JP6243176B2 - 編み地及び衣服 - Google Patents

編み地及び衣服 Download PDF

Info

Publication number
JP6243176B2
JP6243176B2 JP2013202242A JP2013202242A JP6243176B2 JP 6243176 B2 JP6243176 B2 JP 6243176B2 JP 2013202242 A JP2013202242 A JP 2013202242A JP 2013202242 A JP2013202242 A JP 2013202242A JP 6243176 B2 JP6243176 B2 JP 6243176B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
knitted fabric
elastic yarn
yarn
loop
stress
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013202242A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015067912A (ja
Inventor
吉田 裕司
裕司 吉田
賢二 大屋
賢二 大屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2013202242A priority Critical patent/JP6243176B2/ja
Publication of JP2015067912A publication Critical patent/JP2015067912A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6243176B2 publication Critical patent/JP6243176B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、弾性糸を含有する伸長時瞬間的に温度が上昇する編み地、及びこの編み地からなる衣服に関する。
従来、保温衣料等、着用時に温度が上昇する衣服として、セルロース等の吸湿発熱繊維を混合した布帛により衣服を製造し、着用時の人体からの不感蒸泄や発汗により発熱させる衣服が知られている(例えば下記特許文献1参照)。しかしながら、吸湿発熱繊維は、繊維の吸湿量が飽和に達すればそれ以上発熱することは無く、発熱時間が短いばかりでなく、吸湿量が飽和に達した後は、繊維中の水分により冷感を感じることさえあった。さらに、吸湿発熱以外の発熱布帛や発熱衣服として、面状発熱体や線状発熱体などのヒーターを衣服に組み込むことなどが知られているが、いずれも、電気により発熱するもので、衣服とした際は重くなり、電極も必要で動きにくい衣服となる。
また、最近では着用動作時の編地伸長時に発熱するという、これまでと全く違った発熱機能を持つ編地が提案されている(例えば下記特許文献2および3参照)。しかしながら、この編み地は、確かに伸長時発熱して暖かいが、弾性糸の含有量が多くなる事により、編み地重量が増し、重い衣服となり動き難く、また、弾性糸の含有量が多いために高コストとなりがちである。これらの解消の為、弾性糸の含有量を少なくすれば、伸張発熱温度が低下するという問題が生じる。
特開2003−227043号公報 特開2011−195970号公報 特開2012−112078号公報
本発明が解決しようとする課題は、弾性糸を含有する編み地において、伸長時瞬間的に温度が上昇し、編み地の伸縮を繰り返せば持続的に伸長時発熱し、かつ、伸長発熱が効率よく達成され、しかも、動き易い衣服を低コストで製造できる編み地を提供すること、並びに、この編み地を使用してインナー、スポーツウェアなどの衣服を縫製することにより、保温性、伸長部位の筋肉や関節を暖めることによる怪我の防止、及び脂肪燃焼効果を期待できる衣服を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、編地を伸張時発熱させるには、弾性糸の伸長による発熱を利用するのみでは弾性糸の含有量が多くなり、重たく動き難い衣服となるため、衣服、つまり編み地の軽量化を行いつつ編み地の伸長による発熱を低下させない方法について重要な知見を得ることが出来た。つまり、編み地を伸長発熱させるためには、弾性糸の伸長による発熱と、編み地を伸張することによる糸と糸との摩擦による発熱を利用すればよい事を見出した。さらに、これらを最適な範囲にすることにより上記課題を達成でき、非弾性糸と弾性糸とからなる編み地において、弾性糸の含有量が少ないにもかかわらず、伸長時の瞬間発熱温度が1.0℃以上となることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]弾性糸と非弾性糸とからなる編み地であって、該弾性糸の含有量が15〜20g/m 未満、経緯少なくとも一方向の伸長時瞬間発熱温度が1.0℃以上であり、下記式):
充填率(%)=(M/L)÷(H1×K1+H2×K2+・・・+Hn×Kn)×100 (1)
{式中、LはKES圧縮試験機で測定した荷重6g/cm時の編み地厚み(cm)であり、Mは編み地の単位面積当たりの重量(g/cm)であり、H1、H2Hnは編み地が含有する繊維1、2n各々の比重であり、そしてK1、K2Knは編み地が含有する繊維1、2…n各々の混率である。で求められる編み地充填率が20〜30%であり、かつ、下記式):
応力比=50%時点の復路応力(N)/50%時点の往路応力(N) (2)
式中、50%時点の復路応力(N)と50%時点の往路応力(N)は、それぞれ、該編み地を80%まで伸長後元の長さに戻した際の伸縮途中の50%時点での往路応力と復路応力である。}で求められる応力比が0.40〜0.80であることを特徴とする編み地。
[2]編み地が緯編み地であって、タックループ又はウェルトループが編み地中の全ループの20〜60%であり、かつ、下記(a)及び/又は(b)の条件
(a)タックループ又はウェルトループが弾性糸で構成されること
(b)タックループ又はウェルトループが編成されるコースにおいて、該タックループ又はウェルトループの前後の少なくともいずれかのニットループが弾性糸により構成されること
を満足する、前記[1]に記載の編み地。
[3]編み地が経編み地であって、少なくとも弾性糸が開き目により編成されている、前記[1]に記載の編み地。
[4]記[1]〜[3]のいずれかに記載の編み地を含み、身体に密着し、かつ、少なくとも関節部を覆うことを特徴とする衣服。
[5]トム類、トップス類、レッグ類、サポーター類及び手袋からなる群から選ばれる、前記[4]に記載の衣服。
本発明の編み地が配された衣服は、膝や腕の曲げ伸ばしによりこの編み地が1.0℃以上発熱して暖かく、保温性に優れると共に、軽くて動き易く、伸長部位の筋肉を暖めることにより怪我の防止効果や脂肪燃焼効果を有する衣服であり、さらに低コストで製造される。
本発明の編み地の編成組織の一例を示す図である。 本発明の編み地の編成組織の別の一例を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、上述したように、編み地を伸長時発熱させるには、弾性糸の伸長による発熱を利用するのみでは弾性糸の含有量が多くなり、重たく動き難い衣服となるため、弾性糸の含有量を少なくし、衣服、つまり編み地の軽量化を行いつつ編み地の伸長による発熱を低下させない方法について鋭意検討の結果、編み地を伸長発熱させるためには、弾性糸の伸長による発熱と、編み地を伸長することによる糸と糸との摩擦による発熱を利用すればよい事を見出したものである。非弾性糸からなる編み地を大きく伸長させるほど発熱する事は知られているが、伸長量が大きくなると糸と糸との摩擦による発熱以外に、繊維の延伸による発熱が大きくなり、弾性糸は大きな伸長でも伸長回復して元の長さに復帰するが、非弾性糸を大きく伸長すると繊維そのものが延伸され、ひずみが生じて元の長さに復帰しなくなる。そこで、本発明では、衣服の着用伸長程度、すなわち、非弾性糸が延伸されることなく、繊維のひずみも生じない伸長領域でも十分発熱させるために、弾性糸の伸長発熱の利用と、弾性糸の伸長発熱では十分発熱しない場合には、発熱を補完するために糸と糸との摩擦熱を利用することを考案したもので、これにより、弾性糸の含有量が少なく、弾性糸のみの伸長発熱では発熱が不十分な場合でも、暖かい衣服とすることが可能となった。糸と糸との摩擦による発熱は、弾性糸の発熱を補完するものであって、弾性糸の伸長発熱が重要であることには変わりなく、また、弾性糸のみでの伸長発熱が十分である場合でも、さらに高い発熱温度が得られ、より暖かい衣服とすることが出来、その為の編み地の構成要件について以下に詳細に示す。
