JP2009013348A - ガソリン基材及びそれを含有するガソリン組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭化水素油の接触分解又はナフサの熱分解によって得られる炭素数4の炭化水素留分を原料として用い、この原料についてジオレフィン類を除去する処理を行い、かつ該炭素数4の炭化水素留分中のイソブテンに重合反応を施し、該重合反応生成物を分留して得られる炭素数8のオレフィン留分をさらに水素化し、該オレフィンの少なくとも一部をイソパラフィンに変換した留分からなるガソリン基材、及び該基材を含有するガソリン組成物である。
【選択図】なし
Description
一般に、オレフィン分、特に炭素数が8以上のオレフィン分を多く含有すれば運転性能は向上することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、通常オレフィン分、特に炭素数が8以上のオレフィン分を多くすると、幾つかの弊害が生ずることがある。
例えば、この種のオレフィン分を多く含むガソリン基材である分解ガソリンを増量すると、それに伴って芳香族分も過度に増加する結果となり、運転性能が低下すると共に、ジオレフィン分も増加するためガソリンの安定性を悪化する。
すなわち、本発明は、
〔1〕炭化水素油の接触分解又はナフサの熱分解によって得られる炭素数4の炭化水素留分を原料として用い、この原料についてジオレフィン類を除去する処理を行い、ついで該炭素数4の炭化水素留分中のイソブテンに重合反応を施し、該重合反応生成物を分留して得られる炭素数8のオレフィンを主成分とする留分をさらに水素化し、該オレフィンの少なくとも一部をイソパラフィンに変換した留分からなるガソリン基材、
〔2〕炭素数4の炭化水素留分が、流動接触分解装置又はエチレン製造装置から得られるものである前記〔1〕に記載のガソリン基材、
〔3〕ガソリン基材中のイソパラフィンの含有量が、90容量%以上である前記〔1〕又は〔2〕に記載のガソリン基材、
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のガソリン基材を含有するガソリン組成物、
〔5〕ガソリン基材の含有量が2〜20容量%である前記〔4〕に記載のガソリン組成物、
〔6〕下記の(1)〜(7)の条件を満たす前記〔4〕又は〔5〕に記載のガソリン組成物、
(1)リサーチ法オクタン価が89〜102、(2)硫黄分が10質量ppm以下、(3)芳香族分が10〜45容量%、(4)ベンゼンが1.0容量%以下、(5)オレフィン分が10〜30容量%、(6)炭素数8以上のイソパラフィン分と炭素数8以上のオレフィン分の合計が2〜30容量%、(7)炭素数12以上のオレフィン分が0.5容量%以下
〔7〕未洗実在ガム量が20mg/100mL以下、洗浄実在ガム量が5mg/100mL以下である前記〔4〕〜〔6〕のいずれかに記載のガソリン組成物、
〔8〕70容量%留出温度が130℃以下で、90容量%留出温度が175℃以下である前記〔4〕〜〔7〕のいずれかに記載のガソリン組成物、
を提供するものである。
原料である前記炭化水素油の接触分解又はナフサの熱分解によって得られる炭素数4の炭化水素留分としては、通常流動接触分解装置又はエチレン製造装置から得られる炭素数4の炭化水素留分が好適に用いられる。
本発明においては、これら炭素数4の炭化水素留分中のジオレフィン類を除去する処理を行って得られたものを原料として用いる。
このようなジオレフィン類の除去処理を行うことによって、安定性を低下することなく、運転性能を高めるガソリン基材を得ることが容易になる。
このガソリン基材中の炭素数8のイソパラフィンと炭素数8のオレフィンの合計含有量は、90容量%以上であることが好ましく、さらに基材の配合効果を高める観点から、95容量%以上がより好ましく、98容量%以上がさらに好ましい。
また、この場合、ガソリン基材における炭素数8のイソパラフィンの含有割合は、80容量%以上が好ましく、90容量%以上がより好ましい。イソパラフィンの含有割合が80容量%以上であれば、運転性能を高め、かつ一層安定性を良好に保つ効果が得られる。
このようなガソリン基材は、通常硫黄分が10質量ppm以下であり、リサーチ法オクタン価が98〜102であり、ジオレフィン分が0.1容量%以下である。
