JP2005266819A - 色素の吸着方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子表面の単位面積当たりの光吸収率の高い色素の吸着方法を提供する。
【解決手段】 粒子表面への色素の吸着方法であって、金属イオンとの配位結合定数が3×102 以上である色素を粒子に吸着させ、該金属イオンを該色素に結合させた後、該金属イオンとの配位結合定数が3×102 以上である色素を添加して吸着させる色素の吸着方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は色素(好ましくは増感色素またはメチン色素)の吸着方法に関し、さらに好ましくは該色素のハロゲン化銀粒子への吸着方法に関するものである。
ハロゲン化銀写真感光材料の感度は、粒子の光吸収率、分光増感効率を含めた潜像形成効率および最小潜像サイズで決定される。
このうち粒子の光吸収率向上技術に関してこれまでに公知になっている幾つかの技術を以下に示す。
米国特許5,494,789号などで開示された高アスペクト比平板粒子乳剤技術は、粒子表面積が増加するので一粒子あたりの色素吸着量を増すことができ、結果として光吸収率を向上させることができる技術である。しかしながら高アスペクト比化などによる粒子表面積の増加には限度があり、一粒子の光吸収率を向上させるには粒子の大サイズ化が必要となる。
一粒子あたりの粒子表面積を増加させる方法としてはほかに、特開昭58−106532号、特開昭60−221320号に記載の粒子の一部分に穴をあける方法や、あるいは米国特許第4,643,966号に記載のラッフル粒子などがある。しかしこれらの方法では粒子の形態が不安定で実用上は極めて困難が伴う。また米国特許第5,302,499号は分光増感特性と粒子厚みを最適にした層構成を行うことにより、光吸収率が向上することを開示している。しかし粒子厚みを最適化することによる光吸収率向上も高々10%程度である。
したがって、安定な粒子形態で粒子サイズを小さく保ったまま一粒子の光吸収率を飛躍的に向上させるには粒子の単位表面積あたりの光吸収率を向上させることが必要である。このためには増感色素の吸着密度を高めることが必要となるが、通常の分光増感色素はほぼ最密充填で単分子層で吸着し、それ以上吸着することはない。
以下に増感色素を粒子表面に多層吸着させるために提案された方法を述べる。ピー・ビー・ギルマン・ジュニアー(P.B.Gilman,Jr.)らは、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジンニアリング(Photographic Science and Engineering)第20巻3号、第97頁(1976年)において、1層目にカチオン色素を吸着させ、さらに2層目にアニオン色素を静電力を用いて吸着させた。
またジー・ビー・バード(G.B.Bird)らは米国特許3,622,316号において、複数の色素をハロゲン化銀に多層吸着させ、フェルスター(Forster)型励起エネルギ−移動の寄与によって増感させた。
しかしながら、これらの特許および文献の方法でも粒子好ましくはハロゲン化銀粒子の単位表面積あたりの光吸収率の点では不十分であり、さらなる技術開発を行う必要があった。
米国特許第3,622,316号明細書 P.B.Gilman,Jr.Photographic Science and Engineering 1976年 第20巻3号、第97頁
本発明の目的は、粒子表面の単位面積当たりの光吸収率の高い粒子特にハロゲン化銀粒子と、該粒子を利用した高感度な写真感光材料を提供することである。
本発明の前記目的は、下記の(1)〜(7)によって達成された。
(1) 粒子表面への色素の吸着方法であって、金属イオンとの配位結合定数が3×102 以上である色素を粒子に吸着させ、該金属イオンを該色素に結合させた後、該金属イオンとの配位結合定数が3×102 以上である色素を添加して吸着させることを特徴とする色素の吸着方法。
(2) 前記粒子表面上に色素が多層吸着していることを特徴とする、(1)に記載の色素の吸着方法。
(3) 色素の添加量の合計が前記粒子への該色素の飽和吸着量の140%以上に相当することを特徴とする(1)または(2)記載の色素の吸着方法。
(4) 前記色素の少なくとも1種が下記一般式(I)で表されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の色素の吸着方法。
一般式(I)
Figure 2005266819
式(I)中、METはメチン色素を表す。Qは金属への配位基を有するアルキル基を表す。nは1以上10以下の数を表す。
(5) 一般式(I)で表される色素が、下記一般式(II)で表されることを特徴とする(4)記載の色素の吸着方法。
一般式(II)
Figure 2005266819
式(II)中、L1 、L2 、L3 、L4 、L5 、L6 、及びL7 はメチン基を表す。p1 及びp2 は0または1を表す。n1は0、1、2、または3を表す。Z1及びZ2 は各々5または6員の含窒素複素環を形成するために必要な原子群を表す。M1 は電荷均衡対イオンを表し、m1 は分子の電荷を中和するのに必要な0以上8以下の数を表す。R1 及びR2 は各々アルキル基を表す。但し、R1 とR2 のうち少なくとも一方は、一般式(I)に記載のQで表される金属への配位基を有するアルキル基を表す。
(6) 後から添加する色素の還元電位が、先に添加する色素の還元電位と等しいかまたは卑であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の色素の吸着方法。
(7) 前記粒子がハロゲン化銀粒子であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の色素の吸着方法。
本発明により、粒子表面の単位面積当たりの光吸収率の高い色素の吸着方法が提供でき、該方法を適用された高感度なハロゲン化銀写真乳剤及び該乳剤を利用した高感度な写真感光材料を提供することができる。
本発明によれば、一層目の色素と二層目の色素が銀イオンに配位して、色素をハロゲン化銀粒子表面上に多層吸着させることができ、ハロゲン化銀粒子表面の単位面積当たりの増感色素による光吸収強度を100以上にすることができた。ここで単位表面積あたりの増感色素による光吸収強度とは、粒子の単位表面積に入射する光量をI0 、該表面で増感色素に吸収された光量をIとしたときの光学濃度Log(I0 /(I0 −I))を波数(cm-1)に対して積分した値と定義し、積分範囲は5000cm-1から35000cm-1までである。写真感光材料の種類によっては、より狭い波数範囲で強い吸収を持つことが必要であるため、光吸収強度の90%以上がxcm-1からx+5000cm-1(ただしxは前記範囲の光吸収強度が最大になる値、5000cm-1<x<30000cm-1)の積分区間に集中するように色素種を選択することがより好ましい。
本発明での飽和被覆量とは増感色素の分子占有面積を80Å2 としたときに乳剤粒子表面を完全に被覆する増感色素量である。
本発明において、増感色素の添加量は、好ましくは飽和被覆量の180%以上、更に好ましくは200%以上であり、また、500%以下であることが好ましい。
本発明において、ハロゲン化銀粒子外部の金属イオンとはハロゲン化銀粒子内部や粒子表面に吸着した金属イオン以外の金属イオンである。
また、本発明での配位結合定数とは、遊離の金属イオン濃度を〔M〕、遊離の色素濃度を〔A〕、配位結合した色素濃度を〔M−A〕としたときに
K=〔M−A〕/〔M〕〔A〕
で表される値である。複数分子の色素が金属イオンに配位する場合や一つの色素が複数の金属イオンと結合する場合にも、同様に配位定数を上記の式で定義する。
本発明では、色素と金属の配位結合定数は、3×102 以上であり、好ましくは5×102 以上であり、さらに好ましくは1×105 以上であり、特に好ましくは1×108 以上である(好ましくは1×1020以下である。)
以下、本発明について詳細に説明する。
一般式(I)において、METは、いかなるメチン色素でも良いが、好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3核メロシアニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素などが挙げられる。これらの色素の詳細については、エフ・エム・ハーマー(F. M. Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニンダイズ・アンド・リレイテイド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds - Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−スペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compouds - Special Topics in Heterocyclic Chemistry)」、第18章、第14節、482から515頁、ジョン・ウイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊、などに記載されている。シアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素の一般式は、米国特許第5、340、694号第21、22頁の(XI)、(XII)、(XIII)に示されているものが好ましい。
METで表されるメチン色素への置換基Qの置換位置としては複素環核でもメチン鎖でもN位でもかまわないが、好ましくは複素環核またはN位であり、特に好ましくはN位である。
一般式(II)中、Z1およびZ2が表す好ましい含窒素複素環核としては、チアゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ジヒドロナフトチアゾール、セレナゾール、ベンゾセレナゾール、ナフトセレナゾール、ジヒドロナフトセレナゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ピリジン、キノリン、イミダゾ[4,5-b]キノキザリンまたは3、3ージアルキルインドレニン等の含窒素複素環核が挙げられる。より好ましい含窒素複素環核としては、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ジヒドロナフトチアゾール、ベンゾセレナゾール、ナフトセレナゾール、ジヒドロナフトセレナゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール等の含窒素複素環核を表す場合である。
