JP2005240191A - エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】 高吸湿性エチレン−ビニルアルコール系共重合体からなり、染色加工性、風合が良好であり、かつ繊維化工程性に優れた繊維を提供する。
【解決手段】 エチレン単位が25〜70モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と末端アミノ基が10μ当量/グラム以下であり、全末端の30%以上がアミノ基と環状イミド結合を形成しうる構造単位で封鎖されているポリアミド樹脂(B)からなるエチレン−ビニルアルコール共重合体系繊維。
【選択図】 なし

Description

本発明は、吸湿性に優れたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなり、染色加工性、耐熱水性が良好であり、かつ繊維化工程性に優れた繊維に関する。
従来、合成繊維、例えばポリエステルやポリアミド等の合成繊維は優れた物理的特性および化学的特性を有しており、衣料用途のみならず広く産業用途にも使用されており、工業的に貴重な価値を有している。
しかしながら、これら合成繊維は吸湿、吸水性が低いため、肌着、中衣、シーツ、タオル等の吸湿、吸水性が要求される分野への進出は限定されているのが実情である。そして、ポリエステル繊維の場合には、従来から最大の欠陥とも云える吸湿・吸水性を改善する提案が種々なされている。具体的には、ポリエステル繊維を親水化付与剤で後処理する方法やポリエステル繊維表面又は繊維内部を多孔質化して吸湿・吸水性を付与する方法などが提案されている。
しかしながら、これらの手法はいずれも吸湿・吸水性が不十分であり、かつ洗濯により付与された性能が低下するという問題があった。
近年これらの問題点を改善するために、吸湿・吸水性に優れた樹脂であるエチレン−酢酸ビニル系共重合体のケン化物、いわゆるエチレン−ビニルアルコ−ル系共重合体をポリエステルやポリアミド等と複合化し繊維化することによりポリアミドやポリエステルの低吸湿・吸水性を改良する方法が知られている(特公昭56−5846号公報、特公昭55−1372号公報、特公平7−84681号公報等)。
しかしながら、このエチレン−ビニルアルコ−ル系共重合体をポリエステルやポリアミド等と複合化し繊維化する方法の場合には、エチレン−ビニルアルコ−ル系共重合体が耐熱水性に劣ることから、高温高圧染色や縫製、あるいはスチームアイロンの使用により、表面に露出したエチレン−ビニルアルコール系共重合体が部分的に軟化や微膠着を生じ、織編物としての風合が硬化するという新たな問題点が生じる。こ問題点を解消する方法として、ジアルデヒド化合物によりエチレン−ビニルアルコ−ル系共重合体をアセタール化処理する方法が上記特許公報に開示されている。
しかしながら、該アセタール化処理は、現行の染色工程以外の別工程を必要とするため加工コストアップの問題、さらにはアセタール化処理する際に強酸を高濃度に使用することによる処理装置の耐酸性の問題、アセタール化処理時の未反応のジアルデヒド化合物による染料の退色等による染色物の耐光性悪化の問題、天然繊維風の膨らみ感が不足する問題、スチームアイロンや転写プリント等の過度の熱処理等によるエチレン−ビニルアルコール系共重合体の軟化や微膠着の問題などを有していた。
このような問題を解決する方法として、上記特公平7−84681号公報にはジアルデヒドと界面活性剤の混合物を用いて架橋処理する方法を提案されている。しかしながら、この方法は染料選択の自由度について問題があった。本発明者らの検討によると、この技術では精練と同時に架橋することが困難であり、その結果、染色と同時に架橋せざるを得ず、染料選択が制限されていた。
またエチレン−ビニルアルコ−ル系共重合体の耐熱水性を改善する方法として、特開2003−171821公報には、エチレン−ビニルアルコール系共重合体とポリアミド系樹脂の混練物からなる海島繊維が提案されている。この繊維であれば、エチレン−ビニルアルコール共重合体の有する高吸湿性、耐油性、耐溶剤性を失うことなく、簡便に耐熱性、耐熱水性、耐染色性を付与することができる。しかしながら耐熱性、耐熱水性、より高温での耐染色性(ポリエステル系繊維との同浴染色などでは染色温度が高温化してしまう)を付与する為にポリアミドの配合量を増やしていくと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とポリアミド系樹脂の両者が反応することにより繊維中にゲルが発生し、繊維化時のロングラン性に劣るという新たな問題が生じる。具体的にはゲルによる閉塞がフィルターの昇圧をもたらし、結果としてパックの早期交換が必要となったり、毛羽や断糸の多発が生じる。
以上のことから、エチレン−ビニルアルコ−ル系共重合体系繊維の更なる改良が望まれていた。
特公昭56−5846号公報 特公昭55−1372号公報 特公平7−84681号公報 特開2003−171821公報
本発明は、前記従来技術の問題点を克服し、エチレン−ビニルアルコ−ル系共重合体系樹脂が本来備えている特性を損なうことなく、染色加工の簡略化及び低コスト化、染料選択の自由度の大きさや良好な染色性が得られ、かつ繊維化工程性に優れたエチレン−ビニルアルコ−ル系共重合体系繊維を提供することを目的とするものである。
