JP2005213662A - ソフトストレッチ弾性編地及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 伸長性と伸長回復性とがともに優れた薄地のソフトストレッチ弾性編地を提供すること、特に、天然繊維糸と弾性繊維糸で編成した薄地弾性編地や染色した弾性編地の場合でも優れたソフトストレッチ性及び優れた回復性を有し、特にインナーウェアやスポーツウェア等の用途に好適なソフトストレッチ弾性編地を提供する。
【解決手段】 弾性糸および非弾性糸から編成され、弾性糸による編み目が形成された弾性編地であって、伸長時のヒステリシス曲線の0〜80%の積分値S1が、タテ方向・ヨコ方向共に7500 %・CN以下であり、かつ、ヒステリシスロス率が、タテ方向・ヨコ方向共に25%以下であるソフトストレッチ弾性編地である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、弾性糸および非弾性糸から編成され、弾性糸が編み目を形成する弾性編地であって、軽い力での伸長が可能な良好な伸長性と伸長後の生地がほぼ元に戻るという良好な伸長回復性を同時に兼ね備えた薄地のソフトストレッチ弾性編地に関するものである。
従来から、弾性糸及び非弾性糸で編成され、伸長性および伸長回復性を有する弾性編地は、インナーウェアやスポーツウェア、あるいはアウターウェアなどの衣服に用いられてきており、それらウェア用途に適した優れたストレッチ性を得るための検討がされてきている。
例えば、特許文献1には、上記用途に適したソフトストレッチ性布帛を得る方法として、弾性糸にあらかじめ250%以上の伸長を与え次に収縮回復させる伸長回復処理を施した後に編機に供給して編成することが記載されている。しかし、この方法では、大きな手間とコストが必要であるという問題がある。また、ポリウレタン弾性糸が編み目構造を多数構成している丸編やトリコットの弾性編地においては、優れた伸長回復力を編み組織で発現させるのは難しいので、上記した前処理方法は有効な手段と考えられるが、特に整経工程の無い丸編においてはこのような処理を行うのは難しいという問題がある。
また、着用感に優れた弾性編地を製造するために、特定のポリアルキレンエーテルジオールを用いて重合されたポリウレタンの弾性糸を用いることが特許文献2で提案されている。しかし、この方法でも、特に天然繊維糸と弾性繊維糸で編成した薄地染色弾性編地の場合には、軽い力で伸長しかつ十分に伸長回復するというソフトストレッチ性を達成することは困難であった。
特許3000444号公報 特許2733321号公報
そこで本発明は、前記した従来方法によらないで製造され、伸長性と伸長回復性とがともに優れた薄地のソフトストレッチ弾性編地を提供すること、特に、天然繊維糸と弾性繊維糸で編成した薄地弾性編地や染色した弾性編地の場合でも優れたソフトストレッチ性及び優れた回復性を有する弾性編地を提供することを目的とする。
本発明の弾性編地は、前記目的を達成するため、次の事項でもって特定される。
弾性糸および非弾性糸から編成され、弾性糸による編み目が形成された弾性編地であって、伸長時のヒステリシス曲線の0〜80%の積分値S1が、タテ方向・ヨコ方向共に7500 %・CN以下であり、かつ、ヒステリシスロス率が、タテ方向・ヨコ方向共に25%以下であるソフトストレッチ弾性編地である。
このソフトストレッチ弾性編地は、弾性糸として特定のポリウレタン弾性糸を用い、被弾性糸の編み目が従来よりも大きくなるような特殊な編成条件をとることによって製造することができるものである。即ち、弾性糸として、ポリオール、ジイソシアネート及び鎖伸長剤から重合されたポリウレタンの弾性糸であって、ポリオールがテトラヒドロフランと3−アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールであり、かつ、鎖伸長剤がアルキル基の側鎖を持つジアミンであるポリウレタン弾性糸を用い、また、非弾性糸による編み目の編目長が、その理論編目長より25%以上長くなるような条件で編成を行うことにより製造できるものである。
