JP2005243289A - 高分子電解質およびプロトン伝導膜 - Google Patents

高分子電解質およびプロトン伝導膜 Download PDF

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Toshitaka Otsuki
敏敬 大月
Nobuyuki Kaneoka
長之 金岡
Masaru Iguchi
勝 井口
Naoki Mitsuda
直樹 満田
Hiroshi Soma
浩 相馬
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Abstract

【課題】耐熱水性、ラジカル耐性(耐久性)が改良された、スルホン酸基を有する重合体からなる固体高分子電解質および該電解質からなるプロトン伝導膜を提供する。
【解決手段】例えば、下記化学式(12)で表されるスルホン化ポリマー。
Figure 2005243289

【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池、水の電気分解、食塩の電気分解、湿度センサー、ガスセンサー等に用いられる耐酸化性、耐熱水性等に優れたスルホン酸基を有する重合体からなる固体高分子電解質、ならびに該電解質からなるプロトン伝導膜に関する。
固体高分子電解質は、高分子鎖中にスルホン酸基やカルボン酸基等の電解質基を有する固体高分子材料であり、特定のイオンと強固に結合したり、陽イオンまたは陰イオンを選択的に透過する性質を有することから、高分子電解質型燃料電池や水電解セルにおける高分子電解質膜として利用される。
高分子電解質型燃料電池は、プロトン伝導性の固体高分子電解質膜の両面に一対の電極を設け、純水素または改質水素ガスを燃料ガスとして一方の電極(燃料極)へ供給し、酸素ガスまたは空気を酸化剤として異なる電極(空気極)へ供給し、起電力を得るものである。また、水電解は、固体高分子電解質膜を用いて水を電気分解することにより燃料電池反応の逆反応が起こり水素と酸素を製造するものである。
しかしながら、実際の燃料電池や水電解ではこれらの主反応の他に副反応が起こる。その代表的なものが過酸化水素(H22)の生成であり、この過酸化水素に起因するラジカル種が固体高分子電解質膜を劣化させる原因となっている。
従来の固体高分子電解質膜としては、NAFION(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成工業(株)製)およびフレミオン(登録商標、旭硝子社製)の商品名で市販されているパーフルオロスルホン酸系電解質膜が、その化学安定性の点から用いられてきた。
しかしながら、これらパーフルオロスルホン酸系電解質膜は、製造が困難であり、非常に高価であることから、特殊用途への応用に限られ、自動車用、家庭用燃料電池等の民生用途への適用上の大きな障害となっている。また、分子内に大量のフッ素原子を有しているため、使用後の廃棄処理についても環境上の大きな問題点を抱えている。
そこで、フッ素原子を含まない、より安価な固体高分子電解質膜としてポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィドの主鎖芳香環をスルホン化したポリマーが提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながらこれら主鎖芳香環がスルホン化されたポリマーは吸水性が大きく、耐熱水性に劣ると共に、発電耐久性の尺度とされるフェントン試薬耐性(ラジカル耐性)に劣るという問題点を有していた。
特開平6−93114号公報
本発明の目的は、従来検討されてきた芳香族炭化水素系電解質膜の問題点を解決し、耐熱水性、ラジカル耐性(耐久性)が改良された、スルホン酸基を有する重合体からなる固体高分子電解質および該電解質からなるプロトン伝導膜を提供することにある。
本発明に係る高分子電解質は、下記一般式(1)で表わされる構成単位と、下記一般式(2)で表わされる構成単位とを有する重合体からなることを特徴とする。
Figure 2005243289
(式中、nは1〜8の整数を示し、jは1〜4の整数を示し、Aは酸素原子または硫黄原子を示し、Xは水素原子またはフッ素原子を示す。)
Figure 2005243289
(式中、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、Wは2価の電子吸引性基または単結合を示し、Tは2価の有機基または単結合を示し、pは0または正の整数を示す。)
本発明によれば、耐熱水性、ラジカル耐性(耐久性)に優れた固体高分子電解質を提供することが可能である。そして、本発明の固体高分子電解質からなるプロトン伝導膜は、高耐久性の燃料電池用のプロトン伝導膜として好適に使用することができる。
以下、本発明に係る高分子電解質およびプロトン伝導膜について詳細に説明する。
本発明に係る高分子電解質は、下記一般式(1)で表わされる構成単位(以下、「構成単位(1)」ともいう)と、下記一般式(2)で表わされる構成単位(以下、「構成単位(2)」ともいう)とを有する重合体(以下、「スルホン化ポリマー」ともいう)からなる。
Figure 2005243289
式(1)中、nは1〜8の整数を示し、jは1〜4の整数を示し、Aは酸素原子または硫黄原子を示し、Xは水素原子またはフッ素原子を示す。
Figure 2005243289
式(2)中、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基などが好ましい。フッ素置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが好ましい。アリル基としては、プロペニル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
