JP2016130378A - レッグウエア - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
本実施形態のレッグウエアは、パンティストッキング、膝上や膝下のストッキング、タイツ、レギンス、ゲイターなどに使用することができる。本実施形態のレッグウエアとしては、レッグ部が弾性糸に非弾性糸を巻付けた被覆弾性糸と非弾性糸を交互編成してなる交編タイプ、レッグ部が被覆弾性糸100%からなるゾッキタイプなどがあり、いずれの場合も、弾性繊維としては10〜310dtex、好ましくは15〜160dtexのポリウレタン糸が用いられ、被覆用の非弾性糸としては、5〜84dtex、好ましくは、5〜56dtexのポリアミド系繊維やポリエステル繊維、天然もしくは再生セルロース繊維などのフィラメント糸やこれらのウーリー加工糸などの捲縮糸、混繊糸、紡績糸を用いることができる。
ここでレッグ部とは踝から脚の付け根(太腿最上部)のことをいう。パンストやタイツはレッグ部と足部が繋がっており、パンティ部、レッグ部、足部から構成されているもの、レッグ部と足部から構成されているもの等がある。また、レッグ部全体を覆うもの、レッグ部の一部(例えば踝から膝上、踝から膝下等)を覆うもの等があげられる。さらに、足部を有さない構成(レギンス、ゲイター)もある。
脹脛部における、着用状態から経方向と緯方向にそれぞれ30%伸長した状態での経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比、及び30%伸長・回復繰り返し後の着用状態荷重保持率は、以下の方法で測定する。
本実施形態のレッグウエアの着用状態での、脹脛の中心の位置は、着用試験の結果、足先から脚付け根までを含む製品の場合、レッグウエアを平置きした際に足先から脚付け根の長さに対し、足先側から45%の位置にある。脹脛の中心の位置は、足首から脚付け根までを含む製品の場合、足首側から25%位置、膝下のストッキングの場合、足先から80%位置にある。
同一レッグウエアの別の試料を使って、脹脛着用状態の緯荷重を求めたのち、緯方向への伸長(経方向は着用状態を維持する)・(着用状態までの)回復を3回繰り返し、1回目の緯30%伸長時の緯方向荷重と、繰り返し伸長回復後の着用状態における緯方向荷重とを求める。
また、本実施形態のレッグウエアは、脚の筋肉に力を入れた時など、皮膚が緯方向に伸びた場合であっても、編地が皮膚の伸びに追随するために、経方向に縮む力が働きにくく、ずれ落ちにくいレッグウエアとなる。
さらに、本実施形態のレッグウエアは、歩行時などに脹脛や大腿部の筋肉の膨隆、収縮が繰り返された場合であっても、脹脛部における経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.6〜1.7であることにより、脹脛の筋肉である腓腹筋での着圧の変化がほとんどなく、疲労しにくいレッグウエアとなる。経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.6未満や1.7より大きい場合には皮膚の動きに追随し難いため、ずれ落ちが起こりやすく、不快となることがある。また、筋肉への着圧の変化も大きくなるため、疲労が生じやすい場合があり、好ましくない。
本実施形態の膝部を含むレッグウエアでは、歩行などに大きく皮膚の伸び縮みが生じる膝部においても、脹脛部と同様に、着用状態から経方向と緯方向にそれぞれ30%伸長した時の経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.6〜1.7であり、かつ、30%伸長・回復3回繰り返し後の着用状態荷重保持率の経緯平均が85%以上であることが好ましい。前記膝部においても、前記経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.7〜1.5であることが特に好ましい。
