JP2005179788A - ゴム補強用繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】合成繊維とゴムとの接着において、エポキシ化合物を使用せず優れたゴム補強用繊維の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のゴム補強用繊維の製造方法は、水酸基を有するアミン誘導体、ブロックポリイソシアネート、及びゴムラテックスを含む前処理剤で処理し、ついでブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスを含む後処理剤で処理することを特徴とする。さらには該アミン誘導体を構成する窒素部位が全て第三アミンであること、該アミン誘導体がアミンのアルキレンオキサイド付加物であること、該アミン誘導体を構成する窒素と水酸基とのモル比が1:2〜1:3であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明はゴム補強用繊維の製造方法に関し、さらに詳しくはタイヤ、ホース、ベルト等のゴム・繊維複合体に好適に用いられるゴム補強用の合成繊維の製造方法に関する。
合成繊維は高強度、高ヤング率等の優れた物理的特性を有しており、この特性を活かしタイヤ、ホース、ベルト等の用途のゴム補強用繊維として広く使用されている。しかし、これら合成繊維はその表面が比較的不活性であることが多く、そのままではゴムや樹脂等のマトリックスとの接着性が不十分であり、合成繊維の物理的特性を十分に発揮することはできない。
このため、繊維の表面をエポキシ化合物とブロックポリイソシアネート化合物等の薬品で処理し、さらにレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)で処理する、いわゆる二浴接着処理方法が提案され実用化されている(特許文献1、特許文献2など)。しかし従来よく用いられてきたエポキシ化合物に対し、環境への影響が懸念されはじめている。
特開昭54−73994号公報 特開2001−64840号公報
本発明は合成繊維とゴムとの接着において、エポキシ化合物を使用せず優れたゴム補強用繊維の処理方法を提供することにある。
本発明のゴム補強用繊維の製造方法は、合成繊維を、水酸基を有するアミン誘導体、ブロックポリイソシアネート、及びゴムラテックスを含む前処理剤で処理し、ついでブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスを含む後処理剤で処理することを特徴とする。
さらには該アミン誘導体を構成する窒素部位が全て第三アミンであること、該アミン誘導体がアミンのアルキレンオキサイド付加物であること、該アミン誘導体を構成する窒素と水酸基とのモル比が1:2〜1:3であることが好ましい。
本発明によれば、高いゴム接着性を有するゴム補強用繊維の処理方法が提供される。
本発明のゴム補強用繊維の製造方法で用いられる合成繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維などが挙げられるが、特にポリエステル繊維、あるいは芳香族ポリアミド繊維において有効である。ポリエステル繊維としては、特に、テレフタル酸、又は、ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール又は、テトラメチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルからなる繊維であることが好ましい。芳香族ポリアミド繊維としては、ポリパラアミノベンズアミド、ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリパラアミノベンズヒドラジドテレフタルアミド、ポリテレフタル酸ヒドラジド、ポリメタフェニレンイソフタラミド等、もしくはこれらの共重合体からなるいわゆるアラミド繊維であることが好ましく、特に強力が高いパラ型アラミド繊維に有効に用いられる。これら合成繊維のデニール、フィラメント数、断面形状等には制限は無く、ヤーン、コード、不織布、織編物等種々の繊維集合形態を含むものである。
本発明の処理方法では、上記のような合成繊維を、まず水酸基を有するアミン誘導体、ブロックポリイソシアネート、及びゴムラテックスを含む前処理剤で処理を行うことを必須とする。
