JP2005207226A - 防火ガラスの組付け構造体及び防火ガラス戸及び防火ガラス窓 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造並びに品質上問題なく、ガラスの破損時の安全性を高め、なおかつ防火性能を損なうことのない防火ガラスの組付け構造体を提供する。
【解決手段】ガラス板本体2を金属製の保持枠4に取り付けてある防火ガラスの組付け構造体であって、前記ガラス板本体2は、その板面に、耐熱性及び透視性を有するポリエステル樹脂膜3を一体に被覆させてあり、不燃性バックアップ材、防火用シーリング材、金属製の弾性保持材からなる群から少なくとも一つ選択された保持材5を前記ガラス板本体2と前記保持枠4との間に全周にわたって隙間なく充填して前記ガラス板本体を前記保持枠内に取り付けてある防火ガラスの組付け構造体。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガラス板本体を金属製の保持枠に取り付けてある防火ガラスの組付け構造体に関する。
一般に、人体やその他の物体の衝突などによって、万一ガラスが破損した場合のガラスの落下・飛散などを防止することにより、ガラスの日常の安全性を高めたガラスとしては、2枚のガラス板本体の間にPVB(ポリビニルブチラール)樹脂からなる樹脂フィルム(以下PVBフィルムと略称)を入れて圧着した合わせガラスが使用されている。
しかしながら、この合わせガラスの間に挟まれているPVBフィルムの発火点は、260℃前後であり、火災の代用特性試験として用いられている防火試験によると、加熱10分前後で、ガラス板本体板面の温度は300℃を超え、PVBフィルムが発火し、防火性能が損なわれるため、この種の合わせガラスは、日常のガラスの安全性は高いものの、防火ガラスとしては問題があり、日常の安全性だけでなく高い防火性能をも有する防火ガラスが望まれている。
近年、その要望にこたえるものとして、THV(テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデンフルオライド)樹脂からなるTHVフィルムを中間の樹脂フィルムとして採用し、防火性能を高めた合わせガラスが提案されている。
しかし、THVフィルムを挟んだ合わせガラスの場合、コスト並びに製法等に問題がある。
つまり、THVフィルムはフッ素樹脂を基材とするため、高コストであり、また、フィルムがガス化し分解した際の、毒性にも問題がある。そして、このTHVフィルムを介してガラス板本体とガラス板本体とを接着させるためには、特殊な製造設備を要し、従前の設備を使用することができない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、製造並びに品質上問題なく、ガラスの破損時の安全性を高め、なおかつ防火性能を損なうことのない防火ガラスを提供するところにある。
請求項1に記載の発明の特徴構成は図1及び図2に例示するごとく、ガラス板本体を金属製の保持枠に取り付けてある防火ガラスの組付け構造体であって、前記ガラス板本体は、その板面に、耐熱性及び透視性を有するポリエステル樹脂膜を一体に被覆させてあり、不燃性バックアップ材、防火用シーリング材、金属製の弾性保持材からなる群から少なくとも一つ選択された保持材を前記ガラス板本体と前記保持枠との間に全周にわたって隙間なく充填して前記ガラス板本体を前記保持枠内に取り付けてある防火ガラスの組付け構造体である点にある。
〔作用効果〕ポリエステル樹脂は、それ自体は燃えるが、燃焼カロリーが500kcal/kgと他の樹脂に比べ低く、同様の熱可塑性樹脂の中では、耐熱性にも優れており、樹脂系の材料の中では、燃え難い材料であり、ガラス板本体の防火性能を向上させることができる。
また、ガラス破損時の破片の飛散防止を図る上でも、他の樹脂に比べ、引き裂き強度に優れることから、非常に薄い膜厚であっても、高いガラスの飛散防止性能を有し、十分な日常の安全性を奏することができる。
さらに、ポリエステル樹脂は安価で加工が容易である。そして、ガラス板本体の板面へ一体に被覆させた場合でも、透視性は全く問題なく、ヘーズや歪みもほとんどない。
尚、本発明においてポリエステル樹脂とは、ポリエチレンテレフタレートを基材とする樹脂のことであり、ポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル繊維などのことを意味するものである。
