JP2650410B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2650410B2
JP2650410B2 JP8633789A JP8633789A JP2650410B2 JP 2650410 B2 JP2650410 B2 JP 2650410B2 JP 8633789 A JP8633789 A JP 8633789A JP 8633789 A JP8633789 A JP 8633789A JP 2650410 B2 JP2650410 B2 JP 2650410B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、透明でかつ永久帯電性に優れた樹脂組成物
に関する。
[従来の技術] 透明な樹脂として、ポリカーボネートおよびポリメチ
ルメタアクリレートが知られている。しかし、ポリカー
ボネートの制電技術は確立されていない。また、ポリメ
チルメタアクリレートの制電技術は存在するが普及して
いない。その理由は、その技術に要する費用が高いため
である。
ゴム質重合体の屈折率とマトリックスの樹脂の屈折率
を実質的に一致させた樹脂、例えばメタクリル酸メチル
−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)やメタク
リル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体(MABS樹脂)は、優れた耐衝撃性および透明
性を有する樹脂として広範な分野で使用されている。こ
れらの樹脂は機械的強度および光学的特性に優れている
が、帯電防止性に問題があり、静電気による障害を防止
したいICキャリーケースおよびOA機器のカバー、各種防
塵用部品などへの用途展開が困難であった。
透明樹脂に制電性を付与する方法としては、共役ジエ
ンおよび/またはアクリル酸アルキルエステルとアルキ
レンオキサイド基を有するビニル系単量体を共重合して
得られる親水性ゴム状共重合体に、これと屈折率が実質
的に一致するビニル単量体をグラフト重合して得る方法
(特開昭55−36237号公報)などがあり、実用的な制電
性を達成しているが特殊な親水性ゴム状重合体を使用し
ているため、その製造方法が煩雑なこと、および得られ
る樹脂の耐衝撃性、弾性率などの機械的特性が劣る欠点
があり、十分満足できるものではない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、優れた永久帯電防止性、耐衝撃性お
よび透明性を有する制電性熱可塑性樹脂組成物を提供す
ることである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記目的を達成するために次の構成をと
る。
(A)(a)炭素原子数6以上のアミノカルボン酸また
は炭素原子数6以上のラクタム、もしくはジアミンとジ
カルボン酸から合成される炭素原子数6以上の塩、 (b)次式(I)〜(III)、2,2−ビス(4,4′−ヒド
ロキシシクロヘキシル)プロパンのエチレンオキシド付
加物、2,2−ビス(4,4′−ヒドロキシシクロヘキシル)
プロパンのプロピレンオキシド付加物、1,4−ジヒドロ
キシシクロヘキサンのエチレンオキシド付加物ならびに
1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンのプロピレンオキシ
ド付加物から選ばれた一種もしくは二種以上のジオール
化合物、 (ただし式中、R1、R2は、エチレンオキシド基およびプ
ロピレンオキシド基の少なくとも1を示し、Yは共有結
合、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアル
キリデン基、炭素数7〜17のシクロアルキリデン基、炭
素数7〜17のアリールアルキリデン基、O、SO、SO2、C
O、S、CF2、C(CF3またはNHを示し、Xは水素、
炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン基、スルホン酸、
またはその金属塩を示す。lは0または1〜4の整数を
示し、mおよびnは各々1〜15の整数を示す。) (c)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールおよび/
または次の一般式の化合物 HO−R3−OH ……(IV) (ただし式中、R3は炭素数2〜16のアルキレン基、炭素
数3〜16のアルキリデン基、炭素数5〜16のシクロアル
キレン基、炭素数6〜16のアリールアルキレン基) (d)炭素原子数4〜20のジカルボン酸を重合してなる
ポリエーテルエステルアミドで、ポリエーテルエステル
単位が10〜90重量%である透明なポリエーテルエステル
アミド1〜99重量%、および (B)ヒドロキシル基、ポリアルキレンオキシド基およ
び/またはその誘導体を含有する変性ビニル系重合体99
〜1重量% からなり、かつ(A)成分および(B)成分の2成分間
の屈折率の差が0.02以下である透明な熱可塑性樹脂組成
物。
本発明の(A)ポリエーテルエステルアミドを構成す
る(a)炭素原子数6以上のアミノカルボン酸、炭素原
子数6以上のラクタム、もしくは炭素原子数6以上のジ
アミンとジカルボン酸の塩は、ポリエーテルエステルア
ミドのポリアミド形成成分である。
アミノカルボン酸としては、ω−アミノカプロン酸、
ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−ア
ミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸および11−アミ
ノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などが挙げられ
る。ラクタムとしてはカプロラクタム、エナントラクタ
ム、カプリルラクタムおよびラウロラクタムなどが挙げ
られる。ジアミンとしては、ヘキサメチレンジアミンな
どが挙げられ、ジカルボン酸としてはアジピン酸、セバ
シン酸、デカンジカルボン酸およびイソフタル酸が挙げ
られる。ジアミンとジカルボン酸の塩としては、ヘキサ
メチレンジアミン−アジピン酸塩、ヘキサメチレンジア
ミン−セバシン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−デカン
ジカルボン酸塩およびヘキサメチレンジアミン−イソフ
タル酸塩などのジアミンとジカルボン酸の塩として用い
られる。なかでも特にカプロラクタム、11−アミノウン
デカン酸、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジア
ミン−アジピン酸塩が好ましく用いられる。
(a)成分の炭素原子数6以上のアミノカルボン酸ま
たはラクタム、もしくはジアミンとジカルボン酸から合
成された炭素原子数6以上の塩は、ポリエーテルエステ
ルアミド構成単位で10〜90重量%、好ましくは20〜80重
量%範囲で用いられ、10重量%未満ではポリエーテルエ
ステルアミドの機械的性質が劣り、90重量%越える場合
