JP2005133202A - マグネシウム−金属化合物およびその製造方法 - Google Patents

マグネシウム−金属化合物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 Mg、Sn、Siの金属からなる単相の焼結体Mg2Si1−XSnXを簡単に製造する。
【解決手段】 Mg2Si固溶体とMg2Sn固溶体とを、Mgについては塊体とし、その周囲を他金属で包み込むようにそれぞれセットし、不活性雰囲気下でMgの融点以上、沸点以下の温度で熱処理して爆発の危険が少ない状態で生成し、これら生成した各固溶体のモル比を、Mg2Si0.6〜0.4Sn0.4〜0.6になるよう調整した粉末混合物を、不活性雰囲気、加圧条件下で焼結することで、熱電性能に優れた単相の焼結化合物を製造する。
【選択図】 図13

Description

本発明は、熱電素子等の半導体として用いることができるマグネシウム−金属化合物およびその製造方法の技術分野に属するものである。
今日、マグネシウム(Mg)と、該マグネシウムの融点よりも高い融点を有する金属とからなるマグネシウム−金属化合物のなかには、例えばMg−Si系、Mg−Ge系の化合物があり、このような化合物は、熱電半導体等の半導体として用いられることが知られている。このようなマグネシウム−金属の化合物の製造法として、例えばこれがMg2Siである場合を例にすると、Mg(マグネシウム)、Si(ケイ素)、Si置換元素、そしてドーパンの混合物を、アルゴン等の不活性雰囲気下で1137℃、0.2MPa(メグパスカル)で直接溶融させて固溶体を製造する方法(非特許文献1)、Mg、Si、Si置換元素、そしてドーパンの混合物をボールミルにより粉砕して合金化するMA(メカニカルアローイング)法(非特許文献1)でマグネシウム金属固溶体を製造するようにしたもの、あるいはMg、Si、そしてドーパンの混合物を加熱しプレス成型して熱電素子を製造する直接SPS(放電プラズマ焼結)法(特許文献1)が知られている。
熱電変換工学−基礎と応用− 2001年3月30日 株式会社リアライズ社発行 特開2002−285274号公報
ところがこのようなものにおいて、マグネシウムに、前記マグネシウムの融点よりも高い金属の少なくとも一つを含む金属から選択される少なくとも二種類の金属(A1、A2)を含有する固溶体から製造されるマグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)についてはその実態が殆ど知られておらず、例えばこれがMg2Si1−XSnXやMg2Ge1−XSnXである場合、特に前者のものではXが0.4<X<0.6の範囲、前者のものではXが0.14<X<0.6の範囲のものは固溶しづらいこともあって、その詳細が知られていないのが現状である。そしてこのようなマグネシウムに前記少なくとも二種類の金属を含有するマグネシウム−金属の化合物(Mg2A11−XA2X)は、マグネシウムと前記金属から選択される1種類の金属を含むマグネシウム−金属焼結体よりも熱電素子として有用ではないのかと推論し、斯かる点に本発明が解決しようとする課題として本発明を完成した。さらにまた、前記各方法は、粉末状のマグネシウムを採用するため、不純物として酸化マグネシウム(MgO)が混入し易く、熱電素子としての性能が悪くなるだけでなく、マグネシウムの爆発的反応が発生しやすいという問題があり、ここにも本発明が解決しようとする課題がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、マグネシウム(Mg)と、該マグネシウムの融点よりも高い融点の金属を少なくとも一つ含む金属のなかから選択される少なくとも二種類の金属(A1、A2)とからなるマグネシウム−金属化合物の製造方法であって、前記選択されたマグネシウム−金属の各化合物(Mg2A1、Mg2A2)の固溶体の混合物から目的とするマグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)を得ることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法である。
請求項2の発明は、マグネシウム(Mg)と、該マグネシウムの融点よりも高い融点の金属を少なくとも一つ含む金属のなかから選択される少なくとも二種類の金属(A1、A2)とからなるマグネシウム−金属化合物の製造方法であって、マグネシウムに、前記選択された金属(A1、A2)の混合物から得られる固溶体から目的とするマグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)を得ることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法である。
請求項3の発明は、請求項1または2において、マグネシウムの融点よりも高い融点の金属は、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法である。
