることが必須である。酸性可溶大豆蛋白は単独で造粒されていても良いし、他の酸性物質を酸性可溶大豆蛋白と共に、又は別途に造粒することもできる。他の酸性物質は水に溶解すると酸性pHを示す物質であり、例えば粉末果汁(りんご、ぶどう、レモン、グレープフルーツ、ブルーベリー等)、粉末野菜(トマト等)、ヨーグルト粉末、酸味料(クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、フマル酸、酢酸、リンゴ酢、黒酢等)等が例示でき、特に限定されるものではない。また他の酸性物質以外の食品原料のすべてもしくは一部を同時に造粒し、一体の造粒物とすることもできる。本粉末組成物中に添加する酸性可溶大豆蛋白以外の酸性物質その他の食品原料が分散性に優れる場合は、酸性可溶大豆蛋白単独で造粒すればよく、そうでない場合は、酸性物質その他の食品成分を酸性可溶大豆蛋白と共に造粒して一体とするか、又は別途に造粒することが好ましい。
本発明の粉末組成物に使用可能な他の食品原料としては、糖類、ペプチド類、アミノ酸類、各種生理活性物質、ビタミン類、食物繊維、多糖類、アルコール類、油脂類、着色料等を含むことができる。
糖類は特に種類を問わず、例えばショ糖、麦芽糖、果糖、ブドウ糖、転化糖、粉末水飴類、デキストリン、オリゴ糖、単糖類、二糖類などの他、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、アセスルファムカリウムといった甘味付与を目的とした高甘味度甘味料などが挙げられる。
ペプチド類は、大豆ペプチド、ホエーペプチド、魚ペプチド、コラーゲンペプチド等が例示できる。
アミノ酸類は、バリン、ロイシン、イソロイシン等の分岐鎖アミノ酸、システイン、メチオニン等の含硫アミノ酸、その他各種アミノ酸が例示できる。
各種生理活性物質は、イソフラボン、アントシアニン、ルチン、ヘスペリジン、ナリンジン、クロロゲン酸、没食子酸、エラグ酸、タンニン、カテキン等のポリフェノール類、サポニン、リコペン、セサミン、セラミド、植物ステロール、γ−アミノ酪酸、コエンザイムQ10、ラクトフェリン、DHA、βカロチンなどが例示できる。
ビタミン類の種類も特に制限されず、例を挙げるとアスコルビン酸(ビタミンC)、リボフラビン、パントテン酸、葉酸、ビタミンB群、その他ビタミンA,D,E,K,Pなどの各種ビタミン類がある。
本粉末組成物には、均一な分散が可能でかつ粉体のブロッキングが生じない程度に液状油を使用することができる。好ましくは融点の高い油脂が安定性の面でよく、更に好ましい形態は粉末の油脂である。油脂の種類は食用に用いているものであればよく、その種類は問わない。例えば、大豆油、菜種油、コーン油などの植物性油脂や乳脂肪などの動物性油脂及びそれらの加工油脂が挙げられる。また油脂の乳化状態を安定にする等の目的で、適宜乳化剤を配合してもよい。
本粉末組成物の一つの特徴として、安定剤を含まずとも、溶媒に分散すると安定な飲食品が得られることを特徴とするが、これらの使用を妨げるものではない。
本発明の粉末組成物には上記原料の他、水溶性多糖類を含有させることが好ましい。水溶性多糖類の存在により、意外にも酸性可溶大豆蛋白に特有の渋味を軽減する効果を奏することができるからである。水溶性多糖類としては、水溶性大豆多糖類、アラビアガム、トラガントガム、ローカストビーンガム、グアーガム、グルコマンナン、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、タラガム、アルギン酸、カラギーナン、寒天、ファーセルラン、ペクチン、カードラン、キサンタンガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブジェランガム、プルラン、ポリデキストロース、マルトデキストリン、難消化性デキストリン、グアーガム分解物、サイリウム種皮、低分子アルギン酸ナトリウム、イヌリン等が例示できる。特に水溶性大豆多糖類、グァーガム、マルトデキストリン及びペクチンの効果が高いためより好ましい。水溶性多糖類の含量は特に限定されず、渋味軽減効果の程度にあわせて適宜設定できるが、通常は造粒後の粉末組成物中に0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%が適当である。
