JP2005262069A - ジルコニア光触媒および製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ジルコニアの禁制帯に新たに不純物準位を作り、光吸収端を長波長シフトさせることによりジルコニア光触媒を得る。
【構成】 化学修飾したジルコニウムアルコキシドを部分加水分解によりポリマー化した前駆体を、粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化、大気中あるいは空気、酸素、アンモニア、水素から選ばれる1種以上の雰囲気で焼成し、光吸収端が400nm以上であるジルコニア光触媒を製造する。ジルコニアの価電子帯に新たに不純物準位を作ることにより、光吸収端を長波長シフトさせることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ジルコニア光触媒およびその製造方法に関し、より詳しくは化学修飾したジルコニウムアルコキシドを部分加水分解によりポリマー化した前駆体を、粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化した後焼成して得られるジルコニア光触媒とその製造方法に関する。
光触媒は、太陽光を利用し環境汚染物質を分解除去できるため、エネルギーミニマム型環境浄化材料として期待されている。これまで、大気や水などを対象とした環境浄化材料としての光触媒は種々検討されているが、化学的安定性や安全性の観点からチタニアに勝るものはないとされ、これについて環境浄化材料への応用が活発に検討されている。
しかしチタニアの優れた性能は微粉末や薄膜について得られる物質本来の特性であり、これらは取り扱いやシステム化が困難であるため、環境浄化システムとして使用するためには、基材に固定化して用いる必要がある。固定化は一般的には、フッ素樹脂やコンクリートに練り込んだり、塗料あるいは粉末を塗布して焼結してコーティングとして用いられ、特に基材の劣化を防止するためにシリカ層などをアンダーコートする必要があり、これらはコスト高になるばかりでなく、場合によっては施工の煩雑さが光触媒の普及を妨げている。
特に、チタニアはアルカリガラスにコーティングを行う場合、アルカリイオンのチタニア中への拡散が起こり特性が著しく低下してしまうため、シリカなどのアンダーコーティングが必須であり、アルカリガラスの機能を低下させないで光触媒のみをコーティングすることができなかった。具体的には,例えば,現在光触媒の市場の大部分を形成している汚れにくいタイル,窓ガラス,曇らないガラスなど,アルカリを含有する基材にはシリカ層を介してコーティングされている。
また、光触媒の最近の研究開発の動向として、可視光応答性の付与に関する研究も活発に行われており、プラズマ処理、窒素ドープ、硫黄ドープなどで成果が得られ始めている。このような研究が活発な理由は、とりもなおさず現状のチタニアではなお光触媒として環境浄化を行うにはその機能が低いからに他ならない。
現在行われているチタニアの可視光化は、プラズマ処理により伝導体に不純物準位を形成したり、窒素や硫黄などのドープにより新しい価電子帯を形成するかして、バンドギャップエネルギーを小さくし、その結果として可視光を吸収させるというものである。これらの方法は、一定の成功を収めており、可視光に応答する光触媒が得られている。しかしながら、本来活性を有していた紫外線領域で活性が低下するといった問題や、寿命の問題など、依然として光触媒の高性能化には課題が残されている。
特開平11−188271号公報 特開平9−239277号公報 特開2001−98220号公報 特開2001−96168号公報
本発明は、上記光触媒の問題点に鑑みなされたものであり、ジルコニアの禁制帯に新たに不純物準位を作り、光吸収端を長波長シフトさせることによりジルコニア光触媒を製造することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、化学修飾したジルコニウムアルコキシドを部分加水分解によりポリマー化した前駆体を、粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化後焼成することにより、上記課題を解決しうることを見いだした。
以上のように本発明によれば、化学修飾したジルコニウムアルコキシドを部分加水分解によりポリマー化した前駆体を、粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化後、大気中あるいは空気、酸素、アンモニア、水素から選ばれる1種以上の雰囲気で焼成し、光吸収端が400nm以上であるジルコニア光触媒が製造できる。これは、ジルコニアの価電子帯に新たに不純物準位を作ることにより、光吸収端を長波長シフトさせることができ、したがってジルコニアに光触媒機能を発現させることにより実現したと考えられる。これにより、例えば、光触媒をアルカリガラスにコーティングする場合、チタニアではアルカリイオンのチタニア中への拡散が起こり、触媒、基材双方の特性が著しく低下してしまうという問題を防ぐために、シリカなどのアンダーコーティングが必須であったが、ジルコニアではこのようなことが起こらない。具体的には、例えば、現在光触媒の市場の大部分を形成している汚れにくいタイル、窓ガラス、曇らないガラスなど、アルカリを含有する基材に直接コーティングが可能となる。