請求項4の発明は、請求項3において、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)以外に選択される金属はスズ(Sn)、鉛(Pb)であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法である。
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかにおいて、マグネシウム−金属の固溶体は、非粉末状体のマグネシウムと選択される少なくとも1種類の金属との混合物を不活性雰囲気下でマグネシウムの融点温度以上、沸点温度未満の温度で熱処理して製造されるものであることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法である。
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかにおいて、固溶体の混合物あるいは固溶体から目的とするマグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)を得るため、焼結による熱処理をしてあることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法である。
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかにおいて、目的物として得られるマグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)はほぼ単相であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法である。
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかにおいて、マグネシウム−金属化合物は、
Mg2Si1−XSnX
であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法である。
請求項9の発明は、請求項8において、Xは、0.4<X<0.6の範囲であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法である。
請求項10の発明は、請求項1乃至7の何れかにおいて、マグネシウム−金属化合物は、
Mg2Ge1−XSnX
であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法である。
請求項11の発明は、請求項10において、Xは、0.14<X<0.6の範囲であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法である。
請求項12の発明は、請求項1乃至11の何れか一つにおいて、マグネシウム−金属化合物は熱電素子であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法である。
請求項13の発明は、マグネシウム(Mg)と、該マグネシウムの融点よりも高い融点の金属を少なくとも一つ含む金属のなかから選択される少なくとも二種類の金属(A1、A2)とからなるマグネシウム−金属の化合物(Mg2A11−XA2X)であって、該化合物は、前記選択されたマグネシウム−金属の各化合物(Mg2A1、Mg2A2)の固溶体の混合物から得たものであることを特徴とするマグネシウム−金属化合物である。
請求項14の発明は、マグネシウム(Mg)と、該マグネシウムの融点よりも高い融点の金属を少なくとも一つ含む金属のなかから選択される少なくとも二種類の金属(A1、A2)とからなるマグネシウム−金属の化合物(Mg2A11−XA2X)であって、該化合物は、マグネシウムに、前記選択された金属(A1、A2)の混合物から得られる固溶体から得られたものであることを特徴とするマグネシウム−金属化合物である。
請求項15の発明は、請求項13または14において、マグネシウムの融点よりも高い融点の金属は、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物である。
請求項16の発明は、請求項15において、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)以外に選択される金属はスズ(Sn)、鉛(Pb)であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物である。
請求項17の発明は、請求項13乃至16の何れかにおいて、マグネシウム−金属の固溶体は、非粉末状体のマグネシウムと選択される少なくとも1種類の金属との混合物を不活性雰囲気下でマグネシウムの融点温度以上、沸点温度未満の温度で熱処理して製造されるものであることを特徴とするマグネシウム−金属化合物である。
