JP4132285B2 - 複合金属酸化物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複合金属酸化物およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、光触媒活性を有する金属酸化物の重合体ブロックと他の異種金属酸化物の重合体ブロックとが化学結合したものであって、良好な光触媒活性と超親水性を有する上、機械的強度に優れ、膜状物や繊維、さらにはマット、織布、不織布などのマット状物などとして種々の用途に利用できる複合金属酸化物、およびこのものを効率よく、かつ工業的に有利に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
二酸化チタンなどの半導体を光電極とすることにより、水が水素と酸素とに光分解される、いわゆる本多−藤島効果[「工業化学雑誌」第72巻、第108〜113ページ(1969年)」が見出されて以来、光触媒の開発や実用化研究が盛んに行われるようになってきた。この光触媒は、例えば、二酸化チタンなどの半導体粒子を、そのバンドギャップ以上のエネルギーの光で励起すると、伝導帯に電子が生じ、かつ価電子帯に正孔が生じ、このエネルギーに富んだ電子−正孔対を利用するものである。
このような光触媒を応用して、例えば脱臭、防汚、抗菌、殺菌、さらには廃水中や廃ガス中の環境汚染上の問題となっている各種物質の分解・除去などが検討されている。
【0003】
光触媒としては、これまで種々の半導体的特性を有する化合物、例えば二酸化チタン、酸化鉄、酸化タングステン、酸化亜鉛などの金属酸化物、硫化カドミウムや硫化亜鉛などの金属硫化物などが知られているが、これらの中で、二酸化チタン、特にアナターゼ型二酸化チタンは実用的な光触媒として有用である。この二酸化チタンは、太陽光などの日常光に含まれる紫外線領域の特定波長の光を吸収することによって優れた光触媒活性を示し、この光触媒作用に由来する強力な酸化作用によって防汚、防臭、抗菌、空気浄化、水浄化、超親水性などの機能を発揮する。
【0004】
二酸化チタンなどの光触媒がもつこのような光触媒機能を効果的に発揮させ、それを工業的に利用する研究が現在盛んに行われている。この光触媒は一般に微粉体として市販されているため、用途や基体などに応じて、なんらかの方法で光触媒粉体を基体上に担持し、工業的に利用しているのが現状である。
この担持方法としては、シランカップリング剤やその縮合物などの無機バインダーを用いて担持するのが一般的であるが、この方法においては、結合がそれほど強固ではなく、そのため光触媒粉体が徐々に欠落するのを免れないという問題があった。特に、強固な光触媒の膜状物を形成するのは、極めて難しいのが実状である。
【0005】
最近、二酸化チタンの微粉体と親水性を持続させる効果の高いシリカ微粉体とを、前記無機バインダーにより基体上に担持したものが注目され、種々の提案がなされている(特開平9−57912号公報、特開平9−59041号公報、特開平9−59042号公報)。しかしながら、これらの担持物は、やはり結合が強固とはいえず、長期安定性に劣るという問題があった。
【0006】
ところで、このような光触媒を繊維状にすることができれば、各種の織物、編物、不織布などのマット状物の作製が可能となり、また、膜状物にすることができれば、コーティング物の作製が可能となり、光触媒活性材料としての用途の拡大が期待できるが、この場合、該膜状物や繊維状物は、実用的な強度を有することが必要となる。
【0007】
そこで、光触媒膜若しくは光触媒構造体を高強度化する方法としては、非晶質成分の混合が考えられる。セラミックスの複合化の一般的な方法は焼結を利用するもので、複合化するセラミックスの微粉体を均一に混合し、例えばチタニア−シリカ複合体の場合、1000℃以上の高温に加熱して焼結させる。この方法は、焼結温度以上でないとセラミックス同士の接着力に乏しく、充分な強度を有する複合体を得ることが困難であり、従って光触媒機能の高い結晶形態(酸化チタンの場合はアナターゼ型)を発現させるのは不可能である。
【0008】
一方、低温複合化方法として、ゾルゲル法が知られている。この方法によれば、金属塩や金属アルコキシドを混合・加水分解して得られた前駆体を比較的低温で焼成することで、均一な複合体を容易に作製することが可能である。例えば、酸化チタンと非晶質のシリカを複合化することで、強度の高い繊維を作製することが試みられている[「ジャーナル・オブ・ゾル−ゲル・サイエンス・アンド・テクノロジー(J. Sol-Gel Sci. Tech.)」第9巻、第85〜93ページ(1997年)、「窯業協会誌」第86巻、第1547〜1551ページ(1976年)、「窯業協会誌」第87巻、第1552〜1558ページ(1977年)]。
【0009】
その際、原料となるチタンのアルコキシドとケイ素のアルコキシドとを混合し、加水分解処理して得られた粘稠な重合物から繊維を紡糸し、焼成することにより、目的とする高強度繊維を得ている。
しかしながら、この方法においては、モノマーの段階で混合を行うことから、Ti−O−Si結合の発生確率が高く、非晶質成分を20容量%添加しただけで、酸化チタン成分のアナターゼ型への転移(通常は単一系の場合、転移温度は300〜400℃である)が阻害され、相転移させるのに1000℃程度の温度が必要となる上、その相転移率も低いなどの問題があった。また、1000℃以上のようなあまり高温での焼成では、表面のチタノールやシラノールを減少させ、光触媒能を低下させるという問題も生じる。すなわち、この方法では、原子レベルの均一な複合化を可能にする利点を有するが、その反面、結晶状態に基づく性能を生かして複合化する場合には、焼成温度を低くせねばならないため、結晶化度が低くなり、また、結晶化を充分に起こすためには、焼成温度を著しく高温にせねばならず、光触媒活性を有効に発現させるための表面に存在する水酸基の減少などの問題があり、充分な光触媒活性能を発現できなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、良好な光触媒活性と超親水性を有する上、機械的強度に優れ、膜状物、繊維、マット、織布、不織布などとして種々の用途に利用できる複合金属酸化物、およびこのものを効率よく、かつ工業的に有利に製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、結晶化処理により光触媒活性を有する金属酸化物を誘導しうる金属化合物の重合物と、これとは異種の金属酸化物を誘導しうる金属化合物の重合物とからなる混合物を非焼結状態に焼成したものであって、それぞれの重合物から誘導される金属酸化物の重合体ブロックが化学結合してなる複合金属酸化物がその目的に適合しうること、そしてこの複合金属酸化物は、ゾルゲル法により、特定の平均重合度を有する前記金属化合物の重合物をそれぞれ調製したのち、これらを混合して焼成することにより、製造しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、(A)単一での結晶化処理により光触媒活性を有する金属酸化物であるチタニアおよび/または酸化亜鉛を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物から得られた平均重合度10〜10000の重合物と、(B)前記とは異種の金属酸化物であるシリカ、アルミナ及びジルコニアの中から選ばれる少なくとも1種を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物から得られた平均重合度10〜10000の重合物とからなる混合物の非焼結状態の焼成物であって、前記(A)重合物から誘導される金属酸化物の重合体ブロックと(B)重合物から誘導される金属酸化物の重合体ブロックとが化学結合しており、前記焼成物が、(A)重合物と(B)重合物との混合物を紡糸して得られた繊維状物を焼成したものであることを特徴とする複合金属酸化物を提供するものである。
【0013】
また、上記複合金属酸化物は、本発明によれば、単一での結晶化処理により光触媒活性を有する金属酸化物であるチタニアおよび/または酸化亜鉛を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物、および前記とは異種の金属酸化物であるシリカ、アルミナ及びジルコニアの中から選ばれる少なくとも1種を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物を原料として用い、それぞれゾルゲル法により、平均重合度10〜10000の重合物を得たのち、これらを混合し、紡糸して得られた繊維状物を焼成することにより、製造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の複合金属酸化物は、(A)単一での結晶化処理により光触媒活性を有する金属酸化物を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物から得られた重合物と、(B)前記とは異種の金属酸化物を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物から得られた重合物との混合物を、非焼結状態に焼成したものである。
【0015】
前記(A)重合物および(B)重合物は共に、重合度が平均重合度で10〜10,000の範囲であり、平均重合度が上記範囲を逸脱すると、紡糸性や膜形成性などに劣り、本発明の目的が達せられない。好ましい平均重合度は10〜7,000の範囲である。
【0016】
前記(A)重合物としては、単一での結晶化処理により光触媒活性を有する金属酸化物を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物から得られたものが用いられる。ここで、単一での結晶化処理により光触媒活性を有する金属酸化物としては特に制限はないが、例えばチタニアおよび/または酸化亜鉛を好ましく挙げることができ、特に光触媒活性能および実用性の面から、チタニアが好適である。
【0017】
上記の金属有機化合物としては、アルコキシ基などの加水分解性有機基を少なくとも1つ有する有機チタン化合物や有機亜鉛化合物などの金属有機化合物が挙げられる。一方、金属無機化合物としては、例えば四塩化チタンや二塩化亜鉛などの塩化物で代表される金属ハロゲン化物などが挙げられる。
【0018】
また、チタニアを誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物から得られた重合物としては、後述する一般式(II)で表されるチタン化合物の加水分解物を好ましく挙げることができる。
【0019】
一方、(B)重合物としては、上記(A)とは異種の金属酸化物を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物から得られたものが用いられる。ここで、(A)とは異種の金属酸化物としては特に制限はないが、例えばシリカ、アルミナおよびジルコニアを好ましく挙げることができ、特に得られる複合金属酸化物の性能および実用性の面から、シリカが好適である。
【0020】
上記の金属有機化合物としては、アルコキシ基などの加水分解性有機基を少なくとも1つ有する有機ケイ素化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物などの金属有機化合物が挙げられる。一方、金属無機化合物としては、例えばケイ素、アルミニウム、ジルコニウムなどの塩化物で代表される金属ハロゲン化物などが挙げられる。
【0021】
また、シリカを誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物から得られた重合物としては、後述する一般式(III)で表されるケイ素化合物の加水分解物を好ましく挙げることができる。
本発明においては、前記(A)重合物と(B)重合物との混合割合については特に制限はなく、得られる複合金属酸化物における所望の光触媒活性能と機械的強度に応じて、適宜選定すればよい。
本発明の複合金属酸化物は、(A)重合物と(B)重合物との混合物を非焼結状態に焼成して得られたものであり、焼成温度としては、使用する(A)重合物及び(B)重合物の金属の種類に応じて適宜選定することができる。
本発明の複合金属酸化物の形態としては特に制限はなく、様々な形態をとることができ、例えば膜状物、繊維、ウェッブ、あるいは不織布、織布、マットなどのマット状物などが挙げられる。ここで、膜状物は、前記(A)重合物と(B)重合物との混合物を用いて基体上に膜状物を形成し、焼成することにより、作製することができるし、繊維は、(A)重合物と(B)重合物との混合物を紡糸して得られた繊維状物を焼成することにより、作製することができる。このようにして得られた繊維を、さらに加工することにより、ウェッブ、さらには不織布、織布、マットなどのマット状物を製造することができる。例えば、連続した繊維の場合は単独あるいはガラス繊維等の無機繊維と混合したものを、短繊維の場合は単独で紡績したものまたはガラス繊維等の無機繊維と混紡したものを原糸として用いて、例えばシャットル織機、ウォータージェット方式織機等の織機を用いて織物を製造することができ、ラッセル編機、トリコット編機等の編機を用いて編物を製造することができる。更に短繊維の場合は、ウェブを作成後、接着剤を用いた不織布化法またはニードルパンチ法等の乾式法、あるいは抄紙法等の湿式法により不織布を製造することができる。また、実施例に記載したようにエアーによりノズルから吐出細化した繊維を適宜な支持体(ネット等)の上に積層させた後、これを焼成することにより繊維間が接着したマットを得ることができる。
