JP2005187729A - 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性、耐薬品性、帯電防止性および色調安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ゴム質重合体に、ビニル系単量体をグラフトさせたグラフト共重合体(A)と、ビニル系(共)重合体(B)からなる熱可塑性樹脂に対し、ポリアミド樹脂、ポリアミドエラストマーおよび官能基を有する変性ビニル系共重合体を添加してなる熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性、耐薬品、帯電防止性および色調安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
ジエン系ゴム等のゴム質重合体にアクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニルやスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニルに代表されるビニル系単量体をグラフト共重合して得られる透明性を有する熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、成形性、外観、透明性等に優れており、これらの特性を活かしてOA機器、家電製品、一般雑貨等の用途に幅広く利用されている。しかし、このような透明性を有する熱可塑性樹脂組成物は、有機溶媒などの薬品類や洗剤等の溶剤に対する耐性が低いことに起因して、使用される用途が制限されているのが実状である。
これら透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の耐薬品性を改善するための手段としては、シアン化ビニル化合物の含有割合を高めることが一般的に知られており、いわゆる高ニトリル含有熱可塑性樹脂組成物が種々提案されている。例えば、耐薬品性の向上という点では、グラフト共重合体のグラフト率を規定した樹脂組成物(例えば、特許文献1および特許文献2参照)、およびマトリックス成分にメタクリル酸エステルを必須成分とした高ニトリル含有熱可塑性樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)等が知られている。また、ポリマーブレンド手法を用いた組成物についても、種々提案されており、それなりの耐薬品性の向上効果が認められている。
しかしながら、上述した従来の高ニトリル含有熱可塑性樹脂組成物においては、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との反応速度が異なるため、均一な組成のポリマーを得ることが困難であった。そのため、これらの化合物の共重合体は、成形加工品の色調が黄色に着色しやすく、品質を低下せしめるという問題が生じていた。また、ポリマーブレンドについては、透明性が損なわれるという問題が生じていた。したがって、透明性、耐薬品性及び色調安定性に優れたゴム含有スチレン系熱可塑性樹脂組成物は得られていないというのが現状であった。
特開平4−258619号公報 特開平5− 78428号公報 特開平4−126756号公報
本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を解消し、透明性、耐薬品性、帯電防止性および色調安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ゴム含有スチレン系熱可塑性樹脂組成物に、特定のポリアミド樹脂、ポリアミドエラストマーおよび変性ビニル系共重合体のそれぞれ特定量を配合することにより、上記目的が効率的に達成されることを見出し本発明に到達した。
すなわち、上記目的を達成するために本発明によれば、ゴム質重合体(a)に対し、芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)、および共重合可能なその他のビニル系単量体(e)から選ばれた1種以上の単量体をグラフト共重合せしめたグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)、および共重合可能なその他のビニル系単量体(e)から選ばれた1種以上の単量体からなるビニル系重合体(B)とを、重量比で(A):(B)=10:90〜60:40の割合で含む熱可塑性樹脂(I)100重量部に対し、ポリアミド樹脂(II)1〜27重量部とポリアミドエラストマー(III)3〜29重量部(ただし、(II)と(III)を合わせて4〜30重量部)、およびさらにカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基およびアミド基よりからなる群から選ばれた少なくとも一種類以上の官能基を有する変性ビニル系共重合体(IV)0.1〜15重量部を添加してなる熱可塑性樹脂組成物が提供される。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを使用して測定した角板(厚さ3mm)のヘイズ値が30%以下であること、
前記ゴム質重合体(a)の重量平均粒子径が0.1〜0.5μmであり、かつ、グラフト共重合体(A)を構成するゴム質重合体(a)と単量体との重量比が20:80〜80:20の割合であること、
