JP6368602B2 - レッグウェア - Google Patents

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本発明は、伸縮時瞬間的に温度が上昇する、弾性糸を含有する薄地のレッグウェアに関する。
従来、保温衣料等、着用時に温度が上昇する衣服として、セルロース等の吸湿発熱繊維を混合した布帛により衣服を製造し、着用時の人体からの不感蒸泄や発汗により発熱させる衣服が知られている(例えば、以下の特許文献1参照)。しかしながら、吸湿発熱繊維は、繊維の吸湿量が飽和に達すればそれ以上発熱することは無く、発熱時間が短いばかりでなく、吸湿量が飽和に達した後は、繊維中の水分により冷感を感じることさえあった。さらに、吸湿発熱以外の発熱布帛や発熱衣服として、面状発熱体や線状発熱体などのヒーターを衣服に組み込むことなどが知られているが、いずれも、電気により発熱するもので、衣服とした際は重くなり、電極も必要で動きにくい衣服となる。
また、最近では着用動作時の編地伸縮時に発熱するという、これまでと全く違った発熱機能を持つ編地が提案されている(例えば、以下の特許文献2と3参照)。
特開2003−227043号公報 特開2011−195970号公報 特開2012−112078号公報
しかしながら、これらの編地は、確かに伸縮時発熱して暖かいが、弾性糸の含有量が多い中〜厚地の編地が多く厚手のタイツ等が主で、薄地の20〜30デニールクラスの筒状の編地からなるレッグウェア(薄手タイツ、パンティストッキング)では、伸縮時発熱しにくく、製品化が困難であった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、弾性糸を含有するレッグウェアにおいて、伸縮時瞬間的に温度が上昇し、編地の伸縮を繰り返せば持続的に伸縮時発熱し、かつ、薄地であるレッグウェアを提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、レッグウェアを構成する筒状の編地を伸縮時発熱させるには、弾性糸の伸縮による発熱を利用するのみでは弾性糸の含有量が多くなり、重たく動き難い衣服となるため、編地の軽量化を行いつつ編地の伸縮による発熱を低下させない方法について重要な知見を得ることができた。つまり、編地を伸縮時発熱させるためには、レッグウェア着用時の動作により、弾性糸を効率よく伸長させることが可能な編地のループ構造を、最適な範囲にすることによって、非弾性糸と弾性糸とからなる編地において、薄手であるにもかかわらず、伸縮時の瞬間発熱温度が1.0℃以上となることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]弾性糸と非弾性糸とからなる筒状の編地からなるレッグウェアであって、該編地のレッグ部は、非弾性糸とのプレーティング編による弾性糸のコース又は非弾性糸で被覆された被覆弾性糸のコースと、非弾性糸のみのコースとが交互に編成されており、弾性糸の含有量は8〜20g/m2であり、レッグ長中間部の、非弾性糸で被覆された被覆弾性糸における又は非弾性糸と弾性糸とのプレーティングにおける、該非弾性糸の編地100ウェール当たりの編込長が290〜450mmであり、該編地を経方向に80%まで伸長後元の長さに戻し、伸縮途中の50%時点での往路応力と復路応力を測定し、下記式(1):
応力比=(50%時点の復路応力(N))/(50%時点の往路応力(N))
で求められる応力比が0.40〜0.80であり、下記式(2):
繊度比=(非弾性糸の繊度/弾性糸の繊度)
で求められる編地中の弾性糸と非弾性糸との繊度比が0.25〜0.55であり、そして、経方向の伸縮時の瞬間発熱温度が1.0℃以上であることを特徴とする前記レッグウェア。
[2]前記編地を経緯両方向に30%伸長させたときの編組織一単位中のシンカーループとニードルループとを加えた長さLaと、編地をさらに経方向に50%伸長させたときの編組織一単位中のシンカーループとニードルループとを加えた長さLbにより求めるループ比が、1.10≦Lb/La≦1.30である、前記[1]に記載のレッグウェア。
[3]前記筒状の編地が、身体に密着し、かつ、少なくとも関節部を覆う、前記[1]又は[2]に記載のレッグウェア。
本発明のレッグウェアは、歩行等による股関節、膝関節の曲げ伸ばしにより、臀部下部、膝部、大腿部の編地が1.0℃以上発熱し、薄いのに暖かく、寒いときに厚着しなくてもよいレッグウェアである。
本発明のニードルループとシンカーループの長さの測定を説明するための図面に代わる写真である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態のレッグウェアは、釜径4〜5インチ程度で、26〜34ゲージの筒状の小口径のシングル丸編機(パンスト編機とも称される)により製造される非弾性糸と弾性糸とからなるレッグ部が筒状の編地であって、該編地(以下、各数値は、以下の説明するレッグ長の中間部の編地での数値であり、また、測定するレッグウェアは染色〜仕上げセットを経た製品で測定する)における弾性糸又は被覆弾性糸が1コース毎に編成されており、該弾性糸の含有量が8〜20g/m2であり、レッグ長における中間部の被覆弾性糸にける又は非弾性糸と弾性糸とのプレーティングにおける非弾性糸の100ウェール当たりの編込長が290〜450mmであり、該編地を経方向に80%まで伸長後元の長さに戻し、伸縮途中の50%時点での往路応力と復路応力を測定したときの、下記式:
