JP4505708B2 - 重合性液晶組成物 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は重合性液晶組成物と該重合性液晶組成物の重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
重合性官能基を有する液晶性化合物(以下、重合性液晶化合物)又はこのような化合物を少なくとも一つ含有する重合性液晶組成物を、液晶状態で配向させた後、その状態で紫外線や電子線を照射すると、液晶分子の配向状態構造を固定化した重合体を作製することができる。このようにして得られた重合体は、屈折率、誘電率、磁化率、弾性率、熱膨張率等の物理的性質の異方性を有していることから、例えば、位相差板、偏光板、偏光プリズム、導波路、圧電素子、非線形光学素子、各種光フィルター、コレステリック液晶相等の選択反射を利用した顔料、光ファイバー等の被覆剤として応用可能である。
【0003】
重合性液晶組成物の重合体の光学異方体として応用に関しては、重合体の屈折率の異方性Δnの制御は重要であり、Δnとして0.12以下、このましくは0.07以下、さらに好ましくは0.05以下に制御できる重合性液晶組成物が望まれている。これに応える技術として、特許文献1には、重合時において液晶材料の配向度を減じる役割を果たす重合性化合物を添加した重合性液晶組成物が開示されており、重合体のΔnとして0.025〜0.125を達成している。しかしながら、当該文献においては紫外線照射時の温度が85〜110℃と高いという問題があった。これは、該重合性液晶組成物がネマチック液晶相を呈する温度が85〜110℃付近と高いことに起因するもので、このように照射温度が高いと、紫外線による重合を行う前に意図しない熱重合が誘起されて配向状態が乱れ、ムラや濁りを引き起こしてしまうという問題やハンドリング性が良くないという問題があった。そのため、重合する前は意図しない熱重合が誘起されないような低い温度、好ましくは30℃以下、特に好ましくは25℃においてもネマチック液晶相を発現することも重要である。
【0004】
特許文献2には、30℃以下においてもネマチック液晶相を発現し、かつ重合後のΔnとして0.12以下を達成可能な重合性液晶材料が開示されている。
【化4】
Figure 0004505708
(%は質量%を表す)しかしながら、この組成物は室温でネマチック相を示すものの、ネマチック−等方性液体相転移温度が37℃と低いという問題があった。ネマチック−等方性液体相転移温度が40℃より低いと、重合時の温度変化により、Δnが大きく変動してしまいやすい傾向がある。
【0005】
又、当該引用文献には以下の組成物
【化5】
Figure 0004505708
(%は質量%を表す)も例示されており、この組成物のネマチック−等方性液体相転移温度は41℃となっている。しかしながら、炭素炭素の三重結合を持つ化合物を含有しているため、重合体が紫外線に曝露されると黄変しやすいという問題があった。
【0006】
特許文献3には、以下の組成物
【化6】
Figure 0004505708
(%は質量%を表す)が開示されており要求されるΔn、ネマチック相温度範囲を有するが、炭素−炭素三重結合を持つ化合物を含有しているため、重合体が紫外線に曝露されると黄変しやすいという問題があった。
【特許文献1】
国際公開第98/49253号パンフレット
【特許文献2】
特開平11−148076号公報(11〜12頁)
【特許文献3】
特開2002−145830号公報(17頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明における課題は、意図しない熱重合が誘起されないような低い温度においてネマチック液晶相を発現し、ネマチック相−等方性液体相転移温度が高く、この重合性液晶組成物を重合した重合体のΔnが低く制御でき、さらに重合体が紫外線の曝露により黄変しにくい重合性液晶組成物及びこれを重合した重合体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために重合性液晶化合物の化学構造と液晶温度範囲を検討した結果、次に示す重合性液晶組成物が有用であることを見いだしたものである。即ち、本発明は一般式(I)
【0009】
【化7】
Figure 0004505708
(式中、Xは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素原子数1〜18のアルキル基を表す)で表される化合物、一般式(II)
【化8】
Figure 0004505708
(式中、Xは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素原子数1〜18のアルキル基を表す)で表される化合物及び一般式(III)