ガラス板本体の板面に、耐熱性を有する上述のポリエステル樹脂膜を被覆させてあるので、ガラス板本体の防火性能を向上させることができ、しかも板面に一体となるように被覆させてあるから、人体やその他の物体の衝突などによって、万一ガラスが破損した場合でも、ガラスの落下・飛散等を防止し易く、ガラスの日常の安全性を高めることができる。また、ポリエステル樹脂膜は透視性も有することから、例えば、ガラス板本体が透明なものである場合、その透視性を損なうことのない防火ガラスとすることもできる。
そして、ポリエステル樹脂膜をガラス板本体の板面に一体に被覆させるだけでよいので、コストは、上述した合わせガラスタイプのものと比較して、半分以下であり、また、特別な製造設備も要しないため、安価で簡易的に製造することができる。
従って、本発明に係る防火ガラスは、全体として安価なガラス板によって、ガラスの落下・飛散等し難くい安全性を持たせるとともに、防火性能を向上できて、火災が発生したとしても類焼の起き難い窓ガラスや、ドアとして用いることができ、安全面でも防災面でも有用である。
また、前記ガラス板本体を金属製の前記保持枠内に取り付ける際、不燃性バックアップ材、防火用シーリング材、金属製の弾性保持材からなる群から少なくとも一つ選択される保持材を前記ガラス板本体と前記保持枠との間に全周にわたって隙間なく充填するので、火災が発生した際、ガラス板本体と保持枠との隙間から回ってくる熱風を完全に遮断することができ、より安定した防火性能を得ることができる。
請求項2に記載の発明の特徴構成は、前記ガラス板本体が、耐熱板ガラス、網入り板ガラス、耐熱強化板ガラス、複層ガラスからなる群から選択される点にある。
〔作用効果〕例えば、耐熱板ガラスの場合、比較的安価で入手することが可能である。また、網入り板ガラスの場合、火災時破損しても、中間に挿入された金属製の網により破片が保持され、火炎の進入を防ぐことができ、耐熱強化板ガラスの場合、火災時にガラスが破損し難く、自立性を保ち防火性を発揮することができ、いずれの場合にも防火性能をさらに向上させることができる。また、複層ガラスの場合は、単層ガラスの場合よりもさらに防火性能を向上させることができる。
請求項3に記載の発明の特徴構成は、前記不燃性バックアップ材及び前記金属製の弾性保持材の少なくともいずれか一方と、前記防火用シーリング材とを併用してある点にある。
〔作用効果〕例えば保持材を不燃性バックアップ材と防火用シーリング材とを組み合わせて使用して、ガラス板本体の周縁部を保持枠に挟持固定すれば、火災が発生した際、防火ガラスと保持枠との隙間から回ってくる熱風を完全に遮断することができ、より安定した防火性能を得ることができるとともに、ガラス板本体の熱変形によるガラス周縁部分の外れを防止することが出来る。また、保持材として、金属製の弾性保持材を使用して保持枠に固定すれば、保持枠への輻射熱を前記弾性保持部材からガラス板本体の周縁部に効率良く伝達することができ、ガラス板本体の中央部と周縁部との温度差を少なくして、破壊し難くすることができるとともに、金属製であるため融け難いから、ガラス周縁部分をしっかりと保持することができ、その外れをより確実に防止することができる。
請求項4に記載の発明の特徴構成は、前記ポリエステル樹脂膜は、シート状のポリエステル樹脂膜であり、そのポリエステル樹脂膜を、アクリル系接着剤層を介して、前記ガラス板本体の板面に接着して被覆させてある点にある。
〔作用効果〕ポリエステル樹脂膜は、シート状のポリエステル樹脂膜であり、ガラス並びにポリエステル樹脂膜との相性がよいアクリル系の接着剤によりガラス板の板面に接着して被覆させてあるから、防火性能と日常の安全性を向上させることができるとともに、そのポリエステル樹脂膜をガラス板本体板面に被覆させる際の施工性もよい。
請求項5に記載の発明の特徴構成は、前記ポリエステル樹脂膜の厚さは、20〜200μmであり、かつ、前記アクリル系接着剤層の厚さは、5〜20μmである点にある。
〔作用効果〕ポリエステル樹脂膜の厚さが薄くても、防火性能はあまり損なわれることはないが、ガラス破損時に十分なガラス保持性能が得難い。よって、ガラスの安全性に対する性能を十分に持たせるために、その厚さは20μm以上とすることが好ましい。