応力比=(50%時点の復路応力(N))/(50%時点の往路応力(N))
により求める応力比が0.40〜0.80であり、レッグウェアを構成する筒状の編地中の該弾性糸と該非弾性糸との繊度比=(非弾性糸の繊度/弾性糸の繊度)が0.25〜0.55であり、そして、経方向の伸縮時の瞬間発熱温度が1.0℃以上であることを特徴とする。
また、本実施形態のレッグウェアは、好ましくは、編地を経緯両方向に30%伸長させた時の編組織一単位中のシンカーループとニードルループとを加えた長さLaと、編地をさらに経方向に50%伸長させたときの編組織一単位中のシンカーループとニードルループとを加えた長さLbで求められるループ比が、1.10≦Lb/La≦1.30である。
本発明における瞬間発熱温度とは、伸縮以外に外部からのエネルギー供給がなく、風による伸長発熱温度が変化しない条件下で、編地を2枚重ねにして編地の上下を把持して100%伸長し、次いで緩和してもとの長さに戻す工程を1回とする繰り返し伸縮を500回行う間に編地が示す最高温度をサーモグラフィで測定し、試験開始前の編地温度との差から算出される値である。
500回の100%伸縮中又は伸縮完了直後に、編地温度が試験開始前編地温度より高くなれば、瞬間発熱していることを示す。本実施形態のレッグウェアの編地は、この方法により測定した瞬間発熱温度が1.0℃以上あることを特徴とする。1.0℃未満の瞬間発熱温度では、ほとんど発熱を感じられない。瞬間発熱温度は好ましくは1.5℃以上、より好ましくは2.0℃以上である。瞬間発熱温度が高いほど好適であり、人体に悪影響を与えない範囲であれば上限は特に限定されないが、瞬間発熱温度を高くするために弾性繊維の含有量が多くなりすぎると編地がハイパワーとなって衣服として動き難くなるため、瞬間発熱温度は10℃以下であることが好ましい。
弾性糸を含有する従来の暖かいレッグウェアは、保温性を重視するため厚地となり、動き難くて審美性のよくないものであった。これに対し本実施形態のレッグウェアは、伸縮により発熱する薄地のレッグウェアであり、従来品とは全く異なる発想の編地である。このため、100%伸縮時の瞬間発熱温度を1.0℃以上とするには、弾性糸の含有量、弾性糸の編込量、編地の伸度、編地の応力比等を適正な範囲とすること、すなわち、弾性糸の糸使い、ループ形状等の編地設計と、伸縮時発熱を効率的に発揮するための弾性糸の伸長率、被覆弾性糸使いの場合は弾性糸のドラフト率、撚り数を含めた編地製造方法とが重要で、本発明により初めて100%伸縮時の瞬間発熱温度が1.0℃以上である伸縮性編地が得られ、レッグウェアとして着用した時に、着用時の人体関節の伸長量である僅か30〜50%の伸長でも発熱し、着用時に発熱が実感できるようになったものである。
本実施形態のレッグウェアにおいて、100%伸縮時の瞬間発熱温度を1.0℃以上とするには、弾性糸が伸縮時発熱に大きく寄与している為、弾性糸の含有率が重要であり、そのため、筒状に編成されるレッグ部の編地中に弾性糸を8〜20g/m2含有させることが必要で、弾性糸を多く含有するほど発熱温度が高くなるが、弾性糸の含有量が多くなり過ぎると編地重量が増し、編地がハイパワーとなってレッグウェアとして動き難くなり、弾性糸の含有量が少ないと伸縮時発熱温度が低くなるため、弾性糸の含有量は8〜20g/m2、好ましくは10〜18g/m2とするのがよい。
本実施形態のレッグウェアは、インナー素材やスポーツ素材と違ってかなり薄く、通気性も大であるため、伸縮により発熱しても高通気であるためすぐに冷却されて編地の温度上昇は低くなる。そこで、このような高通気の編地であっても衣料着用動作時に発熱を実感できる伸縮時発熱する編地設計について検討した結果、本願発明者らは、編地の応力比、及び規定した応力比を達成する手段を見出した。
例えば、弾性糸は伸長される際発熱し、伸長緩和時吸熱され、完全な弾性体、すなわち、伸長時の伸度―応力曲線(S−Sカーブ)が全く重なっているような弾性体は伸長時の発熱と伸長緩和時の吸熱温度はほぼ同じとなり、つまり、伸長時と伸長緩和時のサイクル全体で発熱量はほぼ0となる。本発明では、編地の伸長時の発熱温度に対して、伸長緩和時の吸熱を最小限に抑えるための編地応力比の規定、及び規定した応力比の範囲を達成するための手段を見出したものである。
応力比については、最適な条件があり、すなわち、伸縮時の応力比は0.40〜0.80であることが極めて重要である。一般の緯編地の応力比は0.80超であるが、応力比が0.80より大きいと伸長時発熱しても伸長緩和時に吸熱現象が生じ、結果として発熱が小さくなりやすい。また、応力比が0.40未満の場合は、伸長しても伸長前の状態に戻りにくいため、伸縮時発熱温度が高くならず、レッグウェアとした際、膝関節や股関節を曲げ伸ばしした後に編地が変形やズレによりレッグウェアが型崩れして好ましくなく、さらに、応力比が高すぎる場合には、伸縮時発熱温度そのものが低くなる。従って、応力比は、0.40〜0.80が好ましく、0.45〜0.75がさらに好ましい。