上記の目的は、繊維を構成する樹脂が、エチレン単位が25〜70モル%のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)と末端アミノ基の少なくとも一部が封鎖されたポリアミノ樹脂(B)の混練物からなり、かつ(A):(B)の重量比が55:45〜90:10であることを特徴とする繊維により達成される。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)にポリアミド樹脂を添加することにより耐熱水性を高めることができるが、単に添加しただけでは、ゲル化が生じて紡糸性が劣ることとなる。本発明はゲル化を防ぐため、ポリアミド樹脂の末端アミノ基を封鎖するものである。
本発明において、好ましくは、ポリアミド樹脂(B)が、全末端の30%以上がアミノ基と環状イミド結合を形成しうる構造単位で封鎖されている場合である。また、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)成分中のポリアミド樹脂(B)の分散状態が島形状となっており、その一島の大きさが1nm〜300nmで、繊維断面方向に島数が10ケ/μm以上である場合も本発明において好適である。また、ポリアミド樹脂(B)が、ナイロン6/12、ナイロン6及びナイロン6,6からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリアミド樹脂であり、かつ末端アミノ基の少なくとも一部が封鎖されたものである場合なども本発明において好ましい。
また、ポリアミド樹脂(B)の該アミノ基と形成された環状イミド結合の構造単位がフタルイミドもしくはコハクイミドである場合も好ましい。さらに、ポリアミド樹脂(B)が、炭素数4〜20のジアミン共存下で、カプロラクタムとラウリルラクタムのいずれか一方又は両方を主体とするポリアミド形成性モノマーを開環重合させて、全末端の75%以上がアミノ基であり、かつ相対粘度[ηr]が2.0〜7.0であるカプロアミドとラウリルアミドのいずれか一方又は両方を主体とするポリアミド樹脂(C)を一旦製造し、次いで得られたポリアミド樹脂(C)の末端アミノ基と環状イミド結合を形成しうる末端封鎖剤と該ポリアミド樹脂(C)を反応させたものである場合も好ましい。また、末端封鎖剤が環状酸無水物であり、特に該環状酸無水物が無水フタル酸または無水コハク酸のいずれかである場合も好ましい。
本発明に係わるエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)は、エチレン−酢酸ビニル系共重合体のケン化物ポリマーである。該重合体に含有されるエチレンの量は、25〜70モル%であることが必要で、好ましくは30〜55モル%である。該共重合体のエチレン含有量が70モル%を超えて高くなる、すなわちビニルアルコール成分の含有量が低くなれば、得られるポリマーの融点が低くなり、実用に満足な耐熱性を有するものを得ることができない。また、水酸基の減少のために親水性等の特性が低下し、目的とする親水性を有する天然繊維ライクの風合が得られにくくなる。一方、繊維構造から見ると、ビニルアルコール成分の含有量が75%を越えて高くなりすぎると、溶融紡糸性が低下するとともに、繊維化する際の紡糸性が不良になる上、紡糸または延伸時に単糸切れ、毛羽が多くなる。
特に本発明においては、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)を紡糸する際には、共重合体中のビニルアルコール成分の含有量が多くなれば、示差走査熱量計(DSC)測定による融点ピークが高温側にシフトし、ポリアミド樹脂(B)とブレンド紡糸性が良化する方向であるが、一方でエチレン含有量が少ないために溶融紡糸性が低下する傾向がある。従って、ポリアミド樹脂(B)をブレンド紡糸することを考慮すれば、エチレン含有量が25〜70モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体を使用することが必要である。
本発明においては、上記の水酸基を有する重合体からなる繊維に架橋構造を導入するために、該共重合体にポリアミド樹脂(B)を10〜45重量%の割合で混合することが重要である。好ましくは15〜40重量%の範囲である。10重量%未満の場合には添加効果が得られず、また45重量%を越える場合には、繊維化工程性に寄与する分散状態が得られず、場合によっては海島関係の逆転が生じ、或いは染色加工性や得られる布帛の風合い向上が得られない。
架橋構造は、主にポリアミドの末端カルボキシル基とエチレン−ビニルアルコール系共重合体の−OHの反応によるものや、ポリアミド基の末端アミノ基とエチレン−ビニルアルコール系共重合体のカルボキシル基の反応等によるものと推定される。架橋度は、95℃〜125℃の沸騰水中で膠着のない耐熱性が得られる程度が好ましく、これにはポリアミドの分散状態が大きく影響する。島成分であるポリアミドの分散状態は、島表面と海成分の架橋反応の反応効率に関わるため、ある範囲に分散していることが好ましい。ポリアミドの存在により、高温染色時やスチームアイロン、あるいは洗濯、乾燥時の繊維間の膠着や過大収縮等を生じることのない耐熱性改善に効果を奏する。
