JP2024503330A - イソシアネート化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、イソシアネート化合物の製造方法に関する。本発明は、ホスゲンを使用したイソシアネート化合物の製造時、反応生成物の熱変性および副産物の生成を最小化し、高純度のイソシアネート化合物をより安定して得られるイソシアネート化合物の製造方法を提供する。

Description

本発明は、イソシアネート化合物の製造方法に関する。
キシリレンジイソシアネート(xylylene diisocyanate、以下、XDI)は、分子内に芳香族環を含んでいるが、脂肪族イソシアネートに分類される。XDIは化学工業、樹脂工業および塗料工業分野でポリウレタン系材料、ポリウレア系材料またはポリイソシアヌレート系材料などの原料として非常に有用な化合物である。
通常、イソシアネート化合物は合成過程で副反応が多く発生するので、無水塩酸または炭酸と反応させてアミン化合物の塩を形成し、これをホスゲンと反応させる方法で製造される。
一例として、XDIの場合、キシリレンジアミン(xylylene diamine、以下XDA)を無水塩酸と反応させてアミン-塩酸塩を形成し、これをホスゲンと反応させることで製造される。より具体的には、従来は液状の原料アミン、例えば、XDA含有溶液を無水塩酸と反応させてXDA-HCl塩酸塩を形成し、これを少なくとも100℃以上の高温で加熱した後、気相のホスゲンを注入して気-液反応を行い、XDIなどのイソシアネート化合物を製造する方法を適用してきた。
前記イソシアネート化合物の形成反応は代表的な吸熱反応であって、その収率を高めるために反応中に持続的な加熱および高温の維持が求められる。
しかし、XDIなどのイソシアネート化合物は概してアミノ基の反応性が大きいため、ホスゲン化反応中に副反応が多く発生し、副反応により形成される副産物はイソシアネート化合物を原料として適用した工程(例えば、ポリウレタン樹脂を製造する工程)に影響を及ぼし、品質の低下を招く問題がある。
このようにイソシアネート化合物の製造過程中の高温維持の必要性と、XDIなど生成されたイソシアネート化合物の大きな反応性により、製品の熱変性などによる副産物の生成や副反応の発生の恐れはさらに高くなり、これによってその精製工程にも大きな負荷が発生する場合が多かった。
かかる問題によって、以前からイソシアネート化合物の製造中の副反応や副産物の生成を抑制するための多様な試みが行われているが、まだ実効性のある技術は開発されていないのが実情である。
本発明は、ホスゲンを使用したイソシアネート化合物の製造時、反応生成物の熱変性および副産物の生成を最小化し、高純度のイソシアネート化合物をより安定して得ることができるイソシアネート化合物の製造方法を提供する。
本発明の一実施形態によれば、
アミン化合物の塩とホスゲンを溶媒下で反応させてイソシアネート化合物を含む反応生成物を得る反応段階、
前記反応生成物からガス相を除去する脱ガス段階、
前記ガス相が除去された反応生成物から溶媒を除去する脱溶媒段階、
前記溶媒が除去された反応生成物から低沸点物質(lights)を除去する脱低沸点物段階、および
前記低沸点物質が除去された反応生成物から高沸点物質(heavies)を除去する脱高沸点物段階を含み、
前記脱低沸点物段階は塔底部にリボイラーが連結されている蒸留塔で行われ、前記リボイラーを通して前記蒸留塔の下部に過熱された不活性ガスが供給される、イソシアネート化合物の製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態によるイソシアネート化合物の製造方法について説明する。
本明細書で別に定義されない限り、すべての技術的用語および科学的用語は本発明が属する通常の技術者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本発明で説明に使用される用語は、単に特定の具体例を効果的に記述するためであり、本発明を制限することを意図しない。
本明細書で使用される単数形は、文脈上明らかに逆の意味を示さない限り複数形も含む。
本明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるものではない。
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、特定の実施例を例示して以下で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、前記思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものとして理解しなければならない。
本明細書で、例えば「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~隣に」など二つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐに」または「直接」という表現が使用されない限り、二つの部分の間に一つ以上の他の部分が位置し得る。
本明細書で、例えば「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」など時間的前後関係が説明される場合、「すぐに」または「直接」という表現が使用されない限り、連続的でない場合を含むこともできる。
本明細書で「低沸点物質」は本発明によるターゲット生成物であるイソシアネート化合物より低い沸点を有する物質を意味し;「高沸点物質」は本発明によるターゲット生成物であるイソシアネート化合物より高い沸点を有する物質を意味する。
本明細書で蒸留塔の「塔底部」は前記蒸留塔の下部排出物が前記蒸留塔の外部に排出される出口を意味し、蒸留塔の「塔頂部」は前記蒸留塔の上部排出物が前記蒸留塔の外部に排出される出口を意味する。
本発明の一実施形態によれば、