本発明の編み地は、緯編み地では釜径30〜40インチ程度の大口径のシングル丸編機、ダブル丸編機、釜径4インチ程度ストッキング編機、釜径13〜17インチの小寸編機等、26〜40ゲージ程度の丸編機、及び、ハイゲージの横編機により製造される非弾性糸と弾性糸とからなる緯編み地であり、経編み地では、26〜40ゲージの複数筬の経編機により製造される非弾性糸と弾性糸とからなる経編み地であり、これらの編み地は、弾性糸の含有量が15〜50g/m2とし、加えて編み地充填率が20〜30%となるように編み地の設計を行う。伸張発熱には、弾性糸の伸長時の発熱が重要であるが、弾性糸の伸長発熱を補うためには、編み地中の糸と糸との摩擦を活かせば弾性糸の含有量を少なくすることが可能で、その為、編み地充填率を20〜30%とすれば、効果的に糸と糸との摩擦が生じ、弾性糸の伸長発熱を補完することが出来る。本発明でいう編み地充填率とは、布帛の外側を直線でつないで形成される体積のうち、繊維が占める体積をいい、編み地充填率が20%未満では、糸と糸との摩擦による発熱が小さく、弾性糸の伸長発熱を補完する効果が得られない。逆に、編み地充填率大きくなると伸び難い編地となり、編み地充填率が30%より大きくなるとほとんど伸びない編み地となり、伸長発熱しない編み地となるばかりでなく、着用時動き難い衣服となる。従い編み地充填率は20〜30%、より好ましくは22〜28%とすればよい。
また、糸と糸の摩擦熱を大きくするためには、仮撚り等の加工糸の使用、紡績糸の使用、撚糸の使用、2種以上の繊維の混繊糸の使用、被覆弾性糸の使用等、繊維表面の摩擦が大きい糸の使用により、糸と糸との摩擦熱が高くなり、編み地充填率が低い場合は、これらの繊維の使用を考慮すればよい。
本発明において、編み地充填率の求め方は、標準状態(20℃65%RH)の環境下で、編み地の目付と厚みを測定し、下記式にて編み地充填率を求める。
充填率(%)=(M/L)÷(H1×K1+H2×K2+・・+Hn×Kn)×100
上式において、LはKES圧縮試験機で測定した荷重6g/cm2での厚み(cm)であり、Mは単位面積当たりの重量(g/cm2)であり、H1、H2・・Hnは編み地が含有する繊維1、2・・n各々の比重であり、K1、K2・・Knは編み地が含有する繊維1、2・・n各々の混率である。なお、繊維の比重については、繊維便覧第3版(丸善)による繊維の比重を使用し、比重に幅がある繊維については中間値を使用し、編地の混率の数値は例えば混率80%の場合は数値0.80を使用する。また、充填率は、得られた数値の小数点以下一桁目を四捨五入し整数で示す。
本発明による編み地中の弾性糸の含有量については、糸と糸との摩擦による発熱の補完があるため少なくすることが可能で、弾性糸の含有量が少なく伸長発熱温度が低かった編み地も伸長発熱温度が高くなり、また、弾性糸の含有量が多くて伸長発熱していた編み地も、より高い伸長発熱するようになる。従い、弾性糸の含有量は15〜50g/m2、好ましくは16〜48g/m2とし、弾性糸の含有量が15g/m2未満では、編み地中の糸と糸の摩擦が大きくても高い伸長発熱温度が得られない。また、弾性糸の含有量が50g/m2より多いと重くて動き難い衣服となり、また高コストとなるため本発明の目的は達成できない。
さらに、本発明の編み地について、衣服着用時に動き易くなるよう、なるべく少ない弾性糸の含有量でより伸長発熱する編み地設計について検討した結果、本発明者らは、後述する方法で測定した編み地の応力比の範囲が重要であり、その範囲の応力比を達成する手段を見出した。
例えば、弾性糸は伸長される際発熱し、伸長緩和時吸熱され、完全な弾性体、すなわち、伸長時と伸長緩和時の伸度―応力曲線(S−Sカーブ)が全く重なっているような弾性体は伸長時の発熱と伸長緩和時の吸熱温度はほぼ同じとなり、つまり、伸長時と伸長緩和時のサイクル全体で発熱量はほぼ0となる。本発明では、編み地の伸長時の発熱温度に対して、伸長緩和時の吸熱を最小限に抑えるための編み地応力比の規定、及び規定した応力比の範囲を達成するための手段を見出したものである。
応力比については、最適な条件があり、すなわち、伸縮時の応力比は0.40〜0.80であることが極めて重要である。一般の編み地の応力比は0.80超であるが、応力比が0.80より大きいと伸長時発熱しても伸長緩和時に吸熱現象が生じ、結果として発熱が小さくなりやすい。また、応力比が0.40未満の場合は、伸長時発熱は高くなるが、衣服とした際、肘や膝の関節部を曲げ伸ばしした後に編み地が変形して衣服が型崩れして好ましくなく、さらに、応力比が高すぎる場合には、伸長発熱温度そのものが低くなる。従って、応力比は、0.45〜0.75が好ましく、0.45〜0.70がさらに好ましい。なお、経方向と緯方向で応力比が異なる場合は両方向とも上記の範囲に入っていることが好ましいが、伸長発熱性能を発揮させたい方向のみ、応力を上記範囲とすることも可能で、ただしこの場合、衣服を縫製して着用した際に、動作により編み地が伸長される方向が上記範囲であることが好ましい。応力比のコントロールは弾性糸の含有量、弾性糸そのものの応力比(弾性糸の80%伸長時における伸縮50%での往復の応力比)、弾性糸と非弾性糸との繊度比、編み地充填率、編み地の滑り性により、応力比のコントロールが可能である。
応力比のコントロールの例として、応力比を小さくするには、弾性糸と非弾性糸との繊度比を大きくする、加工糸、紡績糸、複合糸等の使用、一般的な弾性糸より小さい応力比の弾性糸を使用しての編み地作製、さらに、編み地充填率を高くする等の方法がある。あるいは、編み地の染色仕上げ時でも応力比のコントロールが可能で、特に、ヒートセット時の加熱条件を強くすることが効果的で、通常のセット温度よりも若干高くして、190〜195℃でのヒートセットが好ましく、セット温度を高くできない場合は、セット時間を通常のセット時間より長くすればよく、例えば、70〜90秒程度とするのが好ましい。さらに、編み地が滑りやすくなるように仕上げれば応力比が小さくなり易い。仕上げ剤で具体的に示すと、シリコン系の平滑剤は使用しないことが好ましく、例えば、ポリエステル系の仕上げ剤や、仕上げ剤を使用しないで仕上げることにより応力比を規定の範囲に収めやすい。これらの様に、応力比のコントロールは種々の方法により可能で、製造しようとする目標編み地に応じて1種以上選定すればよい。
本発明でいう応力比は、編み地を80%まで伸長後元の長さに戻し、伸縮途中の50%時点での往路応力と復路応力を求め、下記式により、少数点以下3桁目を四捨五入して求める。
応力比=(50%時点の復路応力(N))/(50%時点の往路応力(N))
尚、編み地を80%まで伸長して伸縮途中の応力で応力比を求めるが、編み地伸度が低くて80%まで伸長困難な場合は、60%まで伸長して伸長後元の長さに戻し、伸縮途中の50%時点での往路応力と復路応力から応力比を求める。
なお、応力比を伸長、及び、回復50%時点での応力により求めるのは、50%時点の応力比が編み地伸長時に発熱した温度と、伸長回復時に吸熱する温度との差を捉えやすいことを見出したからである。すなわち、応力比が小さいほど弾性糸の伸長緩和時の吸熱温度が低く、高い伸長発熱温度が得られ、編み地の伸長時の発熱に対して、伸長緩和時の吸熱を最小限に抑える指標とすることが可能となる。
