JP2005145905A - 血圧降下剤及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 安全、かつ、低コストで得られる血圧降下剤を提供する。
【解決手段】 1種類以上のヘキソースから構成され、かつ、1以上の1−6結合を有するオリゴ糖を含む血圧降下剤。
【解決手段】 1種類以上のヘキソースから構成され、かつ、1以上の1−6結合を有するオリゴ糖を含む血圧降下剤。
Description
本願発明は、特定の構造を有するオリゴ糖を含む血圧降下剤、及びその製造方法に関する。
古くから、高血圧症は問題となっている。高血圧症は、脳出血障害、心臓病、腎疾患などを引き起こすためその予防や進行の防止が重要である。特に、高齢者にとっては、深刻な問題となるケースも多い。さらに、現代では生活習慣病として高齢者のみではなく若年層についても問題となってきている。
そこで、特許文献1には、アルギン酸オリゴ糖 ナトリウム塩を有効成分として含む抗高血圧関連摂取物について開示されている(特許文献1)。
ここで、上記血圧降下作用を有する食品や医薬として利用されている血圧降下剤等は、複数の原料が必要であったり、原料コストの高いものが多かった。また、常用すると安全性等について問題のあるものも多かった。しかし、高血圧症が、現代人全般に問題となっている今日、安価、かつ、安全な血圧降下剤は強く望まれている。さらに、薬を多種併用している老人や、サプリメント等の栄養補助食品を多く摂取しがちな現代人にとっては、これらと併用しても害がない、あるいは少ない血圧降下剤が求められる。
そこで、発明者は、上記課題をクリアした血圧降下剤について検討することにした。すなわち、本願発明では、安全、かつ、低コストで得られる血圧降下剤を提供する。
上記課題の下、発明者が鋭意検討を行った結果、オリゴ糖であって特定の構造のものが血圧降下効果を有することを見出した。特に、単糖同士の結合の仕方を詳述に検討することによって、その効果に大きな違いがあることを見出した。具体的には、以下の手段を採用した。
(1)1種類以上のヘキソースから構成され、かつ、1以上の1−6結合を有するオリゴ糖を含む血圧降下剤。
(2)グルコース、ガラクトース、マンノース又はフルクトースからなる群より選択される1以上ヘキソースのみからなり、かつ、1以上の1−6結合を有するオリゴ糖を含む血圧降下剤。
(3)グルコース、ガラクトース、フルクトースからなる群より選択される1以上のヘキソースのみからなり、かつ、1以上の1−6結合を有するオリゴ糖を含む血圧降下剤。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記オリゴ糖が、Glc(α1−6)Glc、Glc(β1−6)Glc、Gal(α1−6)Glc、Gal(β1−6)Gal及び/又はGlc(α1−6)Fruで表される構造単位を含む血圧降下剤。
(5)グルコース及び/又はガラクトースのみからなり、かつ、1以上の1−6結合を有するオリゴ糖を含む血圧降下剤。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記オリゴ糖は、ヘキソースが1−6結合のみによって結合している血圧降下剤。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかにおいて、前記オリゴ糖が、2糖及び/又は3糖である血圧降下剤。
(8)豆科の植物を、水又は有機溶媒で抽出する工程を含むことを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の血圧降下剤の製造方法。
(9)黒豆を、水又は有機溶媒で抽出する工程を含むことを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の血圧降下剤の製造方法。
(2)グルコース、ガラクトース、マンノース又はフルクトースからなる群より選択される1以上ヘキソースのみからなり、かつ、1以上の1−6結合を有するオリゴ糖を含む血圧降下剤。
(3)グルコース、ガラクトース、フルクトースからなる群より選択される1以上のヘキソースのみからなり、かつ、1以上の1−6結合を有するオリゴ糖を含む血圧降下剤。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記オリゴ糖が、Glc(α1−6)Glc、Glc(β1−6)Glc、Gal(α1−6)Glc、Gal(β1−6)Gal及び/又はGlc(α1−6)Fruで表される構造単位を含む血圧降下剤。
(5)グルコース及び/又はガラクトースのみからなり、かつ、1以上の1−6結合を有するオリゴ糖を含む血圧降下剤。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記オリゴ糖は、ヘキソースが1−6結合のみによって結合している血圧降下剤。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかにおいて、前記オリゴ糖が、2糖及び/又は3糖である血圧降下剤。
