JP5104853B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
チルトダウン操作時には、リクライニング装置のロックを解除してシートバックを前方へ倒し込むことにより、四節リンク機構の作動にしたがってシートクッションが前方へ移動しつつフロア側に沈み込む。このシートクッション上にシートバックを重合させ、シートは折り畳み状態で格納される。
ウォークイン操作時には、リクライニング装置のロックを解除してシートバックを所定の前傾状態まで倒すとともに、スライドレールのライドロックを解除してシートを前方へスライドさせる。
シートバックを前方へ大倒しするとともに、シートクッションを前方へ移動させ、このシートクッションにシートバックを重合させるチルトダウン操作と、シートバックを前方へ所定の角度まで途中倒しするとともに、シートをスライドレールによって前方へスライドさせるウォークイン操作とが可能な車両用シートであって、スライドレールによって前後方向へのスライドが可能で、かつ、シートバックを前後方向へ倒すことが可能にリクライニング装置を介して支持したフレーム部材と、フレーム部材に対してシートクッションを前後方向へ移動可能に連結したフロントリンクと、シートバックの前倒しによってシートクッションをフレーム部材に対して前方へ移動させ、あるいは移動させない制御が可能な連動機構とを備えている。そして、チルトダウン操作時には、シートバックの前倒しによってシートクッションが前方へ移動するように連動機構を制御し、ウォークイン操作時には、シートバックの前倒しによってシートクッションが前方へ移動しないように連動機構を制御するように構成されている。
この構成により、チルトダウン操作は従前どおりに維持しつつ、ウォークイン操作時にはシートクッションを前方へ移動させないことで、シートの前方へのスライド量が減少するのを防止できる。したがって、ウォークイン時の乗降性を高めることができる。
これにより、シートのチルトダウン操作およびウォークイン操作に加え、シートバックの倒し角度も調節することができる。
このように、リクライニング装置の調節範囲においては、シートバックを前後方向へ倒すことに連動してシートクッションも前後に移動するため、シートの座り心地がよい。
これにより、ウォークイン操作時には、ロック機構によるロックを解除することにより、シートバックを所定の前傾状態に倒すことに連動してシートクッションとリヤリンクとが相対的に回転し、シートクッションが前方へ移動することなく、そのままの位置に保持される。
これにより、シートが例えばアップライト状態からウォークイン操作が行われたとき、ロック機構によるロックが解除されると、アップライト状態において少し前方へ移動していたシートクッションがフロントスプリングの付勢力によって後方へ戻される。したがって、シートクッションを後方位置に保った状態でウォークイン操作が行われる。
これにより、ウォークイン操作時におけるシートバックの途中倒し角度がロッドに対するリヤリンクの当接によって規制される。すなわち、ウォークイン操作時とチルトダウン操作時とではリヤリンクの移動軌跡が異なることを利用することで、ウォークイン操作時にはシートバックを所定の倒し角度で止め、チルトダウン操作時にはシートバックを前方へ大倒しする、といったシートバックの倒し角度の切り替えをリヤリンクとロッドとによって行うことができる。したがって、ウォークイン操作時におけるシートバックの途中倒し角度を規制するための特別なストッパーの設定が不要となる。
これにより、スライドロックを解除するために、例えばウォークイン操作のレバーからリンク機構などを利用してスライドロックに伝えるような構成が不要となる。
12 フレーム部材
14 リクライニング装置
16 スライドレール
18 シートバック
20 シートクッション
22 ロックピン(ロック機構)
24 フロントリンク
26 渦巻きバネ(フロントスプリング)
28 リヤリンク
30 渦巻きバネ(リヤスプリング)
32 フック(ロック機構)
図1〜図5で示されているシート10は、チルトダウン操作とウォークイン操作とが可能な形式であり、その構成はシートバック18と、シートクッション20と、シートクッション20の下方に配置されたフレーム部材12とに大別される。なお、これらの図面および後で説明する図9、図10において、矢印Frはシート10の前方を示し、矢印Reは後方を示している。
フレーム部材12は左右で対をなしているとともに、個々の後部にはロアアーム12aがそれぞれ固定されている。両ロアアーム12aの上端部は、個々のリクライニング装置14によってアッパーアーム12bにそれぞれ連結されている。そして、両アッパーアーム12bに、シートバック18におけるバックフレーム18aの左右両側の下部がそれぞれ固定されている。つまり、両フレーム部材12とバックフレーム18aとは、左右のリクライニング装置14によって連結されている。なお、両フレーム部材12の後部には、相互の間にわたって補強ロッド12cが挿通され、補強ロッド12cの両端部と両フレーム部材12とはそれぞれ溶接で固定されている。この補強ロッド12cは、車両の側方衝突時に想定される衝撃に耐えてシート10を保護するための部材であるが、後述するウォークイン操作時におけるシートバック18の前傾位置を規制するストッパーとして利用される。
また、操作レバー14cは、その側部から一体に外方へ延びるアーム部14dを備えている。このアーム部14dの先端に対し、後で説明する操作ケーブルC2のインナーケーブルエンドが連結されている(図3、図5)。