本発明に使用するポリアミド系樹脂(B)の種類は特別に限定されるものでないが、例えば、ポリカプロラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン2,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカノメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリドデカメチレンセバカミド(ナイロン10,8)、あるいは、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジペート共重合体(ナイロン6/6,6)、ラウリンラクタム/ヘキサメチレンジアミンアジペート共重合体(ナイロン12/6,6)、ヘキサメチレンジアミンアジペート/ヘキサメチレンジアミンセバケート共重合体(ナイロン6,6/6,10)、エチレンジアミンアジペート/ヘキサメチレンジアミンアジペート共重合体(ナイロン2,6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミンアジペート/ヘキサメチレンジアミンセバケート共重合体(ナイロン6,6/6,10)などが挙げられる。なお、上記のナイロン表示中で「,」の前後の数値はポリアミドを構成するジカルボン酸成分とジアミン成分のそれぞれの炭素数を表すものであり、「/」は前後の数値で示されるポリアミド同士の共重合体を表すものである。
これらのポリアミド類、とりわけナイロン6/12の縮重合時にポリエーテルジアミン類とジカルボン酸(ダイマー酸など)を添加して、高分子鎖中にポリエーテル結合を有するポリアミドとしたものでも良い。
また、メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂も有効であり、メタキシリレンジアミンと全量の80%以下のパラキシリレンジアミンを含む混合キシリレンジアミンと、炭素数が6〜10個のα,ω−脂肪族ジカルボン酸とから生成された構成単位を分子鎖中に少なくとも70モル%含有する重合体も好ましい。これらの重合体の例としては、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミドなどのような単独重合体、およびメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体などのような共重合体、ならびにこれらの単独重合体または共重合体の成分とヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジンのような脂環式ジアミン、パラ−ビス−(2−アミノエチル)ベンゼンのような芳香族ジアミン、テレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸、ε−カプロラクタムのようなラクタム、γ−アミノヘプタン酸のようなω−アミノカルボン酸、パラ−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等とを共重合した共重合体等が挙げられる。上記の共重合体において、パラキシリレンジアミンは全キシリレンジアミンに対して80%以下が好ましく、より好適には、75%以下である。
またキシリレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから生成された構成単位を分子鎖中に少なくとも70モル%以上含むのも望ましい。また、これらのポリマーには、たとえばナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,12等の重合体を含有していてもよい。
更に、非晶質ポリアミド、すなわち、DSC測定において、実質上吸熱結晶融解ピークを有さないもので、主として、脂肪族ジアミンおよび芳香族ジカルボン酸の重縮合体も用いられる。
脂肪族ジアミンとしては、たとえばヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ビス−(4−アミノヘキシル)−メタン、2,2−ビス−(4−アミノヘキシル)−イソプロピリジン、1,4−(1,3)−ジアミノシクロヘキサン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノプロパン、および2−エチルジアミノブタンなどが挙げられる。これらのジアミンは、一種またはそれ以上を同時に用いることができる。なかでも、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタンメチレンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−ジアミノブタン、および1,3−ジアミノプロパンが好適に用いられる。