前記のZ1およびZ2が表す含窒素複素環核は置換基を一個以上有していてもよい。置換基としては特に制限はないが、Z1およびZ2が表す含窒素複素環核がベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール以外を表す場合の好ましい置換基の例をVとするとVの例としては、低級アルキル基(分岐していても更に置換基{例えば、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基等}を有していてもよい。より好ましくは総炭素数8以下のアルキル基。例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、クロロエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、ヒドロキシ基、ベンジル基、メトキシエチル基、エチルチオエチル基、エトキシカルボニルエチル基等が、挙げられる。)、低級アルコキシ基(更に置換基を有していてもよい。置換基の例としては前記アルキル基の置換基の例として挙げたものと同じ置換基等が挙げられる。より好ましくは総炭素数8以下のアルコキシ基で、例えばメトキシ基、エトキシ基、ペンチルオキシ基、エトキシメトキシ基、メチルチオエトキシ基、フェノキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、クロロプロポキシ基等が挙げられる。)、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、アニシル基、クロロフェニル基等)、複素環基(例えばチエニル基、フリル基、ピリジル基等)、アリールオキシ基(例えば、トリルオキシ基、アニシルオキシ基、フェノキシ基、クロロフェノキシ基)、アリールチオ基(例えば、トリルチオ基、クロロフェニルチオ基、フェニルチオ基)、低級アルキルチオ基(更に置換されていてもよく置換基の例としては、前記低級アルキル基の置換基の例として挙げたもの等が挙げられる。より好ましくは総炭素数8以下のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ヒドロキシエチルチオ基、クロロエチルチオ基、ベンジルチオ基等)、アシルアミノ基(より好ましくは総炭素数8以下のアシルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基(より好ましくは総炭素数6以下のアルコキシカルボニル基、例えばエトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、パーフルオロアルキル基(より好ましくは総炭素数5以下のパーフルオロアルキル基、例えばトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基等)及びアシル基(より好ましくは総炭素数8以下のアシル基、例えばアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、ベンゼンスルホニル基等)が挙げられる。また、Z1 及びZ2 が表す含窒素複素環核がベンズイミダゾール、ナフトイミダゾールを表す場合の好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基(より好ましくは総炭素数6以下のアルコキシカルボニル基、例えばエトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、パーフルオロアルキル基(より好ましくは総炭素数5以下のパーフルオロアルキル基、例えばトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基等)及びアシル基(より好ましくは総炭素数8以下のアシル基、例えばアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、ベンゼンスルホニル基等)が挙げられる。Z1およびZ2は同一でも異なっていてもよい。
1およびZ2が表す含窒素複素環核の具体例としては、例えば、ベンゾチアゾール、5−メチルベンゾチアゾール、6−メチルベンゾチアゾール、5−エチルベンゾチアゾール、5,6−ジメチルベンゾチアゾール、5−メトキシベンゾチアゾール、6−メトキシベンゾチアゾール、5−ブトキシベンゾチアゾール、5,6−ジメトキシベンゾチアゾール、5−メトキシ−6−メチルベンゾチアゾール、5−クロロベンゾチアゾール、5−クロロ−6−メチルベンゾチアゾール、5−フェニルベンゾチアゾール、5−アセチルアミノベンゾチアゾール、6−プロピオニルアミノベンゾチアゾール、5−ヒドロキシベンゾチアゾール、5−ヒドロキシ−6−メチルベンゾチアゾール、5−エトキシカルボニルベンゾチアゾール、5−カルボキシベンゾチアゾール、ナフト[1,2−d]チアゾール、ナフト[2,1−d]チアゾール、5−メチルナフト[1,2−d]チアゾール、8−メトキシナフト[1,2−d]チアゾール、8,9−ジヒドロナフトチアゾール、3,3−ジエチルインドレニン、3,3−ジプロピルインドレニン、3,3−ジメチルインドレニン、3,3,5−トリメチルインドレニン、ベンゾセレナゾール、5−メチルベンゾセレナゾール、6−メチルベンゾセレナゾール、5−メトキシベンゾセレナゾール、6−メトキシベンゾセレナゾール、5−クロロベンゾセレナゾール、5,6−ジメチルベンゾセレナゾール、5−ヒドロキシベンゾセレナゾール、5−ヒドロキシ−6−メチルベンゾセレナゾール、5,6−ジメトキシベンゾセレナゾール、5−エトキシカルボニルベンゾセレナゾール、ナフト[1,2−d]セレナゾール、ナフト[2,1−d]セレナゾール、ベンゾオキサゾール、5−ヒドロキシベンゾオキサゾール、5−メトキシベンゾオキサゾール、5−フェニルベンゾオキサゾル、5−フェネチルベンゾオキサゾール、5−フェノキシベンゾオキサゾール、5−クロロベンゾオキサゾール、5−クロロ−6−メチルベンゾオキサゾール、5−フェニルチオベンゾオキサゾール、6−エトキシ−5−ヒドロキシベンゾオキサゾール、6−メトキシベンゾオキサゾール、ナフト[1,2−d]オキサゾール、ナフト[2,1−d]オキサゾール、ナフト[2,3−d]オキサゾール、1−エチル−5−シアノベンズイミダゾール、1−エチル−5−クロロベンズイミダゾール、1−エチル−5,6−ジクロロベンズイミダゾール、1−エチル−6−クロロ−5−シアノベンズイミダゾール、1−エチル−6−クロロ−5−トリフルオロメチルベンズイミダゾール、1−エチル−6−フルオロ−5−シアノベンズイミダゾール、1−プロピル−5−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、1−ベンジル−5−メチルスルホニルベンズイミダゾール、1−アリル−5−クロロ−6−アセチルベンズイミダゾール、1−エチルナフト[1,2-d]イミダゾール、1−エチルナフト[2,3−d]イミダゾール、1−エチル−6−クロロナフト[2,3−d]イミダゾール、2−キノリン、4−キノリン、8−フルオロ−4−キノリン、6−メチル−2−キノリン、6−ヒドロキシ−2−キノリン、6−メトキシ−2−キノリン等が挙げられる。
一般式(I)中、Qは金属への配位基を有するアルキル基を表す。好ましいアルキル基として例えば、炭素数1から18、さらに好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、ピロピル、イソプロピル、ブチルイソブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル)、炭素数1から18、更に好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の置換アルキル基(置換基として例えば前述のVなどが挙げられる)などに配位基が置換したものが挙げられる。金属への配位基Qとしては1級、2級、及び3級アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基などが挙げられる。好ましくは1級、2級、及び3級アミノ基、カルボキシル基で、特に好ましくは1級、2級、及び3級アミノ基である。アルキル基に置換した配位基の数は1個でも良いが好ましくは2個以上6個以下で多座配位子を形成するものが好ましい。より好ましい配位基を有するアルキル基として例えば1,2−ジアミノエチル基、2,3−ジアミノプロピル基、2,3,4−トリアミノブチル基、2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)エチル基、1,10−フェナントロリン−5−イルメチル基、2−(3,4−ジアミノフェニル)エチル基、1,2−ジカルボキシエチル基、2,3−ジカルボキシプロピル基、2,3,4−トリカルボキシブチル基、2−(3,4−ジカルボキシフェニル)エチル基が挙げられ、特に好ましくは2,3−ジアミノプロピル基、2,3,4−トリアミノブチル基、2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)エチル基、2−(3,4−ジアミノフェニル)エチル基である。
一般式(II)中のR1及びR2はそれぞれアルキル基を表す。但し、R1とR2のうち少なくとも一方は、一般式(I)に記載のQで表される金属への配位基を有するアルキル基を表す。R1とR2が共にQで表される金属への配位基を有するアルキル基である時、より好ましい。
1とR2のうち一方がQで表される金属への配位基を有するアルキル基以外のアルキル基であるとき、好ましいアルキル基としては例えば、炭素原子1から18、好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル)、炭素原子1から18、好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の置換アルキル基{例えば前述のZ1などの置換基として挙げたVが置換した複素環基が挙げられる。好ましくはアラルキル基(例えばベンジル、2−フェニルエチル)、不飽和炭化水素基(例えばアリル基)、ヒドロキシアルキル基(例えば、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル)、カルボキシアルキル基(例えば、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、カルボキシメチル)、アルコキシアルキル基(例えば、2−メトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル)、アリーロキシアルキル基(例えば2ーフェノキシエチル、2ー(1ーナフトキシ)エチル)、アルコキシカルボニルアルキル基(例えばエトキシカルボニルメチル、2ーベンジルオキシカルボニルエチル)、アリーロキシカルボニルアルキル基(例えば3ーフェノキシカルボニルプロピル)、アシルオキシアルキル基(例えば2ーアセチルオキシエチル)、アシルアルキル基(例えば2ーアセチルエチル)、カルバモイルアルキル基(例えば2ーモルホリノカルボニルエチル)、スルファモイルアルキル基(例えばN,Nージメチルカルバモイルメチル)、スルホアルキル基(例えば、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、3−スルホブチル、4−スルホブチル、2−[3−スルホプロポキシ]エチル、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル、3−スルホプロポキシエトキシエチル)、スルホアルケニル基(例えば、スルホプロペニル基)、スルファトアルキル基(例えば、2ースルファトエチル基、3−スルファトプロピル、4−スルファトブチル)、複素環置換アルキル基(例えば2−(ピロリジン−2−オン−1−イル)エチル、テトラヒドロフルフリル)、アルキルスルホニルカルバモイルメチル基(例えばメタンスルホニルカルバモイルメチル基)}が挙げられる。