はポリエーテルエステルアミドの透明性が悪くなり好ま
しくない。
本発明における(A)ポリエーテルエステルアミドの
構成成分である(b)ジオール化合物としては、次式
(I)〜(III)で示される。
(ただし式中、R1、R2は、エチレンオキシド基およびプ
ロピレンオキシド基の少なくとも1を示し、Yは共有結
合、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアル
キリデン基、炭素数7〜17のシクロアルキリデン基、炭
素数7〜17のアリールアルキリデン基、O、SO、SO2、C
O、S、CF2、C(CF3またはNHを示し、Xは水素、
炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン基、スルホン酸、
またはその金属塩を示す。lは0または1〜4の整数を
示し、mおよびnは各々1〜15の整数を示す。) 上記一般式(I)〜(III)で示される化合物のう
ち、R1、R2の少なくとも一方がエチレンオキサイドであ
ると重合性が良好であるので好ましい。またmおよびn
が1〜15であると制電性と透明性が良好であり好まし
い。特にmおよびnが1〜5の場合、透明性が極めて優
れているので好ましい。また、一般式(II)で示される
化合物が透明性、重合性の点で優れ好ましい。
具体的な例としては、ビスフェノールAのエチレンオ
キシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物、テト
ラブロモビスフェノールAのエチレンオキシドおよび/
またはプロピレンオキシド付加物、ジメチルビスフェノ
ールAのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオ
キシド付加物、テトラメチルビスフェノールAのエチレ
ンオキシドおよび/プロピレンオキシド付加物、2,2−
ビス(4,4′−ヒドロキシフェニル−3,3′−スルホン酸
ナトリウム)プロパンのエチレンオキシドおよび/また
はプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールSのエチ
レンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加
物、ジメチルビスフェノールSのエチレンオキシドおよ
び/またはプロピレンオキシド付加物、テトラメチルビ
スフェノールSのエチレンオキシドおよび/またはプロ
ピレンオキシド付加物、4,4′−(ヒドロキシ)ビフェ
ニルのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキ
シド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィ
ドのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシ
ド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシ
ドのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシ
ド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンのエ
チレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加
物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン
のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド
付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオ
ロプロパンのエチレンオキシドおよび/またはプロピレ
ンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
ーテルのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオ
キシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アミン
のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド
付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド
付加物、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロ
ヘキサンのエチレンオキシドおよび/またはプロピレン
オキシド付加物、4,4′−ジヒドロキシベンゾフィノン
のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド
付加物、ハイドロキノンのエチレンオキシドおよび/ま
たはプロピレンオキシド付加物、1,4−ジヒドロキシベ
ンゼンスルホン酸ナトリウムのエチレンオキシドおよび
/またはプロピレンオキシド付加物、ジヒドロキシナフ
タレンのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオ
キシド付加物、およびそれらのブロック共重合体などが
挙げられる。
好ましいジオール化合物としては、ハイドロキノンの
エチレンオキシド付加物、ビスフェノールAのエチレン
オキシド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキシド
付加物、ジヒドロキシナフタレンのエチレンオキシド付
加物およびそのブロック重合体などであり、特にビスフ
ェノールAのエチレンオキシド付加物およびそのブロッ
ク重合体が重合性、経済性の点で好ましい。
これらのジオール化合物(b)は、一種もしくは必要
に応じて二種以上用いることができる。共重合量につい
て特に制限はないが、透明性、制電性などの点でポリエ
ーテルエステル単位で0.1〜60重量%の範囲が好まし
い。
(A)ポリエーテルエステルアミドの構成成分である
ポリ(アルキレンオキシド)グリコールおよび/または
一般式(IV)の化合物(c)としては、例えばエチレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジ
オール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、
1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジ
オール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノー
ル、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコ
ールおよびポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロ
ピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロピレン
オキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシ
ド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリ
コール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロ
ックまたはランダム共重合体、およびエチレンオキシド
とテトラヒドロフランのブロックンまたはランダム共重
合体などが挙げられる。これらのなかでも、ポリエチレ
ングリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコー
ル、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールなどの
ポリ(アルキレンオキシド)グリコール、p−キシリレ
ングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好
ましく用いられる。
特にポリエチレングリコール、ポリ(プロピレンオキ
シド)グリコールが用いられる場合、ポリエーテルエス
テルアミドは親水性、制電性に優れるため好ましい。さ
らに重合性、制電性の点からポリエチレングリコールが
好ましい。
数平均分子量200〜6,000、特に200〜4,000のポリ(ア
ルキレンオキシド)グリコールは透明性および制電性に
優れるので好ましい。数平均分子量が200未満では得ら
れるポリエーテルエステルアミドの機械的性質が劣り、
数平均分子量が6,000を越える場合は得られるポリエー
テルエステルアミドの透明性が悪くなるため好ましくな
い。
化合物(b)およびジオール化合物(c)と共にポリ
エーテルエステル単位を形成する炭素原子数4〜20のジ
カルボン酸(d)としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフ
タレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4′−ジカ
ルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸および3−
スルホイソフタル酸ナトリウムなどの芳香族ジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘ
キサンジカルボン酸およびジシクロヘキシル−4,4′−
ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸およびコハク
酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸およびドデカン
ジ酸(デカンジカルボン酸)などの脂肪族ジカルボン酸
などが挙げられ、特にテレフタル酸、イソフタル酸、1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピ
ン酸、ドデカンジ酸が重合性、色調、透明性および物性
の点から好ましく用いられる。
(b)ジオール化合物、(c)ポリ(アルキレンオキ
シド)グリコールおよび/または一般式(IV)で示され
る化合物と(d)ジカルボン酸は、反応上は1:1のモル
比で反応するが、使用するジカルボン酸の種類により、
仕込み比を1:1または適宜変えて供給される。
(b)成分、(c)成分および(d)成分より誘導さ
れるポリエーテルエステルは、ポリエーテルエステルア
ミド構成単位で10〜90重量%、好ましくは20〜80重量
%、特に30〜70重量%の範囲で用いられ、10重量%未満
ではポリエーテルエステルアミドの透明性が悪くなり、
90重量%を越える場合はポリエーテルエステルアミドの
機械的性質が劣り好ましくない。
上記の重合成分、組成を選択することにより、結晶性
の低い透明なポリエーテルエステルアミドを得ることが
できる。
本発明のポリエーテルエステルアミドの重合は特に限
定されず、例えば(イ)(a)アミノカルボン酸または
炭素原子数6以上のラクタム、もしくはジアミンとジカ
ルボン酸から合成される炭素原子数6以上の塩と、
(d)ジカルボン酸を反応させて両末端がカルボン酸基
のポリアミドプレポリマを作る。このポリアミドプレポ
リマの平均分子量は広範囲に変化させ得るが、300〜15,
000が好ましく、特に500〜5,000が好ましい。
上記ポリアミドプレポリマに、(b)ジオール化合物
および(c)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールお
よび/または一般式(IV)の化合物を真空下に反応させ
る方法、(ロ)前記(a)、(b)、(c)、(d)の
各化合物を反応槽に仕込み、水の存在下または非存在下
に高温で高圧反応させることによりカルボン酸末端のポ
リアミドプレポリマを生成させ、その後、常圧または真
空下で反応を進める方法、および(ハ)前記(a)、
(b)、(c)、(d)の化合物を反応槽に仕込み、N2
気流下に加熱撹拌して透明均質な混合液とする。その
後、真空下で反応を進める方法などを利用することがで
きる。
ここで真空下とは、好ましくは約15mmHg以下、特に好
ましくは5mmHg以下、さらに好ましくは1mmHg以下をい
う。
ポリエーテルエステルアミドの重合反応においては、
テトラブチルチタネートなどのテトラアルキルチタネー
トやシュウ酸チタンカリなどのシュウ酸チタン金属塩の
ようなチタン系触媒、ジブチルスズオキサイド、ジブチ
ルスズウラレート、モノブチルスズオキサイドのような
スズ系触媒、ジルコニウムテトラブトキサイド、ジルコ
ニウムイソプロポキサイド、テトラアセチルアセトンジ
ルコネートのようなジルコニウム系触媒、ハフニウムテ
トラエトキサイドのようなハフニウム系触媒、酢酸鉛な
どの鉛系触媒、酸化ゲルマニウムなどのゲルマニウム系
触媒、およびこれらの触媒と三酸化アンチモンなどのア
ンチモン系触媒との併用などが好ましく用いられるが、
特に限定されるものではない。
製造条件により色調が変動した場合には、少量のリン
化合物、例えばトリメチルホスフェートなどを添加する
ことにより安定化できる。
また、ゲル化しない範囲でトリメシン酸、グリセリ
ン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物が重合反
応系に含有されていてもよい。かかる多官能化合物は、
高粘度化剤として利用することができる。
本発明における(B)ヒドロキシル基、ポリアルキレ
ンオキシド基および/またはその誘導体を含有する変性
ビニル系重合体(以降、変性ビニル系重合体と略称す
る)とは、ビニル系重合体の1分子中に少なくとも一種
のヒドロキシル基、ポリアルキレンオキシド基またはそ
の誘導体を有する重合体である。
これらのヒドロキシル基、ポリアルキレンオキシド基
またはその誘導体の含有量に関しては制限がなく、ごく
少量でもよいし、また樹脂としての性能を損なわない限
り多量に含むこともできる。特に好ましい上記官能基の
含有量は、樹脂組成物の耐衝撃性に代表される機械的特
