JP2003252626A - 二酸化チタン前駆体とその製造方法およびそれを用いた二酸化チタンとその製造方法 - Google Patents

二酸化チタン前駆体とその製造方法およびそれを用いた二酸化チタンとその製造方法

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JP2003252626A
JP2003252626A JP2002057259A JP2002057259A JP2003252626A JP 2003252626 A JP2003252626 A JP 2003252626A JP 2002057259 A JP2002057259 A JP 2002057259A JP 2002057259 A JP2002057259 A JP 2002057259A JP 2003252626 A JP2003252626 A JP 2003252626A
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mol
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Hitoshi Nishizawa
均 西沢
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクリーン印刷を可能とし、より自由度の高
い二酸化チタン薄膜の製造等に有用な新規な二酸化チタ
ン前駆体とその製造方法およびそれを用いた二酸化チタ
ンとその製造方法を提供する。 【解決手段】 チタンアルコキシド1molに対してア
ルコール系有機溶媒を40〜120molの割合で混合
しているとともに、アミノアルコールおよび水を含有し
ているチタンアルコキシド混合溶液を加熱処理すること
でゲル状の二酸化チタン前駆体を得る。そしてこれを焼
成して、二酸化チタンの薄膜等を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、二酸化チ
タン前駆体とその製造方法およびそれを用いた二酸化チ
タンとその製造方法に関するものである。さらに詳しく
は、この出願の発明は、スクリーン印刷を可能とし、よ
り自由度の高い二酸化チタン薄膜の製造等に有用な新規
な二酸化チタン前駆体とその製造方法およびそれを用い
た二酸化チタンとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、二酸化チタン(T
iO2)を光触媒とした光触媒技術が注目されており、
浄化、抗菌、防汚等の機能を利用した幅広い応用のため
の研究開発が進められ、実用化も進められている。
【0003】この二酸化チタンは、二次製品等に利用す
る場合に、粉末あるいは薄膜として利用するのが一般的
である。ただ、前者の二酸化チタンの粉末の場合は、比
表面積を大きくとることができ、光触媒活性が高められ
るという利点があるものの、製品の製造あるいは使用に
際して、粉末のために取扱いが困難であって、二酸化チ
タンの粉末を液相に均一に分散させることが難しい、あ
るいは液相からの回収が困難であるなどといった問題が
あることから、後者の二酸化チタンの薄膜が積極的に利
用されている。
【0004】二酸化チタンの薄膜の製造方法としては、
従来より、スパッタ法、蒸着法、化学的気相蒸着(CV
D)法等のドライ法や、ゾルゲル法、メッキ法、電解重
合法等のウェット法により、たとえばガラスやセラミッ
クス等の各種の基材の表面にチタンの薄膜を成形する方
法が知られている。
【0005】前者のドライ法では、比較的均一で安定し
た薄膜が得られるものの、装置が複雑かつ高価であるた
めに製造コストが高くなり、また大面積の薄膜を得るこ
とが難しいといった欠点がある。そして後者のウエット
法は、比較的装置が簡単で大面積の薄膜を得ることがで
きるものの、製造条件を厳密に制御する必要があり、工
業化に際しては予想以上にコストが高くなる等の問題が
ある。特に、ウェット法として一般的に利用されている
ゾルゲル法においては、ゾル状の二酸化チタン前駆体液
を基板上に塗布するようにしているが、金属基板上への
塗布が困難であったり、1回の塗布で十分な膜厚の薄膜
を得ることが難しいという問題がある。
【0006】そこで、この出願の発明は、以上の通りの
事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を
解消し、スクリーン印刷を可能とし、簡便に、自由度の
高い二酸化チタン薄膜を製造することのできる、新規な
二酸化チタン前駆体とその製造方法、およびそれを用い
た二酸化チタンとその製造方法を提供することを課題と
している。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、この出願の発明
は、上記の課題を解決するものとして、以下の通りの発
明を提供する。
【0008】すなわち、まず第1には、この出願の発明
は、チタンアルコキシド1molに対してアルコール系
有機溶媒が40〜120molの割合で混合されている
とともに、アミノアルコールおよび水が含有されている
チタンアルコキシド混合溶液が加熱処理されて得られた
ゲル状組成物であることを特徴とする二酸化チタン前駆
体を提供する。
【0009】そしてこの出願の発明は、上記の発明につ
いて、第2には、混合溶液には、チタンアルコキシド1
molに対して、アミノアルコール1.0〜20mo
l、水10〜80molが含有されていることを特徴と
する二酸化チタン前駆体を、第3には、アルコール系有
機溶媒がアルキレングリコールであることを特徴とする
二酸化チタン前駆体を、第4には、アミノアルコールが
ジアルカノールアミンまたはトリアルカノールアミンあ
るいはこれらの混合物であることを特徴とする二酸化チ
タン前駆体を、第5には、100〜200℃の温度範囲
で加熱処理されていることを特徴とする二酸化チタン前
駆体第6には、粘度が数10センチポイズ〜10ポイズ
の範囲であることを特徴とする二酸化チタン前駆体を、
第7には、金属あるいは金属イオンが添加されているこ
とを特徴とする二酸化チタン前駆体を、第8には、金属
あるいは金属イオンが、チタンアルコキシド1molに
対して1/10mol以下の割合で添加されていること
を特徴とする二酸化チタン前駆体を、第9には、金属あ
るいは金属イオンが、チタンアルコキシド1molに対
して10-6〜10-4molの割合で添加されていること
を特徴とする二酸化チタン前駆体、第10には、金属あ
るいは金属イオンが、Cu、Cu2+、Mn、Mn2+、N
i、Ni2+、Co、Co2+、Zn、Zn2+のいずれか1
種または2種以上であることを特徴とする二酸化チタン
前駆体を、第11には、金属あるいは金属イオンがC
u、Cu2+、Mn、あるいはMn2+のいずれか1種また
は2種以上であることを特徴とする二酸化チタン前駆体
を提供する。
【0010】またこの出願の発明は、第12には、上記
いずれかの二酸化チタン前駆体が焼成されていることを
特徴とする二酸化チタンを提供する。またその二酸化チ
タンについて、第13には、任意の形状に形成されて焼
成されていることを特徴とする二酸化チタンや、第14
には、基板上に形成されていることを特徴とする二酸化
チタン、第15には、膜状に形成されていることを特徴
とする二酸化チタン、第16には、光触媒活性を示すこ
とを特徴とする二酸化チタン等も提供する。
【0011】一方で、この出願の発明は、第17に、チ
タンアルコキシド1molに対してアルコール系有機溶
媒を40〜120molの割合で混合するとともに、ア
ミノアルコールおよび水を含有させたチタンアルコキシ
