JP2006348227A - 液晶および液晶/高分子複合体 - Google Patents

液晶および液晶/高分子複合体 Download PDF

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祐治 山本
Yuriko Kaida
由里子 海田
Atsushi Koyanagi
篤史 小柳
Michinobu Suekane
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Abstract

【課題】カイラル剤の析出がなく、安定にかつセルの面内分布が一様となるようにブルー相を発現できる液晶、および該液晶と重合体との液晶/高分子複合体の提供。
【解決手段】液晶性化合物と、らせん誘起力が40〜80/μm−1であり、かつ、結晶化点が10〜50℃であるカイラル剤とを含む液晶であって、該液晶がブルー相を発現することができることを特徴とする液晶、および該液晶と単官能性重合性モノマーと多官能性重合性モノマーとを含む液晶組成物を重合して得た液晶/高分子複合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、カイラル剤の析出や、液晶性の低下を抑制し、安定なブルー相を発現することができる液晶に関する。より詳しくは、光照射により、ブルー相とコレステリック相との光可逆相転移をする液晶、および該液晶と重合性モノマーとから得られるブルー相を有する液晶/高分子複合体に関する。
光情報処理技術は、信号伝達の高速性、伝送および処理の空間的並列性、広い周波数帯域等、光の有する特徴を利用できる有望な情報処理技術である。該技術の実用化には光の強度、偏光状態等を高速・高精度で制御する光学素子が不可欠であり、液晶を用いた小型で安価な光学素子が注目されている。
コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に、液晶相の一つであるブルー相が発現することが知られている。ブルー相は、液晶が互いにねじれて配列した二重ねじれ構造と、等方相に近い状態の線状欠陥とが共存した状態と考えられており、数百nmオーダーの格子定数の体心立方格子(ブルー相I)や単純立方格子(ブルー相II)のような三次元周期構造を形成することが知られている。
そのため、ブルー相の状態にある液晶は、立方晶としての性質とコレステリック液晶としての性質とを兼ね備えており、可視光に対して旋光性を示すほか、ブラッグ回折が観測される。ブラッグ回折が観測される結晶面(以下、ブラッグ回折面という。)は、ブルー相Iの体心立方構造では、(110)面、(200)面、(211)面等、ブルー相IIの単純立方構造では、(100)面、(110)面、(210)面等であることが知られている。
また、電界や磁界等の外場環境を変化させることにより、入射光の回折角、偏光状態等をマイクロ秒オーダーの応答時間で変化させることができる。よって、ブルー相の状態にある液晶を用いた光学素子には、従来の光学素子を遥かに凌ぐ応答速度と多様な機能が期待でき、近年積極的に研究されている(たとえば特許文献1を参照。)。
また、コレステリック液晶の作製に使用されるカイラル剤、例えば、ベンジリデンメントン誘導体、イソソルビドのケイ皮酸エステル誘導体などが、光照射によりその構造を変化することや、らせん誘起力が変化することが知られており、該変化を活用して、コレステリック液晶の選択反射波長がシフトすることも知られている(非特許文献1等を参照。)。
特開2003−327966号公報 Mol.Cryst.Liq.Cryst.,Vol.363,p35-50(2001)
コレステリック液晶がブルー相を安定に発現するには、二重ねじれ構造のらせんのピッチが500nm以下でなければならない。そのため、カイラル剤は、そのらせん誘起力(Herical Twisting Power、以下、HTPと記載する。)が小さい場合、大量に混合する必要がある。その結果、カイラル剤が析出したり、液晶組成物の液晶性が低下したりして、ブルー相が安定に発現しない問題があった。また、液晶組成物をセルに注入するときに、セル中の位置によって液晶組成物の組成分布にむらが生じ、面内分布が一様にならない問題があった。
たとえば、特許文献1に記載されたカイラル剤[ZLI−4572;後記式(6)]を含む液晶組成物を、室温で1日間放置すると、カイラル剤が析出し、再溶解しても核が残るため、すぐに結晶が析出してしまった。また、該液晶組成物をセルに注入すると、注入口付近と他の部分とでは、液晶組成物の組成に違いが生じ、位置によってブルー相を発現する温度が異なるなど、ブルー相の面内分布が一様にならなかった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、カイラル剤について種々検討した結果、HTPが大きく、かつ、結晶化点が低いカイラル剤を用いて液晶を調製することにより、カイラル剤の析出がなく、安定にかつセルの面内分布が一様となるようにブルー相を発現できる液晶を得ることを目的とする。また、本発明は、該液晶と重合体からなるブルー相を有する複合体を得ることを第二の目的とする。