また、ポリエステル樹脂膜が厚すぎると、実施例にて後述するように火災の際には、ポリエステル樹脂がガス化するのであるが、そのガス化する際の時間が長くなり、ポリエステル樹脂が炭化する前に、ガラス面の温度が高くなって、ポリエステル樹脂が発火し、防火性能が損なわれる虞があるために、その厚さは200μm以下が好ましい。
そして、接着剤層の厚さは、できるだけ薄い方がよく、20μm以下が好ましいが、ガラス片の飛散等を防止するための安全性を確保する観点から、ポリエステル樹脂膜のガラス板本体板面からの引き剥がし強度(接着力)を保持するため、最低5μm以上ある方が好ましい。尚、アクリル系の接着剤は、熱により分解した際、毒性のあるシアンガスを発生するものもあるため、そのような有毒ガスを発するアクリル系の接着剤を使用するのはあまり好ましくないが、いずれにしても、アクリル系の接着剤の使用量は極力少なくした方が好ましい。
請求項6に記載の発明の特徴構成は、前記ポリエステル樹脂膜が、前記保持枠との間に前記保持材を全周にわたって隙間なく充填して前記保持枠内に取り付けられている前記ガラス板本体の板面に接着されてあり、前記ポリエステル樹脂膜と前記保持材との間隔が5mm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の防火ガラスの組付け構造体である点にある。
〔作用効果〕ポリエステル樹脂膜を、保持枠に取り付けられているガラス板本体の板面に接着するので、既設のガラス戸や窓ガラスを防火ガラスとする場合に、保持枠ごと交換することなく、容易に防火ガラスとすることができる。ただし、保持材が本発明の保持材を使用していない場合には、保持材を交換する必要がある。
請求項7に記載の発明の特徴構成は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の防火ガラスの組付け構造体を備える防火ガラス戸である点にある。
〔作用効果〕請求項1〜6のいずれか1項に記載の特徴構成及び作用効果を有する防火ガラスの組付け構造体を備える防火ガラス戸を提供することができる。
請求項8に記載の発明の特徴構成は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の防火ガラスの組付け構造体を備える防火ガラス窓である点にある。
〔作用効果〕請求項1〜6のいずれか1項に記載の特徴構成及び作用効果を有する防火ガラスの組付け構造体を備える防火ガラス窓を提供することができる。
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明に係る防火ガラス1は、1枚のガラス板本体2の片方の板面に、ポリエステル樹脂膜3を一体に被覆させてある。そして、その防火ガラス1は、構造物に建付けのサッシュ枠4に嵌め込み固定してある。
前記ガラス板本体2は、本実施形態では厚み(t)が約8mmの透明な耐熱板ガラスで構成してある。
前記ポリエステル樹脂膜3は、厚さ20〜200μmのシート状のポリエステル樹脂膜を、厚さ5〜20μmのアクリル系接着剤層(図示せず)を介して、ガラス板本体2の板面に接着して被覆させて、形成してある。
そして、ポリエステル樹脂膜3をガラス板本体2の板面へ被覆させるにあたっては、水で濡らした洗浄後のガラス板本体2の板面に接着剤層を形成し、その接着剤層面に水を吹き付け、シート状のポリエステル樹脂膜3を張り付け、ポリエステル樹脂膜3とガラス板本体2間の水分を押し出し、乾燥させる方法を採用することができる。
尚、ガラス板本体2の寸法が、揃っている場合には、機械式のロールプレスにより、ポリエステル樹脂膜3をガラス板本体2の板面へ直接圧着させる方法を採用することもできる。
また、ガラス板本体2へのポリエステル樹脂膜3の被覆は、ガラス板本体2の全周にわたって小口(エッジ)際まで行うことが最もよいが(図1に示した防火ガラスの上辺側参照)、ガラス板本体2が予めサッシュ枠4に施工されている場合は、後からポリエステル樹脂膜3をガラス板本体2に付着させる必要があるが、その際のポリエステル樹脂膜3と後述するガラス周辺のシーリング材8との間隔は、5mm以下になることが望ましい(図1に示した防火ガラスの下辺側参照)。5mm以下が望ましいのは、ガラス破損の際でも、防火ガラス1の保持性能が高く、落下や飛散を防止して、安全性を高めることができるからである。尚、その間隔が5mmを超えると、ガラス板本体2の周縁部に入ったクラックがガラス板本体中央部にまで進展し易く、風荷重等、二次的な外力が加わった場合に、ガラス落下の危険性が高くなるので、あまり好ましくない。
