JPH0719302Y2 - 車両用シート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、据付場所に固設される車体側のレールと、該
車体側のレールに前後移動可能に嵌合し座席を支持する
座席側のレールとから成るレールユニットを有するシー
トスライド装置を備え、シートクッションにシートバッ
クを傾動角度調節可能に支持した車両用シートに関す
る。

「従来の技術」 従来、この種の車両用シートとしては、以下のようなも
のが一般的である。

すなわち、据付場所にシートクッションがシートスライ
ド装置を介して前後移動可能に支持され、シートクッシ
ョンにシートバックがリクライニング装置を介して傾動
角度調節可能に支持されている。

リクライニング装置はシートクッションの側部に固設さ
れるベース部材にシートバックの基端部が傾動可能に支
持され、シートバックの基端部にギア部材が固設され、
ベース部材に設けたツース部材が操作レバーによりギア
部材の歯部に係脱してシートバックを傾動不能に所望の
角度位置に拘束するようにしているものである。

「考案が解決しようとする課題」 しかしながら、このような従来の車両用シートでは、リ
クライニング装置がシートクッションの側部から外側に
出っ張って見栄えがよくなく、見栄えをよくするためカ
バー部材を設けたりすると部品点数が多くなってコスト
嵩み、また、シートバックの傾動角度がギア部材の歯部
のピッチで決まってしまい傾動角度の微調整ができない
で使い勝手がよくないという問題点があった。

本考案は、このような従来の問題点に着目してなされた
もので、シートスライド装置の座席側のレールの内側に
シートバックを傾動するための駆動部を収容し、駆動部
をシートバックの基端部に固設されるウオームホイール
部材と、これに噛合してシートバックを傾動可能なウオ
ーム部材とにより構成して、無段階でシートバックの傾
動角度を調節するようにし、コストが嵩まない上に見栄
えがよく、シートバックの傾動角度を微調整することが
できて使い勝手がよく、また、シートバックにかかる荷
重を剛性の高いレールユニットで最終的に受けるため、
剛性を上げるべく、例えば、クッションフレームなどの
板厚を上げる必要がなく、軽量および小型化に寄与する
ことができる車両用シートを提供することを目的として
いる。

「課題を解決するための手段」 かかる目的を達成するための本考案の要旨とするところ
は、 据付場所に固設される車体側のレールと、該車体側のレ
ールに前後移動可能に嵌合し座席を支持する座席側のレ
ールとから成るレールユニットを有するシートスライド
装置を備え、シートクッションに対しシートバックを傾
動角度調節可能に支持した車両用シートにおいて、 前記座席側のレールを溝丈の高い溝形断面に形成し、前
記座席側のレールの溝の内部に前記シートバックの基端
部を収容するとともに、前記座席側のレールに前記シー
トバックの基端部を揺動可能に支持し、 前記シートバックの基端部にウオームホイール部材を固
設する一方、前記シートバックの基端部が傾動するよう
に前記ウオームホイール部材に噛合する駆動用のウオー
ム部材を前記座席側のレールに支持したことを特徴とす
る車両用シートに存する。

「作用」 座席側のレールは溝丈の高い溝形断面に形成され、座席
側レールの溝の内部にシートバックの基端部が収容さ
れ、座席側のレールにシートバックの基端部が揺動可能
に支持されている。

また、いわゆるリクライニング機構を構成する、シート
バックの基端部に固設されたウオームホイール部材と駆
動用のウオーム部材とが噛合しており、それにより、シ
ートバックは揺動不能に所定位置に拘束されている。

リクライニング機構が座席側のレールの溝内部などに収
容されて、シートクッションの側方へ出っ張らないの
で、見栄えがよい。

シートバックを所望の傾動角度位置に揺動すべく、駆動
用のウオーム部材を回転すると、ウオームホイール部材
の歯部が次々に送られてシートバックの基端部が揺動す
る。シートバックが所望の傾動角度位置に近づいたなっ
たならば、駆動用のウオーム部材を少しづつ回転する。
それにより、シートバックが少しづつ揺動して、所望の
傾動角度位置になる。

