JP4659380B2 - ガソリン組成物 - Google Patents
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ガソリンの生産量を上げる方法の一つに、石油化学の各種ラフィネート留分をガソリン基材として使用する方法がある。中でも、エチレン装置から留出する分解ガソリンの炭素数5の炭化水素留分が、高性能ガソリンの基材として利用できる可能性があると考えられている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このような留分はオレフィン分やジエン類を多く含むため、ガム分や過酸化物を生成してエンジン清浄性を悪化させる可能性があり、また、自動車の燃料系統などに使用されるゴム部材に亀裂を生じさせる恐れもあるため、高性能ガソリン基材として実用化するには問題がある。
一方、ガソリンは、自動車の排気ガスによる環境汚染が大きな社会問題とされ、従来からの課題である運転性能の向上とともに、排気ガスに含まれる有害物質を低減する、いわゆる環境対応型ガソリンの開発が集中的になされている。その結果、排気ガス中のSOxの増加を防止するとともに、有害物質を除去する三元触媒の活性を維持するためにガソリン中の硫黄分を極度に低減し、また、排気ガス中のベンゼンの発生を抑制するためにガソリン中の芳香族分やベンゼンを低減するなどによって環境汚染を低減し、さらにその上で、ガソリンの蒸留性状を制御することによって運転性能も改良がなされている(例えば、特許文献2〜4参照)。
〔1〕 ナフサを熱分解してエチレンを製造する際に生成する分解油を水素化して得られる留分であって、炭素数5の炭化水素を50容量%以上含み、析出点が0℃以下、かつ90%留出温度が100℃以下である留分を基材として配合してなるガソリン組成物、
〔2〕 以下の(1)〜(9)の条件を満たす前記〔1〕に記載のガソリン組成物。
(1)リサーチ法オクタン価が89以上
(2)硫黄含有量が30質量ppm以下
(3)芳香族分が35容量%以下
(4)オレフィン分が10〜30容量%
(5)ベンゼン含有量が1容量%以下
(6)ジエン分含有量が1.5質量%以下
(7)シクロペンタジエン含有量が0.1質量%以下
(8)70%留出温度が130℃以下
(9)90%留出温度が180℃以下
を提供するものである。
このような基材は、原油を常圧蒸留して得られるナフサ留分を、通常のいわゆるナフサ分解法によって、エチレン等を含む分解ガスとともに生成する分解油を利用する。すなわち、この分解油から蒸留、抽出などによって得られる炭素数5の炭化水素を主成分とする留分を得て、次いでこの留分を水素化することによって得ることができる。
これら分留、抽出、水素化などの条件は、下記の本発明の基材が有すべき条件に合わせて適宜選択すればよい。
まず本発明の基材は、炭素数5の炭化水素を50容量%以上、好ましくは70容量%以上、特に好ましくは90容量%以上含むものである。炭素数5の炭化水素はガソリンの実体を構成する基本的構成要素だからである。
また、本発明の基材は、析出点が0℃以下、好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−65℃以下のものである。さらに本発明の基材は、90%留出温度(T90)が100℃以下、好ましくは80℃以下、特に好ましくは50℃以下である。基材の析出点が0℃以下であって、T90が100℃以下であれば、基材中のシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン及びそれらの水素化物などの含有量が少なく、酸化安定性、及び清浄性が良好な基材となる。
なお、析出点は、JIS K 2276(析出点試験法)に基づいて測定した値であり、T90はJIS K 2254に基づいて測定した蒸留性状から求めた値である。
RON 80〜94
蒸留範囲 30〜110℃
芳香族分 0〜5容量%
オレフィン分 20〜50容量%
ベンゼン含有量 0〜2容量%
硫黄含有量 0〜30質量ppm
ジエン含有量 0〜5容量%
シクロペンタジエン含有量0〜5容量%
本発明における上記基材の配合量については、特に制限はなく任意に選択できるが、通常ガソリン組成物を基準にして0.1〜30容量%であるのが好ましく、さらには、
0.1〜10容量%が好ましい。この基材の配合割合が、ガソリン組成物を基準にして0.1〜30容量%であれば、ガソリンの増産効果を達成でき、しかもベーパロックなどの発生による運転性能が悪化する恐れもない。
(1)本発明のガソリン組成物は、リサーチ法オクタン価(RON)が89以上であることが好ましくい。RONが89以上であれば、ノッキングを生ずるなど運転性能が低下する恐れがない。一方、RONの上限値については特に制限はないが、通常およそ95である。なお、このリサーチ法オクタン価は、JIS K 2280により測定した値である。