性が優れる点で0.001〜60重量%の範囲である。
(B)変性ビニル系重合体中に、ヒドロキシル基、ポ
リアルキレンオキシド基および/またはその誘導体を導
入する方法についても特に制限はないが、例えば、
(1)2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、3−ピロピルエチルアクリレート、2,3,
4,5−テトラヒドロキシペンチルメタクリレートなどの
ヒドロキシル基を含有するビニル系単量体を所望のビニ
ル系単量体と共重合する方法、(2)次式(V)、(V
I)で示されるポリアルキレンオキシド基を含有するビ
ニル系重合体を所望のビニル系単量体と共重合する方
法、(3)ポリメタクリル酸メチルまたはメタクリル酸
メチルやアクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エ
ステルを所望のビニル系単量体と共重合した(メタ)ア
クリル酸エステル系(共)重合体と片末端アルキルエー
テルのポリアルキレンオキシドグリコールをエステル反
応させる方法、(3)アクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸、フタル酸などを所望のビニル系単量体と共重合
する方法、チオグリコール酸、α−メルカプトプロピオ
ン酸、β−メルカプトプロピオン酸などのカルボキシル
基を有する重合度調節剤および/またはα,α′−(α
−シアノ)エチル−p−安息香酸、過酸化サクシン酸な
どのカルボキシル基を有する重合開始剤を用いて、所望
のビニル系単量体を(共)重合する方法などによって得
られるカルボキシル基を含有するビニル系重合体と片末
端がアルキルエーテルのポリアルキレンオキシドグリコ
ールをエステル反応させる方法などが挙げられる。
(ただし式中、R4は水素または炭素数1〜4のアルキル
基、R5は炭素数2〜6のアルキレン基、R6は水素または
炭素1〜6のアルキル基を示し、nは2〜500を示
す。) 具体的な例としては、ポリエチレングリコールアクリ
レート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリ
(プロピレンオキシド)グリコールアクリレート、ポリ
(プロピレンオキシド)メタクリレート、ポリ(テトラ
メチレンオキシド)グリコールアクリレート、ポリ(テ
トラメチレンオキシド)グリコールメタクリレート、ポ
リ(ヘキサメチレンオキシド)グリコールメタクリレー
ト、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メ
トキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキ
シポリ(プロピレンオキシド)グリコールアクリレー
ト、メトキシポリ(プロピレンオキシド)グリコールメ
タクリレート、メトキシポリ(テトラメチレンオキシ
ド)グリコールメタクリレート、エトキシポリエチレン
グリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコ
ールメタクリレート、エトキシポリ(プロピレンオキシ
ド)グリコールアクリレート、ポリエチレングリコール
アクリルアミド、ポリエチレングリコールメタクリルア
ミド、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールアクリル
アミド、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールメタク
リルアミド、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコー
ルアクリルアミド、ポリ(テトラメチレンオキシド)グ
リコールメタクリルアミド、メトキシポリエチレングリ
コールアクリルアミド、メトキシポリエチレングリコー
ルメタクリルアミド、メトキシポリ(プロピレンオキシ
ド)グリコールアクリルアミド、メトキシポリ(プロピ
レンオキシド)グリコールメタクリルアミド、メトキシ
(テトラメチレンオキシド)グリコールメタクリルアミ
ドなどが挙げられ、特にメトキシポリエチレングリコー
ルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタ
クリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリル
アミド、メトキシポリエチレングリコールメタクリルア
ミドが重合性および(A)ポリエーテルエステルアミド
との親和性に優れて好ましい。
(B)変性ビニル系重合体の重合に用いられるビニル
系単量体については特に制限はなく、例えばスチレン、
α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどの芳香族
ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリルニトリ
ルなどのシアン化ビニル系単量体、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル
酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体、
マレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシ
ルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミ
ド系単量体などのビニル系単量体から、一種または二種
以上を目的に合わせて選んで用いることができる。
特に、スチレンなどの芳香族ビニル系単量体、メタク
リル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量
体、アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、
N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体の使
用が得られる樹脂組成物の機械的性質が優れる点で好ま
しく用いられる。
なお、必要によってはポリブタジエン、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体(NBR)、スチレン−ブタジ
エン共重合体(SBR)、ポリアクリル酸ブチルおよびエ
チレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)など
のゴム質重合体を上記のビニル系単量体と併せて用いる
こともできる。
(B)変性ビニル系重合体の製造法にも特に制限はな
く、例えばヒドロキシル基、ポリアルキレンオキシド基
を含有するビニル系単量体と他のビニル系単量体を共重
合する場合、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳
化重合法、塊状−懸濁重合法などの通常の方法を用いる
ことができる。
また、(メタ)アクリル酸エステル系の(共)重合体