【0022】
本発明の複合金属酸化物からなる繊維としては、特にゾルゲル法によるチタニア重合物とシリカ重合物との混合物を紡糸して得られた繊維状物の焼成物からなり、かつチタニア成分がアナターゼ型の結晶形態を主体とするものである光触媒活性を有するチタニア−シリカ繊維(以下、チタニア−シリカ繊維Iと称す)、およびメチレンブルーを用いた色素分解試験において、チタニア単独繊維の60分後の分解率を100%とした場合、60分後の分解率A%が、式(I)
A(%)≧[繊維中のチタン原子数/繊維中のチタン原子とケイ素原子との合計数]×100 ・・・(I)
の関係を満たす光触媒活性を有するチタニア−シリカ繊維(以下、チタニア−シリカ繊維IIと称す)を好ましく挙げることができる。
【0023】
ここに上記ゾルゲル法とは、チタン化合物、ケイ素化合物を加水分解、重縮合反応することにより、チタニア重合物、シリカ重合物を製造する手法を意味する。
上記チタニア−シリカ繊維Iは、従来のチタニア−シリカ繊維とは異なり、Ti−O−Si結合の生成が抑制されるので、アナターゼ型チタニアのみからなる繊維に対する光触媒活性能の低下度が小さく、良好な光触媒活性能を有している。
このチタニア−シリカ繊維Iにおいては、ゾルゲル法によるチタニア重合物として、後述の一般式(II)で表されるチタン化合物の加水分解物を、またゾルゲル法によるシリカ重合物として、後述の一般式(III)で表されるケイ素化合物の加水分解物を挙げることができる。また、このチタニア重合物とシリカ重合物との混合割合については特に制限はなく、得られる繊維における所望の光触媒活性能と機械的強度に応じて、適宜選定すればよい。
【0024】
本発明に係るチタニア−シリカ繊維Iまたはチタニア−シリカ繊維IIとしては、平均繊維径が20μm以下で、平均繊維長が1mm以上であり、かつ繊維単糸の引張強度が0.5GPa以上であるものが好ましい。また、このチタニア−シリカ繊維の光触媒活性能は、通常アナターゼ型チタニア繊維の50%以上である。
【0025】
なお、上記繊維の光触媒活性は下記のようにして測定することができる。
すなわち、光触媒活性を測定しようとする繊維の紡糸用材料を、ガラス板などの基板上に塗布したのち、該繊維の作製時とほぼ同じ焼成条件で焼成する。次いで、コート面に紫外線を照射するなどして超親水化処理を施したのち、メチレンブルーなどの有機色素を吸着させ、この有機色素の分解速度を、吸光度法などで測定することにより、光触媒活性を求めることができる。
このチタニア−シリカ繊維Iは、ゾルゲル法によるチタニア重合物とシリカ重合物との混合物を紡糸して得られた繊維の焼成物からなるものであるが、紡糸方法としては、上記チタニア重合物とシリカ重合物との混合物をエアー圧で吹き飛ばして繊維化する方法を採用するのが有利である。
【0026】
一方、本発明に係る光触媒活性を有するチタニア−シリカ繊維IIは、前記性状を有するものであればよく、その製造方法については特に制限はない。
【0027】
次に、本発明の複合金属酸化物の製造方法としては、前記性状を有する複合金属酸化物が得られる方法であればよく、特に制限はないが、以下に示す本発明の方法に従えば、効率よく、所望の複合金属酸化物を製造することができる。
本発明の方法においては、まず、単一での結晶化処理により光触媒活性を有する金属酸化物を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物、および前記とは異種の金属酸化物を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物を原料として用い、それぞれゾルゲル法により、平均重合度10〜10000の重合物を調製する。
【0028】
前記光触媒活性を有する金属酸化物を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物としては、金属酸化物として、チタニアまたは酸化亜鉛、特にチタニアを誘導しうるチタン化合物、例えば一般式(II)
1nTi(OR24-n ・・・ (II)
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基、R2は炭素数1〜6のアルキル基であり、OR2が複数ある場合、各OR2は同一であってもよいし、異なっていてもよく、nは0〜3の整数である。)
で表されるチタン化合物(以下、チタンアルコキシドと称する。)が好ましく用いられる。
【0029】
この一般式(II)で表されるチタンアルコキシドの例としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタンなどのテトラアルコキシチタンを好ましく挙げることができる。
【0030】
一方、異種の金属酸化物を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物としては、金属酸化物として、シリカ、アルミナまたはジルコニア、特にシリカを誘導しうるケイ素化合物、例えば一般式(III)
3mSi(OR44-m ・・・(III)
(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基、R4は炭素数1〜6のアルキル基であり、OR4が複数ある場合、各OR4は同一であってもよいし、異なっていてもよく、mは0〜3の整数である。)
で表されるケイ素化合物(以下、ケイ素アルコキシドと称する。)が好ましく用いられる。
【0031】
この一般式(III)で表されるケイ素アルコキシドの例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシラン、ジビニルジエトキシシランなどを挙げることができる。これらの中でテトラアルコキシシランが好適である。
【0032】