請求項18の発明は、請求項13乃至17の何れかにおいて、マグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)は、固溶体の混合物あるいは固溶体を焼結の熱処理が施されていることを特徴とするマグネシウム−金属化合物である。
請求項19の発明は、請求項13乃至18の何れかにおいて、マグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)はほぼ単相であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物である。
請求項20の発明は、請求項13乃至19の何れかにおいて、マグネシウム−金属の化合物は、
Mg2Si1−XSnX
であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物である。
請求項21の発明は、請求項20において、Xは、0.4<X<0.6の範囲であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物である。
請求項22の発明は、請求項13乃至19の何れかにおいて、マグネシウム−金属焼結体は、
Mg2Ge1−XSnX
であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物である。
請求項23の発明は、請求項22において、Xは、0.14<X<0.6の範囲であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物である。
請求項24の発明は、請求項13乃至23の何れか一つにおいて、マグネシウム−金属化合物は熱電素子であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物である。
そして本発明は、マグネシウム(Mg)と、該マグネシウムの融点(650℃、沸点1095℃)より高い融点を有する金属の少なくとも一つが選択されるが、そのような金属としてはケイ素(Si:融点1412℃、沸点3266℃)、ゲルマニウム(Ge:融点937℃、沸点2834℃)が例示される。一方、前記金属以外の選択される金属としては、マグネシウムの融点よりも低い融点を有する金属となるが、そのような金属としては、スズ(Sn:融点231℃、沸点2603℃)、鉛(Pb:融点327℃、沸点1750℃)が例示される。そしてこれら金属のなかから選択される少なくとも二種類の金属(A1、A2)とからなるマグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)を簡単に製造することができる。
特に、前記化合物中、Mg2Si1−XSnX、Mg2Ge1−XSnXである場合に、今まで知られていないほぼ単相の化合物の存在を見出すことができ、しかもこのほぼ単相の化合物は、熱電素子としてより優れた特性を有するものであることが確認され、高性能の熱電素子としての応用が期待できる。
本発明は、マグネシウム(Mg)と、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)のようにマグネシウムの融点よりも高い融点の金属の少なくとも1種類を含んだ金属の中から選択される少なくとも二種類の金属(A1、A2)とからなるマグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)に関するものである。ケイ素、ゲルマニウム以外の金属として選択される金属としては、スズ(Sn)、鉛(Pb)が例示されるが、前記4種類の金属から二種類の金属を選択した場合に、次のような化合物が例示される。
Mg2Si1−XSnX
Mg2Si1−XGeX
Mg2Si1−XPbX
Mg2Ge1−XSnX
Mg2Ge1−XPbX
さらにまた、本発明においては、マグネシウムと、選択される三種類以上の金属(A1、A2、A3、・・・)とからなるマグネシウム−金属化合物についても製造することができる。選択される金属が三種類である場合、一般式は、
Mg2A1XA2YA3Z ただし、X+Y+Z=1
として与えられる。
このような化合物を製造するにあたり、マグネシウム−金属の固溶体を製造する必要がある。この場合に、Mg2A1、Mg2A2、Mg2A11−XA2Xのような固溶体を必要とするが、本発明においては、これら固溶体について、既知の製法により製造したものを採用できることは勿論であるが、マグネシウムについては粉体にする等して表面積が大きくなるほど爆発の危険性があり、そこで爆発の危険性が少ない魂状体、板(リボン)状体、ペレット(粒)状体、柱(ショット)状体等の非粉状体を用い、アルゴン等の不活性雰囲気下でマグネシウムの融点温度(650℃)以上、沸点温度(1107℃)未満の温度で熱処理することで、マグネシウム金属固溶体を簡単に製造することができることを見出した。そして爆発の危険性が少ないマグネシウムの大きさとしては、最も小さい一辺が1mm以上であることが好ましく、マグネシウムはこれより小さくなるほど表面積が大きくなって爆発の可能性が高くなる。