またはカルボキシル基を含有するビニル系重合体と片末
端がアルキルエーテルのポリ(アルキレンオキシド)グ
リコールとのエステル反応は高温で常圧または真空下で
行うことができる。
ここで用いる片末端がアルキルエーテルのポリ(アル
キレンオキシド)グリコールとは、例えばメトキシポリ
エチレングリコール、メトキシポリ(1,2−プロピレン
オキシド)グリコール、メトキシポリ(1,3−プロピレ
ンオキシド)グリコール、メトキシポリ(テトラメチレ
ンオキシド)グリコール、メトキシポリ(ヘキサメチレ
ンオキシド)グリコール、メトキシ(エチレンオキシド
とプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合
体)およびメトキシ(エチレンオキシドとテトラヒドロ
フランのブロックまたはランダム共重合体)などが挙げ
られるが、特に片末端がアルキルエーテルのポリエチレ
ングリコールが好ましい。
片末端がアルキルエーテルのポリ(アルキレンオキシ
ド)グリコールの数平均分子量は、75〜20,000の範囲で
用いられる。
(B)変性ビニル系重合体は、前記の(A)ポリエー
テルエステルアミドとの屈折率の差が0.02以下、好まし
くは0.01以下、特に好ましくは0.005以下になるように
ビニル系単量体を選択する。ここで変性ビニル系重合体
と(A)ポリエーテルエステルアミドとの屈折率の差が
0.02を越える場合は、樹脂組成物の透明性が悪くなるた
め好ましくない。
本発明における(C)グラフト共重合体の構成成分で
ある(a)ゴム質重合体としては、ガラス転移温度が0
℃以下のものが好適であり、具体的にはポリブタジエ
ン、ポリスチレン−ブタジエン、ポリアクリロニトリル
−ブタジエン、ポリアクリル酸ブチル−ブタジエンのご
ときのジエン系ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレ
ン、ポリアクリル酸ブチルのごときアクリル系ゴムおよ
びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ三元重合体など
が挙げられる。これらは(A)ポリエーテルエステルア
ミドとの屈折率の差が0.02以下、好ましくは0.01以下、
特に好ましくは0.005以下となるように選択される。こ
こで両者の屈折率の差が0.02を越える場合には、組成物
の透明性が低下するため使用できない。
(C)グラフト共重合体またはグラフト共重合体組成
物の構成成分である(b)(メタ)アクリル酸エステル
系単量体としては、アクリル酸およびメタクリル酸のメ
チル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチルなど
のエステル化合物などが挙げられる。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチ
ルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン
などが挙げられる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
また、これらと共重合可能な他のビニル系単量体とし
ては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチル
マレイミド、N−シシクロヘキシルマレイミド、N−フ
ェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、N−ビニ
ルピロリドン、アクリルアミド、無水マレイン酸、アク
リル酸、メタクリル酸、グリシジルメタクリレート、グ
リシジルアクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体および芳香族ビ
ニル系単量体の割合は、全単量体に対し100〜40重量%
の範囲内で使用される。
これらのビニル系単量体混合物は、通常、前記のゴム
質重合体の屈折率とビニル系単量体混合物のみを重合し
てなる重合体との屈折利率の差が0.02以下が好ましく、
特に好ましくは0.01以下、さらに好ましくは0.005以下
になるようにビニル系単量体を選択することが好まし
い。
なお、単量体混合物のみからなるマトリックス樹脂の
屈折率は、理論式からの計算か、または予めその組成か
らなる単量体混合物を重合して得た樹脂の屈折率を測定
することによって知ることができる。
(C)グラフト共重合体は、ゴム質重合体1〜80重量
部、好ましくは10〜70重量部に(メタ)アクリル酸エス
テル系単量体と芳香族ビニル系単量体との合計100〜40
重量%、シアン化ビニル系重合体0〜60重量%、これら
と共重合可能な他のビニル系単量体0〜60重量%からな
る単量体混合物99〜20重量部、好ましくは90〜30重量部
を公知の重合法、例えばゴム質重合体ラテックスの存在
下に単量体混合物と重合開始剤および乳化剤を連続的に
供給して乳化グラフト重合する方法などによって得るこ
とができる。
(C)グラフト重合体におけるゴム質重合体の割合が
1重量部未満では耐衝撃性の不十分な組成物しか得られ
ず、また80重量部を越えると低いグラフト率となり、ゴ
ム質重合体の分散が悪く、透明性や耐衝撃性を低下させ
るため好ましくない。
(C)グラフト共重合体は、ヒドロキシル基、ポリア
ルキレンオキシド基および/またはその誘導体の一種以
上を分子中に含有していてもよい。この場合、(A)ポ
リエーテルエステルアミドと(B)グラフト共重合体の
相溶性が向上するので好ましい。
(C)グラフト共重合体の屈折率と前記(A)ポリエ
ーテルエステルアミドおよび(B)変性ビニル系重合体
の屈折率の差は0.02以下であることが必要である。好ま
しくは0.01以下、特に0.005以下であることが好まし
い。屈折率の差が0.02を越える場合は樹脂組成物の透明
性が低下するため実用的でない。
本発明の組成物には、さらに(メタ)アクリル酸エス
テル系単量体と芳香族ビニル系単量体との混合物100〜4
0重量%、シアン化ビニル系単量体0〜60重量%、およ
びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜60重量
%からなる単量体混合物を共重合してなるビニル系共重
合体(D)を含有させてもよい。
このビニル系共重合体(D)は、(C)のグラフト共
重合体を構成する(b)の単量体と同組成の混合物ある
いはその一部を共重合した共重合体でもよいし、また、
必要に応じ上記単量体混合物と共重合しうる他のビニル
系単量体、例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、
N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量
体、N−ビニルピロリドン、無水マレイン酸などを共重
合したものを含有してもよい。
この共重合体(D)の屈折率は、組成物の透明性を維
持するために組成物を構成する(A)、(B)および
(C)のグラフト重合体の各屈折率との差が0.02以下の
範囲にあるものが好ましく、特に0.01以下、さらには0.