ド混合溶液を加熱処理してゲル状組成物とすることを特
徴とする二酸化チタン前駆体の製造方法を提供する。
【0012】そしてこの出願の発明は、上記の発明の方
法において、第18には、混合溶液には、チタンアルコ
キシド1molに対してアミノアルコール1.0〜20
mol、水10〜80molを混合していることを特徴
とするを特徴とする二酸化チタン前駆体の製造方法を、
第19には、アルコール系有機溶媒がアルキレングリコ
ールであることを特徴とする二酸化チタン前駆体の製造
方法を、第20には、アミノアルコールがジアルカノー
ルアミンまたはトリアルカノールアミンあるいはこれら
の混合物であることを特徴とする二酸化チタン前駆体の
製造方法を、第21には、100〜200℃の温度範囲
で加熱処理することを特徴とする二酸化チタン前駆体の
製造方法を、第22には、金属イオンを添加することを
特徴とする二酸化チタン前駆体の製造方法を、第23に
は、チタンアルコキシド1molに対して1/10mo
l以下の割合で金属イオンを添加することを特徴とする
二酸化チタン前駆体の製造方法を、第24には、チタン
アルコキシド1molに対して10-6〜10-4molの
割合で金属イオンを添加することを特徴とする二酸化チ
タン前駆体の製造方法を、第25には、金属イオンが、
Cu2+、Mn2+、Ni2+、Co2+、Zn2+のいずれか1
種または2種以上であることを特徴とする二酸化チタン
前駆体の製造方法を、第26には、金属イオンがCu2+
またはMn2+のいずれか1種または2種であることを特
徴とする二酸化チタン前駆体の製造方法を提供する。
【0013】加えてこの出願の発明は、第27には、上
記いずれかの発明の二酸化チタン前駆体の製造方法で得
られた二酸化チタン前駆体を焼成することを特徴とする
二酸化チタンの製造方法を提供する。さらにこの出願の
発明は、この発明の二酸化チタンの製造方法において、
第28には、空気または不活性ガス雰囲気中で、500
〜650℃の温度範囲で焼成することを特徴とする二酸
化チタンの製造方法や、第29には、550〜600℃
で焼成することを特徴とする二酸化チタンの製造方法、
第30には、二酸化チタン前駆体を任意の形状に形成し
て焼成することを特徴とする二酸化チタンの製造方法、
第31には、基板上に二酸化チタン前駆体を膜状に形成
して焼成することを特徴とする二酸化チタンの製造方
法、第32には、スクリーン印刷により二酸化チタン前
駆体を形成することを特徴とする二酸化チタンの製造方
法、第33には、200℃以下で予備乾燥してから焼成
することを特徴とする二酸化チタンの製造方法等を提供
する。
【0014】さらにこの出願の発明は、第34には、上
記の発明の二酸化チタン前駆体が含まれることを特徴と
するスクリーン印刷用光触媒膜コーティング液や、第3
5には、上記の発明の二酸化チタンが備えられているこ
とを特徴とする光触媒物品等も提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記の通りの
特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態につい
て説明する。
【0016】この出願の発明者らは、二酸化チタン薄膜
の製造について、より容易に、そしてより簡単な装置で
実施できる方法の開発に鋭意研究してきたところ、チタ
ンアルコキシドの加水分解、縮合反応を制御すること
で、室温大気中でも粘性が安定したゲル状組成物とし
て、二酸化チタン前駆体が得られることを見出すに至っ
た。この二酸化チタン前駆体は、焼成等の適切な処理に
より、二酸化チタンとすることができるものである。そ
して驚くべきことに、この二酸化チタン前駆体は、より
容易に、簡単な装置で、より自由度の高い薄膜の製造を
可能とするスクリーン印刷に最適な粘性を有するものと
して実現することができるのである。
【0017】すなわち、この出願の発明が提供する二酸
化チタン前駆体は、チタンアルコキシド1molに対し
てアルコール系有機溶媒が40〜120molの割合で
混合されているとともに、アミノアルコールおよび水が
含有されているチタンアルコキシド混合溶液が加熱処理
されて得られたゲル状組成物であることを特徴としてい
る。また、この混合溶液においては、チタンアルコキシ
ド1molに対してアルコール系有機溶媒40〜120
mol、水10〜80molの割合で混合されているこ
とがより好ましい状態のものとして示される。これらの
配合については、この二酸化チタン前駆体の製造方法に
ついての説明として後述する。
【0018】この二酸化チタン前駆体は、焼成等の適切
な処理により二酸化チタンとすることができる、高粘度
で、室温であっても経時的な粘度の変化が少なく、粘度
安定性がよいゲル状の組成物である。また、この粘性に
ついては、この出願の発明が提供する二酸化チタン前駆
体は、スクリーン印刷に最適な粘性を有するものとして
実現することができるのである。つまり、この出願の発
明の二酸化チタン前駆体は、均一な膜厚で任意のパター
ンとしての塗布が可能とされるスクリーン印刷に最適な
粘性である、数10センチポイズ〜10ポイズの範囲の
粘性を有することを特徴としている。そして、たとえ
ば、1回のスクリーン印刷により、基板上に厚さ数μm
までの均一な厚さの二酸化チタン前駆体の薄膜を、所望
のパターンのものとして形成することができるのであ
る。この数μmという膜厚は、たとえばこの二酸化チタ
ン前駆体から得られる二酸化チタンが光触媒活性を示す
に十分な厚さのものとして示される値でもある。さら
に、この二酸化チタン前駆体は、基板としては従来は困
難とされていた金属等の基板についても塗布が可能とさ
れ、幅広い基板に対して適用可能である。このような、
たとえばスクリーン印刷に最適なこの二酸化チタン前駆
体の粘性は、作製後6ヶ月以上を経過した時点でその見
掛けの粘性に変化はない。
【0019】これらにより、スクリーン印刷が可能で、
より自由度の高い二酸化チタン薄膜の製造を可能とする
二酸化チタン前駆体が実現されることになる。
【0020】さらに、この出願の発明が提供する二酸化
チタン前駆体は、金属あるいは金属イオンが添加されて
いてもよい。すなわち、この二酸化チタン前駆体から二
酸化チタンを得る場合、得られる二酸化チタンの光触媒
活性を高めるものとして、この二酸化チタン前駆体に金
属あるいは金属イオンを添加したものを考慮することが
できる。この出願の発明においては、金属あるいは金属
イオンが、チタンアルコキシド0.01molに対して
10-8〜10-5molの割合で添加されていることが好
ましく、またこの二酸化チタン前駆体から得られる二酸
化チタンの光触媒活性を高める金属、金属イオンとして
は、Cu、Cu2+、Mn、Mn2+、Ni、Ni2+、C
o、Co2+、Zn、Zn2+のいずれか1種または2種以
上であることが好ましい。さらに限定的には、金属ある
いは金属イオンが、Cu、Cu2+またはMn、Mn2+
いずれか1種または2種であることがより好適な例とし
て示される。
【0021】以上のこの出願の発明の二酸化チタン前駆
体を用いることにより、スクリーン印刷が可能で、光触
媒活性が高く、より自由度の高い二酸化チタン薄膜の製
造を可能とするスクリーン印刷用光触媒膜コーティング
液が実現される。
【0022】そしてこの出願の発明が提供する二酸化チ
タンは、上記の二酸化チタン前駆体が焼成されているこ
とを特徴としている。この二酸化チタンは、前記のとお
り、基板上に形成されているものや、任意の厚さの膜状
に形成されているものや、さらには任意のパターン形状
