JP6767226B2 - セルロース繊維交編編地 - Google Patents

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Description

本発明は、暑熱環境下での着用時冷感に優れる、セルロース繊維と弾性糸とを交編した経編地に関する。
従来、夏季等、暑熱環境下で着用するインナー、スポーツウェア等、肌に直接接触する衣服として、セルロース繊維を交編することにより冷感や吸湿性、吸汗性に優れることが知られており、特に、セルロース繊維の含有量や編地表面形状等を特定することによって、蒸れ感や運動により発汗しても、べたつき感や濡れ感、冷え感がない編地が提案されている。しかしながら、最近のインナー、スポーツウェアでは、弾性糸を交編した編地を使用し、衣服にストレッチ性を付与することが多く、弾性糸を交編した編地では厚みが増して放熱性が低下する傾向にあり、さらに、該編地を使用した衣服は身体に密着するため、べたつき感や濡れ感のある衣服となり易いという問題がある。
かかる問題を解決すべく、例えば、以下の特許文献1には、セルロース繊維の混率、セルロース繊維の編地表面への露出率を特定の範囲にすることにより、蒸れ感を感じにくく、発汗した際、汗によるべたつき感や濡れ感を解消する編地が示されている。しかしながら、これらの編地は、丸編については各種技術が示されているが、経編についてはループ構造が特異であるため困難とされており、特許文献1においても、セルロース繊維と弾性糸とを交編した経編については具体的な実施形態が開示されていない。
このように、セルロース繊維と弾性糸を交編したストレッチ性のある経編地において、着用時に冷感性、吸湿性や吸汗性に優れ、夏季等に最適な編地は、現状では見当たらない。
国際公開第2012/049870号
上記技術の現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、セルロース繊維と弾性糸とを交編した経編地において、ストレッチ性に優れ、かつ、着用時冷感に優れる経編地を提供することである。かかる経編地は、インナー、スポーツウェアなどの衣服に縫製することにより、夏季等、暑熱環境の着用でも、涼しく、発汗してもべたつき感や蒸れ感を感じない衣服とすることがきる。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、3枚筬のトリコット編機において、フロント筬に合成繊維を配置し、ミドル筬にセルロース繊維を配置し、かつ、バック筬に弾性糸を配置し、該合成繊維と該弾性繊維とでハーフ組織を編成し、セルロース繊維はアトラス組織により編成されているセルロース繊維交編編地において、該合成繊維のランナー長/該セルロース繊維のランナー長で表されるランナー長比等を、特定範囲とすることにより上記課題が達成できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]フロント筬に由来する合成繊維、ミドル筬に由来するセルロース繊維、及びバック筬に由来する弾性糸により編成されているセルロース繊維交編編地であって、該合成繊維はコード組織で編成され、該セルロース繊維は4コースアトラス組織で編成され、かつ、該弾性糸はデンビー組織で編成されており、目付が150〜250g/mであり、該セルロース繊維の混率が20〜45%であることを特徴とする、前記セルロース繊維交編編地。
[2]前記合成繊維は開き目のコード組織で編成され、該コード組織は前記弾性糸のデンビー組織と同方向振りである、前記[1]に記載のセルロース繊維交編編地。
[3]前記合成繊維と前記セルロース繊維の間の下記式(1):
ランナー長比 = 合成繊維のランナー長 / セルロース繊維のランナー長
により求められるランナー長比が、1.30〜1.45である、前記[1]又は[2]に記載のセルロース繊維交編編地。
[4]9.8N荷重下での経緯両方向の伸度がいずれも80〜150%である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセルロース繊維交編編地。