なお、ベンゼン含有量は、JIS K 2536「石油製品成分試験方法」のガスクロマトグラフィーによる全成分試験方法によって測定した値である。
(7)本発明のガソリン組成物は、シクロペンタジエン含有量が0.1質量%以下であることが好ましい。シクロペンタジエン含有量が0.1質量%以下であればガム分を抑制することができ、エンジン清浄性、酸化安定性が良好に保たれる。
なお、ジエン分、及びシクロペンタジエン含有量は、JIS K 2536「石油製品成分試験方法」によって測定した値である。
(8)本発明のガソリン組成物は、70%留出温度(T70)が130℃以下であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましい。T70が130℃以下であれば良好な運転性能が保たれる。
本発明の良好な態様としてのガソリン組成物は、上記(1)〜(9)の各条件を満たしていれば、環境汚染を低減し、運転性能を向上する効果を確保した上で、酸化安定性や清浄性に優れたガソリンが得られが、本発明のガソリン組成物は、通常さらに次の性状を有することがより好ましい。すなわち、モータ法オクタン価(MON)が80以上、さらに好ましくは81以上である。MONが80以上であれば高速においてノッキングを生ずるおそれがなく、運転性能に影響を及ぼすことがない。一方、MONの上限値については特に制限はないが、通常およそ85である。
また、リード蒸気圧(RVP)が44〜93kPaであることが好ましい。RVPが44〜93kPaであれば、十分な低温始動性が得られ、またベーパロック現象により運転性能の低下をまねく恐れはない。
上記改質ガソリン中のベンゼン低減方法としては、通常改質ガソリンからベンゼン留分を蒸留によって取り除く方法が用いられるが、その他の方法、例えばベンゼン留分を溶剤で抽出して取り除く方法、ベンゼンと低級オレフィンや低級アルコールを用いてアルキル化する方法などによっても得ることができる。
(i) 本発明の基材 0.1〜30容量%
(ii)脱ベンゼン改質ガソリン0〜90容量%
(iii)分解ガソリン 10〜90容量%
(iv)軽質分解ガソリン0〜50容量%
(v)アルキレート 0〜40容量%
(vi)軽質ナフサ 0〜20容量%
(vii)ブタン 0〜10容量%
(viii)含酸素化合物 0〜30容量%
を上記(1)〜(9)の条件を満たすように調製すればよい。
〔ガソリン組成物の性状〕
・リサーチ法オクタン価
JIS K 2280に準拠して測定した。
・硫黄分
JIS K 2541の微量電量滴定酸化法によって測定した。
・芳香族分、オレフィン分
JIS K 2536に準拠して測定した。
・ベンゼン、各沸点範囲の成分分析
これらについては、JIS K 2536「石油製品成分試験方法」ガスクロマトグラフィーによる全成分試験法により測定した。
・蒸留性状
JIS K 2541により測定した。
・酸化安定性
JIS K 2287により測定した。
・実在ガム
JIS K 2261により測定した。
・過酸化物価
ASTM D 1022−76により測定した。
・析出点
JIS K 2276により測定した。
エンジン清浄性の評価方法
JASO M 352−98「自動車用ガソリン機関―吸気系清浄剤による燃焼室デポジットへの影響性試験法」に準拠して、エンジンを運転し、運転後に吸気弁に付着したデポジット(IVD)と燃焼室に堆積したデポジット(CCD)を測定した。
第1表に示した基材1〜基材5及びブタン留分を用いて、第2表に示す割合で混合して、実施例及び比較例のガソリン組成物を調製し、その性状・組成及び性能を測定した。その結果を第2表に示す。
Claims (1)
- ナフサを熱分解してエチレンを製造する際に生成する分解油を水素化して得られる留分であって、炭素数5の炭化水素を70容量%以上含み、析出点が0℃以下、かつ90%留出温度が50℃以下である留分を基材として配合してなり、以下の(1)〜(9)の条件
(1)リサーチ法オクタン価が89以上
(2)硫黄含有量が30質量ppm以下
(3)芳香族分が35容量%以下
(4)オレフィン分が10〜30容量%
(5)ベンゼン含有量が1容量%以下
(6)ジエン分含有量が1.5質量%以下
(7)シクロペンタジエン含有量が0.1質量%以下
(8)70%留出温度が130℃以下
(9)90%留出温度が180℃以下」
を満たすガソリン組成物であって、前記基材が、下記性状
RON 80〜94
蒸留範囲 30〜110℃
芳香族分 0〜5容量%
オレフィン分 20〜50容量%
ベンゼン含有量 0〜2容量%
硫黄含有量 0〜30質量ppm
ジエン含有量 0〜5容量%
シクロペンタジエン含有量0〜5容量%
を有するガソリン組成物。
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