JP5462497B2 - 弾性経編地 - Google Patents
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Description
さらに、上記弾性経編地を用いたスポーツウェアや水着として、締め付け作用による身体機能の向上を目標として種々の製品が販売されている。これらに使用されるトリコット経編地として、合成繊維マルチフィラメント又は綿糸の如く紡績糸からなる非弾性繊維を用いて地組織を1−0/2−3の編組織で編成し、この地組織に弾性繊維を用いて1−2/1−0の編組織で組み合わせる事によって得られるハーフ組織からなるトリコット2way経編地が多く使用されている。この生地は経緯方向に生地が伸びるものの、経方向に比べ緯方向の伸びは極端に少なくなっており、製品として着用した時のフィット感について不満があった。
そのため、伸長性と伸長回復性とを、経緯両方向で適切なバランスで発揮させることを目的にして、弾性糸を二目編で編成したり、弾性糸がループを形成してなる緯編組織で編成したり、弾性糸を地組織に挿入して編成することにより、経と緯の伸長性を比較的同じレベルにまであわせるという方法が提案されているが、これらの方法では伸長させる為に大きな力が必要なものしかできず、用途が限定され、ショーツやインナーシャツ、スポーツアンダーシャツ等の比較的小さい力で伸張することが要求される用途には適さないという問題がある(特許文献1、2参照)。
(1)弾性繊維、非弾性繊維が用いられ、三枚筬により編成されてなる弾性経編地であって、フロント及びミドルの筬に非弾性繊維が、バックの筬に弾性繊維がそれぞれ配され、フロント及びミドルの筬に、互いにその通糸箇所を補完しあう位置関係に、それぞれ1イン1アウトで非弾性繊維が通糸され、バックの筬に、フルセットで弾性繊維が通糸され、フロント及びミドルのどちらか一方の組織が、バックの組織に対し同方向のプレーンコード組織であり、もう一方がバックの組織に対し異方向のプレーンコード組織であり、バックの組織がデンビー組織であり、編地の80%伸長時の経方向/緯方向の伸長力比が0.8〜1.8であり、且つ80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向及び緯方向の伸長回復率がいずれも90%以上であることを特徴とする弾性経編地。
本発明の弾性経編地は、弾性繊維と非弾性繊維を用いてなることを特徴とする。
本発明で使用される非弾性繊維は、フィラメント糸又は紡績糸のいずれであってもよい。具体的には、フィラメント糸としては、レーヨン、アセテート繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、塩化ビニル系繊維等の化合繊からなるものが好ましい。フィラメント糸の形態は、原糸(未加工糸)、仮撚加工糸、先染糸などのいずれであってもよく、また、これらの複合糸であってもよい。
紡績糸としては、木綿、羊毛、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテート、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、塩化ビニル系繊維等の化合繊からなるものが好ましく、これらは単独又は混紡されたもの等、いずれであってもよい。
弾性繊維としては、ポリウレタン弾性糸、ポリエーテル・エステル弾性糸、ポリアミド弾性糸、ポリオレフィン弾性糸、もしくは、天然ゴム、合成ゴム、半合成ゴムからなる糸状である、いわゆるゴム糸などを使用することができるが、一般的に広く利用されているポリウレタン弾性糸が好適である。弾性繊維についても、繊度や単糸数について特に限定されるものではなく、用途や、使用する編機のゲージに好適な繊度および単糸数のものを選定すれば良い。
伸長力比=(経方向伸長力)÷(緯方向伸長力) (1)