アミン化合物の塩とホスゲンを溶媒下で反応させてイソシアネート化合物を含む反応生成物を得る反応段階、
前記反応生成物からガス相を除去する脱ガス段階、
前記ガス相が除去された反応生成物から溶媒を除去する脱溶媒段階、
前記溶媒が除去された反応生成物から低沸点物質(lights)を除去する脱低沸点物段階、および
前記低沸点物質が除去された反応生成物から高沸点物質(heavies)を除去する脱高沸点物段階を含み、
前記脱低沸点物段階は塔底部にリボイラーが連結されている蒸留塔で行われ、前記リボイラーを通して前記蒸留塔の下部に過熱された不活性ガスが供給される、イソシアネート化合物の製造方法が提供される。
イソシアネート化合物を光学材料をはじめとする精密化学製品の原料として使用するためには高い純度が要求される。
しかし、一般にXDIを含むイソシアネート化合物の合成時に副反応が多く発生し、反応生成物間の反応および熱変性によってイソシアネート化合物の純度が低下する問題がある。
一例として、脂肪族ジイソシアネートは、脂肪族ジアミンとホスゲンの反応によって製造することができる。この時、副反応が発生し、副反応物として、例えば(クロロメチル)ベンジルイソシアネート[(chloromethyl)benzyl isocyanate]などのモノイソシアネートなどが生成される。このような副反応の発生および副産物の生成は、脂肪族ジイソシアネートの製造過程中の高温維持の必要性と、XDIなど生成された脂肪族ジイソシアネートの大きな反応性によってもたらされると知られている。特に、最終生成物である脂肪族ジイソシアネートは高温に一定時間露出する場合熱分解または副反応を起こすか、または二量体あるいは三量体以上の多量体を含むオリゴマーやポリマーなど高分子形態の副産物が形成される。
前記熱分解が起こらないように蒸留塔の温度を低く運転する場合、前記反応生成物を沸騰させてリフラックスを組成するためにはリボイラーの圧力を非常に下げなければならない。しかし、蒸留塔のハイドロリックパラメータ(hydraulic parameter)を考慮すると、10torr以下の低い圧力を維持しながら安定して運転することは非常に難しい。
本発明者らは研究を重ねた結果、前記反応段階、前記脱ガス段階、前記脱溶媒段階、前記脱低沸点物段階、および前記脱高沸点物段階の順で行ってイソシアネート化合物を製造し、特に、前記脱低沸点物段階で蒸留塔に連結されているリボイラーを通して前記蒸留塔の下部に不活性ガスを供給する場合、前記蒸留塔の塔頂部と塔底部のハイドロリックパラメータ差を減らすことができ、より安定した精製工程を運用できることが確認された。
前記段階を前記温度および圧力の条件下で行う場合、反応生成物の熱変性および副産物の生成を最小化することができ、高純度のイソシアネート化合物を得ることができる。
図1は、本発明の一実施形態によるイソシアネート化合物の製造方法に用いられる工程および装置を模式的に示す図である。
以下、図1を参照して本発明の実施形態によるイソシアネート化合物の製造方法に含まれ得る各段階について説明する。
(反応段階)
まず、アミン化合物の塩とホスゲンを溶媒下で反応させてイソシアネート化合物、前記溶媒および未反応ホスゲンを含む反応生成物が得られる反応段階が行われる。
本発明の一実施形態によれば、アミン化合物とホスゲンの急激な反応と副反応を抑制するために、前記アミン化合物はアミン化合物の塩として適用することが好ましい。例えば、前記アミン化合物の塩はアミン化合物の塩酸塩または炭酸塩であり得る。
前記アミン化合物の塩は、アミン化合物と無水塩酸または炭酸を反応させて中和反応によって準備される。前記中和反応は20~80℃の温度で行われる。
前記無水塩酸または炭酸の供給比率は前記アミン化合物1モルに対して、例えば2モル~10モル、あるいは2モル~6モル、あるいは2モル~4モルであり得る。
好ましくは、前記アミン化合物は、分子内に脂肪族基を有する脂肪族アミンを適用することができる。具体的には、前記脂肪族アミンは、鎖状または環状の脂肪族アミンであり得る。より具体的には、前記脂肪族アミンは、分子内に2個以上のアミノ基を含む2官能以上の鎖状または環状の脂肪族アミンであり得る。
例えば、前記アミン化合物は、ヘキサメチレンジアミン、2,2-ジメチルペンタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサンジアミン、ブテンジアミン、1,3-ブタジエン-1,4-ジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,6,11-ウンデカトリアミン、1,3,6-ヘキサメチレントリアミン、1,8-ジイソシアナト-4-イソシアナトメチルオクタン、ビス(アミノエチル)カーボネート、ビス(アミノエチル)エーテル、キシリレンジアミン,α,α、α’,α’-テトラメチルキシリレンジアミン、ビス(アミノエチル)フタレート、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、ジシクロヘキシルジメチルメタンジアミン、2,2-ジメチルジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ-[2,2,1]-ヘプタン、2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ-[2,2,1]-ヘプタン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、3,9-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ビス(アミノメチル)ノルボルネン、およびキシリレンジアミンからなる群より選択される1種以上の化合物であり得る。本発明において、前記キシリレンジアミンは脂肪族ジアミンに分類される。