Wは単結合または2価の電子吸引性基を示し、Tは単結合または2価の有機基を示し、pは0または正の整数であり、上限は通常100、好ましくは10〜80である。なお、電子吸引性基とは、ハメット(Hammett)置換基常数がフェニル基のm位の場合0.06
以上、p位の場合0.01以上の値となる基をいう。
本発明で用いられるスルホン化ポリマーは、上記構成単位(1)を0.5〜100モル%、好ましくは10〜99.999モル%の割合で、上記構成単位(2)を99.5〜0モル%、好ましくは90〜0.001モル%の割合で含有している。
上記スルホン化ポリマーは、下記一般式(3)で表わされる構成単位(以下、「構成単位(3)」ともいう)および上記構成単位(2)を有する化合物(A)と、
下記一般式(4)で表わされる化合物(B)または下記一般式(5)で表わされる化合物(C)とを反応させることにより、製造することができる。
Figure 2005243289
式(3)中、jは1〜4の整数を示し、Aは酸素原子または硫黄原子を示し、Mは水素原子またはアルカリ金属原子を示し、アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられる。
Figure 2005243289
式(4)および(5)中のXおよびnは、上記式(1)中のXおよびnと同義である。
上記一般式(4)で表わされる化合物(B)としては、下記に示すような化合物などを挙げることができる。
Figure 2005243289
上記一般式(5)で表わされる化合物(C)としては、
ClCH2SO3Na、ClCH2CH2SO3Na、ClCH2CH2CH2SO3Na、
ClCH2CH2CH2CH2SO3Na、ClCF2SO3Na、ClCF2CF2SO3Na、ClCF2CF2CF2SO3Na、ClCF2CF2CF2CF2SO3Naなどが挙げられる
上記一般式(4)または(5)中のnの数を調整することにより、得られるスルホン化ポリアリーレンにおけるスルホン酸基の導入位置および導入量を調整することができる。化合物(A)と、化合物(B)または化合物(C)との反応は、例えば、下記反応式に示すように、塩基性条件下で、化合物(A)と、化合物(B)または化合物(C)とを溶媒に溶解させて行うことができる。
Figure 2005243289
上記化合物(A)は、下記一般式(6)で表わされる化合物(以下、化合物(6)ともいう)と、下記一般式(7)で表わされる化合物(以下、化合物(7)ともいう)とを共重合させることにより得られる。
Figure 2005243289
式(6)中、jは1〜4の整数を示し、Aは酸素原子または硫黄原子を示し、Yはフッ
素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基
、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)から選ばれる原子または基を示し、Raは水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基を示す。
炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピ
ル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、5員の複素環を有する炭化水素基などが挙げられる。また、炭化水素基は酸素原子や窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよい。酸素原子を含む炭化水素基としては、例えば、テトラヒドロ−2−ピラニル基、メトキシメチル基、エトキシエチル基、プロポキシメチル基が例示できる。これらのうち、テトラヒドロ−2−ピラニル基、メトキシメチル基が好ましい。
Figure 2005243289
式(7)中、R'およびR''は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子を除く
ハロゲン原子または−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基また
はアリール基を示す。)で表される基を示す。Zが示すアルキル基としてはメチル基、エチル基などが挙げられ、フッ素置換アルキル基としてはトリフルオロメチル基などが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。なお、R1〜R8、W、Tおよびpは、それぞれ上記一般式(2)中のR1〜R8、W、Tおよびpと同義である。
上記一般式(7)で表される化合物として具体的には、p=0の場合、例えば4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンズアニリド、ビス(クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−ク
ロロ安息香酸−4−クロロフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子の少なくとも1つ以上が3位に置換した化合物などが挙げられる。
また、p=1の場合、上記一般式(7)で表される具体的な化合物としては、例えば4,4'−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)テトラフル
オロエチル〕ジフェニルエーテル、これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子が3位に置換した化合物、さらにこれらの化合物においてジフェニルエーテルの4位に置換した基の少なくとも1つが3位に置換した化合物などが挙げられる。
さらに上記一般式(7)で表される化合物としては、2,2−ビス[4−{4−(4−
クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン、ビス[4−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]スルホン、および下記式で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2005243289