次に、駆動用のスオーム部材の回転を停止すれば、シー
トバックが揺動不能に所望の傾動角度位置に拘束され
る。

シートバックが所定の傾動角度位置にあるとき、シート
バックにかかる荷重は、ウオームホイール部材および駆
動用のウオームを介して座席側のレールにかかるように
なる。このとき、高い剛性を有する座席側のレールはそ
の荷重に十分に耐えることができる。

「実施例」 以下、図面に基づき本考案の一実施例を説明する。

各図は本考案の一実施例を示している。

第１図および第２図に示すように、据付場所である車体
フロア10にシートクッション20がシートスライド装置30
aを介して前後位置調節可能に支持されている。

シートスライド装置30aは、シートクッション20の両側
部下方に配される一対のレールユニット30を備えてい
る。レールユニット30は、車体フロア10に固設される車
体側のレール31と、車体側のレール31に前後移動可能に
嵌合しシートクッション20を支持する座席側のレール32
とから成る。

車体側のレール31は溝口を上方へ向けた断面溝形に形成
され、同じく、座席側のレール32は溝口を下方へ向けた
溝丈の高い溝形断面に形成されている。車体側のレール
31の抱持フランジ33に座席側のレール32の両側フランジ
34が前後移動可能に保持されている。

シートバック25はＵ字形のフレーム部材26を有してい
て、フレーム部材26の両方の基端部にはウオームホイー
ル部材41がそれぞれ固設されている。

ウオームホイール部材41を構成部品とするリクライニン
グ機構40は、座席の両側にそれぞれ配設されている。以
下、一方のリクライニング機構40について代表して説明
し、他方のリクライニング機構40の説明に代える。

ウイームホイール部材41は一対の歯車部材42,42から成
り、一対の歯車部材42には頂部側を向かい合わせた円錐
歯車部43がプレスによりそれぞれ形成されている。

座席側のレール32の天井部35には挿通孔36が穿設され、
挿通孔36を通して座席側のレール32の溝の内部にウオー
ムホイール部材41が入り込んで収容されている。

座席側のレール32の後端部には連結用のシャフト部材44
が渡され、座席側のレール32の溝の両壁に回動可能に支
持されている。シャフト部材44の両端部にはキー部44a
が形成される一方、ウオームホイール部材41には円錐歯
車部43の軸方向にキー溝43aが形成され、キー部44aがキ
ー溝43aに相対的に回動不能に嵌入している。

第５図および第６図に示すように、ウオームホイール部
材41aは、厚板材を通常の歯切法で切削したものであっ
てもよい。

第２図から第４図に示すように、シャフト部材44の両端
には座席側のレール32から外れないように抜止め用のナ
ット部材44bが螺着されている。

座席側のレール32の溝の内部には、軸受を兼用したケー
ス部材45が収容された固定され、ケース部材45に回転軸
を前後方向にした駆動用のウオーム部材46が回動可能に
支持されている。ウオーム部材46が一対の歯車部材42の
間にあって両方の円錐歯車部43にそれぞれ噛合してい
る。

ウオーム部材46の前端部には伝達用のフレキシブルケー
ブル47が連結され、フレキシブルケーブル47が座席側の
レール32の溝の内部を通って前方への延ばされ、フレキ
シブルケーブル47の前端部には傘歯車48が固設されてい
る。

傘歯車48に噛合する同じく傘歯車49が座席側のレール32
に回転可能に支持されている。両方の傘歯車49,49には
駆動用のフレキシブルケーブル51が連結されている。フ
レキシブルケーブル51の先端部には調整用レバー52が固
設されている。

次に作用を説明する。

第３図において、座席側のレール32の溝の内部にシート
バック25側のウオームホイール部材41が収容され、か
つ、シャフト部材44により座席側のレール32に揺動可能
に支持されている。

また、ウオームホイール部材41に駆動用のウオーム部材
46が噛合していて、ウオームホイール部材41が揺動不能
に拘束され、それにより、シートバック25は揺動不能に
所定位置に拘束されている。

ウオームホイール部材41やウオーム部材46などから成る
リクライニング機構40が座席側のレール32の溝の内部な
どに収容されていて、そのままで見栄えがよく、リクラ
イニング機構40がシートクッション20の側方へ出っ張ら
ないため、例えば、カバー部材などで側方から覆う必要
がない。

シートバック25を所望の傾動角度位置に揺動するには、
調整用レバー52を所定方向へ回転させればよい。それに
より、両方の傘歯車49が駆動用のフレキシブルケーブル
51を介して回転する。

