JP2005226070A - ガソリン組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガソリン基材が重質化した場合においても、自動車の良好な運転性(加速応答性、始動性)を維持することができるガソリン組成物を提供すること。
【解決手段】 (1)リサーチ法オクタン価が89〜96、(2)硫黄分が10質量ppm以下、(3)芳香族分が45容量%以下、(4)ベンゼンが1容量%以下、(5)オレフィン分が10〜30容量%であって、該オレフィン分のうち、炭素数8以上のオレフィン分が、ガソリン組成物基準で2〜30容量%、及び(6)70容量%留出温度が130℃以下で、90容量%留出温度が175℃以下、を満たすガソリン組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガソリン基材が重質化した場合においても、自動車の良好な運転性(加速応答性、始動性)を維持することができるガソリン組成物に関する。
従来から、ガソリン基材の生産量を上げる方法が種々検討され、その一つに、ガソリン基材を製造する際の分留時のカット温度を上げる方法がある。しかし、このカット温度を上げて得られたガソリン基材を配合したガソリン組成物は、蒸留性状が重質化し、自動車の運転性(加速応答性、始動性)が悪くなるという問題があった。また、自動車を冷機状態で始動した直後における炭化水素等の排出ガス組成に問題があった。このため、ガソリン基材の生産量を上げたことによってガソリン組成物が重質化した場合でも、十分な運転性を確保する必要があった。
一方、改質ガソリンは芳香族化合物の含有濃度が高く(通常、60容量%以上)、各芳香族成分に沸点差があるため、改質ガソリンを主基材として含むガソリン組成物は、分解ガソリンを主基材として含むガソリン組成物と比べて、蒸留性状が段階的なものとなる。このため、自動車の運転性(加速応答性、始動性)が悪くなるという問題があった。
従来、ガソリン組成物として、オレフィン分及びアセチレンの含有量を規定したガソリン組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)が、この組成物においては、オレフィン分及びアセチレンの合計含有量が50容量%以上であるため、酸化安定性に問題があった。
また、炭素数5〜8のオレフィン分の含有量が規定されたガソリン組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、このガソリン組成物においては、改質ガソリンを主基材とする場合、トルエンの沸点以上の留分の含有量が多くなる。このため、このガソリン組成物が重質化した場合、炭素数8以下のオレフィン分では、自動車の運転性を改善することができないという問題があった。
さらに、リサーチ法オクタン価、芳香族分の含有量、硫黄分の含有量、ベンゼン含有量などが規定されたガソリン組成物が開示されており(例えば、特許文献3参照)、高温や低温における運転性の評価を行っているが、70容量%留出温度121℃、90容量%留出温度160.5℃までの評価であり、さらに重質化したガソリン組成物についての評価は行われていない。
特開平6−200264号公報 特開平6−287576号公報 特開2000−73074号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ガソリン基材が重質化した場合においても、自動車の良好な運転性(加速応答性、始動性)を維持することができるガソリン組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の要件を満たすガソリン組成物により本発明の目的が達成されることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下のガソリン組成物を提供するものである。
1.(1)リサーチ法オクタン価が89〜96、(2)硫黄分が10質量ppm以下、(3)芳香族分が45容量%以下、(4)ベンゼンが1容量%以下、(5)オレフィン分が10〜30容量%であって、該オレフィン分のうち、炭素数8以上のオレフィン分が、ガソリン組成物基準で2〜30容量%、及び(6)70容量%留出温度が130℃以下で、90容量%留出温度が175℃以下、を満たすガソリン組成物。

2.芳香族分が35容量%以下である上記1に記載のガソリン組成物。

3.炭素数8以上のオレフィン分が、ガソリン組成物基準で2〜10容量%である上記1又は2に記載のガソリン組成物。
4.分解ガソリンを30〜90容量%含有する上記1〜3のいずれかに記載のガソリン組成物。
5.分解ガソリンのうち、沸点110℃以上の重質分解ガソリンの含有量が、ガソリン組成物基準で10〜40容量%である上記4に記載のガソリン組成物。
本発明によれば、ガソリン基材が重質化した場合においても、運転性(加速応答性、始動性)の良好なガソリン組成物を提供することができる。