本発明の弾性編地は、軽い力で十分に伸長するというソフトストレッチ性と、伸長後の生地がほぼ元に戻るという良好な伸長回復性を同時に兼ね備えたものであり、この優れた伸縮特性を、薄地の染色弾性編地であっても、天然繊維糸と弾性繊維糸とで編成された弾性編地であっても、備えることができる。従って、本発明のソフトストレッチ性及び伸長回復性に優れた弾性編地を用いると、軽く、着用時の突っ張り感が無く、適度なフィット感で体の動きに容易に追従でき、さらには着崩れを起こさないウェア類、例えば、インナーウェアやスポーツウェアなどを製造することができる。
本発明の弾性編地はタテ・ヨコ両方向に伸長性及び伸長回復性が優れているので、着脱容易性や運動追従性に優れたウェアとすることができ、商品のサイズを小さくすることもでき、機能はもちろん意匠性やコスト面からもインナーウェア、スポーツウェアに好適である。
また、本発明法によると、編成前に弾性糸を伸長回復処理する必要がないので、製造コスト面でもすぐれている。
さらにまた、本発明によると、綿糸を交編させても、伸長性及び回復性がともに優れた編地とすることができるので、窮屈感無く体型補正機能やサポート機能を発現できる下着類を製造することができる。
以下、本発明の弾性編地について、さらに詳細に述べる。
本発明の弾性編地においては、構成する弾性糸が、ポリオール、ジイソシアネート及び鎖伸長剤から重合されたポリウレタンの弾性糸であって、ポリオール成分がテトラヒドロフランと3−アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールであり、かつ、ポリウレタン弾性糸の鎖伸長剤がアルキル基の側鎖を持つジアミンであるポリウレタン弾性糸であることが好ましい。
ポリウレタン弾性糸のポリオール成分にテトラヒドロフランと3−アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールを用いると伸長性及び伸長回復性がともに優れた高伸縮性弾性糸が製造できる。このコポリエーテルポリオールとジイソシアネートと鎖伸長剤とからのポリウレタンを用い、100dtex以下の細繊度糸を製造する場合には、鎖伸長剤としてアルキル基の側鎖をもつジアミンを用いることが必要である。即ち、上記コポリエーテルポリオールをポリオール成分として重合されたポリウレタンから物性、紡糸性に優れた細繊度(100dtex以下)のポリウレタン弾性糸を製造するためには上記した特定のジアミンを鎖伸長剤とすることが必要であり、エチレンジアミンのような他のジアミンを用いるのでは、物性、紡糸性に優れた細繊度のポリウレタン弾性糸を製造することは困難である。
さらに、この原糸を用いることで初めて、軽い力で伸長が可能な伸長性と、伸長後の生地がほぼ元に戻るという良好な伸長回復性とを同時に兼ね備えた薄地の弾性編地を製造することが可能になる。
また、このように繊度が細い高伸縮性弾性糸が得られたことにより初めて丸編やトリコットの薄地編物での編み糸として弾性糸が使用可能となった。これに対し、従来の繊度の太い高伸縮性弾性糸をトリコットや丸編のような編み目を形成する編地の編成に用いた場合、テンションが高く生地が突き上げるために編成が難しく、例え編成できても生地が分厚くなりインナーウェアやスポーツウェアなどに適した薄地弾性編地は製造できなかった。
鎖伸長剤として用いるアルキル基の側鎖をもつジアミンとしては、1,2−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、1,3,−ジアミノ−2,2−ジメチルブタン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルブタン、2,4−ジアミノ−1−メチルシクロヘキサンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)フォスフィンオキシド、ヘキサメチレンジアミン、1,3−シクロヘキシルジアミン、1,4−シクロヘキシルジアミンなどを挙げることができ、この中から選択して用いることができる。また上記のジアミンは、単独で用いても、エチレンジアミンや1,3−プロパンジアミンのようなアルキル基の側鎖を持たないジアミンと組み合わせて用いてもよい。