005以下であることが好ましい。
本発明の組成物は、(A)ポリエーテルエステルアミ
ド1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%、および
(B)変性ビニル系重合体1〜99重量%、好ましくは2
〜96重量%からなるように配合する。
(A)ポリエーテルエステルアミドが1重量%未満で
は樹脂組成物の帯電防止性が不足し、40重量%を越える
場合、樹脂組成物が柔軟になり、機械的性質が劣るため
好ましくない。
(B)変性ビニル系重合体が1重量%未満では樹脂組
成物に層状剥離が起こり、99重量%を越える場合は樹脂
組成物の帯電防止性が不足し好ましくない。
また、変性ビニル系重合体を構成するヒドロキシル
基、ポリアルキレンオキシド基および/またはその誘導
体の合計が、樹脂組成物100重量部中0.001〜60重量%、
好ましくは0.01〜40重量%含有されているように調整す
ると、特に(A)、(C)両成分の相溶性が良好で、接
着破断応力が大きくなるため層状剥離が起きにくくなり
好ましい。
本発明の組成物は、さらに(C)グラフト共重合体ま
たはグラフト共重合体組成物を0〜98重量%、好ましく
は1〜95重量%となるように配合することもできる。
本発明の組成物は、さらに(D)ビニル系共重合体が
0〜98重量%含有されていてもよい。(D)成分の含有
量は、組成物中のゴム含有量を調整したり、樹脂組成物
の目的とする品質に応じ適宜変化させることができる。
本発明の樹脂組成物の製造方法に関しては特に制限は
なく、例えばバンバリーミキサー、ロール、エクストル
ーダーなどで、(A)ポリエーテルエステルアミドと
(B)変性ビニル系重合体、場合によっては(C)グラ
フト共重合体、または(D)ビニル系共重合体を混練す
ることによって製品化される。
また、樹脂組成物の透明性を損なわない範囲内でスル
ホン酸の金属塩やアニオン系、カチオン系、非イオン系
の界面活性剤などの帯電防止剤を添加して帯電防止性を
一層向上させることも可能であり、さらに必要に応じて
酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種安定剤や顔料、染
料、滑剤および可塑剤、エポキシ化合物やイソシアネー
ト化合物などを添加することもできる。
また、樹脂組成物に相溶性のよいポリグルタルイミド
を配合し、耐熱性を向上させることもできる。その場
合、樹脂組成物とポリグルタルイミドとの屈折率の差が
0.02以下であることが好ましい。
[実 施 例] 本発明をさらに具体的に説明する。特に断わらない限
り、部数および%は重量部および重量%を意味する。な
お、最終的に得られた樹脂組成物は射出成形法によって
成形された後、下記の試験法により諸物性を測定した。
アイゾット衝撃強度:ASTM D256−56A 引張強度:ASTM D638 体積固有抵抗率:2mm t×40mmφ円板を用い、室温23℃、
湿度50%RH雰囲気下で測定した。測定には東亜電波工業
(株)製の超絶縁抵抗計SM−10E型を用いた。
光透過率:2mm t×40mm円板を用いて、全光線透過率を測
定した。測定には東洋精機(株)製の直続ヘイズメータ
ーを用いた。
屈折率:2.5mm×2.5mm×1mmの試料片を、アッベ屈折計
(ERMA光学(株)製)により、温度20℃、ソジウムのD
線の波長で屈折率を測定した。
接着破断応力:各実施例および比較例で得られた組成物
からASTM D638で規定された引張試験片を作成する。ま
た、この試験片と同組成の組成物をクロロホルムで10%
溶液を調整する。この溶液を接着剤として、試験片2枚
を互いに直角をなすように接着し(接着面は3.1mm×12.
7mm)、23℃、24時間放置後、5mm/minの歪速度で引張
り、破断応力を測定する。
外観:試験片を目視で判定する。判定基準は次のとおり
とする。
◎;外観が極めて良好 ○;良好 ×;成形品の表面が損なわれ不良 参 考 例 (1)(A)ポリエーテルエステルアミドの調製 A−1:ε−カプロラクタム47部、数平均分子量が600の
ポリエチレングリコール41.1部、BPE−20(ビスフェノ
ールAのエチレンオキシド付加物、三洋化成(株)製)
2.15部、テレフタル酸13.3部を、“イルガノックス"109
8(酸化防止剤)0.3部および三酸化アンチモン0.01部と
共にヘリカルリボン撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、
N2置換して260℃で60分間加熱撹拌して透明な均質溶液
とした。次いで、減圧プログラムに従って300mmHgまで
減圧して反応容器気相部の水分を除去した後、テトラア
セチルアセトンジルコネート0.05部を添加し、再び減圧
プログラムに従って減圧し、260℃、0.5mmHg以下の条件
で3時間重合し、粘稠で透明なポリマを得た。ポリマを
冷却ベルト上にガット状に吐出し、ペレタイズすること
によってペレット状のポリエーテルエステルアミド(A
−1)を調製した。このポリエーテルエステルアミド
は、室温で200日間放置後も変化なく透明な状態を保持
した。
A−2:ε−カプロラクタム40部、数平均分子量が1,000
のポリエチレングリコール48.67部、BPE−20 3.57部、
テレフタル酸10.11部とした以外は、A−1と同一方法
でポリエーテルエステルアミド(A−2)を調製した。
このポリエーテルエステルアミドは、A−1と同様にし
て透明性を確認したところ、透明な状態を保持した。
A−3:ε−カプロラクタム45部、数平均分子量が600の
ポリエチレングリコール46.48部、アジピン酸12.03部と
した以外は、A−1と同一条件でポリエーテルエステル
アミド(A−3)を調製した。このポリエーテルエステ
ルアミドは、A−1と同様にして透明性を確認したとこ
ろ、結晶化が進み、透明性が著しく悪くなった。
A−4:予め調製されたヘキサメチレンジアミンとイソフ
