JP5420192B2 - 車両座席 - Google Patents

Description

本発明は、車両座席、特に、自動車座席に関するものである。

このような従来の車両座席は、ＥＰ１１７６０４８Ｂ１に記載されているように、傾き調整機構が、座席下部構造体に関連付けられた座席フレームの固定部材とこの固定部材に対して旋回可能に設けた座席フレームの前方部分との間に設けられている。
座席シェルは、前方領域において旋回可能に設けた部材に対して関節結合されているとともに、回転式スラスト軸受を介して乗員のヒップポイントの領域において座席フレームの固定部材の上方に設置されている。
座席フレームに旋回可能に設けた部材が移動することによって、座席シェルの前部が上昇、あるいは、下降するようになっており、それにより、座席シェル全体の傾斜が変化するようになっている。
このような特徴を備える座席フレームは、傾斜調整可能な車両座席においてしか使用できないことが欠点である。
したがって、座席シェルの傾斜調整を伴わない車両座席においては、座席構造をかなり変更する必要がある。

本発明の目的は、前述したような従来の車両座席を改良することである。
本発明の目的は、請求項１の特徴を備えた車両座席により達成される。
有利な改良は、従属する請求項の要旨である。

本発明の傾き調整機構は、座席下部構造体および座席クッションの一方の部材に緩く設置されるとともに、前記座席下部構造体および前記座席クッションの他方の部材に対して移動可能に取り付けられていることによって、座席下部構造体、および／又は座席クッション、より具体的にはその支持部（例えば、座席シェル）の構造を変更することなく、他の座席構成部材間に傾き調整機構を挿入することができるようになっている。
したがって、座席クッションの傾斜調整を伴う、あるいは、伴わないモジュール様式で車両座席を最初に備え付けることができるとともに、座席クッションの傾斜調整を伴わない座席下部構造体を改良することができるようになっている。
「緩い」という用語は、例えば、径方向の自由度を制限するピボット軸受（pivot bearing）に伴う従来の自由度の制約ではなく、自由度が部分的にのみ制限され、例えば、その２つの想定し得る方向のうちの一方でのみ自由度が制限されるがその反対方向では自由となるベアリング配置として理解されることを目的としている。
典型的な例としては、それ自体固定されていない積極的な接続、または、ベアリング配置自体の固定を伴わないピボット軸受の半開ベアリングシェル等が挙げられる。
緩いベアリング配置の固定は、例えば、緩く装着された構成部材間で特定の角度位置を超えるときだけ互いに離れて移動できるが、座席使用中に角度位置に達しないという点で「幾何学的に」行なわれることが好ましい。
しかしながら、これは、緩いベアリング配置が軸支点から離れて行なわれる場合を排除しようとするものではない。

様々な実施形態としては、例えば、モジュール構造と、座席シェルに簡単に予め装着できる構成部材と、車両座席の左右両側に設置される同一部材、中央多機能型の駆動部材と傾き調整機構との支持部材としての役割を果たすシャフトと、幾何学的補償および脱線防止機構としての役割を果たす回転式スラスト軸受部材（rotary thrust bearing）と、乗員のＨ点（すなわち、ヒップポイント）の領域において設置される座席クッションのピボット軸受部材（pivot bearing）と、傾き調整機構を構成する部材である駆動手段を回動可能な状態で設置するベアリング配置、好ましくは、スピンドル−スピンドルナットシステムとは、個別に、あるいは、組み合わせて実施されても何ら構わない。
また、傾き調整機構の駆動手段として、モータまたは手動ユニット、例えば、ステッピング機構が設けられても何ら構わない。
さらに、この駆動手段は、リニアドライブまたはロータリドライブであってもよい。
また、本発明に用いる「モータ」という用語は、それ自体周知のモータ−ギアユニットとして理解されることを目的としている。

傾き調整機構を構成する中央多機能型の駆動部材および支持部材として設けられるシャフトは、駆動手段によって駆動されても何ら構わない。
シャフトが、座席クッション上に緩く装着されるとともに、例えば、シャフトに対して設置され且つシャフトと平行に位置合わせされた座席下部構造体の横方向チューブに緩く設置されるフォークを介して座席下部構造体に緩く設置されることによって、フォークは、横方向チューブ周りを旋回できるようになっている。