このポリウレタン弾性繊維は、前述した伸縮特性の他に、優れた熱セット性と適度な耐熱性をも有する。その結果、熱による応力低下が少なく、100dtexという細い繊度でも染色加工後の生地で優れた伸長性や伸長回復性を発現することが可能である。即ち、染色工程では、熱セット温度(染色工程中施される熱セット工程のうち一番高い温度をいう。)として、乾熱セットの場合は160℃以上200℃以下、スチームセットの場合は100℃以上130℃以下という温度が採られるが、上記ポリウレタン弾性繊維を用いた編地の場合、これら熱セット温度を経ても応力低下を生じず、優れた伸長性や伸長回復性を示す染色弾性編地とすることでできる。これに対し、従来の弾性糸は熱セット性と適度な耐熱性が共存しなかったため、熱セットが効く温度領域で応力低下が大きく、染色弾性編地では、原糸段階での優れた伸長性や伸縮回復性を発揮することが困難であった。
本発明の弾性編地は、弾性糸及び非弾性糸から編成されたものであり、その弾性糸の一部もしくは全部が上記ポリウレタン弾性糸で構成されることが好ましい。即ち、編地を構成する弾性糸の編み糸のうちの一部又は全部が前記ポリウレタン弾性糸からなる編み糸であってもよいし、その編み糸が前記ポリウレタン弾性糸と他の繊維とからなる加工糸であってもよい。加工糸の形態としては特に制限無く、シングルカバードヤーン(SCY)やダブルカバードヤーン(DCY)などのカバリング糸でも良いし、混繊糸や交絡糸、撚糸、コアスパンヤーン(CSY)でもよい。ただし、軽い力で十分に伸長できるという上記ポリウレタン弾性糸の特性が生かされる形態の加工糸である。
また、弾性糸とともに編成に用いられる非弾性糸は、実質的に非弾性であれば特に限定されず、例えば、通常のナイロン糸、ポリエステル糸のような合成繊維フィラメント糸であってもよいし、綿糸、羊毛糸、麻糸のような天然繊維からなる紡績糸であってもよいし、また、合成繊維と天然繊維からなるコアスパン糸であってもよい。薄地インナーウェア等の用途に好適に使用されるためには少なくとも糸表面が天然繊維からなる非弾性糸であることが好ましい。
本発明の弾性編地は、弾性糸による編み目が形成されたものであるならば、丸編のようなヨコ編でもよいし、また、トリコットのような経編でもよい。
弾性編地における編組織は特に限定はされず、インナーウェアやスポーツウェアなどに用いられる編組織であればよい。例えば、丸編地の編組織としては、例えば、一般に用いられる天竺、スムース,フライス、かのこ、ハニカム、モックミラノ、ポンチローマ、ピケ、パイルなどの編組織を使用することが出来る。なかでも、通常の天竺やスムース、フライスなどの組織が生地が伸びやすいので好ましい。なお、使用する編機も特に限定されることなく、シングル編機、ダブル編機ともに用いることができる。
本発明の弾性編地は、薄地であって、軽い応力で高い伸長率を示すものの、応力が除かれた際にはほぼ完全に元に長さに戻るという、従来の弾性編地にはない優れたストレッチ特性を有する。
本発明の弾性編地の優れたストレッチ特性は、伸長時のヒステリシス曲線の0〜80%の積分値S1がタテ方向・ヨコ方向共に7500 %・CN以下であり、かつ、ヒステリシスロス率が、タテ方向・ヨコ方向共に25%以下であることによって表すことができる。これら物性値は、JIS L1018に準じて測定される定荷重伸長率と応力・歪み曲線から求められるものである。すなわち、幅2.5cm×長さ16cmの編地試料をタテ・ヨコ両方向にそれぞれ作成し、引張り試験機につかみ間隔10cmでセットする。定荷重伸長率はこの試料に22.1Nの加重をかけたときの伸長率値であり、%で表す。応力・歪み曲線は、この試料を伸長速度30cm/minで80%まで伸長し、次いで同じ速度で元の位置まで戻す操作を3回繰り返し、そのときの応力を記録したものである。図1は3サイクル目の伸長時と回復時の応力・歪み曲線(ヒステリシス曲線ともいう。)を例示したものであり、本発明において伸長時のヒステリシス曲線の0〜80%の積分値S1、ヒステリシスロス率、及びフラット定数を求める際には、この3サイクル目のヒステリシス曲線を用いる。
弾性編地を伸ばす際のソフトさは、伸長時のヒステリシス曲線の積分値S1でもって表すことができ、その積分値S1が小さいほど、伸びがソフトである。即ち、弾性編地製のウェアを着用する際に生地を伸ばすために必要な仕事量は、図1の伸長時の応力・歪み曲線の積分値に相当し、同条件で同じ長さを引っ張る時にはこの積分値S1が小さいほど生地を伸ばすときに必要な力が小さくてすむものである。この伸長時の曲線の積分値S1[%・CN]は、その伸長曲線の伸度0%〜80%を積分することによって求めることができる。また、この積分値S1[%・CN]は、台形公式により誘導された下記式(1)によって近似的に求めることができる。