タル酸(IPA)の塩(ナイロン6I塩)9.2部、ε−カプロ
ラクタム32部、数平均分子量が600のポリエチレングリ
コール49.3部、IPA13.9部を、“イルガノックス"1098
(酸化防止剤)0.2部および三酸化アンチモン(SBO)触
媒0.1部と共にヘリカルリボン撹拌翼を備えた反応容器
に仕込み、窒素置換して240℃で60分間加熱撹拌して透
明な均質溶液とした後、260℃、0.5mmHg以下の条件で5
時間重合し、粘稠で、かつ透明なポリマを得た。ポリマ
を冷却ベルト状にガット状に吐出し、ペレタイズするこ
とによってペレット状のポリエーテルエステルアミド
(A−1)を調製した。このポリエーテルエステルアミ
ドは、室温で200日間放置後も結晶のない透明な状態を
保持した。
(2)(B)変性ビニル系重合体の調製 B−1:メタクリル酸メチル60部、スチレン24部、アクリ
ロニトリル4部、メトキシポリエチレングリコールメタ
クリレート(エチレンオキシド基の数の平均が4)12部
を懸濁重合して変性ビニル系重合体(B−1)を調製し
た。得られた変性ビニル系重合体(B−1)は、30℃、
0.6%クロロホルム溶液で測定した極限粘度〔η〕が0.5
9であった。
B−2:メタクリル酸メチル67部、スチレン25部、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート8部を懸濁重合して変性
ビニル系重合体(B−2)を調製した。得られた変性ビ
ニル系重合体(B−2)は、B−1と同じ方法で測定し
た〔η〕が0.52であった。
B−3:メタクリル酸メチル42部、スチレン50部、2ヒド
ロキシエチルメタクリレート8部を懸濁重合して変性ビ
ニル系重合体(B−3)を調製した。得られた変性ビニ
ル系重合体(B−3)は、B−1と同じ方法で測定した
〔η〕が0.55であった。
(3)(C)グラフト共重合反応生成物の調製 C−1:ポリブタジエンラテックス(ゴム粒子系0.25μ、
ゲル含率80%)40部(固形分換算)の存在下で、メタク
リル酸メチル72%、スチレン24%、アクリロニトリル4
%からなる単量体混合物60部を乳化重合した。得られた
グラフト共重合体ラテックスは硫酸で凝固し、苛性ソー
ダで中和、洗浄、ろ過、乾燥したパウダー状のグラフト
共重合反応生成物(C−1)を調製した。
C−2:スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(スチ
レン共重合量30%、ゴム粒子系0.25μ、ゲル含率78%)
50部(固形分換算)の存在下で、メタクリル酸メチル52
%、スチレン48%とからなる単量体混合物50部を乳化重
合した後、B−1と同様にしてパウダー状のグラフト共
重合反応生成物(C−2)を調製した。
C−3:C−1で使用したポリブタジエンラテックス90部
(固形分換算)の存在下に、メタクリル酸メチル72%、
スチレン24%、アクリロニトリル4%からなる単量体混
合物10部を乳化重合した後、B−1と同様にしてパウダ
ー状のグラフト共重合反応生成物(C−3)を調製し
た。
(4)(D)共重合体の調製 D−1:メタクリル酸メチル72部、スチレン24部、アクリ
ロニトリル4部を共重合して、共重合体(D−1)を調
製した。
D−2:メタクリル酸メチル52部、スチレン48部を共重合
して、共重合体(D−2)を調製した。
実施例1〜11 参考例で調製し、表−2に示す各屈折率を有する
(A)ポリエーテルエステルアミド、(B)変性ビニル
系重合体、(C)グラフト共重合体および(D)共重合
体を表−1に示した配合比で混合し、ベント付40mmφ押
出機を行うことによってペレットを製造した。次いで、
射出成形機によりシリンダー温度230℃、金型温度60℃
で試験片を成形し、各物性を測定した。
体積固有抵抗率は、射出した厚み2mmの円板を用い、
次の条件で測定した。
(1) 成形直後、洗剤“ママレモン”(ライオン油脂
(株)製)水溶液で洗浄し、続いて蒸留水で十分洗浄し
てから表面の水分を取除いた後、50%RH、23℃で24時間
調湿して測定した。
(2) 成形後、50%RH、23℃中に200日間放置した
後、洗浄“ママレモン”水溶液で洗浄し、続いて蒸留水
で十分洗浄してから表面の水分を取除いた後、50%RH、
23℃で24時間調湿して測定した。測定結果を表−3に示
した。
比較例1〜9 参考例で調製した(A)ポリエーテルエステルアミ
ド、(B)変性ビニル系重合体、(C)グラフト共重合
体および(D)共重合体を表−1に示した配合比で混合
し、実施例と同様の方法で各物性を測定した。測定結果
を表−3に示した。
表−3の結果から次のことが明らかである。本発明の
樹脂組成物(実施例1〜11)はいずれも透明性、衝撃強
度に代表される機械的性質が優れ、かつ低い体積固有抵
抗率を有している。しかも表面洗浄や経時変化によって
も抵抗値はほとんど変化せず、優れた永久帯電防止性を
発揮する。また、成形品の外観も極めて良好である。
しかも、(C)変性ビニル系重合体を含有する樹脂組
成物は、破断応力が高く、層状剥離を起こさないため、
成形品としても優れている。
一方、(A)ポリエーテルエステルアミドの配合量が
1重量%未満の場合(比較例1)は、帯電防止性(抵抗
率)が劣り、40重量%を越える場合(比較例2)は剛性
が劣る。
ポリエーテルエステルアミド(A)、変性ビニル系重
合体(B)、グラフト共重合体(C)および共重合体
(D)との屈折率が0.02を越える場合(比較例3〜5)
は透明性が著しく損わなれる。
ポリエーテルエステル形成成分に、本発明において
(b)成分として用いるジオール化合物を共重合しない
ポリエーテルエステルアミド(A)を使用した場合(比
較例6、7)は透明性が損なわれる。
ゴム質重合体が80重量部を越える(C)グラフト共重
合体を使用した場合(比較例8)は、グラフト共重合体
の分散が悪く、成形品の外観が損なわれる。