本発明の弾性経編地は、80%伸長時の経方向/緯方向の伸長力比が0.8〜1.8であることを特徴とする。より好ましくは、0.9〜1.7であることが好ましい。この80%伸長時の経方向/緯方向の伸長力比が0.8未満もしくは1.8を超えると、製品として着用した時のフィット感が悪くなり好ましくない。
伸長回復率(%)=(((80−(残留伸び))÷80)×100 (2)
本発明の弾性経編地は、フロント・ミドル・バックの3枚の筬により編成される経編地である。弾性繊維が表面へ出て表面品位が悪くなることを防ぐ為、フロントとミドルに非弾性繊維を、バックに弾性繊維を通糸することを特徴とする。
さらに、フロントとミドルに通糸された非弾性繊維の組織は、経緯両方向の伸長性を発現する目的で、どちらか一方の筬を、弾性繊維をフルセットしたバックのデンビー組織に対し同方向のプレーンコード組織にし、もう一方を異方向のプレーンコード組織にすることが好ましい。
生機の編成条件としては、上記、糸使い、糸繊度、組織の組み合わせで、安定した張力と優れた生地品位となるよう、ランナー長を適宜調整すれば良い。尚、ここで、「ランナー」とは、一定コース数(これを「ラック」と言い、通常、480コースを1ラックとする)を編むのに使用する糸の長さ(cm)を言う。
本発明の弾性経編地は、要求される用途に準じて目付を調整することが好ましく、より好ましくは、目付100〜500(g/m2)の範囲で調整するとよい。
本発明の弾性経編地は、生機編地とした後、精錬、熱セット、染色等の加工を行う。加工方法は、通常の弾性繊維混経編地の加工方法に準じて行えばよい。また、要求される伸度特性、伸度バランスにより、適宜仕上げ密度を調整することが好ましく、より好ましくは仕上げ密度を1インチ(2.54cm)当たり50〜100ウエール、80〜150コースの範囲で調整するとよい。
本発明の弾性経編地は、例えば身体にフィットするインナー又はスポーツ・水着等の用途に利用することが可能であり、本発明の男性経編地を使用することにより、着用感が良好であるとともに、運動追従性に優れ、運動機能向上に寄与することができ、さらに、伸長力によって用途が限定されることがなく、着用による型崩れが発生し難い、着用感と見映えの優れた衣服を製造することができる。
(i)伸長力比
引張試験機を使用し、2.5cm巾で10cmの把持間隔で把持した編地を引張速度300mm/分で伸長・回復を3回繰り返し、伸長率80%までの往路応力、復路応力を測定し、伸長回復曲線を描き、伸長1回目における伸長率80%時の応力を伸長力とした。経方向及び緯方向の伸長回復曲線からそれぞれの伸長力を読み取り、下記式(1)により求めた。
伸長力比=(経方向伸長力)÷(緯方向伸長力) (1)
(ii)伸長回復率
伸長力比の試験方法で得られた伸長回復曲線から3回目の残留伸び(%)を読み取り、下記式(2)により求めた。
伸長回復率(%)=(((80−(残留伸び))÷80)×100 (2)
実施例で作成した弾性経編地を用いて身体にフィットするテニスシャツを縫製し、2時間テニスをした後脱衣し、特に肘部の編地の型崩れ(変形)の有無を、また、肘部の編地が変形したシャツについては脱衣後に手で揉んで変形が無くなるか否かを加味して、以下の基準で目視判定した。実用上問題がないのは下記の基準で3以上である。
5 : 型崩れが全く無い
4 : 若干肘部に型崩れが生じているが気にならない
3 : 肘部が変形しているが、揉むと変形が解消する
2 : 肘部の変形が大きく、かなり揉まないと元に戻らない
1 : 肘部の変形が甚だしく、かなり揉んでもほとんど元に戻らない
カールマイヤー製の28ゲージのシングルトリコット機を用いて、フロントとミドルの筬に34dtx−18fのポリエステルフィラメントを、バックの筬に33dtxのポリウレタン繊維を配し、フロントの組織を2−3/1−0かつ1イン1アウトで配糸し、該ランナーを140(cm/ラック)、ミドルの組織を1−0/2−3かつ1イン1アウトで配糸し、該ランナーを140(cm/ラック)、バックの組織を1−0/1−2、該ランナーを89(cm/ラック)で編成し、生機を得た。