応力比のコントロールは弾性糸の含有量、弾性糸そのものの応力比(弾性糸の伸長時、伸長50%での往復の応力性能)、被覆弾性糸の場合は、撚り数、弾性糸と非弾性糸との長さ比(以下、ドラフト率と称す)や、仕上げ時の熱処理条件が重要で、また、編地の滑り性により、応力比のコントロールが可能である。より具体的に例示すると、弾性糸を一般的な弾性糸より小さい応力比の弾性糸を使用して編地作製する方法、また、被覆弾性糸の場合は、撚り数を通常の撚り数より若干高くする、ドラフト率も通常より若干高くして3.0前後とすることにより応力比を適切な範囲とし易くなる。また、編地の染色仕上げ時でも応力比のコントロールが可能で、特に、レッグウェア製造工程で最終的に型枠に入れて湿熱によりヒートセットする際の加熱条件を強くするのが効果的で、通常のレッグウェアのセット温度である100℃前後よりも若干高くして、105℃〜130℃でのヒートセットが好ましく、セット温度を高くできない場合は、セット時間を通常のセット時間より長くすればよく、例えば、40〜90秒程度とするのが好ましい。
さらに、編地が滑りやすくなるように仕上げれば応力比が小さくなり易い。仕上げ剤で具体的に示すと、シリコン系の平滑剤は使用しないことが好ましく、例えば、ポリエステル系の仕上げ剤や、仕上げ剤を使用しないで仕上げることにより応力比を規定の範囲に収めやすい。なお、応力比は、編地を経方向に80%まで伸長後元の長さに戻し、伸縮途中の50%時点での往路応力と復路応力を求め、下記式:
応力比=(50%時点の復路応力(N))/(50%時点の往路応力(N))
により、少数点以下3桁目を四捨五入して求める。
なお、応力比を伸長、及び、回復50%時点での応力により求めるのは、編地伸長時に発熱した温度を伸長回復時に吸熱する程度を捉えやすいことを見出したためである。
本実施形態のレッグウェアは、被覆弾性糸、又は、非弾性糸と弾性糸とのプレーティングにおける、非弾性糸の編込長も重要であり、レッグ長中間部の編地100ウェール当たりの編込長が290〜450mmとすれば、レッグウェア着用動作時に弾性糸が効率よく伸長されて伸縮時発熱温度が高くなり、編地100ウェール当たりの編込長が290mm未満の場合は、レッグウェア着用時、着圧が高くて窮屈となり、また、編込長が450mm以上となると、弾性糸がレッグウェア着用動作時に弾性糸が伸長されにくく発熱温度も低い。従って、編地100ウェール当たりの被覆弾性糸、又は、非弾性糸と弾性糸とのプレーティングにおける、非弾性糸の編込長は290〜450mmとし、好ましくは300〜410mmとする。なお、非弾性糸又は被覆弾性糸の編込長は以下の方法により求める。
測定部位は、股下から爪先までのレッグ長の中間部で測定し、レッグ衣料がレギンス等で膝下や足首から爪先までがない場合でも、股下からレッグ部最下部までの中間部で測定する。測定では、非弾性糸に弾性糸がプレーティングで編成されている場合は、非弾性糸の100ウェール当たりの編込長を、初荷重0.05N(ニュートン)により測定する。また、被覆弾性糸の場合は、被覆弾性糸の弾性糸と非弾性糸を分離して非弾性糸の編込長を前記法により測定する。
なお、この場合、弾性糸と非弾性糸の分離が困難な場合は、被覆弾性糸中の弾性糸のみを数cm毎に切断し、前記法により測定する。これらにより100ウェール当たりの編込長を10本測定し、その平均値を編込長とする。
本実施形態のレッグウェアでは、弾性糸含有量、非弾性糸、又は被覆弾性糸の100ウェール当たりの編込量、応力比、ループ比に加え、繊度比を特定の範囲にすることにより、伸縮時発熱温度が高くなり好ましい。従って、弾性糸と非弾性糸との繊度比を0.25〜0.55が好ましいが、通常のレッグウェアの編地の繊度比は0.60〜0.80程度であるため、本実施形態のレッグウェアの編地は、非弾性糸の繊度より弾性糸の繊度が大きいのが特徴であり、この編地を通常に編成して仕上げた場合、風合いが硬く、編地応力が高くなりすぎることがある。そこで、本実施形態のレッグウェアを製造する場合、編成時に弾性糸を通常より伸長して、編地中の弾性糸を見掛け上細くなる様に編成し、スチームセット固定することにより弾性糸のパワーを低くすることが重要である。
さらに、染色加工時、通常よりも編地を伸長気味に仕上げることが好ましく、目安としては生機の長さより10%程度以内の収縮となるよう仕上げるようにする。これにより、弾性糸の含有量は少し低下するが編地中の弾性糸は伸長されたままとなる結果、通常の編地では、弾性糸原糸の繊度と、染色加工後の弾性糸の繊度とを比較すると、染色加工後の弾性糸の繊度は、原糸の繊度と同じかそれより2〜3%細くなっているのに対し、本実施形態の伸縮性編地では、弾性糸原糸の繊度と染色加工後の繊度を比較した場合、染色加工後、4〜10%程度弾性糸が細くなり、伸縮時発熱温度の低下は少ないのに編地応力は低くすることが可能となっている。
繊度比の求め方は、レッグウェア製品から編地中から弾性糸と非弾性糸とを抜き出して分離し、それぞれ同一コース内で同一ループ数における重量比で求める。
