JP2005145231A - ローリングシート装置 - Google Patents

Abstract

【課題】
ローリング機能と高さ調整機能を備え、シートと車両フロア間に配置できるローリングシート装置を実現すること。
【解決手段】
リンク機構５０Ｒ、５０Ｌをシートの右側に配置される右側リンク機構５０Ｒと左側に配置される左側リンク機構５０Ｌで構成し、制御装置８０による制御によってシート１の横方向の傾斜とともに上下位置の制御も可能とするように右側リンク機構５０Ｒと左側リンク機構５０Ｌのそれぞれに駆動装置６０を備えて構成した
【選択図】 図１

Description

本発明は、車両のコーナリング時に、乗員のシートによるホールド性を向上させるために、車両に作用する横方向の遠心力に応じて、シートを傾動させるように制御するローリングシート装置に関する。

従来のローリングシート装置は、車両に作用する横方向の遠心力に応じてシートを傾動させるように構成されている。即ち、シートクッションの下方に位置して、シートの略中央前後方向の回転中心に対して、シートを回転させる。従って、例えばシートの右側が下がると、左側が上がるように作動させるようにして、シートを傾動させる構成である。(例えば、特許文献１参照。)。
特開平８−０５８４５３公報

上記した従来技術によるローリングシート装置とともに、乗員が運転姿勢に合わせてシートの車両フロアからの高さ位置を調整する高さ調整機能を備える場合、ローリング機構の上または下側に高さ調整装置に配置する必要がある。しかしながら、通常シートの下側で、車両フロアとの間のスペースは狭く複数の機構を配置することは困難ある。

そこで、本発明の解決しようとする課題はローリング機能と高さ調整機能を備え、シートと車両フロア間に配置できるローリングシート装置を実現することである。

上記した課題を解決するために、本発明で講じた技術的な第１の手段は、車両とシート間にあって前記車両の横方向に作用する加速度に応じて前記シートを傾斜可能に支持するリンク機構と、前記リンク機構を駆動する駆動装置と、前記横方向加速度に対応して前記シートを車両横方向の傾斜を制御する装置とを備えるローリングシート装置において、
前記リンク機構を前記シートの右側に配置される右側リンク機構と左側に配置される左側リンク機構で構成し、前記制御装置による制御によって前記シートの横方向の傾斜とともに上下位置の制御も可能とするように前記右側リンク機構と左側リンク機構のそれぞれに前記駆動装置を備えて構成したことである。

更に本発明で講じた技術的な第２の手段は、上記第１の手段に加えて、前記右側リンク機構及び左側リンク機構と前記シート側及び前記フロア側との所定連結箇所において、前記右側リンク機構及び左側リンク機構のねじれ傾斜に対して復元力を及ぼす弾性部材を介在させたローリング軸機構を用いたことである。

本発明で講じた技術的な第３の手段は、前記ローリング軸機構は球形軸部を備える回転軸と、前記球形軸部と摺動する球面穴を備える一対の座プレートを有し、前記一対の座プレートで前記球形軸部を挟み構成したことである。

更に本発明で講じた技術的な第４の手段は、上記第１、第２又は第３のいずれかの手段に加えて、前記右側リンク機構及び左側リンク機構をそれぞれ平行リンク機構で構成したことである。

請求項１に記載の発明によれば、右側リンク機構と左側リンク機構にそれぞれ個別に装着された駆動装置を制御することによって、シートの左右側を同じ高さで上下移動させることによって、シートの高さ調整を可能とし、左右側を異なる高さで上下移動させることによってシートの傾きを調整できるようになり、高さ調整機能とローリング機能を１つの装置で実現できる。

請求項２に記載の発明によれば、シートが傾き左右側リンク機構に発生する横方向のねじれ傾斜はローリング軸機構の弾性部材で吸収され、同時に弾性部材の大きな反力によってシートの過大な傾き、及び横方向に揺れが防止される。