nはMETへのQが置換している数を表し、0以上10以下の数を表す。好ましくは1、2、3、及び4であり、特に好ましくは1及び2である。
一般式(II)中のL1、L2、L3、L4、L5、L6およびL7はそれぞれ独立にメチン基を表す。L1〜L7で表されるメチン基は置換基を有していてもよく、置換基としては例えば置換もしくは無置換の炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から5のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、2ーカルボキシルエチル基)、置換もしくは無置換の炭素数6から20、好ましくは炭素数6から15、さらに好ましくは炭素数6から10のアリール基(例えばフェニル基、o−カルボキシフェニル基)、置換もしくは無置換の炭素数3から20、好ましくは炭素数4から15、さらに好ましくは炭素数6から10の複素環基(例えばN,Nージエチルバルビツール酸基)、ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、フッ素、ヨウ素)、炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から5のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)、炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から5のアルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基)、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から15、さらに好ましくは炭素数6から10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ基)、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から15、さらに好ましくは炭素数6から10のアリールチオ基(例えばフェニルチオ基)、炭素数0から15、好ましくは炭素数2から10、さらに好ましくは炭素数4から10のアミノ基(例えば、N,Nージフェニルアミノ基、Nーメチル−Nーフェニルアミノ基、Nーメチルピペラジノ基)などが挙げられる。また他のメチン基と環を形成してもよい。
一般式(II)中、M1 は色素のイオン電荷を中性にするために必要であるとき、陽イオンまたは陰イオンの存在を示すために式中に含められている。典型的な陽イオンとしては水素イオン(H+ )、アルカリ金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えばカルシウムイオン)などの無機陽イオン、アンモニウムイオン(例えばアンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、エチルピリジニウムイオン)などの有機イオンが挙げられる。さらに、イオン性ポリマーまたは色素と逆電荷を有する他の色素を用いても良い。陰イオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例えばフッ素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロルベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1、3ーベンゼンジスルホン酸イオン、1、5ーナフタレンジスルホン酸イオン、2、6ーナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。さらに、イオン性ポリマーまたは色素と逆電荷を有する他の色素を用いても良い。好ましくは陰イオンである。m1 は分子の電荷を中和するのに必要な0以上8以下の数を表す。p1 およびp2 は0または1を表す。n1 は0、1、2、または3を表す。
以下に具体的な色素の例を示す。
Figure 2005266819
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Figure 2005266819
本発明においては上記の増感色素以外の増感色素も併用してもよく、例えば、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素などを用いることができる。特に有用な色素はシアニン色素である。
これらの色素類には、塩基性異節環核としてシアニン色素類に通常利用される核のいずれをも適用できる。すなわち、ピロリン核、トキサゾリン核、チアゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミグゾール核、テトラゾール核、ピリジン核など;これらの核に脂環式炭化水素環が融合した核;およびこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、すなわち、インドレニン核、ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサドール核、ナフトオキサゾール核、ベンズチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾイミダゾール核、キノリン核などが適用できる。これらの核は炭素原子上に置換されていてもよい。
メロシアニン色素または複合メロシアニン色素にはケトメチレン構造を有する核としてビラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核、2−チオセレナゾリン−2,4−ジオン核などの5〜6員異節環核を適用することができる。
例えばリサーチ・ディスクロージャー17643、第23頁IV項(1978年12月)に記載された化合物または引用された文献に記載された化合物を用いることができる。
より具体的には以下の化合物(色素)を用いることができる。
a:5,5'−ジクロロ−3,3'−ジエチルチアシアニン臭化物、
b:5,5'−ジクロロ−3,3'−ジ(4−スルホブチル)−チアシアニンNa塩、
c:5−メトキシ−4,5−ベンゾ−3,3'−ジ(3−スルホプロピル)チアシアニンNa塩、
d:5,5'−ジクロロ−3,3'−ジエチルセレナシアニン沃化物、
e:5,5'−ジクロロ−9−エチル−3,3'−ジ(3−スルホプロピル)チアカルボシアニンピリジニウム塩、
f:アンヒドロ−5,5'−ジクロロ−9−エチル−3−(4−スルホブチル)−3′−エチル水酸化物、
g:1,1−ジエチル−2,2'−シアニン臭化物、
h:1,1−ジペンチル−2,2'−シアニン過塩素酸、
i:9−メチル−3,3'−ジ(4−スルホブチル)−チアカルボシアニンピリジニウム塩、
j:5,5'−ジフェニル−9−エチル−3,3'−ジ(2−スルホエチル)−オキサカルボシアニンNa塩、
k:5−クロロ−5'−フェニル−9−エチル−3−(3−スルホプロピル)−3'−(2−スルホエチル)オキサカルボシアニンNa塩、
l:5,5'−ジクロロ−9−エチル−3,3'−ジ(3−スルホプロピル)オキサカルボシアニンNa塩、
m:5,5'−ジクロロ−6,6'−ジクロロ.−1,1'−ジエチル−3,3'−ジ(3−スルホプロピル)イミダカルボシアニンNa塩、
n:5,5'−ジフェニル−9−エチル−3,3'−ジ(3−スルホプロピル)チアカルボシアニンNa塩。
本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲン化銀写真乳剤中に含有せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、或いは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
また、米国特許3,469,987号明細書等に記載のごとき、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、該溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭46−24,185号等に記載のごとき、水不溶性色素を溶解することなしに水溶性溶剤中に分散させ、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23,389号、特公昭44−27,555号、特公昭57−22,091号等に記載されているごとき、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中へ添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液とし乳剤中へ添加する方法、米国特許3,822,135号、米国特許4,006,025号明細書等に記載のごとき、界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中へ添加する方法、特開昭53−102,733号、特開昭58−105,141号に記載のごとき、親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中へ添加する方法、特開昭51−74,624号に記載のごとき、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法等を用いる事も出来る。また、溶解に超音波を使用することも出来る。
本発明に用いられる一般式(I)および(II)で表される増感色素は、例えば、特開昭52−104,917号、特公昭43−25,652号、特公昭57−22,368号等の明細書や、F.M.Hamer, The Chemistry of Heterocyclic Compounds, Vol.18, The Cyanine Dyes and Related Compounds, A.Weissbergered., Interscience, New York, 1964.、D.M.Sturmer. The Chemistry of Heterocyclic Compounds, Vol.30, A.Weissberger and E.C.Taylor ed., John Willy,New York, p.441.、特開平4−146,966号等を参照すれば合成できる。
本発明においては粒子形成以後に金属イオン、特に後遷移金属イオンを含む遷移金属イオンを添加することが好ましい。