(8)豆科の植物を、水又は有機溶媒で抽出する工程を含むことを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の血圧降下剤の製造方法。
(9)黒豆を、水又は有機溶媒で抽出する工程を含むことを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の血圧降下剤の製造方法。
本願発明では、ヘキソースのみからなり、1−6結合を有するオリゴ糖を採用することにより、安全であり、かつ、容易に製造でき、さらに、低コストな血圧降下剤が得られた。
以下において、本願発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本願発明で採用するオリゴ糖は、1種類以上のヘキソースから構成され、かつ、1以上の1−6結合を有するものである。ここで、本願発明で採用するヘキソースとしては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、アルトロース、タロース、アロース、イドース、グロース、フルクトース、プシコース、タガトース、ソルボース、マンニトール、アルトリトール、タリトール、イディトール、ガラクチトール、アリトール、グリトール、グリシトールが挙げられる。本願発明で採用されるオリゴ糖は、より具体的には、グルコース、ガラクトース、マンノース又はフルクトースからなる群より選択される1以上ヘキソースのみからなり、かつ、1以上の1−6結合を有するものである。さらに具体的には、グルコース、ガラクトース、フルクトースからなる群より選択される1以上のヘキソースのみからなり、かつ、1以上の1−6結合を有するものである。
上記のオリゴ糖の中でも好ましくは、前記オリゴ糖が、Glc(α1−6)Glc、Glc(β1−6)Glc、Gal(α1−6)Glc、Gal(β1−6)Gal及び/又はGlc(α1−6)Fruで表される構造単位を含むものが好ましい。この中でも好ましくは、グルコース及び/又はガラクトースのみからなり、かつ、1以上の1−6結合を有するオリゴ糖又はGlc(α1−6)Fruで表される構造単位を含むオリゴ糖である。
ここで、オリゴ糖とは、2〜20糖のものをいい、好ましくは2〜10糖、より好ましくは2〜5糖、さらに好ましくは2糖又は3糖である。また、1−6結合とは、一のヘキソースの1位の炭素が、他のヘキソースの6位の炭素と結合しているものをいう。結合は、α位でもβ位でもよい。さらに、本願発明で採用するヘキソースは、D体、L体のいずれであってもよい。また、本願発明で採用するオリゴ糖は、1以上の1−6結合を含むが、ヘキソース間のすべての結合が1−6結合である場合が好ましい。また、1−6結合以外の結合を有する場合、他の結合は、1−2結合及び/又は1−4結合であるのが好ましい。
各ヘキソースの比率は、特に定めるものではないが、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース及びフルクトースからなる場合、いずれかの糖を1とした場合に、他の糖を0.1〜10の比率で含むものが好ましい。特に、グルコースとガラクトースのみからなる場合は、ガラクトース1に対し、グルコースを0.5以下、0.4以下とするのが好ましい。また、フルクトースを含むオリゴ糖の場合、1−6結合を構成する糖の少なくとも一方がフルクトースである場合が好ましい。この場合、さらに、1−6結合以外の結合(例えば、1−2結合や1−4結合)を構成する糖がフルクトース以外の糖(この好ましくは、グルコース及び/又はガラクトース)であることが好ましい。また、1−3結合は含まない方が好ましい。もちろん、本願発明で採用するオリゴ糖は、これ以外の糖を排除するものでないことは言うまでも無い。
さらに、本願発明で採用するオリゴ糖は、Glc(α1−6)Glc、Glc(β1−6)Glc、Gal(α1−6)Glc、Gal(β1−6)Glc、Gal(α1−6)Gal、Gal(β1−6)Gal、Glc(α1−6)Man、Glc(α1−6)Fruで表される構造単位を含むものが好ましく、さらに、Glc(α1−3)Fru及びGlc(α1−2β)Fruを含まないものが好ましい。
尚、本願発明においては、例えば、α位での1−6結合をα1−6結合、グルコース(Glc)の1位の炭素とガラクトース(Gal)の6位の炭素がβ位で結合した場合をGlc(β1−6)Galのように示すことがある。