請求項３に記載の発明によれば、球形軸部と摺動するようにした球面穴との組合せでシートの円滑な上下移動及び傾動が可能となるとともに、組付けの容易な構成が得られる。

更に、請求項４に記載の発明によれば、個別の駆動装置で各平行リンク機構の姿勢が保持され、シートは高い剛性と強度をもって支持される。

以下、図１〜図１１を用いて、本発明に関るローリングシート装置２について説明する。

先ず、図１に示されるように、本発明に関るローリングシート装置２を備えるシート１は、既存のシート構成と同様に、乗員の背凭れ部となるシートバックのシートバックフレーム１０と、着座部となるシートクッションのクッションフレーム２０を備えている。シートバックフレーム１０は、シート１の左右側に上下に伸びるサイドフレーム１１を有し、両側サイドフレーム１１を上端で連結するアッパフレーム１２と、下端部で連結する連結ブラケット１３によって、剛性と強度を確保した構成となっている。また、クッションフレーム２０は、シート１の左右側に配置され前後方向に伸びるクッションサイドフレーム２１を備え、両側のクッションサイドフレーム２１は、前後の離間して配置された２本の連結パイプ２２、２３によって連結され、剛性と強度を確保した構成となっている。また、クッションフレーム２０に対してシートバックフレーム１０の傾斜角度を調整可能とするシートリクライニング装置７０が装着される。シートリクライニング装置７０は既存のロック機構(図示せず)を内蔵するもので、シート１に要求されるロック強度を備えたものである。このように、クッションフレーム２０とシートバックフレーム１０は、車両に搭載される装置として、十分な剛性と強度を備える構成となっている。

左右のクッションサイドフレーム２１の下方には、それぞれシートスライド装置３０が配置される。シートスライド装置３０は、既知のシートスライド装置と同様で車両のフロア９(図示２)に固定されるロアレール３２と、ロアレール３２によって前後方向に摺動案内されるアッパレール３１を備え、図示しないロック機構の作用でロアレール３２に対するアッパレール３１の前後位置を調整可能にしている。

アッパレール３１は、アッパレール３１と一体に成形された上方に伸びる縦壁部３１ａを備えている。クッションサイドフレーム２１と縦壁部３１ａとを連結するように、本発明の主題とするローリングシート装置２の、右側リンク機構５０Ｒと左側リンク機構５０Ｌが配置される。

右側リンク機構５０Ｒと左側リンク機構５０Ｌは互いに、シート１の中心線に関して対称形の構成になっている。右、左側リンク機構５０Ｒ、５０Ｌは、クッションフレーム２０の前方側に配置されるフロントリンク４１Ｒ、４１Ｌを備える。フロントリンク４１Ｒ、４１Ｌは一方端で縦壁部３１ａに、また他方端でクッションサイドフレーム２１に、後述するローリング軸機構５で回転自在に連結されている。更にリンク機構５０Ｒ、５０Ｌは、クッションフレーム２０の後方側に配置されるリンクギヤ４５Ｒ、４５Ｌを備える。リンクギヤ４５Ｒ、４５Ｌは平板形状で、その端面部分には部分歯車４５ａが形成され、部分歯車４５ａの中心で、クッションサイドフレーム２１に回転軸５６で回転自在に取付けられている。更に、リンクギヤ４５Ｒ、４５Ｌには、部分歯車４５ａの径方向に突起するようにアーム部４５ｂが形成され、アーム部４５ｂの先端部分は、フロントリンク４１Ｒ、４１Ｌと同様のローリング軸機構５で縦壁部３１ａに連結されている。

左右のクッションサイドフレーム２１には、右、左側リンク機構５０Ｒ、５０Ｌが夫々個別に作動させるように、夫々駆動装置６０が取付けられる。夫々駆動装置６０は電動モータ６１とモータ６１の回転数を減速する減速機構６２と、回転をリンクギヤ４５Ｒ、４５Ｌの部分歯車４５ａに伝えるように噛合うピニオンギヤを備えている。そしてモータ６１の作動でリンクギヤ４５Ｒ、４５Ｌを回転できる構成となっている。

ここで、フロントリンク４１Ｒ、４１Ｌの両端を支持するローリング軸機構５、及びリンクギヤ４５Ｒ、４５Ｌのアーム部４５ｂを支持するローリング軸機構５及び回転軸５６の各軸中心点は、夫々が並行４辺形の頂点に位置する配置になっている。即ち、右、左側リンク機構５０Ｒ、５０Ｌは、夫々が独立して駆動装置６０で姿勢が維持されるように構成された平行リンク機構となっており、アッパレール３１はクッションサイドフレーム２１に対して、所定の位置に剛性と強度をもって保持される。

