JP2005281669A - 多孔質膜とその製造法及びこれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ガラス転移温度が70℃以上、対数粘度が0.5dl/g以上のポリアミドイミド樹脂層を含み、かつ全体の700nmでの吸光度が0.5以上、膜厚が5〜100μmの多孔質膜に関する。また、上記の多孔質膜を、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な正極および負極の間にセパレーターとして介装してなるリチウムイオン二次電池に関する。
【選択図】 なし
Description
また、ポリアミドイミド樹脂の溶液に凝固速度や多孔質膜の孔径及びその分布を調節するために添加剤を用いても良い。例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性ポリマーである。添加量に制限はないが、好ましくは樹脂溶液100部に対し5部から300部、更に好ましくは10部から200部、最も好ましくは20部から100部である。
(1)ポリアミドイミド多孔質膜とポリオレフィン多孔質膜を単純に重ねる。
(2)ポリオレフィン多孔質膜を支持体にしてその片面又は両面にポリアミドイミド樹脂 溶液を含浸又は塗布し、前記と同様な方法で凝固浴に投入して凝固させる。
(3)上記(1)と(2)を組み合わせる。
尚、実施例中の測定値は以下の方法で測定した。
空孔率=[1−(Bw/Bt)/(Aw/At)]×100(%)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管のついた4ツ口フラスコにトリメリット酸無水物1モル、トリレンジイソシアネート0.2モル、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート0.79モル、フッ化カリウム0.02モルを固形分濃度が20%となるようにN−メチル−2−ピロリドンと共に仕込み、120℃で5時間攪拌した後、固形分濃度が15%になるようにN−メチル−2−ピロリドンで希釈してポリアミドイミド樹脂を合成した。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は0.64dl/g、ガラス転移温度は295℃であった。
ワニスを東燃化学社製ポリオレフィン多孔質膜(25μm)の片面に乾燥膜厚が1μmとなるように塗布し、水中に浸漬して凝固、洗滌、乾燥させた。この複合多孔質膜の膜厚は26μm、透気度は620sec/100cc、シャットダウン温度は122℃、メルトダウンは200℃以上であった。吸光度は2.5であった。この複合多孔質膜をセパレーターに用い、正極活物質としてコバルト酸リチウム、導電剤としてアセチレンブラック、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを用いた正極及び黒鉛と非晶質炭素を混合した負極活物質とポリフッ化ビニリデンをバインダーにした負極、電解液としてソルライト(三菱化学製)を用いてコイン型電池を作成して電池特性を評価した。その結果、市販のセパレーター(東燃化学製ポリオレフィン多孔質膜:25μ)に比べて放電容量、サイクル特性ともほぼ同等の性能を示した。
実施例1のイソシアネート成分としてo−トリジンイソシアネート0.3モル、トリレンジイソシアネート0.7モルにした以外は実施例1と同じ条件でポリアミドイミド樹脂を合成した。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は0.52dl/g、ガラス転移温度は310℃であった。このポリアミドイミド樹脂溶液から実施例1と同じ方法で複合多孔質膜を作成した。吸光度は2.7であった。この複合多孔質膜の膜厚は28μm、透気度は730sec/100ccAirでシャットダウン温度は123℃、メルトダウン温度は200℃以上であった。
実施例1の酸成分をトリメリット酸無水物0.94モル、両末端ジカルボン酸のポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)共重合体(宇部興産製ハイカーCTBN1300×13)0.06モルとした以外は実施例1と同じ条件でポリアミドイミド樹脂を合成した。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は0.62dl/g、ガラス転移温度は150℃であった。このポリアミドイミド樹脂溶液から実施例1と同じ方法で複合多孔質膜を作成した。吸光度2.6はであった。この複合多孔質膜の膜厚は28μm、透気度は650sec/100ccAirでシャットダウン温度は123℃、メルトダウン温度は165℃であった。
実施例3のポリアミドイミド樹脂溶液100部にエチレングリコール20部を配合した溶液を100μmのポリエステルフィルムに塗布し、水中に浸漬して凝固させ、水洗、乾燥してポリエステルフィルムから剥がしてポリアミドイミド多孔質膜を得た。この多孔質膜の膜厚は30μm、吸光度は3.2、空孔率は67%、透気度は5.3sec/100ccAirでシャットダウン温度は154℃、メルトダウン温度は172℃以上であった。このポリアミドイミド多孔質膜を実施例1と同じ様な構成でセパレーターに用いたコイン電池の放電容量、サイクル耐久性等の電池性能はポリオレフィン多孔質膜単独セパレーターと同様な特性を示した。
実施例1のポリアミドイミド樹脂溶液100部にポリエチレングリコール#400を20部配合したワニスに東燃化学製ポリオレフィン多孔質膜(25μm)を浸漬させた後、ポリオレフィン多孔質膜の両面に乾燥膜厚が各々1μmになるように絞りロールで掻き取り、水/ポリエチレングリコール(分子量400)比が70/30の凝固浴に投入して凝固させ、洗滌、乾燥して厚み27μmの3層の複合多孔質膜を得た。この複合多孔質膜の吸光度は2.5、シャットダウン温度は120℃、メルトダウン温度は200℃以上であった。この複合多孔質膜をセパレーターにして実施例1と同じ構成で作成したコイン電池の放電容量、サイクル耐久性などの電池性能はポリオレフィン多孔質膜単独セパレーターと同様な特性を示した。