本発明においては、複合金属酸化物として、チタニア−ケイ素複合物を製造する場合には、通常有機溶媒中において、前記のチタンアルコキシドおよびケイ素アルコキシドを、それぞれ加水分解してチタニア重合物およびシリカ重合物を調製する。この際、用いられる有機溶媒としては、極性溶剤が好ましく、特に低級アルコールが好適である。この低級アルコールとしては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、sec−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、2,3−ジメチル−1−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノールなどが挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0033】
この有機溶媒中に、適当な濃度で、前記のチタンアルコキシドまたはケイ素アルコキシドを溶解し、撹拌しながら、これに加水分解に必要な水と酸を徐々に滴下して加水分解反応を行う。ここで用いる酸としては、加水分解を促進するプロトン酸であれば特に限定はされないが、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、シュウ酸などが挙げられ、これらは単独もしくは2種類以上を混合して使用することもできる。この加水分解反応は、通常0〜70℃、好ましくは10〜50℃の範囲の温度で行われる。この際、減圧下で操作を行い、溶媒並びに加水分解に伴い副生する低級アルコールを留去させ、加水分解物の重縮合を促進させることができる。この反応は、得られるチタニア重合物またはシリカ重合物の平均重合度が、紡糸性やコーティング性の点から、10〜10000になるまで続けるのが好ましい。
【0034】
次いで、このようにして得られたチタニア重合物とシリカ重合物とを適当な割合、例えばチタニア原子とシリカ原子の比が99:1〜1:99、好ましくは95:5〜30:70、更に好ましくは95:5〜40:60の割合で混合する。
次に、前記のようにして得られた混合重合物を、焼成して複合金属酸化物を製造するが、この焼成は、得られる複合金属酸化物が未焼結状態になるような温度で行う。この焼成温度としては、使用する金属種によって適宜選定される。例えば、複合金属酸化物として、チタニア−シリカ複合物を製造する場合には、通常300℃以上1000℃未満の範囲の温度において焼成を行う。
【0035】
この温度が300℃未満では、アナターゼ型結晶形態が発現せず、十分な光触媒活性能が得られない恐れがあるし、1000℃以上ではチタニア成分中のルチル型が増え、光触媒活性能が低下する上、焼結状態になりやすい。光触媒活性能を良好なものとし、未焼結状態にするには、この焼成温度は400℃〜950℃の範囲が好ましい。焼成時間は、焼成温度に左右され、一概に定めることはできないが、一般的には0.1〜10時間程度で十分である。
得られる複合金属酸化物の形態を膜状物とする場合には、該混合重合物を含む塗工液を調製し、基体上にコーティングして被膜を形成したのち、所定の温度で焼成すればよい。
【0036】
また、複合金属酸化物の形態を繊維とする場合には、該混合重合物を含む紡糸液を調製したのち、通常内径1mm以下のノズルから押し出すとともに、0.01kgf/cm2以上のエアー圧で吹き飛ばして繊維化することにより紡糸を行い、次いで、紡糸された繊維状物を所定の温度で焼成すればよい。
このような繊維化の方法により、前記の光触媒活性を有するチタニア−シリカ繊維IまたはIIが、極めて効率よく得られる。
【0037】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0038】
実施例1
窒素雰囲気下、テトライソプロポキシチタン113.6g、ヘキシルアルコール13.6gおよびイソプロピルアルコール4.0gを混合し、撹拌しながら、これにヘキシルアルコール13.6g、イソプロピルアルコール4.0g、36.5重量%塩酸16.8gおよび酢酸9.6gの混合溶液を、一秒一滴の速度で滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けたのち、アスピレーターにて減圧し、溶液中に存在するアルコール分を揮発させ、加水分解アルコキシドの重縮合を促進させた。この重合物の平均重合度[ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した数平均分子量から算出、以下同様]が220になった時点で減圧を終了し、チタニア重合物を得た。
【0039】
一方、窒素雰囲気下、テトラエトキシシラン83.33g、ヘキシルアルコール13.6gおよびイソプロピルアルコール4.0gを混合し、撹拌しながら、これにヘキシルアルコール13.6g、イソプロピルアルコール4.0g、36.5重量%塩酸16.8gおよび酢酸9.6gの混合溶液を、一秒一滴の速度で滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けたのち、アスピレーターにて減圧し、溶液中に存在するアルコール分を揮発させ、加水分解アルコキシドの重縮合を促進させた。この重合物の平均重合度が60になった時点で減圧を終了し、シリカ重合物を得た。
【0040】
次いで、このようにして得られたチタニア重合物とシリカ重合物とを窒素雰囲気下、チタン原子とケイ素原子の比が90:10の割合になるように混合し、30分間撹拌したのち、図1に示すノズル径0.5mmのダイス1からチタニア重合物とシリカ重合物との混合物2を圧力空気3の供給下に押し出し、0.1kgf/cm2の圧力でブロー紡糸することで、繊維4を作製し、これを積層することでマット状とした。
【0041】
次にこのマットを室温にて24時間乾燥したのち、100℃/hrの速度で750℃まで昇温し、この温度で2時間保持後、室温まで冷却することにより、チタニア−シリカ複合繊維からなるマットを得た。
この繊維は、X線回折の結果、アナターゼ型の結晶形態の二酸化チタンを含むことが確認できた。また、走査型電子顕微鏡(SEM)観察から平均繊維径は8.11μm、拡大鏡から平均繊維長は31.2mmのチタニア−シリカ複合繊維であることが確認された。さらに得られた繊維の引張強度をテンシロンにて、チャック間距離15mm、引張速度20mm/分の条件で測定したところ、0.72GPaであることが確認された。
【0042】
このチタニア−シリカ複合繊維の光触媒活性を下記のようにして求めた。
すなわち、紡糸前の混合重合物(紡糸用材料)をイソプロピルアルコールにて粘度0.1ポイズ(25℃)になるように希釈し、この希釈物をスピンコーターにて、15mm角のシリカガラス板上に3000rpm、30秒の条件でスピンコートした。このコートしたシリカガラス板を24時間室温にて全乾燥したのち、繊維の焼成温度と同条件で焼成してサンプルを作製した。
【0043】