したがって、本発明は以下の発明を提供する。
1.液晶性化合物と、Grandjean−Canoくさび法によって測定されたらせん
誘起力が40〜80/μm−1であり、かつ、結晶化点が10〜50℃であるカイラ
ル剤とを含む液晶であって、該液晶がブルー相を発現することができることを特徴と
する液晶。
2.カイラル剤が、光照射によりらせん誘起力が変化するカイラル剤である前記1に記載
の液晶。
3.光照射によりらせん誘起力が変化するカイラル剤が、該カイラル剤に光照射を行った
ときのらせん誘起力の変化量の絶対値が20以上のカイラル剤である前記2に記載の
液晶。
4.光照射によりらせん誘起力が変化するカイラル剤が、光照射により異性化する部位を
有するカイラル剤である前記2または3に記載の液晶。
5.前記カイラル剤がイソソルビドまたはイソマンニドのケイ皮酸エステル誘導体である
前記1〜4のいずれかに記載の液晶。
6.光を照射することによって、ブルー相とコレステリック相との相転移をする前記2〜
5のいずれかに記載の液晶。
7.前記1〜6のいずれかに記載の液晶と、単官能性重合性モノマーと、多官能性重合性
モノマーとを含む液晶組成物を重合させて得られる液晶/高分子複合体であって、該
複合体中の液晶性化合物とカイラル剤との組み合わせがブルー相を有する液晶/高分
子複合体。
本発明の液晶によれば、カイラル剤の析出が抑制されるので、ブルー相を安定に発現させることができる。また、本発明の液晶は、セルに注入する際にも組成を均一に保つことができるので、セルの面内分布を一様にできる。さらに、液晶の調製時やセルへの注入時の温度を厳密に制御する必要がなくなるため、生産性が格段に向上する。さらに、カイラル剤として光照射によりらせん誘起力が変化するカイラル剤を用いることによって、選択反射波長のシフトを伴う可逆的な相転移を起こすことも可能である。
本発明の液晶/高分子複合体は、実用に適した温度範囲でブルー相を発現でき、かつカイラル剤の析出が抑制されていることから、該複合体を用いてブルー相の特徴を活かした光学素子を得ることができる。
本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)とも記す。他の化合物についても同様に記す。光源からの発振波長は、一点の値で記載されている場合でも、記載値±10nmの範囲を含むこととする。
本発明においては、液晶性化合物とカイラル剤との組み合せを広義のコレステリック液晶として扱い、該組み合せが示す液晶相をコレステリック液晶相と記す。なお、液晶性化合物とカイラル剤との組み合せの物性は、液晶性化合物とカイラル剤のみの混合物を調製した場合のその混合物の物性をいう。なお、液晶性化合物とカイラル剤との組み合せを、以下単に「液晶」ともいう。
本発明において用いることのできる液晶性化合物としては、ネマチック性液晶性化合物、スメクチック性液晶性化合物、ディスコチック性液晶性化合物等が挙げられ、ネマチック性液晶性化合物が好ましい。液晶性化合物とカイラル剤との組み合せとしては、コレステリック液晶相を示す組み合せであることが好ましい。液晶性化合物は1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、混合した後にネマチック液晶相を示すことが好ましい。
液晶性化合物としては特に制限されず、一般的に知られているネマチック性液晶性化合物が好ましく用いられる。該ネマチック液晶性化合物としては、ビフェニル系化合物、ターフェニル系化合物、ビフェニルシクロヘキシル系化合物、アゾメチン系化合物、アゾおよびアゾオキシ系化合物、スチルベン系化合物、ビシクロヘキシル系化合物、およびピリミジン系化合物等が挙げられ、たとえば、シアノビフェニル系ネマチック液晶(Aldrich社製から「5CB」として市販されている。)、シアノターフェニル系ネマチック液晶(Aldrich社製から「5CT」として市販されている。)等を使用することができる。
液晶性化合物は1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。液晶性化合物を2種以上用いる場合は、市販の混合液晶を使用してもよい。市販の混合液晶としては、フッ素系ネマチック混合液晶(チッソ社製、商品番号:JC−1041XX)等が挙げられる。
また、下式(1)で表される化合物を用いることもできる。
Figure 2006348227
式(1)の化合物において、Rは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、または炭素数1〜8のアルコキシ基である。
炭素数1〜8のアルキル基としては、炭素数3〜6の直鎖アルキル基が好ましい。
炭素数2〜8のアルケニル基としては、炭素数2〜6の直鎖アルケニル基が好ましい。なかでも、弾性定数比(K33/K11)が大きいことから、炭素数が偶数である場合はアルケニル鎖末端の炭素原子から環基へ向けて二重結合を有する基が好ましく、炭素数が奇数である場合は、アルケニル鎖末端から2番目の炭素原子から環基へ向けて二重結合を有する基が好ましく、CH−CH=CH−CH−CH−、CH=CH−CH−CH−、またはCH−CH=CH−が特に好ましい。