本発明において、造粒方法は特に限定されるものではなく、水や果汁などの溶媒への分散性が十分満たされるものであればよい。造粒の方法は、例えば、フローコーターなどの装置において原料粉末を流動させながら噴霧液を噴霧し、原料の粒子間を結着させる流動層造粒や、エタノール等の溶媒中において原料粉末をスリットから押し出して乾燥する押し出し造粒などが例示できる。流動層造粒の際に用いる噴霧液は水のみでもよいが、造粒物の結着力を高めるために、各種バインダーを使用することができる。バインダーとしては、上記各種水溶性多糖類、乳化剤(レシチン、各種脂肪酸エステル等)など目的に応じて適宜組み合わせて使用すれば良い。なお、噴霧液へ分散が可能であれば、着色や着香などを目的とした添加物も同時に造粒することができる。
本粉末組成物を溶解又は分散させる溶媒は特に制限はなく、水(冷水、熱水でも可)に限られず、果汁、野菜汁などの酸性溶媒も適用できるのが特徴である。果汁を使用すると嗜好性も高くなるため、特に望ましい。更には、ヨーグルトの様な酸性の乳製品に分散させることもできる。また、造粒時に使用するバインダーを選択すれば、酸性域のアルコール飲料も利用することができる。酸性域のアルコール飲料とは、ワイン、酎ハイ、リキュール、日本酒、ウイスキーなどが挙げられる。
本粉末組成物を溶媒に溶解又は分散したときの飲食品のpHは酸性が好ましく、pH2.0〜4.3がより好ましく、中でもpH2.5〜4.0のものは酸味が適度で且つ清涼感があり特に好ましい。従来の蛋白素材、例えば分離大豆蛋白や乳蛋白を用いてかかるpH範囲の酸性飲食品を調製する場合、これらの蛋白素材は通常中性であるため、その蛋白濃度にもよるが酸性pHに調整するためには多量の酸味料を必要となる。これは蛋白質の緩衝能が高いことに起因するが、得られるものは酸味が強すぎ嗜好性への影響が強い。従って、飲食品中の蛋白含有量が制限される。一方、本発明に用いる酸性可溶大豆蛋白はその水溶液のpHが元々酸性であるので、酸味調整のために用いる酸味料の使用量を中性の蛋白に比べて低減できる。従って、酸味の調整が容易であり、より蛋白含有量の高い製品を提供することが可能である。
本発明において使用する蛋白の溶解率は、試料1重量%の水溶液を所定のpHに調整し、水溶液中の全蛋白質量と8,000Gで5分間の遠心分離後の上清画分の蛋白質量をケルダール法で求め、水溶液中の全蛋白質量に対する上清画分の蛋白質量の割合として算出した。
(製造例1)
大豆を圧扁し、n-ヘキサンを抽出溶媒として油を抽出分離除去して得られた低変性脱脂大豆(窒素可溶指数(NSI):91)5kgに35kgの水を加え、希水酸化ナトリウム溶液でpH7に調整し、室温で1時間攪拌しながら抽出後、4,000Gで遠心分離しオカラおよび不溶分を分離し、脱脂豆乳を得た。この脱脂豆乳をリン酸にてpH4.5に調整後、連続式遠心分離機(デカンター)を用い2,000Gで遠心分離し、不溶性画分(酸沈殿カード)および可溶性画分(ホエー)を得た。酸沈殿カードを固形分10重量%になるように加水し酸沈殿カードスラリーを得た。これをリン酸でpH4.0に調整後、40℃になるように加温した。この溶液に固形分あたり8unit相当のフィターゼ(NOVO社製)を加え、30分間酵素作用を行った(フィチン酸含量0.04重量%/固形分、TCA可溶化率は実質的に変化なし)。反応後、pH3.5に調整して連続式直接加熱殺菌装置にて120℃15秒間加熱した。これを噴霧乾燥し酸性可溶大豆蛋白粉末1.5kgを得た。この蛋白の溶解率はpH4.3で94%であった。
次に、ショ糖脂肪酸エステル2.5%、デキストリン2.5%、水溶性大豆多糖類「ソヤファイブ−S-RA-100」(不二製油(株)製)の3%を含有する溶液を調製し、これをバインダー液として、流動層造粒機(造粒条件:加湿量20%、熱風温度80℃、排風温度40℃)で酸性可溶大豆蛋白粉末を造粒した。造粒を実施した結果、酸性可溶大豆蛋白粉末に対し、ショ糖脂肪酸エステルが0.5%、デキストリンが0.5%、水溶性大豆多糖類が0.6%付着した。
(製造例2)
製造例1と同様の方法で得た酸性可溶大豆蛋白粉末に対し、ショ糖脂肪酸エステル2.5%、デキストリン2.5%のみを含有する溶液を調製し、これをバインダー液として、同様に造粒した。
(実施例1)果汁に分散する場合
製造例1で示した酸性可溶大豆蛋白造粒品を95重量部、β-サイクロデキストリン4.8重量部、ステビア製剤(守田化学工業株式会社:レバウディオACK250)0.2重量部をよく混合させ、本発明の粉末組成物を得た。この粉末12gを100%濃縮オレンジ果汁(pH:3.6)200mlに加え、シェーカーにてよく混合させたところ、蛋白の凝集は発生せず、極めて良好に分散し、溶解した。本飲料を官能検査にて評価したところ、適当な酸味を有し、酸性可溶大豆蛋白特有の渋味を感じず、喉越しも良好で嗜好性に優れるものであった。
(実施例2)果汁に分散する場合(2)