Figure 2005243289
Figure 2005243289
上記一般式(7)で表される化合物は、例えば、以下に示す方法で合成することができる。
まず、電子吸引性基で連結されたビスフェノールを、対応するビスフェノールのアルカリ金属塩とするために、N−メチル−2−ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイドなどの誘電率の高い極性溶媒中でリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などを加える。
アルカリ金属はフェノールの水酸基に対して過剰気味で反応させ、通常、1.1〜2倍当量、好ましくは1.2〜1.5倍当量で用いる。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどの水と共沸する溶媒を共存させて、電子吸引性基で活性化されたフッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された芳香族ジハライド化合物、例えば、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−クロロフルオロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、4−フルオロフェニル−4'−クロロフェニルスルホン、ビス
(3−ニトロ−4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、デカフルオロビフェニル、
2,5−ジフルオロベンゾフェノン、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼンなどを反応させる。反応性から言えば、フッ素化合物が好ましいが、次の芳香族カップリング反応を考慮した場合、末端が塩素原子となるように芳香族求核置換反応を組み立てる必要がある。
活性芳香族ジハライドはビスフェノールに対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜
2.8倍モルの使用である。芳香族求核置換反応の前に予め、ビスフェノールのアルカリ金属塩としていてもよい。反応温度は60℃〜300℃で、好ましくは80℃〜250℃の範囲である。反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲である。最も好ましい方法としては、下記式で示される活性芳香族ジハライドとして反応性の
異なるハロゲン原子を一個ずつ有するクロロフルオロ体を用いることであり、フッ素原子が優先してフェノキシドと求核置換反応が起きるので、目的の活性化された末端クロロ体を得るのに好都合である。
Figure 2005243289
式中、Wは一般式(7)に関して定義した通りである。
また、特開平2−159号公報に記載のように求核置換反応と親電子置換反応とを組み合わせて、目的の電子吸引性基および電子供与性基からなる屈曲性化合物を合成してもよい。
具体的には、電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライド、例えばビス(4−クロロフェニル)スルホンをフェノールで求核置換反応させてビスフェノキシ化合物とし、次いで、このビスフェノキシ化合物と4−クロロ安息香酸クロライドとのフリーデルクラフト反応から目的の化合物を得ることができる。
ここで用いる電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライドとしては、上記で例示した化合物が挙げられる。フェノール化合物は置換されていてもよいが、耐熱性や屈曲性の観点から無置換化合物が好ましい。なお、フェノールの置換反応にはアルカリ金属塩とすることが好ましく、使用可能なアルカリ金属化合物としては、上記で例示した化合物が挙げられる。使用量はフェノール1モルに対し、1.2〜2倍モルである。反応に際し、上述した極性溶媒や水との共沸溶媒を用いることができる。
クロロ安息香酸クロライドは、ビスフェノキシ化合物に対し2〜4倍モル、好ましくは2.2〜3倍モルで使用される。また、ビスフェノキシ化合物と、アシル化剤であるクロロ安息香酸クロライドとのフリーデルクラフト反応は、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛などのフリーデルクラフト活性化剤の存在下で行うことが好ましい。フリーデルクラフト活性化剤は、アシル化剤のクロロ安息香酸などの活性ハライド化合物1モルに対し、1.1〜2倍当量使用する。反応時間は15分〜10時間の範囲で、反応温度は−20℃から80℃の範囲である。使用溶媒は、フリーデルクラフト反応に不活性な、クロロベンゼンやニトロベンゼンなどを用いることができる。
また、一般式(7)において、pが2以上である化合物は、例えば、一般式(7)において電子供与性基Tであるエーテル性酸素の供給源となるビスフェノールと、電子吸引性基Wである、>C=O、−SO2−および>C(CF32から選ばれる少なくとも1種の
基とを組み合わせた化合物、具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビスフェノールのアルカリ
金属塩と、過剰の4,4−ジクロロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホンなどの活性芳香族ハロゲン化合物との置換反応を、N−メチル−2−ピロリドン、N,N
−ジメチルアセトアミド、スルホランなどの極性溶媒の存在下で前記単量体の合成手法に
順次重合して得られる。このような化合物の例示としては、下記式で表される化合物などを挙げることができる。
Figure 2005243289
Figure 2005243289