炭素数1〜8のアルコキシ基としては、炭素数2〜6の直鎖アルコキシ基が好ましく、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、またはn−ペンチルオキシ基が特に好ましい。
としては、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、またはCH−CH=CH−CH−CH−が好ましい。
は1,4−フェニレン基またはトランス−1,4−シクロヘキシレン基である。これらの基は、非置換の基であってもよく、該基中の炭素原子に結合する水素原子がフッ素原子に置換されていてもよく、非置換の基であることが好ましい。Aとしては、非置換のトランス−1,4−シクロヘキシレン基が好ましい。
は、−COO−、−OCO−、単結合、−CHCH−、または−C≡C−であり、単結合が好ましい。Yは−COO−、−OCO−、単結合、または−C≡C−であり、−COO−または単結合が好ましい。
1、X、X、およびXは、それぞれ独立に水素原子またはフッ素原子であり、XおよびXの少なくとも1つはフッ素原子である。X〜Xとしては、Xがフッ素原子であり、かつX、X、およびXの全てが水素原子であることが好ましい。
nは0または1である。
化合物(1)としては、下記化合物が例示される。
Figure 2006348227
本発明に使用されるカイラル剤は、HTPが40〜80/μm−1であり、かつ、結晶化点が10〜50℃であるカイラル剤である。なお、本発明におけるHTPは、Grandjean−Canoくさび法によって測定された値であり、液晶便覧を参照して測定できる。前記HTPは50〜80/μm−1であることが好ましく、50〜70/μm−1であることが特に好ましい。HTPが40〜80/μm−1であると、ブルー相を発現させるために必要な添加量を小さくすることができ、液晶組成物の液晶性低下やカイラル剤の析出を防止できる。
また、本発明における結晶化点とは、カイラル剤を加熱し融解して得た融解液を冷却したときに結晶の析出が始まる温度をいう。なお、この結晶化点は、後述する実施例中に記載した測定方法によって測定された値である。
カイラル剤のなかには、加熱して融解したときの融点と、結晶化点とが相違するものがある。一般に液晶セルを作製する際は、液晶組成物を加熱し、等方相の状態でセルに注入する。カイラル剤の結晶化点が10〜50℃であれば、液晶組成物においてカイラル剤の析出を抑制できるので、製造条件を厳密に制御する必要がなくなり、製造工程が簡略化できる。また、素子として使用する際にも、カイラル剤が析出せず、面内分布も一様であるので、素子の特性を安定に維持できる。
カイラル剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。カイラル剤を2種以上用いる場合は、各々のカイラル剤のHTPと配合割合から算出されたHTPの値が40〜80/μm−1であり、かつ結晶化点が10〜50℃であればよい。カイラル剤を複数組合わせて使用する場合は、結晶化点が1点に定まらず、範囲を持つ場合がありうる。この場合においても、複数のカイラル剤の混合物を加熱融解した後に冷却したとき、結晶の析出が始まる温度を結晶化点と定義し、この定義された温度が10〜50℃の範囲に入っていればよい。また、誘起されるらせん方向が同一であるカイラル剤を組み合せて使用することが好ましい。さらに、HTPが正の温度依存性をもつカイラル剤と負の温度依存性をもつカイラル剤とを併用すると、HTPの温度特性が小さくなり、選択反射波長の温度による変化を抑えることができるので好ましい。
本発明におけるカイラル剤は、前記のHTPと結晶化点との条件を満たすカイラル剤であれば、種々のものが使用できる。このうち、用途によっては光照射によりらせん誘起力が変化するカイラル剤であることが好ましい。
光照射によってらせん誘起力が変化するカイラル剤とは、光照射を受けると構造が可逆的に変化し、該カイラル剤の誘電率、屈折率、電子密度分布、スペクトル(UVスペクトル、IRスペクトル等)等が変化するカイラル剤である。ここで光とは構造を可逆的に変化させることのできる光であれば特に限定されず、紫外線、赤外線、可視光線のいずれであってもよい。また、構造の可逆的変化は、正逆とも光によって誘起されてもよく、片方が光によって、もう片方が熱によって誘起されてもよいが、前者が好ましい。
また、光照射によりらせん誘起力が変化するカイラル剤としては、光照射により異性化する部位を有するカイラル剤が好ましい。なお、本発明において、光照射により異性化する部位とは、シス体とトランス体との間で異性化する部位、および、開環体と閉環体との間で異性化する部位を意味する。このようなカイラル剤としては、アゾベンゼン誘導体、ジアリールエテン誘導体、フルギド誘導体、スピロピラン誘導体、イソソルビドのケイ皮酸エステル誘導体、およびイソマンニドのケイ皮酸エステル誘導体等が挙げられる。光によってらせん誘起力が変化するカイラル剤を用いることにより、選択反射波長を変化させることができるので、該性質を利用して使用する素子に有用である。