前記グラフト共重合体(A)を構成する単量体が、芳香族ビニル系単量体(b)5〜50重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜50重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)30〜80重量%、および共重合可能なその他のビニル系単量体(e)0〜60重量%からなるものであること、
前記ビニル系重合体(B)を構成する単量体が、芳香族ビニル系単量体(b)5〜50重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜50重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)30〜80重量%、および共重合可能なその他のビニル系単量体(e)0〜60重量%からなるものであること、
前記ポリアミド樹脂(II)が共重合ポリアミドであること、
前記ポリアミドエラストマー(III)が、ポリエーテルエステルアミドであること、および
前記変性ビニル系共重合体(IV)が、少なくとも芳香族ビニル、シアン化ビニルおよびメタクリル酸とが共重合されてなる共重合体であること
が、いずれも好ましい形態であり、これらの場合にはさらに優れた効果の取得が期待できる。
また、本発明の成形品は、上記の熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする。
本発明によれば、以下に説明するとおり、耐薬品性、帯電防止性および色調安定性に優れた実質的に透明性を有する熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品を得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明におけるグラフト共重合体(A)に用いられるゴム質重合体(a)には特に制限はないが、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴム等が使用できる。具体例として、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリイソプレン、ポリ(ブタジエン−アクリル酸ブチル)、ポリ(ブタジエン−メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸エチル)、エチレン−プロピレンラバー、エチレン−プロピレン−ジエンラバー、ポリ(エチレン−イソプレン)、およびポリ(エチレン−アクリル酸メチル)等が挙げられる。これらのゴム質重合体(a)は、1種または2種以上の混合物で使用される。これらのゴム質重合体(a)のなかでも、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、およびエチレン−プロピレンラバーが、いずれも耐衝撃性の点で好ましく用いられる。
本発明におけるグラフト共重合体(A)を構成するゴム質重合体(a)の重量平均粒子径には特に制限はないが、0.1〜0.5μmが好ましく、さらに好ましくは0.15〜0.4μmである。この範囲であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物は衝撃強度に優れ、透明性が良好なものとなる。
本発明におけるグラフト共重合体(A)およびビニル系(共)重合体(B)に用いられる芳香族ビニル系単量体(b)には特に制限はないが、具体例として、スチレン、α−メチルスチレン、オルソメチルスチレン、パラメチルスチレン、パラ−t−ブチルスチレンおよびハロゲン化スチレン等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。なかでも、スチレンおよびα−メチルスチレンが、機械的特性、生産性、経済性などのバランスの点で好ましく、特に好ましくはスチレンである。
本発明におけるグラフト共重合体(A)およびビニル系(共)重合体(B)に用いるシアン化ビニル系単量体(c)は特に制限はないが、具体例として、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。なかでもアクリロニトリルが耐衝撃性の点で好ましい。
本発明におけるグラフト共重合体(A)およびビニル系(共)重合体(B)に用いられる不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)には特に制限はないが、炭素数1〜6のアルキル基または置換アルキル基を持つアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが好適であり、1種または2種以上を用いることができる。具体例として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチルおよび(メタ)アクリル酸2−クロロエチル等が挙げられ、なかでもメタクリル酸メチルが、機械的特性、生産性、経済性の点で好ましい。
本発明におけるグラフト共重合体(A)およびビニル系(共)重合体(B)に用いられる共重合可能なその他のビニル系単量体(e)には特に制限はないが、具体例として、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物およびアクリルアミド等の不飽和アミド化合物に代表される共重合可能なビニル化合物等を挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