本発明に係るセルロース繊維交編編地が配された衣服を着用すれば、夏季等暑熱環境下でも着用時涼しく、発汗してもべたつきや蒸れ感を感じず、身体冷却機能も期待できる衣服製品が得られ、特に、28〜32ゲージの経編機により製造された編地は、裁ち放し可能な衣服とすることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のセルロース交編編地は、フロント筬に由来する合成繊維、ミドル筬に由来するセルロース繊維、及びバック筬に由来する弾性糸により編成されているセルロース繊維交編編地であって、該合成繊維はコード組織で編成され、該セルロース繊維は4コースアトラス組織で編成され、かつ、該弾性糸はデンビー組織で編成されており、目付が150〜250g/mであり、該セルロース繊維の混率が20〜45%でであることを特徴とする。
本実施形態のセルロース繊維交編編地は、前記特徴を有することにより着用時冷感に優れるため、これを配して、暑熱環境時の着用時、冷感に優れる衣服とすることができる。セルロース繊維としては、非制限的に、例えば、レーヨン、キュプラ、竹繊維等の再生セルロース繊維、絹等の天然セルロース繊維の長繊維であって、繊維の太さとして30〜90dtex(デシテックス:以下同じ記号とする)のものを使用することができる。
合成繊維としては、非制限的に、ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン等の合成繊維が挙げられ、これらのブライト糸、セミダル糸、フルダル糸等任意に使用でき、繊維の断面形状も丸型、楕円型、W型、繭型、中空糸等任意な断面形状の繊維の使用が可能であり、繊維の形態についても特に限定されず、原糸、又は、仮撚等の捲縮加工糸が使用できるが、冷感に優れる原糸使いが好ましい。さらに、2種以上の繊維を撚糸、カバーリング、エアー混繊等により混合した複合糸としての使用も可能である。これら合成繊維の太さは、20〜110dtの繊維が使用できる。
弾性糸としては、非制限的に、ポリウレタン系、ポリエーテルエステル系の弾性糸が挙げられる。例えば、ポリウレタン系弾性糸では、乾式紡糸又は溶融紡糸したものが使用でき、ポリマーや紡糸方法には特に限定されない。弾性糸の破断伸度は400%〜1000%程度のもので、かつ、伸縮性に優れ、染色加工時のプレセット工程の通常処理温度180℃近辺で伸縮性を損なわないことが好ましい。また、弾性糸に、特殊ポリマーや粉体添加により、高セット性、抗菌性、吸湿、吸水性等の機能性を付与した弾性糸も使用可能である。弾性糸の繊度については、10〜80dtの繊維の使用が可能で、編地製造が容易な、15〜60dtの弾性糸の使用が好ましい。
本実施形態のセルロース繊維交編編地では、弾性糸に無機物質を含有することがき、含有する無機物質の性能を加味した編地とすることができる。例えば、酸化チタンを含有させると、熱伝導性に優れる弾性糸となり、編地製造により接触冷感に優れる編地が製造できる。無機物質の弾性糸へ含有させる方法については、弾性糸の紡糸原液に無機物質を含有させて紡糸する方法が最も簡単である。無機物質とは、酸化チタン等のセラミックス等、熱伝導性に優れる無機化合物が挙げられ、弾性糸の紡糸の障害とならない微粉末状が好ましい。これら無機物質を弾性糸に1〜10重量%含有していることが好ましく、無機物質を含有することにより、冷却性が向上する編地となるが、無機物質の含有量が、少なすぎると冷却効果が小さく、多すぎると紡糸時や伸長時に糸切れすることがあるため、1〜10重量%の含有が好ましく、より好ましくは2〜5重量%の含有である。
本実施形態のセルロース繊維交編編地は、フロント筬とミドル筬との2種の非弾性糸とバック筬の弾性糸とによる3枚筬で編み立てられた経編地であり、編組織については、フロント筬の合成繊維はコード組織であり、ミドル筬のセルロース繊維は4コースアトラス組織であり、かつ、バック筬の弾性糸はデンビー組織であり、フロント筬のコード組織とバック筬のデンビー組織とはハーフ組織により編成されている。通常、3枚筬の経編機において、これらのように1枚の筬が弾性糸を含有したハーフ組織は形態安定に欠け、カールや寸法変化が生じ、編地の伸長回復率も十分でなく、編地を伸長すれば元の状態に戻らず編地の波打ち、いわゆるワライ現象が生じる。対策として、一般的には3枚筬のフロント筬とバック筬とによるハーフ組織において、ミドル筬はデンビー組織で編成することが多い。