さらに、光によってらせん誘起力が変化するカイラル剤において、HTPの変化量の絶対値が大きいと、ブルー相とコレステリック相との間で選択反射波長の変化を起こすことができる。つまり、ブルー相とコレステリック相との間で相転移が起こる。なお、HTPの変化量は、後述する実施例に記載した測定方法によって測定された値である。該変化量は20以上であることが好ましい。また、該変化量の上限値は、液晶性化合物とカイラル剤の組み合せや配合割合、および用途によって異なる。該変化量がある範囲を越えると、誘起されるらせん方向が逆になる(たとえば右回りから左回りになる)ことになり、その途中でHTPが0となる点を通過する。HTPが0となる点においては液晶は単なるネマチック液晶となる。よって、HTPの変化量の絶対値は、液晶性化合物とカイラル剤の組み合せや配合割合、および用途によって適宜選択することが好ましい。たとえば、後述する実施例中の例1の液晶では該変化量は20〜60が好ましく、20〜50が特に好ましい。
HTPの変化量が20以上であるカイラル剤としては、イソソルビド、またはイソマンニドのケイ皮酸エステル誘導体が好適である。具体的には、下式(2)で表される化合物、下式(3)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2006348227

Figure 2006348227
本発明の液晶に含まれる、液晶性化合物の割合は、液晶に対して75〜95質量%であることが好ましく、カイラル剤の割合は、液晶に対して5〜15質量%であることが好ましい。
また、両者の合計量は、液晶性化合物と、カイラル剤と、後述する単官能性重合性モノマーと、多官能性重合性モノマーとを含む液晶組成物に対して85〜95質量%であることが好ましく、92〜95質量%であることが特に好ましい。
本発明の液晶は、カイラル剤の析出が抑制され、面内分布が一様であり、安定にブルー相を発現するが、液晶性化合物とカイラル剤のみの組み合せからなる液晶のみでは、ブルー相の発現温度範囲が狭い。よって、前記液晶に単官能性重合性モノマーと多官能性重合性モノマーを含ませて得られる組成物を重合させることによって、ブルー相の発現温度範囲を拡大することができる。以下、液晶性化合物、カイラル剤、単官能性重合性モノマー、および多官能性重合性モノマーを含む組成物を液晶組成物と記す。
本発明における単官能性重合性モノマーとは、1個の重合性官能基を有する非液晶性または液晶性の化合物であり、非液晶性の化合物であることが好ましい。重合性官能基としては、アクリロイル基またはメタクリロイル基が好ましい。単官能性重合性モノマーとしては、アクリル酸エステル類またはメタクリル酸エステル類が好ましく、アクリル酸エステル類が特に好ましい。アクリル酸エステル類としては、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。
さらに、使用する光(入射光)の透過率を良好にしたい(たとえば80%以上)場合は、単官能性重合性モノマーとして下式(4)で表される化合物を使用することが好ましい。
CH=CH−COOR (4)
式(4)中のRは炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されていてもよい炭素数10〜30の直鎖アルキル基であり、炭素数12〜24の該基であることが好ましい。該基の炭素数が10〜30の範囲にあることにより、ブルー相の安定化のため、液晶との適切な相溶性を実現できる。該基の炭素数が30より多いと、液晶との相溶性が不充分であり、光学素子とした場合に光の透過率の低下を招くおそれがある。
また、光学素子の作製の際、液晶組成物をセルに注入する工程は、液晶組成物に対する酸素や水分等の悪影響を避けるため減圧注入によって実施されることが好ましい。この場合は、減圧注入時に液晶組成物が揮発しないことが必要となる。化合物(4)は炭素数が10以上であるため、減圧注入時に揮発せず、ブルー相の安定化効果が損なわれない利点もある。
Rはエーテル性酸素原子を有していてもよく、この場合、該酸素原子の数は1〜4個が好ましい。また、エーテル性酸素原子とエーテル性酸素原子との間に存在する炭素原子の数は1〜5個が好ましく、2個または4個が特に好ましい。Rとしてはエーテル性酸素原子を有さないことが特に好ましい。
化合物(4)としては、下記化合物(4A)が好ましい。
CH=CH−COO−[(CHCHO)・(CHCHCHCHO)−(CH−H (4A)
p、q、r、およびsは、それぞれ下記の意味を示し、かつ[((2p+4q)×r)+s]の値が10〜30の整数となる。
pは−(CHCHO)−単位の数を示し、0〜15の整数であり、0〜5の整数が好ましい。qは−(CHCHCHCHO)−単位の数を示し、0〜7の整数であり、0〜5の整数が好ましい。rは−[(CHCHO)・(CHCHCHCHO)]−単位の数を示し、0または1であり、0が好ましい。sは−(CH)−単位の数を示し、0〜30の整数である。rが0である場合のsは12〜24の整数が好ましく、12〜20の整数が特に好ましい。rが1である場合のp、q、およびsの値は、[((2p+4q)×r)+s]の値が10〜30の整数となる範囲において、適宜変更されうる。