現在、光触媒のより高効率化が強く求められており、光触媒の研究開発の方向は、チタニアに変わる材料の探索,可視光応答型光触媒の開発に向かっている。しかしながら、実用化されている唯一の光触媒はチタニアである。本発明によって明らかにされるジルコニアの光触媒機能発現メカニズムは、このチタニアをさらに高機能化するためにも適用できるものである。このように本発明は、最終的にはチタニアと競合するものではなく、本発明で製造されるジルコニア光触媒とチタニア光触媒が、相補的に利用され、その結果としてより高効率光触媒製品の開発が可能になると期待される。
以下に、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明のジルコニア光触媒の製造方法は、化学修飾したジルコニウムアルコキシドを部分加水分解によりポリマー化した前駆体を、粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化後焼成する方法である。
本発明で使用するジルコニウムアルコキシドは一般式Zr(OR)(式中Rはアルキル基またはアリール基を表す)で表され、Rは焼成によりセラミックス中から除去されるため一般的には炭素数の少ないエチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル基などが好ましい。特別に、製造する光触媒を多孔質構造にしたい場合には、炭素数の多いアルキル基やアリール基を有するアルコキシドを用いることもできる。
ジルコニウムアルコキシドを部分加水分解するにあたり、適宜アルコキシ基を選択することにより加水分解速度を調整することもできるが、ジルコニウムアルコキシドをキレート化、エステル交換、アルコキシ交換、アシドリシス、酸無水物、二塩基酸との反応などにより化学修飾して加水分解速度を調整することが好ましい。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、オクタンジオール、ヘキサンジオールのようなグリコール類、アセチルアセトンのようなβ−ジケトン類、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸のようなヒドロキシカルボン酸類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルのようなケトエステル類、ジアセトンアルコールのようなケトアルコール類のO配位タイプの配位子、エチレンジアミン、アミノアルコール、オキシキノリン、シッフベースのようなN配位タイプの配位子、シクロペンタジエニル化合物のようなC配位タイプの配位子、P、B、S配位タイプの配位子によるキレート化、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルのような有機酸エステル類によるエステル交換反応、n−ブチルアルコール、n−ペンタノールのようなアルキル鎖長の長いアルコール類によるアルコキシ交換反応、酢酸、プロピオン酸、フェニル酢酸のようなカルボン酸類とのアシドリシス、無水酢酸、無水ヘプタン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸のような酸無水物との反応、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸のような二塩基酸との反応によりジルコニウムアルコキシドの一部あるいは全部を加水分解速度の異なる置換機に置換することにより、さらには一部ポリマー化することにより化学修飾して加水分解速度を調整することが可能となる。置換されるアルコキシ基の割合は金属の種類、アルコキシ基の種類により異なるが、全アルコキシ基の5〜80%が置換されていることが好ましい。5%以下では効果が十分ではなく、80%を超えると以下の部分加水分解でポリマー化が不十分となり、特に、繊維化やナノシート化する場合繊維やナノシート化しにくく好ましくない。
このようなジルコニウムアルコキシドの化学修飾により、ジルコニウムアルコキシド分子中には加水分解の速い置換基と遅い置換機が導入され、場合によっては加水分解によるポリマー化が部分的に達成されたのと同様の効果を期待できる。こうして化学修飾されたジルコニウムアルコキシドはエタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ジエチルエーテルのような水を溶解する溶媒で希釈され、これに同様の溶媒中に所望の量の水を溶解し、さらに必要に応じて塩酸などの酸触媒を加えたものを、溶液が白濁しない程度の速度で攪拌しながら加えることにより部分的に加水分解され、ポリマー化する。
化学修飾されたジルコニウムアルコキシドは必ずしも希釈する必要はないが、十分な流動性を確保するために、適宜溶媒で希釈することができる。この希釈用の溶媒は脱水されていることが望ましい。