弾性糸と非弾性糸とが分離できない場合は、編地を伸長していない状態で編地を構成する組織中の非弾性糸と弾性糸の断面を観察して断面積を求め、それぞれの断面積についてマルチフィラメントの場合はフィラメント数分の和を、非弾性糸と弾性糸別々に求めた数値を繊度とする。この際、糸の断面は円形、楕円形、W型、三角形、L型等種々の形があり、電子顕微鏡等での観察のみでは断面積を測定できない場合が多く、そのため、断面積を容易に求めるには、糸の断面観察時、面積と重量の判っているほぼ均一な用紙に断面を拡大して印刷し、印刷後に断面通りに裁断して裁断後の用紙の重量を測定し裁断前の用紙の重さと拡大率の比で断面積を求めることが可能である。この場合、弾性糸と非弾性糸とを同じ倍率で観察して用紙に印刷して断面を裁断し、弾性糸と非弾性糸の断面積を比較すれば繊度比が容易に求めやすくなる。また、紡績糸の場合も同様に、断面を印刷後に、1本1本の繊維の断面を裁断し、裁断面での繊維数(単糸数)の和を断面積とする。断面積を測定する部位は、ニードルループ部分とシンカーループ部分とで行い、測定はループを変えて、ニードルループ、シンカーループそれぞれ10ヶ所の断面で求めた平均の断面積、及び、これより繊度比を求める。ニードルループ部分、シンカーループ部分とも、同じループでありながら伸ばされていたり、変形等により形状が異なるループが存在している場合、この場合は、編地中最も多い形状の部位で測定し、下記式:
繊度比=(非弾性糸の断面積)/(弾性糸の断面積)
により求める。
また、用紙に断面を印刷し、断面を切り取って繊度比を求める場合は下記式:
繊度比=(非弾性糸の断面を切り取った用紙の重量)/(弾性糸の断面を切り取った用紙の重量)
により求める。
なお、繊度比の計算は、少数点以下3桁目を四捨五入して繊度比を求める。
本発明のレッグウェアは、着用時の動作により弾性糸が効率よく伸長されることも重要である。すなわち、弾性糸を含有する従来の編地では、弾性糸が編地中に蛇行や湾曲しており、編地伸長時に、まず弾性糸の蛇行又は湾曲が伸ばされ、弾性糸が真っ直ぐになる。さらに、ニードルループとシンカーループの交差部でループのズレも生じ、伸長方向によりニードルループ又はシンカーループが小さくなる、すなわち、ニードルループとシンカーループの長さの合計の変化に優先して、弾性糸の蛇行や湾曲が真っ直ぐになったり、ループ変形が生じる。それらの変化の後、弾性糸が伸長されるため、伸長時の発熱を得るためには非常に効率の悪い構造である。
これに対し、本実施形態のレッグウェアによる編地では、編地中の弾性糸の蛇行や湾曲が極めて小さく、編地の伸長が効率よく弾性糸を伸長することになり、その結果、伸縮時高い発熱の編地となる。従来編地と本発明の伸縮性緯編地とのこれらの構造的な差異は、次の方法により明確にできる。
編地を経、緯両方向に30%伸長した時の、編組織一単位中の弾性糸、又は、被覆弾性糸のシンカーループの長さとニードルループの長さとを加えた長さをLaとする。さらに、経方向に編地を50%伸長させた場合の編組織一単位中の弾性糸、又は、被覆弾性糸のシンカーループの長さと非弾性糸のニードルループの長さとを加えた長さをLbとによりループ比Lb/Laを求める。これらの測定により求めたループ比について、伸縮時高い発熱の編地とするためには、1.10≦Lb/La≦1.30を満足することが好ましく、弾性糸、又は、被覆弾性糸の編込長や染色加工工程条件を調整することより、Lb/Laをこの範囲にすることができる。Lb/Laがこの範囲内であれば着用感を損なうことなく編地は伸長時に発熱する。なお、Lb/Laが1.10未満であれば、編地中の弾性糸の伸長率が低く、その結果、伸縮時の発熱温度も実感できないほど低い。さらに、弾性糸の伸長及び伸長回復が悪く、伸長した編地が元に戻らず膝抜け等の型崩れが生じ易い。また、1.30より大きいと、レッグウェアのパワーが高くなりすぎるため着用し難かったり、動き難い衣服となるばかりでなく、編地の変形が大きく、弾性糸と共に非弾性糸の変形も大きくなりすぎる結果、伸長回復性が不足し、伸長緩和時に編地が波打ったり、洗濯による寸法変化が生じたりして、型崩れの原因となる。従って、LaとLbは、1.10≦Lb/La≦1.30を満足することが好ましく、より好ましくは1.12≦Lb/La≦1.25である。その結果、伸縮により発熱するとともに、着用時及び洗濯時に型崩れのない衣服とすることが可能となる。
La及びLbは、編地のニードルループ側(テクニカルフェース)から撮影した拡大画像を用いて以下に記載する方法で測定した、編組織一単位中の弾性糸のシンカーループの長さと非弾性糸のニードルループの長さから求める。ここで、本来ならニードルループも弾性糸の長さを測定するのが好ましいが、弾性糸のニードルループは非弾性糸により覆われていることが多く、はっきりループ長を測定することが困難である。従って、非弾性糸のニードルループの下に隠れて弾性糸のニードルループが存在していると確認できる箇所を選択し、伸長時に弾性糸とほぼ同じ動きをする非弾性糸のニードルループの長さを測定して、編地伸長による弾性糸のニードルループ長変化の代用とする。無論、拡大画像を撮影する箇所として、非弾性糸に下に隠れて弾性糸のニードルループが存在しない箇所は選択しない。