本発明に使用する水酸基を有するアミン誘導体とは、第一アミン、第二アミン、第三アミンのいずれか一つを少なくとも窒素部位として含み、かつ水酸基を有するアミン誘導体である。さらには全ての窒素部位が水素原子が炭化水素基等で置換された第三アミンであることが好ましい。窒素部位としては、1〜10個、好ましくは2〜3個であることが好ましい。また、水酸基としては3〜12個、4又は5個有することが好ましく、脂肪族炭化水素の末端の水酸基であることが好ましい。脂肪族ではなく、フェノール性OHの化合物では、反応性の違いから有効な架橋構造を形成しにくい傾向にある。
該アミン誘導体の窒素部位を増加させることにより、ブロックイソシアネートとの反応性を高めることができる。逆に窒素部位を少なくすることにより、前処理剤の成分として同時に用いるラテックスなどの乳化・分散物の水中での安定性を向上させることができ、ゲル化や沈殿などを起こりにくくすることができる。また、水酸基の数は、多すぎる場合には均一な架橋構造を作りにくくなる傾向にあり、少なすぎる場合には、有効な架橋密度を得にくい傾向にあるとともに、該アミン誘導体の水溶解性が不足するため、剤の安定性が低下する傾向にある。
また、アミン誘導体としてはアミンのアルキレンオキサイド付加物であることが好ましく、さらにはアルキレンオキサイドの末端が水酸基であることが好ましい。アルキレンオキサイドとしては、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイドが挙げられるが水溶解性を上げるためにポリエチレンオキサイドであることが最も好ましい。またアルキレンオキサイドの付加モル数は4〜8であることが好ましい。
このような水酸基を有するアミン誘導体は熱処理によりブロックポリイソシアネートと反応して高次の架橋構造を形成し、接着剤の凝集構造を強固にする働きが有る。
該アミン誘導体は、次に述べるブロックポリイソシアネート化合物100重量部に対し、0.1重量部以上10重量部以下であることが好ましく、さらには1重量部以上5重量部以下であることが好ましい。添加量が上記範囲内の場合には有効な架橋密度が得やすく、さらに接着力が向上する傾向にある。
また、本発明で用いるブロックポリイソシアネート化合物とは、ポリイソシアネート化合物とブロック化剤との付加反応生成物であり、加熱によりブロック成分が遊離して活性なポリイソシアネート化合物を生ぜしめるものである。このとき末端のイソシアネート基は3個以上であることが好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のポリイソシアネート、あるいはこれらのポリイソシアネートと活性水素原子を1個以上有する化合物とをイソシアネート基(−NCO)と水酸基(−OH)との比が1を越えるモル比で反応させて得られる末端イソシアネート基含有のポリイソシアネートが優れた性能を発現するので好ましい。ブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、クレゾール、レゾルシノール等のフェノール類、ジフェニルアミン、キシリジン等の芳香族第二級アミン類、フタル酸イミド類、カプロラクタム、バレロラクタム等のラクタム類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類及び酸性亜硫酸ソーダ等が挙げられる。
ブロックポリイソシアネート化合物の全有効成分中の含有率としては、10〜60重量%であることが好ましい。含有率が少なすぎると、繊維表面に対する化学的な親和性が不十分となり、接着力が不足する傾向にある。逆に多すぎると接着剤層が硬くなり、コード強力が発現しなくなると共に、含浸ディップならびに加工工程中での接着剤層脱離などの問題が起こる傾向にある。
また、本発明に使用するゴムラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、スチレン・ブタジエン・コポリマーラテックス、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマーラテックス(以下Vpラテックスとする)、ニトリルゴムラテックス、クロロブレンゴムラテックス、エチレン・プロピレン・ジエンモノマーラテックス等があり、これらを単独、又は、併用して使用することが出来る。なかでも、Vpラテックスを単独、又は、他のものと併用使用するものが好ましい。併用使用の場合には、該Vpラテックスを全ラテックス重量の1/3量以上使用した場合に特に優れた性能のものが得られる。