ゴム質重合体(a)とマトリックス樹脂との屈折率の差は、0.03以下であることが好ましい。ここでいうマトリックス樹脂とは、グラフト共重合体(A)からゴム質重合体(a)を除いた、グラフト共重合成分およびビニル系(共)重合体(B)からなる。ゴム質重合体(a)、グラフト共重合成分およびビニル系(共)重合体(B)の屈折率は、アッベ屈折計を用いて測定する。ゴム質重合体(a)、グラフト共重合成分およびビニル系(共)重合体(B)の相互の屈折率の差が0.03を越えると、透明性が低下する傾向が招かれる。
グラフト共重合体(A)に用いる単量体組成は、芳香族ビニル系単量体(b)5〜50重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜50重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)30〜80重量%、および共重合可能なその他のビニル系単量体(e)0〜60重量%からなることが好ましい。より好ましくは、芳香族ビニル系単量体(b)15〜35重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜40重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)50〜80重量%、および共重合可能なその他のビニル系単量体(e)0〜40重量%である。
また、グラフト共重合体(A)におけるゴム質重合体(a)の含有量は特に制限はないが、20〜80重量部が好ましい。20重量部未満では得られる熱可塑性樹脂組成物の衝撃強度が低下し、80重量部を越えると溶融粘度が上昇して成形性が悪くなるため好ましくない。さらに好ましくは35重量部〜60重量部である。なお、グラフト共重合体(A)に配合された単量体混合物は、そのすべてが、ゴム質重合体(a)と結合してグラフト化している必要はなく、単量体混合物の単量体同士で結合し、グラフト化していない重合体として含まれていても良い。しかし、グラフト率は好ましくは、10〜100%、特に好ましいのは20〜50%である。
本発明におけるビニル系(共)重合体(B)を構成する芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)および必要に応じて共重合可能なその他のビニル系単量体(e)の組成には特に制限はないが、透明性と耐衝撃性とのバランスをとる点で、好ましくは芳香族ビニル系単量体(b)5〜50重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜50重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)30〜80重量%、および共重合可能なその他のビニル系単量体(e)0〜60重量%である。さらに好ましくは芳香族ビニル系単量体(b)15〜35重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜40重量%、及び不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)50〜80重量%、および共重合可能なその他のビニル系単量体(e)0〜40重量%である。
本発明におけるビニル系(共)重合体(B)の還元粘度(ηsp/c)は特に制限はないが、0.1〜0.6dl/gの範囲が好ましい。これ以外の場合には、耐衝撃性が低下し、或いは溶融粘度が上昇して成形性が悪くなりやすい。さらに好ましくは0.3〜0.5dl/gの範囲である。
なお、ビニル系(共)重合体(B)は複数種類用いることができる。
本発明におけるグラフト共重合体(A)およびビニル系(共)重合体(B)の製造方法については特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等のいずれでもよい。単量体の仕込方法も特に制限はなく、初期一括仕込み、単量体の一部または全てを連続仕込み、あるいは単量体の一部または全てを分割仕込みのいずれの方法を用いてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂(I)を構成するグラフト共重合体(A)とビニル系(共)重合体(B)との混合比は、グラフト共重合体(A)10〜60重量部、ビニル系(共)重合体(B)40〜90重量部の割合である。グラフト共重合体(A)が10重量部未満もしくはビニル系(共)重合体(B)が90重量部を越えると、衝撃強度が低下する。また、グラフト共重合体(A)が60重量部を越えると溶融粘度が上昇して成形性が悪くなる。好ましくはグラフト共重合体(A)20〜50重量部、ビニル系(共)重合体(B)50〜80重量部の割合である。