またマグネシウム金属固溶体を製造するためのマグネシウム以外の金属については、粉状体であることが好ましいが、これに限定されるものではない。そしてこれらマグネシウム以外の金属で非粉状体のマグネシウムの周囲を包み込むようにして覆い、これをアルゴンガス等の不活性雰囲気下で前記温度範囲で熱処理することによりマグネシウム金属固溶体が容易に生成する。本発明は、マグネシウムが溶解する温度範囲で固溶体を製造することに一つの特徴があり、このような温度範囲で反応した場合に、溶解したマグネシウムが、その周囲に存在する金属(固体または溶融体)に溶け込むこととなって容易にマグネシウム−金属固溶体が生成するものと推定される。
そしてこのようにして製造されるマグネシウム−金属固溶体は、Mgと単一金属との固溶体である場合には、前記金属を例にするとMg2Sn、Mg2Si、Mg2Ge、Mg2Pbであり、Mgと二種類の金属(A1、A2)との固溶体の場合には、Mg2A11−XA2Xであり、これが例えば、ケイ素とスズである場合には、一般式
Mg2Si1−XSnX
となり、ゲルマニウムとスズである場合には、一般式
Mg2Ge1−XSnX
となる。
Mgと二種類の金属との固溶体からのマグネシウム−金属化合物の製造方法としては、Mg2Sn、Mg2Si、Mg2Ge、Mg2Pbの固溶体から二種類を選択し、これら固溶体をよく混合して焼結することにより得る方法と、マグネシウムと予め選択した二種類の金属との固溶体を生成し、これを焼結することにより得る方法とがあり、何れを採用しても本発明を実施することができる。そしてこのような焼結化合物を製造するにあたり、例えば半導体がMg2Si1−XSnXである場合には、Xは、0.4<X<0.6、Mg2Ge1−XSnXである場合には、Xは、0.14<X<0.6のものはその実体が知られておらず、これらの化合物について前記手法により得たしたところ、焼結温度が700℃では単相にはならず、750℃では殆どがほぼ単相、775℃、800℃では全てがほぼ単相であることが確認され、ここに本発明を完成するに至った。このようにして得た化合物が学術的に完全に単相であるか否かの確認は今後の検討によるが、後述するようにX線回折パターン図が鋭いピークになっていることからほぼ単相であることが確認される。
ここにおいて、Xが0<X<0.4の範囲である場合、融点の低いSn成分の割合が少ないので、焼結温度は1080℃以下とすることが好ましく、また0.4<X<1の範囲である場合にはSn成分の割合が多くなるので855℃以下とすることが好ましい。
[Mg2Si固溶体の製造]
純度99.9%のMgを約5mm角の立方体形状に成形したものと、純度99.9999%のSi微粉末とをモル比で2.05:1.00(=Mg:Si、Mgが5mol%過剰状態)となるようそれぞれ秤量する。そしてSi微粉末の一部(約1/2)を図1に示すようにアルミナボートの底に均平状に敷く。次いで該敷かれたSi微粉末の上に前記Mgの塊を適宜間隔を存して軽く押し込むようにしてセットし、その上から残りのSi微粉末を均平状にかける。このようにMg魂体がSi微粉末に埋没するようにセットしたものを、Ar(アルゴン)−3%H2(水素)混合ガスの不活性環境下で、0.1MPa(メガパスカル)、830℃(1103K)にして2時間のあいだ熱処理をし、目的の固溶体を得る。生成した固溶体はソボロ状で、これをX線回折したところ、図2に示すようになった。この結果から、生成した固溶体は、単相のMg2Siであることが確認できた。
[Mg2Sn固溶体の製造]
純度99.9%のMgの2〜4mmの柱状体のものと純度99.999%のSnの4mmの柱状体のものとを、モル比で2.05:1.00(=Mg:Sn)となるようにそれぞれ秤量する。そしてMgをSnで周囲を包み込むようにしてカーボントレーに載置し、このようにセットしたものを、Ar−3%H2混合ガスの不活性環境下で、0.1MPa(メガパスカル)、830℃(1103K)にして2時間のあいだ熱処理をし、固溶体を得る。生成した固溶体はインゴット状で、これをX線回折したところ、図3に示すようになった。この結果から、生成した固溶体は、単相のMg2Snであることが確認された。
[Mg2Si0.55Sn0.45化合物の製造−1]
前記実施例1、2で製造した各固溶体についてそれぞれ良く粉砕(粉末粒径38〜75μm(マイクロメートル))した後、Mg2Si0.55Sn0.45の組成となるよう秤量(Mg2Siを1.00g、Mg2Snを1.80g)し、これらをよく混合した。この混合粉末を円筒状の容器に充填し、0.2MPa、Ar雰囲気下で、焼結圧力50MPa、焼結温度を700℃、750℃、775℃、800℃として30分のあいだ焼結した。図4に焼結温度を700℃、750℃、800度で焼結して生成した化合物の特性(α:ゼーベック係数(μV/K)、ρ:比抵抗(Ωm)、κ:熱電導率(W/Km)、Z:性能指数(K−1)、ここにおいてZ=α2/ρ×κ)を示し、またこのことから図5に、想像されるMg2Si−Mg2Snの状態図を示し、また、図6に焼結温度を700℃、750℃、800℃にして生成した化合物のX線回折パターン図を示す。