Figure 2005213662
ここで、f(x)は、伸度x%の時の応力値(CN)であり、伸度0%の時の応力値[f(0)]=0とし、伸度10%から伸度80%まで10%毎に測定した応力値を用いる。
一方、生地の伸長を元に戻すとき(回復時)に生地がする仕事量は、図1の回復時の曲線の積分値に相当し、この回復曲線の積分値S2[%・CN]は、その回復曲線の伸度0%〜80%を積分することによって求めることができる。また、この積分値S2[%・CN]は、下記式(2)によって近似的に求めることが出来る。
Figure 2005213662
ここで、g(x)は、伸度x%の時の応力値(CN)であり、伸度0%の時の応力値[g(0)]=0とし、伸度10%から伸度80%まで10%毎に測定した応力値を用いる。
図1において伸長曲線と回復曲線とによって囲まれた部分の面積(S1−S2)がヒステリシスロスであり、このヒステリシスロスが小さいほど生地の回復性が優れているといえる。このヒステリシスロスは下記式(3)のヒステリシスロス率で表され、回復性を示す指標として用いられる。
ヒステリシスロス率(%)=[(S1−S2)/S1]×100 ・・(3)
本発明によるソフトストレッチ弾性編地は、タテ方向・ヨコ方向共に、伸長曲線の積分値S1が7500[%・CN]以下であり、より好ましくは6500[%・CN]以下である。しかもヒステリシスロス率がタテ方向・ヨコ方向共に25%以下である。従って、着用時に軽い応力で高い伸長率を示し着用し易く、しかも、応力が除かれた際にはほぼ完全に元に長さに戻るという優れた回復性を示すウェアとすることができ、着用時に突っ張り感のないインナーウェアやスポーツウェアなどに好適なソフトストレッチ弾性編地である。
弾性糸および非弾性糸から編成される弾性編地において、伸長曲線の積分値S1を小さくし、かつヒステリシスロス率も小さくすることは、小さな応力で伸びる伸長性と優れた回復性とを有する弾性糸を用いるという手段だけでは達成が難しく、編地の編成条件を工夫し、よく伸びる編み設計とすることが必要である。
まず、弾性糸および非弾性糸から編成される従来の弾性編地よりも生地の伸びを高めることが必要である。そのためには、非弾性糸の編み目をある程度大きくすることが有効であり、場合によってはゲージを粗くすることで十分な伸長性を確保することもできる。
丸編や経編等の編地における非弾性糸の編み目の編目長は、ShinnやPetaの理論、又はGrosbergの理論により適切な編目長を計算にて求めることが出来(社団法人日本繊維機械学会が発行した「基礎繊維工学」の記載を参照)、この計算による編目長を理論編目長という。例えば、丸編でタック、ウェルトの無い編み組織ならば、次式(4)により理論編目長(L)を計算できる。
L=(16.64n−2.08m)・d ・・(4)
ここで、Lは、編み目の理論編目長[inch]であり、dは編み糸の直径[inch]であり、nは天竺編目の数であり、また、mはラッピングの数である。
なお、天竺組織の場合は、上式において、n=1,m=0であるので、下記の(5)式により理論編目長(L)を求めることができ、また、フライス組織の場合は、n=2,m=2であるので、下記の(6)式にて理論編目長(L)を求めることが出来る。
L=16.64・d ・・(5)
L=29.12・d ・・(6)
ここで、Lは、編み目の理論編目長[inch]であり、dは編み糸の直径[inch]である。
また、経編地の場合については、同様に、Grosbergのモデルにより理論編目長を計算によって求めることができる。
弾性糸および非弾性糸から編成される弾性編地において、従来にない伸長性を出すためには、非弾性糸の編み目の編目長を、上記した理論編目長よりも25%以上長い編目長とすることが有効であり、好ましくは35%以上、さらに好ましくは45%以上長くすることが有効である。
また、伸長曲線の積分値S1を小さくするためには、弾性糸の糸条繊度は細い方が好ましく、弾性糸の編み糸の繊度は100dtex以下が好ましく、さらに望ましくは80dtex以下である。