芳香族ジカルボン酸としては、たとえばイソフタル酸、テレフタル酸、アルキル置換イソフタル酸、アルキル置換テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸は、一種またはそれ以上を同時に用いることができる。なかでも、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などが熱成形性の面で好適である。
そして、非晶質ポリアミドとしての例としては、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸の重縮合体、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸/テレフタル酸の重縮合体、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン−テレフタル酸の重縮合体などが挙げられる。なかでもイソフタル酸/テレフタル酸のモル比が60/40〜95/5、なかでも、65/35〜90/10の範囲にあるヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸/テレフタル酸の重縮合体が好適である。
上記樹脂は1種または2種以上用いられるが、上記樹脂のうち好適なポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン6/12、メタキシリレンジアミン含有ナイロン、非晶質ナイロンなどが紡糸性、耐熱水性の点から挙げられる。特に、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン6/12が好ましい。ナイロン6/12における6成分と12成分の組成は特に制限はないが12成分が60モル%以下、より好ましくは50モル%以下が好ましい。
さらに本発明の繊維を構成するポリアミド樹脂(B)は、末端アミノ基の少なくとも一部が封鎖されていることが繊維化工程性の点で必要であり、好適には、封鎖処理後において末端アミノ基量が10μ当量/グラム以下であり、全末端の70%以上がアミノ基と環状イミド結合を形成しうる構造単位で封鎖されている場合である。ここでいう末端アミノ基量とは、ポリアミド樹脂をフェノールに溶解し、0.05N塩酸で滴定することによって求めたポリアミド樹脂重量あたりの末端基濃度(当量)である。本発明の封鎖処理後の樹脂組成物では、ポリアミド樹脂(B)の末端アミノ基量が10μ当量/グラム以下であることが繊維化工程性の点で好ましく、より好ましくは7μ当量/グラム以下、さらに好ましくは4μ当量/グラム以下である場合である。
アミノ基と環状イミド結合を形成しうる構造単位とは、フタルイミド、コハクイミド、グルタルイミド、3−メチルグルタルイミド、マレイミド、ジメチルマレイミド、トリメリットイミド、ピロメリットイミドなどの環状イミド構造をいい、本発明で使用するポリアミド樹脂(B)は全末端の30%以上が本構造単位で封鎖されていることが好ましく、さらには50%以上が本構造単位で封鎖されているとより好ましく、70%以上が本構造単位で封鎖されているとさらに好ましい。封鎖率が30%未満であると、繊維化工程性が不良となり、フィルター昇圧や毛羽、断糸発生の原因となるため好ましくない。
アミノ基と環状イミド結合を形成しうる構造単位は、環状酸無水物を使用することによって付与することができる。このような環状酸無水物としては、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水3−メチルグルタル酸、無水マレイン酸、無水ジメチルマレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを例示することかでき、ポリアミド樹脂の末端アミノ基との反応性、あるいはそのもの自身の熱安定性などの観点から、特に無水フタル酸あるいは無水コハク酸を用いるのが特に好ましい。
また、本発明で使用するこれらポリアミド樹脂(B)の相対粘度[ηr]は2.0〜7.0であることが好ましく、2.5〜5.0の範囲であるとさらに好ましい。[ηr]が2.0未満の場合には、繊維化工程性が不良となり、また、[ηr]が5.0を超える場合には溶融粘度が高すぎて、エチレン−ビニルアルコールに対する分散性が悪くなり、所望の耐熱水性を得ることが難しくなる。
本発明で使用するポリアミド系樹脂(B)は任意の製法で製造することができるが、前記したようにポリアミド系樹脂(B)は、その末端構造と分子量が調整されていることが好ましく、具遺体的にはその製造工程において、分子量調節剤と末端調整剤、すなわち環状酸無水物を作用させることが好ましい。その一般的な製法としては、(1)ポリアミド樹脂の重合時に環状酸無水物と分子量調節剤を添加して重合度と末端構造を調整する方法、(2)いったん分子量調節剤を使用して重合されたポリアミド樹脂に環状酸無水物を反応させて末端構造を調整する方法を挙げることができる。
前述のように、本発明で使用するポリアミド系樹脂(B)は、全末端の30%以上がアミノ基と環状イミド構造を形成し得る構造単位で封鎖されていることが好ましく、このような高い末端封鎖率を達成する方法としては、ポリアミド系樹脂(B)の製法として以下の方法を採用することが特に好ましい。
すなわち、