【0010】
【化9】
Figure 0004505708
(式中、W、Wはそれぞれ独立的に単結合、−O−を表し、Y、Yはそれぞれ独立的に−COO−、−OCO−を表し、p、qはそれぞれ独立的に2〜12の整数を表す)で表される化合物を含有する重合性液晶組成物及び当該重合性液晶組成物の重合体を提供する。
【0011】
特許文献1には、重合時において液晶材料の配向度を減じる役割を果たす重合性化合物の一般式を開示しており、該一般式に本発明の一般式(II)の化合物は含まれるが、該一般式は多くの化学構造の組合せを示しているにすぎず、本発明の一般式(II)の化合物を用いることにより、重合前の液晶温度を低くできることについては記述が無い。さらに、本発明の一般式(I)の化合物、及び一般式(III)の化合物との組合せについての記載も無い。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一例について説明する。
【0013】
一般式(I)において重合体の耐熱性を確保する観点から、Rは炭素原子数1〜18のアルキル基が好ましく、1〜5のアルキル基が好ましく、1〜3のアルキル基が特に好ましい。Xは水素原子、またはメチル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0014】
一般式(II)において重合体の耐熱性を確保する観点から、Rは炭素原子数1〜18のアルキル基が好ましく、1〜5のアルキル基が好ましく、1〜3のアルキル基が特に好ましい。Xは水素原子、またはメチル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0015】
一般式(III)において重合体の耐熱性を確保や製造コスト低減の観点から、W、Wはそれぞれ独立的に単結合、−O−が好ましく、−O−が特に好ましく、Y、Yはそれぞれ独立的に−COO−、−OCO−が好ましく、Yが−COO−、Yが−OCO−が特に好ましく、p、qはそれぞれ独立的に2〜12の整数が好ましく、2〜6の整数が特に好ましい。
【0016】
本発明の重合性液晶組成物において、一般式(I)〜(III)の化合物の含有量は、重合体の特性として耐熱性を重視するか、光散乱が小さいことを重視するかによって調節するのが好ましい。耐熱性を重視する場合には、一般式(III)の化合物は2〜20質量%含有するのがこのましく、3〜15質量%含有するのが好ましく、4〜10質量%含有するのが特に好ましい。一般式(I)と一般式(II)の合計は80〜98質量%含有するのが好ましく、85〜97質量%含有するのがさらに好ましく、90〜96質量%含有するのが特に好ましい。一般式(I)と一般式(II)の化合物の質量%比は、2:5〜5:2の範囲で調節するのが好ましく、1:2〜2:1になるようにするのがさらに好ましく、2:3〜3:2になるようにするのが特に好ましい。
【0017】
光散乱が小さいことを重視する場合には、一般式(I)の化合物は20〜60質量%含有することが好ましく、25〜45質量%含有することがさらに好ましく、30〜40質量%含有するのが特に好ましい。一般式(I)と一般式(II)の合計は55〜75質量%含有するのが好ましい。一般式(I)と一般式(II)の化合物の質量%比は、2:5〜5:2の範囲で調節するのが好ましく、1:2〜2:1になるようにするのがさらに好ましく、2:3〜3:2になるようにするのが特に好ましい。
【0018】
総じて、一般式(I)の化合物は20〜60質量%、一般式(II)の化合物は20〜60質量%、一般式(III)の化合物は10〜40質量%に調節するのが好ましい。一般式(III)の化合物を10質量%より多く含有させる場合、液晶温度の下限を低く保つ目的で、2種以上の化合物を使用することも好ましい。
【0019】
本発明の重合性液晶組成物のネマチック液晶相下限温度は35℃以下であることが望ましい。液晶下限温度が低いほど、低い温度において配向させることや、低い温度において紫外線等の活性エネルギー線の照射により配向固定を行うことができ、良好な均一性の確保が容易になる。このことから、液晶下限温度は30℃以下がさらに好ましく、25℃以下が特に好ましい。
【0020】
本発明の重合性液晶組成物のネマチック−等方性液体相転移温度は、40〜90℃の範囲に調製するのが好ましく、40〜80℃の範囲に調整するのがより好ましく、40〜60℃の範囲に調整するのが特に好ましい。透明点が90℃より高い場合、注入工程等において本発明の組成物を等方性液体相にする必要がある場合において、意図しない熱重合を誘起させてしまう危険があり、透明点が40℃より低いと20〜25℃の室温で重合を行う場合において、温度変化が屈折率の異方性に大きな影響を与えてしまいやすくなる危険がある。