本発明の編み地は、経緯少なくとも一方向の伸長時瞬間発熱温度が1.0℃以上であることを特徴とするが、本発明における瞬間発熱温度とは、伸縮以外に外部からのエネルギー供給がなく、風による伸長発熱温度が変化しない条件下で、編み地を60〜100%伸長し、次いで緩和してもとの長さに戻す工程を1回とする繰り返し伸縮を100回行う間に編み地が示す最高温度をサーモグラフィで測定し、試験開始前の編み地温度との差から算出された値である。
100回の60〜100%伸縮中又は伸縮完了直後に、編み地温度が試験開始前の編み地温度より高くなれば、瞬間発熱していることを示す。本発明の編み地は、この方法により測定した瞬間発熱温度が1.0℃以上あることが必要である。1.0℃未満の瞬間発熱温度では、ほとんど発熱を感じられない。瞬間発熱温度は好ましくは1.5℃以上、より好ましくは2.0℃以上である。瞬間発熱温度が高いほど好適であり、人体に悪影響を与えない範囲であれば上限は特に限定されないが、瞬間発熱温度を高くするために弾性繊維の含有量が多く、糸と糸との摩擦を大きくする等の編み地の設計により発熱温度が高くなりすぎると編地がハイパワーとなって衣服として動き難くなるため、瞬間発熱温度は10℃以下であることが好ましい。また、編み地経緯方向のうち、少なくとも一方向の60〜100%伸長時の瞬間発熱温度が1.0℃以上であればよく、編み地の経方向と緯方向の両者とも瞬間発熱温度が1.0℃以上の編み地の場合は、製品縫製時の型入れ方向を特に考慮しなくてもよいが、一方向のみ瞬間発熱する編み地の場合は、人体の関節で特に皮膚伸びが大きい方向を、瞬間発熱が大きい編み地の方向と一致させれば、運動動作時暖かい衣服を製造することができる。
なお、伸長発熱温度測定時の伸長量設定は、初期長10.0cm、幅2.5cmの編み地の9.8N荷重下での編み地伸度により設定し、編み地伸度が100%以上の場合の伸長量は100%、編み地伸度が60%以上100%未満の場合の伸長量は、9.8N荷重下の伸度に0.9倍した値の伸長量とし、例えば、9.8N荷重下の編み地伸度が80%の場合の伸長量は80×0.9=72%として設定する。9.8N荷重下の編み地伸度が経方向又は緯方向のいずれか一方の編み地伸度の60%以上となるよう設計することが必要であり、経方向と緯方向の両方とも伸度が60%未満の場合は、伸び難く伸張発熱しないと言える。9.8N荷重下の編み地伸度の測定法、発熱温度の測定法は、以下の実施例において具体的に説明する。
弾性糸を含有する従来の編み地は、編み地に伸縮性を持たせ衣服着用時に心地よいフィット感を付与するもので、これにより、スリムな審美性の衣服を得たり、運動機能を向上させたりするものであった。これに対し本発明は、伸縮により発熱をする編み地を得るものであり、従来品とは全く異なる発想の編地である。60〜100%伸長時の瞬間発熱温度を1.0℃以上とするには、弾性糸の含有量、編み地充填率、弾性糸と非弾性糸との繊度比、ループ数、編地の応力比等を適正な範囲とすること、すなわち、糸使い、ループ構造等の編地設計と、伸長発熱を効率的に発揮するための加工法を含めた編み地製造方法とが重要である。本発明により初めて60〜100%伸長時の瞬間発熱温度が1.0℃以上である編み地が得られ、衣服として着用した時に、着用時の人体関節の伸長量である僅か30〜50%の伸長でも高く発熱し、着用時に発熱が実感できるようになったものである。
本発明の編み地では、弾性糸の含有量、編み地充填率、応力比に加え、編み地の経方向密度(コース/インチ)と編み地の緯方向密度(ウェール/インチ)との積である編み地のループ数も重要であり、ループ数を特定の範囲内に入れることにより、伸長発熱と編み地の応力とのバランスを最適化できる。本発明による編み地が緯編み地の場合は、ループ数が3000〜8000の範囲内が好ましい。弾性糸の含有量、弾性糸と非弾性糸との繊度比が規定の範囲内であっても伸張発熱温度が低かったり、編み地が高応力となったりすることがある。つまり、ループ数が3000未満では編地の伸度が小さく、また、伸長発熱温度も低く、ループ数が8000より多い場合は編み地が高応力となり、動き難い衣服となる。特に、ループ数が3000未満の場合は、衣服とした際に突っ張り感が高いとともに、編み地の通気性も高くなることがあり、編み地の伸長発熱温度そのものが低いことに加え、伸長発熱しても通気性が高い事より外気の流入が多く暖かく感じない。これらより、ループ数は好ましくは3000〜8000とし、より好ましくは3500〜7500とすればよい。これらループ数のコントロールは、繊度比、編機のゲージとともに、染色加工時の性量コントロールにより可能で、ループ数を大きくするには、繊度比を小さくすること、編機ゲージを密にすること、染色加工で編地を幅入れ、追い込み加工すること等により達成し易い。特に、編み地のウェールを40〜70ウェール/インチとなるよう設計することが好ましい。また、さらに重要なことは、弾性糸の編成時、通常の編込み長よりも短くして編成することであり、弾性糸と非弾性糸がプレーティング(添え糸編)で同組織の場合、弾性糸と非弾性糸との編込み長さ比を3.0以上、つまり非弾性糸のループ長(編込み長)よりも弾性糸のループ長を短くし、3.0倍以上に伸長して高張力で編込むのがよく、弾性糸と非弾性糸との組織が異なる場合も、弾性糸を高張力で編込むのがよい。さらに、弾性糸を被覆弾性糸として編成する場合は、被覆弾性糸を製造する際に、弾性糸を通常より多く3.0倍以上に伸長しながら被覆弾性糸を製造し、編機上でも高張力で編成すればループ数コントロールが容易に可能となり、伸長発熱温度が高い編み地が得られる。
本発明による編み地が経編み地の場合は、ループ数が5000〜12000の範囲内が好ましい。弾性糸の含有量等が規定の範囲内であっても伸張発熱温度が低かったり、編地が高応力となったりすることがある。つまり、ループ数が5000未満では編み地の伸度が小さく、また、伸長発熱温度も低く、ループ数が12000より多い場合は編み地が高応力となり、動き難い衣服となる。特に、ループ数が5000未満の場合は、衣服とした際に突っ張り感が高いとともに、編み地の通気性も高くなることがあり、編み地の伸長発熱温度そのものが低いことに加え、伸長発熱しても通気性が高い事より外気の流入が多く暖かく感じない。これらより、ループ数は好ましくは5000〜12000とし、より好ましくは5500〜11500とすればよい。これらループ数のコントロールは、繊度比、編機のゲージとともに、染色加工時の性量コントロールにより可能で、ループ数を大きくするには、繊度比を小さくすること、編機ゲージを密にすること、染色加工で編み地を幅入れ、追い込み加工すること等により達成し易い。特に、編み地のウェールを50〜80ウェール/インチとなるよう設計するのが好ましい。また、さらに重要なことは、弾性糸の編成時、通常よりもランナーを短くして編成することである。但し、ランナーを短くし過ぎると糸切れ等のトラブルも発生するので、可能な範囲でランナーを短くすればよい。
本発明の編み地の製造において、染色加工時、通常よりも編み地を伸長気味に仕上げることが好ましく、目安としては生機とほぼ同密度で仕上げるようにする。これにより、弾性糸の含有量は少し低下するが編み地中の弾性糸は伸長されたままとなる結果、通常の編み地では、弾性糸原糸の繊度と、染色加工後の弾性糸の繊度とを比較すると、染色加工後の弾性糸の繊度は、原糸の繊度と同じかそれより数%細くなっているのに対し、本発明の編み地では、弾性糸原糸の繊度と染色加工後の繊度を比較した場合、染色加工後、10〜20%程度弾性糸が細くなり、伸長発熱温度の低下は少ないのに編地応力は低くすることが可能となっている。さらに、染色加工時に重要なことは、ヒートセット時、セット温度を高くする、セット時間を長くするなど、熱処理条件を強くして、編み地を伸長したままセットして、編地中の弾性糸をなるべく細くすることである。また、これらの編み地を伸長してセットする目安としては、初期長10.0cm、幅2.5cmにサンプリングした編み地の9.8N荷重下での編み地伸度を、最大でも150%以内となるよう設定することが好ましい。