本願発明で採用するオリゴ糖は1種類のみでも良いし、2種類以上でも良い。また、これらのオリゴ糖は市販品を採用しても良いし、天然素材を採用しても良い。そこで、本願発明者は、自然界に存在する天然素材を広く検討したところ、豆科植物、その中でも、豆科植物の豆果、さらには大豆、特に、黒豆に、上記オリゴ糖が含まれていることを見出した。この種の植物にオリゴ糖が含まれている可能性は示唆されていたものの、その含有量は微量であり、具体的なオリゴ糖の種類の特定はなされていなかった。今回、本願発明者は、黒豆に含まれるオリゴ糖の種類について特定し、さらに、この中でどの成分が、血圧降下に効を奏するか明らかにしたものである。さらに、これらの植物を、水又は有機溶媒で抽出することにより、当該成分が得られることを見出した。
ここで、本願発明でいう豆科植物とは、豆果のみならず、葉、根、茎等を含む趣旨である。好ましくは、豆果である。これらは、天然のものを採用しても良いし、乾燥した物、粉状のもの等広く採用できる。例えば、黒豆の煮汁やおから等の産業廃棄物も採用できる。これらは、近年環境面から積極的な利用が望まれており、この観点からも本願発明は好ましい。
また、本願発明の抽出方法は、水又は有機溶媒で抽出するものであるが、ここでの水とは、冷水、温水、熱水、水蒸気のいずれも含む趣旨である。さらに、本願発明でいう有機溶媒とは、本願発明の目的を達成するものであれば、すなわち、オリゴ糖可溶性のものであれば、特に定めるものではなく、水或は他の有機溶媒とからなるものを含む趣旨である。具体的には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール)、アセトン、ヘキサン、石油エーテル、石油ベンゼン、酢酸エチル、塩化メチレン、エーテル、イソプロピルエーテル、クロロホルムである。さらに、2段階以上の抽出を行っても良い。
具体的には、豆科植物を、上記水等に浸して抽出する。抽出時間は、上記植物の種類や保存状態、用いる水や有機溶媒の種類等に応じて適宜設定することができるが、好ましくは、30分〜1週間であり、より好ましくは、1〜3日である。また、抽出は静置抽出でも良いし、振とうしても良い。さらに、抽出は、溶媒を新たにして、複数回にわたって行うことが好ましい。
抽出時間や温度、抽出又は溶出液のpH等の条件については、採用する植物にあわせて適宜設定することができる。
本願発明で採用する血圧降下剤は、人や動物が血圧降下のために採用するもの、例えば、医薬品、医薬組成物あるいは健康食品等として利用することが出来る。
また、医薬品若しくは医薬部外品としての血圧降下剤やその有効成分として利用する場合、本願発明のオリゴ糖をそれ自体で投与してもよいが、好ましくは、当業者に周知の方法によって製造可能な医薬組成物として投与することができる。医薬用組成物としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、及びシロップ剤等をあげることができる。上記の医薬組成物は、薬理学的、製剤学的に許容し得る添加物を加えて製造することができる。薬理学的、製剤学的に許容し得る添加物の例としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし崩壊補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等をあげることができる。上記の医薬組成物には、他の血圧降下剤を1種又は2種以上配合してもよい。本願発明の医薬の投与量は特に限定されず、有効成分の種類などに応じて適宜選択することができ、さらに患者の体重や年齢、疾患の種類や症状、投与経路など通常考慮すべき種々の要因に応じて、適宜増減することができる。一般的には、成人一日あたり0.000001g〜100g、好ましくは0.004g〜40gの範囲で用いることができる。また、投与方法も特に限定されず、注射剤、輸液剤等として、静脈注射により投与してもよいし、経口的に投与してもよい。
健康食品としては、高血圧症者向けあるいは高血圧予防のための医療用食品が挙げられる。また、高血圧症者向けあるいは高血圧予防のための健康補助食品、栄養補助食品、サプリメント、飲料、調味料、レトルト食品、惣菜等として採用することも可能である。
以下、本願発明の実施例を示すが、本願発明がこれらに限定されないことは言うまでもない。
(オリゴ糖によるアンジオテンシン変換酵素阻害活性)
本願発明で採用するオリゴ糖の血圧降下作用について、アンジオテンシン変換酵素阻害活性(以下、ACE阻害活性という)を測定することにより検討した。すなわち、以下に示す各種オリゴ糖について、ACE阻害活性を検討した。
本願発明で採用するオリゴ糖の血圧降下作用について、アンジオテンシン変換酵素阻害活性(以下、ACE阻害活性という)を測定することにより検討した。すなわち、以下に示す各種オリゴ糖について、ACE阻害活性を検討した。
1) Glc(α1-1α)Glc: α, α-トレハロース (販売元:和光純薬(株)、品番:KP7915)
2) Glc(α1-1β)Glc: α, β-トレハロース (販売元:シグマ、品番:T-0299)