さらに本発明の前処理剤としては、ビニルハライド基を有する有機化合物を共重合した重合体を添加することも好ましい。本発明で好ましく用いることのできるこのようなビニルハライド基を有する重合体としては、皮膜形成温度が200℃以下、より好ましくは、180℃以下のものである。該皮膜形成温度が200℃を超える場合には、接着処理条件下では均一な皮膜を形成することが困難になる。本発明で使用されるそのような重合体としては、塩化ビニルの単独、若しくは、各種の共重合を行った化合物であり、塩化ビニルと酢酸ビニル、塩化ビニルと塩化ビニリデン、塩化ビニルとアクリロニトリル、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合化合物、塩化ビニル、酢酸ビニル及び無水マレイン酸の三元重合体、あるいはそれらの混合物を挙げることが出来る。
このような、該ビニルハライド基を有する重合体は通常水分散体、乳化物あるいは溶液として用いられる。このような乳化液又は分散液にするには、例えば、前記の熱可塑性樹脂を、そのままかあるいは、必要に応じて少量の溶媒に溶解した後、公知の乳化剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物等を用いて乳化、または、分散すればよい。ビニルハライド基を有する重合体を添加する場合、少なすぎる場合、接着剤付着量が低下した場合における接着性能の低下が著しくなる傾向にあり、多すぎると接着の阻害を引き起こすと共にディップコードが硬くなり、接着性・疲労性が低下する傾向にある。
このような水酸基を有するアミン誘導体、ブロックポリイソシアネート、ゴムラテックスを含む前処理剤の総固形分濃度は、1〜30重量%、好ましくは1.5〜20重量%、さらに好ましくは、2〜15重量%の範囲であることが好ましい。該総固形分濃度が低すぎると接着剤表面張力が増加し、繊維表面に対する均一付着性が低下すると共に、固形分付着量が低下することにより接着性が低下し、また、一方、該処理剤濃度が高すぎると生産コスト的に不利になるだけでなく、固形分付着量が多くなりすぎるため硬くなり耐疲労性が低下しやすいので好ましくない。また、該前処理剤の組成物を水分散物として用いる際の分散剤、すなわち、界面活性剤の適当な量は、前処理剤の全固形分に対し、15重量%以下であり、好ましくは、10重量%以下で用いるものがよい。該界面活性剤の量が多すぎると接着性が若干低下する傾向にある。
繊維に対する前処理剤の固形分付着量は、0.1〜10重量%の範囲で使用することが好ましく、さらには0.3〜7重量%の範囲、最も好ましくは、0.5〜5重量%の範囲で付着せしめることが好ましい。該繊維に対する固形分付着量を制御するためには、圧接ローラーによる絞り、スクレバー等によるかき落とし、空気吹きつけによる吹き飛ばし、吸引、ビーターによる叩き等の手段を採用してもよい。また付着量を上げるため、もしくは均一性を確保するために複数回付着せしめてもよい。
本発明は、このようなアミン誘導体、ブロックポリイソシアネート、ゴムラテックスを含む前処理剤により処理し、ついでブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスを含む後処理剤で処理するゴム補強用繊維の処理方法である。さらには、後処理剤としては、ブロックポリイソシアネート、ゴムラテックス及びイソシアネート反応性の熱可塑性エラストマーを含むものであることが最も好ましい。
本発明で好ましく用いられるイソシアネート反応性の熱可塑性エラストマーとしては、イソシアネートに反応する基を有するものであれば良く、好ましくはエラストマーのハードセグメントにフェノール性水酸基、ヒドロキシル基、アミノ基のいずれか一つの基を有するものが好ましい。また、ソフトセグメントとしてブタジエン、イソプレンなどゴム成分と共加硫可能な成分を有することが好ましい。特には、熱可塑性エラストマーが、ポリブタジエンとポリウレタンとの共重合物であることが好ましい。また、熱可塑性エラストマーとゴムラテックスとの比は2:1〜1:2であることが、熱可塑性エラストマーとブロックポリイソシアネートの比は100:15〜100:100であることが好ましい。
また後処理剤としてはレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス系の接着剤(RFL接着剤)であって、RFL接着剤を主成分としブロックポリイソシアネートを含む処理剤である2浴法であることも好ましい。ここで用いられるブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスとしては、前処理剤で用いた前述の物を使用することが出来る。
