JP2005247787A - イソシアナート化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
着色の少ないイソシアナート化合物を、工業的に有利に製造する方法を提供する。
【解決手段】
対応するアミン化合物の炭酸塩の有機溶媒溶液にホスゲンを導入して、前記アミン化合物の炭酸塩とホスゲンとを反応させることによりイソシアナート化合物を製造する方法であって、前記炭酸塩の有機溶媒溶液に、前記炭酸塩が分解する温度以下でホスゲンの導入を開始することを特徴とするイソシアナート化合物の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明の製造方法においては、ホスゲンの導入をガスの吹込みにより行うのが好ましい。また、本発明の製造方法においては、ホスゲンの吹込みを80℃以下で開始するのが好ましく、ホスゲンの吹込みを50℃以下で開始するのがより好ましい。
(i)先ず、対応するアミンの炭酸塩を不活性有機溶媒に溶解又は懸濁させた有機溶媒溶液(以下、「反応液」ということがある。)中に、該炭酸塩が分解しない温度でホスゲンの導入を開始する。
(ii)その後、反応液をある一定温度まで徐々に昇温しながら、反応液へのホスゲンの導入を継続する。
(iii)さらに、反応液の温度を一定温度に保持しながら更にホスゲンを導入して、反応を完結させる。
(iv)反応終了後、窒素ガス等で脱ガスを行った後、溶媒を留去して目的物(イソシアナート化合物)を得る。
脂肪族ポリアミン化合物としては、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン等の鎖状脂肪族ポリアミン;o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、これらの異性体の混合物等の芳香環を有する脂肪族ポリアミン;ジアミノシクロペンタン、ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、1,4−ビス(アミノメチル)ノルボルネン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3,5−トリアミノシクロヘキサン(1,3,5−シクロヘキサントリアミン)等の環状脂肪族ポリアミン;リジンメチルエステル、リジンアミノエチルエステルなどのアミノ酸系ポリアミン;2,5−ビス(アミノメチル)−1,4−ジチアン等のヘテロ環を有する脂肪族ポリアミン;等が挙げられる。
本発明の製造方法により製造できる脂肪族ポリイソシアナート類の具体例としては、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、オクタメチレンジイソシアナート、ノナメチレンジイソシアナート等の直鎖脂肪族ポリイソシアナート;o−キシリレンジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート、p−キシリレンジイソシアナート、これらの異性体の混合物等の芳香環を有する脂肪族ポリイソシアナート;シクロペンタンジイソシアナート、シクロヘキサンジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアナート、1,4−ビス(イソシアナートメチル)ノルボルネン、ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)プロパン、1,4−ジイソシアナートシクロヘキサン、1,3,5−トリアミノシクロヘキサン(1,3,5−シクロヘキサントリイソシアナート)などの環状脂肪族ポリアミン;2,5−ビス(イソシアナートメチル)−1,4−ジチアン等のヘテロ環を有する脂肪族ポリイソシアナート;等が挙げられる。
本発明の製造方法は、特に2,5−ビス(イソシアナートメチル)−1,4−ジチアン(以下、「BIMD」と略記する。)等の製造方法として有用である。