本発明による編み地は、緯編み地の場合、パンスト編機等の筒編編機、小寸の釜径編機を含むシングル丸編機、ダブル丸編機等により製造可能であり、編組織については、天竺組織、スムース組織等のニットループ主体の編組織による編成が可能である。特に、天竺組織の場合は、32ゲージ以上の編機の使用が好ましく、また、スムース組織の場合は、弾性糸と非弾性糸とをプレーティング(添え糸編)して編成するのが好ましく、スムース組織では着用動作時に動き易いようにするために、弾性糸のプレーティングをすべてのコースに行うのではなく、1コース毎にプレーティングする等の方法により目的が達成可能である。より伸張発熱効果が高める為に、タックループ、ウェルトループ(ミスループとも称されるが、本願ではウェルトループと称す)を編地中にさらに配することは、これらのループが多くなるほど伸長発熱温度が高くなるため、好ましい。タックループ、ウェルトループの使用法については、弾性糸でタックループ又はウェルトループを形成するのが最も伸長発熱に効果的であるが、タックループ又はウェルトループは非弾性糸とし、該タックループ又はウェルトループの前後の少なくともいずれかのニットループを弾性糸で形成することも可能で、さらに、弾性糸でタックループ又はウェルトループを形成し、該タックループ又はウェルトループの前後の少なくともいずれかのニットループも弾性糸で形成すれば、高い伸長発熱温度が得られる。いずれも、弾性糸が伸ばされたループが形成され、伸長発熱温度を高くできて好ましいループ構造となる。また、これらタックループやウェルトループが多くなると伸度が低下し、伸びにくい編地となる傾向であるため、タックループ又はウェルトループをコース方向(編地経方向)に連続して組織するのは2コース以内とするのが好ましく、3コース以上連続すると編地伸度が極端に低下するため、低伸度を目的とする以外は避けるべきである。したがって、タックループ又はウェルトループの連続は2コース以内とするのが好ましいが、この場合、タックループとウェルトループの組み合わせでも2コース以内の連続とするのが好ましい。なお、タックループ又はウェルトループの連続は2コース以内とするが、斜め方向への連続は制限なく、また、ウェール方向(緯方向)への制限もなく編成可能な範囲での連続が可能である。さらに、タックループ又はウェルトループは、弾性糸の裸糸でも、非弾性糸とカバーリング、撚糸、噴射加工糸等による被覆弾性糸でも構わない。
また、タックループ又はウェルトループを編地中に組織することが好ましいが、これらタックループ又はウェルトループは、単独又は組み合わさって組織されていてもよく、組み合わせの例としてウェール方向にニットループとタックループ又はウェルトループとを交互に又は任意な繰返し単位で配置した組織、あるいは、コース方向に、ニットループとタックループ又はウェルトループとを交互に又は任意な繰返し単位で配置した組織が使用できる。
ニットループと、タックループ及び/又はウェルトループとの編み地中の比率については、少なくとも編み地片面のタックループ及び/又はウェルトループ数が編み地表面の全ループ数の20〜60%となるよう調整する。タックループ及び/又はウェルトループが20%未満では伸長発熱効果が小さく、発熱し難い編み地となり、60%より多いと伸長発熱温度は高いが伸びにくい編み地となり、衣服として着用時に動き難い製品となり好ましくない。従い、タックループ及び/又はウェルトループの比率は20〜60%とし、好ましくは25〜50%とすればよい。なお、編み地中のタックループ及び/又はウェルトループの割合は、編組織の一完全組織内のニットループ、タックループ、及びウェルトループのそれぞれのループ数より計算する。無論、編み地中にニットループのみの部分が大きな面積を占めていて、タックループやウェルトループが組み込まれている部分が縞状、あるいは島状に存在している設計も可能であるが、この場合、ニットループの部分の伸張発熱温度は低いので、膝や肘部など伸縮する部位にタックループやウェルトループが組織されている部分となるよう製品で配置すればよい。
なお、これらタックループ及び/又はウェルトループの配置は、ダブル丸編機の場合、シリンダー又はダイアルの少なくとも一方の組織内で配置されていることが重要で、シリンダーとダイアルは、それぞれ独立しているとみなし、それぞれの側に組織されているループ形状で判断する。また、タックループ及び/又はウェルトループは、弾性糸と非弾性糸両方で形成されているのが好ましいが、弾性糸のみ又は非弾性糸のみで形成されていてもよい。
本発明による編み地が経編み地の場合、通常のシングルトリコット編機、ダブルトリコット編機、シングルラッセル編機、ダブルラッセル編機により編成可能であり、編組織については、通常の組織により編成が可能であるが、挿入組織の連続は2コース以下が好ましい。特に、シングルトリコット編機、シングルラッセル編機による弾性糸の組織において、開き目によるニットループを形成するのが好ましく、これにより、衣服として着用動作時に動き易くすることが可能となる。開き目組織の例として、01/21、01/32、01/12/32等、ニットループ全てが開き目であることが好ましい。なお、これらの開き目は、弾性糸の裸糸でも、非弾性糸とカバーリング、撚糸、噴射加工糸等による被覆弾性糸でも構わない。なお、弾性糸は開き目であることが好ましいが、非弾性糸については、開き目、閉じ目、開き目と閉じ目の組み合わせ等を、任意に選択できる。
本発明の編み地は、編組織や糸使いを変更したり、樹脂プリント等を施したりすることにより、点状、直線状、曲線状等の部分的にパワーが異なる高パワー部と低パワー部とを混在させてもよい。この場合、編み地中の一部分でも本性能を満足すればよい。例えば、膝など伸長発熱効果が欲しい部分のみ高伸長発熱編地を配し、膝回り等は高パワーの定伸長編地を配置することも可能で、この場合、膝の動きで暖かくなり、また、低伸長部で膝関節の保護等を狙った製品とすることが可能となる。
本発明の編み地に使用する弾性糸は、ポリウレタン系又はポリエーテルエステル系の弾性糸であることができ、例えば、ポリウレタン系弾性糸としては、乾式紡糸又は溶融紡糸したものが使用でき、ポリマーや紡糸方法は特に限定されない。弾性糸の破断伸度は400%〜1000%程度であり、かつ、伸縮性に優れ、染色加工時のプレセット工程の通常処理温度180℃近辺で伸縮性を損なわないことが好ましい。また、弾性糸としては、特殊ポリマーや粉体添加により、高セット性、抗菌性、吸湿、吸水性等の機能性を付与した弾性糸も使用可能である。弾性糸の繊度に関しては、20〜110dtex程度の繊維の使用が可能で、編み地製造が容易で伸長発熱温度も高いという観点から、30〜80dtex程度の弾性繊維の使用が好ましい。また、弾性糸に非弾性糸を巻きつけたカバーリング糸、非弾性糸と弾性糸とを撚糸した糸、及び非弾性糸と弾性糸とを空気噴射等により混繊した混繊糸等、被覆弾性糸の使用も可能である。
さらに本発明の編み地は、弾性糸に無機物質を含有することが可能で、含有する無機物質の性能を加味した編み地とすることができ、例えば、酸化チタンを含有させると、編み地の発熱を酸化チタンに蓄え、遠赤外線効果による保温性を付与することができる。無機物質の含有法としては、弾性糸の紡糸原液に無機物質を含有させて紡糸する方法が最も簡単である。本発明でいう無機物質とは、酸化チタン等のセラミックス、カーボン、カーボンブラック等の無機物単体及び/又は無機化合物をいい、弾性糸の紡糸の障害とならない様、微粉末状が好ましい。これら無機物質は弾性糸に1〜10重量%含有されていることが好ましく、無機物質を含有することにより、編地の発熱時保温効果をより効果的に発揮することが可能となる。なお、無機物質は少ないと保温効果が小さく、多すぎると紡糸時や伸長時に糸切れすることがあるため、1〜10重量%の含有が好ましく、より好ましくは2〜5重量%の含有である。