金属イオンとしては、例えば、銅(II)イオン、コバルトイオン(II)、亜鉛(II)イオン、ニッケルイオン(II)、クロムイオン(III)、鉄イオン(III)、カルシウムイオン(II)、ルテニウムイオン、ロジウムイオン、パラジウムイオン、銀イオン、白金イオン、金イオン、イリジウムイオン、あるいはランタノイドイオンやアクチノイドイオンなどを用いることができる。銅(II)イオン、コバルトイオン(II)、亜鉛(II)イオン、ニッケルイオン(II)、クロムイオン(III)、鉄イオン(III)、ルテニウムイオン、ロジウムイオン、パラジウムイオン、白金イオン、イリジウムイオン、あるいはランタノイドイオンやアクチノイドイオンの遷移金属イオンが好ましく用いられ、更に好ましくは、銅(II)イオン、コバルトイオン(II)、ニッケルイオン(II)、鉄イオン(III)の遷移金属イオンである。
金属イオンは金属塩をそのまま乳剤に添加しても、水などの溶媒に溶解して添加してもよく、水溶液として添加するのがより好ましい。また金属塩の対アニオンはいかなる対アニオンを用いることができるが、過塩素酸塩、硝酸塩などの比較的配位力の弱い対アニオンを持つ金属塩を用いることが好ましい。
金属イオンの添加量は一般式(I)または(II)で表される化合物の添加量の1/10から10倍モル程度の範囲で好ましく用いることができる。
色素添加及び金属イオン添加は乳剤調製時のいかなる時期に行っても良い。色素添加及び金属イオン添加は色素の一部を添加した後に金属イオンを添加し、その後残りの色素を添加しても、金属イオンを添加した後に色素を添加してもよい。数種の異なる一般式(I)または(II)で表される化合物を用いることも好ましく、これらの化合物はあらかじめ混合した後、乳剤に添加しても、別々に添加してもよい。数種の色素を添加する場合には後から添加する色素のゼラチン乾膜中での蛍光収率は好ましくは0.5以上であり、さらに0.8以上であることが好ましい。
また後から添加する色素の還元電位が先に添加する色素の還元電位と等しいかあるいは卑である、さらに0.03V以上卑であることがより好ましい。また後から添加する酸化電位が先に添加する色素の酸化電位より0.01V以上卑である、さらに0.03V以上卑であることがより好ましい。
ハロゲン化銀粒子の保護コロイドとしては、好ましくゼラチンを用いることができるが、ゼラチン中のアミノ基などが一般式(I)または(II)で表される化合物と金属イオンとの配位結合を阻害することもあるので、特開平4ー226449、特開昭50ー3329、米国特許第2525753号、同2614928号などに記載の修飾ゼラチンをより好ましく用いることができる。またポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミノプロピオン酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアルキレンオキシド、チオエーテルポリマーなどの合成保護コロイドも好ましく用いることができる。
色素の添加は一度に添加しても分割して添加してもあるいは一定時間にわたって連続的に添加しても良い。色素および金属イオンの添加時の乳剤温度は何度でも良いが、好ましくは10℃以上75℃以下、特に好ましくは30℃以上65℃以下である。
本発明で用いられる乳剤は未化学増感でもよいが、化学増感してあることが好ましい。色素の全添加量が化学増感前に添加されてもよいし、化学増感後に添加されてもよいが、好ましくは添加色素の一部を添加した後に化学増感を行い、その後残りの色素を添加することでより最適に化学増感が可能となる。
化学増感方法としては、いわゆる金化合物による金増感法(例えば、米国特許2,448,060号、同3,320,069号)またはイリジウム、白金、ロジウム、パラジウム等の金属による増感法(例えば、米国特許2,448,060号、同2,566,245号、同2,566,263号)、或いは含硫黄化合物を用いる硫黄増感法(例えば、米国特許2,222,264号)、セレン化合物を用いるセレン増感法、或いは、錫塩類、二酸化チオ尿素、ポリアミン等による還元増感法(例えば、米国特許2,487,850号、同2,518,698号、同2,521,925号)、或いはこれらの二つ以上の組み合わせを用いる事ができる。
本発明の吸着方法を用いたハロゲン化銀乳剤は、金増感または硫黄増感、或いはこれらの併用がより好ましい。好ましい金増感剤及び硫黄増感剤の添加量は、各々銀1モル当たり1×10-7〜1×10-2モルであり、より好ましくは5×10-6〜1×10-3である。金増感と硫黄増感の併用の場合の金増感剤と硫黄増感剤の好ましい比率はモル比で1:3〜3:1であり、より好ましくは1:2〜2:1である。
上記化学増感を行う温度としては、30℃から90℃の間の任意の温度から選択できる。また、化学増感を行う際のpHは、4.5から9.0、好ましくは5.0から7.0の範囲で行われる。化学増感の時間は、温度、化学増感剤の種類及び使用量、pH等で変わるため、一概に決められないが、数分から数時間の間で任意に選ぶことができ、通常は10分から200分の間で行われる。
感光機構をつかさどる写真乳剤にはハロゲン化銀として臭化銀、ヨウ臭化銀、塩臭化銀、ヨウ化銀、ヨウ塩化銀、ヨウ臭塩化銀、塩化銀のいずれを用いてもよいが、乳剤最外表面のハロゲン組成が0.1mol%以上、さらに好ましくは1mol%以上、特に好ましくは5mol%以上のヨードを含むことによりより強固な多層吸着構造が構築できる。
粒子サイズ分布は、広くても狭くてもいずれでもよいが、狭い方がよりこのましい。
写真乳剤のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体、斜方十二面体のような規則的(regular)な結晶体を有するもの、また球状、板状などのような変則的(irregular)な結晶形をもつもの、高次の面((hkl)面)をもつもの、あるいはこれらの結晶形の粒子の混合からなってもよいが、好ましくは平板状粒子であり、特に好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の粒子である。ここで言うアスペクト比とは平板状粒子の円相当径を厚みで割った値である。高次の面を持つ粒子についてはJournal of Imaging Science誌、第30巻(1986年)の247頁から254頁を参照することができる。
また、本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、上記のハロゲン化銀粒子を単独または複数混合して含有していても良い。ハロゲン化銀粒子は、内部と表層が異なる相をもっていても、接合構造を有するような多相構造であっても、粒子表面に局在相を有するものであっても、あるいは粒子全体が均一な相から成っていても良い。またそれらが混在していてもよい。
これら各種の乳剤は潜像を主として表面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部潜像型のいずれでもよい。
本発明に用いられる写真乳剤は、グラフキデ著「写真の化学と物理」(P.Glafkides,Chemie et Physique Photogーraphique,Paul Montel,1967.)、ダフイン著「写真乳剤化学」(G.F.Daffin,Photographic Emulsーion Chemistry,Focal Press,1966.)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」(V.L.Zelikman et al.,Making and Coating Photographic Emuーlsion,Focal Press,1964.)、F.H.Claeset al.,The Journal of Photographic Science,(21) 39〜50,1973.及びF.H.Claes et al.,The Journal of Photographic Science,(21) 85〜92,1973.等の文献、特公昭55−42,737号、米国特許第4,400,463号、米国特許第4,801,523号、特開昭62−218,959号、同63−213,836号、同63−218,938号、特開平2−32号等の明細書に記載された方法を用いて調製する事ができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを用いてもよい。粒子を銀過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いる事もできる。同時混合法の一つの形式として、ハロゲン化銀の生成する液相中のpAgを一定に保つ方法、即ち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いる事もできる。この方法によると、結晶形が規則的で粒子サイズが均一に近いハロゲン化銀乳剤が得られる。
更に、ハロゲン化銀粒子形成過程が終了するまでの間に既に形成されているハロゲン化銀に変換する過程を含むいわゆるコンバージョン法によって調製した乳剤や、ハロゲン化銀粒子形成過程の終了後に同様のハロゲン変換を施した乳剤もまた用いる事ができる。
本発明のハロゲン化銀粒子の製造時に、ハロゲン化銀溶剤を用いても良い。
しばしば用いられるハロゲン化銀溶剤としては、例えば、チオエーテル化合物(例えば米国特許3,271,157号、同3,574,628号、同3,704,130号、同4,276,347号等)、チオン化合物及びチオ尿素化合物(例えば特開昭53−144,319号、同53−82,408号、同55−77,737号等)、アミン化合物(例えば特開昭54−100,717号等)などを挙げる事ができ、これらを用いる事ができる。また、アンモニアも悪作用を伴わない範囲で使用する事ができる。
本発明のハロゲン化銀粒子の製造時に、粒子成長を速めるために、添加する銀塩溶液(例えば、硝酸銀水溶液)とハロゲン化物溶液(例えば、食塩水溶液)の添加速度、添加量、添加濃度を時間に従って上昇させる方法が好ましく用いられる。これらの方法に関しては、例えば、英国特許1,335,925号、米国特許3,672,900号、同3,650,757号、同4,242,445号、特開昭55−142,329号、同55−158,124号、同55−113,927号、同58−113,928号、同58−111,934号、同58−111,936号等の記載を参考にする事が出来る。
ハロゲン化銀粒子形成または物理熟成の過程に於いて、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、タリウム塩、レニウム塩、ルテニウム塩、イリジウム塩またはその錯塩、ロジウム塩またはその錯塩、鉄塩またはその錯塩等を共存させてもよい。特に、レニウム塩、イリジウム塩、ロジウム塩、または鉄塩がより好ましい。
これらの添加量としては、必要に応じ任意の量を添加できるが、例えば、イリジウム塩(例えば、Na3IrCl6 、Na2IrCl6、Na3IrCN)6 等)は、銀1モル当たり1×10-8以上、1×10-5以下の範囲の量が、ロジウム塩(例えば、RhCl3 、K3 Rh(CN)6 等)は銀1モル当たり1×10-8以上、1×10-6以下の範囲の量が望ましい。