実施例1で作成したポリアミドイミド/ポリオレフィンの複合多孔質膜のポリアミドイミド多孔質膜側にポリオレフィン多孔質膜を重ねた複合膜を実施例1と同じ条件で作成したコイン電池の放電容量、サイクル耐久性等の電池性能はポリオレフィン多孔質膜単独セパレーターとほぼ同等の特性を示した。
実施例1でTMAを1.08モルとした以外は実施例1と同じ条件でポリアミドイミド樹脂を合成した。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は0.33dl/g、ガラス転移温度は350℃、吸光度は2.6であった。このポリアミドイミド樹脂を用いた多孔質膜は分子量が低いため脆く、セパレーターとしては不適であった。
酸成分をトリメリット酸無水物0.15モル、ダイマー酸0.85モル、ナフタレンジイソシアネート0.5モル、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート0.49モルとした以外は実施例1と同じ条件でポリアミドイミド樹脂を合成した。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は0.64dl/g、ガラス転移温度は60℃であった。このポリアミドイミド樹脂溶液を用い、実施例5と同じ方法で多孔質膜を作成した。吸光度は2.3であった。この多孔質膜の膜厚は26μm、空孔率は63%、透気度は340sec/100ccAirと良好であったが、シャットダウン温度が75℃、メルトダウン温度が95℃と低くセパレーターとしての安全性が不十分であった。
実施例1と同じ装置を使いトリメリット酸無水物1モル、o−トリジンジイソシアネート0.8モル、2,4−トリレンジイソシアネート0.2モル、フッ化カリウム0.01モルを固形分濃度が20%となるようにN−メチル−2−ピロリドンと共に仕込み、100℃で5時間攪拌してポリアミドイミド樹脂を合成した。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は1.35dl/g、ガラス転移温度は310℃であった。このポリアミドイミド樹脂溶液を用いて実施例1と同様な方法で厚み26μmの多孔質膜を製造した。吸光度は0.2、透気度は2000sec/100ccAir以上となりセパレーターに不適であった。
Claims (13)
- ガラス転移温度が70℃以上、対数粘度が0.5dl/g以上のポリアミドイミド樹脂層を含み、かつ全体の700nmでの吸光度が0.5以上、膜厚が5〜100μmの多孔質膜。
- ポリアミドイミド樹脂のイソシアネート成分にo−トリジンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびナフタレンジイソシアネートからなる群のうち少なくとも1種を含有する特徴とする請求項1に記載の多孔質膜。
- ポリアミドイミド樹脂の酸成分の一部が、ダイマー酸、ポリアルキレングリコール、ポリエステル並びに末端にカルボキシル基、水酸基及びアミノ基のいずれかを含有するブタジエン系ゴムからなる群のうち少なくとも1種で置き換えられた共重合ポリアミドイミド樹脂である請求項1または2に記載の多孔質膜。
- 透気度が1〜2000sec/100ccAirである請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質膜。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質膜において、ポリアミドイミド樹脂層とポリオレフィン系多孔質膜とを組み合わせたことを特徴とする複合多孔質膜。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質膜を、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な正極および負極の間にセパレーターとして介装してなるリチウムイオン二次電池。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂溶液を基材に塗布又は浸漬した後、ポリアミドイミド樹脂を溶解した溶剤とは混和するが、ポリアミドイミド樹脂に対しては貧溶剤である溶液中に投入して凝固させる多孔質膜の製造方法。
- ポリアミドイミド樹脂溶液に水溶性添加剤を共存させる請求項7に記載の多孔質膜の製造方法。
- 水溶性添加剤がアルコール、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンかなる群のうち少なくとも1種である請求項8に記載の多孔質膜の製造方法。
- 貧溶剤が水である請求項7〜9のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
- 貧溶剤である溶液に水溶性添加剤が含まれる請求項7〜10のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
- 水溶性添加剤がアミド系溶剤、アルコール、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンからなる群のうち少なくとも1種である請求項11に記載の多孔質膜の製造方法。
- ポリオレフィン系多孔質膜の片面又は両面に請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂溶液を塗布又は浸漬した後、ポリアミドイミド樹脂を溶解した溶剤と混和するが、ポリアミドイミド樹脂に対しては貧溶剤である溶液中に投入して凝固させる複合多孔質膜の製造方法。
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