本発明に用いるポリアミド樹脂(II)としては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ドデカラクタム等のラクタム類の開環重合によって得られるポリアミド、6−アミノカプロ酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノ酸から導かれるポリアミド、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4,4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタおよびパラキシレンジアミン等の脂肪族、脂環族、芳香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸ドテカン二酸、1,3−および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ダイマ−酸等の脂肪族、脂環族、芳香族ジカルボン酸とから導かれるポリアミド樹脂、およびこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、ナイロン6(ポリカプロアミド)、ナイロン11(ポリウンデカンアミド)、ナイロン12(ポリドテカンアミド)、ナイロン66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ナイロン610およびこれらを主成分とする共重合ポリアミドが好ましく用いられる。上記ポリアミド樹脂は一種または2種以上併用して用いることができる。
ポリアミド樹脂(II)の重合方法は通常公知の溶融重合、固相重合およびこれらを組合せた方法を採用することができる。
ポリアミド樹脂(II)の相対粘度(ポリマ1gを98%濃硫酸100gに溶解し、25℃で測定したもの)は、1.0〜5.0の範囲であることが好ましく、より好ましくは、1.5〜3.5の範囲である。
ポリアミド樹脂(II)の含有量は、グラフト共重合体(A)およびビニル系共重合体(B)の合計100重量部に対し、耐薬品性、剛性および成形加工性とのバランスの点から、1〜27重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜20重量部である。ポリアミド樹脂(II)の含有量が1重量部未満であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐薬品性が不十分であり、また、27重量部を越えると、透明性、剛性および耐熱性が低下する。
本発明におけるポリアミドエラストマー(III)としては、例えば炭素数が6以上のポリアミド形成成分(a)、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(b)との反応によるグラフトまたはブロック共重合体が挙げられる。ここで、炭素数が6以上のアミド形成成分(a)としては、具体的には、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸、あるいはカプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウロラクタム等のラクタム、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸塩等のナイロン塩が挙げられる。ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(b)の例としては、ポリエチレンオキシドグリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランのブロックまたはランダム共重合体等が用いられる。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの数平均分子量は、200〜6000の範囲であることが、重合性および剛性の点で好ましく、300〜4000がより好ましい。また、必要に応じて、(b)成分の両末端をアミノ化またはカルボキシル化してもよい。
本発明のポリアミドエラストマー(III)における炭素数が6以上のポリアミド形成成分(a)とポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分(b)との結合は、通常エステル結合、アミド結合であるが、特にこれらのみに限定されない。また、ジカルボン酸(c)、ジアミン(d)等の第3成分を両成分の反応成分として用いることも可能であり、この場合のジカルボン酸成分(c)としては、炭素数4〜20のテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウムのような芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸のような脂環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸のような脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、特に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸が、重合性、色調、物性の点から好ましい。一方、ジアミン成分(d)としては、芳香族、脂環族、脂肪族のジアミンが用いられ、なかでも脂肪族ジアミンのヘキサメチレンジアミンが、上記同様、重合性、色調、物性の点から好ましい。
ポリアミドエラストマー(III)の重合方法に関しては特に限定されず、例えばアミノカルボン酸またはラクタム(a)とジカルボン酸(c)を等モル比で反応させて、両末端がカルボン酸基のポリアミドプレポリマーを作り、これにポリ(アルキレンオキシド)グリコール(b)を真空下に反応させる方法や、上記 (a)、(b)、(c)の各化合物を反応槽に仕込み、水の存在下または非存在下に高温で加圧反応させることにより、カルボン酸末端のポリアミドプレポリマーを生成させ、その後、常圧または減圧下で重合を進める方法、あるいは、上記(a)、(b)、(c)の化合物を同時に反応槽に仕込、溶融重合した後、高真空下で一挙に重合を進める方法などの公知の方法を採用することができる。