3) Glc(β1-1β)Glc: β, β-トレハロース (販売元:シグマ、品番:T-0917)
4) Glc(α1-2)Glc : コジビオース (販売元:シグマ、品番: T-0299)
5) Glc(β1-2)Glc : ソホロース (販売元:シグマ、品番: S-1404)
6) Glc(α1-3)Glc : ニゲロース (販売元:和光純薬(株)、品番:142-06433)
7) Glc(β1-3)Glc : ラミナリビオース (販売元:シグマ、品番: L-6384)
8) Glc(α1-4)Glc : マルトース (販売元:シグマ、品番: M-9171)
9) Glc(β1-4)Glc : セロビオース (販売元:ナカライ、品番: 075-11)
10) Glc(α1-6)Glc : イソマルトース (販売元:シグマ、品番: I-7253)
11) Glc(β1-6)Glc : ゲンチオビオース (販売元:シグマ、品番: G-3000)
12) Gal(α1-6)Glc : メリビオース (販売元:シグマ、品番: M-5500)
13) Gal(β1-6)Gal (販売元:シグマ、品番: G-5643)
14)Glc(α1-6)Glucitol:Glc(α1-6)Mannitol (=50:50) : (販売元:シグマ、品番:P8583-500)
15)Glc(α1-6)Fru : パラチノース(販売元:シグマ、品番:M-5500)
16) Fru(β2-1α)Glc: ショ糖 (販売元:和光純薬(株)、品番: 192-00012)
17) Glc(α1-3)Fru(β2-1α)Glc: メレジトース (販売元:ナカライ、品番: 214-01)
尚、Glcはグルコースを、Galはガラクトースを、Fruはフルクトースをそれぞれ示す。
2) Glc(α1-1β)Glc: α, β-トレハロース (販売元:シグマ、品番:T-0299)
3) Glc(β1-1β)Glc: β, β-トレハロース (販売元:シグマ、品番:T-0917)
4) Glc(α1-2)Glc : コジビオース (販売元:シグマ、品番: T-0299)
5) Glc(β1-2)Glc : ソホロース (販売元:シグマ、品番: S-1404)
6) Glc(α1-3)Glc : ニゲロース (販売元:和光純薬(株)、品番:142-06433)
7) Glc(β1-3)Glc : ラミナリビオース (販売元:シグマ、品番: L-6384)
8) Glc(α1-4)Glc : マルトース (販売元:シグマ、品番: M-9171)
9) Glc(β1-4)Glc : セロビオース (販売元:ナカライ、品番: 075-11)
10) Glc(α1-6)Glc : イソマルトース (販売元:シグマ、品番: I-7253)
11) Glc(β1-6)Glc : ゲンチオビオース (販売元:シグマ、品番: G-3000)
12) Gal(α1-6)Glc : メリビオース (販売元:シグマ、品番: M-5500)
13) Gal(β1-6)Gal (販売元:シグマ、品番: G-5643)
14)Glc(α1-6)Glucitol:Glc(α1-6)Mannitol (=50:50) : (販売元:シグマ、品番:P8583-500)
15)Glc(α1-6)Fru : パラチノース(販売元:シグマ、品番:M-5500)
16) Fru(β2-1α)Glc: ショ糖 (販売元:和光純薬(株)、品番: 192-00012)
17) Glc(α1-3)Fru(β2-1α)Glc: メレジトース (販売元:ナカライ、品番: 214-01)
尚、Glcはグルコースを、Galはガラクトースを、Fruはフルクトースをそれぞれ示す。
上記各オリゴ糖を、水(MilliQ水)に溶解した。ここで溶解性の都合等から、試料を活性測定時における最終濃度がそれぞれ10、30又は100 mMとなるように調製した(表1)。次に、氷冷下、試験管に、30μLの上記測定試料(表1の試料No.1〜17) を取った。これらの試料に、100μL のACE(販売元:和光純薬(株)、品番:A6778)ホウ酸緩衝液(60 mU/mL) (pH 8.3) を添加した。また、ブランクとして、反応停止液である1N HCl 250μLを同時添加したものを採用した。これらを、37℃、5分間プレインキュベーションした。さらに、基質として7.6 mM のHip-His-Leu(販売元:シグマ、品番:012-02195)及び608 mM 塩化ナトリウム(販売元:和光純薬(株)、品番:191-01665)を含む250μLの ホウ酸緩衝液 (pH 8.3)を添加した。これらを、37℃、30分間反応させた後、250μL の1N HClを添加・撹拌し、反応を停止させた。そして、1.5 mLの酢酸エチル(販売元:和光純薬(株)、品番:051-00356)を添加し、遊離した馬尿酸を抽出した。抽出後、3000 rpmで10分間遠心分離した後、上清(酢酸エチル層)0.5 mLを回収した。回収した酢酸エチルを減圧除去した後、4 mLの水を加えて撹拌し、溶解した馬尿酸の有する228 nmの吸収 (OD)を測定した。尚、ホウ酸緩衝液は、Na2B4O7 (販売元:和光純薬(株)、品番: 194-01415)及び H3BO3 (販売元:和光純薬(株)、品番: 012-02195)を用いてpH8.3になるように調整した。得られたデータは以下に示した計算式にて算出し、表1および図1にACE阻害活性(%)で示した。