【0021】
本発明の重合性液晶組成物には、その重合反応性を向上させることを目的として、光重合開始剤を添加することができる。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。その添加量は、液晶組成物に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.02〜1質量%がさらに好ましく、0.03〜1質量%の範囲が特に好ましい。また、本発明の組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β-ナフチルアミン類、β-ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して0.005〜1質量%の範囲が好ましく、0.02〜0.5質量%がさらに好ましく、0.03〜0.1質量%が特に好ましい。
【0022】
本発明の重合性液晶組成物には、液晶骨格の螺旋構造を内部に有する重合体を得ることを目的として、キラル化合物を添加することもできる。そのような目的で使用するキラル化合物は、それ自体が液晶性を示す必要は無く、また重合性官能基を有していても、有していなくても良い。また、その螺旋の向きは、重合体の使用用途によって適宜選択することができる。そのようなキラル化合物としては、例えば、キラル基としてコレステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、キラル基として2-メチルブチル基を有するビーディーエイチ社(BDH社;イギリス国)製の「CB-15」、「C-15」、メルク社(ドイツ国)製の「S-1082」、チッソ社製の「CM-19」、「CM-20」、「CM」;キラル基として1-メチルヘプチル基を有するメルク社製の「S-811」、チッソ社製の「CM-21」、「CM-22」などを挙げることができる。キラル化合物を添加する場合の好ましい添加量は、液晶組成物の用途によるが、重合して得られる重合体の厚み(d)を重合体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が0.1〜100の範囲となる量が好ましく、0.1〜20の範囲となる量がさらに好ましい。
【0023】
次に本発明の重合体について説明する。本発明の重合性液晶組成物を重合させることによって製造される重合体は種々の用途に利用できる。本発明の組成物を配向させた状態において、重合させることにより製造された重合体は、物理的性質に異方性があるため有用である。このような重合体は、例えば、本発明の重合性液晶組成物を、布等でラビング処理した基板、もしくは有機薄膜を形成した基板表面を布等でラビング処理した基板、あるいはSiO2を斜方蒸着した配向膜を有する基板上に担持させるか、基板間に挟持させた後、本発明の組成物を重合させることによって製造することができる。
【0024】
本発明の重合性液晶組成物を重合させる方法としては、迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等を照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は紫外線や電子線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場または温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。また、照射時の温度は、本発明の組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって重合体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。紫外線や電子線の強度は、0.1mW/cm2〜2W/cm2が好ましい。強度が0.1mW/cm2以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2W/cm2以上の場合、重合性液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
【0025】
重合によって得られた本発明の重合体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲で、また熱処理時間は30秒〜24時間の範囲が好ましい。
【0026】
このような方法によって製造される本発明の重合体は、基板から剥離して単体で用いても、剥離せずに用いても良い。また、得られた重合体を積層しても、他の基板に貼り合わせて用いてもよい。
【0027】