還流冷却器、温度計、ガス吹込管及び攪拌機を備えた1Lのフラスコに、脱水トルエン600ml及びBAMD(2,5−ビス(アミノメチル)−1,4−ジチアン)27.36gを仕込んだ後、25〜30℃で炭酸ガス20.2gを1時間かけて吹込むことにより炭酸塩を得た。炭酸ガス吹込み終了後、25℃〜30℃でホスゲンガスの吹込みを開始し、反応液の温度を90℃〜100℃まで4時間かけて昇温すると同時に、ホスゲンガスを15g/hrで4時間吹込んだ。90℃〜100℃まで昇温した後、15g/hrで6時間ホスゲンガスをさらに吹込んだ。反応終了後、窒素を1時間吹き込むことにより脱ガスを行ない、濾過し、ろ液を濃縮して粗BIMD35.3gを得た。このときのBIMDの純度は96.8%であり、純分収率は99%であった。また、得られたBIMDに着色は殆どなかった。
還流冷却器、温度計、ガス吹込管及び攪拌機を備えた1Lのフラスコに、脱水トルエン600ml及びBAMD(2,5−ビス(アミノメチル)−1,4−ジチアン)36.39gを仕込んだ後、25℃〜30℃で炭酸ガス26.4gを1時間かけて吹込むことにより炭酸塩を得た。炭酸ガス吹込み終了後、25℃〜30℃でホスゲンガスの吹込みを開始し、反応液の温度を90℃〜100℃まで4時間かけて昇温すると同時に、ホスゲンガスを20g/hrで4時間吹込んだ。90℃〜100℃まで昇温した後、20g/hrで3時間ホスゲンガスを吹込み、更に10g/hrで3時間吹込んだ。反応終了後、窒素を1時間吹込むことにより脱ガスを行ない、濾過し、ろ液を濃縮して粗BIMD48.3gを得た。このときのBIMDの純度は95.3%であり、純分収率は98.8%であった。
また、得られたBIMDに着色は殆どなかった。
還流冷却器、温度計、ガス吹込管及び攪拌機を備えた1Lのフラスコに、脱水トルエン600ml及びBAMD(2,5−ビス(アミノメチル)−1,4−ジチアン)27.379gを仕込んだ後、25℃〜30℃で炭酸ガス19.9gを1時間かけて吹込むことにより炭酸塩を得た。炭酸ガス吹込み終了後、その温度でホスゲンガス59.4gを2時間かけて吹込み、引き続きその温度から90℃〜100℃まで4時間かけて昇温すると同時に、ホスゲンガスを7.4g/hrで4時間吹込んだ。その後、90℃〜100℃まで昇温し、7.4g/hrで8時間ホスゲンガスを更に吹込んだ。反応終了後、窒素を1時間吹込むことにより脱ガスを行ない、濾過し、ろ液を濃縮して粗BIMD35.95gを得た。このときのBIMDの純度は94.3%であり、純分収率は98.1%であった。また、得られたBIMDに着色は殆どなかった。
還流冷却器、温度計、ガス吹込管及び攪拌機を備えた1Lのフラスコに、脱水トルエン600ml及びBAMD(2,5−ビス(アミノメチル)−1,4−ジチアン)27.38gを仕込んだ後、25〜30℃で炭酸ガス20.2gを1時間かけて吹込むことにより炭酸塩を得た。炭酸ガス吹込み終了後、その温度から90℃〜100℃まで昇温した。昇温中はホスゲンを吹込まなかった。昇温後、その温度を保持しながらホスゲンガスを15g/hrで6時間吹込んだところ粘生の高い物質が攪拌羽根、反応容器壁面等に付着し始めたため反応を中断した。その後、窒素を1時間吹き込むことにより脱ガスを行ない、濾過し、ろ液を濃縮して粗BIMD5.06gを得た。このときのBIMDの純度は39.1%であり、純分収率は5.7%であった。また、得られたBIMDは黄色く着色していた。
還流冷却器、温度計、ガス吹込管及び攪拌機を備えた1Lのフラスコに、モノクロロベンゼン625ml及びBAMD(2,5−ビス(アミノメチル)−1,4−ジチアン)45.6gを仕込んだ後、90℃で塩酸ガス23.7gを1時間かけて吹込むことにより塩酸塩を得た。塩酸ガス吹込み終了後、125℃〜130℃まで昇温し、昇温後、その温度を保持しながらホスゲンガスを17.3g/hrで16時間吹込んだ。更に4.9g/hrで2時間吹込み反応が完結した。その後、窒素を1時間吹込むことにより脱ガスを行ない、濾過し、ろ液を濃縮して粗BIMD58.9gを得た。このときのBIMDの純度は94.6%であり、純分収率は96.5%であった。また、得られたBIMDは黄色く着色していた。