また、前記アミン化合物は、ビス(アミノメチル)スルフィド、ビス(アミノエチル)スルフィド、ビス(アミノプロピル)スルフィド、ビス(アミノヘキシル)スルフィド、ビス(アミノメチル)スルホン、ビス(アミノメチル)ジスルフィド、ビス(アミノエチル)ジスルフィド、ビス(アミノプロピル)ジスルフィド、ビス(アミノメチルチオ)メタン、ビス(アミノエチルチオ)メタン、ビス(アミノエチルチオ)エタン、ビス(アミノメチルチオ)エタン、および1,5-ジアミノ-2-アミノメチル-3-チアペンタンからなる群より選択される1種以上の硫黄含有脂肪族アミンであり得る。
前記アミン化合物の中でもキシリレンジアミン(XDA)は、本発明の一実施形態によるイソシアネート化合物の製造方法に適用時、さらに優れた効果を示すことができる。好ましくは、前記アミン化合物は、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミンおよびo-キシリレンジアミンからなる群より選択される1種以上の化合物であり得る。
本発明の一実施形態によれば、前記反応段階は、固体状のアミン化合物の塩と気相のホスゲンを溶媒下で反応させる気体-液体-固体の3相反応で行われる。そのため、急激な反応を効果的に抑制することができ、副反応および副産物の発生を最小化することができる。
前記アミン化合物の塩とホスゲンを溶媒下で反応させる時、ホスゲンを一度に投入するかまたは分割して投入することができる。例えば、相対的に低い温度下で少量のホスゲンを1次投入して前記アミン化合物の塩と反応させることによってその中間体を生成させる。次に、相対的に高温下で残量のホスゲンを2次投入して前記中間体と反応させることによってイソシアネート化合物を含む反応液を得ることができる。一例として、キシリレンジアミンと少量のホスゲンを反応させてカルバモイル系塩形態の中間体を生成させた後、残量のホスゲンを投入して前記カルバモイル系塩形態の中間体とホスゲンを反応させてキシリレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートを形成することができる。
このような反応段階によって最終生成物であるイソシアネート化合物を高温下で露出する時間を最小化することができる。さらに、相対的に低い温度で前記中間体を形成することによって、全体的な反応工程で高温の維持に必要な時間を減らすことができる。これによって、全体工程に投入される熱量が減少する。そして、ホスゲンの高温反応時間を相対的に短縮させ、ホスゲンの爆発的な気化による危険性を減らすこともできる。
前記反応段階は、芳香族炭化水素系溶媒およびエステル系溶媒のうち少なくとも一つを含む溶媒下で行われる。前記溶媒は、前記反応段階の実行温度を考慮して選択することができる。
前記芳香族炭化水素系溶媒は、モノクロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼンおよび1,2,4-トリクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒であり得る。
前記エステル系溶媒は、アミルホルメート、n-ブチルアセテート、イソブチルアセテート、n-アミルアセテート、イソアミルアセテート、メチルイソアミルアセテート、メトキシブチルアセテート、sec-ヘキシルアセテート、2-エチルブチルアセテート、2-エチルヘキシルアセテート、シクロヘキシルアセテート、メチルシクロヘキシルアセテート、ベンジルアセテート、エチルプロピオネート、n-ブチルプロピオネート、イソアミルプロピオネート、エチルアセテート、ブチルステアレート、ブチルラクテート、およびアミルラクテートなどの脂肪酸エステル;またはメチルサリシレート、ジメチルフタレートおよびメチルベンゾエートなどの芳香族カルボン酸エステルであり得る。
本発明の一実施形態によれば、前記反応段階で前記アミン化合物の塩は前記溶媒に20体積%以下の濃度、例えば1~20体積%、あるいは5~20体積%の濃度で含まれ得る。前記溶媒に含まれる前記アミン化合物の塩の濃度が20体積%を超える場合、前記反応段階で多量の塩が析出する恐れがある。
前記反応段階は165℃以下、好ましくは80℃~165℃の温度下で行われる。
本発明の一実施形態によれば、前記反応段階でホスゲンを分割して投入する場合、80℃~100℃あるいは85℃~95℃の温度下でホスゲン全体の投入量のうちの10~30重量%、あるいは12~30重量%、あるいは15~28重量%を投入する。このような反応条件によって急激な反応が抑制され、カルバモイル系塩形態の中間体を選択的かつ効果的に形成することができる。次に、110℃~165℃あるいは120℃~150℃の温度下で残量のホスゲンを投入しながら前記中間体とホスゲンを反応させてイソシアネート化合物を含む反応生成物を得ることができる。
前記イソシアネート化合物は、前記反応段階で使用される前記アミン化合物の種類によって変わる。例えば、前記イソシアネート化合物は、n-ペンチルイソシアネート、6-メチル-2-ヘプタンイソシアネート、シクロペンチルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(H6TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジイソシアナトシクロヘキサン(t-CHDI)、およびジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)からなる群より選択される1種以上の化合物であり得る。
特に、本発明の実施形態によるイソシアネート化合物の製造方法は、キシリレンジイソシアネート(XDI)の製造により有用である。XDIは構造異性体として1,2-XDI(o-XDI)、1,3-XDI(m-XDI)、1,4-XDI(p-XDI)を含む。