本発明を図面に示される典型的な実施例を基に、以下に詳細に説明する。

本発明の車両座席１は、自動車のフロント座席として設計されており、自動車内部における車両座席１の配置およびその通常の移動方向は、以下に使用される方向情報の一部、特に、移動方向に対して垂直に且つ水平に延びる座席横方向を画定している。
本発明の車両座席１は、その詳細が重要ではなく且つ背もたれ６が旋回可能に取り付けられた座席下部構造体５を座部の支持構造体として備えるとともに、傾き調整機構２１と座席クッション３３を支持する座席シェル３１とを備えている。
そして、座席シェル３１と座席クッション３３とは、協働して座部を構成している。
傾き調整機構２１は、座席シェル３１の傾斜、すなわち、座部の傾斜を調整することができるようになっている。

また、前記座席シェル３１は、その後端領域において、好ましくは使用者のＨ点よりも下側において、互いに一直線上にあり且つ座席の横方向に延びる枢軸を画定する２つのパッドベアリング３５により座席下部構造体５に関節結合されている。
また、座席シェル３１は、その前端領域において、一対の駆動側軸受部材３７と一対のシャフトベアリング部材（回転式スラスト軸受部材）３９とを介して傾き調整機構２１に装着されている。
本発明における傾き調整機構２１は、昇降スピンドルモータとしての役割を果たす駆動手段４３を備えており、この駆動手段４３は、その出力軸がスピンドル４３ａとして構成されているとともに、座席横方向に延びる軸を中心に旋回可能に駆動側軸受部材３７に装着されている。
また、この傾き調整機構２１は、スピンドル４３ａに対して螺合するスピンドルナット４５を備えており、このスピンドルナット４５は、一対で設けられた駆動レバー５１ａに対して車両座席横方向に延びる軸を中心に回転可能な状態でそれぞれ装着されており、すなわち、一対の駆動レバー５１ａ内側に横方向に装着されている。

傾き調整機構２１は、座席横方向に位置合わせされるシャフト５１を備えており、このシャフト５１は、シャフトベアリング部材３９の内側に端部が装着されている。
このシャフトベアリング部材３９は、回転式スラスト軸受部材としての役割を果たしている。
すなわち、シャフト５１は、シャフトベアリング部材３９の内側において回転可能になっているとともに、シャフトベアリング部材３９によって予め決められた方向において座席横方向に対して垂直に移動可能になっている。
つまり、シャフト５１は、座席シェル３１に対して緩く装着されている。
２つの駆動レバー５１ａは、シャフト５１の中央において固着されており、本発明では溶接されている。
同様に、一対のフォーク５１ｂは、一対のシャフトベアリング部材３９に対してそれぞれ１つずつシャフト５１上において固着されており、本発明では溶接されている。
また、このフォーク５１ｂは、座席下部構造体５の構成部材であり、且つ座席の横方向に延在する横方向チューブ５５上に緩く設置されており、横方向チューブ５５の周囲においてピボット軸受を形成している。
駆動レバー５１ａとフォーク５１ｂとは、シャフト５１の周方向から見てシャフト５１から突出しており、９０°よりも僅かに小さい角度だけ互いにオフセットしている。

傾き調整機構２１の力学的動作は、座席横方向に対して垂直に延びる面内において実質的に行なわれている。
スピンドル４３ａは、このような面内に設置されている。
そして、スピンドルナット４５は、このスピンドル４３ａの回転により駆動手段４３に対して移動するようになっている。
スピンドルナット４５の移動は、シャフト５１に対していわば接線方向に行なわれるようになっており、その結果、シャフト５１を軸とする回転運動を引き起こすようになっている。
シャフトベアリング部材３９の内側においてシャフト５１が緩く装着されているために、横方向チューブ５５の周囲においてフォーク５１ｂが回動することによって、シャフト５１がシャフトベアリング部材３９と共に略垂直方向に移動し、その結果、座席シェル３１がこのポイントで上昇、あるいは、下降するようになっている。
座席シェル３１は、シャフトベアリング部材３９から離れた領域において、パッドベアリング３５を介して座席下部構造体５に対して間接結合されているため、シャフトベアリング部材３９の略垂直方向への移動によって、座席下部構造体５に対する座席シェル３１、さらに、座席クッション３３の傾斜の変化をもたらしている。
駆動手段４３は、駆動側軸受部材３７の内側において、また、スピンドルナット４５は、駆動レバー５１ａの内側において回転可能な状態で設置されており、さらに、シャフト５１は、シャフトベアリング部材３９の内側においてスラスト軸受されているため、その結果、傾き調整機構２１の内側においてドライブ移動の幾何学的な補償が行なわれている。