そして、前記サッシュ枠4は凹部を有する金属製の枠体であり、次のようにして、前記凹部10で、防火ガラス1を保持材5(7,8)により挟持して嵌め込み固定してある。
すなわち、図1に示すように、防火ガラス1の下辺側を嵌め込むサッシュ枠4の凹部10に、ガラス板本体2の端縁保護の機能を備えたクロロプレンゴム製のセッティングブロック6を設置し、ガラス板本体2の周縁部をサッシュ枠4の凹部10に嵌め込み、そして、ガラス板本体2とサッシュ枠4との間に、保持材5としての不燃性バックアップ材(例えばアルミナシリケート系のセラミックロープやセラミックシート)7を隙間なく全周充填し、保持材5としての防火用シーリング材(例えば、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製 シリコンシーリング材SE5007)8で止水・仕上げを兼ねた施工を行い、ガラス板本体2の端縁部を挟持固定して、サッシュ枠4に嵌め込み固定してある。
これにより、防火ガラス1とサッシュ枠4の隙間から回ってくる熱風を完全に遮ることができ、より安定した、防火性能を得ることができるとともに、例え火災が発生してもガラス板本体2の熱変形によるガラス周縁部分の外れを防止することができる。
因みに、本実施形態においては、前記ガラス板本体2は、前記保持材への端縁部のかかり代寸法が1cmになるように配置されている。
〔別実施形態〕
以下に他の実施形態を説明する。
〈1〉ガラス板本体2とサッシュ枠4との取付けは、先の実施形態に限定されるものではなく、例えば図2に示すように、使用する保持材として、不燃性バックアップ材7ではなく、サッシュ枠4と面接触する金属製の弾性保持材(例えば、厚み0.5mmのステンレス製金物など)9を使用して固定すれば、サッシュ枠4への輻射熱を、前記弾性保持部材9からガラス板本体2の周縁部に効率良く伝達することができ、ガラス板本体2の中央部と周縁部との温度差を少なくして、破壊し難くすることができるとともに、金属製であるため融け難いから、ガラス周縁部分をしっかりと保持することができ、その外れをより確実に防止することができる。
〈2〉ガラス板本体2は先の実施形態で説明した耐熱板ガラスに限るものではなく、例えば、網入り板ガラスや耐熱強化板ガラスなどでも良い。網入り板ガラスの場合、火災時破損しても、中間に挿入された金属製の網により破片が保持され、火炎の進入を防ぐことができ、耐熱強化板ガラスの場合、火炎時にガラスが破損し難く、自立性を保ち防火性を発揮することができ、いずれの場合にも防火性能をさらに向上させることができる。
また、防火ガラスには、先の実施形態で示した単板のガラス板本体からなるものに限らず、複数のガラス板本体から構成される複層ガラスからなるものでもよい。
そして、ポリエステル樹脂膜3は先の実施形態で説明したようにガラス板本体2の片方の板面に限らず、その両方の板面に被覆させてもよい。
〈3〉ポリエステル樹脂からなる樹脂膜は先の実施形態で説明したように、シート状のポリエステル樹脂膜を、接着剤層を介して、ガラス板本体の板面に接着させるものに限らず、例えば、ポリエステルを基材とした樹脂を直接ガラス板本体に塗布(コート)してもよく、この場合、作業効率的を向上させることができ、かつガラス板本体と樹脂膜との接着性もより良好となる。
〇防火試験
前記防火ガラスの防火試験を、平成2年建設省告示第1125号に記載された方法により行った。
なお、実験には、1830mm×930mmの耐熱強化板ガラス(厚さ8mm)の片面にポリエステル樹脂膜(厚さ100μm)を被覆させた防火ガラスを用いた。
まず、ポリエステル樹脂膜を火災室とは反対側のガラス板面(つまり、直接火災熱が及ばない方のガラス板面)へ被覆させた防火ガラス板について試験を行ったところ、加熱10分を経過すると、ポリエステル樹脂膜がガラスを通して伝導してきた熱により、徐々に温度の高いガラス板中央部から発煙し、次第にガラス板全面へと発煙がひろがった。このポリエステル樹脂膜が熱分解し、ガス化する状態が5分ほど続くが、ポリエステル樹脂膜が発火することはなく、次第に、ポリエステル樹脂膜が炭化し、カーボンの黒い被膜のみが、ガラス面に残った。加熱20分近くなるにしたがって、このカーボンの黒い被膜も、炭酸ガスへと変化し、ガラス板面は、透明の状態へと変化した。この間、ポリエステル樹脂膜での発火は全く生じなかった。