着用状態に伸長する場合、膝部の長さ方向(経方向)は、脹脛部と同様に伸長した状態にあり、幅方向は、人体の膝部の周径が35cmであるため、脹脛部の幅方向(緯方向)の長さをycmとすると(35/y)×100(%)に伸長した状態である。
着用状態に伸長する場合、大腿部の長さ方向(経方向)は、脹脛部と同様に伸長した状態にあり、幅方向は人体の大腿部の周径が45cmであるので脹脛部の幅方向(緯方向)の長さをycmとすると(45/y)×100(%)伸長した状態にある。
着用状態に伸長する場合、踵部の長さ方向(経方向)は、脹脛部と同様に伸長した状態であり、幅方向は人体の踵部の周径が30cmであるので踵部の幅方向(緯方向)の長さをycmとすると(30/y)×100(%)伸長した状態にある。
実着用時のずれやフィット感は、編地の伸長回復率が大きく影響するが、実際の人体の動きに編地が追随するためには、伸長後の瞬間的な回復性が重要である。
瞬間的な回復性は、以下の方法で測定する。試験機の概略図を図1に示す。大栄科学精器(株)製のデマッチャー疲労試験機(DC−3型)を使用し、試験機の固定試料把持部1aに脹脛部の着用状態に合わせて20cm角にサンプリングした試料を試料固定枠1bに固定し、試験機に設置する。更に、同試験機の可動試料把持部1cに突き上げ丸棒1dを設置する。突き上げ丸棒1dの最大突き上げ高さが試料固定枠1bから上方に6cmとなるように、突き上げ丸棒の高さを調節する。突き上げ丸棒の最大突き上げ高さは、最大突き上げ時の試料が約50%伸長するように設定したものである。
この時の試料たるみが少ないものほど、瞬間的な回復性に優れ、運動時の追随性が良好となる。突き上げ500回後の最大試料たるみは好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.0mm以下である。
2種類以上の被覆弾性糸や非弾性繊維を使用した場合は、その全ての非弾性繊維において、上述の開き角度が既定の範囲に入ることが好ましい。
本明細書中、用語「経方向の密度と緯方向の密度の比」とは、前記した脹脛部の着用状態での経方向の密度(コース数)及び緯方向の密度(ウェール数)をJIS−L−1096、8.6.2の「編物の密度」に記載の25.4mmの区間のコース数及びウェール数を測定し、下記式:
密度比=(経方向の密度:コース数)÷(緯方向の密度:ウェール数)
により求めた値である。
本明細書中、用語「耐摩耗性」とは、JIS−L−1076、8.1.3に記載の耐摩耗性評価のC法により評価される値である。
糸長比=(非弾性繊維の糸長)÷(弾性繊維の糸長)
で求めた値である。
編機のゲージは、特に限定されない。320本〜440本の編機を、用途や使用する繊維の太さによって、任意に選択することが好ましい。
本実施形態のレッグウエアは、生機を作成した後、製品種、デザインに応じて、つま先部やパンティ部、クロッチ部の縫製を行う。次いで通常の方法で、ドラム染色機、パドル染色機などを用いて、精練、染色を行い、型板等を用いてスチームセットを行う。加工方法は、通常の弾性繊維混丸編地の加工方法に準じて行えばよいが、少なくとも脹脛部の着用状態から経方向と緯方向にそれぞれ30%伸長した時の経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比を0.6〜1.7にし、かつ、30%伸長・回復3回繰り返し後の着用状態荷重保持率の経緯平均が85%以上にする必要があることから、スチームセット時の少なくとも脹脛部における編み目の密度を前記のように調整することが特に好ましい。
スチームセット条件は、通常より高めの110〜130℃で15〜30秒で行うのが好ましく、より好ましくは115〜125℃で15〜25秒である。
更に、染色と同浴又は染色後に、柔軟加工、吸汗加工、制電加工、防汚加工、抗菌加工、消臭加工、防臭加工、紫外線吸収加工などを、最終的な要求特性に応じて適宜付与することができる。