Figure 2005243289
Figure 2005243289
Figure 2005243289
Figure 2005243289
上記化学式において、pは0または正の整数であり、上限は通常100、好ましくは10〜80である。
上記スルホン酸エステル基を有する重合体は、化合物(6)と化合物(7)とを触媒の存在下に反応させることにより合成されるが、この際使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(i)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、および(ii)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物;塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物;塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物;塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などが挙げられる。これらのうち特に、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
また、配位子成分としては、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジン、1,5−
シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられる
。これらのうち、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジンが好ましい。上記配位子成分である化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、配位子が配位された遷移金属錯体としては、例えば、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、臭化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ビス(1,5−シク
ロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる。これらのうち、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)が好ましい。
上記触媒系に使用することができる還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどが挙げられる。これらのうち、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、有機酸などの酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
また、上記触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物;フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物;フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられる。これらのうち、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
各成分の使用割合は、遷移金属塩または遷移金属錯体が、上記モノマーの総計(化合物(6)+化合物(7)、以下同じ)1モルに対し、通常0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満では、重合反応が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。
触媒系において、遷移金属塩および配位子成分を用いる場合、この配位子成分の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不十分となることがあり、一方、100モルを超えると、分子量が低下することがある。
また、還元剤の使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、重合が十分進行しないことがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になることがある。
さらに、「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満では、重合速度を上げる効果が不十分であることがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となることがある。
化合物(6)と化合物(7)とを反応させる際に使用することのできる重合溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ
−ブチロラクトン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンが好ましい。これらの重合溶媒は十分に乾燥してから用いることが好ましい。
重合溶媒中における上記モノマーの総計の濃度は、通常1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。
重合する際の重合温度は、通常0〜200℃、好ましくは50〜120℃である。また、重合時間は、通常0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