さらに、弾性糸および非弾性糸から編成される弾性編地においては、一般的にヒステリシスロス率は大きくなり易い傾向にあるので、ヒステリシスロス率の小さい弾性編地とするためには、回復性に非常に優れた弾性糸を用いる必要がある。即ち、ベア天竺のような丸編組織やトリコットなどのように、ポリウレタン弾性糸が挿入されずに編み目を形成している編地の場合、弾性編地のヒステリシスロス率が大きくなる傾向にある。また、染色工程でポリウレタン弾性糸に熱がかかり応力が低下すると十分な回復力が得られ難くなってヒステリシスロス率は大きくなり易い。さらに、非弾性糸として、熱セットが効きにくい綿などの天然素材を用いた場合には、熱セットが効きにくい分ヒステリシスロス率が大きくなり易い。また、前述したように非弾性糸の編み目を従来よりも大きくしているのでヒステリシスロス率を低めるためには、非弾性糸の編み目を十分に収縮させ得るほどの非常に高い回復力が弾性糸に要求される。
以上のことから、ヒステリシスロス率の小さい弾性編地を製造するためには、回復性に非常に優れたポリウレタン弾性糸を用いる必要があり、前述した高伸縮性ポリウレタン弾性糸、即ち、ポリウレタン弾性糸のポリオール成分がテトラヒドロフランと3−アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールでありポリウレタン弾性糸の鎖伸長剤がアルキル基の側鎖を持つジアミンであるポリウレタン弾性糸を用いる必要がある。
このように、伸長曲線の積分値S1もヒステリシスロス率も小さい本発明のソフトストレッチ弾性編地とするためには、弾性糸として特定のポリウレタン弾性糸を用い、かつ、その繊度、非弾性糸の編目長等の編地編成条件を特定することが必要である。
上記した条件で製造することができる本発明の弾性編地は、得られるウェアの着心地や着用感をさらに向上させインナーウェア、スポーツウェアに好適な弾性編地とするために、図1の伸長時のヒステリシス曲線の高伸度領域における傾きが寝ていることが好ましい。すなわち、腕部、脇下部、腰部、膝部、肘部などの部位の皮膚の最大伸びは60%程度であることから、衣服を着る際には生地が50〜80%程度伸長されるので、高伸度領域において力を加えずに伸びることが好ましいのである。即ち、この高伸度領域での応力歪み曲線がフラットであると突っ張り感無く衣服を着ることができる。
これに対し、非弾性糸が交編された従来の弾性編地では伸びが不十分で60%以上の伸長領域で伸長曲線が立ち上がるのが通常であったので、着用時に突っ張り感を感じるものであった。即ち、高伸度領域での伸長曲線がフラットになる位の、抜群の伸長性と伸縮回復性を兼ね備えた弾性編地は得難いものと考えられていた。
高伸度領域の伸長曲線のフラット性は下式(7)のフラット定数(CN・%-1)で表すことができ、本発明の弾性編地では、タテ方向・ヨコ方向共に3.5 CN・%-1以下のフラット定数とすることができ、突っ張り感無く着ることができるウェアとすることができる。
フラット定数=(f(80−f(60) )/20 ・・(7)
(ここで、f(80)、f(60)は、伸長時のヒステリシス曲線における伸度80%時点での応力値(CN)、伸度60%時点での応力値(CN)である。)
また、本発明の弾性編地は、伸長後の生地の残留歪みが小さく、伸長後の生地がもとの状態まで良く戻ることができる。生地の残留歪みは、図1の回復時のヒステリシス曲線において、回復時の生地応力がゼロになるときの生地の伸びである。本発明の弾性編地は、タテ方向・ヨコ方向共に残留歪みを10%以下と小さくできるので、着崩れが少ないウェアとすることができ、特にショーツなどのインナーウェアに好適である。
さらにまた、本発明の弾性編地は生地の伸びが大きい。具体的には、下式(8)で表される全体伸長率を300%以上、より望ましくは350%以上と極めて大きくすることができるので、着用時に窮屈感を感じることのないウェアとすることができる。
全体伸長率(%)=縦伸び率(%)+横伸び率(%) ・・(8)
ここで、縦伸び率、横伸び率は、タテ方向試料、ヨコ方向試料について測定した定荷重伸長率である。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
[実施例1]