また後処理剤に好ましく使用されるレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)は、レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比が、1:0.1〜1:8の範囲にあるものが、より好ましくは、1:0.5〜1:5の範囲、さらに好ましくは、1:1〜1:4の範囲であることが好ましい。該ホルムアルデヒドの添加量が少なすぎるとレゾルシン・ホルマリンの縮合物の架橋密度が低下すると共に分子量の低下を招くため、接着剤層凝集力が低下することにより接着性が低下する傾向に有り、また該ホルムアルデヒドの添加量が多すぎると架橋密度上昇によりレゾルシン・ホルマリン縮合物が硬くなり、被着体ゴムとの共加硫時にRFLとゴムとの相溶化が阻害され、接着性が低下すると共に処理後の接着剤層の収縮が顕著となり、界面での応力集中による界面剥離による接着力が低下する傾向にある。RFL接着剤におけるレゾルシン・ホルマリンとゴムラテックスとの配合比率は、前記のブロックポリイソシアネートの添加割合によって変化するが、固形分量比で、レゾルシン・ホルマリン:ゴムラテックス(RFL)が1:1〜1:15の範囲にあるものが好ましく、特に、1:3〜1:12の範囲にあるものが好ましく使用される。該ゴムラテックスの比率が少なすぎると処理された繊維が硬くなって耐疲労性が低下しやすくなる傾向にある。また、前処理剤中のラテックス及び被着体であるゴムとの共加硫が不十分となり、接着性が低くなるおそれがあり、逆に、該ゴムラテックスの比率が多すぎると接着剤皮膜として充分な強度を得ることが出来ないため、満足な接着力やゴム付着率が得られないおそれがある。
ブロックポリイソシアネート化合物の配合量は、その種類及び被着ゴムの配合によって一定ではないが、例えば前述の後処理剤を用いる場合、その固形分に対して5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%が適当である。ここで、該ブロックポリイソシアネートの添加量が既定値未満の場合、接着剤の凝集エネルギーが十分でなく、接着剤層間破壊を起こす。また、既定値を超える場合、接着剤層が硬くなり、ディップコード強力が発現できなくなると伴に、疲労性の低下などが見られ、実用に適さない。
このような後処理剤は、総固形分濃度が1〜30重量%の範囲にあるものが好適に使用され、さらに好ましくは、2〜25重量%、特には5〜20重量%の範囲となるようにして使用する。後処理剤の濃度が低すぎると接着剤の付着量低下を招き、接着性が低下し、逆に、後処理剤の濃度が高すぎると固形分付着量が多くなりすぎるため繊維が硬くなって耐疲労性が低下する傾向にある。
後処理剤を繊維に付着せしめるには、ローラーとの接触、若しくは、ノズルからの噴霧による塗布、又は、溶液への浸漬などにより行うことが出来る。また、該後処理剤の繊維に対する固形分付着量は、0.1〜10重量%の範囲であることが好ましく、さらには0.2〜7重量%の範囲、最も好ましくは、0.5〜6重量%の範囲で付着せしめるものがよい。繊維に対する固形分付着量を制御するためには、前記前処理剤と同様に、圧接ローラーによる絞り、スクレバー等によるかき落とし、空気吹きつけによる吹き飛ばし、吸引、ビーターの手段により行うことが出来る。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例におけるコード剥離接着力は、下記の測定法によりおこなった。
(1)コード剥離接着力
処理コードとゴムとの接着力を示すものである。天然ゴムを主成分とするカーカス配合の未加硫ゴムシート表層近くに7本のコードを埋め、150℃の温度で、30分間、50kg/cmのプレス圧力(初期値)、又は80℃の温度で40分間、50kg/cmのプレス圧力(耐熱値)で加硫し、次いで、両端のコードを残し3本のコードをゴムシート面に対し90度の方向へ200mm/分の速度で剥離するのに要した力をN/3本で示したものである。
[実施例1]
3官能ブロックポリイソシアネート(明成化学工業製 NBP211)、エチレンジアミンエチレンオキサイド4モル付加物(アミン誘導体)、Vpラテックス、塩化ビニルラテックス(日信化学工業製 ビニブラン609)の固体成分を100:1.5:50:50で混合し、全体の固体成分濃度を10%とし、前処理剤用の処理液(1)とした。