ここで、表1及び図1に示すとおり、試料No.10〜15は、高いACE阻害活性が認められた。さらに、試料No.10(Glc(α1-6)Glc)と試料No.11(Glc(β1-6)Glc)に示すとおり、異性体によるACE阻害活性に違いは認められなかった。尚、図1は、表1をグラフ化したものである。
(黒豆からの血圧効果作用を有するオリゴ糖の抽出)
黒豆1kgに、水4Lを加え、10〜50分間100℃で加熱して黒豆煮汁を得た。次に、黒豆煮汁(12L)にDEAEトヨパール陰イオン交換樹脂を添加し、室温にて一晩放置した後、上清をろ過・回収した。回収した上清にCMトヨパール陽イオン交換樹脂を添加し、室温にて一晩放置した。CMトヨパール陽イオン交換樹脂に吸着した成分をMilliQ水にて溶出した。得られた画分について、実施例1と同様にACE阻害活性を測定し、その活性があることを確認した。
得られた活性画分は凍結乾燥し、残留物を再度MilliQ水に溶解し、20倍濃縮液とした。濃縮液はC18カラムに添加し、吸着した成分をMilliQ水にて溶出し、活性画分を得た。得られた活性画分はLH-20カラムに添加し、クロマトグラフィーを行った(2回)。
黒豆1kgに、水4Lを加え、10〜50分間100℃で加熱して黒豆煮汁を得た。次に、黒豆煮汁(12L)にDEAEトヨパール陰イオン交換樹脂を添加し、室温にて一晩放置した後、上清をろ過・回収した。回収した上清にCMトヨパール陽イオン交換樹脂を添加し、室温にて一晩放置した。CMトヨパール陽イオン交換樹脂に吸着した成分をMilliQ水にて溶出した。得られた画分について、実施例1と同様にACE阻害活性を測定し、その活性があることを確認した。
得られた活性画分は凍結乾燥し、残留物を再度MilliQ水に溶解し、20倍濃縮液とした。濃縮液はC18カラムに添加し、吸着した成分をMilliQ水にて溶出し、活性画分を得た。得られた活性画分はLH-20カラムに添加し、クロマトグラフィーを行った(2回)。
活性画分について1H-および13C-NMR解析を行った。13C-NMR解析において、糖質特有のスペクトル(アノメリック炭素; 100 ppm付近)が検出された。さらに、単糖(標準品)及びal(α1-6)Glc:メリビオース(標準品)の1H-および13C-NMRスペクトルと照らし合わせ、詳細に解析した。その結果、活性本体はGal(α1-6)Glc及びGal(α1-6)Gal(α1-6)Glcの2種類のオリゴ糖であることを確認した。
Claims (9)
- 1種類以上のヘキソースから構成され、かつ、1以上の1−6結合を有するオリゴ糖を含む血圧降下剤。
- グルコース、ガラクトース、マンノース又はフルクトースからなる群より選択される1以上ヘキソースのみからなり、かつ、1以上の1−6結合を有するオリゴ糖を含む血圧降下剤。
- グルコース、ガラクトース、フルクトースからなる群より選択される1以上のヘキソースのみからなり、かつ、1以上の1−6結合を有するオリゴ糖を含む血圧降下剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、前記オリゴ糖が、Glc(α1−6)Glc、Glc(β1−6)Glc、Gal(α1−6)Glc、Gal(β1−6)Gal及び/又はGlc(α1−6)Fruで表される構造単位を含む血圧降下剤。
- グルコース及び/又はガラクトースのみからなり、かつ、1以上の1−6結合を有するオリゴ糖を含む血圧降下剤。
- 請求項1〜5のいずれか1項において、前記オリゴ糖は、ヘキソースが1−6結合のみによって結合している血圧降下剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項において、前記オリゴ糖が、2糖及び/又は3糖である血圧降下剤。
- 豆科の植物を、水又は有機溶媒で抽出する工程を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の血圧降下剤の製造方法。
- 黒豆を、水又は有機溶媒で抽出する工程を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の血圧降下剤の製造方法。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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