又、重合体のΔnとして0.12以下であることが好ましく、0.07以下であることがさらに好ましく、0.05以下であることが特に好ましい。
【0028】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
(実施例1) 重合性液晶組成物の調製(1)
化合物(I−1)
【化10】
Figure 0004505708
(本化合物はモノトロピックネマチック液晶相を示す。結晶−等方性液体相転移温度は55℃で、等方性液体相−ネマチック液晶相転移温度は50℃)45質量%、化合物(II−1)
【化11】
Figure 0004505708
【0030】
45質量%、及び化合物(III−1)
【化12】
Figure 0004505708
10質量%からなる重合性液晶組成物(A−1)を調製した。本発明の重合性液晶組成物(A−1)は室温(25℃)でネマチック液晶相を示し、ネマチック−等方性液体相転移温度は44℃であった。波長550nmにおけるΔnは0.130であった。
【0031】
(実施例2) 重合性液晶組成物の調製(2)
化合物(I−1)が40質量%、化合物(II−1)が50質量%、化合物(III−1)が10質量%からなる本発明の重合性液晶組成物(B−1)を調製した。本発明の重合性液晶組成物(B−1)は室温(25℃)でネマチック液晶相を示し、ネマチック−等方性液体相転移温度は43℃であった。波長550nmにおけるΔnは0.124であった。
【0032】
(実施例3) 重合性液晶組成物の調製(3)
化合物(I−1)が35質量%、化合物(II−1)が55質量%、化合物(III−1)が10質量%からなる本発明の重合性液晶組成物(C−1)を調製した。本発明の重合性液晶組成物(C−1)は室温(25℃)でネマチック液晶相を示し、ネマチック−等方性液体相転移温度は42℃であった。波長550nmにおけるΔnは0.123であった。
【0033】
(実施例4) 重合性液晶組成物の調製(4)
化合物(I−1)が30質量%、化合物(II−1)が60質量%、化合物(III−1)が10質量%からなる本発明の重合性液晶組成物(D−1)を調製した。本発明の重合性液晶組成物(D−1)は室温(25℃)でネマチック液晶相を示し、ネマチック−等方性液体相転移温度は41℃であった。波長550nmにおけるΔnは0.116であった。
【0034】
(実施例5) 重合性液晶組成物の調製(5)
化合物(I−1)が31.5質量%、化合物(II−1)が58.5質量%、化合物(III−1)が10質量%からなる本発明の重合性液晶組成物(E−1)を調製した。本発明の重合性液晶組成物(E−1)は室温(25℃)でネマチック液晶相を示し、ネマチック−等方性液体相転移温度は41℃であった。波長550nmにおけるΔnは0.116であった。20℃における粘度は、59mPa・sであった。
【0035】
(実施例6) 重合性液晶組成物の調製(6)
化合物(I−1)が22質量%、化合物(II−1)が33質量%、化合物(III−1)が22質量%、化合物(III−2)
【化13】
Figure 0004505708
が18質量%、化合物(1)
【化14】
Figure 0004505708
【0036】
が5質量%からなる本発明の重合性液晶組成物(F−1)を調製した。本発明の重合性液晶組成物(F−1)は室温(25℃)でネマチック液晶相を示し、ネマチック−等方性液体相転移温度は54℃であった。波長589nmにおけるΔnは0.141であった。
【0037】
(実施例7) 重合性液晶組成物の調製(7)
化合物(I−1)が33質量%、化合物(II−1)が22質量%、化合物(III−1)が22質量%、化合物(III−2)が18質量%、化合物(1)が5質量%からなる本発明の重合性液晶組成物(G−1)を調製した。本発明の重合性液晶組成物(G−1)は室温(25℃)でネマチック液晶相を示し、ネマチック−等方性液体相転移温度は55℃であった。波長589nmにおけるΔnは0.156であった。
【0038】
(実施例8) 重合体の製造(1)
実施例1で調製した本発明の重合性液晶組成物(A−1)99.85質量%、光重合開始剤ルシリンTPO(BASF社製)0.10質量%、4-メトキシフェノール0.05質量%からなる本発明の重合性液晶組成物(A−2)を調製した。さらにこの組成物を孔径1μmのフッ素樹脂製メンブランフィルターで濾過した。この濾過した組成物(A−2)をセルギャップ6μmのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に室温にて注入した。注入後、均一な一軸配向が得られているのが確認できた。次に、室温(25℃)にてSP−III(ウシオ電機社製)を用いて4mW/cmの紫外線を2分間照射して重合体を得た。得られた重合体は方向によって屈折率が異なっており、一軸の光学異方体として機能することが確かめられた。また、均一性も優れており、ムラや濁りなども観察されなかった。波長550nmにおけるΔnは0.041であった。このガラスセルにいれたままの重合体を150℃のオーブンに20分間静置してエージングした。重合体をオーブンから取り出して冷却後に観察したところ、一軸の光学異方体として機能し、ムラや濁りなども観察されなかった。波長550nmにおけるΔnは0.052であった。複数回実験を行ったが、このΔnは安定した値が得られた。