上記のような方法により製造されるスルホン化ポリマー中のスルホン酸基量は、通常0.3〜3.0meq/g、好ましくは0.5〜2.5meq/g、特に好ましくは0.6〜2.0meq/gである。3.0meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下し、充分な耐水性が得られないことがある。一方、0.3meq/g未満では、充分なプロトン伝導性が得られないことがある。
上記スルホン酸基量は、例えば、化合物(6)および化合物(7)の種類、使用割合、組み合わせを変えることにより調整することができる。
このようにして得られるスルホン化ポリマーの分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
本発明の固体高分子電解質は、上記スルホン化ポリマーからなり、必要に応じて添加剤を含有してもよい。用いることができる添加剤としては、例えば、老化防止剤、好ましくは分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物などが挙げられ、老化防止剤を含有することで電解質としての耐久性をより向上させることができる。
本発明で使用することのできるヒンダードフェノール系化合物としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 245)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 259
)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン(商品名:IRGANOX 565)、ペンタエリスリチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1010)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(商品名:IRGANOX
1076)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチルー4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(IRGAONOX 1098)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商品名:IRGANOX 1330)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト(商品名:IRGANOX 3114)、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチ
ルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:Sumilizer GA-80)などを挙げることができる。上記ヒンダードフェノール系化合物は、スルホン化ポリマー100重量部に対して0.01〜10重量部の量で使用することが好ましい。
本発明に係るプロトン伝導膜は、上記高分子電解質からなり、例えば、上記高分子電解質を有機溶媒に溶解して、均質な溶液とした後、基体上に流延してフィルム状に成形するキャスティング法など、一般的な方法により製造することができる。ここで、上記基体としては、通常の溶液キャスティング法に用いられる基体であれば特に限定されず、例えばプラスチック製、金属製などの基体が用いられ、好ましくは、例えばポリエチレンテレフ
タレート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂からなる基体が用いられる。
高分子電解質を溶解する溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチル尿素、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)などの極性溶剤が挙げられる。溶剤は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また高分子電解質を溶解させる溶媒として上記極性溶剤とアルコールとの混合物も用いることができる。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどが挙げられ、特にメタノールが幅広い組成範囲で溶液粘度を下げる効果があり好ましい。上記アルコールは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
溶媒として上記極性溶剤とアルコールとの混合物を用いる場合には、極性溶剤が95〜25重量%、好ましくは90〜25重量%、アルコールが5〜75重量%、好ましくは10〜75重量%(ただし、合計は100重量%)の組成の混合物が用いられる。アルコールの量が上記範囲内にあると、溶液粘度を下げる効果に優れる。
高分子電解質を溶解させた溶液のポリマー濃度は、スルホン酸基を有する重合体の分子量にもよるが、通常、5〜40重量%、好ましくは7〜25重量%である。5重量%未満では、厚膜化し難く、また、ピンホールが生成しやすい。一方、40重量%を超えると、溶液粘度が高すぎてフィルム化し難く、また、表面平滑性に欠けることがある。
なお、溶液粘度は、スルホン酸基を有する重合体の分子量またはポリマー濃度にもよるが、通常2,000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sである。2,000mPa・s未満では、成膜中の溶液の滞留性が悪く、基体から
流れてしまうことがある。一方、100,000mPa・sを超えると、粘度が高過ぎて
、ダイからの押し出しができず、流延法によるフィルム化が困難となることがある。
上記のようにして成膜した後、得られた未乾燥フィルムを水に浸漬することにより、未乾燥フィルム中の有機溶剤を水と置換することができ、得られるプロトン伝導膜の残留溶媒量を低減することができる。