各サンプルに、ブラックライト(照射強度:1.0mW/cm2)にて2時間照射することにより、表面を超親水化させたのち、5.0×10-3重量%メチレンブルー水溶液を、3000rpm、30秒の条件でスピンコートし、これを暗所にて自然乾燥させた。次いで、この色素を吸着させたサンプルの初期吸光度(Abs)を、UV−VIS分光光度計(島津製作所社製、UV−2100)により測定し、さらにサンプルにブラックライト(照射強度:1.0mW/cm2)を照射したものについて、5分おきに該分光光度計により、吸光度の変化を調べることによって、色素の分解率を測定し、該チタニア−シリカ繊維の色素分解率とした。結果を図2にグラフで示す。色素分解率が高いほど、光触媒活性が高いことを示す。
【0044】
実施例2〜5
実施例1において、チタニア重合物とシリカ重合物とをチタン原子とケイ素原子の比が90:10の割合になるように混合する代わりに、表1に示す割合で混合し、かつアナターゼ結晶形態が確認できる温度で焼成した以外は実施例1と同様に実施した。結果を、実施例1の結果と共に、表1に示す。
【0045】
実施例6
窒素雰囲気下、テトライソプロポキシチタン113.6g、ヘキシルアルコール13.6gおよびイソプロピルアルコール4.0gを混合し、撹拌しながら、これにヘキシルアルコール13.6g、イソプロピルアルコール4.0g、36.5重量%塩酸16.8gおよび酢酸9.6gの混合溶液を、一秒一滴の速度で滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けたのち、アスピレーターにて減圧し、溶液中に存在するアルコール分を揮発させ、加水分解アルコキシドの重縮合を促進させた。この重合物の平均重合度が190になった時点で減圧を終了し、チタニア重合物を得た。
【0046】
一方、窒素雰囲気下、メチルトリメトキシシラン54.49g、ヘキシルアルコール13.6gおよびイソプロピルアルコール4.0gを混合し、撹拌しながら、これにヘキシルアルコール13.6g、イソプロピルアルコール4.0g、36.5重量%塩酸16.8gおよび酢酸4.8gの混合溶液を、一秒一滴の速度で滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けたのち、アスピレーターにて減圧し、溶液中に存在するアルコール分を揮発させ、加水分解アルコキシドの重縮合を促進させた。この重合物の平均重合度が45になった時点で減圧を終了し、シリカ重合物を得た。
【0047】
次いで、このようにして得られたチタニア重合物とシリカ重合物とを窒素雰囲気下、チタン原子とケイ素原子の比が80:20の割合になるように混合し、30分間撹拌したのち、この混合物を図1に示すノズル径0.5mmのダイスから押し出し、0.1kgf/cm2の圧力でブロー紡糸することで、繊維を作製し、これを積層することでマット状とした。
次にこのマットを室温にて24時間乾燥したのち、100℃/hrの速度で750℃まで昇温し、この温度で2時間保持後、室温まで冷却することにより、チタニア−シリカ複合繊維からなるマットを得た。
各種測定結果を、表1に示す。
【0048】
実施例7
窒素雰囲気下、チタンテトラ−n−ブトキシド136.1g、ヘキシルアルコール13.6gおよびイソプロピルアルコール4.0gを混合し、撹拌しながら、これにヘキシルアルコール13.6g、イソプロピルアルコール4.0g、36.5重量%塩酸16.8gおよび酢酸9.6gの混合溶液を、一秒一滴の速度で滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けたのち、アスピレーターにて減圧し、溶液中に存在するアルコール分を揮発させ、加水分解アルコキシドの重縮合を促進させた。この重合物の平均重合度が190になった時点で減圧を終了し、チタニア重合物を得た。
【0049】
一方、窒素雰囲気下、テトラエトキシシラン83.33g、ヘキシルアルコール13.6gおよびイソプロピルアルコール4.0gを混合し、撹拌しながら、これにヘキシルアルコール13.6g、イソプロピルアルコール4.0g、36.5重量%塩酸16.8gおよび酢酸9.6gの混合溶液を、一秒一滴の速度で滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けたのち、アスピレーターにて減圧し、溶液中に存在するアルコール分を揮発させ、加水分解アルコキシドの重縮合を促進させた。この重合物の平均重合度が45になった時点で減圧を終了し、シリカ重合物を得た。
【0050】
次いで、このようにして得られたチタニア重合物とシリカ重合物とを窒素雰囲気下、チタン原子とケイ素原子の比が70:30の割合になるように混合し、30分間撹拌したのち、この混合物を図1に示すノズル径0.8mmのダイスから押し出し、0.20kgf/cm2の圧力でブロー紡糸することで、繊維を作製し、これを積層することでマット状とした。
次にこのマットを室温にて24時間乾燥したのち、100℃/hrの速度で950℃まで昇温し、この温度で2時間保持後、室温まで冷却することにより、チタニア−シリカ複合繊維からなるマットを得た。
各種測定結果を、表1に示す。
【0051】
実施例8
窒素雰囲気下、テトライソプロポキシチタン113.6g、ヘキシルアルコール13.6gおよびイソプロピルアルコール4.0gを混合し、撹拌しながら、これにヘキシルアルコール13.6g、イソプロピルアルコール4.0g、36.5重量%塩酸16.8gおよび酢酸9.6gの混合溶液を、一秒一滴の速度で滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けたのち、アスピレーターにて減圧し、溶液中に存在するアルコール分を揮発させ、加水分解アルコキシドの重縮合を促進させた。この重合物の平均重合度が1000になった時点で減圧を終了し、チタニア重合物を得た。
【0052】
一方、窒素雰囲気下、テトラエトキシシラン83.33g、ヘキシルアルコール13.6gおよびイソプロピルアルコール4.0gを混合し、撹拌しながら、これにヘキシルアルコール13.6g、イソプロピルアルコール4.0g、36.5重量%塩酸16.8gおよび酢酸9.6gの混合溶液を、一秒一滴の速度で滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けたのち、アスピレーターにて減圧し、溶液中に存在するアルコール分を揮発させ、加水分解アルコキシドの重縮合を促進させた。この重合物の平均重合度が200になった時点で減圧を終了し、シリカ重合物を得た。
【0053】