傘歯車49が回転すると、傘歯車48〜伝達用のフレキシブ
ルケーブル47を介してウオーム部材46が回転する。それ
により、傘歯車部43の歯部が次々に送られて、ウオーム
ホイール部材41が揺動する。両方のウオームホイール部
材41は連結用のシャフト部材44で連結されていて同時に
揺動する。

それにより、シートバック25の基端部が揺動し、シート
バック25が所望の傾動角度位置に近づいたなったなら
ば、調整用レバー52を少しづつ回転して、ウオームホイ
ール部材41を少しづつ揺動させて、シートバックを所望
の傾動角度位置に徐々に近づけるようにすればよい。

シートバック25が所望の傾動角度位置に揺動したなら
ば、調整用レバー52の回転を停止すれば、それだけで、
シートバックが揺動不能に所望の傾動角度位置に拘束さ
れる。

シートバック25が所定の傾動角度位置にあるとき、シー
トバック25にかかる荷重は、ウオームホイール部材41、
ウオーム部材46およびケース部材45を介して座席側のレ
ール32にかかるようになる。このとき、座席側のレール
32は無論のこと車体側のレール31も高い剛性を有してい
るため、その荷重にレールユニット30が十分に耐えるこ
とができる。

前記実施例においては、座席側のレール32を全体的に溝
丈が高い断面溝形に成形したものを示したが、ウオーム
ホイール部材41などを収容する後端部や、傘歯車48,49
などを収納する前端部のみの溝丈を高くしたものであっ
てもよいことは言うまでもない。

前記実施例に係る車両用シートによれば、薄板材から成
る一対の歯車部材42を組み合わせてウオームホイール部
材41を形成したので、ウオームホイール部材41をプレス
成形することが可能になり、さらに、コストを低減する
ことができる。

「考案の効果」 本考案に係る車両用シートによれば、シートスライド装
置の座席側のレールの溝丈を高くた断面溝形に形成し、
座席側のレールの溝の内部側にシートバックを傾動角度
調節するためのウオームホイール部材等から成るリクラ
イニング機構を収容し、ウオームホイール部材にウオー
ム部材を噛合させて、シートバックを無段階で傾動角度
可能にしたので、コストが嵩まない上に見栄えがよく、
シートバックの傾動角度を微調整することができて使い
勝手をよくすることができる。

シートバックが所定の傾動角度位置にあるとき、シート
バックにかかる荷重は、ウオームホイール部材および駆
動用のウオームを介して座席側のレールにかかるように
なり、車体側のレールが高い剛性を有しているため、そ
の荷重に十分に耐えることができ、例えば、シートクッ
ションのフレームなどの板厚を上げないで済み、軽量お
よび小型化に寄与することができる。

【図面の簡単な説明】 第１図から第４図は本考案の一実施例を示しており、第
１図はリクライニング機構の分解斜視図、第２図は車両
用シートの内部を示す斜視図、第３図はリクライニング
機構の要部断面図、第４図は第２図IV-IV線断面図、第
５図および第６図は変形例を示しており、第５図はウオ
ームホイール部材を主に示す側面図、第６図は同じく正
面図である。 10……車体フロア（据付場所） 20……シートクッション 25……シートバック 30a……シートスライド装置 30……レールユニット 31……車体側のレール 32……座席側のレール 41……ウオームホイール部材 46……ウオーム部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】据付場所に固設される車体側のレールと、
   該車体側のレールに前後移動可能に嵌合し座席を支持す
   る座席側のレールとから成るレールユニットを有するシ
   ートスライド装置を備え、シートクッションに対しシー
   トバックを傾動角度調節可能に支持した車両用シートに
   おいて、 前記座席側のレールを溝丈の高い溝形断面に形成し、前
   記座席側のレールの溝の内部に前記シートバックの基端
   部を収容するとともに、前記座席側のレールに前記シー
   トバックの基端部を揺動可能に支持し、 前記シートバックの基端部にウオームホイール部材を固
   設する一方、前記シートバックの基端部が傾動するよう
   前記ウオームホイール部材に噛合する駆動用のウオーム
   部材を前記座席側のレールに支持したことを特徴とする
   車両用シート。