前記反応段階は、バッチ式および連続式のいずれかによっても行うことができる。前記反応段階は、回転軸を有する反応器110;前記反応器の内部に反応物を供給するアミン化合物の塩供給ライン10とホスゲン供給ライン20;前記反応器に熱量を供給する熱源;前記反応器で得られる反応生成物を後続の精製工程に移送する反応生成物移送ライン102を含む反応ユニット100で行うことができる。
(脱ガス段階)
次に、前記反応生成物からガス相を除去する脱ガス段階が行われる。
前記脱ガス段階では、前記反応生成物から過剰のホスゲンや副生する塩化水素などのガス相を公知の脱ガスユニット200によって除去する。
前記反応生成物からガス相を除去する方法としてはガスを供給して通気する方法やフラッシュタンクまたは蒸留塔を用いてガス相を前記反応生成物から分離する方法が挙げられる。
特に、本発明の一実施形態によれば、前記脱ガス段階での副産物の生成を最小化するために、前記脱ガス段階は145℃~165℃の温度および100torr~600torrの圧力下で行われることが好ましい。
一例として、前記脱ガス段階は蒸留塔で行われるが、前記蒸留塔の下部(bottom)の温度を145℃~165℃にし、前記蒸留塔の上部(top)の圧力は100torr~600torrで運転することが副産物の生成を最小化するのに有利である。ここで、前記蒸留塔の下部の温度は、前記蒸留塔の塔底部に連結されたリボイラーの温度を意味する。そして、前記蒸留塔上部の圧力は、前記蒸留塔の塔頂部に連結された凝縮器の圧力を意味する。
好ましくは、前記脱ガス段階の実行温度は145℃~165℃、あるいは150℃~165℃、あるいは150℃~160℃、あるいは155℃~160℃であり得る。そして、好ましくは、前記脱ガス段階の実行圧力は100torr~600torr、あるいは200torr~500torr、あるいは300torr~450torr、あるいは350torr~450torrであり得る。
前記脱ガス段階の実行温度および圧力が上記の範囲を満たさない場合、前記脱ガス段階での副産物の生成量が増加し、ガス相の除去効率が低下し、これにより、前記脱ガス段階から得られる反応生成物でイソシアネート化合物の濃度が低下する。
一例として、前記脱ガス段階は、前記反応ユニット100の反応生成物移送ライン102を介して供給される前記反応生成物からガス相を除去できるように構成された蒸留塔220;前記蒸留塔の塔頂部からガス相を排出するガス相排出ライン209;および前記蒸留塔の塔底部から前記ガス相が除去された反応生成物を排出して後続段階に移送する反応生成物移送ライン203を含む脱ガスユニット200で行うことができる。
(脱溶媒段階)
次に、前記ガス相が除去された反応生成物から溶媒を除去する脱溶媒段階が行われる。
前記脱溶媒段階では、前記ガス相が除去された反応生成物から公知の脱溶媒ユニット300によって溶媒を蒸留除去する。
本発明の一実施形態によれば、前記脱溶媒段階で前記反応生成物の熱変性と副産物の生成を最小化するために、前記脱溶媒段階は100℃~165℃の温度および30torr以下の圧力下で行われることが好ましい。
一例として、前記脱溶媒段階は蒸留塔で行われるが、前記蒸留塔の下部(bottom)の温度を100℃~165℃にし、前記蒸留塔の上部(top)の圧力が30torr以下で運転することが前記熱変性と副産物の生成を最小化するのに有利である。ここで、前記蒸留塔の下部の温度は、前記蒸留塔の塔底部に連結されたリボイラーの温度を意味する。そして、前記蒸留塔上部の圧力は前記蒸留塔の塔頂部に連結された凝縮器の圧力を意味する。
好ましくは、前記脱溶媒段階の実行温度は100℃~165℃、あるいは115℃~165℃、あるいは115℃~160℃、あるいは130℃~160℃であり得る。そして、好ましくは、前記脱溶媒段階の実行圧力は5torr~30torr、あるいは5torr~25torr、あるいは10torr~20torr、あるいは10torr~15torrであり得る。
前記脱溶媒段階の実行温度および圧力が上記の範囲を満たさない場合、前記脱溶媒段階での前記熱変性と副産物の生成量が増加し、溶媒の除去効率が低下し、これにより、前記脱溶媒段階から得られる反応生成物でイソシアネート化合物の濃度が低下する。
一例として、前記脱溶媒段階は、前記脱ガスユニット200の反応生成物移送ライン203を介して供給される前記反応生成物から溶媒を除去できるように構成された蒸留塔330;前記蒸留塔の塔頂部から溶媒を排出する溶媒排出ライン309;および前記蒸留塔の塔底部から前記溶媒が除去された反応生成物を排出して後続段階に移送する反応生成物移送ライン304を含む脱溶媒ユニット300で行うことができる。
前記脱溶媒段階で前記反応生成物の高温での滞留時間を最小化するために、ケトル型リボイラー(Kettle type reboiler)、薄膜蒸留装置(thin film evaporator)、強制循環型リボイラー(force circulated reboiler)、およびジャケット付容器型リボイラー(jacketed vessel type reboiler)などの装置が備えられた蒸留塔440が用いられる。
(脱低沸点物段階)
次に、前記溶媒が除去された反応生成物から低沸点物質(lights)を除去する脱低沸点物段階が行われる。
前記脱低沸点物段階では、前記溶媒が除去された反応生成物から公知の脱低沸点物ユニット400によって低沸点物質(lights)を除去する。
前記低沸点物質は、前記反応段階での主生成物であるイソシアネート化合物より低い沸点を有する物質を意味する。前記低沸点物質としては、前記主生成物を得る工程で副反応によって生成される物質が挙げられる。一例として、前記イソシアネート化合物でXDIを製造する工程で、前記低沸点物質は(クロロメチル)ベンジルイソシアネート((chloromethyl)benzyl isocyanate、CBI)およびエチルフェニルイソシアネート(ethylphenyl isocyanate、EBI)などのモノイソシアネートを含むことができる。