なお、p、q、r、およびsがそれぞれ0である場合は、対応する単位が存在しないことを意味する。
また、式(4A)における「−(CHCHO)・(CHCHCHCHO)−」部分の表記は、−(CHCHO)−単位および−(CHCHCHCHO)−単位がそれぞれ1単位以上存在する場合、2つの単位の並び方が限定されないことを意味する。すなわち、−(CHCHO)−単位および−(CHCHCHCHO)−単位がそれぞれ1つずつ存在する場合には、CH=CH−COO−に結合する単位は、−(CHCHO)−単位であっても−(CHCHCHCHO)−単位であってもよい。−(CHCHO)−単位および−(CHCHCHCHO)−単位がそれぞれ1単位以上存在し、かつ、少なくとも一方の単位が2単位以上存在する場合には、2つの単位の並び方はブロック状であってもランダム状であってもよく、ブロック状であることが好ましい。
化合物(4A)としては、下記化合物(4Aa)〜(4Ap)等が挙げられ、液晶との相溶性の観点から、下記化合物(4Aa)〜(4Ae)、下記化合物(4Ah)〜(4Aj)、および下記化合物(4Am)が好ましい。
CH=CH−COO−(CH12H (4Aa)、
CH=CH−COO−(CH13H (4Ab)、
CH=CH−COO−(CH16H (4Ac)、
CH=CH−COO−(CH18H (4Ad)、
CH=CH−COO−(CH22H (4Ae)、
CH=CH−COO−(CHCHO)H (4Af)、
CH=CH−COO−(CHCHO)10H (4Ag)、
CH=CH−COO−(CHCHO)CH(4Ah)、
CH=CH−COO−(CHCHO)CH(4Ai)、
CH=CH−COO−(CHCHO)12CH(4Aj)、
CH=CH−COO−(CHCHCHCHO)H (4Ak)、
CH=CH−COO−(CHCHCHCHO)CH (4Am)、
CH=CH−COO−(CHCHO)−(CH12H (4An)、
CH=CH−COO−(CHCHO)・(CHCHCHCHO)
(4Ap)。
液晶組成物中に含まれる化合物(4)等の単官能性重合性モノマーの割合は、ブルー相の安定化効果に優れることから、液晶組成物に対して1〜4質量%が好ましく、1.5〜3.5質量%が特に好ましく、2〜3質量%がとりわけ好ましい。化合物(4)の量が液晶組成物に対して1質量%よりも少ないと、後述する重合反応を行って液晶/高分子複合体とした場合にブルー相の安定化効果が乏しく、4質量%よりも多いとブルー相が発現しないか、または発現したとしても重合時に三次元周期構造の規則性が乱れ、散乱等の現象が起きるおそれがある。
本発明における多官能性重合性モノマーとは、化合物(4)等の単官能性重合性モノマーの分子間を結合して網目状構造を形成し得る化合物であり、2個以上、好ましくは2個の重合性官能基を有する化合物である。重合性官能基としては、前記単官能性重合性モノマーにおける重合性官能基と同様の基が例示できる。
多官能性重合性モノマーとしては、ジアクリレート、ジメタクリレート等が挙げられ、単官能性重合性モノマーの構造、液晶/高分子複合体に要求される強度、特性等に応じ選択することが好ましい。また、両者における重合性官能基は同一であることが好ましい。
多官能性重合性モノマーは液晶性化合物または非液晶性化合物のいずれであってもよく、液晶との相溶性が良好である必要があることから、メソゲン構造を有することが好ましい。多官能性重合性モノマーとしては、下式(5)で表される液晶性ジアクリレート(Merck社製、商品番号:RM−257)等のジアクリレートが好ましい。
Figure 2006348227
液晶/高分子複合体においてブルー相の発現温度幅を広くするためには、化合物(4)等の単官能性重合性モノマーと多官能性重合性モノマーとが重合した高分子部分の架橋密度が重要である。架橋密度が小さいと、ブルー相が発現しないか、または、ブルー相が発現しても発現温度幅が狭くなる。よって、適切な量の単官能性重合性モノマーと多官能性重合性モノマーとを用い、連続性の高い網目構造が形成されるようにすることが必要である。そのため、また、単官能性重合性モノマーと多官能性重合性モノマーとの合計量は液晶組成物に対して5〜8質量%であることが好ましい。
単官能性重合性モノマーと多官能性重合性モノマーとの混合比は、各々の構造や、液晶性化合物、カイラル剤の構造等によって適宜調整されうるが、単官能性重合性モノマー/多官能性重合性モノマー(質量比)で、1/1〜1/4であることが好ましい。
本発明における液晶組成物のブルー相の発現温度幅は、3〜7℃であることが好ましい。液晶組成物のブルー相の発現温度幅が3〜7℃であれば、後述する重合反応の際、重合反応の開始時から終了時までの間、ブルー相を安定に保持でき高分子/液晶複合体の構造変化を抑制できる。