これらの結果から判断して、生成したMg2Si0.55Sn0.45の化合物はX線回折パターン図が鋭いピーク状態でかつ最大値を基準として略対称状体であることから単相、あるいはほぼ単相であるといえ、このものの前記特性から熱電特性に優れ、例えばペルチェ素子として利用できることが確認されるが、特に単相のものは、優れた特性を有し、熱電半導体(熱電素子)としての有用性が高いことが確認される。
[Mg2Si0.55Sn0.45化合物の製造−2]
実施例1で用いたMg、Siと、実施例2で用いたSnとをモル比で2.05:0.55:0.45(=Mg:Si:Sn)となるようそれぞれ秤量する。そしてSiとSnとの混合物でMgを包み込むようにしてアルミナボートにセットする。このようにセットしたものを、Ar−3%H2混合ガスの不活性環境下で、0.1MPa(メガパスカル)、830℃(1103K)にして2時間のあいだ熱処理をし、固溶体を得る。生成した固溶体はソボロ状であった。
このようにして生成した固溶体をよく粉砕した後、円筒状の容器に充填し、0.2MPa、Ar雰囲気下で、焼結圧力50MPa、焼結温度を800℃として30分のあいだ焼結して金属化合物を得た。この化合物、並びに前記固溶体をX線回折したところ、図7に示すような回折パターン図になった。この結果から、固溶体は数種類の組成の相からなるMg2Si1−XSnXの固溶体であり、焼結して得た化合物は単相のMg2Si0.55Sn0.45であることが確認された。
[Mg2Ge固溶体の製造]
実施例1で使用したMgと、純度99.999%のGe微粉末とをモル比で2.05:1.00(=Mg:Ge)となるように秤量し、実施例1と同じ条件で反応させてMg2Ge固溶体を得た。生成した固溶体についてX線回折をしたところ、単相のMg2Ge固溶体であることが確認された。
[Mg2Ge0.50Sn0.50化合物の製造]
実施例5で製造したMg2Ge固溶体と、実施例2で製造したMg2Sn固溶体とを、等モル比となるよう秤量(Mg2Geを1.70g、Mg2Snを2.35g)し、これらをよく粉砕し混合したものについて、実施例3と同様の条件下にして温度800℃で焼結して化合物を得た。このようにして得られた化合物は単相またはほぼ単相であることが図8に示すX線回折パターン図から確認された。そしてこのことから図9に想像されるMg2Ge−Mg2Snの状態図を示す。
[Mg2Si0.50Sn0.50化合物の製造]
前記実施例1、2で製造した各固溶体についてそれぞれ良く粉砕(粉末粒径38〜75μm(マイクロメートル))した後、Mg2Si0.50Sn0.50の組成となるよう秤量(Mg2Siを1.000g、Mg2Snを2.182g)し、これらをよく混合した。この混合粉末を円筒状の容器に充填した。このものについて、X=0.45で良好な単相の固溶体が得られた焼結条件、つまり焼結温度を800℃、焼結圧力を50MPa、焼結時間を30分として焼結したところ、試料の一部が溶解して容器から流失してしまった。焼結温度は、Mg2Snの融点である776℃以上の温度で焼結することが好ましいが、Xが増加する(Snの量が増える)と融点降下の影響を受けてしまうことによるものと推定される。そこで、反応を十分に行わせるためには焼結温度をMg2Snの融点である776℃よりも高くすることは勿論であるが、800℃よりは低い温度とし、その分、焼結圧力についても高くすることが必要と考えられ、そこで焼結温度を780℃、焼結圧力を80MPaに設定したものについて30分のあいだ焼結したところ、溶解することなく焼結された。このもののX線回折パターン図を、X=0.45のものについて焼結して得た単相の固溶体のものと共に図10に示すが、780℃で焼結したものは肩上がりのピークが存在していることから単相の固溶体の生成は得られていないことが確認された。
このことは反応が十分に進行していない結果であると推定し、そこで焼結条件を厳しくするべく、焼結温度は780℃、焼結圧力は80MPaのままとし、焼結時間を30分、5時間、20時間と変化させてそれぞれ焼結した。これら焼結したものについてX線回折パターン図を図11に示す。これによると、焼結時間が30分、5時間のものは、肩上がりピークの部分があって単相の固溶体とはいえないが、焼結時間が20時間のものは肩上がりピークのない鋭いピークとなっており、このことから単相の固溶体が生成されていることが確認された。
[Mg2Si0.45Sn0.55化合物の製造]
前記実施例1、2で製造した各固溶体についてそれぞれ良く粉砕(粉末粒径38〜75μm(マイクロメートル))した後、Mg2Si0.45Sn0.55の組成となるよう秤量(Mg2Siを1.000g、Mg2Snを2.666g)し、これらをよく混合した。この混合粉末を円筒状の容器に充填した。この組成のものについても、実施例7のようになることが想定され、そこで焼結温度を780℃、焼結圧力を80MPaに設定したものについて、焼結時間を30分、20時間と変化させてそれぞれ焼結した。これら焼結したものについてX線回折パターン図を図12に示す。これによると、焼結時間が30分のものは、肩上がりピークの部分があって単相の固溶体とはいえないが、焼結時間が20時間のものは肩上がりピークのない鋭いピークとなっており、このことから単相の固溶体が生成されていることが確認された。