本発明のガソリン組成物は、上記要件(1)〜(6)を満たすものである。すなわち、本発明のガソリン組成物において、リサーチ法オクタン価(以下、RONと略記することがある。)は89〜96であることを要し、好ましくは90〜96、より好ましくは92〜96である。RONが89以上であると、耐ノッキング性が良好となる。なお、RONは、JIS K 2280「オクタン価及びセタン価試験方法」に準拠して測定した値である。
本発明のガソリン組成物において、硫黄分は、ガソリン組成物基準で10質量ppm以下であることを要し、好ましくは8質量ppm以下である。硫黄分が10質量ppm以下であると、自動車の排出ガス低減を目的として使用している触媒の性能に悪影響を及ぼすことがないので、自動車の排出ガス中のCO、THC(全炭化水素)及びNOの濃度が低くなる。ここで、硫黄分は、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」に準拠して測定した値である。
本発明のガソリン組成物において、芳香族分は、ガソリン組成物基準で45容量%以下であることを要し、好ましくは40容量%以下、より好ましくは35容量%以下、さらに好ましくは30容量%以下である。芳香族分の含有量が45容量%以下であると、自動車の排出ガス中のCO及びTHCの排出量が増加しない。芳香族分の下限については特に制限はないが、通常0.1容量%程度である。ここで、芳香族分としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン及びエチルトルエンなどが挙げられる。発癌性の疑いのあるベンゼンの、自動車の排出ガス中の濃度を低減させる観点から、本発明においては、芳香族分のうちベンゼンの含有量が、ガソリン組成物基準で1容量%以下であることを要する。
本発明のガソリン組成物において、オレフィン分は、ガソリン組成物基準で10〜30容量%であることを要し、好ましくは10〜20容量%、より好ましくは10〜15容量%である。オレフィン分の含有量が10容量%以上であると、直噴車において、リーン燃焼時の失火がないなど運転性が良好となる。オレフィン分の含有量が30容量%以下であると、ガソリン組成物の組成から算出されるオゾン生成能が減少する。また、酸化安定性が良好となる。オレフィン分は基本的には分解ガソリンに由来するものであり、通常、炭素数4〜12のオレフィンである。オレフィンには、直鎖状、分岐鎖状、環状のものがあり、例えば、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−デセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−3−ヘプテン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、1−オクテン、2,3−ジメチル−3−ヘキセン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−エチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、1−ブテン及び3,3−ジメチル−1−ブテンなどを挙げることができる。
本発明のガソリン組成物においては、炭素数8以上のオレフィン分の含有量が、ガソリン組成物基準で2〜30容量%であることを要し、好ましく2〜10容量%、より好ましくは3〜10容量%、さらに好ましくは3〜5容量%である。炭素数8以上のオレフィン分の含有量が2容量%以上であると、自動車の運転性が向上する。また、30容量%以下であると、酸化安定性が良好となる。
なお、上記芳香族分及びオレフィン分は、JIS K 2536「石油製品−成分試験方法」に準拠して測定した値である。
本発明のガソリン組成物の蒸留性状は、70容量%留出温度(以下、T70と略記することがある。)が130℃以下で、90容量%留出温度(以下、T90と略記することがある。)が175℃以下であることを要し、好ましくはT70が105〜130℃、T90が120〜170℃である。T70が130℃以下であると、自動車の運転性が良好となり、T90が175℃以下であると、エンジンの加速性が良好となる。なお、T70及びT90は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験法」に準拠して測定した値である。
本発明のガソリン組成物は、上記(1)〜(6)の条件を満たすものであれば特に制限はないが、例えば次に示すガソリン基材を用いて、上記の条件を満たすように配合することにより、調製することができる。ガソリン基材としては、原油の常圧蒸留によるナフサ留分を分留して得られる軽質ナフサ、接触分解法などで得られる分解ガソリン、接触改質法などで得られる改質ガソリンからベンゼン留分を取り除いた残りの留分、オレフィンの重合により得られる重合ガソリン、イソブタンなどの炭化水素に低級オレフィンを付加することにより得られるアルキレートガソリン、直鎖の低級パラフィン系炭化水素の異性化によって得られるアイソメートガソリン、脱n−パラフィン油、及びこれらの特定範囲の留分や芳香族炭化水素、さらにはイソブチレンとメタノールを反応させて得られるメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、あるいはt−アミルメチルエーテル(TAME)、エチル−t−ブチルエーテル(ETBE)、t−アミルエチルエーテル(TAEE)、エタノール等の含酸素化合物などが挙げられる。