レゾルシン/ホルマリン(R/F)のモル比が1/0.6、固形分濃度が65重量%である初期縮合物をアルカリ条件下で溶解し9重量%の水溶液とする。この水溶液109重量部を、Vpラテックス、40%水乳化液、180重量部に対し添加する。この液にホルマリン、5重量部、33重量%のメチルエチルケトオキシムブロックドフェニルメタシジイソシアネート分散体を23重量部添加し、48時間熟成した固形分濃度:18重量%の配合液を得て、後処理剤用の処理液(2)とした。
一方、固有粘度が0.95のポリエチレンテレフタレートからなる1670dtex/384フィラメントのマルチフィラメント糸を使用し、該マルチフィラメント糸に40T/10cmで下撚りを施し、これを2本合わせて40T/cmで上撚りを施して3340dtex/768フィラメントのコードを得た。
該コードをコンビュートリーター処理機(CAリッツラー株式会社製、タイヤコード処理機)を用いて、前記の処理液(1)に浸漬した後、130℃の温度で2分間乾燥し、引き続き、240℃の温度で1分間の熱処理を行い、続いて、処理液(2)に浸漬した後
に、170℃の温度で2分間乾燥し、引続いて、240℃の温度で1分間の熱処理を行った。得られたタイヤコードには、処理剤の固形分として、前処理剤が1.0重量%、後処理剤が1.7重量%付着していた。得られた処理コードを天然ゴムを主成分とするカーカス配合の未加硫ゴム中に埋め込み、150℃の温度で30分間、及び180℃の温度で60分間加硫し前記の方法により評価した。その結果を表1に示す。
[実施例2]
処理液(1)のエチレンジアミンエチレンオキサイド4モル付加物の代わりに、トリエタノールアミンを用いた処理液(3)を作成し前処理剤とした。処理液(1)の代わりに処理液(3)を用いた以外は実施例1と同様の処理を行い、その結果を表1に併せて示した。
[実施例3]
処理液(1)の3官能ブロックポリイソシアネートの代わりに、4官能ブロックポリイソシアネート(明成化学工業製NBP873)を用いた処理液(4)を作成し前処理剤とした。処理液(1)の代わりに処理液(4)を用いた以外は実施例1と同様の処理を行い、その結果を表1に併せて示した。
[実施例4]
後処理剤として、ポリブタジエンとポリウレタンとの共重合物である熱可塑性エラストマー(第一工業製薬製、F2008D)、ブロックポリイソシアネート(明成化学工業製、DM6011)、Vpラテックスを固体成分比で50:15:50で混合し、全体の固体成分濃度を20%とした処理液(5)を作成した。処理液(2)の代わりに処理液(5)を用いた以外は実施例1と同様の処理を行い、その結果を表1に併せて示した。
[比較例1]
処理液(1)のエチレンジアミンエチレンオキサイド4モル付加物の代わりに、ペンタエリスリトールを用いた処理液(6)を作成し前処理剤とした。処理液(1)の代わりに処理液(6)を用いた以外は実施例1と同様の処理を行い、その結果を表1に併せて示した。
Figure 2005179788
このようにして本発明の処理方法によって得られるゴム補強用繊維は高いゴム接着性を有し、この繊維を用いたタイヤ、ベルト及びホース等の繊維補強ゴム構造物は強度や耐久性に優れた製品となる。

Claims (7)

  1. 合成繊維を、水酸基を有するアミン誘導体、ブロックポリイソシアネート、及びゴムラテックスを含む前処理剤で処理し、ついでブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスを含む後処理剤で処理することを特徴とするゴム補強用繊維の製造方法。
  2. 該アミン誘導体を構成する窒素部位が全て第三アミンである請求項1記載のゴム補強用繊維の製造方法。
  3. 該アミン誘導体がアミンのアルキレンオキサイド付加物である請求項1または2記載のゴム補強用繊維の製造方法。
  4. 該アルキレンオキサイドがエチレンオキサイドである請求項3記載のゴム補強用繊維の製造方法。
  5. 該アミン誘導体を構成する窒素と水酸基とのモル比が1:2〜1:3である請求項1〜4のいずれか1項記載のゴム補強用繊維の製造方法。
  6. 前処理剤に用いるブロックポリイソシアネートが3官能以上である請求項1〜5のいずれか1項記載のゴム補強用繊維の製造方法。
  7. 後処理剤がイソシアネート反応性の熱可塑性エラストマーを含む請求項1〜6のいずれか1項記載のゴム補強用繊維の製造方法。
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