に形成されているものとすることができる。そして、こ
の二酸化チタンは、もちろん、光触媒活性を示すことを
特徴としているが、金属イオンが添加されたものについ
てはさらにその光触媒活性が高められたものとして提供
される。
【0023】このようなこの出願の発明の二酸化チタン
は、たとえば、二酸化チタンの光触媒活性による抗菌・
防汚・空気清浄機能を持つ物品として応用することがで
きる。そこで、この出願の発明においては、この出願の
発明の二酸化チタンが備えられていることを特徴とする
光触媒物品を提供する。この光触媒物品ついてはその用
途に何ら制限はなく、たとえば、抗菌タイル、防曇ガラ
ス、防汚建材フィルム、空気清浄機やNOx除去建材な
どの種々の物品を考慮することができる。
【0024】以上のこの出願の発明の二酸化チタン前駆
体および二酸化チタンの製造方法について以下に説明す
るとともに、この二酸化チタン前駆体および二酸化チタ
ンの特徴についてもさらに説明する。
【0025】まず、この出願の発明が提供する二酸化チ
タン前駆体の製造方法は、チタンアルコキシド、アルコ
ール系有機溶媒、アミノアルコールとしてよりよい材料
を選択し、そして水を含めた各材料の割合を特定のもの
として、チタンアルコキシドの加水分解、重縮合反応を
制御しながら進行させることで、室温大気中でも粘性が
安定したゲル状組成物として二酸化チタン前駆体を得る
ようにしていることを特徴としている。すなわち、この
出願の発明の二酸化チタン前駆体の製造方法は、チタン
アルコキシド1molに対してアルコール系有機溶媒を
40〜120molの割合で混合し、アミノアルコール
および水を含有する混合溶液を加熱処理してゲル化させ
ることを特徴としている。ここで、このチタンアルコキ
シドとアルコール系有機溶媒、アミノアルコールおよび
水からなる混合溶液においては、チタンアルコキシド1
molに対してアルコール系有機溶媒85〜65mo
l、水20〜50molの割合で混合したものとするこ
とがより好ましい。 (1)チタンアルコキシド この出願の発明において、チタンアルコキシドは、二酸
化チタン前駆体および二酸化チタンの原料となる。一般
的に、二酸化チタンの原料としては、金属としてチタン
のみを含む各種のチタン化合物を用いることができ、具
体的には、一酸化チタン、三酸化二チタン、二酸化チタ
ン、炭化チタン、窒化チタン、硫化チタン、二塩化チタ
ン、三塩化チタン、四塩化チタン、硫酸チタン(II
I),(IV)、オキシ硫酸チタン(IV)、オキシシュウ
酸チタン(IV)、チタンアルコキシド、トリスアセチル
アセトナトチタン塩などの各種の材料を使用するように
している。しかしながら、この出願の発明においては、
二酸化チタンの原料として、加水分解して水に容易に溶
解することのできるチタンアルコキシドを使用するよう
にしている。チタンアルコキシドとしては、一般式Ti
(OR)n(ORは、単一または異種のアルコキシル基
であって、nは2、3または4を示す)として表される
各種のものを用いることができる。具体的には、たとえ
ば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テ
トラプロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、
テトラブトキシチタン等を例示することができ、これら
のいずれか1種を単独で、あるいは2種以上を混合物と
して用いることができる。この出願の発明においては、
吸湿性が高く、長期にわたって粘性等の安定性が優れた
二酸化チタン前駆体が得られることから、チタンアルコ
キシドとしてテトライソプロポキシドを用いることがよ
り好適な例として示される。
【0026】そして、この出願の発明の方法において、
チタンアルコキシドは、次式で示されるように加水分解
し、 <加水分解> 〜TiOR + H2O → 〜TiOH + ROH この反応による加水分解生成物と、あるいは加水分解生
成物間とで、以下のように脱水縮合してTi−O−Ti
結合を生じ、ゲル状組成物としての二酸化チタン前駆体
を形成する。 <重縮合反応> 〜TiOR + HOTi〜 → 〜TiOTi +
ROH 〜TiOH + HOTi〜 → 〜TiOTi +
2O このチタンアルコキシドの加水分解および重縮合におい
て、(1)チタンアルコキシド、(2)アミノアルコー
ル、(3)アルコール系有機溶媒、(4)水の配合の割
合は極めて重要なであり、この出願の発明においては、
上記のとおり、(1)チタンアルコキシド1molに対
して、(2)アミノアルコール1.0〜20molの特
定の範囲で制御することができ、さらには、アルコール
系有機溶媒/水混合溶液についても、(1)チタンアル
コキシド1molに対して、(3)アルコール系有機溶
媒40〜120mol、(4)水10〜80molの特
定の範囲で制御することができる。これによって、チタ
ンアルコキシドの加水分解および重縮合の反応速度を好
適に制御し、縮合反応をゆっくりと逐次的に進行させる
ことができ、所望の粘性を有する二酸化チタン前駆体を
得るようにしている。 (2)アルコール系有機溶媒 この出願の発明においてアルコール系有機溶媒は極めて
重要な役割を果たし、チタンアルコキシドの主たる溶媒
として多量に用いるようにしている。すなわち、このア
ルコール系有機溶媒は、高い吸湿性を有するチタンアル
コキシドを溶解して安定化することでチタンアルコキシ
ドと水の、加熱処理より低い温度ないしは室温付近の低
温での加水分解を抑制し、加熱処理におけるより高い温
度で加水分解・重縮合を進行させることで、Ti−O−
Ti結合をより効率的に生成し、所望の高い粘性を有す
るゲルを生成するようにしている。また、金属イオンが
添加されている場合には、このアルコール系有機溶媒は
還元剤として働き、金属イオンを金属まで還元する役割
を果たしている。このアルコール系有機溶媒としては、
極めて容易に加水分解および縮合しやすいチタンアルコ
キシドを低温でも安定して溶解させることができる各種
のものを広く用いることができる。このようなアルコー
ル系有機溶媒としは、この出願の発明においては、水に
対する溶解性が高く、沸点が100〜200℃程度の溶
媒を用いることが好ましい例として示される。たとえ
ば、沸点が100〜200℃程度の各種のアルコール系
有機溶媒としては、具体的には、たとえば、1−ブタノ
ール、1−ペンタノール等のモノアルコールや、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタン
ジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキサメチレンジ
オール等のジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサ
ントリオール等のトリオール等である。なかでも。この
出願の発明においては、アルコール系有機溶媒として
は、エチレングリコール等のアルキレングリコールを用
いることが好適なものとして例示される。
【0027】この出願の発明において、アルコール系有
機溶媒の配合の割合は、たとえばチタンアルコキシド1
molに対して40〜120molの範囲で調整するこ
とができる。アルコール系有機溶媒の配合の割合が40
mol未満の場合には、チタンアルコキシドの加水分解
が室温の段階で起こってしまい、得られる組成物の粘度
が不足してゲル状とならないために好ましくない。また
120molを超過すると加水分解が起こりにくいため
にゲル状組成物は得られず、チタンと溶媒との間の化合
物を形成し、結晶粉末が析出することになる。アミノア