本発明の一実施形態によれば、前記脱低沸点物段階で前記反応生成物の熱変性と副産物の生成を最小化するために、前記脱低沸点物段階は、蒸留塔440の塔底部の温度が165℃以下であり、前記塔底部の圧力が50torr以下になるように行われることが好ましい。ここで、前記蒸留塔の塔底部の温度は、前記蒸留塔の塔底部に連結されたリボイラーの温度を意味する。そして、前記蒸留塔の塔底部の圧力は、前記蒸留塔の塔底部に連結されたリボイラーの圧力を意味する。
好ましくは、前記脱低沸点物段階の実行温度は145℃~165℃、あるいは150℃~165℃、あるいは150℃~160℃、あるいは155℃~160であり得る。そして、好ましくは、前記脱低沸点物段階の実行圧力は1torr~5torr、あるいは5torr~40torr、あるいは10torr~30torrであり得る。
前記脱低沸点物段階の実行温度および圧力が上記の範囲を満たさない場合、前記脱低沸点物段階での前記熱変性と副産物の生成量が増加し、低沸点物質の除去効率が低下し、これにより、前記脱低沸点物段階から得られる反応生成物でイソシアネート化合物の濃度が低下する。
一例として、前記脱低沸点物段階は、前記脱溶媒ユニット300の反応生成物移送ライン304を介して供給される前記反応生成物から低沸点物質を除去できるように構成された蒸留塔440;前記蒸留塔の塔頂部から低沸点物質を排出する低沸点物質排出ライン409;および前記蒸留塔の塔底部から前記低沸点物質が除去された反応生成物を排出して後続段階に移送する反応生成物移送ライン405を含む脱低沸点物ユニット400で行うことができる。
特に、本発明の一実施形態によれば、前記脱低沸点物段階は塔底部にリボイラーが連結されている蒸留塔で行われ、前記リボイラーを通して前記塔底部に過熱された不活性ガスが供給されるように行われる。
前記脱低沸点物段階で前記反応生成物に含まれているイソシアネート化合物の熱分解を最小化するために、蒸留塔440の下部の温度を165℃以下に低く維持しなければならない。しかし、前記温度条件下で前記反応生成物を沸騰させてリフラックスを組成するためにはリボイラーの圧力を10torr以下に低く維持しなければならない。しかし、蒸留塔440のハイドロリックパラメータ(hydraulic parameter)を考慮すると、リボイラーの圧力を10torr以下に低く維持しながら蒸留塔440を安定して運転することは非常に難しい。
しかし、本発明の一実施形態のように前記脱低沸点物段階を塔底部にリボイラーが連結されている蒸留塔で行い、前記リボイラーを通して前記塔底部に過熱された不活性ガスを供給する場合、前記蒸留塔の塔頂部と塔底部のハイドロリックパラメータ差を減らすことができ、より安定した工程を運用することができる。
図2は、本発明の一実施形態によるイソシアネート化合物の製造方法で脱低沸点物段階で用いられる工程および装置を模式的に示す図である。
図2を参照すると、前記脱低沸点物段階で、前記脱溶媒ユニット300で得られた前記反応生成物は反応生成物移送ライン304を介して蒸留塔440に供給される。
蒸留塔440で低沸点物質が豊富な分画は、蒸留塔440の塔頂部に連結された塔頂ストリームライン491を介して低沸点物質凝縮器495に移送される。凝縮器495で凝縮された低沸点物質はリフラックスドラム496に集まり、凝縮された低沸点物質のうちの一部は蒸留塔440の上部に還流され、残りの低沸点物質は低沸点物質排出ライン409を介して排出される。凝縮器495で凝縮されない不活性ガスは不活性ガス凝縮器497で凝縮され、不活性ガスリカバリードラム460に移送される。
蒸留塔440で前記イソシアネート化合物が豊富な分画は、蒸留塔440の塔底部に連結された塔底ストリームライン402を介してリボイラー404に移送される。リボイラー404で低沸点分画は蒸留塔440の下部に再供給され、前記イソシアネート化合物を含む分画は、反応生成物移送ライン405を介して脱高沸点物ユニット500に移送される。
特に、本発明の一実施形態によれば、不活性ガス供給ライン450を介して新鮮な不活性ガスが不活性ガスリカバリードラム460にさらに供給される。不活性ガスリカバリードラム460に集まった不活性ガスは不活性ガスプレヒータ470で過熱される。過熱された不活性ガスはリボイラー404に投入され、蒸留塔440の塔底部に供給される。
前記過熱された不活性ガスをリボイラー404に投入するためにはリングスパージャ(ring sparger)などの装置を用いることが好ましい。特に、蒸留塔440の下部には前記過熱された不活性ガスが塔底部に混合することを防止するための内部バッフル(internal baffle)を設けることが好ましい。
本発明の一実施形態によれば、前記不活性ガスは炭素数1~6の炭化水素系ガスであり得る。具体的には、前記不活性ガスは、メタンガス、エタンガス、プロパンガス、ブタンガス、ペンテンガス、およびヘキサンガスからなる群より選択される1種以上のガスであり得る。
前記不活性ガスは、リボイラー404で加熱して得られた前記低沸点分画の温度だけ加熱(過熱)した状態で供給されることが好ましい。好ましくは、前記不活性ガスは、不活性ガスプレヒータ470によって150℃以上(好ましくは155℃~160℃)の温度に過熱した状態で蒸留塔440の塔底部に供給される。
このように過熱した不活性ガスが蒸留塔440の塔底部に供給されると、前記反応生成物に含まれているイソシアネート化合物の一部と低沸点物質が蒸留塔440の塔頂部に連結された低沸点物質凝縮器495まで引き上げられる。このような流れにより、蒸留塔440の塔頂部と塔底部のハイドロリックパラメータ差を減らすことができ、より低い蒸留塔の下部の温度下でも安定した工程を運用することができる。
前記脱低沸点物段階で前記反応生成物の高温での滞留時間を最小化するために、前記脱低沸点物段階は、塔底部にジャケット付容器型リボイラー(jacketed vessel type reboiler)が連結されている蒸留塔440で行われることが好ましい。
(脱高沸点物段階)