還流冷却器、温度計、ガス吹込管及び攪拌機を備えた1Lのフラスコに、脱水トルエン660m1及びヘキサメチレンジアミン25.9gを仕込んだ後、25〜30℃で炭酸ガス32.6gを2時間かけて吹込むことにより炭酸塩を得た。炭酸ガス吹込後、25〜30℃でホスゲンガスの吹込を開始し、反応温度を90℃まで5時間かけて昇温すると同時に12g/hrでホスゲンガスを吹込んだ。90℃まで昇温した後10〜12g/hrで8時間ホスゲンガスを吹込み、更に14g/hrで4時間ホスゲンガスを吹込んだ。反応終了後、窒素ガスを1時間吹込むことにより脱ガスを行ない、ろ過し、濃縮することによりヘキサメチレンジイソシアナート34.09gを得た。得られたヘキサメチレンジイソシアナートの純度は86.4%であり、純分収率は87.5%であった。また、得られたヘキサメチレンジイソシアナートに着色は殆どなかった。
還流冷却器、温度計、ガス吹込管及び攪拌機を備えた1Lのフラスコに、脱水トルエン720m1及び1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン17.2gを仕込んだ後25〜30℃で炭酸ガス16gを1時間20分かけて吹込むことにより炭酸塩を得た。炭酸ガス吹込後、25〜30℃でホスゲンガスの吹込を開始し、反応温度を90℃まで3.5時間かけて昇温すると同時に12g/hrでホスゲンガスを吹込んだ90℃まで昇温した後12〜15g/hrで19.5時間ホスゲンガスを吹込んだ。反応終了後、窒素ガスを1.5時間吹込むことにより脱ガスを行ない、ろ過し、濃縮することにより1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン22.4gを得た。得られた1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンの純度は82.5%であり、純分収率は79.2%であった。また、得られた1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンに着色は殆どなかった。
還流冷却器、温度計、ガス吹込管及び攪拌機を備えた1Lのフラスコに、脱水トルエン720m1及びm−キシリレンジアミン16.35gを仕込んだ後、30〜35℃で炭酸ガス80gを1時間かけて吹込むことにより炭酸塩を得た。炭酸ガス吹込み終了後、30〜35℃でホスゲンガスを48g/hrで0.5時間吹込んだ。その後、反応液の温度を95℃まで5時間かけて昇温すると同時に、ホスゲンガスを12g/hrで4時間吹込んだ。95℃まで昇温した後、12g/hrで2.5時間ホスゲンガスをさらに吹込んだ。反応終了後、窒素ガスを1.5時間吹込むことにより脱ガスを行い、濾過し、濾液を濃縮して粗m−キシリレンジイソシアナート23.70gを得た。得られたm−キシリレンジイソシアナートの純度は91.4%であり、純分収率は96.0%であった。また、得られたm−キシリレンジイソシアナートに着色は殆どなかった。
Claims (6)
- 対応するアミン化合物の炭酸塩の有機溶媒溶液にホスゲンを導入して、前記アミン化合物の炭酸塩とホスゲンとを反応させるイソシアナート化合物の製造方法であって、前記炭酸塩の有機溶媒溶液に、前記炭酸塩が分解する温度以下でホスゲンの導入を開始することを特徴とするイソシアナート化合物の製造方法。
- イソシアナート化合物がポリイソシアナートである請求項1に記載の製造方法。
- イソシアナート化合物が脂肪族ポリイソシアナートである請求項1又は2に記載の製造方法。
- ホスゲンの導入をガスの吹込みにより行う請求項1〜3に記載の製造方法。
- ホスゲンの吹込みを80℃以下で開始する請求項4に記載の製造方法。
- ホスゲンの吹込みを50℃以下で開始する請求項4又は5に記載の製造方法。
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