以下、各ループ長の測定方法について図1を参照して説明する。図1では被覆弾性糸と非弾性糸とを1本交互に編成している編地の測定例であるが、編地の経緯両方向へ30%伸長し、この状態で編地のニードルループ側を拡大観察する。被覆弾性糸のニードルループ(1)の下部最下部両側の2カ所をそれぞれ、始点(○印:a)と終点(○印:b)とし、始点aから終点bに至るループ長を測定してニードルループの長さとする。シンカーループ(2)については、ニードルループ下部終点(○印:b)をシンカーループの始点とし、隣のウェールのシンカーループの終点(ニードルループの始点と同じ)(○印:c)までの長さをシンカーループの長さとする。
また、弾性糸がウェルト組織によりシンカーループが2ウェール以上に跨っている場合は、シンカーループの途中に存在するニードルループに隠されている部分のシンカーループは測定せずに表面から観察されるシンカーループのみの長さを測定し、各ウェールのシンカーループ長の和をシンカーループの長さとする。
非弾性糸と弾性糸とのプレーティングの場合も同様に、ニードルループは非弾性糸に隠れて弾性糸は見えないため非弾性糸のニードルループの長さを測定し、シンカーループは表面から観察できるので弾性糸の長さをシンカーループの長さとする。この場合、ニードルループ下部の弾性糸は観察できないが、弾性糸の場所を推定して測定すればよい。
被覆弾性糸、及び、弾性糸及び非弾性糸のどちらも、繊維束の幅方向中央部の長さを測定する。それぞれ測定後に非弾性糸のニードルループの長さに弾性糸のシンカーループの長さを加え、編組織一単位中のループの長さの合計を求めてLaとする。次いで、編地をさらに経方向へ50%伸長し、同様にして編組織一単位中のループの長さの合計を求めてLbとし、1.10≦Lb/La≦1.30となればよい。
La及びLbの測定において、各ループの長さをミクロン(μm)単位で測定し、少なくとも小数点3桁目までの長さを求め、任意に10カ所測定した平均長さを求める。この平均長さに基づいてLb/Laを計算し、小数点3桁目を四捨五入する。
また、編組織一単位とは、ニードルループとシンカーループとの組織で、繰り返される一単位をいい、天竺以外の組織として、例えば、ウェール方向にニットとタックを1ウェール毎に繰り返す場合は、タックループもニードルループとして、ニットループ1ループとタックループ1ループとの和が一単位のニードルループであり、これに、シンカーループ2ループを加えた長さがLa又はLbとなる。なお、編組織がウェルトの場合は、非弾性糸によるニードルループの幅を、ウェルト組織時のニードルループ長とする。
本実施形態のレッグウェアで、ループ長の変化比Lb/Laを1.10≦Lb/La≦1.30とするには、下げカムの深さ(度目)、シンカー形状の変更及び糸供給量の調整により弾性糸の湾曲や蛇行を減らすことで達成可能で、特に重要な設計は弾性糸、又は、被覆弾性糸の編込長であり、さらに、通常の製品ではレッグ部の長さが生機の長さよりかなり短くなっているが、本発明ではループ比を適切な範囲にとなるよう、製品のレッグ部の長さが生機の長さより、10%程度以内の収縮となるよう、仕上げ熱処理時の型枠の大きさ、型枠でのセット長調整、セット時間等の条件等により設定する。
本実施形態のレッグウェアは、パンスト編機等の小径の筒編機により製造可能であり、編組織については、天竺組織、鹿の子組織等のニットループ主体の編組織による編成が可能である。特に、天竺組織の場合は、28ゲージ以上の編機の使用が好ましく、また、弾性糸の編成法については、弾性糸と非弾性糸とをプレーティング(添え糸編)して編成する、弾性糸に非弾性糸をカバーリングした被覆弾性糸とすればよく、これらを単独で又は混合して編地とすることができ、レッグ部の編地中に非弾性糸のみのコースと、被覆弾性糸、又は、非弾性糸とのプレーティング編による弾性糸を1本交互に編成する。また、被覆弾性糸は、弾性糸に非弾性糸を巻きつけたSCYやDCYのカバーリング糸や、撚糸、噴射加工糸等でも可能で、さらに、紡績糸により被覆したCSYによる被覆弾性糸でも構わない。
本実施形態のレッグウェアでは、タックループ又はウェルトループを編地中に組織することも可能で、これらタックループ又はウェルトループを形成することにより伸縮時発熱温度は高くなり、単独又は組み合わさって組織されていてもよく、組み合わせの例としてウェール方向にニットループとタックループ又はウェルトループとを交互に又は任意な繰返し単位で配置した組織、あるいは、コース方向に、ニットループとタックループ又はウェルトループとを交互に又は任意な繰返し単位で配置した組織が使用でき、無論、編地中に経ボーダー柄、緯ボーダー柄、花柄等の形成することも可能である。
また、本実施形態では、レッグ部の編地における弾性糸、又は、被覆弾性糸が1コース毎に編成されており、他のコースは非弾性糸のみで編成されている。該非弾性糸については任意な繊維種、任意な繊度の糸が使用できるが、好ましくは、被覆弾性糸、または、弾性糸と非弾性糸とでプレーティングを行うコースとの総繊度以下の方が、薄手のレッグウェアとなり好ましい。
本実施形態のレッグウェアは、編組織や、糸使いを変更したり、樹脂プリント等を施したりすることにより、点状、直線状、曲線状等の部分的にパワーが異なる高パワー部と低パワー部とを混在させてもよい。この場合、編地中の一部分でも本性能を満足すればよい。例えば、膝など伸長発熱効果が欲しい部分のみ伸縮時高発熱編地を配し、膝回り等は高パワーの低伸長編地を配置することも可能で、この場合、膝の動きで暖かくなり、また、低伸長部で膝関節の保護等を狙った製品とすることが可能となる。