次に、前記低沸点物質が除去された反応生成物から高沸点物質(heavies)を除去する脱高沸点物段階が行われる。
前記脱高沸点物段階では、前記低沸点物質が除去された反応生成物から公知の脱高沸点物ユニット500によって高沸点物質(heavies)を除去する。
前記高沸点物質は、前記反応段階での主生成物であるイソシアネート化合物より高い沸点を有する物質を意味する。前記高沸点物質としては、前記主生成物を得る工程で形成されるイソシアネート化合物の二量体あるいは三量体以上の多量体を含むオリゴマー、あるいはポリマーなど高分子形態の副産物が挙げられる。
本発明の一実施形態によれば、前記脱高沸点物段階で前記反応生成物の熱変性と副産物の生成を最小化するために、前記脱高沸点物段階は145℃~165℃の温度および1torr以下の圧力下で行われることが好ましい。
一例として、前記脱高沸点物段階は薄膜蒸留装置(thin-film evaporator)下で行われるが、前記薄膜蒸留装置の下部(bottom)の温度を145℃~165℃にし、前記薄膜蒸留装置の下部(bottom)の圧力が1torr以下で運転することが前記熱変性と副産物の生成を最小化するのに有利である。
好ましくは、前記脱高沸点物段階の実行温度は145℃~165℃、あるいは150℃~165℃、あるいは150℃~160℃、あるいは155℃~160℃であり得る。そして、好ましくは、前記脱高沸点物段階の実行圧力は0.1torr~1torr、あるいは0.5torr~1torrであり得る。
前記脱高沸点物段階の実行温度および圧力が上記の範囲を満たさない場合、前記脱高沸点物段階での前記熱変性と副産物の生成量が増加し、高沸点物質の除去効率が低下し、これにより、前記脱高沸点物段階から得られるイソシアネート化合物の濃度が低下する。
一例として、前記脱高沸点物段階は、前記脱低沸点物ユニット400の反応生成物移送ライン405を介して供給される前記反応生成物から高沸点物質を除去できるように構成された薄膜蒸留装置550;前記薄膜蒸留装置の凝縮部にイソシアネート化合物を排出するイソシアネート化合物排出ライン509;および前記薄膜蒸留装置の塔底部から前記高沸点物質を排出する高沸点物質排出ライン506を含む脱高沸点物ユニット500で行うことができる。
本発明は、ホスゲンを使用したイソシアネート化合物の製造時、反応生成物の熱変性および副産物の生成を最小化し、高純度のイソシアネート化合物をより安定して得ることができるイソシアネート化合物の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態によるイソシアネート化合物の製造方法に用いられる工程および装置を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態によるイソシアネート化合物の製造方法において、脱低沸点物段階で用いられる工程および装置を模式的に示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態により発明の作用、効果をより具体的に説明する。ただし、これは発明の理解を助けるための例示として提示されたものであり、発明の権利範囲はこれによっていかなる意味でも限定されるものではない。
実施例1
図1および図2に示すような装置を用いて次のような工程で1,3-XDI(m-XDI)を製造した。
(反応段階)
常温および常圧の条件下で、6500kgの1,2-ジクロロベンゼン(o-DCB)の溶媒中で、塩酸500kgとm-キシリレンジアミン(m-XDA)560kgを4時間の間反応させ、m-キシリレンジアミンの塩酸塩870kgを形成した。
前記m-キシリレンジアミンの塩酸塩870kgを供給ライン10を介して反応器110に投入し、反応器の温度を125℃に昇温した。反応進行時間の間供給ライン20を介して合計1359kgのホスゲン(phosgene)を反応器に入れて攪拌した。ホスゲン投入時点から反応終了時点までドライアイス-アセトンコンデンサを用いてホスゲンが外部に漏れないようにした。90℃の温度下で1.5時間反応を進行させた。
その後、反応器の内部温度を125℃になるように加熱し、ホスゲン6000kgをさらに投入した。反応器の温度は125℃を維持し、反応溶液が透明になるまで4.5時間さらに攪拌した。反応溶液が透明になった後に加熱を中断した。前記方法で得られた反応生成物は移送ライン102を介して脱ガスユニット200に移送された。
(脱ガス段階)
脱ガスユニット200の蒸留塔220は、移送ライン102を介して供給される前記反応生成物からガス相を除去できるように構成した。
具体的には、蒸留塔220は、構造パッキングの一種類であるメラパック(Mellapak)が充填されたパッキングタワーを使用し、その高さは約6mである。
蒸留塔220の下部(bottom)の温度を155℃にし、蒸留塔220の上部(top)の圧力を400torrで運転した。
約150kg/hrの還流ストリームを蒸留塔220に再投入し、これは塔頂の流出量に対して約3.2の還流比に相当する。
蒸留塔220の塔頂部に連結されたガス相排出ライン209を介してホスゲンを含むガス相が排出された。前記ガス相が除去された反応生成物は、蒸留塔220の塔底部に連結された移送ライン203を介して脱溶媒ユニット300に移送された。
(脱溶媒段階)
脱溶媒ユニット300の蒸留塔330は、移送ライン203を介して供給される前記反応生成物から溶媒を除去できるように構成した。
具体的には、蒸留塔330は、構造パッキングの一種類であるメラパック(Mellapak)が充填されたパッキングタワーを使用し、その高さは約7mである。
蒸留塔330の下部(bottom)の温度を160℃にし、蒸留塔330の上部(top)の圧力を15torrで運転した。
約600kg/hrの還流ストリームを蒸留塔330に再投入し、これは塔頂の流出量に対して約0.5の還流比に相当する。