本発明の編み地に用いられる弾性糸は、ポリウレタン系弾性糸やポリエーテルエステル系弾性糸が挙げられるが、伸長発熱温度を上げるには、弾性糸の分子量を上げる方法がある。他の方法としては、応力比を小さくした弾性糸の使用が好ましく、例えば、特開2001−140127号公報に示される、第1級アミン又は第2級アミンのいずれかの1官能性アミン、水酸基、及び第3級窒素又は複素環状窒素から選ばれる少なくとも1種を含む窒素含有化合物と有機ジイソシアナートとが反応して得られる、1分子あたりの平均ウレア結合単位数が4〜40個であるウレタンウレア化合物;特許第4343446号公報に示される、第1級アミン及び第2級アミンのうちの少なくとも1種から選ばれる2官能性アミノ基、第3級窒素及び複素環状窒素のうちの少なくとも1種から選ばれる窒素含有基を含む窒素含有化合物と、有機ジイソシアナート、モノ又はジアルキルモノアミン、アルキルモノアルコール、及び有機モノイソシアナートからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを反応させて得られるウレア化合物;特開平7−316922号公報に示される、ポリアクロニトリル系ポリマー、低分子ジオール、及びポリマージオールの混合物と、有機ジイソシアナートとの反応で得られる末端水酸基構造であるポリウレタン;あるいはスチレン−無水マレイン酸共重合体等を添加して紡糸する方法がある。上記末端水酸基構造であるポリウレタンとしては、炭素原子数2〜10の直鎖状又は分岐状アルキレン基若しくは二価の脂環式炭化水素の両末端に水酸基を有する低分子ジオール及び数平均分子量400〜3000の高分子ジオールの混合物(モル比1〜99)と有機ジイソシアナートとの反応物であって、末端が水酸基でありウレタン基濃度が3ミリ当量/g以上である数平均分子量10000〜40000のポリウレタン重合体であることが好ましい。これらを単独で又は2種以上混合して弾性糸中に添加すればよいが、添加量が少ないと伸長発熱温度効果が低く、逆に添加量が多いと、編地伸長回復性が低下し、着用、洗濯により型崩れが生じやすくなるため、添加量は、弾性糸重量に対して2.0〜15.0%、好ましくは2.5〜8.0%とする。
本発明に用いる非弾性糸としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、並びにポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、さらに、キュプラ、レーヨン、綿、竹繊維等のセルロース系繊維、羊毛等の獣毛繊維等、あらゆる繊維の使用が可能である。また、これらのブライト糸、セミダル糸、フルダル糸等を任意に使用でき、繊維の断面形状についても、丸型、楕円型、W型、繭型、中空糸等任意の断面形状の繊維が使用可能であり、繊維の形態についても特に限定されず、原糸、仮撚等の捲縮加工糸が使用でき、非弾性糸の太さは20〜110dtex、好ましくは、30〜90dtexの非弾性糸の使用が好適である。さらに、長繊維でも紡績糸でもよく、また、2種以上の繊維を撚糸、カバーリング、エアー混繊等により混合した複合糸の使用も可能である。さらには、繊維自体での混合ではなく、編機上での2種以上の繊維の混合も無論可能である。
本発明に用いる非弾性糸、特に、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、セルロース系繊維の場合には、無機物質を0.3〜5重量%含有していることが好ましい。無機物質を含有することにより、弾性編地の発熱時、保温効果をより効果的に発揮することが可能となる。なお、無機物質は、少ないと保温効果が小さく、多すぎると紡糸時や伸長時に糸切れすることがあるため、0.5〜5重量%の含有がより好ましく、さらに好ましくは0.4〜3重量%の含有である。
本発明の編み地では、非弾性糸にセルロース等の吸湿発熱する素材を使用すれば、着用時吸湿により発熱し、運動することによっても発熱することになり、本発明の効果をより高めることが可能である。さらに、紡績糸の使用や起毛により発熱した熱を逃がし難くでき、保温効果を高めることも可能である。
本発明の編み地の染色仕上げ方法としては、通常の染色仕上げ工程を使用でき、使用する繊維素材に応じた染色条件とし、使用する染色機も液流染色機、ウインス染色機およびパドル染色機など任意であり、吸水性や柔軟性を向上させる加工剤や、保温性を高める加工剤の使用も可能である。
本発明の編み地は、スパッツ、スポーツタイツ、コンプレッションタイツ、ガードル等のスポーツ、インナー用等ボトム類、肌着、スポーツシャツ、コンプレッションシャツ等のトップス類、パンティーストッキング、ソックス、タイツ、レギンス等のレッグ類、肘サポーター、膝サポーター、腰サポーター、足首カバー、アームカバー、レッグカバー、ニーカバー、エルボーカバー等のサポーター類、手袋等の、着用動作時に編地が伸長される関節部を覆う衣服に縫製すれば、日常の動作、運動により暖かい衣服となる。
特に、コンプレッションウェアやコンプレッションシャツ、すなわち、ジョギング、各種ゲーム、ウォ−キング等、主に運動時に肌に密着させて着用し、運動機能の向上、怪我の防止や保温を狙った長袖又は半袖等の袖付きシャツ、膝上、膝下又は足首までのスパッツ等では、目付けが150〜300g/m2程度の編み地からなり、弾性糸を40〜50g/m2含有し、編み地充填率を20〜30%、応力比を0.50〜0.80程度の編地とし、この編地を肘、膝、股下、足首等の関節部へ使用すれば、特に高い発熱効果が得られるため、これら関節部に少なくとも本発明の編み地が使用される様に縫製することが好ましい。より関節保護効果等を高める為に、関節部近傍に低伸度の部位を設けることも可能であり、低伸度部位の製造方法としては、編み地編成時に組織で伸びなくする方法、製品縫製前に伸びにくいテープ状物を縫合又は接着により組み合わせる方法、縫い目で止める方法等があり、これらの方法により、関節保護等の機能が付加される。
また、タイツ、レギンス、ソックス等の薄手のレッグ衣料、釜径が24〜38インチ程度の丸編機、8〜20インチ程度の小寸丸編機、4インチ程度のパンスト編機、ソックス編機等の丸編機により製造されるボトム衣料等においても、本発明の伸縮性緯編地を使用すれば、日常の動作及び運動により暖かい衣服となる。さらに、弾性糸を20〜40g/m2含有し弾性糸と非弾性糸との繊度比を1.5〜2.5、編み地充填率を23〜30%、応力比を0.40〜0.60程度の編み地とすれば、ボトム衣料として、保温性に優れ、伸長部位の筋肉や関節を暖めることによる怪我の防止に効果を発揮する。これらの製品の場合も、より関節保護、ヒップアップ等の目的に、関節部近傍等に低伸度の部位を設けることも可能で、低伸度部位の製造方法としては、編み地編成時に組織で伸びなくする方法、伸びにくいテープ状物を縫合又は接着により組み合わせる方法、縫い目で止める方法等があり、これらの方法により、関節保護、ヒップアップ等の機能が付加される。
さらに、肌着等の薄手のインナーは、釜径が24〜38インチ程度の丸編機、8〜20インチ程度の小寸丸編機により製造可能で、本発明の編み地を適用し衣服として着用すれば日常の動作により暖かい衣服となる。さらに、弾性糸を20〜40g/m2含有し、編み地充填率を20〜27%、応力比を0.40〜0.50程度の編地とすれば、肌着として動き易く、保温性にも優れ、特に、吸湿発熱素材等の発熱素材と組み合わせることにより、動作しない時でも暖かく、動作でより暖かくなる肌着が得られる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例における評価は以下の方法により行なった。
(1)サンプリング
以下の測定を行う場所は基本的にランダムで数箇所行なうが、編組織、糸使い、樹脂プリントの有無等によって布帛性能が部分的に異なる編み地においては、本発明の性能を満たす部分が確認できない場合、本発明の性能が発現する可能性が高い箇所を優先して測定することができ、経方向と緯方向それぞれの測定を行えるようサンプリングすればよい。
編組織、糸使い、樹脂プリントの有無等が均一である編み地においては、サンプリング箇所はランダムでよく、経方向と緯方向それぞれの測定を行えるようサンプリングすればよい。
(2)瞬間発熱温度
瞬間発熱温度の測定は、下記の繰り返し伸縮試験機を使用し、伸長及び緩和(戻し)を規定速度で規定回数繰り返す間の最も高い試料表面温度を測定して求め、編み地経方向、及び、緯方向の瞬間発熱温度を測定し、高い方向を瞬間発熱温度とする。
繰り返し伸縮機:デマッチャー試験機((株)大栄科学精器製作所製)