テトラヒドロフランと3−アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールとジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートとからのプレポリマーを、鎖伸長剤として2−メチル−1,5−ペンタンジアミンとエチレンジアミンを用いて鎖伸長反応させて製造されたポリウレタンを、通常の方法で乾式紡糸して製造されたポリウレタン弾性繊維の33dtex糸を、弾性糸として用いた。
また、非弾性糸として、50番手の綿紡績糸(糸の直径は0.00506 inch)を用いた。
上記弾性糸と非弾性糸とを編み糸として、28Gの開反丸編機でドラフト2.7でベア天竺組織の丸編地を編成した。この際、非弾性糸の編目長を、前記(4)式で計算された理論編目長より60%長い編目長(0.135 inch)に設定した。編成後の生機を、通常のポリウレタン弾性糸の染色条件で染色し、弾性編地の染色加工反とした。
[実施例2]
弾性糸として、実施例1で使用したものと同じポリウレタン弾性繊維の50dtex糸を用い、非弾性糸として綿紡績糸の40S(糸の直径は0.00565 inch)を用い、24Gの開反丸編機でドラフト2.6でベア天竺組織の丸編地を編成した。この際、非弾性糸の編目長を、前記(4)式で計算された理論編目長より40%長い編目長(0.131 inch)に設定した。編成して得られた生機を、実施例1と同様の染色条件で染色し、弾性編地の染色加工反とした。
[比較例1]
ポリテトラメチレングライコールとジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートとからのプレポリマーを、鎖伸長剤としてエチレンジアミンを用いて鎖伸長反応させて製造されたポリウレタンを、通常の方法で乾式紡糸して製造されたポリウレタン弾性繊維の33dtex糸を、弾性糸として用いた。
それ以外は全て実施例1と同様の条件で編成し、ベア天竺組織の生機とした。編成して得られた生機を、実施例1と同様の染色条件で染色し、弾性編地の染色加工反とした。
[比較例2]
弾性糸として、比較例1で使用したものと同じポリウレタン弾性繊維の78dtex糸を用い、非弾性糸として綿紡績糸の30S(糸の直径は0.00654inch)を用い、24Gの開反丸編機でドラフト2.4でベア天竺組織の丸編地を編成した。この際、非弾性糸の編目長を、前記(4)式で計算された理論編目長より10%長い編目長(0.112 inch)に設定した。編成して得られた生機を、実施例1と同様の染色条件で染色し、弾性編地の染色加工反とした。
[比較例3]
弾性糸として、実施例1で用いたポリウレタン弾性繊維の33dtex糸を用い、非弾性糸として、実施例1で用いた50番手の綿紡績糸を用い、28Gの開反丸編機でドラフト2.7でベア天竺組織の丸編地を編成した。この際、非弾性糸の編目長を、前記(4)式で計算された理論編目長より12.5%長い編目長(0.0949 inch)に設定した。編成して得られた生機を、実施例1と同様の染色条件で染色し、弾性編地の染色加工反とした。
以上の実施例1、2及び比較例1〜3で得られた染色弾性編地について、JIS L1018に準じた前記した方法で80%までの伸長と回復とを行ない、そのヒステリシス曲線から、伸長曲線の積分値S1、ヒステリシスロス率、フラット定数、全体伸長率、生地の残留歪みを求め、また、定荷重伸長時の全体伸長率を求め、それら値を表1に示した。
また、実施例1、2及び比較例1〜3で得られた染色弾性編地を用いて、同じ型紙で同じ大きさの下着(ショーツ)を作成し、この下着を被験者が着用して立つ/座るの動作を繰り返し、腹部の着圧の変化を測定した。その結果を図2に示した。図2において、着圧が高くなっている部分は被験者が座った時であり、その時における着圧は高い方から順に、比較例2、比較例1、比較例3、実施例2、実施例1であった。着圧が高いほど窮屈感や突っ張り感などの着心地が悪いものである。
Figure 2005213662
本発明の弾性編地は、軽い力で十分に伸長するという良好な伸長性と、伸長後の生地がほぼ元に戻るという良好な伸長回復性とを同時に兼ね備えた薄地の弾性編地であるので、軽く、縫製後の製品で突っ張り感無く着用が出来、適度なフィット感で体の動きに容易に追従することができ、さらには着崩れを起こさない伸縮ウェアとすることができ、インナーウェアやスポーツウェアなどのための弾性布帛として好適である。