本実施形態のレッグウェアに使用する弾性糸は、ポリウレタン系又はポリエーテルエステル系の弾性糸であることができ、例えば、ポリウレタン系弾性糸としては、乾式紡糸又は溶融紡糸したものが使用でき、ポリマーや紡糸方法は特に限定されない。弾性糸の破断伸度は400%〜1000%程度であり、かつ、伸縮性に優れ、染色加工時のプレセット工程の通常処理温度180℃近辺で伸縮性を損なわないことが好ましい。また、弾性糸としては、特殊ポリマーや粉体添加により、高セット性、抗菌性、吸湿、吸水性等の機能性を付与した弾性糸も使用可能である。弾性糸の繊度に関しては、20〜70dtex程度の繊維の使用が可能で、編地製造が容易で伸長発熱温度も高い、30〜60dtex程度の弾性繊維の使用が好ましい。また、弾性糸に非弾性糸を巻きつけたカバーリング糸、撚糸した糸、及び非弾性糸と弾性糸とを空気噴射等により混繊した混繊糸等、これら被覆弾性糸の使用も可能である。
さらに、本実施形態のレッグウェアは、弾性糸に無機物質を含有することが可能で、含有する無機物質の性能を加味した編地とすることができ、例えば、酸化チタンを含有させると、編地の発熱を酸化チタンに蓄え、遠赤外線効果による保温性を付与することができる。無機物質の含有法としては、弾性糸の紡糸原液に無機物質を含有させて紡糸する方法が最も簡単である。無機物質とは、酸化チタン等のセラミックス、カーボン、カーボンブラック等の無機物単体及び/又は無機化合物をいい、弾性糸の紡糸の障害とならない様、微粉末状が好ましい。これら無機物質は弾性糸に1〜10重量%含有されていることが好ましく、無機物質を含有することにより、編地の発熱時保温効果をより効果的に発揮することが可能となる。なお、無機物質は少ないと保温効果が小さく、多すぎると紡糸時や伸長時に糸切れすることがあるため、1〜10重量%の含有が好ましく、より好ましくは2〜5重量%の含有である。
本実施形態のレッグウェアに用いられる弾性糸は、ポリウレタン系弾性糸やポリエーテルエステル系弾性糸が挙げられるが、伸縮時発熱温度を上げるには、弾性糸の分子量を上げる方法がある。他の方法としては、応力比を小さくした弾性糸の使用が好ましく、例えば、特開2001−140127号公報に示される、第1級アミン又は第2級アミンのいずれかの1官能性アミン、水酸基、及び第3級窒素又は複素環状窒素から選ばれる少なくとも1種を含む窒素含有化合物と有機ジイソシアナートとが反応して得られる、1分子あたりの平均ウレア結合単位数が4〜40個であるウレタンウレア化合物;特許第4343446号公報に示される、第1級アミン及び第2級アミンのうちの少なくとも1種から選ばれる2官能性アミノ基、第3級窒素及び複素環状窒素のうちの少なくとも1種から選ばれる窒素含有基を含む窒素含有化合物と、有機ジイソシアナート、モノ又はジアルキルモノアミン、アルキルモノアルコール、及び有機モノイソシアナートからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを反応させて得られるウレア化合物;特開平7−316922号公報に示される、ポリアクロニトリル系ポリマー、低分子ジオール、及びポリマージオールの混合物と、有機ジイソシアナートとの反応で得られる末端水酸基構造であるポリウレタン;あるいはスチレン−無水マレイン酸共重合体等を添加して紡糸する方法がある。上記末端水酸基構造であるポリウレタンとしては、炭素原子数2〜10の直鎖状又は分岐状アルキレン基若しくは二価の脂環式炭化水素の両末端に水酸基を有する低分子ジオール及び数平均分子量400〜3000の高分子ジオールの混合物(モル比1〜99)と有機ジイソシアナートとの反応物であって、末端が水酸基でありウレタン基濃度が3ミリ当量/g以上である数平均分子量10000〜40000のポリウレタン重合体であることが好ましい。これらを単独で又は2種以上混合して弾性糸中に添加すればよいが、添加量が少ないと伸縮時発熱温度効果が低く、逆に添加量が多いと、編地伸長回復性が低下し、着用、洗濯により型崩れが生じやすくなるため、添加量は、弾性糸重量に対して2.0〜15.0%、好ましくは2.5〜8.0%とする。
本実施形態に用いる非弾性糸としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、並びにポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、さらに、キュプラ、レーヨン、綿、竹繊維等のセルロース系繊維、羊毛等の獣毛繊維等、あらゆる繊維の使用が可能である。また、これらのブライト糸、セミダル糸、フルダル糸等を任意に使用でき、繊維の断面形状についても、丸型、楕円型、W型、繭型、中空糸等任意の断面形状の繊維が使用可能であり、繊維の形態についても特に限定されず、原糸、仮撚等の捲縮加工糸が使用でき、非弾性糸の太さは10〜60dt、好ましくは、13〜45dtの非弾性糸の使用が好適である。さらに、長繊維でも紡績糸でもよく、また、2種以上の繊維を撚糸、カバーリング、エアー混繊等により混合した複合糸の使用も可能である。さらには、繊維自体での混合ではなく、編機上での2種以上の繊維の混合も無論可能である。