本発明の色素の吸着法を用いた写真感光材料には種々のカラーカプラーを使用する事ができ、その具体例は前出のリサーチ・ディスクロージャーNo.17643、VII−C〜G、及び同No.307105、VII−C〜Gに記載された特許等に記載されているが、バラスト基とよばれる疎水性基を有する非拡散性のもの、またはポリマー化されたものが望ましい。カプラーは、銀イオンに対し4当量性或いは2当量性のどちらでもよい。また、色補正の効果をもつカラードカプラー、或いは、現像に伴って現像抑制剤を放出するカプラー(いわゆる DIRカプラー)を含んでも良い。また、カップリング反応の生成物が無色であって、現像抑制剤を放出する無呈色 DIRカップリング化合物を含んでも良い。
好ましく使用されるカプラーとしては、例えば、シアンカプラーとしては、ナフトール系カプラー、フェノール系カプラー等があるが、米国特許 2,369.929号、同 2,772,162号、同 2,801,171号、同 2,895,826号、同 3,446,622号、同 3,758,308号、同 3,772,002号、同 4,052,212号、同 4,126,396号、同 4,146,396号、同 4,228,233号、同 4,254,212号、同 4,296,199号、同 4,296,200号、同 4,327,173号、同 4,333,999号、同 4,334,011号、同 4,343,011号、同 4,427,767号、同 4,451,559号、同 4,690,889号、同 4,775,616号、西独特許公開 3,329,729号、欧州特許 121,365A 号、同 249,453A 号、特開昭 61-42,658号等に記載のカプラーがより好ましい。
マゼンタカプラーとしては、米国特許 4,500,630号等に記載のイミダゾ〔1,2-b 〕ピラゾール類、米国特許 4,540,654号等に記載のピラゾロ〔1,5-b 〕〔1,2,4 〕トリアゾール類は特に好ましい。その他、特開昭 61-65,245号に記載されているような分岐アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2位、3 位または6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭 61-65,246号に記載されているような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭 61-147,254 号に記載されているようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基をもつピラゾロアゾールカプラーや欧州特許(公開) 226,849号や同 294,785号に記載されたような 6位にアルコキシ基やアリーロキシ基をもつピラゾロトリアゾールカプラーの使用が好ましく、その他、米国特許 3,061,432号、同 3,725,067号、同 4,310,619号、同 4,351,897号、同 4,556,630号、欧州特許 73,636 号、特開昭 55-118,034 号、同 60-35,730号、同 60-43,659号、同 60-185,951 号、同 61-72,238号、国際公開 WO88/04795 号、及びリサーチ・ディスクロージャーNo.24220、同No.24230に記載の特許等に記載のカプラーがより好ましい。
イエローカプラーとしては、例えば、米国特許 3,933,501号、同 3,973,968号、同 4,022,620号、同 4,248,961号、同 4,314,023号、同 4,326,024号、同 4,401,752号、同 4,511,649号、欧州特許 249,473A 号、特公昭 58-10,739号、英国特許 1,425,020号、同 1,476,760号等に、記載のカプラーがより好ましく、ピバロイルアセトアニリド類の使用がより好ましい。
上記、好ましく使用され得るカプラーは、特開平 2-248,945号に好ましいカプラーとして詳述されているカプラーと同様のカプラーであり、上記、本発明に於いて、好ましく使用され得るカプラーの具体例としては、同 2-248,945号 22〜29頁に記載されたカプラー具体例と同じ化合物が挙げられる。
ポリマー化された色素形成カプラーの典型例としては、米国特許 3,451,820号、同 4,080,211号、同 4,367,282号、同 4,409,320号、同 4,576,910号、欧州特許 341,188A 号、英国特許 2,102,137号等に記載されており、それらの使用がより好ましい。
発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、米国特許 4,366,237号、欧州特許 96,570 号、英国特許 2,125,570号、西独特許公開 3,234,533号に記載のものが好ましい。発色色素の不要吸収を補正するためのカラード・カプラーは、リサーチ・ディスクロージャーNo.17643、VII −G項、同No.307105、VII G項に記載された特許、米国特許 4,004,929号、同 4,138,258号、同 4,163,670号、英国特許 1,146,368号、特公昭 57-39413 号に記載のものが好ましい。また、米国特許 4,774,181号に記載のカップリング時に放出される蛍光色素により発色色素の不要吸収を補正するカプラーや米国特許 4,777,120号に記載の現像主薬と反応して色素を形成しうる色素プレカーサー基を離脱基として有するカプラーを用いることも好ましい。
カップリングに伴って写真的に有用な残基を放出する化合物もまた本発明で好ましく使用できる。現像抑制剤を放出するDIRカプラーは、前述のRD.No.17643、VII −F項、同No.307105、VII −F項に記載された特許、特開昭 57ー151944号、同 57ー154234号、同 60ー184248号、同 63ー37346 号、同 63ー37350 号、米国特許 4,248,962号、同 4,782,012号に記載されたものが好ましい。
現像時に画像状に造核剤もしくは現像促進剤を放出するカプラーとしては、特開昭 59ー157638号、同 59ー170840号、英国特許 2,097,140号、同 2,131,188号に記載されたものが好ましい。また、特開昭 60ー107029号、同 60ー252340号、特開平 1ー44940号、同 1ー45687号に記載の現像薬の酸化体との酸化還元反応により、被らせ剤、現像促進剤、ハロゲン化銀溶剤などを放出する化合物も好ましい。
その他、感光材料に用いることのできる化合物としては、米国特許4,130,427号などに記載の競争カプラー、米国特許4,283,472号、同4,338,393号、同4,310,618号などに記載の多等量カプラー、特開昭60ー185950号、同62ー24252号などに記載のDIRレドックス化合物放出カプラー、DIRカプラー放出カプラー、DIRカプラー放出レドックス化合物もしくはDIRレドックス放出レドックス化合物、欧州特許173,302A 号、同313,308A号などに記載の離脱後復色する色素を放出するカプラー、RD.No.11449、同No.24241に記載された特許並びに特開昭61−201247号等に記載の漂白促進剤放出カプラー、米国特許4,555,477号などに記載のリガンド放出カプラー、特開昭63ー75747号等に記載のロイコ色素を放出するカプラー、米国特許4,774,181号などに記載の蛍光色素を放出するカプラー等が挙げられる。
前記カプラー等は、感光材料に求められる特性を満足するために同一層に二種類以上を併用することもできるし、同一の化合物を異なった二層以上に添加することも、勿論差し支えない。
前記カプラーは、感光層を構成するハロゲン化銀写真乳剤層中に、通常ハロゲン化銀 1モル当たり 0.1〜1.0 モル、好ましくは 0.1〜0.5 モル含有される。
前記カプラーを感光層に添加するためには、公知の種々の技術を適用することができる。通常、オイルプロテクト法として公知の水中油滴分散法により添加することが出来、溶媒に溶解した後、界面活性剤を含むゼラチン水溶液中に乳化分散させる。或いは、界面活性剤を含むカプラー溶液中に水或いはゼラチン水溶液を加え、転相を伴って水中油滴分散物としてもよい。また、アルカリ可溶性のカプラーは、いわゆるフィッシャー分散法によっても分散できる。カプラー分散物から、蒸留、ヌードル水洗或いは限外濾過などの方法により、低沸点有機溶媒を除去した後、写真乳剤と混合しても良い。
このようなカプラーの分散媒としては誘電率 (25℃ 2〜20、屈折率 (25℃ 1.5〜1.7 の高沸点有機溶媒及び/または水不溶性高分子化合物を使用するのが好ましい。好ましい高沸点有機溶媒としては、前述の特開平 2-248,945号の 30 頁に記載されているような溶媒が用いられるが、融点が 100℃以下、沸点が 140℃以上の水と非混和性の化合物で、カプラーの良溶媒であれば使用できる。高沸点有機溶媒の融点は好ましくは 80 ℃以下であり、沸点は、好ましくは 160℃以上、より好ましくは 170℃以上である。
これらの高沸点有機溶媒の詳細については、特開昭 62-215,272 号の 137頁右下欄〜144 頁右上欄に記載されている。
また、これらのカプラーは前記の高沸点有機溶媒の存在下で、または不存在下でローダブルラテックスポリマー(例えば、米国特許 4,203,716号)に含浸させて、または水不溶性且つ有機溶媒可溶性のポリマーに溶かして親水性コロイド水溶液に乳化分散させることができる。好ましくは国際公開WO 88/00723 号 12〜30頁に記載の単独重合体または共重合体が用いられ、特にアクリルアミド系ポリマーの使用が色像安定化等の上で好ましい。
また、前述のカプラーとともに、特に下記のような化合物を使用することが好ましい。 即ち、発色現像後に残存する芳香族アミン系現像主薬と化学結合して、化学的に不活性で且つ実質的に無色の化合物を生成する化合物及び/または発色現像後に残存する芳香族アミン系発色現像主薬の酸化体と結合して、化学的に不活性で且つ実質的に無色の化合物を生成する化合物を同時または単独に用いることが、例えば、処理後の保存中に於ける膜中残存発色現像主薬ないしその酸化体とカプラーとの反応による発色色素生成によるステイン発生その他の副作用を防止する上で好ましい。かかる化合物及びその好ましい条件については、特開平 2-248,945号 31 〜32頁に詳述されており、前者の化合物の好ましい具体例としては、特開昭 63-158,545 号、同 62-283,338 号、64-2042 号、欧州特許公開EP 277,589号、同 298,321号等に記載されている化合物が挙げられ、後者の化合物の好ましい具体例としては、特開昭 62-143,048 号、同 62-229,145 号、欧州公開特許EP 255,722号、特開昭64-2042 号、特開平1-57259 号、同1-230039号、欧州特許公開 277,589号、同 298,321号等に記載されている化合物が挙げられる。また、前記の前者の化合物と後者の化合物との組み合わせの詳細については、欧州特許公開 277,589号に記載されている。