ルコール、水とのバランスを考慮すると一概には言えな
いが、より好ましくは、このアルコール系有機溶媒は、
チタンアルコキシド1molに対して60〜100mo
l程度の範囲とし、より限定的には、65〜85mol
程度とすることが好適である。 (3)アミノアルコール この出願の発明において、アミノアルコールはチタンア
ルコキシドと反応し、アルコキシドの一部をトリエタノ
ールアミン、アセチルアセトン、酢酸等で置換してチタ
ンの金属錯体を形成することで、室温付近の低温での加
水分解および重縮合の反応速度を抑制して制御するよう
にしている。
【0028】このようなアミノアルコールとしては、一
般式(HOR2sN(R33-sで表される各種のアミノ
アルコールを使用することができる。ここで、R2はア
ルキレン基またはアリーレン基で、R3は水素、アルキ
ル基またはアリール基であり、sは1〜3の整数を示
す。これらのR2のアルキレン基またはアリーレン基、
そしてR3の水素、アルキル基またはアリール基として
は、特に制限されるものではなく、それぞれ各種のもの
とすることができる。
【0029】より保存安定性に優れた金属錯体が得られ
るという観点からは、R2としては、メチレン基、エチ
レン基、i−プロピレン基、n−プロピレン基、i−ブ
チレン基、n−ブチレン基、s−ブチレン基、t−ブチ
レン基等のアルキレン基、あるいはフェニレン基、ベン
ジレン基、ナフチレン基等のアリーレン基であることが
好ましく、さらに安定した金属錯体が得られることによ
り、R2は、直鎖または分岐を有するアルキレン基であ
ることがより好ましく、より限定的には、分岐を有する
アルキレン基であることが望ましい。このようなアミノ
アルコールとしては、ジアルカノールアミンやトリアル
カノールアミンがあり、具体的には、トリエタノールア
ミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミ
ン、ジイソプロパノールアミン、メチルジエタノールア
ミン、エチルジエタノールアミンなどの一種または2種
以上の組み合わせがあげられる。これらのアミノアルコ
ールのうち、特にトリエタノールアミン、ジエタノール
アミンあるいはこれらの混合物が、金属錯体の保存安定
性をより高いものとできることから、より好ましい。
【0030】この出願の発明においては、アミノアルコ
ールの配合の割合については、チタンアルコキシド1m
olに対して、1.0〜20molの範囲で調整するこ
とができる。アミノアルコールの配合の割合が1.0m
ol未満の場合には加熱処理しても液体のままでゲルは
生成せず、また20molを超過すると得られるゲル状
組成物の粘度が高くなりすぎ、さらに多い場合には固化
してしまうために好ましくない。このアミノアルコール
の配合についても、有機溶媒あるいは水とのバランスを
考慮すると一概には言えないが、より好ましくは、チタ
ンアルコキシド1molに対して1.3〜15mol程
度の範囲とし、より限定的には、1.5〜10mol程
度の範囲で調整することができる。 (4)水 この出願の発明において、水は、以上のチタンアルコキ
シド、アルコール系有機溶媒、アミノアルコールからな
る混合溶液において、チタンアルコキシドの加水分解反
応を誘起する加水分解剤として重要である。この出願の
発明においては、比較的少量の水でチタンアルコキシド
の加水分解を好適に制御し、室温付近の低温では加水分
解および縮合重合をゆっくりと逐次的に進行させ、比較
的高温で一気に反応を進行させて二酸化チタン前駆体を
得るようにしている。
【0031】この出願の発明においては、水の配合の割
合は、たとえばチタンアルコキシド1molに対して、
10〜80molの範囲で調整することができる。水の
配合の割合が10mol未満の場合には、チタンアルコ
キシドの加水分解が十分に進行せずゾル状の組成物が得
られることになり、また50molを超過すると低温で
あっても加水分解が進行しすぎてゲル状組成物の粘度が
高くなりすぎ、さらに多い場合には固化してしまうため
に好ましくない。この水の配合についても、アルコール
系有機溶媒あるいはアミノアルコールとのバランスを考
慮しながら、より好ましくは、チタンアルコキシド1m
olに対して15〜60mol程度の範囲、より限定的
には、20〜50mol程度の範囲で調整することがで
きる。
【0032】この出願の発明では、これらの材料を均一
に混合した混合溶液を加熱処理して加水分解および重縮
合させ、ゲル化させるようにしている。そしてこの出願
の発明の方法においては、この加熱処理は、100〜2
00℃の温度範囲で施すことが好ましいものとして示さ
れる。加熱処理の時間については、用いた材料の種類や
混合溶液の量等により、たとえば数10分〜数時間程度
の範囲で適宜調整することができる。
【0033】これによって、たとえば数10センチポイ
ズ〜10ポイズ程度と高粘度で、室温大気中でも粘性が
安定していて、スクリーン印刷が可能とされる前記の二
酸化チタン前駆体を製造することができる。
【0034】またこの出願の発明が提供する二酸化チタ
ン前駆体の製造方法においては、混合溶液中に、前記の
(1)チタンアルコキシド、(2)アルコール系有機溶
媒、(3)アミノアルコール、(4)水に加えて、
(5)金属イオンを添加することを特徴としている。こ
の金属イオンは、混合溶液に添加するため、少量であっ
ても混合溶液中に容易に均一に添加することができる。 (5)金属イオン この出願の発明において、金属イオンは、得られる二酸
化チタン前駆体の粘度をさらに安定化し、またこの二酸
化チタン前駆体から得られる二酸化チタンの光触媒活性
を向上させるものとして添加することが考慮される。こ
のこの金属イオンとしては、光触媒反応におけるTiの
電子・ホール対の再結合を抑制するように電子をトラッ
ピングすることができるTi以外の遷移金属のイオンを
用いることができる。具体的には、たとえば、Cu2+
Mn2+、Ni2+、Co2+、Zn2+等のいずれか1種を用
いることや、あるいは2種以上を混合して用いることな
どが例示される。この二酸化チタン前駆体から得られる
二酸化チタンの光触媒活性をより向上させるものとし
て、金属イオンとしては、Cu2+またはMn2+のいずれ
か1種または2種を用いることが好ましい。これらの金
属イオンは、たとえば、金属酢酸塩等として混合溶液に
添加することができ、そしてまたチタンアルコキシドに
対する濃度が非常に小さいときだけ有効に機能すること
ができる。
【0035】この金属イオンの添加の割合としては、チ
タンアルコキシド1molに対して1/10mol以下
程度とすることができ、これ以上の添加は得られる二酸
化チタン前駆体の粘度を高めすぎる傾向があるため好ま
しくない。また、得られる二酸化チタンについて、金属
イオンの添加による光触媒活性能の向上の効果をより効
果的なものとするには、金属イオンの添加の割合として
は、チタンアルコキシド1molに対して10-6〜10
-4mol程度の割合で添加すること等が好ましいものと
して例示される。
【0036】これによって、この二酸化チタン前駆体か
ら得られる二酸化チタンの光触媒活性をさらに高めるこ
とができる二酸化チタン前駆体を製造することができ
る。
【0037】一方で、この出願の発明が提供する二酸化
チタンの製造方法は、以上の方法により得られた二酸化
チタン前駆体を焼成することを特徴としている。この焼
成により、二酸化チタン前駆体中に含まれているアルコ
ール系有機溶媒、アミノアルコールが除去されるととも
に、二酸化チタン前駆体中に形成されているTi−O−
Ti結合の不規則性が改善されて二酸化チタンが結晶化