[Mg2Si1−XSnX化合物の特性]
そこで次に、Mg2Si1−XSnXについて、X=0.00、0.25、0.45、0.50、0.55、1.00と変化させたものを図13に示す焼結条件で焼結し、それぞれ生成した化合物の熱電性能について示す。また、図14に組成と焼結温度との関係を示すグラフ図を、図15に組成と熱伝導率との関係を示すグラフ図をそれぞれ示すが、熱伝導率κを見た場合に、特にX=0.45、0.50、0.55のものが2.0未満となっていて優れた熱電性能を有していることが確認されるが、さらにこれらのうち、X=0.50のものが熱伝導率κが1.86と最低値を示していて最も優れた熱電性能を有していることが確認された。
Mg2Si固溶体を製造するに際し、MgとSiのセット状態を示す概略図である。 Mg2Si固溶体のX線回折パターン図である。 Mg2Sn固溶体のX線回折パターン図である。 焼結温度を変えて得たMg2Si0.55Sn0.45化合物の特性を示す表図である。 Mg2Si−Mg2Snの想像される状態図である。 (A)(B)(C)は焼結温度を700℃、750℃、800℃にして焼結して得たMg2Si0.55Sn0.45のX線回折パターン図である。 Mg2Si0.55Sn0.45固溶体、およびこれを800℃で焼結して得た化合物のX線回折パターン図である。 Mg2Sn固溶体、Mg2Ge固溶体、並びにMg2Ge0.5Sn0.5化合物のX線回折パターン図である。 Mg2Ge−Mg2Snの想像される状態図である。 Mg2Si0.55Sn0.45およびMg2Si0.50Sn0.50を30分焼結して得た化合物のX線回折パターン図である。 焼結時間を30分、5時間、20時間とした場合のMg2Si0.50Sn0.50の焼結化合物のX線回折パターン図である。 焼結時間を30分、20時間とした場合のMg2Si0.45Sn0.55の焼結化合物のX線回折パターン図である。 Mg2Si1−XSnXのXを変化させた場合の焼結化合物の焼結条件、熱電性能を示した表図である。 組成と焼結温度との関係を示すグラフ図である。 組成と熱伝導率との関係を示すグラフ図である。

Claims (24)

  1. マグネシウム(Mg)と、該マグネシウムの融点よりも高い融点の金属を少なくとも一つ含む金属のなかから選択される少なくとも二種類の金属(A1、A2)とからなるマグネシウム−金属化合物の製造方法であって、前記選択されたマグネシウム−金属の各化合物(Mg2A1、Mg2A2)の固溶体の混合物から目的とするマグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)を得ることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法。
  2. マグネシウム(Mg)と、該マグネシウムの融点よりも高い融点の金属を少なくとも一つ含む金属のなかから選択される少なくとも二種類の金属(A1、A2)とからなるマグネシウム−金属化合物の製造方法であって、マグネシウムに、前記選択された金属(A1、A2)の混合物から得られる固溶体から目的とするマグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)を得ることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法。
  3. 請求項1または2において、マグネシウムの融点よりも高い融点の金属は、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法。
  4. 請求項3において、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)以外に選択される金属はスズ(Sn)、鉛(Pb)であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法。
  5. 請求項1乃至4の何れかにおいて、マグネシウム−金属の固溶体は、非粉末状体のマグネシウムと選択される少なくとも1種類の金属との混合物を不活性雰囲気下でマグネシウムの融点温度以上、沸点温度未満の温度で熱処理して製造されるものであることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法。
  6. 請求項1乃至5の何れかにおいて、固溶体の混合物あるいは固溶体から目的とするマグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)を得るため、焼結による熱処理をしてあることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法。