次いで、このようにして得られたチタニア重合物とシリカ重合物とを窒素雰囲気下、チタン原子とケイ素原子の比が90:10の割合になるように混合し、これをイソプロパノールにて1.2倍に希釈したのち、30分間撹拌した。この混合物を図1に示すノズル径0.5mmのダイスから押し出し、0.1kgf/cm2の圧力でブロー紡糸することで、繊維を作製し、これを積層することでマット状とした。
次にこのマットを室温にて24時間乾燥したのち、100℃/hrの速度で750℃まで昇温し、この温度で2時間保持後、室温まで冷却することにより、チタニア−シリカ複合繊維からなるマットを得た。
各種測定結果を、表1に示す。
【0054】
比較例1
窒素雰囲気下、チタン原子とケイ素原子の比が90:10となるようにテトライソプロポキシチタン113.6g、テトラエトキシシラン7.5g、ヘキシルアルコール13.6gおよびイソプロピルアルコール4.0gを混合し、撹拌しながら、これにヘキシルアルコール13.6g、イソプロピルアルコール4.0g、36.5重量%塩酸16.8gおよび酢酸9.6gの混合溶液を、一秒一滴の速度で滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けたのち、アスピレーターにて減圧し、溶液中に存在するアルコール分を揮発させ、加水分解アルコキシドの重縮合を促進させた。この重合物の粘度が1.0ポイズ(25℃)になった時点で減圧を終了し、チタニアシリカランダム共重合物を得た。
【0055】
次いで、この混合物を図1に示すノズル径0.5mmのダイスから押し出し、0.1kgf/cm2の圧力でブロー紡糸することで、繊維を作製し、これを積層することでマット状とした。
次にこのマットを室温にて24時間乾燥したのち、100℃/hrの速度で750℃まで昇温し、この温度で2時間保持後、室温まで冷却することにより、チタニア−シリカランダム共重合繊維からなるマットを得た。
各種測定結果を、表1に示す。また、色素分解率の経時変化を図2のグラフに示す。
【0056】
比較例2
窒素雰囲気下、テトライソプロポキシチタン113.6g、ヘキシルアルコール13.6gおよびイソプロピルアルコール4.0gを混合し、撹拌しながら、これにヘキシルアルコール13.6g、イソプロピルアルコール4.0g、36.5重量%塩酸16.8gおよび酢酸9.6gの混合溶液を、一秒一滴の速度で滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けたのち、アスピレーターにて減圧し、溶液中に存在するアルコール分を揮発させ、加水分解アルコキシドの重縮合を促進させた。この重合物の平均重合度が210になった時点で減圧を終了し、チタニア重合物を得た。
【0057】
次いで、この混合物を図1に示すノズル径0.5mmのダイスから押し出し、0.1kgf/cm2の圧力でブロー紡糸することで、繊維を作製し、これを積層することでマット状とした。
次にこのマットを室温にて24時間乾燥したのち、100℃/hrの速度で500℃まで昇温し、この温度で2時間保持後、室温まで冷却することにより、チタニア繊維からなるマットを得た。
各種測定結果を、表1に示す。また、色素分解率の経時変化を図2のグラフに示す。
【0058】
比較例3
比較例1において、チタン原子とケイ素原子の比が90:10となるようにテトライソプロポキシチタンとテトラエトキシシランを混合する代わりに、95:5の割合で混合した以外は比較例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
Figure 0004132285
【0060】
注1)比較例2で得られたチタニア繊維の色素分解率(ブラックライト1時間照射後)を100とした場合の色素分解率の割合を示す。
【0061】
注2)弱すぎてチャックではさめないため、測定不能。
【0062】
図2から明らかなように、本発明に係るTi/Si原子比が90/10のチタニア−シリカアロイ繊維(実施例1)は、アナターゼ型チタニア繊維(比較例2)とほぼ同等の色素分解率(光触媒活性)を有することが分かる。また、Ti/Si原子比が90/10のチタニア−シリカランダム共重合アロイ繊維(比較例1)は、アナターゼ型チタニア繊維(比較例2)と比較して、色素分解率(光触媒活性)がかなり低いことが分かる。なお、図2において、×印は、シリカ繊維の場合である。
【0063】
実施例9
窒素雰囲気下、テトライソプロポキシチタン1136g、ヘキシルアルコール136gおよびイソプロピルアルコール40gを混合し、撹拌しながら、これにヘキシルアルコール136g、イソプロピルアルコール40g、36.5重量%塩酸168gおよび酢酸96gの混合溶液を2時間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けた後、アスピレーターにて減圧し、溶液中に存在するアルコール分を除去し、加水分解アルコキシドの重縮合を平均重合度が200になるまで促進させ、チタニア重合物を得た。
【0064】
また、別途窒素雰囲気下、テトラエトキシシラン833g、エチルアルコール136gを混合し、撹拌しながら、これにエチルアルコール136g、36.5重量%塩酸168gおよび酢酸96gの混合溶液を2時間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けた後、アスピレーターにて減圧し、溶液中に存在するアルコール分を除去し、加水分解アルコキシドの重縮合を平均重合度が50になるまで促進させ、シリカ重合物を得た。
【0065】
上記チタニア重合物とシリカ重合物を、チタン原子とケイ素原子との比が80:20の割合になるように、30分間撹拌混合した。得られた混合物を40℃のオーブンで24時間乾燥した。この混合物を種々の温度にて焼成後X線回折を測定し、酸化チタンのアナターゼの結晶化温度を調べたところ400℃であり、500℃の焼成によるアナターゼの含有率はチタニア成分に対し45%であった。また、この500℃焼成品のFT−IR(HORIBA社製FT300)を測定したところ、チタノシロキサン(Ti−O−Si)に帰属される吸収が970cm-1付近に認められ、両混合成分が化学結合していることが示された。
【0066】
また、上記混合物をイソプロピルアルコールにて50倍に希釈して石英ガラス基板に塗布し、500℃にて焼成した。得られた膜の鉛筆硬度を測定したところ5Hであった。これに20Wのブラックライトより紫外線を1.0mW/cm2の強度で1日間照射した。この膜上に5.0×10-3重量%のメチレンブルー水溶液を3000rpmで30秒間の条件でスピンコートし、暗所にて自然乾燥した。この色素を吸着させたサンプルの初期吸光度(abs)をUV−VIS分光光度計により測定し、さらにサンプルにブラックライトより紫外線を1.0mW/cm2の強度にて照射し、初期色素分解速度(単位時間当たりの吸光度の減少量)を求めたところ、0.312/hrとなり高い光触媒活性を示した。