なお、成膜後、未乾燥フィルムを水に浸漬する前に、未乾燥フィルムを予備乾燥してもよい。予備乾燥は、未乾燥フィルムを通常50〜150℃の温度で、0.1〜10時間保持することにより行われる。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際は、枚葉を水に浸漬するバッチ方式であってもよく、通常得られる基板フィルム(例えば、PET)上に成膜された状態の積層フィルムのまま、または基板から分離した膜を水に浸漬させて、巻き取っていく連続方法でもよい。バッチ方式の場合は、処理フィルムを枠にはめるなどの方式が処理されたフィルムの表面の皺形成が抑制されるので好都合である。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際には、未乾燥フィルム1重量部に対し、水が10重量部以上、好ましくは30重量部以上の接触比となるようにすることがよい。得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量をできるだけ少なくするためには、できるだけ大きな接触比を維持するのがよい。また、浸漬に使用する水を交換したり、オーバーフローさせたりして、常に水中の有機溶媒濃度を一定濃度以下に維持しておくことも、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量の低減に有効である。プロトン伝導膜中に残存する有機溶媒量の面内分布を
小さく抑えるためには、水中の有機溶媒濃度を撹拌等によって均質化させることが効果的である。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際の水の温度は、好ましくは5〜80℃の範囲である。高温ほど、有機溶媒と水との置換速度は速くなるが、フィルムの吸水量も大きくなるので、乾燥後に得られるプロトン伝導膜の表面状態が荒れる懸念がある。置換速度および取り扱い性を考慮すると、10〜60℃の温度範囲が好ましい。
浸漬時間は、初期の残存溶媒量、接触比および処理温度にもよるが、通常10分〜240時間、好ましくは30分〜100時間の範囲である。
上記のように未乾燥フィルムを水に浸漬した後乾燥すると、残存溶媒量が低減されたプロトン伝導膜が得られるが、このようにして得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量は通常5重量%以下である。また、浸漬条件によっては、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量を1重量%以下とすることができる。このような条件としては、例えば未乾燥フィルムと水との接触比を、未乾燥フィルム1重量部に対し、水が50重量部以上、浸漬する際の水の温度を10〜60℃、浸漬時間を10分〜10時間とする方法がある。
上記のように未乾燥フィルムを水に浸漬した後、フィルムを30〜100℃、好ましくは50〜80℃で、10〜180分、好ましくは15〜60分乾燥し、次いで、50〜150℃で、好ましくは500mmHg〜0.1mmHgの減圧下、0.5〜24時間、真空乾燥することにより、プロトン伝導膜を得ることができる。
本発明の方法により得られるプロトン伝導膜は、その乾燥膜厚が、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
本発明のプロトン伝導膜は、例えば、一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに用いられるプロトン伝導膜として利用可能である。
〔実施例〕
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、スルホン酸当量、プロトン伝導度、耐熱水性(フィルムの重量変化率)、フェントン試験における重量保持率は以下のようにして求めた。
1.スルホン酸当量
得られたスルホン酸基を有する重合体の水洗水が中性になるまで洗浄し、フリーに残存している酸を除いて充分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点からスルホン酸当量を求めた。
2.プロトン伝導度の測定
交流抵抗は、5mm幅の短冊状のプロトン伝導膜試料の表面に、白金線(φ=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、85℃、相対湿度90%の環境下で、交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用い、恒温恒湿装置には、(株)ヤマト科学製のJW241を使用した。白金線は、5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させ、交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から、膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数から交流インピーダンスを算出し、このインピーダンスからプロトン伝導度を算出し
た。
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
3.耐熱水性
フィルム状のプロトン伝導膜試料をイオン交換水に浸し、95℃で48時間浸漬前後のフィルムの重量保持率を下記算出式から求めた。なお、フィルムは真空乾燥により絶乾して重量を求めた。
耐熱水性試験における重量保持率(%)=耐熱水性試験後のフィルム重量/耐熱水性試験前のフィルム重量×100
4.フェントン試薬耐性
3重量%の過酸化水素に硫酸鉄・七水和物を鉄イオンの濃度が20ppmになるようにフェントン試薬を調製した。250ccのポリエチレン製溶液に200gのフェントン試薬を採取し、3cm×4cm、膜厚=55μmに切削したプロトン伝導膜を投入後、密栓後、40℃の恒温水槽に浸漬させ、30時間フェントン試験を行った。30時間フェントン試験後の重量保持率は、下記算出式から求めた。なお、フィルムは真空乾燥により絶乾して重量を求めた。