次に、同様の防火試験において、ポリエステル樹脂膜を火災室側(直接火災熱が及ぶ方のガラス板面)へ被覆させた防火ガラス板について試験を行ったところ、加熱10分後で、ポリエステル樹脂膜のガス化と同時に、ポリエステル樹脂膜が燃え出した。ただし、この燃焼は、火災室側のガラス板面でのみ発生しているため、火災室とは逆の非火災室側では、問題ない状態であった。
以上のような防火試験から、本発明に係る防火ガラスは、平成2年建設省告示第1125号乙種防火試験に合格と判明した。
〇破壊試験
前記防火ガラスの破壊試験を行い、防火ガラスの破損時の飛散防止性能を評価した。
なお、実験には、1930mm×864mmの網入り板ガラス(厚さ6.8mm)の片面にポリエステル樹脂膜(厚さ50μm)を被覆させた防火ガラスを用いた。
前記防火ガラスを試験枠に固定し、皮袋に鉛玉を充填した45kgの衝撃体をワイヤーでつるし、垂直高さ75cm(成人が静態から転倒した場合の衝撃力とほぼ等価な衝突エネルギーに相当する水準である)から、振り子式に自由落下させるいわゆるショットバック試験を行ったところ(尚、ポリエステル樹脂膜を被覆させていない板面から加撃した)、ガラス中央部に加撃した場合、防火ガラスには細かい割れ目が入り、その割れ目の形状はクモの巣状となったが、ポリエステル樹脂膜表面は安定しており、ガラス片の飛散等は見られないばかりか、防火ガラスの破断もない状態であった。
また、比較例として、ポリエステル樹脂膜ではなく、ポリエチレン樹脂膜を被覆させた防火ガラスについても上記試験と同様の試験を行ったが、防火試験では、ポリエステル樹脂膜に比べ発火し易い傾向が認められ、破壊試験では、ポリエチレン樹脂膜の引き裂き強度がポリエステル樹脂膜の半分程度と低いためガラス片が飛散し易い傾向が認められ、防火性能と安全性どちらも不合格となった。また、その他種々の樹脂についても検討したが、塩素を含む樹脂は、防火試験で有害な塩素ガスを発生するため、防火試験に不合格となった。
本発明に係る防火ガラスの取付状況を示す縦断面図 本発明に係る防火ガラスの取付状況を示す縦断面図
符号の説明
1 防火ガラス
2 ガラス板本体
3 ポリエステル樹脂膜

Claims (8)

  1. ガラス板本体を金属製の保持枠に取り付けてある防火ガラスの組付け構造体であって、
    前記ガラス板本体は、その板面に、耐熱性及び透視性を有するポリエステル樹脂膜を一体に被覆させてあり、不燃性バックアップ材、防火用シーリング材、金属製の弾性保持材からなる群から少なくとも一つ選択された保持材を前記ガラス板本体と前記保持枠との間に全周にわたって隙間なく充填して前記ガラス板本体を前記保持枠内に取り付けてある防火ガラスの組付け構造体。
  2. 前記ガラス板本体が、耐熱板ガラス、網入り板ガラス、耐熱強化板ガラス、複層ガラスからなる群から選択される請求項1に記載の防火ガラスの組付け構造体。
  3. 前記不燃性バックアップ材及び前記金属製の弾性保持材の少なくともいずれか一方と、前記防火用シーリング材とを併用してある請求項1又は2に記載の防火ガラスの組付け構造体。
  4. 前記ポリエステル樹脂膜は、シート状のポリエステル樹脂膜であり、そのポリエステル樹脂膜を、アクリル系接着剤層を介して、前記ガラス板本体の板面に接着して被覆させてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の防火ガラスの組付け構造体。
  5. 前記ポリエステル樹脂膜の厚さは、20〜200μmであり、かつ、前記アクリル系接着剤層の厚さは、5〜20μmである請求項4記載の防火ガラスの組付け構造体。
  6. 前記ポリエステル樹脂膜が、前記保持枠との間に前記保持材を全周にわたって隙間なく充填して前記保持枠内に取り付けられている前記ガラス板本体の板面に接着されてあり、前記ポリエステル樹脂膜と前記保持材との間隔が5mm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の防火ガラスの組付け構造体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の防火ガラスの組付け構造体を備える防火ガラス戸。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の防火ガラスの組付け構造体を備える防火ガラス窓。
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