しかしながら、ミドル筬でデンビー組織を編成した編地の場合、寸法安定性の向上は図れるが、組織中のフロントスイングの振り量が1針と少ないため、出来上がった編地は伸度が低く、本発明の目的でもある伸縮性のある編地が得られず、衣服では動き難い衣服となり易い。そこで、本願発明者らは、高伸度化を目的に検討した結果、4コースで1完全組織となる4コースアトラス組織であれば、一針振りであるにも関わらず編地の高伸度化となることを見出した。尚、本明細書中、4コースアトラス組織とは、例えば、10/12/23/21//等、フロントスイングが1針振りで、かつ、4コースで1完全組織となる組織である。これにより、カールの発生が少なく、寸法は安定し、編地伸長時の伸長回復性に優れるためワライ現象も発生し難くなり、さらに、編地に伸度があるため衣服製品とした際、動き易い衣服が製造できる。また、セルロース繊維が交編されていることにより、冷感の増した衣服とすることができる。
本実施形態のセルロース繊維交編編地では、合成繊維によるフロント筬のコード組織と、弾性糸によるバック筬のデンビー組織とは、同方向の振りである方がカールの発生が少なく、好ましい。ループ構造については特に規定されず、合成繊維によるフロント筬のコード組織、弾性糸によるバック筬のデンビー組織とも閉じ目、あるいは、開き目、さらには、開き目と閉じ目との組み合わせ等、任意に選択可能であるが、好ましくは、合成繊維によるフロントは開き目のコード組織とし、弾性糸によるバック筬は閉じ目のデンビー組織とするのがよく、これにより、合成繊維が編地表裏ともに露出し易くなる。さらに、セルロース繊維によるミドル筬の4コースアトラス組織については、フロント筬、及びバック筬の振りとのタイミングは特に規定されず、任意に選定できる。例えば、フロント筬の組織が10/23、バック筬の組織が10/12//の場合、4コースアトラス組織は、10/12/23/21//、12/23/21/10//、23/21/10/12//、21/10/12/23//等、任意なタイミングが選定できる。ループ構造についても任意であり、閉じ目のみ、開き目のみ、閉じ目と開き目との組み合わせ等任意であるが、10/21/23/12//等すべて閉じ目の組織、あるいは、10/12/23/21//等、筬の振りが反転しているところを閉じ目とする組織であれば、カールの発生がより少なく、この場合、フロント筬の合成繊維の露出が多くなり、セルロース繊維の湿摩擦度低下を招かず好ましい。
本実施形態における2枚筬の非弾性糸である、セルロース繊維と合成繊維の編地中の位置関係は重要であり、通常、セルロース繊維を交編する場合、セルロース繊維が編地表面に露出していると接触冷感や、吸汗性等の冷感には優れるが、染色加工工程や衣服として着用、洗濯により、セルロース繊維が摩耗したり、濃色では湿摩擦染色堅牢度が低下して、アウター等に色移りしたりする可能性がある等、実用上の問題が生じやすい。そこで、なるべくセルロース繊維を編地表面に露出しないようにするとこれらの問題は発生しにくくなるが、経編ではセルロース繊維の位置関係を固定することが難しく、特に、経編での位置関係の調整は一般に困難である。そこで、本実施形態においては、セルロース繊維によるミドル筬の組織をすべて閉じ目で編成するか、あるいは、少なくともミドル筬の振りが反転しているところを閉じ目にすることにより、セルロース繊維が表面に露出することが最小限となるが、さらに、セルロース繊維が表面に露出しないようにするために、セルロース繊維と合成繊維とのランナー長比を特定することにより、実用上問題がなく、冷感も兼ね備える編地とすることが可能となった。
すなわち、本実施形態では、セルロース繊維と合成繊維との下記式(1):
ランナー長比 = 合成繊維のランナー長 / セルロース繊維のランナー長
で求めるランナー長比を1.30〜1.45とすることが好ましい。
このようなランナー長比は、通常の編地の場合に比較して、合成繊維のランナー長がより長いと言えるが、これにより、セルロース繊維が過度に表面に露出することなく、冷感性に優れ、かつ、実用上の問題のない編地となる。ランナー長比については、大きすぎると合成繊維がパイル調となり保温効果が生じ好ましくなく、他方、小さすぎるとセルロース繊維の露出が多くなり、湿摩擦堅牢度低下となるため、ランナー長比は1.30〜1.45が好ましく、より好ましくは1.30〜1.40である。