【0039】
(実施例9) 重合体の製造(2)〜(12)
実施例8において、紫外線照射温度を変えるか又は、重合性液晶組成物(A−1)に換えて重合性液晶組成物(B−1)、(C−1)、(D−1)又は(E−1)を使用した以外は同様にして重合体を製造した。いずれの場合でも、均一性に優れ、ムラや濁りが無い、一軸の光学異方体として機能する重合体が得られた。これらの結果を表1にまとめた。Δnは波長550nmにおける値である。
【0040】
【表1】
Figure 0004505708
【0041】
(比較例1)
化合物(I−1)50質量%、及び化合物(II−1)50質量%からなる重合性液晶組成物(A−0)を調製した。重合性液晶組成物(A−0)は室温(25℃)でネマチック液晶相を示し、ネマチック−等方性液体相転移温度は36℃であった。
【0042】
重合性液晶組成物(A−1)に変えて、重合性液晶組成物(A−0)を使用する以外は実施例8と同様にして重合体を製造した。均一性に優れ、ムラや濁りが無い、一軸の光学異方体として機能する重合体が得られたものの、複数回実験を行った時のΔnの再現性が悪かった。これは、ネマチック−等方性液体相転移温度が低いため紫外線照射時の温度上昇によりΔnが変化しやすいことに起因すると考えられる。
実施例8と本比較例の比較から、ネマチック−等方性液体相転移温度が40℃以上確保されている本重合性液晶組成物を使用すると、特性が安定した重合体を製造できることがわかる。
【0043】
(実施例10) 重合体の製造(13)
実施例6で調製した本発明の重合性液晶組成物(F−1)99.85質量%、光重合開始剤ルシリンTPO(BASF社製)0.10質量%、4-メトキシフェノール0.05質量%からなる本発明の重合性液晶組成物(F−2)を調製した。さらにこの組成物を孔径1μmのフッ素樹脂製メンブランフィルターで濾過した。この濾過した組成物(F−2)をセルギャップ6μmのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に室温にて注入した。注入後、均一な一軸配向が得られているのが確認できた。次に、室温(25℃)にてSP−III(ウシオ電機社製)を用いて4mW/cmの紫外線を2分間照射して重合体を得た。得られた重合体は方向によって屈折率が異なっており、一軸の光学異方体として機能することが確かめられた。また、均一性も優れており、ムラや濁りなども観察されなかった。波長589nmにおけるΔnは0.070であった。このガラスセルにいれたままの重合体を80℃のオーブンに20時間静置してエージングした。重合体をオーブンから取り出して冷却後に観察したところ、一軸の光学異方体として機能し、ムラや濁りなども観察されなかった。波長589nmにおけるΔnは0.053であった。
【0044】
(実施例11) 重合体の製造(14)
実施例7で調製した本発明の重合性液晶組成物(G−1)99.85質量%、光重合開始剤ルシリンTPO(BASF社製)0.10質量%、4-メトキシフェノール0.05質量%からなる本発明の重合性液晶組成物(G−2)を調製した。さらにこの組成物を孔径1μmのフッ素樹脂製メンブランフィルターで濾過した。この濾過した組成物(G−2)をセルギャップ6μmのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に室温にて注入した。注入後、均一な一軸配向が得られているのが確認できた。次に、室温(25℃)にてSP−III(ウシオ電機社製)を用いて4mW/cmの紫外線を2分間照射して重合体を得た。得られた重合体は方向によって屈折率が異なっており、一軸の光学異方体として機能することが確かめられた。また、均一性も優れており、ムラや濁りなども観察されなかった。波長589nmにおけるΔnは0.086であった。このガラスセルにいれたままの重合体を80℃のオーブンに20時間静置してエージングした。重合体をオーブンから取り出して冷却後に観察したところ、一軸の光学異方体として機能し、ムラや濁りなども観察されなかった。波長589nmにおけるΔnは0.064であった。
【0045】
(実施例12)