特に、単官能性重合性モノマーとして、化合物(4)を用いる場合は、液晶の透明点(Tc)と液晶組成物の透明点(Tc)との差(ΔTc)が4℃以上であり10℃以下であり、かつ、液晶組成物がブルー相を示す温度範囲(ΔBP)が3℃以上であり6℃以下であることが好ましい。なお、液晶の透明点(Tc)とは、液晶のブルー相−等方相転移点を意味し、液晶組成物の透明点(Tc)とは液晶組成物のブルー相−等方相転移点を意味する。
ΔTcおよびΔBPの値が前記範囲にあることにより、液晶と化合物(4)との適切な相溶性が得られ、ブルー相の安定化に効果がある。ΔTcが4℃より狭い場合は、ブルー相の安定化に必要な量の化合物(4)が欠陥部分に行き渡らない状態になっていると考えられ、ΔTcが10℃より大きい場合は、化合物(4)と液晶との相溶性が低下していると考えられ、いずれの場合でもブルー相の安定化効果が低減する。ΔBPが3℃より狭い場合は、重合反応を行ってもブルー相を安定化できないおそれがあり、ΔBPが6℃より広い場合は、化合物(4)が欠陥部分に集中的に存在する状態であると考えられ、欠陥部分に存在する化合物(4)と液晶との界面散乱がおこり透過率の低下を招くおそれがある。
また、液晶組成物を重合させて液晶/高分子複合体とした際の、該複合体中の液晶のブルー相が消失する上限温度は、液晶組成物のTcとほぼ同じであるため、液晶組成物のTcを、光学素子として使用する温度よりも5℃以上高くすることが好ましく、10℃以上高くすることが特に好ましい。また、ブルー相が消失する下限温度の目安は(Tc−60)℃であり、この温度が光学素子の使用下限温度よりも10℃以上低くなるように液晶組成物のTcを設定することが好ましい。さらに、液晶組成物を低温条件下で保存する場合、結晶の析出が起こると、光学素子とした場合に素子の特性が劣化するおそれがあるので、低温時の保存安定性に優れていることが好ましい。
本発明においては、前記液晶組成物を重合させて液晶/高分子複合体を得る。重合反応は、前記液晶組成物をセルに注入し、前記液晶組成物中に含まれる液晶性化合物とカイラル剤との組み合せがブルー相を保持した状態において行うことが好ましい。このことによって、液晶/高分子複合体中の液晶がブルー相を有することができる。なお、本発明において「ブルー相を有する」とは、液晶/高分子複合体中の液晶性化合物とカイラル剤との組み合せが、少なくとも−10〜+30℃をカバーする温度範囲で、好ましくは−10℃〜液晶組成物のTcをカバーする温度範囲でブルー相を安定に発現することを意味する。
重合反応としては、光重合反応が好ましく、紫外線による光重合反応が特に好ましい。
熱重合反応を採用した場合、ブルー相が保持される温度と重合温度(加熱温度)とが必ずしも一致しないため、ブルー相を保持した状態で重合反応を行うことが困難になるおそれがある。また、加熱によって液晶/高分子複合体の構造が変化するおそれもある。
光重合反応においては光重合開始剤を使用することが好ましい。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類、ベンジル類、ミヒラーケトン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、およびチオキサントン類等から適宜選択して用いることができる。光重合開始剤の量は液晶組成物に対して0.01〜1質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%が特に好ましい。
セルは、透明電極および配向膜を備えた一対の積層体を用いて作製することが好ましい。積層体は、たとえば以下に示す方法によって作製できる。透明ガラス製または透明樹脂製の基板にITO等の透明導電膜を積層し、必要に応じてパターニングして電極を作製する。さらに、電極が形成されている側の面に配向膜を積層する。配向膜としてポリイミド配向膜を用いる場合は、該配向膜をラビング処理することが好ましい。
ここで基板上の配向膜は、水平配向膜をいずれの基板にも設け、さらにそれぞれの基板での配向処理方向を同一として液晶分子のプレチルト角が非平行状態となっているアンチパラレル配向とすると、モノドメインの高分子安定化ブルー相液晶層を形成し易くなるので好ましい。
このようにして作製された積層体の一対の、少なくとも一方の積層体の、配向膜が形成されている側の面の周縁部にエポキシ樹脂等のシール剤を環状に塗布する。シール剤には、所望のセルギャップを得るためのスペーサ、電圧印加のための導電経路となる導電性微粒子等を予め混ぜることができる。ついで、配向膜の面が対向する形で、所望の間隔(セルギャップ)で一対の積層体を配置し、シール剤を硬化して空セルを形成する。セルギャップは1〜10μmが好ましい。シール剤の環状の塗布部分には、少なくとも一部、液晶組成物を注入するための注入口となる不連続部分が設けられており、該注入口から液晶組成物を注入したのち、重合反応を行う。
本発明の液晶を用いて得られる液晶/高分子複合体においては、少なくとも−10〜+30℃をカバーする温度範囲でブルー相を発現する。実用に適した温度領域において安定にブルー相を発現することから、光学素子用に有用である。また、この液晶/高分子複合体においては、カイラル剤の析出がないことから、ブルー相を長期に渡り安定に保持でき、かつ、選択反射波長の変動も抑制できる。