尚、本実施形態のセルロース繊維交編経編地の冷感性に関しては、実施例で具体的に示す接触冷感測定において120W/m・℃以上を示し、かつ、着用試験による主観評価で涼しく感じる編地について冷感性があるとする。
本明細書中、ランナー長とは、経編地の編成において、480コース当たりに使用する繊維長をランナー長と称し、ランナー長が判っている場合はその値を使用してランナー長比を求めればよいが、ランナー長が判らない場合には、まず、編地中の弾性糸と合成繊維とセルロース繊維とを分離し、さらに、合成繊維とセルロース繊維とを分離させて合成繊維とセルロース繊維とのランナー長を測定すればよい。例えば、弾性糸を溶解、又は、脆化により破壊させる、さらには、編地中で弾性糸を切断して合成繊維とセルロース繊維のみとし、この編地の合成繊維とセルロース繊維との一方の繊維を溶解、あるいは切断することにより分離してそれぞれのランナー長を測定する。尚、経編地からの繊維分離は困難であるため、既知のコース数の繊維を抜出し、0.1N(ニュートン:以下同じ記号を使用する)の荷重を掛けて測定し、480コース当たりのランナー長に換算して求め、少なくとも10本抜出してランナー長を測定し、10本のランナー長を平均してセルロース繊維、及び、合成繊維のランナー長とする。また、ランナー長比の計算では、小数点3桁目を四捨五入してランナー長比を求める。
本実施形態では、ランナー長比に加え、編地の目付、及びセルロース繊維の混率も重要であり、これらを適正な範囲にすることにより、所望の効果がより発揮されやすい。
本実施形態においては、編地の目付は150〜250g/mであり、かつ、セルロース繊維の混率は20〜45%である。編地の目付けが大きいと編地の放熱性が低下して冷感を感じず、目付が小さいと編地の破裂強度低下となり実着用上問題となる。従って、編地の目付は150〜250g/mであり、好ましくは160〜240g/mであることができる。また、セルロース繊維の混率については、セルロース繊維の混率が高くなると冷感性は向上する傾向にあるが、湿摩擦堅牢度等、実用上の問題が生じ、セルロース繊維の混率が低いと冷感性も低下してしまう。従って、セルロース繊維の混率は、20〜45%であり、好ましくは25〜40%となるようセルロース繊維の繊度、合成繊維の繊度、弾性糸の繊度等の編地設計を行う。尚、セルロース繊維の混率測定は、各繊維の繊度とランナー長が分かっている場合はその数値より計算して求めればよいが、繊度とランナー長が不明の場合は、セルロース繊維以外の繊維を溶解等で取り除く方法、あるいは、最初に編地の重量(目付)を測定し、その後、弾性糸を溶解して編地の重量を測定して弾性糸のみの目付を計算し、編地の目付から弾性糸の目付を減算して非弾性糸の目付を求め、その後、セルロース繊維のランナー長と繊度を測定して、合成繊維との比でセルロース繊維のみの目付、混率を計算する、等の方法により求める。
本実施形態のセルロース繊維交編編地は、編地として接触冷感や放熱性、通気性等の冷感に優れていても、衣服としても冷感に優れている必要があり、セルロース交編編地では、特にセルロース繊維の接触冷感性を利用し、肌に密着することにより冷感を増すことが可能である。弾性糸が交編されていない編地からなる衣服は身体に密着していないため、衣服着用時の冷感も肌と衣服が接触している一部に過ぎないが、弾性糸を交編した編地は衣服全体が身体に密着していて、全体に冷感を感じ易い。しかしながら、編地の伸度が低いと動き難い衣服となって不快であり、逆に、編地伸度が大きすぎると、接触冷感を感じ難く冷感のある衣服とはなりえない。このため、編地伸度は適正な範囲とする必要がある。編地伸度について具体的には、編地経方向、及び、編地緯方向の両方向とも9.8N(ニュートン)荷重下で80〜150%、好ましくは90〜140%となるよう、編地設計、及び、染色加工時の伸度調整を行って仕上ればよい。