し、二酸化チタンを得ることができる。
【0038】この出願の発明において、二酸化チタン前
駆体は、所望の形態に形成してから焼成することができ
る。たとえば、この二酸化チタン前駆体は、塊状のもの
として形成することや、厚膜あるいは薄膜として、さら
には所望のパターンあるいは大きさの厚膜あるいは薄膜
として形成することなど、任意の形状に形成してから焼
成することができる。また、この二酸化チタン前駆体は
粘度が数10センチポイズ〜10ポイズ程度で調節する
ことができるため、基板上に任意の手段で塗布するなど
してから焼成することなども可能とされる。
【0039】この二酸化チタン前駆体が塗布される基板
の材質や形状等については特に制限されず、各種のもの
とすることができる。たとえば、この出願の発明におい
ては、数10センチポイズ〜10ポイズ程度と高粘度の
二酸化チタン前駆体を用いるようにしているため、従来
のゾル状の二酸化チタン前駆体液では塗布することがで
きなかったステンレス基板等の各種金属からなる基板に
対しても容易に塗布が可能となる。もちろん、従来と同
様に、ガラスやセラミックス等の基板に対しても塗布で
きる。また、基板の形状についてもたとえば平担な基板
等に限定されず、任意の形状のものとすることができ
る。
【0040】さらに、この二酸化チタン前駆体の基板上
への塗布の手段については、特に制限されることもので
はないが、この出願の発明の二酸化チタン前駆体の特性
を最もよく利用できるものとして、スクリーン印刷の手
法により塗布することが好ましい形態として例示され
る。たとえばこの二酸化チタン前駆体をスクリーン印刷
の手段により塗布すると、1回の塗布により、基板上に
数μm程度の厚さの均一な薄膜を、容易に形成すること
ができる。これは、従来のゾル状の二酸化チタン前駆体
液を用いたスピン法やディップ法により塗布して得られ
る膜厚の0.1〜0.2μmという厚さに比較して十分
厚いものである。そして、たとえばこの二酸化チタン前
駆体から得られる二酸化チタンが光触媒活性を示すに十
分な厚さと言うこともできる。そして、このような膜厚
は、もちろん二酸化チタン前駆体の粘度により調整する
ことができ、また、二酸化チタン前駆体の複数回の塗布
によって厚くすることなども可能である。
【0041】またこの二酸化チタン前駆体は基板上への
塗布後もその粘度等が安定していることなどから、焼成
の前であれば、水またはアルコール等によって基板から
容易に除去することができる。これは、均質な薄膜を得
ることが困難で塗り直しができない従来のゾルゲル法に
比べて、極めて簡便に高品質な二酸化チタン薄膜が得ら
れるものであり、これによって二酸化チタンの製造にお
ける歩留まりを極めて高めることができる。
【0042】このように形成された二酸化チタン前駆体
に対する焼成は、空気または不活性ガス雰囲気中で、5
00〜650℃程度の温度範囲で施すことができる。こ
の温度範囲での焼成により、透明で、亀裂、割れ等がな
く、光触媒活性を示す二酸化チタンを得ることができ
る。焼成温度が500℃以下では、酸化チタンの結晶化
が不十分で光触媒活性が示されない場合がある。また、
焼成温度が650℃を超過すると、ルチル型の二酸化チ
タンが生成し始めるために好ましくない。この出願の発
明の二酸化チタンにおいて、光触媒活性は、アナターゼ
型二酸化チタン結晶の成長とともに増大する傾向がある
ものの、アモルファスあるいは結晶性の低い二酸化チタ
ンにおいて極めて高い光触媒活性を得ることができる。
したがって、二酸化チタンの結晶度と光触媒活性能とは
必ずしも一致するものではなく、この出願の発明の方法
においては、二酸化チタンの光触媒活性能を高めるため
には、たとえば、焼成温度を、上記の500〜650℃
程度の温度範囲であって、用いたアルコール系有機溶
媒、アミノアルコールおよびそれらとチタンの反応物が
除去される温度範囲とすること等が好ましいものとして
考慮されることになる。このより限定された焼成温度の
範囲は、用いたチタンアルコキシド、アルコール系有機
溶媒およびアミノアルコールの種類、さらには添加した
金属イオンの種類や量等によって様々に変わってくるも
のであるが、おおよその目安として550〜600℃程
度の範囲を例示することができる。このようなより限定
された温度での焼成により、より光触媒活性の高い二酸
化チタンを得ることができる。なお、不活性ガス雰囲気
中での焼成は、アルコール系有機溶媒、アミノアルコー
ルの除去の温度をより高温側に移動させるため、焼成の
温度を高めに設定することが好ましい。この焼成の時間
については、二酸化チタン前駆体の粘性、厚さおよび形
状等に応じて適宜調整することができる。
【0043】また、この出願の発明の二酸化チタンの製
造方法においては、焼成時の亀裂、割れ等を防ぐため、
形成された二酸化チタン前駆体を、200℃以下で予備
乾燥して乾燥ゲル状体としてから焼成すること等も考慮
することができる。
【0044】以上のこの出願の発明の方法によって、薄
膜等の任意の形状を有する二酸化チタンを、たとえばス
クリーン印刷により、容易にかつ簡便に製造することが
できる。
【0045】以下、添付した図面に沿って実施例を示
し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明す
る。
【0046】
【実施例】 (実施例1) チタンテトライソプロポキシド 0.01モル(2.94ml) (和光純薬工業株式会社製 試薬一級) エチレングリコール 0.84モル(45ml) (和光純薬工業株式会社製 試薬特級) トリエタノールアミン 0.04モル(5ml) (和光純薬工業株式会社製 試薬特級) を混合して加水分解に安定なTi溶液を作成した。さら
に酢酸銅一水和物(石津製薬株式会社製 Assay98.0
%)を用いて0.2mol/lの酢酸銅水溶液を調整
し、この酢酸銅水溶液0〜0.1mlと純水とを併せて
5mlとなるようにしてTi溶液に加えて混合溶液を調
整した。この混合溶液に対し、還流により130℃で2
時間30分の加熱処理を施して、二酸化チタン前駆体を
得た。
【0047】得られた二酸化チタン前駆体について観察
した結果を表1に示した。いずれもほぼ白色ゲル状の二
酸化チタン前駆体が得られたことが確認された。
【0048】
【表1】
【0049】得られた二酸化チタン前駆体をアセトンで
洗浄し、スパチュラを用いてステンレス基板(3×5c
2)上に薄く均一に塗布した。これを減圧下、200
℃で1時間乾燥させた後、400〜650℃の温度で焼
成処理を施し、二酸化チタン試料を得た。
【0050】<A> 図1に示す光触媒反応装置を用い、
得られた二酸化チタン試料の光触媒活性を調べた。H2
SO4槽(1)およびNaOH槽(2)にはそれぞれ1
MH2SO4溶液および1MNaOH溶液が入れられ、両
液は塩橋(3)で連絡されている。この塩橋(3)に
は、KCl飽和寒天が充填されている。また、H2SO4
槽(1)には炭素電極(4)が、NaOH槽(2)には
得られた二酸化チタン試料からなる二酸化チタン電極
(5)が配設され、両電極は電流計を介して接続されて
いる。
【0051】この二酸化チタン電極(5)に、400W
高圧水銀ランプ(6)を照射したときに、電極間に流れ
る電流を測定した。その結果を図2(a)〜(d)に示
した。
【0052】(a)は、銅を含まない二酸化チタン試料
について、焼成の温度と電流値の関係を示している。4
00℃で焼成した二酸化チタン試料については電流がほ
とんど流れなかったが、500〜600℃で焼成した二
酸化チタン試料については電流が流れることが確認され
た。また、550℃で焼成した二酸化チタン試料が最も