これらのスライドロック部16cは、シート10の前後位置を調整する際のレバー(図示省略)の操作によってそのロックが解除されるのは周知のとおりである。これとは別に両スライドロック部16cの近くにおける両フレーム部材12の側面に、ロック解除レバー16dがそれぞれ設けられている(図4、図5)。これらのロック解除レバー16dを個々の支持軸回りに回転操作することによっても、スライドロック部16cのロックを解除することができる。なお、両ロック解除レバー16dの入力端部に対し、後で説明する操作ケーブルC3のインナーケーブルエンドが連結されている。
シートクッション20のクッションフレーム20aは矩形の枠型をしており(図1)、その両側の前部が左右一対のフロントリンク24によって両フレーム部材12の前部にそれぞれ連結されている。また、クッションフレーム20aの両側の後部は、左右一対のリヤリンク28によってバックフレーム18aの両側の下部にそれぞれ連結されている。したがって、クッションフレーム20aおよびバックフレーム18aは、フレーム部材12、フロントリンク24、リヤリンク28と共に五節リンク機構を構成している。
この渦巻きバネ30によるクッションフレーム20a(シートクッション20)への付勢力よりも、フロントリンク24の渦巻きバネ26によるシートクッション20への付勢力の方が大きく設定されている。つまり、クッションフレーム20aをシート10の前方へ付勢するりきよりも後方へ付勢する力の方が大きい。
両リンクベース20bには、個々のリヤリンク28の逃がし孔28cを通じて外方へ突出したロックピン22がそれぞれ固定されている。一方、両リヤリンク28には、両リンクベース20bのロックピン22に対して個々に係合可能なフック32がそれぞれ設けられている。これらのフック32は、両リヤリンク28に固定された支持軸32aに対して回転可能に支持されている。両支持軸32aの軸上には捩りコイルバネ34がそれぞれ設けられている。これらの捩りコイルバネ34の一端部は、個々の支持軸32aに係止し、他端部はフック32に係止している。これらの捩りコイルバネ34は、個々のフック32を支持軸32aの軸心回りに回転させるように弾性力を付与し、両フック32をそれぞれのロックピン22に係合させる方向へ付勢している。
また、前記の渦巻きバネ26(フロントスプリング)、リヤリンク28および「ロック機構」が主体となって、本発明の「連動機構」が構成されている。この「連動機構」は、後述するチルトダウン操作時に、シートバック18の前倒しによってシートクッション20を前方へ移動させ、ウォークイン操作時にはシートバック18の前倒しによってもシートクッション20を前方へ移動させない制御が可能である。
ウォークイン操作のための操作レバー18bを図2あるいは図3の仮想線で示すように操作すると、操作ケーブルC1を通じて左右のフック32が捩りコイルバネ34の付勢力に抗して支持軸32aの軸心回りに回転する。これにより、両フック32と個々のロックピン22との係合が外れ、両リヤリンク28とクッションフレーム20aとを一体的に保持していたロックが解除される。したがって、両リヤリンク28はクッションフレーム20aに対して連結軸28aの軸心回りに回転可能となる。また、シート10の右側に位置するフック32の回転により、操作ケーブルC2を通じてリクライニング装置14の操作レバー14cを回転させ、リクライニング装置14のロックが通常の操作とは無関係に解除される。このため、シートバック18をリクライニング装置14における主軸14aの軸心回りに倒すことが可能となる。
この状態が図9および図10の実線で示されている。そこで、シートバック18を前方へ所定の角度まで倒すと、これに連動して両リヤリンク28がそれぞれの渦巻きバネ30の付勢力に抗して連結軸28aの軸心回りに回転し、図9および図10の仮想線で示す状態になる。このとき、両フック32もリヤリンク28と共に回転するため、両フック32は個々のロックピン22に対して相対的に移動することとなる。これにより、両リヤリンク28の回転初期において両フック32の先端面32bが個々のロックピン22外周に接触して受け止められる。この結果、シートバック18が前方へ倒れる動作の初期において操作レバー18bの操作を止めても、両フック32は図9および図10の実線で示す状態に保持され、リクライニング装置14についてもそのロック解除状態が維持される。
また、シート10の左側に位置するリヤリンク28が図9の仮想線で示す状態まで回転することにより、操作ケーブルC3を通じて左右のスライドレール16におけるスライドロック部16cのロック解除レバー16dがロック解除方向へ操作される。これにより、スライドレール16におけるロアレール16aとアッパーレール16bとのロックが解除され、フレーム部材12、すなわちシート10を前後方向へスライドさせることが可能となる。このように、シートバック18を前傾させることに伴う両リヤリンク28の回転により、両スライドロック部16cのロックが通常のレバー操作とは無関係に解除される。
なお、シート10の左側に位置するリヤリンク28が図9の実線で示す状態に復帰することにより、操作ケーブルC3を通じて左右のロック解除レバー16dに作用していた操作力が解除される。したがって、両スライドレール16のスライドロック部16cが再びロック状態に保持される。一方、シート10の右側に位置するフック32が図10の実線で示す状態からロックピン22に係合した状態に復帰することにより、操作ケーブルC2を通じてリクライニング装置14の操作レバー14cに作用していた操作力が解除される。このため、左右のリクライニング装置14は元のロック状態になる。