(i)カプロラムタムとラウリルラクタムのいずれか一方又は両者を主体とするポリアミド樹脂形成性モノマー、および前記した重合度に調整するための分子量調節剤として炭素数4〜20のジアミンを反応器に仕込み、
(ii)200℃〜250℃の範囲で溶融重合を行って全末端の75%以上、より好ましくは85%以上がアミノ基であるポリアミド樹脂(C)とした後に、
(iii)ストランドとして押し出していったんペレットとして取得し、
(iv)次いでバッチ式反応器あるいは2軸または単軸押出機を用いて環状酸無水物と反応混合させて相対粘度[ηr]が2.0〜7.0であるポリアミド樹脂(B)とする方法である。
ここで分子量調節剤として使用される炭素数4〜20のジアミンとしては、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、シクロヘキサンジアミン、シクロヘキサンジメタナミン、トリメチルペンタンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジンのような脂環式ジアミン、パラ−ビス−(2−アミノエチル)ベンゼン、パラ−キシリレンジアミン、メタ−キシリレンジアミンのような芳香族ジアミンを例示することができる。そのもの自体の沸点や反応性などの観点から、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、メタ−キシリレンジアミン、パラ−キシリレンジアミンが、分子量調節の精度が得られる点と、全末端の75%以上がアミノ基であるポリアミド樹脂(C)を得やすい点で最も好ましい。使用するジアミンの好適量としては、ポリアミド樹脂形成性モノマーに対して0.1〜5モル%の範囲である。
更に分子量調節剤としては、ポリアミド樹脂の分子量調節剤として用いられている酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸のような脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸のような脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイン酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸のような芳香族モノカルボン酸をその一部に組み合わせて使用することもできる。
このようにして得られたポリアミド樹脂(C)を、バッチ式反応器、あるいは2軸または単軸押出機を用いて環状酸無水物と反応混合させることによって、ポリアミド樹脂(B)を得ることができる。ここでいう環状酸無水物は、前記したものを使用することができる。
ポリアミド樹脂(C)に対する環状酸無水物の添加量は、ポリアミド樹脂の全末端の75%以上が好ましく、より好ましくは85%以上であり、そのためには構成するアミノ基のモル数に対して、0.95〜3.0当量に相当する量が好ましく、1.0〜2.0当量の範囲であるとより好ましい。0.95当量を下回ると、ポリアミド樹脂(B)の全末端の70%以上を環状イミド構造単位で封鎖することが難しく、3.0当量を超えると、繊維化工程での断糸発生や未反応物のブリードアウトなどの問題が引き起こされるので好ましくない。
さらに本発明において、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)中において、ポリアミド樹脂(B)が分散しており、その分散状態は、ポリアミド樹脂(B)が島形状となっており、その一島の大きさが1nm〜300nm、好ましくは10nm〜200nmであり、島数は10ケ/μm以上であることが好ましい。島の大きさが300nmを超えると繊維化工程性が不安定となるため好ましくなく、1nm未満になると目的とする耐熱性が得られづらく不適当である。島数が10ケ/μm未満になった場合も耐熱性が得られにくく不適当である。島数の上限値は特に限定されないが、多すぎる場合はゲル化に至り紡糸不可能となるので、より好ましくは1000ケ/μm以下、さらには500ケ/μm以下であることが望まれる。島の大きさおよび島数はポリアミドの種類、ポリアミドとエバールの粘度バランス、ポリアミドの配合量などによって調整することができる。
本発明においては、その目的や効果を損なわない範囲で、必要に応じて銅化合物等の安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤、アルデヒド捕捉剤、硼酸等の架橋剤、無機充填剤、無機乾燥剤、その他繊維性能を大きく悪化させないポリマー等を重合反応時、またはその後の工程で添加することができる。
また必要に応じて平均粒子径が0.01μm以上5μm以下の微粒子を0.05重量%以上10重量%以下、重合反応時、またはその後の工程で添加することができる。微粒子の種類は特に限定されず、たとえばシリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の不活性無機微粒子を添加することができ、これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。特に平均粒子径が0.02μm以上1μm以下の無機微粒子が好ましく、紡糸性、延伸性が向上する。