セルギャップ50μmのアンチパラレル配向液晶ガラスセルを用いた以外は実施例11と同様にして重合体を製造した。このガラスセルにいれたままの重合体にSP−III(ウシオ電機社製)を用いて40mW/cm2の紫外線を12分30秒照射しても、目立った黄変は観察されなかった。
【0046】
(比較例2)
化合物(II−1)が47質量%、化合物(III−1)が22質量%、化合物(III−2)が18質量%、化合物(1)が5質量%、化合物(2)
【化15】
Figure 0004505708
が8質量%からなる本発明の重合性液晶組成物(H−1)を調製した。本発明の重合性液晶組成物(H−1)は室温(25℃)でネマチック液晶相を示し、ネマチック−等方性液体相転移温度は52℃であった。波長589nmにおけるΔnは0.133であった。
【0047】
重合性液晶組成物(H−1)99.85質量%、光重合開始剤ルシリンTPO(BASF社製)0.10質量%、4-メトキシフェノール0.05質量%からなる重合性液晶組成物(H−2)を調製した。さらにこの組成物を孔径1μmのフッ素樹脂製メンブランフィルターで濾過した。この濾過した組成物(H−2)をセルギャップ6μmのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に室温にて注入した。注入後、均一な一軸配向が得られているのが確認できた。次に、室温(25℃)にてSP−III(ウシオ電機社製)を用いて4mW/cmの紫外線を2分間照射して重合体を得た。得られた重合体は方向によって屈折率が異なっており、一軸の光学異方体として機能することが確かめられた。また、均一性も優れており、ムラや濁りなども観察されなかった。このガラスセルにいれたままの重合体を80℃のオーブンに20時間静置してエージングした。重合体をオーブンから取り出して冷却後に観察したところ、一軸の光学異方体として機能し、ムラや濁りなども観察されなかった。波長589nmにおけるΔnは0.063であった。
【0048】
次に、セルギャップ50μmのアンチパラレル配向液晶ガラスセルを用いた以外は上記と同様にして重合体を製造した。このガラスセルにいれたままの重合体にSP−III(ウシオ電機社製)を用いて40mW/cm2の紫外線を12分30秒照射したところ、黄変が観察された。
【0049】
実施例12と本比較例の比較から、本発明の重合性液晶組成物を用いた重合体は黄変しにくいことがわかる。
【0050】
【発明の効果】
本発明の重合性液晶組成物は、意図しない熱重合が誘起されないような低い温度においてネマチック液晶相を発現し、ネマチック相−等方性液体相転移温度が高く、この重合性液晶組成物を重合した重合体のΔnが低く制御でき、さらに重合体が紫外線の曝露により黄変しにくい特徴を有する、そのため、当該重合性液晶組成物を用いて製造した重合体は光学異方体等の構成材料として有用である。

Claims (6)

  1. 一般式(I)
    Figure 0004505708
    (式中、Xは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素原子数1〜18のアルキル基を表す)で表される化合物、一般式(II)
    Figure 0004505708
    (式中、Xは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素原子数1〜18のアルキル基を表す)で表される化合物、一般式(III)
    Figure 0004505708
    (式中、W、Wはそれぞれ独立的に単結合、−O−を表し、Y、Yはそれぞれ独立的に−COO−、−OCO−を表し、p、qはそれぞれ独立的に2〜12の整数を表す)で表される化合物を含有し、炭素炭素三重結合を持つ化合物を含有しない重合性液晶組成物。
  2. は炭素原子数1〜5のアルキル基、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基を表す請求項1記載の重合性液晶組成物。
  3. 、Wが−O−、Yが−COO−、Yが−OCO−、p、qはそれぞれ独立的に3〜6の整数である請求項2記載の重合性液晶組成物。
  4. 組成物がネマチック液晶相を示し、ネマチック液晶相の下限温度が30℃以下である請求項1または2記載の重合性液晶組成物。
  5. 一般式(I)の化合物は20〜60質量%、一般式(II)の化合物は20〜60質量%、一般式(III)の化合物は10〜40質量%含有する請求項1から4のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の重合性液晶組成物の重合体。
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