本実施形態に用いる非弾性糸、特に、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、セルロース系繊維の場合には、無機物質を0.3〜5重量%含有していることが好ましい。無機物質を含有することにより、弾性編地の発熱時、保温効果をより効果的に発揮することが可能となる。なお、無機物質は、少ないと保温効果が小さく、多すぎると紡糸時や伸長時に糸切れすることがあるため、0.5〜5重量%の含有がより好ましく、さらに好ましくは0.4〜3重量%の含有である。
本実施形態のレッグウェアでは、非弾性糸にセルロース等の吸湿発熱する素材を使用すれば、着用時吸湿により発熱し、運動することによっても発熱することになり、本発明の効果をより高めることが可能である。さらに、紡績糸の使用や起毛により発熱した熱を逃がし難くでき、保温効果を高めることも可能である。
本実施形態のレッグウェアの染色仕上げ方法としては、通常の染色仕上げ工程を使用でき、使用する繊維素材に応じた染色条件とし、使用する染色機もパドル染色機、ドラム染色機など任意であり、吸水性や柔軟性を向上させる加工剤や、保温性を高める加工剤の使用も可能である。
本実施形態のレッグウェアは、特にパンティストッキング、薄手のタイツに有効であるが、スパッツ、スポーツタイツ、コンプレッションタイツ等のスポーツ、インナー用等ボトム類としても使用可能で、さらに、サポーター類の、着用動作時に編地が伸縮される関節部を覆う衣料に縫製すれば、日常の動作、運動により暖かい衣服となる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例における評価は以下の方法により行なった。
(1)サンプリング
以下の測定を行う場所は、未伸長状態で編地に凹凸や変形等、歪のない状態で平置きしたレッグウェアの股下から爪先までのレッグ長の中間部、レッグウェアがレギンス、膝下タイツ等で爪先までない場合は、股下からレッグ最下部までのレッグ長の中間部でサンプリングする。
(2)瞬間発熱温度
瞬間発熱温度の測定は、下記の繰り返し伸縮試験機を使用し、伸長及び緩和(戻し)を規定速度で規定回数繰り返す間の最も高い試料表面温度を測定して求め、編地経方向の瞬間発熱温度を測定する。
繰り返し伸縮機:デマッチャー試験機((株)大栄科学精器製作所製)
試料の大きさ:長さ100mm(把持部除く)、幅60mm
測定環境:温度20℃、湿度65%RHの恒温恒湿条件。伸縮以外に外部からのエネルギー供給を受けない状態で測定する。
伸長量:初期長に対して100%
繰り返し伸縮サイクル:2回/秒
発熱温度測定:繰り返し伸長500回中、及び伸長終了後の試料表面温度を連続的にサーモグラフィで測定する。サーモグラフィの放射率は1.0に設定する。
発熱温度評価:測定する試料表面が最高温となったときの温度を読み取り、伸縮前の温度と比べ上昇した温度を瞬間発熱温度とする。
(3)弾性糸含有量
編地中の弾性糸含有量(g/m2)を、次の方法により求め、小数点一桁を四捨五入する。
編地中の非弾性糸を解撚等分離により除去し、弾性糸のみの重量を測定して単位面積当りの重量に換算する。非弾性糸を解撚、分離により除去することが困難であれば、重量測定後の編地から、弾性糸又は非弾性糸を溶解等により除去して、除去しなかった糸の重量を測定して弾性糸の重量を求める。
(4)応力比
応力比を次の方法により測定する。
試料の大きさ:長さ100mm(把持部除く)、幅25mm
引張り試験機:テンシロン引張り試験機((株)オリエンテック製 RTC−1210A)
初荷重:0.1N
引張り速度、及び回復速度:300mm/分
引張り長、及び測定:80%伸長まで伸長し、同じ速度で伸長後元の長さに戻し(回復させ)、この条件で伸長、回復を3回繰り返し、3回目の伸縮途中の50%時点での往路応力と復路応力を求め、下記式より小数点以下3桁目を四捨五入して求める。
応力比=(50%時点の復路応力(N))/(50%時点の往路応力(N))
[実施例1]
弾性糸44dtex(商品名ロイカSF:旭化成せんい(株)製)にナイロン原糸13dtex/7フィラメントを、弾性糸のドラフト率3.0、撚り数1900T/mでカバーリングして被覆弾性糸とした。この被覆弾性糸と、ナイロン原糸22dtex/7フィラメントとを、釜径4インチ、針数400本(32ゲージ)のシングル丸編機(パンティストッキング丸編機)により天竺組織で1本交互に編成してパンティストッキングを製造することにし、レッグ部の股下から爪先までの中間部の被覆弾性糸の編込長を320mm/100ウェールとし、足首部から大腿にかけて徐々に着圧が低くなる(度目が大きくなる)、段階着圧のパンティストッキングとなるよう製造した。
得られた2本のレッグ部からパンティ部に至る筒状の生機を合わせて縫製し、パンティストッキングとした。次いで、生機のパンティストッキングを折りたたんで100℃で30分スチームセットし、パドル染色機にて精練後、100℃60分ナイロンの染色を行った。染色後、堅牢度向上のためナイロンのフィックス処理後、ポリエステル系の仕上げ剤4%水溶液にて40℃10分で処理してパドル染色機から取り出し、脱水後乾燥した。乾燥後、脚型の型枠スチームセット機に入れ、120℃40秒乾熱処理して仕上げた。なお、この型枠スチームセットでは、レッグ長が生機の長さより10%以内の収縮となるように伸ばしてスチームセットした。