また混合する水の量はジルコニウムアルコキシドを部分的に加水分解する量であることが必要であり、一般的に、ジルコニウムアルコキシドの0.5〜2倍モルの範囲で化学量論的に決定されなければならない。すなわち、本発明では、金属アルコキシドのポリマー化を、溶媒に可溶であることはもちろん、後述する粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化する工程において、鎖状ポリマーあるいは分岐構造を有する鎖状ポリマーとして得ることが必須である。水の量が金属アルコキシドの0.5倍モルより少ないと鎖状ポリマーを形成しないアルコキシドが残留し、2倍モルを超えるとゲル化するか、一部無機微粒子を形成し前駆体溶液を形成しにくくなるので好ましくない。
このように調製されたジルコニウムアルコキシドポリマー溶液は、本発明の粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化する工程に用いることができるが、鎖状ポリマーあるいは分岐構造を有する鎖状ポリマーの十分な発達と溶液の組成および濃度を厳密に制御するために減圧下で熟成および濃縮することが望ましい。熟成時間は濃縮に要する時間で十分である。濃縮温度は室温から100℃で十分であり、100℃以上では精製したポリマーがゲル化する場合があり好ましくない。
本発明による製造方法の粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化する工程では、得られたポリマーを溶媒を用いて所望の濃度の溶液に調整するか、加熱して溶融させて使用する。
化学修飾したジルコニウムアルコキシドを部分加水分解によりポリマー化した前駆体を、粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化する方法は公知の方法を用いることができる。
粉末は、ポリマーを後述する雰囲気中で焼成して得た生成物を粉砕して製造することもできるし、前期ポリマー溶液を激しく攪拌した水中に投入してゲル化させて製造することができる。さらに、例えば特開2002−205064号公報に開示されたチタニア球状多孔質体の製造方法と同様の方法でジルコニア球状多孔質体を製造することもできる。すなわち、ジルコニア球状多孔質体に流動層を形成させながら水中汚染物質を高効率で分解する。
繊維は、通常の乾式あるいは湿式紡糸により繊維化することができる。この繊維化は直径が2〜50μmであることが好ましい。2μm以下では合成が困難であり、50μm以上ではしなやかさに欠け、光触媒として利用する場合、繊維としての利点が活かせない。
薄膜化は、ディップコーティングやスピンコーテイングあるいはスプレーコーティングなどの方法を用いることができる。ナノシート化は、本発明者らがすでに特願2003−13156号により開示した方法により得ることを出来る。すなわち、化学修飾した金属アルコキシドを部分加水分解することによりポリマー化した前駆体を水に適度な溶解性を有する溶媒に溶解し、精密にケミカルデザインしたプロセスで流動する水面上に滴下し展開する流動界面ゾル−ゲル法により、厚みが制御され、均一な構造の酸化物セラミックスナノシートが連続的に製造する。
このように形態を付与されたジルコニア前駆体ポリマーは、大気中の水分や形態付与される水中や水との界面で加水分解されゲル化しているが、粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化した後、水蒸気処理してゲル化した粉末、繊維、薄膜あるいはナノシートをさらに加水分解し、ゲル化を進めるとともに、残留するゲル中の有機成分の量、すなわち炭素量を調整することができる。この水蒸気する雰囲気は飽和水蒸気圧の大気中でよいが、加水分解を促進し、分離した有機成分をゲルから除去しやすくするため50〜100℃で処理することが好ましい。
ゲル化した粉末、繊維、薄膜あるいはナノシートは、大気中あるいは空気、酸素、アンモニア、水素から選ばれる1種以上の雰囲気で焼成して、ジルコニア粉末、繊維、薄膜あるいはナノシートに変換される。ゲル化した粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート中には有機成分が残留しているので、焼成する雰囲気は炭素成分を酸化してあるいは還元して除去できることが必要であり、大気中あるいは空気、酸素、アンモニア、水素雰囲気が好ましく、特に大気中あるいは空気、酸素、アンモニアが好適であり、必要により2種以上の混合雰囲気を使用してもよい。焼成する温度は、ゲル化した前駆体がジルコニアに変換すればよく、化学修飾で導入した有機成分の種類にもよるが、一般的に200℃以上であればよいが、機能を十分発揮させるためには350℃以上が好ましく1000℃より高温で焼成しても効果に変わりがない。昇温速度には特に規定はないが、1時間に50℃以下では実用的でなく、500℃より速いと炭素含有量が多い場合ジルコニア中に炭化物が生成する場合があり好ましくない。