流動接触分解装置又はエチレン製造装置から得られる炭素数4の炭化水素留分を原料とし、(A)該炭素数4の炭化水素留分中のブタジエン等のジオレフィンを水素化して除去する工程、(B)該炭素数4の炭化水素留分中のイソブテンを重合し、イソブテンの2量体である炭素数8のオレフィンを主成分とする重合反応生成物を得る工程、(C)該重合反応生成物を分留して炭素数8のオレフィンを主成分とする留分を得る工程、及び(D)該炭素数8のオレフィンを主成分とする留分を水素化して少なくとも一部をイソパラフィンに変換する工程、からなるガソリン基材の製造方法である。
該ガソリン基材の含有割合は、任意であるが組成物全量基準で2〜20容量%が好ましく、3〜18容量%がより好ましい。本発明のガソリン基材の含有割合が2容量%以上であれば、運転性能、特に重質化したガソリンにおける運転性能を高める効果が認められる。一方、該ガソリン基材の含有割合が20容量%以下であればガソリン組成物の安定性に悪影響を与える恐れもない。
(1)リサーチ法オクタン価(RON)が89以上であることが好ましい。RONが89以上であれば、ノッキングを生ずるなど運転性能が低下する恐れがない。RONの上限値については特に制限はないが、通常およそ102である。但し、レギュラーガソリンの場合は、RONは89〜96であることが好ましい。
なお、このリサーチ法オクタン価は、JIS K 2280により測定した値である。
(2)硫黄分が、10質量ppm以下であることが好ましく、5質量ppm以下であることがより好ましく、2質量ppm以下であることが特に好ましい。硫黄分が10質量ppm以下であれば、排ガス中のSOxの増加を抑えるとともに、直接噴射式ガソリンエンジンで使用されるNOX触媒のSOX被毒を抑制することができる。
なお、硫黄分の含有量はJIS K 2541の微量電量滴定式酸化法に従って測定した値である。
(4)ベンゼン含有量は1.0容量%以下が好ましく、0.5容量%以下がより好ましい。ベンゼン含有量が1.0容量%以下の場合、排気ガス中のベンゼン含有量が少なく、環境汚染を抑制できる。また、ガソリン自体が人体に悪影響を及ぼす恐れもない。
上記炭素数8以上のオレフィン分と炭素数8以上のイソパラフィン分の合計が2容量%以上であれば、運転性能の向上効果が良好に図られ、それが30容量%以下であり、かつ炭素数12以上のオレフィンが0.5容量%以下であれば安定性も良好に保つことができる。
なお、上記芳香族分、ベンゼン含有量、オレフィン分、炭素数8以上のイソパラフィン分、炭素数8以上のオレフィン分、炭素数12以上のオレフィン分及びジオレフィン分は、JIS K 2536‐2「石油製品−成分試験方法」のガスクロマトグラフによる全成分分析法よって測定した値である。
70%留出温度(T70):135℃以下(110〜130℃)
90%留出温度(T90):175℃以下(140〜165℃)
T70及びT90が上記の範囲にあれば、加速性など運転性能を良好に保ち、また燃費を悪化させることもない。
なお、上記T70及びT90は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」の常圧蒸留試験法に基づいて測定した蒸留性状から求めた値である。
また、改質ガソリン中のベンゼンの低減方法としては、通常改質ガソリンからベンゼン留分を蒸留によって取り除く方法が用いられるが、その他の方法、例えばベンゼン留分を溶剤で抽出して取り除く方法、ベンゼンと低級オレフィンや低級アルコールを用いてアルキル化する方法などによっても得ることができる。
(1)炭素数8以上のイソパラフィン
+炭素数8以上のオレフィン留分 2〜20容量%(2〜15容量%)
(2)脱ベンゼン改質ガソリン 0〜60容量%(10〜60容量%)
(3)分解ガソリン 0〜60容量%(10〜60容量%)
(4)軽質分解ガソリン 0〜55容量%(0〜40容量%)
(5)アルキレート 0〜60容量%(0〜30容量%)
(6)脱硫軽質ナフサ 0〜30容量%(0〜20容量%)
(7)ブタン、LPG 0〜15容量%(0〜10容量%)
(8)EtOH又はETBE 0〜15容量%(3〜10容量%)
また、酸化安定性については、誘導期間で表した場合、400分以上であることが好ましい。なお、ここでいう誘導期間とは、JIS K 2287「ガソリン−酸化安定度試験方法−誘導期間法」によって測定した値である。