【0067】
比較例4
窒素雰囲気下、テトライソプロポキシチタン1136g(4mol)、テトラエトキシシラン208.33g(1mol)、ヘキシルアルコール170gおよびイソプロピルアルコール50gを混合し、攪拌しながら、これにヘキシルアルコール170g、イソプロピルアルコール50g、36.5重量%塩酸210gおよび酢酸120gの混合溶液を2時間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けた後、アスピレーターにて減圧し、溶液中に存在するアルコール分を除去し、加水分解アルコキシドの重縮合を平均重合度が200になるまで促進させ、チタニアとシリカの共重合物を得た。これを40℃のオーブンで24時間乾燥した。この混合物を種々の温度にて焼成後X線回折を測定し、酸化チタンのアナターゼの結晶化温度を調べたところ700℃であり、800℃の焼成によるアナターゼの含有率はチタニア成分に対し12%であり、実施例9と比較して高温の焼成を行っているにもかかわらず、低い値であった。
【0068】
また、上記共重合物をイソプロピルアルコールにて50倍に希釈して石英ガラス基板に塗布し、800℃にて焼成した。得られた膜の鉛筆硬度を測定したところ5Hであった。これに20Wのブラックライトより紫外線を1.0mW/cm2の強度で1日間照射した。この膜上に5.0×10-3重量%のメチレンブルー水溶液を3000rpmで30秒間の条件でスピンコートし、暗所にて自然乾燥した。この色素を吸着させたサンプルの初期吸光度(abs)をUV−VIS分光光度計により測定し、さらにサンプルにブラックライトより紫外線を1.0mW/cm2の強度にて照射し、初期色素分解速度(単位時間当たりの吸光度の減少量)を求めたところ、0.083/hrとなり低い光触媒活性を示した。
【0069】
比較例5
シリカゾル(商品名:日本合成ゴム“グラスカ”のA液)とトリメトキシメチルシラン(同B液)とアナターゼ型チタニアゾル(日産化学TA−15、平均径12nm)を重量比で3:1:4に混合し、これを石英ガラス上に塗布した。これを150℃の温度で硬化させた。得られた膜の鉛筆硬度を測定したところ2Hであった。150℃で硬化させた物のFT−IRを測定したところ、チタノシロキサン(Ti−O−Si)に帰属される吸収が970cm-1付近には認められず、両混合成分が化学結合していないことが示された。これに20Wのブラックライトより紫外線を1.0mW/cm2の強度で1日間照射した。この膜上に5.0×10-3重量%のメチレンブルー水溶液を3000rpmで30秒間の条件でスピンコートし、暗所にて自然乾燥した。この色素を吸着させたサンプルの初期吸光度(abs)をUV−VIS分光光度計により測定し、さらにサンプルにブラックライトより紫外線を1.0mW/cm2の強度にて照射し、初期色素分解速度(単位時間当たりの吸光度の減少量)を求めたところ、0.248/hrとなり高い光触媒活性を示した。
【0070】
一方、上記塗布膜付き石英ガラスを1100℃にて5時間焼成し、膜の鉛筆硬度を測定したところ、5Hであった。これに20Wのブラックライトより紫外線を1.0mW/cm2の強度で1日間照射した。この膜上に5.0×10-3重量%のメチレンブルー水溶液を3000rpmで30秒間の条件でスピンコートし、暗所にて自然乾燥した。この色素を吸着させたサンプルの初期吸光度(abs)をUV−VIS分光光度計により測定し、さらにサンプルにブラックライトより紫外線を1.0mW/cm2の強度にて照射し、初期色素分解速度(単位時間当たりの吸光度の減少量)を求めたところ、0.068/hrとなり低い光触媒活性を示した。
【0071】
実施例10
窒素雰囲気下、モノイソプロポキシジエチルアルミニウム144.2g(1mol)をエチルエーテル600ミリリットルに溶解し、水18g(1mol)を添加し加水分解を行ったところ、重合度120のポリオルガノアルミノキサンが得られた。これと、実施例9の重合度が200のチタニア重合物をアルミニウム:チタンの原子比が20:80になるように混合した。得られた混合物を40℃のオーブンで24時間乾燥した後、種々の温度にて焼成後X線回折を測定し、アナターゼへの相転移温度を調べたところ400℃であり、500℃の焼成によるアナターゼの含有量はチタニア成分の50%であった。この重合物をイソプロピルアルコールにて50倍に希釈して石英ガラス基板に塗布し、500℃にて焼成した。得られた膜の鉛筆硬度を測定したところ4Hであった。これに20Wのブラックライトより紫外線を1.0mW/cm2の強度で1日間照射した。この膜上に5.0×10-3重量%のメチレンブルー水溶液を3000rpmで30秒間の条件でスピンコートし、暗所にて自然乾燥した。この色素を吸着させたサンプルの初期吸光度(abs)をUV−VIS分光光度計により測定し、さらにサンプルにブラックライトより紫外線を1.0mW/cm2の強度にて照射し、初期色素分解速度(単位時間当たりの吸光度の減少量)を求めたところ、0.298/hrとなり高い光触媒活性を示した。
【0072】
実施例11
窒素雰囲気下、環流管付きフラスコにジエトキシ亜鉛46.65g(0.3mol)にn−ブタノール741.2g(10mol)およびアセチルアセトン90.108g(0.9mol)を添加し、この溶液に別途調製した蒸留水1.35g(0.075mol)とジエタノールアミン31.542g(0.3mol)とn−ブタノール370.6g(5mol)からなる溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、100℃で10時間加熱した。放冷後、GPCにより分子量を測定したところ重合度が400であった。この溶液に、実施例9のシリカ重合物を、亜鉛:ケイ素の原子比で70:30になるように、均一に混合した。この混合物をイソプロピルアルコールにて10倍に希釈して塗布液を調製し、石英ガラス基板に塗布し、600℃にて焼成した。得られた膜の鉛筆硬度を測定したところ5Hであった。これに20Wのブラックライトより紫外線を1.0mW/cm2の強度で1日間照射した。この膜上に5.0×10-3重量%のメチレンブルー水溶液を3000rpmで30秒間の条件でスピンコートし、暗所にて自然乾燥した。この色素を吸着させたサンプルの初期吸光度(abs)をUV−VIS分光光度計により測定し、さらにサンプルにブラックライトより紫外線を1.0mW/cm2の強度にて照射し、初期色素分解速度(単位時間当たりの吸光度の減少量)を求めたところ、0.201/hrとなり高い光触媒活性を示した。