かくして得られる本発明の化学修飾したジルコニウムアルコキシドを部分加水分解によりポリマー化した前駆体を、粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化後焼成して得られるジルコニアは、図1に示すように光吸収端が400nm以上であり、光触媒機能を有することを特徴とする。従来、図2に示すようにジルコニアはチタニアと同様酸化物半導体であるが、そのバンドギャップエネルギーは非常に大きく吸収する光の波長は250nm以下であり、通常光触媒としての機能はないとされている。本発明のジルコニアが、400nm以上に光吸収端を有し、光触媒機能を有する理由は以下のように推定することができるが、必ずしも明確ではなく、ジルコニアが光触媒機能を有する原因はいかなる理論によっても拘束されるものではない。
現在光触媒の応用が最も広範に検討されているものはチタニアであり、可視光応答性の付与に関する研究も活発に行われており、プラズマ処理、窒素ドープ、硫黄ドープ、炭素ドープなどで成果が得られ始めている。現在行われているチタニアの可視光化は、プラズマ処理により伝導体に不純物準位を形成するか、窒素ドープなどにより新しい価電子帯を形成するかして、半導体のバンドギャップエネルギーを小さくし、その結果として可視光を吸収するようにするというものである。これらの方法は、一定の成功を収めており、可視光に応答する光触媒のメカニズムと考えられている。
本発明のジルコニアが光触媒機を発現した原因は、その製造方法にあると考えられる。すなわち、化学修飾したジルコニウムアルコキシドを部分加水分解によりポリマー化した前駆体を、粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化後焼成する方法において、ジルコニウムアルコキシドの化学修飾がキレート化、エステル交換、アルコキシ交換、アシドリシス、酸無水物、二塩基酸との反応により耐加水分解性の高い置換基を導入することにより、ゲル化した粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート中には化学修飾の程度に応じた有機基が残存している。このような制御された炭素含有量を有するゲル化した粉末、繊維、薄膜あるいはナノシートを、大気中あるいは空気、酸素、アンモニア、水素から選ばれる1種以上の雰囲気で焼成される。ゲル化した粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート中には有機成分が残留しているので、焼成する雰囲気により、炭素成分は酸化あるいは還元されて除去されるが、大気中あるいは空気、酸素中で焼成されても分子中で結合した炭素は一部残留する可能性が高い。しかも、大気中あるいは空気中には窒素が存在し、特にアンモニア中では、分子中で結合した酸素が脱離する際、窒素と置換し、すなわち、窒素がジルコニア中に取り込まれる可能性が高い。このように、最終的にジルコニア中には、窒素ドープあるいは炭素ドープが起こり、新しい価電子帯が形成され、バンドギャップエネルギーが小さくなったことが推定される。さらに、化学修飾の程度に応じた有機基が残存しているゲル化した粉末、繊維、薄膜あるいはナノシートが高温で焼成される際、粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート中では、残存する有機基が熱分解により脱離する。このとき、生成するジルコニア中には酸素欠陥構造が生成する可能性が極めて高い。特に水素を含有する雰囲気では酸素欠陥構造が生成しやすく、伝導体に不純物準位を形成し、バンドギャップエネルギーが小さくなることが推定される。
このように、ジルコニアの価電子帯に新たに不純物準位を作ることにより、光吸収端を長波長シフトさせることができ、したがってジルコニアに光触媒機能を発現させることに成功したと考えられる。
光触媒のより高効率化が強く求められている状況から、現在、光触媒の研究開発の方向は、チタニアに変わる材料の探索、可視光応答型光触媒の開発に向かっている。しかしながら、実用化されている唯一の光触媒はチタニアである。本発明によって明らかにされるジルコニアの光触媒機能発現メカニズムは、このチタニアをさらに高機能化するためにも適用できるものである。このように本発明は、最終的にはチタニアと競合するものではなく、本発明で製造されるジルコニア光触媒とチタニア光触媒が、相補的に利用され、その結果としてより高効率光触媒製品の開発が可能になると期待される。
次に、本発明の具体例を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
1モルのテトライソプロポキシジルコニウムを1モルの3−オキソブタン酸エチルでキレート化し、発熱がおさまってから、攪拌しながら1時間かけて、塩酸とエタノールの混合液に溶解した1モルの水で部分加水分解を行った。さらにロータリーエバポレーターにより減圧下で60℃まで加熱し濃縮して、粘稠な生成物を得た。これにイソプロパノールを加え、50%溶液を調整した。