本実施形態のレッグウエアは、脹脛部が経方向にも緯方向にも伸びやすいために、動いた時に膝曲げのように皮膚が経方向に伸びた場合であっても追従し、ずれ落ちしにくい。また、脚の筋肉に力を入れた時などに皮膚が緯方向に伸びた場合であっても編地が皮膚の伸びに追随するために経方向に縮む力が働きにくく、ずれ落ちにくい。さらに、歩行時など脹脛や大腿部の筋肉の膨隆、収縮が繰り返された場合であっても着圧の変化がほとんどなく、疲労しにくいレッグウエアとなる。
実施例における各評価は次のとおり行った。
(1)各部の伸長特性
(i)各部の編みこみ長
各部の位置で、100ウエール分の糸を抜き出し、その繊度の1/10(g)の荷重をかけた時の糸の長さを計測した。
各部の位置とは次のとおりである。
脹脛の中心の位置は、足先から脚付け根までを含む製品の場合、レッグウエアを平置きした際に足先から脚付け根に相当する位置の長さに対し、足先側から45%の位置にある。足首から脚付け根までを含む製品の場合、足首側から25%の位置、膝下のストッキングの場合、足先から80%の位置にある。
膝部の位置は、足先から脚付け根までを含む製品の場合、レッグウエアを平置きした際に足先から脚付け根に相当する位置の長さに対し、足先側から60%の位置にある。足首から脚付け根までを含む製品の場合、足首側から45%の位置にある。
大腿部の位置は、足先から脚付け根までを含む製品の場合、レッグウエアを平置きした際に足先から脚付け根に相当する位置の長さに対し、足先側から80%の位置にある。足首から脚付け根までを含む製品の場合、足首側から65%の位置にある。
踵部の位置は、足先から脚付け根までを含む製品の場合、レッグウエアを平置きした際に足先から脚付け根に相当する位置の長さに対し、足先側から20%の位置にある。膝下のストッキングの場合、足先から35%の位置である。
(ii)伸長特性の測定方法
各部の伸長特性は各部を着用状態に伸長させて計測する。各部の測定試料を無荷重で適当な治具にセットし、前述の着用状態になるまで経緯とも伸長し、 着用状態で9cm×9cmの正方形にマーキングした。試料を治具から外し、チャッキングのため周囲約1cm〜1.5cm大きくカットし、必要により、ランが走らないように処置した。
脹脛、膝部、大腿部について同様に評価した。設定値は前述の内容に従った。
さらに、膝下のストッキングについても、足先から脚付け根までを含む製品と同様に測定した。
ここで、
伸長力の比=(経方向伸長力(伸長時荷重))÷(緯方向伸長力(伸長時荷重))
保持率=(30%伸長・回復を3回繰り返した後の着用状態荷重)÷(伸長回復繰り返し前の着用状態荷重)×100(%)
編地表面の拡大写真を撮り、図2のように編みループを構成する左上りの繊維束の中心に線を引き(D)、次に同様に編みループを構成する右上りの繊維束の中心に線を引く(E)。この(D)線と(E)線に挟まれた角度(F)を、場所を変えて、計10か所測定し、その平均値で求めた。
大栄科学精器(株)製のデマッチャー疲労試験機(DC−3型)を使用し、試験機の固定試料把持部1aに脹脛部の着用状態に合わせて20cm角にサンプリングした試料を試料固定枠1bに固定し、試験機に設置した。更に、同試験機の可動試料把持部1cに突き上げ丸棒1dを設置する。突き上げ丸棒1dの最大突き上げ高さが試料固定枠1bから上方に6cmとなるように、突き上げ丸棒の高さを調節した。突き上げ丸棒の最大突き上げ高さは、最大突き上げ時の試料が約50%伸長するように設定した。
(株)ライブラリー社製高速度カメラ「ひまわりGE200」を、三脚を用いて試料固定枠と水平であって試料固定枠前面から20cmの位置に設置した。デマッチャー疲労試験機を1分間に500回の突き上げ動作を行うように設定し、稼動させ、500回目の突き上げ動作を1秒間に200コマの条件で撮影した。撮影した動画より、突き上げ動作500回後の丸棒下降時に丸棒の先端が試料固定枠の下端を通過した時点を0として、そこから0.05秒以内の試料固定枠からの最大試料たるみを、(株)ライブラリー社製動作解析ソフト「Move−tr/2D」を使用し測定した。