【0073】
参考例
窒素雰囲気下、モノイソプロポキシジエチルアルミニウム144.2g(1mol)をエチルエーテル600ミリリットルに溶解し、水18g(1mol)を添加し加水分解を行ったところ、重合度120のポリオルガノアルミノキサンが得られた。これと、実施例9の重合度が50のシリカ重合物をアルミニウム:ケイ素の原子比が60:40になるように混合した。得られた混合物を40℃のオーブンで24時間乾燥した後、種々の温度にて焼成後X線回折を測定し、γ−アルミナへの相転移温度を調べたところ300℃であり、400℃の焼成によるアルミナ成分に対するγ−アルミナの含有率は40%であった。この重合物をイソプロピルアルコールにて50倍に希釈して石英ガラス基板に塗布し、400℃にて焼成した。得られた膜の鉛筆硬度を測定したところ5Hであった。
【0074】
【発明の効果】
本発明の複合金属酸化物は、光触媒活性を有する金属酸化物の重合体ブロックと他の異種金属酸化物の重合体ブロックとが化学結合したものであって、良好な光触媒活性と超親水性を有する上、機械的強度に優れ、膜状物や繊維、さらにはマット、織布、不織布などのマット状物などとして種々の用途に利用することができる。
【0075】
また、本発明の方法によれば、上記複合金属酸化物を効率よく、しかも工業的に有利に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例、比較例において紡糸に用いたダイスの概略図である。
【図2】実施例1、比較例1および2で得られた各繊維の色素分解速度を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ダイス
2 シリカ重合物とチタニア重合物の混合物
3 圧力空気
4 繊維

Claims (12)

  1. (A)単一での結晶化処理により光触媒活性を有する金属酸化物であるチタニアおよび/または酸化亜鉛を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物から得られた平均重合度10〜10000の重合物と、(B)前記とは異種の金属酸化物であるシリカ、アルミナ及びジルコニアの中から選ばれる少なくとも1種を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物から得られた平均重合度10〜10000の重合物とからなる混合物の非焼結状態の焼成物であって、
    前記(A)重合物から誘導される金属酸化物の重合体ブロックと(B)重合物から誘導される金属酸化物の重合体ブロックとが化学結合しており、
    前記焼成物が、(A)重合物と(B)重合物との混合物を紡糸して得られた繊維状物を焼成したものである
    ことを特徴とする複合金属酸化物。
  2. 焼成物が、焼成した繊維状物を加工してなるウェッブである請求項1に記載の複合金属酸化物。
  3. 単一での結晶化処理により光触媒活性を有する金属酸化物がチタニアであり、前記とは異なる異種の金属酸化物がシリカである請求項に記載の複合金属酸化物。
  4. ゾルゲル法によるチタニア重合物とシリカ重合物との混合物を紡糸して得られた繊維状物の焼成物からなり、かつチタニア成分がアナターゼ型の結晶形態を主体とする光触媒活性を有するチタニア−シリカ繊維である請求項1またはに記載の複合金属酸化物。
  5. 光触媒活性を有するチタニア−シリカ繊維が、紡糸方法としてゾルゲル法によるチタニア重合物とシリカ重合物との混合物をエアー圧で吹き飛ばして繊維化する方法を用いて得られたものである請求項に記載の複合金属酸化物。
  6. 光触媒活性を有するチタニア−シリカ繊維の平均繊維径が20μm以下で、平均繊維長が1mm以上であり、かつ繊維単糸の引張強度が0.5GPa以上である請求項またはに記載の複合金属酸化物。
  7. メチレンブルーを用いた色素分解試験において、チタニア単独繊維の60分後の分解率を100%とした場合、60分後の分解率A%が、式(I)
    A(%)≧[繊維中のチタン原子数/繊維中のチタン原子とケイ素原子
    との合計数]×100 ・・・(I)
    の関係を満たす光触媒活性を有するチタニア−シリカ繊維である請求項1またはに記載の複合金属酸化物。
  8. 光触媒活性を有するチタニア−シリカ繊維からなるマット状物である請求項のいずれか1項に記載の複合金属酸化物。
  9. 単一での結晶化処理により光触媒活性を有する金属酸化物であるチタニアおよび/または酸化亜鉛を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物、および前記とは異種の金属酸化物であるシリカ、アルミナ及びジルコニアの中から選ばれる少なくとも1種を誘導しうる金属有機化合物若しくは金属無機化合物を原料として用い、それぞれゾルゲル法により、平均重合度10〜10000の重合物を得たのち、これらを混合し、紡糸して得られた繊維状物を焼成することを特徴とする請求項1に記載の複合金属酸化物の製造方法。
  10. 一般式(II)
    nTi(OR4−n ・・・ (II)
    (式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、ORが複数ある場合、各ORは同一であってもよいし、異なっていてもよく、nは0〜3の整数である。)
    で表されるチタン化合物、および
    一般式(III)
    mSi(OR4−m ・・・(III)
    (式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、ORが複数ある場合、各ORは同一であってもよいし、異なっていてもよく、mは0〜3の整数である。)
    で表されるケイ素化合物を原料として用い、それぞれゾルゲル法により平均重合度10〜10000のチタニア重合物およびシリカ重合物を得たのち、これらの混合物を紡糸し、次いで焼成して光触媒活性を有するチタニア−シリカ繊維を得る請求項に記載の方法。
  11. 一般式(II)で表されるチタン化合物がテトラアルコキシチタンであり、一般式(III)で表されるケイ素化合物がテトラアルコキシシランである請求項10に記載の方法。
  12. 紡糸方法として、ゾルゲル法によるチタニア重合物とシリカ重合物との混合物をエアー圧で吹き飛ばして繊維化する方法を用いる請求項10または11に記載の方法。
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