弾性編地を伸長、回復させた時のヒステリシス曲線の一例である。 弾性編地で作製した下着の着用試験における腹部着圧変動を示す着圧曲線である。

Claims (13)

  1. 弾性糸および非弾性糸から編成され、弾性糸による編み目が形成された弾性編地であって、伸長時のヒステリシス曲線の0〜80%の積分値S1が、タテ方向・ヨコ方向共に7500 %・CN以下であり、かつ、ヒステリシスロス率が、タテ方向・ヨコ方向共に25%以下であることを特徴とするソフトストレッチ弾性編地。
  2. 下式で定義されるフラット定数が、タテ方向・ヨコ方向共に3.5 CN・%-1以下であることを特徴とする請求項1に記載のソフトストレッチ弾性編地。
    フラット定数=(f(80)−f(60)/20
    (ここで、f(80)、f(60)は、伸長時のヒステリシス曲線における伸度80%時点での応力値(CN)、伸度60%時点での応力値(CN)である。)
  3. 生地の残留歪みが、タテ方向・ヨコ方向共に10%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のソフトストレッチ弾性編地。
  4. 下式で定義される全体伸長率が300%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のソフトストレッチ弾性編地。
    全体伸長率(%)=縦伸び率(%)+横伸び率(%)
  5. 弾性糸が、ポリオール、ジイソシアネート及び鎖伸長剤から重合されたポリウレタンの弾性糸であって、ポリオールがテトラヒドロフランと3−アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールであり、かつ、鎖伸長剤がアルキル基の側鎖を持つジアミンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のソフトストレッチ弾性編地
  6. 弾性糸からなる編み糸の繊度が100dtex以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のソフトストレッチ弾性編地。
  7. 弾性編地が、丸編地であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のソフトストレッチ弾性編地。
  8. 弾性編地が、経編地であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のソフトストレッチ弾性編地。
  9. 弾性編地が、天然繊維糸とポリウレタン弾性糸によって編成された編地である請求項1〜8のいずれかに記載のソフトストレッチ弾性編地。
  10. 染色処理された弾性編地であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のソフトストレッチ弾性編地。
  11. 弾性糸による編み目、及び非弾性糸による編み目が形成された弾性編地を、弾性糸及び非弾性糸を用いて編成する際、非弾性糸による編み目の編目長が、その理論編目長より25%以上長くなるように編成することを特徴とするソフトストレッチ弾性編地の製造方法。
  12. 弾性糸による編み目、及び非弾性糸による編み目が形成された弾性丸編地を、弾性糸及び非弾性糸を用いて編成する際、非弾性糸による編み目の編目長が、下式によって計算される非弾性糸編み目の理論編目長(L)より25%以上なるように編成することを特徴とするソフトストレッチ弾性編地の製造方法。
    L=(16.64n−2.08m)・d
    (L:非弾性糸による編み目の理論編目長[inch]、d:非弾性糸の編み糸の直径[inch]、n:天竺編目の数、m:ラッピングの数)
  13. 弾性糸として、ポリオール、ジイソシアネート及び鎖伸長剤から重合されたポリウレタンの弾性糸であって、ポリオールがテトラヒドロフランと3−アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールであり、かつ、鎖伸長剤がアルキル基の側鎖を持つジアミンであるポリウレタン弾性糸を用いることを特徴とする請求項11又は12に記載のソフトストレッチ弾性編地の製造方法。
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