高い電流値を示した。したがって、この場合は、550
℃で焼成した二酸化チタン試料の光触媒活性能が最も高
くなることが示された。
【0053】(b)は、500℃で焼成した二酸化チタ
ン試料について、添加した銅の量と電流値の関係を示し
ている。この場合、銅を添加していない二酸化チタン試
料については電流が流れたものの、銅を添加した試料に
ついてはほとんど電流が流れなかった。
【0054】(c)は、550℃で焼成した二酸化チタ
ン試料について、添加した銅の量と電流値の関係を示し
ている。550℃で焼成した二酸化チタン試料は、銅の
添加量に関わらず電流が流れるが、銅添加量1.0×1
-5molの二酸化チタン試料について最大電流値68
μAを得た。
【0055】(d)は、600℃で焼成した二酸化チタ
ン試料について、添加した銅の量と電流値の関係を示し
ている。600℃で焼成した二酸化チタン試料は、銅の
添加量と電流値とに関連が見られ、銅添加量2.0×1
-7molまでは電流は増加し、銅添加量がそれ以上に
なると電流値が減少することがわかった。この場合の最
大電流値は74μAであった。
【0056】以上のことから、銅イオンの添加量および
焼成温度は、得られる二酸化チタンの光触媒活性能に影
響を与えることが確認された。
【0057】<B> 二酸化チタン試料について粉末X線
回折を行い、その結果を図3(a)(b)に示した。
(a)は、銅を含まず、400〜600℃の焼成温度で
焼成された二酸化チタン試料についてのXRDパターン
であって、(b)は銅添加量2.0×10-7molで、
500〜650℃で焼成した二酸化チタン試料について
のXRDパターンである。ここで、d=0.2023n
mのピークはステンレス基板に起因している。
【0058】(a)から400℃で焼成された試料はア
モルファス二酸化チタンであり、500〜600℃で焼
成された試料はアナターゼ型二酸化チタンであることが
わかった。また550℃で焼成された試料は、上記<A>
で高い光触媒活性を示したが、結晶性は500℃および
600℃で焼成された試料に比べて悪いことがわかっ
た。(b)についても、上記<A>で高い光触媒活性を示
した550℃および600℃で焼成された試料について
は、結晶性が悪くなっていることがわかった。この結果
から、d=0.3464nm,d=0.7649nmの
ピークが消失するように結晶性が低下すると、光触媒活
性が高くなることが予想される。
【0059】<C> 二酸化チタン前駆体について示差熱
重量分析を行ない、その結果を図4(a)(b)に示し
た。(a)は銅を添加しない二酸化チタン前駆体を、
(b)は銅を2.0×10-7mol添加した二酸化チタ
ン前駆体を、減圧下200℃で1時間乾燥させて得た粉
末を試料として用いている。
【0060】(a)(b)ともに、350℃近傍でチタ
ンと結合したエチレングリコールの燃焼脱離に起因する
減量、そしてそれぞれ545.4℃、566.9℃でト
リエタノールアミンの燃焼脱離に起因する減量が観察さ
れた。
【0061】これらの結果を併せると、銅を添加しない
二酸化チタン前駆体では、545.4℃で有機物の燃焼
による大きな減量が起こり、この直高の550℃で焼成
した二酸化チタン試料について、光触媒活性が最も高く
なった。また、銅を2.0×10-7mol添加した二酸
化チタン前駆体では、566.9℃で有機物の燃焼によ
る大きな減量が起こり、この直高の600℃で焼成した
二酸化チタン試料について、光触媒活性が最も高くなっ
た。すなわち、この出願の発明の二酸化チタン前駆体に
おいては、焼成により残留有機物が燃焼すると同時にた
とえば比表面積が増大するなどして、光触媒活性能が高
められることがわかった。
【0062】<D> 二酸化チタン前駆体について赤外吸
収スペクトル分析を行ない、その結果を図5(a)
(b)に示した。(a)は銅を添加しない二酸化チタン
前駆体、(b)は銅を2.0×10-5mol添加した二
酸化チタン前駆体についての結果であり、それぞれA:
二酸化チタン前駆体を減圧下200℃で1時間乾燥させ
て得た粉末、B:Aをさらに550℃で1時間焼成した
粉末、C:Aを600℃で1時間焼成した粉末を試料と
して用いている。
【0063】(a)のスペクトルAでは1074cm-1
にアルコキシドグループに起因する吸収、1651cm
-1にOH伸縮振動に起因する吸収、2852cm-1にC
H伸縮振動に起因する吸収、3348cm-1近傍に有機
溶媒として用いたエチレングリコールの水酸基のOH伸
縮振動に起因する幅の広い吸収が観測できる。これら
は、スペクトルBおよびCには見られず、二酸化チタン
前駆体におけるH−O―H結合が焼成によってTi−O
−C結合に置き換わったことが分かる。
【0064】すなわち、この出願の発明の二酸化チタン
前駆体においては、チタンアルコキシドの加水分解は2
00℃程度の低温では抑制されており、焼成による高温
状態で効率よく進行することが示された。 (実施例2) エチレングリコール 0.8モル(45ml) トリエタノールアミン 0.038モル(5ml) チタンイソプロポキシド 0.01モル(2.94ml) に対して、純水を0.2〜0.5モル(4〜10ml)
で変化させて混合溶液を調整した。この混合溶液を還流
により130℃で2時間の加熱処理を施したところ、い
ずれの純水量においても白色のゲル状組成物として、こ
の出願の発明の二酸化チタン前駆体を得た。
【0065】得られた二酸化チタン前駆体の粘度は、全
て数10センチポイズ〜10ポイズの範囲内であり、ス
クリーン印刷に良好な粘性を有していることが確認され
た。
【0066】このような配合条件において、純水の量を
0.2モル(4ml)よりも減らした場合には、加水分
解が進行せず、混合溶液は液体状のままであった。また
純水の量を0.5モル(10ml)よりも増やした場合
には、低温から加水分解が進行したため白色粉末状の二
酸化チタンが得られ、二酸化チタン前駆体を得ることは
できなかった。
【0067】純水量を0.1,0.25,0.35,
0.5モルとした場合に得られた二酸化チタン前駆体を
アセトンで洗浄して、ステンレス基板(1.8×3.3
cm2)上にスクリーン印刷し、減圧下200℃で1時
間乾燥させた後、空気中、550℃で3時間の焼成を施
した。この1回のスクリーン印刷で塗布された二酸化チ
タン前駆体を焼成することにより、厚さ1〜2μm程の
透明な薄膜が得られた。この薄膜は、X線回折の結果か
ら二酸化チタンであることが確認された。また、表面観
察の結果、この二酸化チタン薄膜は緻密で、ピンホール
やクラックが見られなかった。
【0068】得られた二酸化チタン薄膜について光触媒
活性を調べるため、実施例1と同様の装置を用い、二酸
化チタン薄膜に紫外線を照射することで生じる電流を測
定した。その結果を図6に示した。
【0069】図6から、全ての二酸化チタン薄膜につい
て光触媒活性が確認されたが、この場合には、純水の添
加量を0.5モル(10ml)として得られた二酸化チ
タン薄膜が、最も高い光触媒活性を示すことがわかっ
た。 (実施例3) エチレングリコール 0.85〜0.65モル(48〜35ml) トリエタノールアミン 0.015〜0.12モル(2〜15ml) を併せて50mlとなるようにそれぞれ変化させ、 チタンイソプロポキシド 0.01モル(2.94ml) 純水 0.28モル(5ml) を混合して混合溶液を調整した。この混合溶液に対し、
還流により130℃で2時間の加熱処理を施したとこ
ろ、白色のゲル状組成物としてのこの出願の発明の二酸
化チタン前駆体を得た。得られた二酸化チタン前駆体は