蒸留塔330の塔頂部に連結された溶媒排出ライン309を介して1,2-ジクロロベンゼン(o-DCB)を含む溶媒が排出された。前記溶媒が除去された反応生成物は、蒸留塔330の塔底部に連結された移送ライン304を介して脱低沸点物ユニット400に移送された。
(脱低沸点物段階)
脱低沸点物ユニット400の蒸留塔440は、移送ライン304を介して供給される前記反応生成物から低沸点物質を除去できるように構成した。
具体的には、蒸留塔440は、構造パッキングの一種類であるメラパック(Mellapak)が充填されたパッキングタワーを使用し、その高さは約13mである。
蒸留塔440の塔底部の温度を160℃にし、蒸留塔440の塔底部の圧力を30torrで運転した。
約120kg/hrの還流ストリームを蒸留塔に再投入し、これは塔頂の流出量に対して約0.8の還流比に相当する。
蒸留塔440で低沸点物質が豊富な分画は、蒸留塔440の塔頂部に連結された塔頂ストリームライン491を介して低沸点物質凝縮器495に移送された。凝縮器495で凝縮された低沸点物質はリフラックスドラム496に集まり、凝縮された低沸点物質のうちの一部は蒸留塔440の上部に還流され、残りの低沸点物質は低沸点物質排出ライン409を介して排出された。凝縮器495で凝縮されない不活性ガスは、不活性ガス凝縮器497で凝縮され、不活性ガスリカバリードラム460に移送された。
蒸留塔440で1,3-XDIが豊富な分画は、蒸留塔440の塔底部に連結された塔底ストリームライン402を介してリボイラー404に移送された。リボイラー404で低沸点分画は蒸留塔440の下部に再供給され、1,3-XDIを含む分画は反応生成物移送ライン405を介して脱高沸点物ユニット500に移送された。
不活性ガス供給ライン450を介して新鮮な不活性ガス(ヘキサン)が不活性ガスリカバリードラム460にさらに供給された。不活性ガスリカバリードラム460に集まった不活性ガスは不活性ガスプレヒータ470で過熱された。155℃で過熱した不活性ガスは、リボイラー404で得られた前記低沸点分画と共に蒸留塔440の塔底部に供給された。
(脱高沸点物段階)
脱高沸点物ユニット500の薄膜蒸留装置550は、移送ライン405を介して供給される前記反応生成物から高沸点物質を除去できるように構成した。
具体的には、薄膜蒸留装置550は内部に凝縮器が設置されているshort path evaporator形態の蒸発器を使用した。
薄膜蒸留装置550の下部(bottom)の温度を135℃にし、薄膜蒸留装置550の下部(bottom)の圧力を0.5torrで運転した。
薄膜蒸留装置の下部(bottom)で約13kg/hrの高沸点凝縮物が分離された。
薄膜蒸留装置550の排出ライン509を介して1,3-XDI(m-XDI)を含むイソシアネート化合物が排出された。前記反応生成物から分離した高沸点物質は、薄膜蒸留装置550の塔底部に連結された排出ライン506を介して排出された。
実施例2
前記脱低沸点物段階で蒸留塔440の塔底部の温度を130℃になるように運転したことを除いて、前記実施例1と同様の方法で1,3-XDI(m-XDI)を含むイソシアネート化合物を得た。
実施例3
前記脱低沸点物段階で蒸留塔440の塔底部の圧力を20torrになるように運転したことを除いて、前記実施例1と同様の方法で1,3-XDI(m-XDI)を含むイソシアネート化合物を得た。
比較例1
前記脱低沸点物段階で蒸留塔440の塔底部に不活性ガス(ヘキサン)を投入せず、前記塔底部の温度160℃および前記塔底部の圧力30torrで運転したことを除いて、前記実施例1と同様の方法で1,3-XDI(m-XDI)を含むイソシアネート化合物を得た。
試験例
前記実施例および比較例の脱低沸点物段階で得られる反応生成物の一部を回収してgel permeation chromatography分析を行った。前記分析により確認された主成分の含有量を下表1に示す。
上記表1を参照すると、前記実施例によるイソシアネート化合物の製造方法は反応生成物の熱変性および副産物の生成を最小化することができ、高純度のイソシアネート化合物をより安定して得られることが確認された。
それに対して、前記比較例1の場合、前記脱低沸点物段階で前記塔底部の圧力を実施例と同様に、30torrで運転したが、得られるイソシアネート化合物の濃度が顕著に低いことが確認された。
10 アミン化合物の塩供給ライン
20 ホスゲン供給ライン
100 反応ユニット
110 反応器
102 反応生成物移送ライン
200 脱ガスユニット
220 蒸留塔
209 ガス相排出ライン
203 反応生成物移送ライン
300 脱溶媒ユニット
330 蒸留塔
309 溶媒排出ライン
304 反応生成物移送ライン
400 脱低沸点物ユニット
440 蒸留塔
409 低沸点物質排出ライン
405 反応生成物移送ライン
402 塔底ストリームライン
404 リボイラー
450 不活性ガス供給ライン
460 不活性ガスリカバリードラム(recovery drum)
470 不活性ガスプレヒータ(preheater)
491 塔頂ストリームライン
495 低沸点物質凝縮器(condenser)
496 リフラックスドラム
497 不活性ガス凝縮器(condenser)
500 脱高沸点物ユニット
550 薄膜蒸留装置
506 高沸点物質排出ライン
509 イソシアネート化合物排出ライン

Claims (15)

  1. アミン化合物の塩とホスゲンを溶媒下で反応させてイソシアネート化合物を含む反応生成物を得る反応段階、
    前記反応生成物からガス相を除去する脱ガス段階、
    前記ガス相が除去された反応生成物から溶媒を除去する脱溶媒段階、
    前記溶媒が除去された反応生成物から低沸点物質(lights)を除去する脱低沸点物段階、および
    前記低沸点物質が除去された反応生成物から高沸点物質(heavies)を除去する脱高沸点物段階を含み、