ポリアミドエラストマー(III)の含有量は、ビニル系共重合体(A)およびグラフト共重合体(B)の合計100重量部に対し、耐薬品性、帯電防止性、剛性および成形加工性とのバランスの点から3〜29重量部が好ましく、より好ましくは5〜20重量部である。ポリアミドエラストマー(III)の含有量が3重量部未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐薬品性、帯電防止性が不十分であり、また、29重量部を超えると剛性および耐熱性が低下する。
また、本発明においてポリアミド樹脂(II)の添加量と、ポリアミドエラストマー(III)の添加量の合計は、ビニル系共重合体(A)およびグラフト共重合体(B)の合計100重量部に対し、耐薬品性、帯電防止性、剛性および成形加工性とのバランスの点から、4〜30重量部とする必要があり、より好ましくは5〜25重量部である。ポリアミド樹脂(II)とポリアミドエラストマー(III)の添加量の合計が3重量部未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐薬品性が不十分であり、また、30重量部を超えると剛性および耐熱性が低下する。
本発明における変性ビニル系共重合体(IV)とは、2種以上のビニル系単量体を共重合して得られる構造を有し、分子鎖中にカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基の少なくとも1種の官能基を有するものである。これらの官能基の含有量としては、特に限定はないが、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15重量%である。0.1重量%未満では耐衝撃向上効果が十分でなく、また、20重量%を越えると変性ビニル系重合体の製造が困難になったり、自己反応によるゲル化が発生することがある。変性ビニル系共重合体(IV)中にカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を導入する方法については、特に制限されないが、通常、上記官能基を有するビニル系単量体を共重合する方法、上記官能基を有する重合開始剤または連鎖移動剤を用いて所定のビニル系単量体を共重合する方法などが例示できる。
上記官能基を有するビニル系単量体、重合開始剤および連鎖移動剤の具体例は以下の通りである。ビニル系単量体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸またはイタコン酸等のカルボキシル基を有する単量体、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルまたはイタコン酸グリシジル等のエポキシ基を有する単量体、アクリル酸アミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル誘導体類、N−アセチルビニルアミン等のビニルアミン誘導体類、メタアリルアミン等のアリルアミン誘導体またはアミノスチレン等のアミノ基を有する単量体、およびアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド等のアミド基を有する単量体が挙げられる。
重合開始剤の例としては、γ,γ´−アゾビス(γ−シアノバレイン酸)または過酸化サクシン酸等のカルボキシル基を有する開始剤や、α, α´−アゾビス(γ−アミノ−α, γ−ジバレロニトリル)またはp−アミノベンゾイルパーオキサイド等のアミノ基を有する開始剤が挙げられる。
連鎖移動剤の例としては、メルカプトプロピオン、4−メルカプト安息香酸またはチオグリコール酸等のカルボキシル基を有する連鎖移動剤やメルカプトメチルアミン、N−(β−メルカプトエチル)−N−メチルアミン、ビス−(4−アミノフェニル)ジスルフィドまたはメルカプトアニリン等のアミノ基を有する連鎖移動剤が挙げられる。
変性ビニル系共重合体(IV)を共重合する際の重合方法については特に制限されないが、懸濁重合、塊状重合、乳化重合、溶液重合等の方法が好ましい。
この変性ビニル系共重合体(IV)の還元粘度は、成形加工性および耐衝撃性の点から、0.2dl/g〜1.5dl/gの範囲が好ましい。より好ましくは0.4dl/g〜1.0dl/gの範囲である。変性ビニル共重合体(IV)の還元粘度が0.2dl/g未満であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性向上効果が十分でないことがあり、また1.5dl/gを超えると成形加工性が低下することがある。
変性ビニル系共重合体(IV)の含有量は、機械的強度と成形加工性とのバランスの点から、0.1〜15重量部の範囲が好ましく、より好ましくは1.0〜10重量部の範囲である。変性ビニル系共重合体(IV)の含有量が0.1重量部未満であると、得られる熱可塑性樹脂樹脂組成物の耐衝撃性向上効果が十分発揮されず、15重量部を超えると、成形加工性が低下する傾向にある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関しては特に制限はなく、熱可塑性樹脂(I)、ポリアミド樹脂(II)、およびポリアミドエラストマー(III)、変性ビニル系共重合体(IV)を、例えばバンバリミキサー、ロール、エクストルーダー、ニーダー等で溶融混練することによって製造することができる。