本発明の繊維を製造するには、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)とポリアミド樹脂(B)をチップブレンド、あるいはチップフィーダーを用いて混合し、混練効果の高いスクリュー構成にした二軸押出機で溶融押出し紡糸ヘッドに導入する。この時の押し出し条件としては、温度はエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)とポリアミド樹脂(B)の融点の高い側を基準にし、融点からプラス10℃の範囲、押出し機での滞留時間は2分から30分の範囲で設定する。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)は、260℃以上の温度で長く滞留すると分解をはじめるため、高融点ポリアミドと混合紡糸する場合には、紡糸ヘッド温度を240〜290℃に押さえるのが好ましい。この場合の溶融紡出速度などは、溶融紡出速度(溶融紡出量)を約20〜50g/紡糸孔1mm・分程度とすると、品質の良好な複合繊維を良好な紡糸工程性で得ることができるので好ましい。
また、紡糸口金における紡糸孔の大きさや数、紡糸孔の形状などは、目的とする繊維の単繊維繊度、トータルデニール、断面形状などに応じて調節することができるが、紡糸孔(単孔)の大きさを約0.018〜0.07mm程度にしておくのが望ましい。紡糸ヘッド温度条件によっては、紡糸口金の孔周囲にノズル汚れが堆積して糸切れが発生するので、ノズル孔出口がテーパー状に広がった形状にしたり、口金下の雰囲気をスチームシールして酸素を遮断する手法が好ましい。
そして、上記によって溶融紡出した繊維を、一旦ガラス転移温度以下の温度、好ましくはガラス転移温度よりも10℃以上低い温度に冷却する。この場合の冷却方法や冷却装置としては、紡出した繊維をそのガラス転移温度以下に冷却できる方法や装置であればいずれでもよく、特に制限されないが、紡糸口金の下に冷却風吹き付け筒などの冷却風吹き付け装置を設けておいて、紡出されてきた繊維に冷却風を吹き付けてガラス転移温度以下に冷却するようにすることが好ましい。
その際に冷却風の温度や湿度、冷却風の吹き付け速度、紡出繊維に対する冷却風の吹き付け角度などの冷却条件は、口金から紡出されてきた複合繊維を繊維の揺れなどを生じないようにしながら速やかに且つ均一にガラス転移温度以下にまでに冷却できる条件であればよい。そのうちでも、冷却風の温度を約20〜30℃、冷却風の湿度を20〜60%、冷却風の吹き付け速度を0.4〜1.0m/秒程度として、紡出繊維に対する冷却風の吹き付け方向を紡出方向に対して垂直にして紡出した繊維の冷却を行うのが、高品質の繊維を円滑に得ることができるので好ましい。また、冷却風吹き付け筒を用いて前記の条件下で冷却を行う場合は、紡糸口金の直下にやや間隔をあけてまたは間隔をあけないで、長さが約80〜160cm程度の冷却風吹き付け筒を配置するのが好ましい。
また、引取り速度は、一旦巻き取ってから延伸処理を行う場合、紡糸直結の一工程で紡糸延伸して巻き取る場合、延伸を行わずに高速でそのまま巻き取る場合で異なるが、おおよそ500m/分から6000m/分の範囲で引き取れる。500m/分未満でも紡糸できないことはないが、生産性の点からは意味が少ない。一方、6000m/分を越えるような高速では、繊維の断糸が起こりやすい。生産性及び生産コストの面、さらには、本発明のような架橋反応を生じるような繊維においては高速紡糸方式(延伸省略)、紡糸直結延伸方式で繊維化することが好ましい。
本発明の繊維は、太さ0.001〜1000デシテックスの範囲が衣料用途の点で好ましく、さらに好ましくは0.01〜100デシテックス、より好ましくは0.1〜5デシテックスの範囲である。
本発明の繊維は、それ単独で、あるいはそれと他の繊維、例えば木綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、テンセル、アセテート等の再生繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン等の合成繊維等と混紡、混繊、交撚、交織して、織物、編物、不織布等の布帛にすることができる。
本発明の繊維は、繊維の製造工程通過性に優れ、さらに染色工程通過性、耐アイロン性等に優れ、さらに吸湿・吸水性、染色性、風合いに優れ、かつ耐熱水性に優れている。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。なお、実施例中の測定値は以下の方法により測定されたものである。
[相対粘度(dL/g)]
ポリアミド樹脂を97%濃硫酸に濃度が1g/dLになるよう溶解し、ウベローデ粘度計を用いて25℃で測定した。
[末端アミノ基量(μ当量/g)]
ポリアミド樹脂をフェノールに溶解し、0.05N塩酸で滴定することによって求め、ポリアミド樹脂重量あたりの末端基濃度で示した。
[末端カルボン酸量(μ当量/g)]
ポリアミド樹脂をベンジルアルコールに溶解し、0.05N水酸化カリウム水溶液で滴定することによって求め、ポリアミド樹脂重量あたりの末端基濃度で示した。
[末端イミド構造量(μ当量/g)]