次に、図６に示されるように、ローリング軸機構５はクッションサイドフレーム２１にナット５６で一端が固定される回転軸５２と、回転軸５２が貫通する球面穴５８ａを持ち、フロントリンク４１を両側から挟み固定される一対の座プレート５８と、回転軸５２の他端にナット５６で固定されたワッシャ５７と、更にワッシャ５７と座プレート５８間に圧縮して取付けられた皿ばね５５とを備えて構成されている。回転軸５２の中央部には、球形軸部５２ａが形成されている。また、座プレート５８の球面穴５８ａは球形軸部５２ａと密着して且つ相互の回転摺動を可能する球形内面となっている。この座プレート５８の球面穴５８ａと球形軸部５２ａとの係合によって、図７及び図８に示されるように、フロントリンク４１Ｒ、４１Ｌの回転軸は、回転軸５２の中心軸に任意の傾きを持つことができる。即ち、クッションサイドフレーム２１に対してフロントリンク４１Ｒ、４１Ｌのねじれ傾斜が可能となっている。

図６と図７に示される皿ばね５５の状態を比較して明らかなように、フロントリンク４１Ｒ、４１Ｌがクッションサイドフレーム２１に対してねじれ傾斜することによって、皿ばね５５は圧縮される。即ち、フロントリンク４１Ｒ、４１Ｌの回転中心軸は、常に回転軸５２の中心軸と一致する方向に戻そうとする皿ばね５５からの復元力を受ける構成となっている。この復元力は、フロントリンク４１Ｒ、４１Ｌのねじれ傾斜が大きくなるほど、大きい力でフロントリンク４１Ｒ、４１Ｌを戻すように作用する構成である。又、図６に示されるように、フロントリンク４１Ｒ、４１Ｌの回転中心軸と回転軸５２の中心軸とが一致した状態になっているときは、皿ばね５５は取り付け状態で設定された圧縮を受けているだけで、フロントリンク４１Ｒ、４１Ｌには一定の摩擦力が作用するのみで比較的に軽い荷重で回転が可能となる。尚、ローリング軸機構５においては、回転軸５２と座プレート５８が固定される部材は、上記した以外の箇所に取付けられたローリング軸機構５のように、フロントリンク４１Ｒ、４１Ｌ、クッションサイドフレーム２１、又リンクギヤ４５Ｒ、４５Ｌに対して、回転軸５２または座プレート５８のいずれが固定されるものであっても良い。

更に、本発明のローリングシート装置２では図１１に示されるように、右、左側リンク機構５０Ｒ、５０Ｌの駆動装置６０を作動するように、駆動制御部８１を備える制御装置８０が連結される。駆動制御部８１は車速及び舵角に基く車両の状態検出部８６から出力、またはシート上下位置を調整する操作スイッチ８９からの出力を受けて、ローリングシート装置２の駆動装置６０を駆動する構成である。駆動装置６０の作動で調整されたシート１の高さおよび傾きは、駆動装置６０に取付けられた位置センサー(図示せず)によって検出される。位置センサーのデータに基づきシート１の姿勢はシート位置検出部８２で判断され、駆動制御部８１にフィードバックされ、正確なシート１の位置が実現される構成となっている。

次に以上のように構成された、ローリングシート装置２の作動を説明する。

車両が、直進走行しているときは、舵角の出力はないので、車速はあっても、制御装置部８０によって駆動装置６０が作動させられることはなく、図２、図３に示されるように、シート１は傾きのない姿勢に維持される。

次に、例えば車両が右折走行するときは、舵角と車速から車両に発生する横加速度が算定され、このときの横加速度に対応して、駆動装置６０を作動して左側リンク機構５０Ｌのみを上昇作動させる。その結果、図４と図５に示されるように、シート１が右側方向に傾いた(ロールリング作動した)状態になる。シート１の傾きは、シート１上に着座する乗員を無理なく拘束できるように予め決められ、駆動制御装置に記憶された制御マップに従った角度になるように制御される。

図４及び図５に示されるように、シート１が傾いたとき、フロントリンク４１Ｒ、４１Ｌはクッションサイドフレーム２１及びアッパレール３１に対してローリング軸機構５の皿ばね５５の圧縮してねじれ傾斜する。また、リンクギヤ４５Ｒ、４５Ｌでは、アーム部４５ｂはローリング軸機構５によってアッパレール３１に対してはねじれ傾斜するが、クッションサイドフレーム２１とは回転軸５６で連結されていてねじれ傾斜は許容させない構成となっている。そして、シート１の傾斜作動は、アッパレール３１、クッションサイドフレーム２１および各構成部品の微小の弾性変形によって許容される。

図１、図２及び図３に示されるように、シート１が傾かずに起立している(ロールリング作動しない)ときに、乗員がシート上下位置調整操作スイッチ８９を操作すると、左右の各駆動装置６０は右、左側リンク機構５０Ｒ、５０Ｌを同時に同方向に作動させる。この作動によって、乗員はシート１の高さを最適位置に調整できる。この調整作動は、車両が停止中においても行える構成となっている。