    前記脱低沸点物段階は塔底部にリボイラーが連結されている蒸留塔で行われ、前記リボイラーを通して前記蒸留塔の下部に過熱された不活性ガスが供給される、イソシアネート化合物の製造方法。
  2. 前記脱低沸点物段階は、不活性ガスプレヒータ(preheater)で過熱された不活性ガスをリングスパージャ(ring sparger)を用いて前記リボイラーに投入する方法で行われる、請求項1に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
  3. 前記不活性ガスは、炭素数1~6の炭化水素系ガスである、請求項1に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
  4. 前記不活性ガスは150℃以上の温度で過熱されたものである、請求項1に記載のイソシアネートの製造方法。
  5. 前記段階は、それぞれ165℃以下の温度下で行われる、請求項1に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
  6. 前記脱低沸点物段階は、前記蒸留塔の塔底部の温度が165℃以下であり、前記塔底部の圧力が50torr以下になるように行われる、請求項1に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
  7. 前記リボイラーは、ジャケット付容器型リボイラー(jacketed vessel type reboiler)である、請求項1に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
  8. 前記脱低沸点物段階の前記蒸留塔には、前記過熱された不活性ガスが前記蒸留塔の塔底部に混合することを防止するための内部バッフル(internal baffle)が設けられている、請求項1に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
  9. 前記アミン化合物は、分子内に脂肪族基を有する脂肪族アミンである、請求項1に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
  10. 前記アミン化合物は、分子内に2以上のアミノ基を含む2官能以上の鎖状または環状の脂肪族アミンである、請求項1に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
  11. 前記アミン化合物は、ヘキサメチレンジアミン、2,2-ジメチルペンタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサンジアミン、ブテンジアミン、1,3-ブタジエン-1,4-ジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,6,11-ウンデカトリアミン、1,3,6-ヘキサメチレントリアミン、1,8-ジイソシアナト-4-イソシアナトメチルオクタン、ビス(アミノエチル)カーボネート、ビス(アミノエチル)エーテル、キシリレンジアミン,α,α、α’,α’-テトラメチルキシリレンジアミン、ビス(アミノエチル)フタレート、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、ジシクロヘキシルジメチルメタンジアミン、2,2-ジメチルジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ-[2,2,1]-ヘプタン、2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ-[2,2,1]-ヘプタン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、3,9-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ビス(アミノメチル)ノルボルネン、およびキシリレンジアミンからなる群より選択される1種以上の化合物である、請求項1に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
  12. 前記アミン化合物は、ビス(アミノメチル)スルフィド、ビス(アミノエチル)スルフィド、ビス(アミノプロピル)スルフィド、ビス(アミノヘキシル)スルフィド、ビス(アミノメチル)スルホン、ビス(アミノメチル)ジスルフィド、ビス(アミノエチル)ジスルフィド、ビス(アミノプロピル)ジスルフィド、ビス(アミノメチルチオ)メタン、ビス(アミノエチルチオ)メタン、ビス(アミノエチルチオ)エタン、ビス(アミノメチルチオ)エタン、および1,5-ジアミノ-2-アミノメチル-3-チアペンタンからなる群より選択される1種以上の硫黄含有脂肪族アミンである、請求項1に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
  13. 前記アミン化合物は、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミンおよびo-キシリレンジアミンからなる群より選択される1種以上の化合物である、請求項1に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
  14. 前記アミン化合物の塩は、アミン化合物の塩酸塩または炭酸塩である、請求項1に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
  15. 前記反応段階は、芳香族炭化水素系溶媒およびエステル系溶媒のうちの少なくとも1つを含む溶媒下で行われる、請求項1に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
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