いずれも数10センチポイズ〜10ポイズの範囲内であ
り、良好な粘性を有していた。
【0070】この配合条件において、トリエタノールア
ミンの量を0.015モルよりも減らした場合には、加
水分解が進行せず、混合溶液は液体あるいはゾル状のま
まであった。またトリエタノールアミンの量を0.12
モルよりも増やした場合には、白色粉末状の水酸化チタ
ンが得られ、二酸化チタン前駆体は得られなかった。
【0071】次に、トリエタノールアミンが1mlの場
合に得られたゾル状体、および5、7、10mlの場合
に得られた二酸化チタン前駆体について、実施例1と同
様にスクリーン印刷、乾燥、焼成を施し、得られた二酸
化チタン膜について光触媒活性を調べた。その結果を図
7に示した。なお、トリエタノールアミンが1mlの場
合に得られたゾル状体についてはスクリーン印刷ができ
なかったため、スパチュラによりステンレス基板に塗布
した。
【0072】図7から、全ての二酸化チタン膜が光触媒
活性を示すことが確認されたが、この配合条件では、ト
リエタノールアミンを5mlとした場合に、二酸化チタ
ン前駆体のスクリーン印刷が可能となる上に、最も高い
光触媒活性が得られることがわかった。
【0073】 (実施例4) エチレングリコール 0.8モル(45ml) トリエタノールアミン 0.038モル(5ml) チタンイソプロポキシド 0.01モル(2.94ml) 純水 0.28モル(5ml) を混合して混合溶液を調整した。この混合溶液に対して
それぞれCu2+、Mn2+、Ni2+、Co2+、Zn2+の金
属イオンを2×10-7mol添加して混合した後、還流
により130℃で2時間の加熱処理を施したところ、白
色のゲル状組成物としてのこの出願の発明の二酸化チタ
ン前駆体を得た。この二酸化チタン前駆体をアセトンで
洗浄して、ステンレス基板(1.8×3.3cm2)上
に塗布し、550、600℃で焼成し、二酸化チタン薄
膜を得た。
【0074】コバルトイオン(Co2+)を添加した二酸
化チタン前駆体については、ステンレス基板への塗布の
際にはじかれやすく、基板になじまなかった。また、焼
成により得られた二酸化チタン膜には多数のクラックの
発生が確認された。
【0075】得られた二酸化チタン薄膜について光触媒
活性能を調べたところ、銅イオン(Cu2+)、マンガン
イオン(Mn2+)を添加した二酸化チタン薄膜が、特に
高い光触媒活性を示すことがわかった。
【0076】(実施例5)実施例4において600℃で
焼成した銅イオンを添加した二酸化チタン薄膜を用い、
ジクロロベンゼンの酸化分解を試みた。光触媒反応装置
は、図1に示したものを用い、H2SO4槽(1)には1
MH2SO4溶液を、NaOH槽(2)には飽和ジクロロ
ベンゼン溶液を入れ、両液を塩橋(3)で連絡した。ま
た、H2SO4槽(1)には正極として炭素電極(4)
を、飽和ジクロロベンゼン溶液を入れたNaOH槽
(2)には負極として銅イオンを添加した二酸化チタン
薄膜からなる二酸化チタン電極(5)を配設し、電流計
を介して両電極をリード線で接続した。
【0077】この二酸化チタン電極(5)に、太陽光、
蛍光灯、プロジェクター(電灯)を照射することで発生
する電流値を調べた。その結果を図8に示した。図8よ
り、この出願の発明の二酸化チタンは、太陽光、蛍光
灯、プロジェクターのいずれによっても光触媒活性を示
すことがわかった。特に、太陽光においても高い光触媒
活性を示すことが示された。
【0078】また、この電流値から算出したジクロロベ
ンゼンの分解量の変化は、実際のジクロロベンゼンの分
解量の変化と似ているものの、かなり小さい値であっ
た。これは、二酸化チタン電極(5)等へのジクロロベ
ンゼンの吸着による濃度低下や、通常の触媒反応による
ジクロロベンゼンの分解などが生じているためであると
考えられる。
【0079】(実施例6)実施例4において550℃で
焼成したマンガンイオンを添加した二酸化チタン薄膜を
用い、光触媒活性を測定した。光触媒反応装置は、図1
に示したものを用い、午前6時から午後6時まで12時
間戸外で太陽光を照射した際の電流値を測定した。その
結果を図9に示した。正午近くに最大電流値を得、太陽
光の照射量に応じた光触媒活性を示すことが確認され
た。このマンガンイオンを添加した二酸化チタン薄膜
は、測定後も繰返し安定した光触媒活性を示し、耐久性
も良好で、実用に耐えられることが確認された。
【0080】もちろん、この発明は以上の例に限定され
るものではなく、細部については様々な態様が可能であ
ることは言うまでもない。
【0081】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、スクリーン印刷を可能とし、より自由度の高い二
酸化チタン薄膜の製造等に有用な新規な二酸化チタン前
駆体とその製造方法およびそれを用いた二酸化チタンと
その製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において用いた光触媒反応装置を模式図
である。
【図2】(a)は銅を含まない二酸化チタン試料につい
て焼成の温度と光電流値の関係を例示した図であり、
(b)(c)(d)はそれぞれ500℃、550℃、6
00℃で焼成した二酸化チタン試料について添加した銅
の量と光電流値の関係を例示した図である。
【図3】(a)は銅を含まず、400〜600℃の焼成
温度で焼成された二酸化チタン試料についてのXRDパ
ターンを例示し、(b)は銅添加量2.0×10-7mo
lで、500〜650℃で焼成した二酸化チタン試料に
ついてのXRDパターンを例示した図である。
【図4】(a)は銅を添加しない二酸化チタン前駆体
を、(b)は銅を2.0×10-7mol添加した二酸化
チタン前駆体を、減圧下200℃で1時間乾燥させて得
た粉末を試料として示差熱重量分析を行なった結果を例
示した図である。
【図5】(a)は銅を添加しない二酸化チタン前駆体、
(b)は銅を2.0×10-5mol添加した二酸化チタ
ン前駆体について赤外吸収スペクトル分析を行なった結
果を例示した図である。
【図6】二酸化チタン前駆体製造時の水の量と二酸化チ
タン薄膜に紫外線を照射することで生じる電流との関係
を例示した図である。
【図7】二酸化チタン前駆体製造時のトリエタノールア
ミンの量と二酸化チタン薄膜に紫外線を照射することで
生じる電流との関係を例示した図である。
【図8】この出願の発明の二酸化チタンに、(a)太陽
光、(b)蛍光灯、(c)プロジェクターの光を照射し
た際に生じる電流との関係を例示した図である。
【図9】この出願の発明の二酸化チタンに、戸外で太陽
光を照射した際に生じる電流との関係を例示した図であ
る。
【符号の説明】
1 H2SO4槽 2 NaOH槽 3 塩橋 4 炭素電極 5 二酸化チタン電極 6 ランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G047 CA02 CB06 CC03 4G069 AA03 AA06 BA04A BA04B BA21C BA48A BC31A BC31B BC35A BC35B BC50C BC62A BC62B BC67A BC67B BC68A BC68B BE06C BE14C DA05 EA08 EC22Y EC25 FA01 FA03 FB08 FB15 FB23 FB30 FB57 FB80 FC02 FC04 FC07 FC08 4J039 AE12 BA35 BC07 BC10 BC35 BE12 CA03 GA04

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンアルコキシド1molに対してア