本実施形態のセルロース繊維交編編地は、暑熱環境でも冷感に優れる編地となるが、さらに、衣服とする際、編地巾方向に引いた直線(基準:0度)に対して編地長さ方向に引く垂線を90度とする場合、45〜135度の間は直線、あるいは曲線等、任意な裁断を行っても裁断端にカールが発生しにくいため、三つ折り縫製、パイピング縫製等の端始末をすることなく、裁ち放しの状態で衣服とすることができる。通常、裁ち放し可能な編地とするには、ポリエステルやナイロン等の熱セットが効きやすい合成繊維と弾性糸との交編編地で、染色加工の熱セット時、温度を高くする、あるいは、セット時間を長くするなど、熱セット条件を強くして合成繊維を熱固定することにより、編地のカールを低減させることが可能であり、これまで知られている裁ち放し可能な衣服はすべてこの技術を使用している。しかしながら、熱セットが効きにくいセルロース繊維の場合は、染色加工時の熱セット条件を強くしてもカールの発生は防止できないため、これまで、セルロース繊維を交編した編地、特に経編地での裁ち放しは不可能とされていたが、本実施形態のセルロース繊維交編編地では、熱セットが効きにくいセルロース繊維を交編しているにもかかわらず裁断端にカールが発生しないので、編地の裁ち放しが可能となる。
本実施形態では、熱セットの効き難いセルロース繊維と、熱セットが効き易い合成繊維
との組織、ループ構造、および、ランナー長比を特定の範囲とすることにより、裁ち放しと、かつ、冷感にも優れる編地とすることができる。
本実施形態のセルロース繊維交編編地は、トリコット、ラッセルの経編機により製造可能であり、これらの、シングル経編機により製造することができる。編機のゲージについては、任意なゲージの編機が使用可能であるが、20〜40ゲージ程度の編機の使用が好ましく、ゲージが粗いと編地の審美性が良くなく、編機のゲージが40ゲージよりハイゲージになると編地密度が増加し、また、伸縮性が不良となるため、所望の効果が発揮し難くなる。また、裁ち放し可能な編地とするには、ゲージが粗いと裁断端のホツレが発生するため、28〜32ゲージの経編機の使用が好ましい。
さらに、非弾性糸、及び、弾性糸の筬への糸通しは、筬全てに糸通しするオールインのみでなく、筬1本毎に糸通しする、1イン1アウトの他、筬に連続して2本糸を通し、1本糸を通さない、を繰り返す2イン1アウト等、任意な糸通しとすることも可能である。
本実施形態のセルロース繊維交編編地の染色仕上げ方法は、通常の染色仕上げ工程が使用でき、使用する繊維素材に応じた染色条件とし、使用する染色機も液流染色機、ウインス染色機、パドル染色機など任意であり、吸水性や柔軟性を向上させる加工剤を使用してもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。無論、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、実施例における評価は以下の方法により行なった。
(1)接触冷感
20℃65%RH環境下において調湿された8cm×8cmに裁断された編地のシンカーループ側を、カトーテック社製KES−F7−11にて、環境温度+10℃に温められた該装置の熱板を編地のシンカーループ側に置いた時の最大の熱移動量(W/m・℃)を測定した。
(2)編地伸度
試料の大きさ:長さ10cm(把持部除く)、幅2.5cm
引張り試験機:テンシロン引張り試験機
初荷重:0.1N
引張り、戻し速度:300mm/分
最大荷重:9.8N
測定:上記条件で最大荷重まで測定した際の伸度を編地経方向と緯方向でそれぞれ求め、接触冷感が120W/m℃以上であれば、着用して涼しいと言えるものであった。
(3)着用感
実施例、比較例により得られた編地で身体に密着した半袖シャツを縫製し、モニターにトップスは縫製したシャツ、ボトムスは短パンを着用して30℃60%RH環境下でトレッドミルを使用し、5km/hrの速度で5分間歩行した際の冷感について以下の評価基準:
5:暑熱環境にもかかわらず涼しく、発汗しているがべたつかない
4:やや涼しく感じ、べたつきも少ない
3:やや蒸れてべたつくが、シャツ着用部分は涼しく感じる
2:暑く、発汗により蒸れてべたつく
1:暑く、発汗により蒸れてべたつき非常に不快
により評価した。3〜5は冷感に優れると判断した。
[実施例1]
28ゲージのトリコット経編機を使用し、フロント筬にナイロン33dt/24フィラメント、ミドル筬にキュプラ(商標名ベンベルグ:旭化成(株)製)33dt/24フィラメント、バック筬に弾性糸33dt(商品名ロイカCR:旭化成(株)製)を100%伸長して整経し、以下の組織でランナー長比を1.36として編成した。