本発明に用いた傾き調整機構２１は、推力継ぎ手（thrust joint）と回転継ぎ手（rotary joint）とを介して座席クッション３３に対して移動可能な状態で取り付けられているとともに、関連するインタフェースを大幅に変更することなく座席下部構造体５に対して緩く設置される付属部材、もしくは、中間組み立て部材である。
したがって、傾き調整機構２１は、必要に応じて横方向チューブ５５上（ほぼシャフトベアリング部材３９の領域）に設置される座席シェル３１の固定付属部材に取って代わるモジュラーシステムとしての役割を果たすこともできるようになっている。
変形した実施例として、傾き調整機構２１は、座席下部構造体５に対して移動可能な状態で設置されているとともに、座席シェル３１（すなわち、座席クッション３３）は、その前方領域において傾き調整機構２１に対して緩く設置されているとともに、乗員のヒップポイントの後方領域において、座席下部構造体５に対して移動可能な状態で設置され、例えば、懸垂されるように、あるいは、関節結合されるようになっている。
座席シェル３１は、その後方領域において座席下部構造体５に対して移動可能な状態で設置されているため、その結果、前方領域に設置される傾き調整機構２１の緩い軸支点が確保されるようになっている。

本発明の実施例で座席クッションを省いて背もたれが示された斜視図。 傾き調整機構を示す斜視図。 座席クッションを最大限に傾斜させた状態を示す長手方向断面図。 座席クッションを最小限に傾斜させた状態を示す長手方向断面図。

１ ・・・車両座席
５ ・・・座席下部構造体
６ ・・・背もたれ
２１ ・・・傾き調整機構
３１ ・・・座席シェル
３３ ・・・座席クッション
３５ ・・・パッドベアリング
３７ ・・・駆動側軸受部材
３９ ・・・シャフトベアリング部材（回転式スラスト軸受部材）
４３ ・・・駆動手段
４３ａ・・・スピンドル
４５ ・・・スピンドルナット
５１ ・・・シャフト
５１ａ・・・駆動レバー
５１ｂ・・・フォーク
５５ ・・・横方向チューブ

Claims (8)

1. 座席下部構造体（５）と座席シェル（３１）を有する座席クッション（３３）と駆動手段（４３）を有する傾き調整機構（２１）とを備え、該傾き調整機構（２１）により座席下部構造体（５）に対する座席クッション（３３）の傾斜を調整する車両座席において、
   前記傾き調整機構（２１）が、前記座席下部構造体（５）および前記座席クッション（３３）の一方の部材に対して緩く設置されているとともに、前記座席下部構造体（５）および前記座席クッション（３３）の他方の部材に対して移動自在な状態で取り付けられており、
   前記傾き調整機構（２１）が、座席横方向に位置合わせされたシャフト（５１）を備えており、
   前記シャフト（５１）が、該シャフト（５１）に固定されたフォーク（５１ｂ）を介して座席下部構造体（５）に対して座席横方向に位置合わせされた横方向チューブ（５５）上に緩く設置されているとともに、前記フォーク（５１ｂ）が、前記横方向チューブ（５５）の周囲を旋回するように設計されていることを特徴とする車両座席。
2. 前記座席クッション（３３）が、乗員のヒップポイントの領域において前記座席下部構造体（５）に対して移動自在な状態で取り付けられていることを特徴とする請求項１記載の車両座席。
3. 前記傾き調整機構（２１）が、前記座席クッション（３３）に対して回転式スラスト軸受（３９）を介して移動自在な状態で取り付けられていることを特徴とする請求項１または請求項２記載の車両座席。
4. 前記シャフト（５１）の端部が、前記回転式スラスト軸受部材（３９）の内側に装着されていることを特徴とする請求項３記載の車両座席。
5. 前記シャフト（５１）が、前記シャフト（５１）に固定された駆動レバー（５１ａ）を介して回転するように設計されていることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれか１項記載の車両座席。
6. 前記傾き調整機構（２１）の構成部材である駆動手段（４３）が、出力軸となるスピンドル（４３ａ）と該スピンドル（４３ａ）上に設けられたスピンドルナット（４５）とを有していることを特徴とする請求項１乃至請求項５のいずれか１項記載の車両座席。
7. 前記スピンドルナット（４５）が、前記駆動レバー（５１ａ）上において回転可能に装着されていることを特徴とする請求項６記載の車両座席。
8. 前記駆動手段（４３）が、駆動側軸受部材（３７）を介して前記座席クッション（３３）に旋回可能に装着されていることを特徴とする請求項１乃至請求項７のいずれか１項記載の車両座席。

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