本発明の色素吸着法に係る乳剤を含有したハロゲン化銀写真感光材料のハロゲン化乳剤層または/及び他の親水性コロイド層には、画像鮮鋭度やセーフライト安全性をより高めたり、混色をより防ぐなどの目的の為に染料を用いても良い。染料は上記の乳剤が含有された層であっても、含有されてない層であっても良いが、好ましくは特定の層に固定するのが良い。そのためには染料をコロイド層中に耐拡散性状態で含有させ、且つ現像処理の過程で脱色できるよう用いる。第1にはpH7の水に実質的に不溶であり、pH7以上の水に可溶となる染料の微粒子分散物を用いることである。第2には、酸性染料を、カチオンサイトを提供するポリマーまたはポリマーラテックスとともに用いることである。第1及び第2の方法には、特開昭 63ー197,947 号明細書に記載の一般式(VI)及び(VII)によって表される染料が有用である。特に、第1の方法には、カルボキシ基を持つ染料が有用である。
感光材料中には、フェネチルアルコールや特開昭 62-272248号、同 63ー257747号、特開平 1ー80941号に記載の1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、n−ブチル−p−ヒドロキシベンゾエート、フェノール、4−クロロ−3,5−ジメチルフェノール、2−フェノキシエタノール、2ー(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール等の各種の防腐剤もしくは防黴剤を添加することが好ましい。
写真感光材料のその他の添加剤に関しては、特に制限は無く、例えば、リサーチ・ディスクロージャー誌(Reserch Disclosure)176巻アイテム17643(RD17643)、同187巻アイテム18716(RD18716)及び308巻アイテム308119(RD308119)の記載を参考にすることができる。
RD17643及びRD18716に於ける各種添加剤の記載箇所を以下にリスト化して示す。
添加剤種類 RD17643 RD18716 RD308119
1 化学増感剤 23頁 648頁右欄 996頁
2 感度上昇剤 同上
3 分光増感剤、強色増感剤 23〜24頁 648頁右欄 996頁右欄
〜649頁右欄 〜998頁右欄
4 増白剤 24頁 998頁右欄
5 被り防止剤、安定化剤 24〜25頁 649頁右欄 998頁右欄
〜1000頁右欄
6 光吸収剤、フィルター 染料、 25〜26頁 649頁右欄 1003頁左欄
紫外線吸収剤 〜650頁左欄 〜1003頁右欄
7 ステイン防止剤 25頁右欄 650頁左欄 1002頁右欄
〜右欄
8 色素画像安定剤 25頁 1002頁右欄
9 硬膜剤 26頁 651頁左欄 1004頁右欄
〜1005頁左欄
10 バインダー 26頁 同上 1003頁右欄
〜1004頁右欄
11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 1006頁左欄
〜1006頁右欄
12 塗布助剤、表面活性剤 26〜27頁 同上 1005頁左欄
〜1006頁左欄
13 スタチック防止剤 27頁 同上 1006頁右欄
〜1007頁左欄
14 マット剤 1008頁左欄
前記写真感光材料は、例えば、撮影用黒白及びカラーネガフィルム(一般用、映画用)、カラー反転フィルム(スライド用、映画用)、白黒及びカラー印画紙、カラーポジフィルム(映画用)、カラー反転印画紙、熱現像用白黒及びカラー感光材料、製版用黒白及びカラー写真感光材料(リスフィルム、スキャナーフィルム等)、白黒及びカラー医療用及び工業用感光材料、白黒及びカラー拡散転写感光材料(DTR)等に適用できるが、特にカラーペーパーに好ましく用いる事ができる。
使用できる適当な支持体、例えば、前述のRD.No.17643 の28頁、同No.18716の647 頁右欄から648 頁左欄及び同No.307105 の879 頁に記載されている。
前記感光材料の写真処理には、公知の方法のいずれをも用いることができるし、処理液には公知のものを用いることができる。また、処理温度は、通常、18℃から50℃の間に選ばれるが、18℃より低い温度、または50℃を越える温度としてもよい。目的に応じ、銀画像を形成する現像処理(黒白写真処理)、或いは、色素像を形成すべき現像処理からなるカラー写真処理のいずれをも適用する事ができる。
黒白現像液には、ジヒドロキシベンゼン類(例えば、ハイドロキノン)、3ーピラゾリドン類(例えば、1ーフェニルー3−ピラゾリドン)、アミノフェノール類(例えば、N-メチル−p-アミノフェノール)等の公知の現像主薬を単独或いは組み合わせて用いることができる。
カラー現像液は、一般に、発色現像主薬をふくむアルカリ性水溶液からなる。 発色現像主薬は公知の一級芳香族アミン現像剤、例えば、フェニレンジアミン類(例えば、4ーアミノ-N,N−ジエチルアニリン、4ーアミノ-3−メチル−N,N-ジエチルアニリン、4ーアミノ-N−エチル−N-β−ヒドロキシエチルアニリン、4ーアミノ-3−メチル−N−エチル−N-β−ヒドロキシエチルアニリン、4ーアミノ-3−メチル−N−エチル−N-β−メタンスルホニルアミノエチルアニリン、4ーアミノ-3−メチル−N−エチル−N-β−メトキシエチルアニリン等)を用いることができる。
この他、L.F.A.メソン著「フォトグラフィック・プロセシン・ケミストリー」、フォーカル・プレス刊(1966年)、226〜229頁、米国特許 2,193,015号、同 2,592,364号、特開昭 48-64,933号等に記載のものを用いても良い。
現像液は、その他アルカリ金属の亜硫酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩及び燐酸塩のごときpH緩衝剤、臭化物、沃化物、及び有機被り防止剤の如き現像抑制剤ないし被り防止剤等を含むことができる。また、必要に応じて、硬水軟化剤、ヒドロキシアミンの如き保恒剤、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールの如き有機溶剤、ポリエチレングリコール、四級アンモニウム塩、アミン類の如き現像促進剤、色素形成カプラー、競争カプラー、ナトリウムボロンハイドライドの如き被らせ剤、1ーフェニルー3−ピラゾリドンの如き補助現像薬、粘性付与剤、米国特許4,083,723 号に記載のポリカルボン酸系キレート剤、西独公開(OLS) 2,622,950号に記載の酸化防止剤等を含んでも良い。
カラー写真処理を施した場合、発色現像後の写真感光材料は通常漂白処理される。漂白処理は、定着処理と同時に行われてもよいし、個別に行われてもよい。漂白剤としては、例えば、鉄(III)、コバルト(III)、クロム(IV)、銅(II)等の多価金属の化合物、過酸類、キノン類、ニトロソ化合物等が用いられる。例えば、フェリシアン化物、重クロム酸塩、鉄(III)またはコバルト(III)の有機錯塩、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,3-ジアミノー2−プロパノール四酢酸等のアミノポリカルボン酸類或いはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸の錯塩、過硫酸塩、過マンガン酸塩、ニトロソフェノール等を用いることができる。これらのうち、フェリシアン化カリウム、エチレンジアミン四酢酸鉄(III)ナトリウム錯塩及びエチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウム錯塩は特に有用である。エチレンジアミン四酢酸鉄(III)錯塩は独立の漂白液に於いても、一浴漂白定着液に於いても、有用である。
漂白または漂白定着液には、米国特許 3,042,520 号、同 3,241,966 号、特公昭 45-8,506 号、特公昭 45-8,836 号等に記載のチオール化合物の他、種々の添加剤を加えることもできる。また、漂白または漂白・定着処理後は水洗処理してもよく安定化浴処理するのみでもよい。
本発明は透明磁気記録層を有するハロゲン化銀写真感光材料に好ましく適応できる。本発明で用いる磁気記録層を担持したハロゲン化銀感材は、特開平6−35118号、特開平6−17528号、発明協会公開技報94−6023号に詳細に記載される予め熱処理したポリエステルの薄層支持体、例えば、ポリエチレン芳香族ジカルボキシレート系ポリエステル支持体で、50μm〜300μm、好ましくは50μm〜200μm、より好ましくは80〜115μm、特に好ましくは85〜105μmを40℃以上、ガラス転移点温度以下の温度で1〜1500時間熱処理(アニール)し、特公昭43−2603号、特公昭43−2604号、特公昭45−3828号記載の紫外線照射、特公昭48−5043号、特開昭51−131576号等に記載のコロナ放電、特公昭35−7578号、特公昭46−43480号記載のグロー放電等の表面処理し、米国特許5,326,689号に記載の下塗りを行い必要に応じ米国特許2,761,791号に記載された下引き層を設け、特開昭59−23505号、特開平4−195726号、特開平6−59357号記載の強磁性体粒子を塗布すれば良い。 なお、上述した磁性層は特開平4−124642号、特開平4−124645号に記載されたストライプ状でも良い。
更に、必要に応じ、特開平4−62543号の帯電防止処理をし、最後にハロゲン化銀写真乳剤を塗布した物を用いる。ここで用いるハロゲン化銀写真乳剤は特開平4−166932号、特開平3−41436号、特開平3−41437号を用いる。
こうして作る感材は特公平4−86817号記載の製造管理方法で製造し、特公平6−87146号記載の方法で製造データを記録するのが好ましい。その後、またはその前に、特開平4−125560号に記載される方法に従って、従来の135サイズよりも細幅のフィルムにカットし、従来よりも小さいフォーマット画面にマッチするようにパーフォレーションを小フォーマット画面当たり片側2穴せん孔する。
こうして出来たフィルムは特開平4−157459号のカートリッジ包装体や特開平5−210202号実施例の図9記載のカートリッジ、または米国特許4,221,479号のフィルムパトローネや米国特許4,834,306号、米国特許4,834,366号、米国特許5,226,613号、米国特許4,846,418号記載のカートリッジに入れて使用する。
ここで用いるフィルムカートリッジまたはフィルムパトローネは米国特許4,848,693号、米国特許5,317,355号の様にベロが収納できるタイプが光遮光性の観点で好ましい。
さらには、米国特許5,296,886号の様なロック機構を持ったカートリッジや米国特許5,347,334号に記載される使用状態が表示されるカートリッジ、二重露光防止機能を有するカートリッジが好ましい。
また、特開平6−85128号に記載の様にフィルムを単にカートリッジに差し込むだけで容易にフィルムが装着されるカートリッジを用いても良い。