この生機を弾性経編地の通常の染色加工工程で加工し、編地を得た。すなわち、50℃の槽、60℃の槽、80℃の槽、計3槽を用いて、リラックス、精錬を行い、190℃で熱セットを行い、さらに130℃で染色、170℃で仕上げセットを実施し、表1の目付及び密度の編地を得た。
得られた編地の評価結果を表1に示す。得られた編地は経緯伸長バランスと伸長回復性に優れ、着用型崩れの小さい編地であった。
フロントの組織を1−0/2−3、ミドルの組織を2−3/1−0で編成する以外は、実施例1と同じ条件で、表1の目付及び密度の編地を得た。
得られた編地の評価結果を表1に示す。得られた編地は経緯伸長バランスと伸長回復性に優れ、着用型崩れの小さい編地であった。
ミドルの組織を3−2/0−1で編成する以外は、実施例1と同じ条件で、表1の目付及び密度の編地を得た。
得られた編地の評価結果を表1に示す。得られた編地は経緯伸長バランスと伸長回復性に優れ、着用型崩れの小さい編地であった。
フロントとミドルの筬に44dtx−34fのナイロンフィラメントを配する以外は、実施例1と同じ条件で、表1の目付及び密度の編地を得た。
得られた編地の評価結果を表1に示す。得られた編地は経緯伸長バランスがやや劣るが、伸長回復性に優れ、着用型崩れの小さい編地であった。
ミドルの筬を使わず、フロントのみに非弾性糸をフルセットで配糸し、且つフロントの組織を2−3/1−0、該ランナーを140(cm/ラック)、バックの組織を1−0/1−2、該ランナーを89(cm/ラック)で編成する以外は、実施例1と同じ条件で、表1の目付及び密度の編地を得た。
得られた編地の評価結果を表1に示す。表1より得られた編地は経緯伸長バランスと伸長回復性が悪く、着用型崩れの大きい編地であった。
ミドルの筬を使わず、フロントのみに非弾性糸をフルセットで配糸し、且つフロントの組織を1−2/1−0、該ランナーを105(cm/ラック)、バックの組織を1−0/1−2、該ランナーを89(cm/ラック)で編成する以外は、実施例1と同じ条件で、表1の目付及び密度の編地を得た。
得られた編地の評価結果を表1に示す。表1より得られた編地は経緯伸長バランスと伸長回復性が悪く、着用型崩れの大きい編地であった。
ミドルの筬を使わず、フロントのみに非弾性糸をフルセットで配糸し、且つフロントの組織を1−0/1−2/2−3/2−1、該ランナーを105(cm/ラック)、バックの組織を2−3/2−1/1−0/1−2、該ランナーを89(cm/ラック)で編成する以外は、実施例1と同じ条件で、表1の目付及び密度の編地を得た。
得られた編地の評価結果を表1に示す。表1より得られた編地は経緯伸長バランスが良好であるが、伸長回復性が悪く、着用型崩れの大きい編地であった。
B ミドル筬の組織図
C バック筬の組織図
Claims (1)
- 弾性繊維、非弾性繊維が用いられ、三枚筬により編成されてなる弾性経編地であって、フロント及びミドルの筬に非弾性繊維が、バックの筬に弾性繊維がそれぞれ配され、フロント及びミドルの筬に、互いにその通糸箇所を補完しあう位置関係に、それぞれ1イン1アウトで非弾性繊維が通糸され、バックの筬に、フルセットで弾性繊維が通糸され、フロント及びミドルのどちらか一方の組織が、バックの組織に対し同方向のプレーンコード組織であり、もう一方がバックの組織に対し異方向のプレーンコード組織であり、バックの組織がデンビー組織であり、編地の80%伸長時の経方向/緯方向の伸長力比が0.8〜1.8であり、且つ80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向及び緯方向の伸長回復率がいずれも90%以上であることを特徴とする弾性経編地。
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