製造例2で示した酸性可溶大豆蛋白造粒品を用いて、実施例1と同様にして本発明の粉末組成物を得た。この粉末から同様にして飲料を調製したところ、蛋白の凝集は発生せず、極めて良好に分散し、溶解した。風味は適当な酸味を有し、喉ごしも良好で嗜好性に優れるものであったが、酸性可溶大豆蛋白特有の渋味がやや感じられた。
(実施例3)熱湯に分散する場合
製造例1で示した酸性可溶大豆蛋白造粒品を20重量部、グラニュー糖60重量部、レモン果汁粉末15重量部、ビタミンC2重量部、ステビア製剤(守田化学工業株式会社:レバウディオACK250)を0.3重量部、β-サイクロデキストリン(日本食品化工株式会社:サンデックB-100)1重量部、香料1.7重量部をよく混合させ、本発明の粉末組成物を得た。この粉末組成物10gを120mlの熱湯に加え、スプーンでよく混合させたところ、蛋白の凝集は発生せず、良好に分散・溶解した。本飲料を官能にて評価したが、適当な酸味を有し、酸性可溶大豆蛋白特有の渋味を感じず、喉越しも良好で嗜好性に優れるものであった。
(比較例1)市販分離大豆蛋白を果汁に溶解する場合
市販の分離大豆蛋白「プロリーナ250」(不二製油(株)製)を95重量部、ステビア製剤(守田化学工業株式会社:レバウディオACK250)0.2重量部、β-サイクロデキストリン(日本食品化工株式会社:サンデックB-100)4.8重量部を混合し、粉末組成物を得た。この粉末組成物12gを100%濃縮オレンジ果汁(pH3.6)200mlに加え、シェーカーにてよく混合させたところ、蛋白の凝集が発生し、溶解できなかった。本飲料を官能にて評価したが、喉越しが非常に悪く、ざらつきも酷く、外観も劣り、嗜好性の乏しいものであった。
(比較例2)酸性可溶大豆蛋白を造粒しない場合
製造例1で示した酸性可溶大豆蛋白の未造粒品を95重量部、β-サイクロデキストリン4.8重量部、ステビア製剤(守田化学工業株式会社:レバウディオACK250)0.2重量部をよく混合し、蛋白質含有酸性粉末飲料を得た。この粉末12gを100%濃縮オレンジ果汁(pH:3.6)200mlに加え、シェーカーにてよく混合させたが、分散不良が発生し、ダマが多く残ってしまい、十分に溶解することができなかった。
(実施例4)酸性可溶大豆蛋白の造粒のバインダーが異なる場合
製造例1で示した酸性可溶大豆蛋白の造粒方法を以下に示す方法に変更したものを用いた。即ち、ショ糖脂肪酸エステル2.5%を含有する溶液を調製し、これをバインダー液として、流動層造粒機(造粒条件:加湿量20%、熱風温度80℃、排風温度40℃)で酸性可溶大豆蛋白粉末を造粒した。造粒を実施した結果、ショ糖脂肪酸エステルは対粉0.5%であった。この方法で得られた酸性可溶大豆蛋白粉末造粒品を95重量部、β-サイクロデキストリン4.8重量部、ステビア製剤(守田化学工業株式会社:レバウディオACK250)0.2重量部をよく混合させ、本発明の粉末組成物を得た。この粉末組成物12gを100%濃縮オレンジ果汁(pH:3.6)200mlに加え、シェーカーにてよく混合させたところ、蛋白の凝集は発生せず、良好に分散・溶解した。本飲料を官能にて評価したところ、適当な酸味を有し、喉越しも良好で嗜好性は良好であった。ただ酸性可溶大豆蛋白由来と思われる渋味が僅かながら感じられ、実施例1で得た粉末組成物と比較すれば、やや嗜好性に劣るものであった
(実施例5)ヨーグルトに分散させる場合
製造例1で示した酸性可溶大豆蛋白造粒品を50重量部、グラニュー糖30重量部、グレープフルーツ果汁粉末7重量部、無水クエン酸2重量部、スクラロースを0.3重量部、水溶性大豆多糖類「ソヤファイブ−S-RA-100」(不二製油(株)製)6.7重量部、香料4重量部をよく混合させ、蛋白質含有酸性粉末製品を得た。この粉末10gを市販のプレーンヨーグルト100gに加え、スプーンでよく混合させたところ、蛋白の凝集は発生せず、ざらつきが殆どなく良好な蛋白質強化ヨーグルトになった。本ヨーグルトは、適当な酸味を有し、酸性可溶大豆蛋白特有の渋味を感じず、喉越しも良好で嗜好性に優れるものであった。

Claims (5)

  1. 酸性可溶大豆蛋白の造粒物を含むことを特徴とする蛋白質含有酸性飲食品用粉末組成物。
  2. さらに他の酸性物質もしくはその造粒物を含む請求項1記載の粉末組成物。
  3. 酸性可溶大豆蛋白と他の酸性物質の造粒物が一体である請求項2記載の粉末組成物。
  4. さらに水溶性多糖類を含む請求項1記載の粉末組成物。
  5. 請求項1記載の粉末組成物を溶解又は分散させてなる蛋白質含有酸性飲食品。
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