なお本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、各種の熱可塑性樹脂やエラストマー類を配合することにより、成形用樹脂組成物として性能をさらに改良することができる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じてヒンダードフェノール系、含硫黄化合物系、含リン有機化合物系等の酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系等の熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンソフェノン系、サクシレート系等の紫外線吸収剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン系等の光安定剤等の各種安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類等の滑剤、フタル酸エステル類、リン酸エステル類等の可塑剤、ハロゲン系、リン系(赤燐、リン酸エステル等)等の難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の難燃助剤、カーボンブラック、顔料および染料等を添加することもできる。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、各種の補強剤や充填剤を添加することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを使用して測定した角板(厚さ3mm)のヘイズ値が30%以下であることが好ましい。ヘイズ値がこの範囲にあれば、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品内部の視認性が良好となる。
上記によって得られた透明性、耐薬品性および色調安定性に優れる熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形および、ガスアシスト成形等の現在熱可塑性樹脂の成形に用いられる公知の方法によって成形することができ、特に制限されるものではない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は耐衝撃性、耐熱性、成形時の流動性、透明性、抗菌性に優れた特徴を生かして、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類に適している。
以下、本発明を実施例および比較例にて詳細に説明するが、これをもって本発明を制限するものではない。なお、実施例および比較例中、特にことわりのない限り「部」または「%」で表示したものは、すべて重量比率を表わしたものである。熱可塑性樹脂組成物の特性評価方法について下記する。
(1)屈折率
測定するサンプルに1−ブロモナフタレンを少量滴下し、アッベ屈折計を用いて以下の条件で屈折率を測定した。
光 源 :ナトリウムランプD線
測定温度:20℃。
(2)重量平均ゴム粒子径
「ラバーエイジ第88巻484頁〜490頁(Rubber Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt, P.H.Biddison)」記載のアルギン酸ナトリウム法によって求める。すなわち、アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める。
(3)グラフト率
グラフト共重合体所定量(m)にアセトンを加え、3時間還流し、この溶液を8800r/min(10000G)で40分間遠心分離後、不溶分を濾取し、この不溶分を60℃で5時間減圧乾燥し、重量(n)を測定した。グラフト率は、下記式より算出した。グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/[(m)×L]}×100
ここで、Lはグラフト共重合体のゴム含有量である。
(4)還元粘度ηsp/c
サンプル1gにアセトン200mlを加え、3時間還流し、この溶液を8800r/min(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過する。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、析出物(アセトン可溶分)を60℃で5時間減圧乾燥後、0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調整し、ウベローデ粘度計を用いηsp/cを測定した。
(5)曲げ弾性率
ASTM D790(23℃)に準拠して測定した。
(6)アイゾット衝撃強度
ASTM D256に準拠して(12.7mmノッチ付き、23℃)測定した。
(7)メルトフローレート
ISO 1133(220℃、98N荷重)に準じて測定した。
(8)透明性(ヘイズ値)
東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを使用して角板(厚さ3mm)のヘイズ値[%]を測定した。ヘイズ値が低いほど透明性に優れた樹脂である。
(9)耐薬品性
試験片(127×12.7×1mmt)を、図1に示した1/4楕円治具に沿わして固定した後、対象薬品10gを均一に塗布し、23℃環境下で24時間放置後、クレーズおよびクラックの発生有無を確認し、下記数式により臨界歪みε(%)を算出し、その値が0.5%未満のものをバツ、0.5〜1.0%のものを三角、1.0〜2.0%のものを丸、2.0%を越えるものを二重丸とし、二重丸と丸を合格とした。
