JP2005134525A - 光学素子、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電圧印加可能な一対の透明基板間に挟持させた誘電率異方性を有する光重合性液晶組成物を前記透明基板の配向規制方向に配向させた状態で部分的に重合させ、異方性高分子層と光重合性液晶組成物層とを層状に形成してなる光学素子において、前記光重合性液晶組成物が、(メタ)アクリロイル基を1個有する重合性液晶化合物を該組成物総質量に対して70〜100質量%の範囲内で含有し、且つ光重合開始剤を重合性液晶化合物総質量に対して0.01〜5質量%の範囲内で含有する光学素子、及びその製造方法。
【選択図】 なし
Description
重合部分である異方性高分子層の架橋密度を、液晶の配向状態を保持し電界による液晶分子配向制御によっても架橋構造が破壊されない程度で、且つ、架橋構造を構成する分子鎖の運動が容易に生じうる程度に低く押さえているので、応答速度に優れる。また、相分離を利用しないので、透明性に優れる。
また、光重合開始剤を非常に少ない量使用するので、未硬化部分である光重合性液晶組成物層の重合性液晶化合物を不活性処理しなくても、安定な素子が得られる。
本発明で使用する光重合性液晶組成物の誘電率異方性が小さく、電界駆動による配向性が小さい場合には、本発明の効果を損なわない範囲で、誘電率異方性の大きい化合物を適宜添加することもできる。そのような化合物としては、例えば、一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
光重合開始剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モリホリノプロパン−1(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア907」)、ベンジルメチルケタ−ル(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワ−ドプレキンソップ社製「カンタキュア−ITX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、アシルフォスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)、などが挙げられる。光重合開始剤の使用量は組成物に対して0.01〜5質量%以下が好ましく、0.01〜3質量%が更に好ましく、0.01〜1質量%が特に好ましい。
本発明で使用する光重合性液晶組成物は、前記(メタ)アクリロイル基を1個有する重合性液晶化合物を該組成物総質量に対して70〜100質量%の範囲内で含有し、且つ光重合開始剤を重合性液晶化合物総質量に対して0.01〜5質量%の範囲内で含有する。組成の好ましい範囲としては、(メタ)アクリロイル基を1個有する重合性液晶化合物を該組成物総質量に対して80〜100質量%使用するのが好ましく、90〜100質量%使用するのが最も好ましい。その他の好ましい配合成分としては2官能の重合性液晶化合物が挙げられる。
本発明の光学素子は、公知の方法で作成することができる。具体的には、必要に応じて配向膜を形成した2枚の電極付き基板間に光重合性液晶組成物を挟持し、液晶分子を基板面内で配向させる。液晶分子をホモジニアス配向させたまま、フォトマスクを被せて全面に光を照射し、あるいは2方向から位相の揃った光線を当ててできた干渉波形(干渉縞)を照射し、重合性液晶化合物を層状に重合させることで、光重合性液晶組成物の重合体からなる異方性高分子層と、未露光部分である光重合性液晶組成物層とが層状に形成してなる光学素子を得る。フォトマスクや干渉波形の形状により、様々なパターンを作成することが可能である。
外場を印加した時、未硬化液晶モノマーは外場方向に配列する。このときのプレチルト角と、異方性高分子層の配向方向とのなす角とに差があるので、屈折率が変化し、回折光を発現することができる。
パターン露光の際に使用する光としては紫外線が好ましく、例えば、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArF等の紫外光レ−ザ−等が挙げられる。この他、適当な光重合開始剤を選べば液晶組成物の劣化を防ぐため可視光領域の光により露光し硬化することも可能である。
また、あまり長い時間紫外線を照射すると、光重合開始剤の開裂により生じたラジカルが拡散し、未露光部分まで硬化が進むおそれがあるので、照射時間は200秒以内に抑えることが好ましい。中でも100秒以内が更に好ましい。また、露光エネルギーや露光強度が高すぎると、露光部分の架橋密度が高くなりすぎ、強固な橋かけ構造を有する異方性高分子層を形成し、電圧印加の際、異方性高分子層中の液晶分子の再配向や、未硬化液晶モノマーの熱運動を抑制して動作速度を低下させる恐れや、電圧除去の際、未硬化液晶モノマーの、基板の配向膜方向への再配向を阻害する恐れがある。重合条件の組み合わせにもよるが、露光エネルギーは200mJ/cm2以下が好ましく、100mJ/cm2以下が更に好ましく、露光強度は10mW/cm2以下が好ましく、5mW/cm2以下が更に好ましく、2mW/cm2以下が最も好ましい。
該素子は、1か月後も、安定な応答性を示した。
光重合性液晶組成物として、大日本インキ化学工業(株)製の非重合性液晶組成物「11−3323」70部、日本化薬(株)製のジアクリレートモノマー「HX220」30部、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の光重合開始剤「イルガキュア907」をジアクリレートモノマーに対し質量比99対1となるように添加した組成物を使用した以外は、実施例と同様にして比較例の光学素子を作成した。得られた光学素子はかなり白濁していた。
2 外場方向
3 基板の配向規制方向
4 外場方向と透明基板の配向規制方向とのなす角(5°〜90°の範囲内)
Claims (6)
- 液晶分子に対する配向規制力を有しており電圧印加可能な一対の透明基板間に、誘電率異方性を有する光重合性液晶組成物を挟持し、前記透明基板の配向規制方向に配向させた状態で部分的に重合させ、異方性高分子層と光重合性液晶組成物層とを層状に形成してなる光学素子において、前記光重合性液晶組成物が、(メタ)アクリロイル基を1個有する重合性液晶化合物を該組成物総質量に対して70〜100質量%の範囲内で含有し、且つ光重合開始剤を重合性液晶化合物総質量に対して0.01〜5質量%の範囲内で含有することを特徴とする光学素子。
- 前記光重合性液晶組成物が、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する重合性液晶化合物を該組成物総質量に対して5〜30質量%の範囲内で含有する、請求項1に記載の光学素子。
- 前記透明基板がホモジニアス配向膜を有する請求項1に記載の光学素子。
- 光学素子が回折格子である請求項1に記載の光学素子。
- 請求項1記載の光学素子の製造方法であって、液晶分子に対する配向規制力を有しており電圧印加可能な一対の透明基板間に前記光重合性液晶組成物を挟持させ、重合性液晶化合物を該透明基板の配向規制方向に配向させた状態でパターン露光を行い、重合性液晶化合物を層状に重合させることを特徴とする光学素子の製造方法。
- 請求項1記載の光学素子の製造方法であって、液晶分子に対する配向規制力を有しており電圧印加可能な一対の透明基板間に前記光重合性液晶組成物を挟持させ、重合性液晶化合物を該透明基板の配向規制方向に配向させた状態で、前記組成物層に、2方向から位相の揃った光線を照射してそれら2つの光線の干渉を利用して重合性液晶化合物を層状に重合させることを特徴とする光学素子の製造方法。
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