本発明のガソリン組成物には、さらに必要に応じて、各種の添加剤を適宜配合することができる。このような添加剤としては、例えば、フェノール系やアミン系などの酸化防止剤、シッフ型化合物やチオアミド型化合物などの金属不活性剤、有機リン系化合物などの表面着火防止剤、コハク酸イミド,ポリアルキルアミン,ポリエーテルアミンなどの清浄剤、多価アルコール及びエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属やアルカリ土類金属塩,高級アルコールの硫酸エステルなどの助燃剤、アニオン性界面活性剤,カチオン性界面活性剤,両性界面活性剤などの帯電防止剤、アルケニルこはく酸のエステルなどの錆止め剤、キリザニン,クマリンなどの識別剤、天然精油,合成香料などの着臭剤、アゾ染料などの着色剤など、公知の燃料油添加剤が挙げられ、これらの一種又は二種以上を添加することができる。また、これらの添加剤の添加量は状況に応じて適宜選定すればよいが、通常は添加剤の合計量としてガソリン組成物の0.1質量%以下とすることが望ましい。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例4
表1に示す組成及び蒸留性状を有する、脱硫軽質ナフサ(DLN)、分解ガソリン(FG)、軽質分解ガソリン(LFG)、アルキレート(ALK)、脱ベンゼン改質ガソリン(PGPZ)、炭素数8の芳香族分の混合物(C8MIX)、炭素数9を主体とする芳香族分(C9A)、炭素数10を主体とする芳香族分(C10A)、エチル−t−ブチルエーテル(ETBE)及び直鎖の低級パラフィン系炭化水素の異性化によって得られるアイソメートガソリン(Isomer)を混合し、表2に示す割合で含有するガソリン組成物を調製した。ここで、FGの蒸留性状は、蒸留初留点(IBP)が51.5℃、10容量%留出温度(T10)が63.5℃、30容量%留出温度(T30)が81.0℃、50容量%留出温度(T50)が96.5℃、T70及びT90は表1に示すように、それぞれ124.5℃及び166.5℃、蒸留終点(EP)が197.0℃ある。
各ガソリン組成物について下記の方法により運転性を評価した。結果を表2に示す。
<運転性の評価>
燃料供給システムがキャブレターである車両を用い、シャシーダイナモメーターにて評価した。加熱時間増加割合は、シャシーダイナモ室内温度を20℃として、下記(1) 及び(2) によりt及びtを測定し、これらの測定値により算出した。
(1) 水温及び油温度が20℃となるように車両を冷却した後、アクセル開度50%においてエンジン回転数が3000rpmになるまでアイドリングを断続的に行い、次に、水温50〜60℃においてアイドリングを行い、エンジン回転数が3000rpmに達するまでの時間(t)を測定した。
(2) 水温及び油温度が80℃となるように車両を暖めた後、アクセル開度50%による加速を行い、エンジン回転数が3000rpmに達するまでの時間(t)を測定した。
(3) 下記式により加速時間増加割合を求めた。
加速時間増加割合(%)=[(t−t)/(t)]×100
市販のレギュラーガソリンの加速時間増加割合(8%)と比較して、3%以上加速時間が増加した場合を、加速性が悪化したと判定した。
Figure 2005226070
Figure 2005226070
本発明のガソリン組成物は、内燃機関用燃料として好適である。

Claims (5)

  1. (1)リサーチ法オクタン価が89〜96、(2)硫黄分が10質量ppm以下、(3)芳香族分が45容量%以下、(4)ベンゼンが1容量%以下、(5)オレフィン分が10〜30容量%であって、該オレフィン分のうち、炭素数8以上のオレフィン分が、ガソリン組成物基準で2〜30容量%、及び(6)70容量%留出温度が130℃以下で、90容量%留出温度が175℃以下、を満たすガソリン組成物。
  2. 芳香族分が35容量%以下である請求項1に記載のガソリン組成物。
  3. 炭素数8以上のオレフィン分が、ガソリン組成物基準で2〜10容量%である請求項1又は2に記載のガソリン組成物。
  4. 分解ガソリンを30〜90容量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載のガソリン組成物。
  5. 分解ガソリンのうち、沸点110℃以上の重質分解ガソリンの含有量が、ガソリン組成物基準で10〜40容量%である請求項4に記載のガソリン組成物。
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