こうして作られたフィルムカートリッジは次に述べるカメラや現像機、ラボ機器を用いて合目的に撮影、現像処理、色々な写真の楽しみ方に使用できる。
例えば、特開平6−8886号、特開平6−99908号に記載の簡易装填式のカメラや特開平6−57398号、特開平6−101135号記載の自動巻き上げ式カメラや特開平6−205690号に記載の撮影途中でフィルムの種類を取り出し交換出来るカメラや特開平5−293138号、特開平5−283382号に記載の撮影時の情報、例えば、パノラマ撮影、ハイヴィジョン撮影、通常撮影(プリントアスペクト比選択の出来る磁気記録可能)をフィルムに磁気記録出来るカメラや特開平6−101194号に記載の二重露光防止機能を有するカメラや特開平5−150577号に記載のフィルム等の使用状態表示機能の付いたカメラなどを用いるとフィルムカートリッジ(パトローネ)の機能を充分発揮できる。
この様にして撮影されたフィルムは特開平6−222514号、特開平6−212545号に記載の自現機で処理するか、処理の前または最中または後で特開昭6−95265号、特開平4−123054号に記載のフィルム上の磁気記録の利用法を用いても良いし、特開平5−19364号記載のアスペクト比選択機能を利用しても良い。
現像処理する際シネ型現像であれば、特開平5−119461号記載の方法でスプライスして処理する。
また、現像処理する際または後、特開平6−148805号記載のアタッチ、デタッチ処理する。 こうして処理した後で、特開平2−184835号、特開平4−186335号、特開平6−79968号に記載の方法でカラーぺーパーへのバックプリント、フロントプリントを経てフィルム情報をプリントへ変換しても良い。
更には、特開平5−11353号、特開平5−232594号に記載のインデックスプリントおよび返却カートリッジと共に顧客に返却しても良い。
増感色素の乳剤粒子への吸着量の評価は、色素を吸着させた乳剤を遠心分離器にかけて乳剤粒子と上澄みのゼラチン水溶液に分離し、上澄み液の分光吸収測定から未吸着色素濃度を求めて添加色素量から差し引くことで吸着色素量を求める方法と、沈降した乳剤粒子を乾燥し、一定重量の沈殿をチオ硫酸ナトリウム水溶液とメタノールの1:1混合液に溶解し、分光吸収測定することで吸着色素量を求める方法の2つの方法を併用して行った。色素添加量の多い条件では未吸着色素までも沈降することがあり上澄み中の色素濃度を測定する方法では必ずしも正しい吸着量が得られないことがあった。一方沈降したハロゲン化銀粒子を溶解して色素吸着量を測定する方法であれば乳剤粒子の方が圧倒的に沈降速度が速いため粒子と沈降した色素は容易に分離でき、粒子に吸着した色素量だけを正確に測定できることが分かった。
粒子表面の単位面積当たりの光吸収強度は、顕微分光光度計を用いて求めることができる。顕微分光光度計は微少面積の吸収スペクトルが測定できる装置であり、一粒子の透過スペクトルの測定が可能である。この吸収スペクトルから一粒子あたりの吸収強度が求められるが、粒子を透過する光は上部面と下部面の2面で吸収されるため、粒子表面の単位面積当たりの吸収強度は前述の方法で得られた一粒子あたりの吸収強度の1/2として求めることができる。
[実施例]
次に本発明をより詳細に説明するため、以下に実施例を示すが、本発明はそれらに限定されるものではない。
純臭化銀平板粒子乳剤およびヨウ臭化銀平板粒子乳剤の調製
1.2リットルの水に臭化カリウム6.4gと平均分子量が1万5千以下の低分子量ゼラチン6.2gを溶解させ30℃に保ちながら16.4%の硝酸銀水溶液8.1mlと23.5%の臭化カリウム水溶液7.2mlを10秒にわたってダブルジェット法で添加した。次に11.7%のゼラチン水溶液をさらに添加し75℃に昇温し40分間熟成させた後、32.2%の硝酸銀水溶液370mlと20%の臭化カリウム水溶液を、銀電位を−20mVに保ちながら10分間にわたって添加し、1分間物理熟成後温度を35℃に下げた。このようにして平均投影面積径2.32μm、厚み0.09μm、直径の変動係数15.1%の単分散純臭化銀平板乳剤(比重1.15)を得た。
この後凝集沈殿法により可溶性塩類を除去した。再び温度を40℃に保ち、前記フタル化処理ゼラチン45.6g、1mol/リットルの濃度の水酸化ナトリウム水溶液を10ml、水167ml、さらに5%フェノール10mlを添加し、pAgを6.88、pHを6.16に調整し、乳剤Aを得た。
乳剤Aの調製においてゼラチンの替わりに米国特許2525753号に記載の方法で調製したフタル化処理ゼラチンを用いて調整した乳剤を乳剤Bとした。
その後乳剤A及びBを最適感度となるようにチオシアン酸カリウムと塩化金酸およびチオ硫酸ナトリウムを添加し、55℃で50分間熟成した。
上記のようにして得られた乳剤を50℃に保ちながら表1に示した色素を0.55mol /Ag mol(被覆率で約100相当量)添加し、50℃で10分間撹拌した後、硝酸銅(II)水溶液を0.30mol/Agmol添加した後、更に色素を0.55mol/Agmol添加し、50℃で30分間撹拌した。
以上のようにして試料101〜110を作成した。
Figure 2005266819
Figure 2005266819
Figure 2005266819
なお、試料108においては硝酸銅が使用されていないが、乳剤中には銀イオンが存在し、色素−銀イオンの結合定数が本発明で規定する値を越えているので本発明の試料となる。
色素吸着量は、得られた液体乳剤を10,000rpmで10分間遠心沈降させ、沈殿を凍結乾燥した後、沈殿0.05gを25%チオ硫酸ナトリウム水溶液25mlとメタノールを加えて50mlにした。この溶液を高速液体クロマトグラフィーで分析し、色素濃度を定量して求めた。
単位面積当たりの光吸収強度の測定は、得られた乳剤をスライドガラス上に薄く塗布し、カールツアイス株式会社製の顕微分光光度計MPS65を用いて以下の方法でそれぞれの粒子の透過スペクトルおよび反射スペクトルを測定して、吸収スペクトルを求めた。透過スペクトルのリファレンスは粒子の存在しない部分を、反射スペクトルは反射率の分かっているシリコンカーバイドを測定してリファレンスとした。測定部は直径1μmの円形アパチャー部であり、粒子の輪郭にアパーチャー部が重ならないように位置を調整して14000cm-1(714nm)から28000cm-1(357nm)までの波数領域で透過スペクトル及び反射スペクトルを測定し、1−T(透過率)−R(反射率)を吸収率Aとして吸収スペクトルを求めた。ハロゲン化銀の吸収を差し引いて吸収率A’とし、−Log(1−A’)を波数(cm-1)に対して積分した値を1/2にして単位表面積あたりの光吸収強度とした。積分範囲は14000cm-1から28000cm-1までである。この際、光源はタングステンランプを用い、光源電圧は8Vとした。光照射による色素の損傷を最小限にするため、一次側のモノクロメータを使用し、波長間隔は2nm、スリット幅を2.5nmに設定した。
また得られた乳剤にゼラチン硬膜剤、及び塗布助剤を添加し、塗布銀量が3.0g−Ag/m2 になるように、セルロースアセテートフィルム支持体上に、ゼラチン保護層とともに同時塗布した。得られたフィルムをタングステン電球(色温度2854K)に対して連続ウエッジ色フィルターを通して1秒間露光した。色フィルターとしては、ハロゲン化銀を励起する青露光としてUVD33SフィルターとV40フィルター(東芝ガラス(株)製)を組み合わせることで波長域330nmから400nmの光を試料に照射した。また色素側を励起するマイナス青露光として富士ゼラチンフィルターSC−52(富士フイルム(株)製)を通すことで520nm以下の光を遮断し、試料に照射した。露光した試料は、下記の表面現像液MAA−1を用いて20℃で10分間現像した。
表面現像液 MAA−1
メトール 2.5g
L−アスコルビン酸 10g
ナボックス(富士フイルム(株)) 35g
臭化カリウム 1g
水を加えて 1リットル
pH 9.8
現像したフィルムは富士自動濃度計で光学濃度を測定し、被り未露光部の濃度として、感度は被り+0.2の光学濃度を与えるのに要した光量の逆数を比較例1を基準とした相対値として示した。結果を表3に示す。表3で示されるように本発明の写真乳剤を用いることで粒子表面上に多層吸着させることができ、粒子表面の単位面積当たりの光吸収強度(一粒子の光吸収強度の1/2)が飛躍的に増加した。さらにこの結果表3で示されるように色増感感度が飛躍的に上昇した。
Figure 2005266819
特開平8ー29904号の実施例5の乳剤Dと同様に平板状沃臭化銀乳剤を調製して、乳剤2Aとした。多層カラー感光材料は特開平8ー29904号の実施例5の試料101に従い同様に作製した。特開平8ー29904号の実施例5の試料101における第5層乳剤Dを乳剤2Aに置き換え、ExS−1、2、3の替わりにH−2を1.0×10-3mol/Ag mol添加した後にH−3を1.0×10-3mol/Ag mol添加した試料を201、もしくはS−8を1.0×10-3mol/Ag mol添加した後に硝酸ニッケル(II)を0.8×10-3mol/Ag mol添加し、さらにS−16を1.0×10-3mol/Ag mol添加した試料を202とした。こうして得た試料の感度を調べるために、富士FW型感光計(富士写真フィルム株式会社)の光に光学ウエッジと赤色フィルターを通して1/100秒露光を与え、特開平8ー29904号の実施例1と同じ処理工程と処理液を用いて発色現像処理をしてシアン濃度測定を行なった。結果を表4に示した。感度はかぶり濃度+0.2の濃度を与える露光量の逆数で表し試料201を基準とした相対値で示した。
Figure 2005266819
Figure 2005266819
本発明の写真乳剤を用いることで色素吸着量が増加しネガ型多層カラー感光材料においても感度が上昇することが分かった。
特開平7−92601号の実施例1の乳剤1において、分光増感色素S−1の替わりにH−4と塩化コバルト(II)の混合物を添加した乳剤を乳剤3Aとした。H−4および塩化コバルト(II)の添加量はそれぞれ3.55×10-3mol/Ag mol、4.0×10-3mol/Ag molであった。同様にS−11と塩化コバルト(II)の混合物を添加した乳剤を乳剤3Bとした。S−11および塩化コバルト(II)の添加量はそれぞれ3.55×10-3mol/Agmol、4.0×10-3mol/Ag molであった。
また特開平7−92601号の実施例1の乳剤1において、2回目のダブルジェット中の銀電位を+65mVから+115mvに変更し、さらに分光増感色素S−1の替わりにH−4と塩化コバルト(II)の混合物を添加した乳剤を乳剤3Cとした。H−4および塩化コバルト(II)の添加量はそれぞれ3.55×10-3mol/Ag mol、4.0×10-3mol/Ag molであった。同様にS−11と塩化コバルト(II)の混合物を添加した乳剤を乳剤3Dとした。S−11および塩化コバルト(II)の添加量はそれぞれ3.55×10-3mol/Ag mol、4.0×10-3mol/Ag molであった。
多層カラー感光材料は特開平7ー92601号の実施例4の試料401に従い同様に作製した。特開平7ー92601号の実施例4の試料401の第9層の乳剤1を乳剤3Aもしくは乳剤3Bに変更した試料を試料301および試料302とした。同様に、同実施例の第9層の乳剤1を乳剤3Cもしくは乳剤3Dに変更した試料を試料303および試料304とした。