    ルコール系有機溶媒が40〜120molの割合で混合
    されているとともに、アミノアルコールおよび水が含有
    されているチタンアルコキシド混合溶液が加熱処理され
    て得られたゲル状組成物であることを特徴とする二酸化
    チタン前駆体。
  2. 【請求項2】 混合溶液には、チタンアルコキシド1m
    olに対して、アミノアルコール1.0〜20mol、
    水10〜80molが含有されていることを特徴とする
    請求項1記載の二酸化チタン前駆体。
  3. 【請求項3】 アルコール系有機溶媒がアルキレングリ
    コールであることを特徴とする請求項1または2記載の
    二酸化チタン前駆体。
  4. 【請求項4】 アミノアルコールがジアルカノールアミ
    ンまたはトリアルカノールアミンあるいはこれらの混合
    物であることを特徴とする請求項1ないし3いずれかに
    記載の二酸化チタン前駆体。
  5. 【請求項5】 100〜200℃の温度範囲で加熱処理
    されていることを特徴とする請求項1ないし4いずれか
    に記載の二酸化チタン前駆体。
  6. 【請求項6】 粘度が数10センチポイズ〜10ポイズ
    の範囲であることを特徴とする請求項1ないし5いずれ
    かに記載の二酸化チタン前駆体。
  7. 【請求項7】 金属あるいは金属イオンが添加されてい
    ることを特徴とする請求項1ないし6いずれかに記載の
    二酸化チタン前駆体。
  8. 【請求項8】 金属あるいは金属イオンが、チタンアル
    コキシド1molに対して1/10mol以下の割合で
    添加されていることを特徴とする請求項7記載の二酸化
    チタン前駆体。
  9. 【請求項9】 金属あるいは金属イオンが、チタンアル
    コキシド1molに対して10-6〜10-4molの割合
    で添加されていることを特徴とする請求項7または8記
    載の二酸化チタン前駆体。
  10. 【請求項10】 金属あるいは金属イオンが、Cu、C
    2+、Mn、Mn2+、Ni、Ni2+、Co、Co2+、Z
    n、Zn2+のいずれか1種または2種以上であることを
    特徴とする請求項7ないし9いずれかに記載の二酸化チ
    タン前駆体。
  11. 【請求項11】 金属あるいは金属イオンがCu、Cu
    2+、Mn、あるいはMn2+のいずれか1種または2種以
    上であることを特徴とする請求項10記載の二酸化チタ
    ン前駆体。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし11いずれかに記載の
    二酸化チタン前駆体が焼成されていることを特徴とする
    二酸化チタン。
  13. 【請求項13】 空気または不活性ガス雰囲気中で、5
    00〜650℃の温度範囲で焼成されていることを特徴
    とする請求項12記載の二酸化チタン。
  14. 【請求項14】 基板上に形成されていることを特徴と
    する請求項12または13記載の二酸化チタン。
  15. 【請求項15】 膜状に形成されていることを特徴とす
    る請求項12ないし14いずれかに記載の二酸化チタ
    ン。
  16. 【請求項16】 光触媒活性を示すことを特徴とする請
    求項12ないし15いずれかに記載の二酸化チタン。
  17. 【請求項17】 チタンアルコキシド1molに対して
    アルコール系有機溶媒を40〜120molの割合で混
    合するとともに、アミノアルコールおよび水を含有させ
    たチタンアルコキシド混合溶液を加熱処理してゲル状組
    成物とすることを特徴とする二酸化チタン前駆体の製造
    方法。
  18. 【請求項18】 混合溶液には、チタンアルコキシド1
    molに対してアミノアルコール1.0〜20mol、
    水10〜80molを混合していることを特徴とするを
    特徴とする請求項17記載の二酸化チタン前駆体の製造
    方法。
  19. 【請求項19】 アルコール系有機溶媒がアルキレング
    リコールであることを特徴とする請求項17または18
    記載の二酸化チタン前駆体の製造方法。
  20. 【請求項20】 アミノアルコールがジアルカノールア
    ミンまたはトリアルカノールアミンあるいはこれらの混
    合物であることを特徴とする請求項17ないし19いず
    れかに記載の二酸化チタン前駆体の製造方法。
  21. 【請求項21】 100〜200℃の温度範囲で加熱処
    理することを特徴とする請求項17ないし20いずれか
    に記載の二酸化チタン前駆体の製造方法。
  22. 【請求項22】 金属イオンを添加することを特徴とす
    る請求項17ないし21いずれかに記載の二酸化チタン
    前駆体の製造方法。
  23. 【請求項23】 チタンアルコキシド1molに対して
    1/10mol以下の割合で金属イオンを添加すること
    を特徴とする請求項22記載の二酸化チタン前駆体の製
    造方法。
  24. 【請求項24】 チタンアルコキシド1molに対して
    10-6〜10-4molの割合で金属イオンを添加するこ
    とを特徴とする請求項23記載の二酸化チタン前駆体の
    製造方法。
  25. 【請求項25】 金属イオンが、Cu2+、Mn2+、Ni
    2+、Co2+、Zn2+のいずれか1種または2種以上であ
    ることを特徴とする請求項22ないし24いずれかに記
    載の二酸化チタン前駆体の製造方法。
  26. 【請求項26】 金属イオンがCu2+またはMn2+のい
    ずれか1種または2種であることを特徴とする請求項2
    5記載の二酸化チタン前駆体の製造方法。
  27. 【請求項27】 請求項17ないし26いずれかに記載
    の方法で得られた二酸化チタン前駆体を焼成することを
    特徴とする二酸化チタンの製造方法。
  28. 【請求項28】 空気または不活性ガス雰囲気中で、5
    00〜650℃の温度範囲で焼成することを特徴とする
    請求項27記載の二酸化チタンの製造方法。
  29. 【請求項29】 550〜600℃で焼成することを特
    徴とする請求項28記載の二酸化チタンの製造方法。
  30. 【請求項30】 二酸化チタン前駆体を任意の形状に形
    成して焼成することを特徴とする請求項27ないし29
    いずれかに記載の二酸化チタンの製造方法。
  31. 【請求項31】 基板上に二酸化チタン前駆体を膜状に
    形成して焼成することを特徴とする請求項30記載の二
    酸化チタンの製造方法。
  32. 【請求項32】 スクリーン印刷により二酸化チタン前
    駆体を形成することを特徴とする請求項30または31
    記載の二酸化チタンの製造方法。
  33. 【請求項33】 200℃以下で予備乾燥してから焼成
    することを特徴とする請求項27ないし32いずれかに
    記載の二酸化チタンの製造方法。
  34. 【請求項34】 請求項1ないし11いずれかに記載の
    二酸化チタン前駆体が含まれることを特徴とするスクリ
    ーン印刷用光触媒膜コーティング液。
  35. 【請求項35】 請求項12ないし16いずれかに記載
    の二酸化チタンが備えられていることを特徴とする光触
    媒物品。
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