変性ビニル系重合体を含まない場合(比較例9)は耐
衝撃性が劣る。
[発明の効果] 本発明のポリエーテルエステルアミドを含有する組成
物は、透明性と永久制電性に顕著な効果を有し、広範囲
の用途に応用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33/18 LJM C08L 33/18 LJM 33/24 LJU 33/24 LJU 51/04 LKY 51/04 LKY

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(a)炭素原子数6以上のアミノカ
    ルボン酸または炭素原子数6以上のラクタム、もしくは
    ジアミンとジカルボン酸から合成される炭素原子数6以
    上の塩、 (b)次式(I)〜(III)、2,2−ビス(4,4′−ヒド
    ロキシシクロヘキシル)プロパンのエチレンオキシド付
    加物、2,2−ビス(4,4′−ヒドロキシシクロヘキシル)
    プロパンのプロピレンオキシド付加物、1,4−ジヒドロ
    キシシクロヘキサンのエチレンオキシド付加物ならびに
    1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンのプロピレンオキシ
    ド付加物から選ばれた一種もしくは二種以上のジオール
    化合物、 (ただし式中、R1、R2は、エチレンオキシド基およびプ
    ロピレンオキシド基の少なくとも1を示し、Yは共有結
    合、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアル
    キリデン基、炭素数7〜17のアリールアルキリデン基、
    O、SO、SO2、CO、S、CF2、C(CF3またはNHを示
    し、Xは水素、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン
    基、スルホン酸、またはその金属塩を示す。lは0また
    は1〜4の整数を示し、mおよびnは各々1〜15の整数
    を示す。) (c)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールおよび/
    または次の一般式の化合物 HO−R3−OH ……(IV) (ただし式中、R3は炭素数2〜16のアルキレン基、炭素
    数3〜16のアルキリデン基、炭素数5〜16のシクロアル
    キレン基、炭素数6〜16のアリールアルキレン基) (d)炭素原子数4〜20のジカルボン酸 を重合してなるポリエーテルエステルアミドで、ポリエ
    ーテルエステル単位が10〜90重量%である透明なポリエ
    ーテルエステルアミド1〜99重量%、および (B)ヒドロキシル基、ポリアルキレンオキシド基、お
    よび/またはその誘導体を含有する変性ビニル系重合体
    99〜1重量% からなり、かつ(A)成分および(B)成分の2成分の
    間の屈折率の差が0.02以下である透明な熱可塑性樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】さらに(C)(a)ゴム質重合体1〜80重
    量部と、(b)(メタ)アクリル酸エステル系単量体
    と、芳香族ビニル系単量体との混合物100〜40重量%、
    シアン化ビニル系単量体0〜60重量%、およびこれらと
    共重合可能な他のビニル系単量体0〜60重量%からなる
    単量体99〜20重量部とをグラフト重合してなる反応生成
    物を98重量%まで含有し、かつ(A)成分、(B)成分
    および(C)成分の3成分間の屈折率の差が、0.02以下
    である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】さらに(D)(メタ)アクリル酸エステル
    系単量体と芳香族ビニル系単量体との混合物100〜40重
    量%、シアン化ビニル系単量体0〜60重量%、およびこ
    れらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜60重量%か
    らなる単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体
    を98重量%まで含有し、かつ(A)成分、(B)成分お
    よび(D)成分の3成分の間の屈折率の差が、0.02以下
    である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】さらに(C)(a)ゴム質重合体1〜80重
    量部と、(b)(メタ)アクリル酸エステル系単量体
    と、芳香族ビニル系単量体との混合物100〜40重量%、
    シアン化ビニル系単量体0〜60重量%、およびこれらと
    共重合可能な他のビニル系単量体0〜60重量%からなる
    単量体99〜20重量部とをグラフト重合してなる反応生成
    物を98重量%まで、および (D)(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビ
    ニル系単量体との混合物100〜40重量%、シアン化ビニ
    ル系単量体0〜60重量%、およびこれらと共重合可能な
    他のビニル系単量体0〜60重量%からなる単量体混合物
    を共重合してなるビニル系共重合体を98重量%まで含有
    し、かつ(A)成分、(B)成分、(C)成分および
    (D)成分の4成分の間の屈折率の差が、0.02以下であ
    る請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
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