また、液晶材料を光学素子に応用する場合、使用する波長領域の光の透過率が良好であり、かつ繰り返し使用が可能である必要がある。具体的には、使用波長の光の透過率が80%以上、好ましくは90%以上であり、かつ、駆動後の透過率が初期透過率の80%以上、好ましくは90%以上であることが好ましい。本発明の液晶を用いて得られる液晶/高分子複合体は、実用に適した温度領域において安定にブルー相を発現し、波長400〜420nmのレーザ光の透過率が80%以上であり、かつ、駆動後の該レーザー光の透過率が初期透過率の80%以上と高いことから、該波長のレーザ光に使用する光学素子に有用である。光学素子としては、光変調素子、回折素子、位相板、液晶レンズ等が挙げられる。
また、カイラル剤として、光照射によってらせん誘起力が変化するカイラル剤を用いた場合は、部位によって選択反射波長が異なる液晶/高分子複合体を得ることもできる。具体的に説明すると、重合反応を行う前に、重合反応には寄与せずカイラル剤の異性化反応にのみ寄与する波長の光を特定部位に照射することにより、被照射部位に存在するカイラル剤のHTPが変化し、それによって該部位の液晶のらせんピッチが変化し、選択反射波長が変化する。その状態で重合反応にのみ寄与する光を照射して重合反応を行うことにより、部位によって選択反射波長が異なる状態が固定された液晶/高分子複合体が得られる。たとえば、異性化反応にのみ寄与する光をストライプ状に照射して異性化反応を起した後に重合反応にのみ寄与する光を照射して重合反応を行うことにより、フォトレジストやエッチング等の手法を使わずに、回折格子の凹凸状構造に相当する構造を形成することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。ただし、下記の表1の例1は実施例であり、例2〜4は比較例である。なお、表中ではブルー相をBPと略記する。
[1]カイラル剤
カイラル剤としては、下記化合物(2)、下記化合物(6)(Merck社製、商品番号:ZLI−4572)、下記化合物(7)、および下記化合物(8)を用いた。
化合物(2)は非特許文献2のp38に記載の方法に準じて合成、および精製を行うことによって調製し、化合物(7)は、Adv.Mater. 1998, 10, No14, pp1080-83の方法に従って合成および精製を行うことによって調製した。
Figure 2006348227

Figure 2006348227
Figure 2006348227

Figure 2006348227
以下に示す手順によってカイラル剤の結晶化点、HTPの値を求めた。表1にそれらの値を示す。
<結晶化点の測定手順>
カイラル剤を二つ穴のEHCセル(セルギャップ:10μm)に等方相の状態で大気圧で注入し、5℃/minの速度にて冷却した。冷却中、顕微鏡でセルを観察し、結晶の析出が見られた点を結晶化温度とした。
<HTPの測定手順>
カイラル剤とシアノビフェニル系ネマチック液晶(Aldrich社製、商品番号:5CB)を、1:99(質量比)で混合し、あらかじめtanθの値を測定したくさび型セルに等方相の状態で注入した。セルを室温まで冷却し、顕微鏡にてGrandjean−Canoくさび法によりカイラル剤のHTPを算出した。
また、このセルに紫外線(波長365nm)を、照射強度2mW/cmで10分間照射し、照射後にHTPを測定し変化量を求めた。
Figure 2006348227
[2]液晶の調製
[2−1]液晶の調製
液晶性化合物とカイラル剤とを表2に示す割合で混合し、例1〜6の液晶を得た。
液晶性化合物としては、フッ素系ネマチック混合液晶(チッソ社製、商品番号:「JC−1041XX」)を用いた。
カイラル剤としては、前記化合物(2)、化合物(6)、および化合物(7)を用いた。なお、表2において、液晶を構成する各々の成分の割合は、液晶に対する質量%で表す。
[2−2]液晶の物性評価
例1〜6の液晶1〜6を、該液晶が等方相を示す温度から降温させながら偏光顕微鏡によって観察し、T、Tcol、およびブルー相(BP)の温度範囲を求めた。なお、Tはブルー相と等方相との転移温度を、Tcolはコレステリック相とブルー相との相転移温度を、ΔBPはブルー相の発現温度幅を、示す。例3の液晶3は、カイラル剤の添加量が多いため、液晶性を発現しなかった。
[2−3]光照射実験
[2−2]で得た液晶1、3、5に波長365nmの紫外線を、照射強度2mW/cmで10分間照射し、紫外線照射前後における相変化の観察および反射スペクトルの測定を行った。相変化の観察および反射スペクトルの観察は、光源(キセノンランプおよびハロゲンランプ)と小型マルチチャンネル分光システム(オーシャンオプティクス社製、商品番号:「HR−2000」)とを備えた偏光顕微鏡を用いて行った。結果を表2に示す。
Figure 2006348227
液晶1は紫外線照射に伴い、ブルー相の選択反射波長が長波長の方向へシフトし、580nm付近で消失した。さらに紫外線照射を続けると、可視領域にコレステリック相の選択反射が見られるようになり610nmでの選択反射が観察された。これは、光による連続的な変化であり、光によるブルー相からコレステリック相への相転移が起こったことが明らかになった。