  7. 請求項1乃至6の何れかにおいて、目的物として得られるマグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)はほぼ単相であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法。
  8. 請求項1乃至7の何れかにおいて、マグネシウム−金属化合物は、
    Mg2Si1−XSnX
    であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法。
  9. 請求項8において、Xは、0.4<X<0.6の範囲であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法。
  10. 請求項1乃至7の何れかにおいて、マグネシウム−金属化合物は、
    Mg2Ge1−XSnX
    であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法。
  11. 請求項10において、Xは、0.14<X<0.6の範囲であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法。
  12. 請求項1乃至11の何れか一つにおいて、マグネシウム−金属化合物は熱電素子であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物の製造方法。
  13. マグネシウム(Mg)と、該マグネシウムの融点よりも高い融点の金属を少なくとも一つ含む金属のなかから選択される少なくとも二種類の金属(A1、A2)とからなるマグネシウム−金属の化合物(Mg2A11−XA2X)であって、該化合物は、前記選択されたマグネシウム−金属の各化合物(Mg2A1、Mg2A2)の固溶体の混合物から得たものであることを特徴とするマグネシウム−金属化合物。
  14. マグネシウム(Mg)と、該マグネシウムの融点よりも高い融点の金属を少なくとも一つ含む金属のなかから選択される少なくとも二種類の金属(A1、A2)とからなるマグネシウム−金属の化合物(Mg2A11−XA2X)であって、該化合物は、マグネシウムに、前記選択された金属(A1、A2)の混合物から得られる固溶体から得られたものであることを特徴とするマグネシウム−金属化合物。
  15. 請求項13または14において、マグネシウムの融点よりも高い融点の金属は、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物。
  16. 請求項15において、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)以外に選択される金属はスズ(Sn)、鉛(Pb)であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物。
  17. 請求項13乃至16の何れかにおいて、マグネシウム−金属の固溶体は、非粉末状体のマグネシウムと選択される少なくとも1種類の金属との混合物を不活性雰囲気下でマグネシウムの融点温度以上、沸点温度未満の温度で熱処理して製造されるものであることを特徴とするマグネシウム−金属化合物。
  18. 請求項13乃至17の何れかにおいて、マグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)は、固溶体の混合物あるいは固溶体を焼結の熱処理が施されていることを特徴とするマグネシウム−金属化合物。
  19. 請求項13乃至18の何れかにおいて、マグネシウム−金属化合物(Mg2A11−XA2X)はほぼ単相であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物。
  20. 請求項13乃至19の何れかにおいて、マグネシウム−金属の化合物は、
    Mg2Si1−XSnX
    であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物。
  21. 請求項20において、Xは、0.4<X<0.6の範囲であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物。
  22. 請求項13乃至19の何れかにおいて、マグネシウム−金属焼結体は、
    Mg2Ge1−XSnX
    であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物。
  23. 請求項22において、Xは、0.14<X<0.6の範囲であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物。
  24. 請求項13乃至23の何れかにおいて、マグネシウム−金属化合物は熱電素子であることを特徴とするマグネシウム−金属化合物。
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