フロント筬:組織01/32//、ランナー長165cm
ミドル筬: 組織10/12/23/21//、ランナー長121cm
バック筬: 組織10/12//、ランナー長80cm
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行い、液流染色機でナイロンとセルロース繊維の染色を行った。染色後に柔軟仕上げ剤をパディングして、170℃で1分の条件で仕上げセットを行いセルロース繊維交編経編地とした。この編地のセルロース繊維の混率は40.7%であり、得られた編地の性能を評価した。結果を以下の表1に示す。得られたセルロース繊維交編編地は、接触冷感、伸度、着用感に優れたものであった。
[実施例2〜5、比較例1〜2]
実施例1において、キュプラ(セルロース繊維)のランナー長を固定してナイロンのランナー長のみ変更してランナー長比とセルロース繊維の混率を変更した編地(実施例2、3)ランナー長比を変更し、幅出しにより伸度を変更した編地(比較例1)、仕上げ時幅出し等により目付、伸度を変更した編地(実施例4、5)、さらに、フロント筬のナイロンを56dt/17フィラメントとしランナー長比を1.46とした編地(比較例2)を製造した。得られた編地の性能を評価した。結果を以下の表1に示す。実施例2〜5で得られたセルロース繊維交編編地は、接触冷感、伸度、着用感に優れたものであった。
[実施例6]
32ゲージのトリコット経編機を使用し、フロント筬にポリエステル22dt/6フィラメント、ミドル筬にキュプラ(商標名ベンベルグ:旭化成(株)製)33dt/24フィラメント、バック筬に弾性糸22dt(商品名ロイカSF:旭化成(株)製)を100%伸長して整経し、次の組織でランナー長比を1.39として編成した。
フロント筬:組織10/12//、ランナー長151cm
ミドル筬:組織12/23/21/10//、ランナー長109cm
バック筬:組織12/10//、ランナー長65cm
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行い、液流染色機でナイロンとキュプラの染色を行った。染色後に柔軟仕上げ剤をパディングして、170℃で1分の条件で仕上げセットを行いセルロース繊維交編経編地とした。
得られた編地の性能を評価した。結果を以下の表1に示す。得られたセルロース繊維交編編地は、接触冷感、伸度、着用感に優れたものであった。
Figure 0006767226
本発明に係るセルロース繊維交編編地が配された衣服を着用すれば、夏季等暑熱環境下でも着用時涼しく、発汗してもべたつきや蒸れ感を感じず、身体冷却機能も期待できる衣服製品が得られ、特に、28〜32ゲージの経編機により製造された編地は、裁ち放し可能な衣服とすることができる。

Claims (4)

  1. フロント筬に由来する合成繊維、ミドル筬に由来するセルロース繊維、及びバック筬に由来する弾性糸により編成されているセルロース繊維交編編地であって、該合成繊維はコード組織で編成され、該セルロース繊維は4コースアトラス組織で編成され、かつ、該弾性糸はデンビー組織で編成されており、目付が150〜250g/mであり、該セルロース繊維の混率が20〜45%であることを特徴とする、前記セルロース繊維交編編地。
  2. 前記合成繊維は開き目のコード組織で編成され、該コード組織は前記弾性糸のデンビー組織と同方向振りである、請求項1に記載のセルロース繊維交編編地。
  3. 前記合成繊維と前記セルロース繊維の間の下記式(1):
    ランナー長比 = 合成繊維のランナー長 / セルロース繊維のランナー長
    により求められるランナー長比が、1.30〜1.45である、請求項1又は2に記載のセルロース繊維交編編地。
  4. 9.8N荷重下での経緯両方向の伸度がいずれも80〜150%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロース繊維交編編地。
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