ポリアミド樹脂を重水素化ヘキサフロロイソプロパノールに溶解し、日本電子製500MHz−NMRにより、末端イミド構造に隣接するメチレン基水素のピーク面積を求め、ポリアミド樹脂重量あたりの末端基濃度に換算した。
[末端アミノ基割合(%)]
上記した末端アミノ基量、末端カルボン酸量の合計量を算定し、それに占める末端アミノ基量の割合(%)を求めた。
[末端イミド構造割合(%)]
上記した末端アミノ基量、末端カルボン酸量、末端イミド構造量の合計量を算定し、それに占める末端イミド構造量の割合(%)を求めた。
[繊維化工程性]
100kg紡糸した際の毛羽・断糸の発生状況で評価した。繊維化工程性は○、△を合格ラインと判断した。
○:毛羽、断糸の発生なく良好
△:断糸はなく、毛羽の発生が僅かに認められる
×:毛羽、断糸が発生、フィルター昇圧も確認される
××:毛羽、断糸が顕著に発生、フィルター昇圧の急激な発生が確認される
[島の分散状態]
透過型電子顕微鏡(日立製作所製 H−800NA型)を用い、繊維の断面を100000倍に拡大して観察した。島の大きさは、島部が繊維中にほぼ球形で分散しているので、その平均直径を意味するものである。
[染色後の風合]
下記染色条件(染色条件1又は染色条件2)で染色を実施。染色後の繊維間の風合を評価。
○:ソフトで嵩高感のある風合
×:膠着が生じ、硬化している

染色条件1:
染料:Sumikaron Navy Blue SPH conc 5%owf
Disper TL (明成化学) 1g/l
酢酸(50%) 0.3cc/l
浴比 1:50
105℃×40分
還元洗浄:
NaOH 2g/l
Na2SO 2g/l
アミラジンD 2g/l
85℃×20分
染色条件2(高温染色):
染料:Sumikaron Navy Blue SPH conc 5%owf
Disper TL (明成化学) 1g/l
酢酸(50%) 0.3cc/l
浴比 1:50
115℃×40分
還元洗浄
NaOH 2g/l
Na2SO 2g/l
アミラジンD 2g/l
95℃×20分
参考例1:ポリアミド樹脂(B−1)の製造
30リットル耐圧反応器に、ポリアミドモノマーとしてε−カプロラクタム(8kg)、ω−ラウリルラクタム(2kg)、分子量調節剤としてメタ−キシリレンジアミン(35g)、水(1.0kg)を仕込み、撹拌しながら240℃に加熱し0.5MPaの圧力まで昇圧した。その後、常圧まで放圧し、240℃で3時間重合した。重合の終了した時点で反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してナイロン6/12(重量比80/20)樹脂ペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、乾燥して原料ポリアミドC−1を得た。原料ポリアミドC−1の相対粘度は2.8dl/gであり、末端アミノ基量は47マイクロ当量/g、末端カルボン酸基量は58マイクロ当量/gであり、全末端量における末端アミノ基の割合は45%であった。
このポリアミドC−1(5kg)を無水フタル酸(56g)とドライブレンドし、260℃の温度で2軸押出機を用いて反応混合させ、ストランド状に払い出して切断することにより、ポリアミド樹脂B−1を得た。ポリアミドB−1の相対粘度は2.7dl/gであり、末端アミノ基量、末端カルボン酸基量、末端フタルイミド基量はそれぞれ4マイクロ当量/g、60マイクロ当量/g、45マイクロ当量/gであり、全末端量における環状フタルイミド基の割合は41%であった。これらの結果を表1に示す。
参考例2:ポリアミド樹脂(B−2)の製造
分子量調節剤のメタ−キシリレンジアミンの量を75gに変え、末端調整剤を無水フタル酸(101g)に変えた以外は参考例1と同様にして、原料ポリアミドC−2、ポリアミド樹脂B−2を得た。これらの相対粘度、末端構造を評価した結果を表1に示す。
参考例3:ポリアミド樹脂(B−3)の製造
30リットル耐圧反応器に、ポリアミドモノマーとしてε−カプロラクタム(10kg)、分子量調節剤として1,6−ヘキサンジアミン(82g)、水(1.0kg)を仕込み、撹拌しながら260℃に加熱し0.5MPaの圧力まで昇圧した。その後、常圧まで放圧し、260℃で3時間重合した。重合の終了した時点で反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してナイロン6樹脂ペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、乾燥して原料ポリアミドC−3を得た。原料ポリアミドC−3の相対粘度は2.7dl/gであり、末端アミノ基量は81マイクロ当量/g、末端カルボン酸基量は16マイクロ当量/gであり、全末端量における末端アミノ基の割合は84%であった。
このポリアミドC−3(5kg)を無水フタル酸(80g)とドライブレンドし、260℃の温度で2軸押出機を用いて反応混合させ、ストランド状に払い出して切断することにより、ポリアミド樹脂B−3を得た。ポリアミドB−4の相対粘度は2.6dl/gであり、末端アミノ基量、末端カルボン酸基量、末端フタルイミド基量はそれぞれ4マイクロ当量/g、20マイクロ当量/g、77マイクロ当量/gであり、全末端量における環状フタルイミド基の割合は76%であった。これらの結果を表1に示す。