試料の大きさ:長さ100mm(把持部除く)、幅60mm
測定環境:温度20℃、湿度65%RHの恒温恒湿条件。伸縮以外に外部からのエネルギー供給を受けない状態で測定する。
伸長量:2.5cm幅の編地の9.8N荷重下での編み地伸度により設定し、編み地伸度が100%以上の場合の伸長量は、100%、編み地伸度が60%以上100%未満の場合の伸長量は、9.8N荷重下の伸度と同じとする。
繰り返し伸縮サイクル:2回/秒
発熱温度測定:繰り返し伸長100回中、及び伸長終了後の試料表面温度を連続的にサーモグラフィで測定する。サーモグラフィの放射率は1.0に設定する。
発熱温度評価:測定する試料表面が最高温となったときの温度を読み取り、伸縮前の温度と比べ上昇した温度を瞬間発熱温度とする。
編地伸度:長さ100mm(把持部除く)、幅25mmでテンシロン引張り試験機((株)オリエンテック製 RTC−1210A)を使用し、下記条件で伸長し、9.8N荷重下での伸度を測定する。
初荷重:0.1N
引張り速度及び回復速度:300mm/分
引張り長:9.8N荷重まで伸長
測定:上記条件で伸長し、9.8N荷重での経方向および緯方向それぞれの伸度を求める。
なお、編み地の伸度が60%未満の場合は、伸長発熱しないため、実施例における伸長発熱評価では×印で示す。
(3)弾性糸含有量
編み地中の弾性糸含有量(g/m2)を、次の方法により求め、小数点一桁を四捨五入する。
編み地中の非弾性糸を溶解等により除去し、弾性糸のみの重量を測定して単位面積当りの重量に換算する。非弾性糸を除去することが困難であれば、重量測定後の編地から、弾性糸を溶解等により除去し、非弾性糸のみの重量を測定して、重量減少した分を弾性糸重量とする。
(4)編み地充填率
下記式により算出した。
充填率(%)=(M/L)÷(H1×K1+H2×K2+・・+Hn×Kn)×100
上式において、LはKES圧縮試験機で測定した荷重6g/cm2での厚み(cm)であり、Mは単位面積当たりの重量(g/cm2)であり、H1、H2・・Hnは編み地が含有する繊維1、2・・n各々の比重であり、K1、K2・・Knは編み地が含有する繊維1、2・・n各々の混率である。なお、重量、厚みは20℃65%RH環境下での数値で、繊維の比重については、繊維便覧(丸善)による繊維の比重を使用し、比重に幅がある繊維については中間値を使用し、混率については例えば混率80%の場合は数値0.80を使用する。また、充填率は、得られた数値の小数点以下一桁目を四捨五入し整数で示す。
(5)応力比
応力比を次の方法により測定する。
試料の大きさ:長さ100mm(把持部除く)、幅25mm
引張り試験機:テンシロン引張り試験機((株)オリエンテック製 RTC−1210A)
初荷重:0.1N
引張り速度及び回復速度:300mm/分
引張り長及び測定:80%伸長まで伸長し、同じ速度で伸長後元の長さに戻し(回復させ)、この条件で伸長、回復を3回繰り返し、3回目の伸縮途中の50%時点での往路応力と復路応力を求め、下記式により小数点以下3桁目を四捨五入して求める。
応力比=(50%時点の復路応力(N))/(50%時点の往路応力(N))
なお、上記(1)の瞬間発熱温度測定時に測定した伸度が60〜80%の編み地の場合は、80%伸長まで伸長せずに、60%伸長までの伸長を3回繰り返す。
参考例1]
32ゲージのシングル丸編機を使用し、図1(図中、1〜4は編み順を示す)に示すタック組織が部分的に入った並カノコ組織を編成するに際し、弾性糸33dtex(商品名ロイカSF:旭化成せんい(株)製)と、非弾性糸としてポリエステル1ヒーター加工糸56dtex/36fとを使用し、タックのある組織のみに弾性糸をプレーティングして編成し、天竺部分は非弾性糸のみとして、非弾性糸と弾性糸との伸長比を3.2として編成した。
編成できた編み地を連続精練機でリラックス及び精練を行い、次いで190℃で90秒間ほぼ生機の巾でプレセットを行い、その後、液流染色機でポリエステルの染色を行った。染色後にポリエステル系の吸水柔軟仕上げ剤を付与して、染色後とほぼ同密度で170℃60秒間仕上げセットを行い編み地とした。
得られた編み地の性能を評価した結果を以下の表1に示す。本例に示した本発明の編み地では、伸長時瞬間発熱温度が1.0℃以上であり、衣服とした場合、動き易い衣服とすることができた。
参考例2〜4、実施例5、比較例1]
参考例1より密度を粗く幅出しセットして弾性糸含有量を下げた編み地(参考例2)、弾性糸の繊度を変更した編み地(参考例3、実施例5、比較例1)、弾性糸をすべてのコースでプレーティング編成した編み地(参考例4)を作製した。得られた編み地の性能を評価した結果を以下の表1に示す。
参考例6]
28ゲージのシングル丸編機を使用し、図2(図中、1〜6は編み順を示す)に示す天竺組織にインレイ組織が部分的に入った組織を編成するに際し、弾性糸44dtex(商品名ロイカSF:旭化成せんい(株)製)と、非弾性糸としてポリエステル1ヒーター加工糸56dtex/36fとを使用し、非弾性糸と弾性糸との伸長比を3.3として、弾性糸を天竺組織部のみにプレーティングして編成した。
編成できた編地を連続精練機でリラックスおよび精練を行い、次いで195℃で70秒間ほぼ生機の巾でプレセットを行い、その後、液流染色機でポリエステルの染色を行った。染色後にポリエステル系の吸水柔軟仕上げ剤を付与して、染色後とほぼ同密度で170℃60秒間仕上げセットを行い編地とした。
得られた編地の性能を評価し結果を以下の表1に示すが、本例に示した本発明の編地では、伸長時瞬間発熱温度が1.0℃以上であり、衣服とした場合、動き易い衣服とすることができた。
参考例7]
28ゲージのシングルトリコット編機を使用し、フロント筬に非弾性糸のポリエステル56dtex/36f、バックに弾性糸44dtex(商品名ロイカSF:旭化成せんい(株)製)を使用し、次に示す開き目のハーフ組織にて編成した。
フトント 01/32
バック 21/01
編成できた編み地を連続精練機でリラックス及び精練を行い、次いで190℃で90秒間ほぼ生機の巾でプレセットを行い、その後、液流染色機でポリエステルの染色を行った。染色後にポリエステル系の吸水柔軟仕上げ剤を付与して、染色後とほぼ同密度で170℃60秒間仕上げセットを行い編み地とした。
得られた編地の性能を評価した結果を以下の表1に示す。本例に示した本発明の編み地では、伸長時瞬間発熱温度が1.0℃以上であり、衣服とした場合、動き易い衣服とすることができた。
参考例8、比較例2]
参考例7において、弾性糸の繊度を変更して、弾性糸含有量、編み地充填率を下げた編地を作製した。得られた編み地の性能を評価した結果を以下の表1に示す。
参考例9]
28ゲージの3枚筬のシングルトリコット編機を使用し、フロント筬とミドル筬に非弾性糸のナイロン44dtex/24fを、バックに弾性糸22dtex(商品名ロイカCR:旭化成せんい(株)製)を使用し、次に示す組織にて編成した。
フトント 10/23
ミドル 12/10
バック 21/01
編成できた編み地を連続精練機でリラックス及び精練を行い、次いで195℃で60秒間ほぼ生機の巾でプレセットを行い、その後、液流染色機でナイロンの染色を行った。染色後にポリエステル系の吸水柔軟仕上げ剤を付与して、染色後とほぼ同密度で170℃60秒間仕上げセットを行い編み地とした。
得られた編地の性能を評価した結果を以下の表1に示す。本例に示した本発明の編地では、伸長時瞬間発熱温度が1.0℃以上であり、衣服とした場合、動き易い衣服とすることができた。
Figure 0006243176
本発明の編み地は、着用動作時に伸長時瞬間的に温度上昇する編地であり、この編み地をスポーツタイツ、スパッツ、コンプレッションタイツ、ガードル等の等ボトム類、肌着、シャツ、コンプレッションシャツ等トップス類、パンティーストッキング、ソックス、タイツ、レギンス等レッグ類、また、膝サポーター、肘サポーター、アームカバー、レッグカバー、ニーカバー、エルボーカバー等のサポーター類、手袋など、関節部を覆う衣服に縫製することにより、着用運動時に編み地が発熱し、動き易くて暖かい衣服となる。
1〜6 編順を示す