フェントン試験における重量保持率(%)=フェントン試験後のフィルム重量/フェントン試験前のフィルム重量×100
また、上記物性測定に用いたプロトン伝導膜は、以下のようにして調製した。スルホン化ポリマーの固形分量が約10重量%となるように、スルホン化ポリマーが可溶な溶媒に溶解させた。このポリマーワニスを、ドクターブレードを用いてガラス基板上に塗布後、75℃にて1時間オーブンを用い予備乾燥させ、塗膜をガラス基板から剥がした。フィルムを耐熱テープでアルミ板上に固定後、さらにオーブンを用いて150℃、1時間乾燥させた。次いで、塗膜中に残存する溶媒を完全に除去するために、塗膜重量の約1000倍量のイオン交換水中に25℃で2時間浸漬させた。得られたフィルムを25℃、相対湿度50%の環境下に12時間静置して状態調節した後、各種物性測定を実施した。
[実施例1]
下記化学式(8)で表わされる化合物37.1g(100mmol)、2H−ジヒドロピラン100g(1200mmol)、トルエン100mLをフラスコに入れ、これを攪拌しながら、陽イオン交換樹脂(アンバーリスト15)1.5gを加え、室温で5時間攪拌を続けた後、濾過により陽イオン交換樹脂を除去した。次いで、得られた濾液を水酸化ナトリウム水溶液および食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去した。得られた固形物をトルエンで再結晶し、下記化学式(9)で表わされる化合物21.4g(収率47%)を得た。
Figure 2005243289
Figure 2005243289
得られた化合物(9)20.1g(44.1mmol)、下記化学式(10)で表わされる4,4’−ジクロロベンゾフェノン・2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)―1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン重縮合物(数平均分子量11,200)9.07g(0.81mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド0.883g(1.35mmol)、ヨウ化ナトリウム0.877g(5.85mmol)、トリフェニルホスフィン4.72g(18mmol)、亜鉛7.06g(108mmol)を、攪拌羽根、温度計、窒素導入管をとりつけた500mLフラスコにとり、真空乾燥した。乾燥窒素でフラスコ内を置換した後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)52mLを加え、重合を開始した。重合中は反応液の温度が70〜90℃の範囲になるように制御した。3時間後、DMAc200mLを加えて希釈し、不溶部を濾過して、重合体溶液の濾液を得た。
この重合体溶液の濾液のうち微量を採取して、メタノールに注いで重合体を沈殿させ、濾過により沈殿物を分別した後、この沈殿物を乾燥させて得られた固体の1H―NMRス
ペクトルから、この固体はテトラヒドロ−2−ピラニル基を有することを確認した。
Figure 2005243289
一方、残りの重合体溶液の濾液を、濃塩酸10vol%を含むメタノール1.5Lに注ぎ、重合体を沈殿させた。次に、濾過により沈殿物を分別した後、得られた固体を乾燥させて、下記一般式(11)で表わされるヒドロキシル基を有する重合体21.2gを得た。
Figure 2005243289
上記式(11)で表わされる重合体15.2gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)250mLに添加し、100℃に加熱しながら攪拌し溶解させた。次に、水素化リチウム1.06g(133mmol)を加え、2時間攪拌した。続いて、プロパンスルトン16.2g(133mmol)を加え、8時間反応させた。次いで、前記反応液の不溶部を濾過した後、1N塩酸に注いで重合体を沈殿させた。沈殿させた重合体を1N塩酸で洗浄した後、蒸留水でpHが中性になるまで洗浄した。この重合体を75℃で乾燥させて、下記化学式(12)で表わされる粉末状のスルホン酸基を有するポリアリーレン17.9gを得た。
Figure 2005243289
実施例1で得られたスルホン化ポリマーの特性を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、化合物(8)の代わりに、下記化学式(13)で表わされる化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記化学式(14)で表されるスルホン酸基を有するポリアリーレンを合成した。実施例2で得られたスルホン化ポリマーの物性を表1に示す。
Figure 2005243289
Figure 2005243289
Figure 2005243289

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表わされる構成単位と、下記一般式(2)で表わされる構成単位とを有する重合体からなることを特徴とする高分子電解質。
    Figure 2005243289
    (式中、nは1〜8の整数を示し、jは1〜4の整数を示し、Aは酸素原子または硫黄原子を示し、Xは水素原子またはフッ素原子を示す。)
    Figure 2005243289
    (式中、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、Wは2価の電子吸引性基または単結合を示し、Tは2価の有機基または単結合を示し、pは0または正の整数を示す。)
  2. スルホン酸基量が0.5〜3meq/gであることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質。
  3. 請求項1または2に記載の高分子電解質からなることを特徴とするプロトン伝導膜。
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