液晶3に含まれるカイラル剤は、光によってらせん誘起力が変化しないカイラル剤であるので、紫外線照射による選択反射波長の変化および相変化は観察されなかった。
[3]液晶組成物の調製
[2−1]で得た液晶2、3、および6と、単官能性重合性モノマーと、多官能性重合性モノマーと、重合開始剤とを、表4に示す割合で混合し、液晶組成物2、3、および6を調製した。
単官能性重合性モノマーとしては、2−エチルヘキシルアクリレート(Aldrich社製)(以下、2EHAと略記する)を用いた。多官能性重合性モノマーとしては、化合物(4)(液晶性ジアクリレート、Merck社製、商品番号:「RM257」)を用いた。重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(Aldrich社製)(以下、DMPAPと略記する)、DAROCURE TPO(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を用いた。
液晶組成物2、3、および6を、該組成物が等方相を示す温度から降温させながら偏光顕微鏡によって観察し、ΔT、ΔTcol、ΔBP、選択反射波長を観察した。それぞれの液晶組成物において、ブルー相の発現に伴うplateletsが観察された。
表3において液晶組成物を構成する各々の成分の割合は、液晶組成物全体に対する質量%で表す。
Figure 2006348227
[4]液晶/高分子複合体の作製
[3]で得た液晶組成物2、3、6を、電極および配向膜付き、セルギャップ10μmのサンドイッチ型セルに等方相の状態で注入した。つぎに、セルをクロスニコル下の偏光顕微鏡で観察し、ブルー相が保持された状態であることを確認しながら、メタルハライドランプ(浜松ホトニクス社製、商品名:「LIGHTNINGCURE LC6」)を用いて照射強度1.5mW・cm−2の400nmの光を1時間照射して光重合反応を行い、液晶/高分子複合体2、3、6を得た。これらの液晶/高分子複合体を、該複合体中の液晶が等方相を示す温度から降温させながら偏光顕微鏡によって観察すると、ブルー相の発現に伴うplateletsが観察された。また、[2−2]と同様に反射スペクトルを測定した。
測定の結果、ブルー相の発現に起因する選択反射ピークが20℃(装置の測定温度下限)〜Tcの範囲で観測され、コレステリック相(カイラルネマチック相)のピッチ長に対応するピークは観測されなかった。したがって、ブルー相の分子配列構造が安定化されたことが明らかとなった。
表4に示すように、液晶組成物2、3、6は、液晶/高分子複合体とすることにより、少なくとも−10〜+30℃をカバーする温度範囲でブルー相を発現することが確認された。
Figure 2006348227
本発明の液晶は、カイラル剤の析出を抑制することにより、ブルー相を安定に発現できる。よって、液晶の調製の自由度が向上する。また、セルへの注入時にも組成にむらが生じないため、生産効率があがり、均一な特性を有する光学素子を得ることができる。また、重合性モノマーとともに重合することによりブルー相が発現する温度範囲を拡大できるので、室温でも安定して駆動する光学素子(透過光または反射光の波長、波面状態、および偏光状態等を制御する光学素子)用の材料として有用である。さらに、カイラル剤として光照射によってらせん誘起力が変化するカイラル剤を用いた場合は、選択反射波長のシフトやブルー相からコレステリック相への相転移が可能なため、開口制限機能付波長選択フィルターなどの素子の作製に応用できる。

Claims (7)

  1. 液晶性化合物と、Grandjean−Canoくさび法によって測定されたらせん誘起力が40〜80/μm−1であり、かつ、結晶化点が10〜50℃であるカイラル剤とを含む液晶であって、該液晶がブルー相を発現することができることを特徴とする液晶。
  2. カイラル剤が、光照射によりらせん誘起力が変化するカイラル剤である請求項1に記載の液晶。
  3. 光照射によりらせん誘起力が変化するカイラル剤が、該カイラル剤に光照射を行ったときのらせん誘起力の変化量の絶対値が20以上のカイラル剤である請求項2に記載の液晶。
  4. 光照射によりらせん誘起力が変化するカイラル剤が、光照射により異性化する部位を有するカイラル剤である請求項2または3に記載の液晶。
  5. 前記カイラル剤がイソソルビドまたはイソマンニドのケイ皮酸エステル誘導体である請求項1〜4のいずれかに記載の液晶。
  6. 光を照射することによって、ブルー相とコレステリック相との相転移をする請求項2〜5のいずれかに記載の液晶。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の液晶と、単官能性重合性モノマーと、多官能性重合性モノマーとを含む液晶組成物を重合させて得られる液晶/高分子複合体であって、該複合体中の液晶性化合物とカイラル剤との組み合わせがブルー相を有する液晶/高分子複合体。
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