Claims (5)

  1. 弾性糸と非弾性糸とからなる編み地であって、該弾性糸の含有量が15〜20g/m 未満、経緯少なくとも一方向の伸長時瞬間発熱温度が1.0℃以上であり、下記式):
    充填率(%)=(M/L)÷(H1×K1+H2×K2+・・・+Hn×Kn)×100 (1)
    {式中、LはKES圧縮試験機で測定した荷重6g/cm時の編み地厚み(cm)であり、Mは編み地の単位面積当たりの重量(g/cm)であり、H1、H2Hnは編み地が含有する繊維1、2n各々の比重であり、そしてK1、K2Knは編み地が含有する繊維1、2…n各々の混率である。で求められる編み地充填率が20〜30%であり、かつ、下記式):
    応力比=50%時点の復路応力(N)/50%時点の往路応力(N) (2)
    式中、50%時点の復路応力(N)と50%時点の往路応力(N)は、それぞれ、該編み地を80%まで伸長後元の長さに戻した際の伸縮途中の50%時点での往路応力と復路応力である。}で求められる応力比が0.40〜0.80であることを特徴とする編み地。
  2. 編み地が緯編み地であって、タックループ又はウェルトループが編み地中の全ループの20〜60%であり、かつ、下記(a)及び/又は(b)の条件
    (a)タックループ又はウェルトループが弾性糸で構成されること
    (b)タックループ又はウェルトループが編成されるコースにおいて、該タックループ又はウェルトループの前後の少なくともいずれかのニットループが弾性糸により構成されること
    を満足する請求項1に記載の編み地。
  3. 編み地が経編み地であって、少なくとも弾性糸が開き目により編成されている請求項1に記載の編み地。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の編み地を含み、身体に密着し、かつ、少なくとも関節部を覆うことを特徴とする衣服。
  5. トム類、トップス類、レッグ類、サポーター類及び手袋からなる群から選ばれる請求項4に記載の衣服。
JP2013202242A 2013-09-27 2013-09-27 編み地及び衣服 Active JP6243176B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013202242A JP6243176B2 (ja) 2013-09-27 2013-09-27 編み地及び衣服