この溶液を酸化物セラミックスナノシート製造装置を用いて、ノズル周囲の雰囲気を窒素雰囲気として、23℃に制御した流動する水面上に12mgの液滴で正確に滴下し、ゲルナノシートを作製した。得られたゲルナノシートを100℃で3時間、大気中で乾燥し、その後200℃/時の昇温速度で乾燥空気中で800℃まで加熱し、1時間保持して焼成し、厚みがおよそ100〜200nmのジルコニアナノシートが得られた。ナノシートの構造は、X線回折の結果からモノクリニック相であることが確認された。紫外−可視吸収スペクトルは、図1に示したように400nm以上に光吸収端を示した。
実施例1と同様の方法で、1モルのテトライソプロポキシジルコニウムを0.6モルの3−オキソブタン酸エチルでキレート化し、発熱がおさまってから、攪拌しながら1時間かけて1モルの水で部分加水分解を行いポリマー化し、ロータリーエバポレーターにより減圧下で60℃まで加熱し濃縮して、粘稠な生成物を得た。これを紡糸して大気中で1時間に100℃の昇温速度で500℃まで加熱し、1時間保持して直径約6μmから20μmの繊維状ジルコニア光触媒を得た。紫外−可視吸収スペクトルは、図1に示したように400nm以上に光吸収端を示した。
この繊維を約5mmの長さに切断し内径8mm、長さ25mmの石英ガラス管に50mg/cm以上の充填密度で充填しモジュール化した。
このモジュール内へ104ppmのトリクロロエチレン(TCE)を流しながらブラックライトで波長310〜400nm、強度1.3mW/cmの紫外線を照射し、TCEの分解速度をガスクロマトグラフで測定した。図3にTCE分解挙動を示す。本モジュールでTCEが分解されることが明らかである。
テトライソプロポキシジルコニウムのイソプロポキシ基をブトキシ基に変換し、実施例1と同様の方法で、ポリマー化した。得られたポリマーを実施例1と同様の方法で70%溶液として市販のジビニルベンゼン系合成吸着材、メタクリル系ポーラス型イオン交換樹脂、およびメタクリル系ハイポーラス型合成吸着材に含浸した。ジビニルベンゼン系合成吸着材以外は100〜110℃で乾燥して使用した。含浸後80℃の飽和水蒸気雰囲気で1時間処理し、その後、大気中900℃で1時間焼成してジルコニア球状多孔質体を得た。これらの球状多孔質体の直径はジビニルベンゼン系合成吸着材で80〜130μm、メタクリル系ポーラス型イオン交換樹脂で120〜500μm、メタクリル系ハイポーラス型合成吸着材で110〜350μmとなった。
これら球状多孔質体をそれぞれ1gずつ、内径6mm、長さ20cmのガラスフィルター付き石英ガラス管に充填し水系浄化モジュールとし、下方から10ppmのメチレンブルー水溶液100mlを流速35ml/minで通水し、高さ15cmの流動層を形成させながら1.3mW/cmでブラックライト(波長域310〜400nm)で照射したところ、およそ120分後に色が消え、光触媒機能を有していることが分かった。
1モルのテトライソプロポキシジルコニウムを1モルのアセチルアセトンでキレート化し、発熱がおさまってから、攪拌しながら1時間かけて、塩酸とエタノールの混合液に溶解した1.5モルの水で部分加水分解を行った。さらにロータリーエバポレーターにより減圧下で50℃まで加熱し濃縮して、粘稠な生成物を得た。これにエタノールを加え、30%溶液を調整した。この溶液を激しく攪拌した水中に投入し加水分解してゲル化させた後ろ過して回収した。100℃で5時間乾燥後、200℃/時の昇温速度で10%の水素を含む窒素ガス中で800℃まで加熱し、1時間保持して焼成した。得られた粉末の紫外−可視吸収スペクトルは、図1に示したように400nm以上に光吸収端を示した。
本発明のジルコニア粉末、繊維およびナノシートと市販ジルコニア粉末のUV−VIS吸収スペクトルである。 各種半導体のバンドギャップエネルギー帯を示すグラフである。 ジルコニア繊維によるTCEをガスクロマトグラフで測定した分解挙動を示す図である。

Claims (5)

  1. 化学修飾したジルコニウムアルコキシドを部分加水分解によりポリマー化した前駆体を、粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化した後焼成して得られるジルコニア光触媒。
  2. 光吸収端が400nm以上である請求項1に記載のジルコニア光触媒。
  3. ジルコニウムアルコキシドの化学修飾がキレート化、エステル交換、アルコキシ交換、アシドリシス、酸無水物、二塩基酸との反応である請求項1または2に記載のジルコニア光触媒の製造方法。
  4. 粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化したジルコニア前駆体を水蒸気処理してゲル化した後焼成する請求項1〜3の何れかに記載のジルコニア光触媒の製造方法。
  5. 粉末、繊維、薄膜あるいはナノシート化したジルコニア前駆体を大気中あるいは空気、酸素、アンモニア、水素から選ばれる1種以上の雰囲気で焼成する請求項1〜3の何れかに記載のジルコニア光触媒の製造方法。
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