シート10は、シートバック18を倒す角度によって図11で示すニュートラル状態、図12で示すアップライト状態、図13で示す後方大倒し状態がある。また、当然のことながら図14で示すチルトダウン状態、図15で示すウォークイン状態がある。後で説明するチルトダウン状態およびウォークイン状態以外の各状態において、ニュートラル状態とは、例えば図2、図3で示す場合と同様にシート10を通常に使用しているときの状態である。アップライト状態とは、例えばチルトダウン状態からシートバック18を起立させたときに、リクライニング装置14が最初にロックされた状態である。後方大倒し状態とは、シートバック18を後方へ最も倒した状態である。
なお、ニュートラル状態、アップライト状態および後方大倒し状態のいずれにおいても、「ロック機構」を構成しているフック32とロックピン22とは係合しており、クッションフレーム20aとリヤリンク28との相対的な回転がロックされた状態に保持されている。したがって、既に述べたようにクッションフレーム20aとリヤリンク28とは一体的に保持され、バックフレーム18a、フレーム部材12、フロントリンク24と共に四節リンク機構を構成している。
なお、シート10の後方大倒し状態BDにおいては、シートクッション20が最も後方へ移動している。このため、フロントリンク24も連結軸24aの軸心回りに最も後側に回転している。この状態でのフロントリンク24は、フレーム部材12に固定されたストッパー(図示省略)で受け止められ、それ以上の回転が規制されている。これにより、後方大倒し状態BDにおいてリクライニング装置14のロックが解除されたとしても、四節リンク機構の動きによってシート10が後方へ倒れ込むように移動することは防止される。
このようにウォークイン操作においては、チルトダウン操作の場合と異なり、シートバック18を前方へ倒してもシートクッション20が前方へ移動することなく、そのままの位置に保持される。したがって、シート10の前方へのスライド量が減少することなく、これまでどおりに維持され、ウォークイン状態における後部シートの乗降性を高めることができる。
しかしながら本実施の形態では、既に説明したようにフロントリンク24の渦巻きバネ26によってシートクッション20を後方へ付勢している力は、リヤリンク28の渦巻きバネ30によってシートクッション20を前方へ付勢している力よりも大きく設定されている。このため、例えばアップライト状態からウォークイン操作が行われたとしても、ウォークイン操作においてロックピン22に対するフック32の係合が外されると同時に、渦巻きバネ26の付勢力によってシートクッション20が後方へ戻される。したがって、図15で示すウォークイン状態でのシートクッション20は最も後方に位置することになる。
Claims (3)
- シートバックを前方へ大倒しするとともに、シートクッションを前方へ移動させ、このシートクッションにシートバックを重合させるチルトダウン操作と、シートバックを前方へ所定の角度まで途中倒しするとともに、シートをスライドレールによって前方へスライドさせるウォークイン操作とが可能な車両用シートであって、
スライドレールによって前後方向へのスライドが可能で、かつ、シートバックを前後方向へ倒すことが可能にリクライニング装置を介して支持したフレーム部材と、
フレーム部材に対してシートクッションを前後方向へ移動可能に連結したフロントリンクと、
シートバックの前倒しによってシートクッションをフレーム部材に対して前方へ移動させ、あるいは移動させない制御が可能な連動機構とを備え、
連動機構は、シートクッションの後部をシートバックに対して連結したリヤリンクと、シートクッションを常に後方へ付勢するように、フレーム部材に対するフロントリンクの回転に弾性力を付与しているフロントスプリングと、シートクッションとリヤリンクとの相対的な回転をロックし、あるいはそのロックを解除することが可能なロック機構とを備え、
チルトダウン操作時には、ロック機構によってシートクッションとリヤリンクとの相対的な回転をロックした状態を保持し、ウォークイン操作時には、ロック機構によるロックを解除してシートクッションとリヤリンクとの相対的な回転を可能とするように設定されているとともに、
シートクッションを常に前方へ付勢するように、シートクッションとリヤリンクとの相対的な回転に弾性力を付与しているリヤスプリングを備え、このリヤスプリングによるシートクッションへの付勢力よりも、フロントスプリングによるシートクッションへの付勢力が大きく設定されている車両用シート。 - 請求項1に記載された車両用シートであって、
ウォークイン操作によってシートバックを途中倒ししたとき、フレーム部材に固定されているロッドにリヤリンクが当接するように構成されている車両用シート。 - 請求項1又は2に記載された車両用シートであって、
ウォークイン操作時におけるロック機構のロック解除によるシートクッションとリヤリンクとの相対的な回転により、スライドレールにおけるフレーム部材のスライドロックが解除されるように構成されている車両用シート。
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