得られたレッグウェアの性能を評価した結果を以下の表1に示す。実施例1の本発明の編地では、伸縮時瞬間発熱温度が1.0℃以上であり、薄くて動き易いのに暖かいレッグウェアとすることができた。
[実施例2〜7、比較例1〜4]
実施例1より編込長を変化させた編地(実施例2〜3、比較例1〜2)、仕上げのスチームセット条件を変更して応力比を変更した編地(実施例4)、弾性糸の繊度を56dtexとした編地(実施例5)、弾性糸の繊度を33dtexとした編地(実施例6)、弾性糸の繊度を22dtexとした編地(比較例3)、弾性糸の繊度を78dtexとした編地(比較例4)及び、型枠の大きさとスチームセットの時間を変えてループ比を変化させた編地(実施例7)以外は、実施例1と同条件でレッグ衣料を製造し、得られたレッグ衣料の結果を以下の表1に示す。
[実施例8]
特開平7−316922号公報の実施例4で用いられたポリウレタン重合体(A剤)、及び、特開2001−140127号公報の実施例1で用いられたウレタンウレア化合物(B剤)を準備し、弾性糸44dtex(商品名ロイカCR:旭化成せんい(株)製)製造時の紡糸浴に、A剤を7wt%及びB剤を3wt%添加して製造し、これを使用したことを除いて、実施例1と同様に編地を作製し、評価を行なった。結果を以下の表1に示す。
[実施例9]
釜径4インチ、針数368本(30ゲージ)のシングル丸編機(パンティストッキング丸編機)でパンティストッキングを製造するに際し、弾性糸44dtex(商品名ロイカSF:旭化成せんい(株)製)とナイロン仮撚り加工糸22dtex/17フィラメントを、弾性糸のドラフト率2.9のプレーティングにより編成するコースと、ナイロン加工糸33dtex/24フィラメントのコースとを交互に配置し、レッグ部の股下から爪先までの中間部の弾性糸とプレーティングするコースの非弾性糸の編込長を350mm/100ウェールとし、足首部から大腿にかけて徐々に着圧が低くなる(度目が大きくなる)、段階着圧のパンティストッキングとなるよう製造した。
得られた2本のレッグ部からパンティ部に至る筒状の生機を合わせて縫製し、パンティストッキングとした。次いで、生機のパンティストッキングを折りたたんで100℃で30分スチームセットし、パドル染色機にて精練後、100℃60分ナイロンの染色を行った。染色後、堅牢度向上のためナイロンのフィックス処理後、ポリエステル系の仕上げ剤4%水溶液にて40℃10分で処理してパドル染色機から取り出し、脱水後乾燥した。乾燥後、脚型の型枠スチームセット機に入れ、120℃40秒乾熱処理して仕上げた。なお、この型枠スチームセットでは、レッグ長が生機の長さの10%以内の収縮となるように伸ばしてスチームセットした。
得られたレッグ衣料の性能を評価した結果を以下の表1に示す。実施例9の本発明の編地では、伸縮時瞬間発熱温度が1.0℃以上であり、薄くて動き易いのに暖かいレッグ衣料とすることができた。
本発明のレッグウェアは、特にパンティストッキング、薄手のタイツに有効であるが、スパッツ、スポーツタイツ、コンプレッションタイツ等のスポーツ、インナー用等ボトム類としても使用可能で、さらに、サポーター類の、着用動作時に編地が伸縮される関節部を覆う衣料に縫製すれば、日常の動作、運動により暖かい衣服となる。
1 ニードルループ
2 シンカーループ
a ニードルループの始点
b ニードルループの終点、及び、シンカーループの始点
c シンカーループの終点

Claims (3)

  1. 弾性糸と非弾性糸とからなる筒状の編地からなるレッグウェアであって、該編地のレッグ部は、非弾性糸とのプレーティング編による弾性糸のコース又は非弾性糸で被覆された被覆弾性糸のコースと、非弾性糸のみのコースとが交互に編成されており、弾性糸の含有量は8〜20g/m2であり、レッグ長中間部の、非弾性糸で被覆された被覆弾性糸における又は非弾性糸と弾性糸とのプレーティングにおける、該非弾性糸の編地100ウェール当たりの編込長が290〜450mmであり、該編地を経方向に80%まで伸長後元の長さに戻し、伸縮途中の50%時点での往路応力と復路応力を測定し、下記式(1):
    応力比=(50%時点の復路応力(N))/(50%時点の往路応力(N))
    で求められる応力比が0.40〜0.80であり、下記式(2):
    繊度比=(非弾性糸の繊度/弾性糸の繊度)
    で求められる編地中の弾性糸と非弾性糸との繊度比が0.25〜0.55であり、そして、経方向の伸縮時の瞬間発熱温度が1.0℃以上であることを特徴とする前記レッグウェア。
  2. 前記編地を経緯両方向に30%伸長させたときの編組織一単位中のシンカーループとニードルループとを加えた長さLaと、編地をさらに経方向に50%伸長させたときの編組織一単位中のシンカーループとニードルループとを加えた長さLbにより求めるループ比が、1.10≦Lb/La≦1.30である、請求項1に記載のレッグウェア。
  3. 前記筒状の編地が、身体に密着し、かつ、少なくとも関節部を覆う、請求項1又は2に記載のレッグウェア。
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