こうして得た試料の感度評価を行なった。特開平7ー92601号の実施例4と同様に1/50秒の露光とカラー反転現像処理してマゼンタ濃度測定を行なった。結果を表5に示した。感度は十分な露光を与えて得られる最低濃度+0.2の濃度を与えるのに必要な露光量の逆数を求め、試料301の感度を100とする相対値として示した。
Figure 2005266819
Figure 2005266819
本発明の写真乳剤を用いることで色素吸着量が増加し反転多層カラー感光材料においても感度が上昇することが分かった。
特開平5−313297号の実施例1の乳剤1および乳剤5と同様に八面体臭化銀内部潜像型直接ポジ乳剤および六角平板状臭化銀内部潜像型直接ポジ乳剤を調製して、これを乳剤4Aおよび乳剤4Bとした。
カラー拡散転写写真フイルムは特開平5−313297号の実施例1の試料101に従い同様に作製した。特開平5−313297号の実施例1の試料101の第16層の乳剤ー2を乳剤4Aと置き換え、増感色素(3)の添加の替わりにH−5を9.5×10-3mol/Ag molと硫酸鉄(III)2.0×10-3mol/Agmolを添加した試料を試料401、 S−5を9.5×10-3mol/Agmolと硫酸鉄(III)2.0×10-3mol/Ag molを添加した試料を試料402とした。同様に同実施例の試料101の第16層の乳剤ー2を乳剤4Bと置き換え、増感色素(3)の添加の替わりにH−5を9.5×10-3mol/Ag mol添加した試料を試料403、S−5を4.5×10-3mol/Ag mol添加した試料を試料404とした。
こうして得た試料の感度を調べるために、特開平5ー313297号の実施例1と同様の露光と処理工程と処理液を用いて処理し、転写濃度をカラー濃度計で測定した。結果を表6に示した。感度は濃度1.0を与える露光量の逆数で表し、試料401を基準とした相対値で示した。
Figure 2005266819
Figure 2005266819
本発明の写真乳剤を用いることで色素吸着量が増加しカラー拡散転写写真フイルムにおいても感度が上昇することが分かった。
特開平4−142536号の実施例2の乳剤Fの調製において、赤感性増感色素(Sー1)を硫黄増感前に添加せず、トリエチルチオ尿素の硫黄増感に加えて、塩化金酸も併用して最適に金硫黄増感し、金硫黄増感後、H−6を3.5×10-4mol/Ag molを添加した後、硝酸鉄(III)を4.5×10-4mol/Ag molを添加し、さらにH−6を3.5×10-4mol/Ag molを添加した乳剤を乳剤5A、S−4を3.5×10-4mol/Ag molを添加した後、硝酸鉄(III)を4.5×10-4mol/Ag molを添加し、さらにS−4を3.5×10-4mol/Ag molを添加した乳剤を乳剤5Bとした。
多層カラー印画紙は特開平6−347944号の実施例1の試料20に従い同様に作製した。特開平6−347944号の実施例1の試料20における第1層の乳剤を乳剤5Aもしくは乳剤5Bに変更した試料を試料501および試料502とした。
こうして得た試料の感度を調べるために、富士FW型感光計(富士写真フィルム株式会社)の光に光学ウエッジと青色フィルターを通して1/10秒露光を与え、特開平6−347944号の実施例1と同じ処理工程と処理液を用いて発色現像処理を行ない、イエロー濃度測定を行った。結果を表7に示した。感度はかぶり+0.1の濃度を与えるに要する露光量の逆数で表し試料501の感度を基準とした相対値で表した。
Figure 2005266819
Figure 2005266819
本発明の写真乳剤を用いることで色素吸着量が増加し多層カラー印画紙においても感度が上昇することが分かった。
特願平7−232036号の実施例1の乳剤Aと同様に平板状塩化銀乳剤を調製して、同実施例の化学増感(B)において、増感色素ー1,2の添加の替わりにH−7を1.0×10-3mol/Ag molを添加した後、金硫黄セレン増感し、さらにH−7を3.5×10-3mol/Ag molと塩化パラジウム(II)を1.3×10-3mol/Ag molの混合物を添加した乳剤を乳剤6A、S−14を1.0×10-3mol/Ag molを添加した後、金硫黄セレン増感し、さらにS−14を3.5×10-3mol/Ag molと塩化パラジウム(II)を1.3×10-3mol/Ag molの混合物を添加した乳剤を乳剤6Bとした。
塗布試料は特願平7−232036号の実施例1の乳剤を乳剤6Aもしくは乳剤6Bに置き換え、同実施例と同様に支持体上に乳剤層と表面保護層とを組合わせ同時押し出し法により両面に塗布し、これを試料601および試料602とした。片面当たりの塗布銀量は1.75g/m2とした。
こうして得た試料の感度を調べるために、富士写真フィルム(株)社製のXレイオルソスクリーンHGMを使用して両側から0.05秒の露光を与え、特願平7−232036号の実施例1と同様に自動現像機と処理液を用いて処理した。結果を表8に示した。感度はかぶり+0.1の濃度を与えるに要する露光量の逆数で表し試料601の感度を基準とした相対値で表した。
Figure 2005266819
Figure 2005266819
本発明の写真乳剤を用いることで色素吸着量が増加しXray感材においても感度が上昇することが分かった。
露光時に使用したXレイオルソスクリーンHGMのかわりにHRー4もしくはHGHで露光しても同様の効果が得られた。
特願平7−146891号の実施例2の乳剤Dとは、増感色素ー2および3を添加しないことのみ異なる平板状塩化銀乳剤を調製して、これを乳剤7Aとした。
塗布試料は特願平7−146891号の実施例3の塗布試料Fに従い同様に作製した。特願平7−146891号の実施例3の塗布試料Fの乳剤Fを乳剤7Aに置き換え、増感色素ー1の替わりにH−8を3.0×10-3mol/Ag mol添加した後に、過塩素酸銅(II)を6.0×10-3mol/Ag mol添加し、更にH−8を3.0×10-3mol/Ag mol添加した乳剤で置き換えた試料を試料701、S−35を3.0×10-3mol/Ag mol添加した後に、過塩素酸銅(II)を6.0×10-3mol/Ag mol添加し、更にSー35を3.0×10-3mol/Ag mol添加した乳剤で置き換えた試料を試料702、こうして得た試料の感度を調べるために、富士FW型感光計(富士写真フィルム株式会社)の光に光学ウエッジと緑色フィルターを通して1/100秒露光を与え、富士写真フィルムCN16処理を行い写真性を比較した。
結果を表9に示した。感度はかぶり+0.2の濃度を与えるに要する露光量の逆数で表し、試料701の感度を基準とする相対値で示した。
Figure 2005266819
Figure 2005266819
本発明の写真乳剤を用いることで色素吸着量が増加し(111)面を外表面とする塩化銀平板乳剤においても感度が上昇することが分かった。
特願平7−146891号の実施例3の乳剤Fと同様に八面体塩化銀乳剤を調製して、これを乳剤8Aとした。
塗布試料は特願平7−146891号の実施例3の塗布試料Fに従い同様に作製した。特願平7−146891号の実施例3の塗布試料Fの乳剤Fを乳剤8Aに置き換え、増感色素ー1の替わりにH−9を3.0×10-3mol/Ag mol添加した後に過塩素酸銅(II)を5.0×10-3mol/Ag mol添加しH−9を3.0×10-3mol/Ag mol添加した乳剤で置き換えた試料を試料801、S−38を3.0×10-3mol/Ag mol添加した後に過塩素酸銅(II)を5.0×10-3mol/Ag mol添加しS−38を3.0×10-3mol/Ag mol添加した乳剤で置き換えた試料を試料802とした。
こうして得た試料の感度を調べるために、富士FW型感光計(富士写真フイルム株式会社)の光に光学ウエッジと青色フィルターを通して1/100秒露光を与え、富士写真フィルムCN16処理を行い写真性を比較した。結果を表10に示した。感度はかぶり+0.2の濃度を与えるに要する露光量の逆数で表し、試料801の感度を基準とした相対値で表した。
Figure 2005266819
Figure 2005266819
このように本発明の写真乳剤を用いることで色素吸着量が増加し八面体塩化銀乳剤においても感度が上昇することが分かった。
欧州特許第0699950号の乳剤CCと同様に平板粒子乳剤を調製し、化学増感する際に、色素1及び色素8の替わりにH−9を2.0×10-3mol/Ag mol添加して化学増感した後、硫酸コバルト(II)を7.0×10-3mol/Ag mol添加し、さらにH−9を9.0×10-3mol/Ag mol添加した乳剤を乳剤9A、S−38を2.0×10-3mol/Ag mol添加して化学増感した後、硫酸コバルト(II)を7.0×10-3mol/Agmol添加し、さらにS−38を9.0×10-3mol/Ag mol添加した乳剤を乳剤9Bとした。
塗布試料は欧州特許第0699950号の実施例の塗布試料と同様に作成し、乳剤9Aを用いた試料を試料901、乳剤9Bを用いた試料を試料902とした。露光及び現像も該特許と同様に行い、写真性を比較した。結果を表11に示した。感度はかぶり+0.2の濃度を与えるに要する露光量の逆数の対数で表し、試料901の感度を基準とした相対値で表した。
Figure 2005266819
このように本発明の写真乳剤を用いることで色素吸着量が増加し平板粒子乳剤においても感度が上昇することが分かった。

Claims (6)

  1. 粒子表面への色素の吸着方法であって、金属イオンとの配位結合定数が3×102 以上である色素を粒子に吸着させ、該金属イオンを該色素に結合させた後、該金属イオンとの配位結合定数が3×102 以上である色素を添加して吸着させることを特徴とする色素の吸着方法。
  2. 前記粒子表面上に色素が多層吸着していることを特徴とする、請求項1に記載の色素の吸着方法。
  3. 色素の添加量の合計が前記粒子への該色素の飽和吸着量の140%以上に相当することを特徴とする請求項1または2記載の色素の吸着方法。
  4. 前記色素の少なくとも1種が下記一般式(I)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の色素の吸着方法。
    一般式(I)
    Figure 2005266819
    式(I)中、METはメチン色素を表す。Qは金属への配位基を有するアルキル基を表す。nは1以上10以下の数を表す。
  5. 後から添加する色素の還元電位が、先に添加する色素の還元電位と等しいかまたは卑であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の色素の吸着方法。
  6. 前記粒子がハロゲン化銀粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の色素の吸着方法。
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