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013202242A JP6243176B2 (ja) 2013-09-27 2013-09-27 編み地及び衣服

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015067912A JP2015067912A (ja) 2015-04-13
JP6243176B2 true JP6243176B2 (ja) 2017-12-06

Family

ID=52834907

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013202242A Active JP6243176B2 (ja) 2013-09-27 2013-09-27 編み地及び衣服

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6243176B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6510337B2 (ja) * 2015-06-23 2019-05-08 旭化成株式会社 伸縮性緯編地
WO2020023229A1 (en) * 2018-07-23 2020-01-30 Nike Innovate C.V. Knitted article with raised structure and methods of manufacture

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3838430B2 (ja) * 2002-10-03 2006-10-25 東洋紡績株式会社 吸湿発熱する高伸縮性編地
BR112015024540A2 (pt) * 2013-03-29 2017-07-18 Asahi Kasei Fibers Corp tecido malha elástico, tecidos de malha de trama e de urdume, e, artigo de vestimenta
JP6154171B2 (ja) * 2013-03-29 2017-06-28 旭化成株式会社 編地及び衣服

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015067912A (ja) 2015-04-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6062534B2 (ja) 伸縮性編地及び衣服
JP5777721B2 (ja) 伸縮性編地および衣服
JP6154171B2 (ja) 編地及び衣服
JP5584497B2 (ja) 弾性編地
JP5779341B2 (ja) 弾性経編地
JP6243176B2 (ja) 編み地及び衣服
JP5896677B2 (ja) 編地
JP6228432B2 (ja) 伸縮性編み地及び衣服
JP2012012733A (ja) 小寸丸編地
JP6510337B2 (ja) 伸縮性緯編地
JP6368602B2 (ja) レッグウェア
JP2019108638A (ja) 経編地
JP6004624B2 (ja) サポーター
JP6315695B2 (ja) レッグ衣料
JP2013072155A (ja) 発熱サポーター

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20160404

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160624

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20170606

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170728

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171109

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6243176

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350