MサイズのレッグウエアをMサイズの女性5名に着用させ、3分間の踏み台昇降を行い、脹脛後面の最大周径部の着圧をエアパック式着圧計(エイエムアイ社製衣服圧測定器、型式3037)を用いて計測し、時間ごとに記録した。各ピーク時の着圧うち、高い3点の平均を最大着圧Pmax、低い3点の着圧を最小着圧Pminとし、着圧変化(=Pmax−Pmin)を求めた。
MサイズのレッグウエアをMサイズの女性5名に着用させ、3分間の踏み台昇降を行い、フィット感、着用快適感、運動終了後の疲労感について5段階評価を行った。フィット感、ずれ感のなさ、着用快適感については、「非常に良好」を5、「良好」を4、「どちらともいえない」を3、「やや不良」を2、「不良」を1、疲労感については、「疲れを感じさせない」を5、「疲れを感じさせにくい」を4、「どちらでもない」を3、「疲れを感じさせやすい」を2、「疲れを感じさせる」を1とし、5名の平均を評価値とした。
22dtexのポリウレタン弾性糸(旭化成せんい(株)製 ロイカ)を3.2倍に伸長しつつ、カバリング糸として、10dtex、4フィラメントのナイロン66糸を用いて通常のカバリング機で下撚数2100T/M、上撚数1700T/Mでダブルカバードヤーンを得た。このダブルカバードヤーンを用いて、針本数400本、釜径4inchのパンスト用丸編機にて、天竺組織にて脚部を編成し、パンティ部とトウ部には56dtex17フィラメントの糸を用いてパンストを作製した。
度目は、標準サイズのパンストのファッショニングに設定した。但し、脹脛部、膝部、大腿部の度目を変更し、以下の表1に示す編みこみ長のパンストを作製した。その後、通常の方法で染色、仕上げを行った後、型板セット時に脹脛部、膝部、大腿部について経方向に以下の表1に示す条件(追込み倍率)でスチームセットした。得られた製品性能結果を以下の表1に示す。
実施例1のカバリング糸と15dtexのウーリーナイロン66糸(とも糸)を1コースおきに編みたて、以下の表1の編みこみ長とセット条件とした他は、実施例1と同条件でパンストを作製した。
1b 試料固定枠
1c 可動試料把持部
1d 突き上げ丸棒
D 左上がりの繊維束の中心線
E 右上がりの繊維束の中心線
F DとEの挟度
Claims (5)
- ポリウレタン弾性糸に非弾性糸を巻きつけた被覆弾性糸を用いて、又は非弾性糸とポリウレタン弾性繊維を用いて編成された編物からなり、少なくとも、脹脛部、膝部、及び大腿部を含むレッグウエアであって、少なくとも脹脛部において、着用状態から経方向と緯方向にそれぞれ30%伸長した状態での経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.6〜1.7であり、かつ、着用状態から経方向と緯方向にそれぞれ30%伸長・回復を3回繰り返し後の着用状態荷重保持率の経緯平均が85%以上であることを特徴とする前記レッグウエア。
- 前記脹脛部において、被覆弾性糸又は非弾性糸の編みループの傾きが70度以下である、請求項1に記載のレッグウエア。
- 前記膝部において、着用状態から経方向と緯方向にそれぞれ30%伸長した状態での経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.6〜1.7であり、かつ、着用状態から経方向と緯方向にそれぞれ30%伸長・回復を3回繰り返し後の着用状態荷重保持率の経緯平均が85%以上である、請求項1又は2に記載のレッグウエア。
- 前記膝部において、被覆弾性糸又は非弾性糸の編みループの傾きが70度以下である、請求項3に記載のレッグウエア。
- パンティストッキング、ストッキング、タイツ、レギンス又はゲイターのいずれかである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレッグウエア。
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