図９と図１０には、本発明に係るローリングシート装置２に利用される第２実施例のローリング軸機構１０５と、第３実施例のローリング軸機構２０５が示されている。

ローリング軸機構１０５は、フロントリンク４１に対する座プレート１５８、１５９の改良した固定構造を示す。即ち、フロントリンク４１に設けられた穴４１に嵌るように位置して、座プレート１５８、１５９の一方側に数箇所の凸部１５８ｂを形成し、他方側に凸部１５８ｂを受ける凹部１５９ａを設け、当接部分で溶接接合して組み立てるように構成する。このようにすれば、溶接のときに座プレート１５８、１５９の皿ばね５５との摺動面を傷つける可能性がなく強固に、しかも容易に組付けできる利点がある。

また、ローリング軸機構２０５は、第１及び第２実施例のローリング軸機構５、１０５の構成における皿ばね５５の代わりに、ゴムブッシュ２５５を用いる構成である。ゴムブッシュ２５５は、円筒形の内側カラー２５５ａと外側カラー２５５ｂ間に配置されている。外側カラー２５５ｂにフロントリンク４１が固定され、内側カラー２５５ａ内に軸受け部材２５８を介して回転自在となる軸２５２にクッションサイドフレーム２１が固定される。この構成では、フロントリンク４１がクッションサイドフレーム２１に対してねじれ傾斜する（図１０中に２点鎖線で示されるように）と、ゴムブッシュ２５５が変形を受けて、大きな復元力を発生する構成になっている。一方、図１０に示される、フロントリンク４１のねじれ傾斜がない状態で、フロントリンク４１は軸２５２に対してほとんど抵抗無しに回転可能となる構成である。

本発明に係るローリングシート装置を備えるシートの斜視図である。 本発明に係るローリングシート装置がローリング作動していない状態の正面図である。 本発明に係るローリングシート装置がローリング作動していない状態の側面図である。 本発明に係るローリングシート装置がローリング作動した状態の正面図である。 本発明に係るローリングシート装置がローリング作動した状態の側面図である。 図１におけるＡ−Ａ部分でのローリング軸機構の断面図である。 図６の断面図でフロントリンクがクッションサイドフレームに対してねじれ傾斜した状態を示す。 図７の断面図に対応し、フロントリンクがクッションサイドフレームに対してねじれ傾斜した状態を示す平面図である。 ローリング軸機構の第２実施例を示す断面図である。 ローリング軸機構の第３実施例を示す断面図である。 本発明に係るローリングシート装置の制御系統を示すブロック図である。

符号の説明

１ シート
２ ローリングシート装置
５ ローリング軸機構
５０Ｒ 右側リンク機構
５０Ｌ 左側リンク機構
５２ 回転軸
５２ａ 球形軸部
５５、１５５、２５５ 弾性体（皿ばね、ゴムブッシュ）
５８、１５８ 座プレート
５８ａ 球面穴
６０ 駆動装置
８０ 制御装置
１５９ 座プレート

Claims (4)

1. 車両とシート間にあって前記車両の横方向に作用する加速度に応じて前記シートを傾斜可能に支持するリンク機構と、
   前記リンク機構を駆動する駆動装置と、
   前記横方向加速度に対応して前記シートを車両横方向の傾斜を制御する装置とを備えるローリングシート装置において、
   前記リンク機構を前記シートの右側に配置される右側リンク機構と左側に配置される左側リンク機構で構成し、前記制御装置による制御によって前記シートの横方向の傾斜とともに上下位置の制御も可能とするように前記右側リンク機構と左側リンク機構のそれぞれに前記駆動装置を備えて構成したローリングシート装置。
2. 前記右側リンク機構及び左側リンク機構と前記シート側及び前記フロア側との所定連結箇所において、前記右側リンク機構及び左側リンク機構のねじれ傾斜に対して復元力を及ぼす弾性部材を介在させたローリング軸機構を用いたこと特徴とする請求項１に記載のローリングシート装置。
3. 前記ローリング軸機構は球形軸部を備える回転軸と、前記球形軸部と摺動する球面穴を備える一対の座プレートを有し、前記一対の座プレートで前記球形軸部を挟み構成している請求項２に記載のローリングシート装置。
4. 前記右側リンク機構及び左側リンク機構はそれぞれ平行リンク機構である請求項１、請求項２又は請求項３のいずれかに記載のローリングシート装置。

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