Figure 2005187729
式中、ε: 臨界歪み (%)
a: 治具の長軸 (mm)
b: 治具の短軸 (mm)
t: 試験片の厚み(mm)
X: クラック発生点の長方向長さ(mm)である。
(10)帯電圧(静電気消散性能)、帯電圧減衰半減期
80℃熱風乾燥忌中で3時間乾燥した樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度250℃に設定した東芝(株)製IS−50A成形機内に充填し、射出成形により得た角板成形品(40mm(W)×50mm(L)×3mm(t))にてスタティックオネストメーター(宍戸製)で測定した。成形品と印加電極の距離を15mm、検出電極との距離を10mmとし、8kVの電圧を1分間印加し、その時の帯電圧を読みとった。帯電圧減衰半減期は、印加を止め、帯電圧が半減するまでの時間を読みとった。帯電圧が低く、かつ帯電圧減衰半減期が短いほど静電気消散性能に優れていると言える。
[参考例1]グラフト共重合体(A)の製造方法
ポリブタジエン(重量平均粒子径0.2μm、屈折率1.52) 50重量部
(固形分換算)
オレイン酸カリウム 0.5重量部
ブドウ糖 0.5重量部
ピロリン酸ナトリウム 0.5重量部
硫酸第一鉄 0.005重量部
脱イオン水 120重量部
以上の物質を重合容器に仕込み、撹拌しながら65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、メタクリル酸メチル70部、スチレン25部、アクリロニトリル5部、t−ドデシルメルカプタン0.3部からなる混合物50重量部を5時間かけて連続滴下した。並行してクメンハイドロパーオキサイド0.25部、オレイン酸カリウム2.5部および純水25部からなる水溶液を、7時間で連続滴下し反応を完結させた。得られたグラフト共重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソ−ダで中和後、洗浄、濾過、乾燥してグラフト共重合体A−1を得た。このグラフト共重合体A−1のグラフト率は45%、還元粘度ηsp/cは0.27dl/g、グラフト成分の屈折率は1.52であった。
[参考例2]ビニル系(共)重合体(B)の製造方法
容量が20Lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に下記混合物質を反応系を攪拌しながら添加し、60℃に昇温し重合を開始した。
メタクリル酸メチル 70重量部
スチレン 25重量部
アクリロニトリル 5重量部
t−ドデシルメルカプタン 0.2重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.4重量部
15分かけて反応温度を65℃まで昇温したのち、50分かけて100℃まで昇温した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ない、ビニル系(共)重合体B−1を得た。このビニル系(共)重合体B−1の還元粘度ηsp/cは0.36dl/g、屈折率は1.52であった。
[参考例3]ポリアミド樹脂(II)
<II−1> “アミラン”CM1010(ナイロン6) (東レ社製)
<II−2> “アミラン”E3100 (ナイロン66) (東レ社製)
<II−3> “アミラン”M8010 (ナイロン共重合タイプ)(東レ社製)
<II−4> “アミラン”CM1001(ナイロン6) (東レ社製)
[参考例4]ポリアミドエラストマー(III)
カプロラクタム40.0部、数平均分子量1000のポリエチレングリコール53.1部およびテレフタル酸9.2部を“イルガノックス1098”(酸化防止剤)0.2部および三酸化アンチモン触媒0.1部とともにヘリカルリボン撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、窒素置換して260℃で1時間加熱撹拌して透明な均一溶液とした後、260℃、0.5mmHg以下の条件で4時間重合し、粘調で透明なポリマーを得た。得られたポリマーをストランド状に吐出させ、カットしてペレット上のポリエーテルエステルアミト゜III−1を得た。
[参考例5]変性ビニル系共重合体(IV)
スチレン70部、アクリロニトリル25部、メタクリル酸5部を懸濁重合して、ビーズ状の変性ビニル系共重合体IV−1を得た。該変性ビニル系共重合体の還元粘度は0.55dl/gであった。
[実施例1〜8]
参考例で示したグラフト共重合体(A)、ビニル系(共)重合体(B)、ポリアミド樹脂(II)、ポリアミドエラストマー(III)および変性ビニル系共重合体(IV)を表1に示した配合比で混合し、ベント付40mm単軸押出機で溶融混練、押出しを行うことによって、ペレット状の透明性、耐薬品性および色調安定性に優れる熱可塑性樹脂組成物を製造した。次いで射出成形機により、シリンダー温度230℃、金型温度60℃で試験片を成形し、上記条件で物性を測定し、得られた測定結果を表1に示した。
Figure 2005187729
[比較例1〜7]
参考例で示したグラフト共重合体(A)、ビニル系(共)重合体(B)、ポリアミド樹脂(II)、ポリアミドエラストマー(III)および変性ビニル系共重合体(IV)を表1に示した配合比で混合し、実施例と同様の方法で各物性を測定し、測定結果を表1に併せて示した。