本発明のガソリン組成物は、上記の性状を有するものであり、運転性能が高い上、安定性が良好である。
なお、各例における性状及び性能は、下記の方法に従って測定した。
(1)RON、硫黄分、芳香族分、ベンゼン含有量、オレフィン分、炭素数8以上のオレフィン分、炭素数8以上のイソパラフィン分、炭素数12以上のオレフィン分、ジオレフィン分、蒸留性状、実在ガム、並びに酸化安定性は、明細書本文に記載した方法に従って実施した。
JIS K 2258に準拠して測定した。
(3)酸化安定性(誘導期間法)
JIS K 2287に準拠して測定した。
(4)加速応答指数
キャブレター型エンジンの車両を用い、シャシーダイナモメーターで、加速性能を評価した。具体的測定方法は、シャシーダイナモ室内温度を20℃として、下記(a) 及び(b) によりt1及びt2を測定し、その測定値を用いて(c)によって加速性能(加速応答指数)を算出した。
(a) 水温及び油温度が20℃となるように車両を冷却した後、アクセル開度50%においてエンジン回転数が3000rpmになるまでアイドリングを断続的に行い、次に、水温50〜60℃においてアイドリングを行い、エンジン回転数が3000rpmに達するまでの時間(t1)を測定した。
(b) 水温及び油温度が80℃となるように車両を暖めた後、アクセル開度50%による加速を行い、エンジン回転数が3000rpmに達するまでの時間(t2)を測定した。
(c) 下記式により加速応答指数を求めた。
加速応答指数が小さいガソリンほど、加速性能が良好なガソリンである。
加速応答指数(−)=[(t1 −t2 )/(t2)]×100
第1表に示したガソリン基材を用いて、第2表に示す割合で混合してガソリン組成物を調製した。その性状・組成及び性能を第2表に示す。
但し、第2表のガソリン組成物には、いずれも酸化防止剤(商品名「スミライザーBPA−M1」,住友化学工業製)が8質量ppm配合されている。
また、実施例6のガソリン組成物には、さらに清浄剤(商品名「Keropur AP95」、BASF社製)を100質量ppm配合されている。
なお、第1表中、PGPZは脱ベンゼン改質ガソリン、DFGは脱硫分解ガソリン、LFGは軽質分解ガソリン、DLNは脱硫軽質ナフサ、EtOHはエタノール、ETBEはエチルターシャリーブチルエーテルを表す。
1)炭素数8のオレフィン留分の水素化処理生成物、イソパラフィン分=99.9容量%
2)炭素数8のオレフィンを主成分とする留分
3)炭素数12のオレフィンを主成分とする留分
Claims (8)
- 炭化水素油の接触分解又はナフサの熱分解によって得られる炭素数4の炭化水素留分を原料として用い、この原料についてジオレフィン類を除去する処理を行い、ついで該炭素数4の炭化水素留分中のイソブテンに重合反応を施し、該重合反応生成物を分留して得られる炭素数8のオレフィンを主成分とする留分をさらに水素化し、オレフィンの少なくとも一部をイソパラフィンに変換した留分からなるガソリン基材。
- 炭素数4の炭化水素留分が、流動接触分解装置又はエチレン製造装置から得られるものである請求項1に記載のガソリン基材。
- ガソリン基材中のイソパラフィンの含有量が、90容量%以上である請求項1又は2に記載のガソリン基材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のガソリン基材を含有するガソリン組成物。
- ガソリン基材の含有量が2〜20容量%である請求項4に記載のガソリン組成物。
- 下記の(1)〜(7)の条件を満たす請求項4又は5に記載のガソリン組成物。
(1)リサーチ法オクタン価が89〜102、(2)硫黄分が10質量ppm以下、(3)芳香族分が10〜45容量%、(4)ベンゼンが1.0容量%以下、(5)オレフィン分が10〜30容量%、(6)炭素数8以上のイソパラフィン分と炭素数8以上のオレフィン分の合計が2〜30容量%、(7)炭素数12以上のオレフィン分が0.5容量%以下。 - 未洗実在ガム量が20mg/100mL以下、洗浄実在ガム量が5mg/100mL以下である請求項4〜6のいずれかに記載のガソリン組成物。
- 70容量%留出温度が130℃以下で、90容量%留出温度が175℃以下である請求項4〜7のいずれかに記載のガソリン組成物。
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