実施例1
エチレン−ビニルアルコール系共重合体〔エチレン単位の含有量44モル%、ケン化度99.6%、メルトインデックス MI=2160g(190℃、荷重5.5g/10min)〕にポリアミド樹脂(B−1)を20重量%溶融混練し、口金温度260℃の条件で丸ノズルより吐出し、1000m/分の速度で加熱ローラーに巻き取り、次いで3000m/分の速度で直接延伸を行い、83デシテックス/24フィラメントのマルチフィラメントを得た。繊維化工程性は特に問題がなかった。次いで得られた繊維を用いて編物を作成し、下記の条件で染色および還元洗浄を行い、評価を行った結果、発色性、風合ともに良好であった(表1参照)。なお、紡糸の際の冷却風条件は温度20℃、湿度30%、吹き付け速度0.5/秒であった。
実施例2〜5
エチレンビニルアルコール共重合体(A)のエチレン単位の含有量ならびにポリアミド樹脂(B)の種類とその添加量を表2に示すように変更すること以外は実施例1と同様に繊維化、編成、染色処理を行った。いずれも、繊維化工程性に問題はなく、編物の風合は良好であった。
比較例1、2
ポリアミド樹脂(B)の添加量を表2に示すように変更すること以外は実施例1と同様に繊維化、編成、染色処理を行った。(B)の添加量が1重量%では繊維化に何ら問題はなかったが、エチレン−ビニルアルコール系共重合体との架橋反応が進行しないためか風合が硬いものであった。また、(B)の添加量が70重量%のものは、粘度低下が大きくなり、その結果、繊維化工程性が極めて悪く、得られた編物の風合もぬめり感の多いものであった。
比較例3、4
ポリアミド樹脂(B)の種類とその添加量を表2に示すように変更すること以外は実施例1と同様に繊維化、編成、染色処理を行った。繊維工程性は特に問題なかった。染色条件1で得られた編物の風合に関して何ら問題なかったが、より高温の染色条件2で得られた編物は風合が硬いものであった。
比較例5
ポリアミド樹脂(B)を末端調整されていない宇部ナイロン7024B(宇部興産(株)社製、アミン価47、末端イミド構造単位0%)に変更する以外は実施例1と同様に繊維化、編成、染色処理を行った。風合は良好であったが、これらは末端アミノ基が末端イミド構造を有しておらず、その結果として毛羽や断糸が多量に発生した。またフィルターの昇圧も急激に発生し、繊維化工程性に対して満足のいくものではなかった。
Figure 2005240191
Figure 2005240191
本発明の繊維は、繊維の製造工程通過性に優れ、さらに染色工程通過性、耐アイロン性等に優れ、さらに吸湿・吸水性、染色性、風合いに優れ、かつ耐熱水性に優れていることから、肌着、シャツ、ブラウス、子供服、スポーツ衣料、スポーツ靴、手袋、帽子、パジャマ、浴衣、シーツ、布団カバー、枕カバー、タオル等に最適である。

Claims (8)

  1. 繊維を構成する樹脂が、エチレン単位が25〜70モル%のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)と末端アミノ基の少なくとも一部が封鎖されているポリアミド樹脂(B)の混練物からなり、かつ(A):(B)の重量比が55:45〜90:10であることを特徴とする繊維。
  2. ポリアミド樹脂(B)が、全末端の30%以上がアミノ基と環状イミド結合を形成しうる構造単位で封鎖されている樹脂である請求項1記載の繊維。
  3. エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)成分中におけるポリアミド樹脂(B)の分散状態が島形状となっており、その一島の大きさが1nm〜300nmで、繊維断面方向に島数が10ケ/μm以上である請求項1または2に記載の繊維。
  4. ポリアミド樹脂(B)が、ナイロン6/12、ナイロン6及びナイロン6,6からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリアミド樹脂であり、かつ末端アミノ基の少なくとも一部が封鎖されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の繊維。
  5. ポリアミド樹脂(B)のアミノ基と形成された環状イミド結合の構造単位がフタルイミドもしくはコハクイミドである請求項2に記載の繊維。
  6. ポリアミド樹脂(B)が、炭素数4〜20のジアミン共存下で、カプロラクタムとラウリルラクタムのいずれか一方又は両方を主体とするポリアミド形成性モノマーを開環重合させて、全末端の75%以上がアミノ基であり、かつ相対粘度[ηr]が2.0〜7.0であるカプロアミドとラウリルアミドのいずれか一方又は両方を主体とするポリアミド樹脂(C)を一旦製造し、次いで末端アミノ基と環状イミド結合を形成しうる末端封鎖剤と反応させたものである請求項1に記載の繊維。
  7. 末端封鎖剤が環状酸無水物である請求項6記載の繊維。
  8. 環状酸無水物が無水フタル酸または無水コハク酸のいずれかである請求項7記載の繊維。
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