表1の結果から次のことが明らかである。本発明の熱可塑性樹脂組成物(実施例1〜8)はいずれも透明性(ヘイズ値)、耐薬品性、帯電防止性、色調安定性、成形加工性および機械特性が均衡して優れる。
ビニル系(共)重合体(B)の配合量が90重量部を越えるもの(比較例1)は耐衝撃性が劣り好ましくない。
一方、グラフト共重合体(A)の配合量が60重量部を越えるもの(比較例2)は成形加工性に劣り好ましくない。
ポリアミド樹脂(II)の添加量が1重量部未満のもの(比較例3)は耐薬品性に劣り好ましくない。
ポリアミドエラストマー(III)の添加量が3重量部未満のもの(比較例4)は耐薬品性および帯電防止性に劣り好ましくない。
ポリアミド樹脂(II)とポリアミドエラストマー(III)の合計の添加量が30重量部を超えるもの(比較例5)は、剛性、透明性に劣り好ましくない。
変性ビニル系共重合体(IV)の添加量が0.1重量部未満のもの(比較例6)は耐衝撃性に劣り、15重量部を越えるもの(比較例7)は成形加工性、透明性に劣り好ましくない。
本発明の透明性、耐薬品性および色調安定性に優れる熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形および、ガスアシスト成形等の現在熱可塑性樹脂の成形に用いられる公知の方法によって成形することができ、得られる成形品は、その優れた特徴を生かして、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類に適している。
耐薬品性の評価に使用する1/4楕円治具の斜視説明図である。
符号の説明
1:試験片(127×12.7×1.5mmt)
2:薬液
3:クラック
X:クラック発生箇所からの距離

Claims (9)

  1. ゴム質重合体(a)に対し、芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)、および共重合可能なその他のビニル系単量体(e)から選ばれた1種以上の単量体をグラフト共重合せしめたグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)、および共重合可能なその他のビニル系単量体(e)から選ばれた1種以上の単量体からなるビニル系重合体(B)とを、重量比で(A):(B)=10:90〜60:40の割合で含む熱可塑性樹脂(I)100重量部に対し、ポリアミド樹脂(II)1〜27重量部とポリアミドエラストマー(III)3〜29重量部(ただし、(II)と(III)を合わせて4〜30重量部)、およびさらにカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基およびアミド基よりからなる群から選ばれた少なくとも一種類以上の官能基を有する変性ビニル系共重合体(IV)0.1〜15重量部を添加してなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. 東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを使用して測定した角板(厚さ3mm)のヘイズ値が30%以下である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ゴム質重合体(a)の重量平均粒子径が0.1〜0.5μmであり、かつ、グラフト共重合体(A)を構成するゴム質重合体(a)と単量体との重量比が20:80〜80:20の割合である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記グラフト共重合体(A)を構成する単量体が、芳香族ビニル系単量体(b)5〜50重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜50重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)30〜80重量%、および共重合可能なその他のビニル系単量体(e)0〜60重量%からなるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記ビニル系重合体(B)を構成する単量体が、芳香族ビニル系単量体(b)5〜50重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜50重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)30〜80重量%、および共重合可能なその他のビニル系単量体(e)0〜60重量%からなるものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記ポリアミド樹脂(II)が共重合ポリアミドである請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 前記ポリアミドエラストマー(III)が、ポリエーテルエステルアミドである請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 前記変性ビニル系共重合体(IV)が、少なくとも芳香族ビニル、シアン化ビニルおよびメタクリル酸とが共重合されてなる共重合体である請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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