JP2005126682A - ヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 食品、医療、電子材料などのクリーンな包装材、容器等が要求される分野において好適に使用される臭気および添加物や劣化物の溶出や移行性が少なく、かつ厚み斑の少ない低温ヒートシール性に優れた線状低密度ポリエチレン系フィルムおよびその製造方法。
【解決手段】 被接触物に移行する添加剤が含まれていないエチレンと炭素数が3〜12のα―オレフィンの共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを構成成分とするヒートシール性フィルムであり、フィルムの幅方向の厚み斑が、10%以内であることを特徴とするヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルム。また、Tダイ押し出し製膜において、Tスロット型ダイを用いる事を特徴とする上記のヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 被接触物に移行する添加剤が含まれていないエチレンと炭素数が3〜12のα―オレフィンの共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを構成成分とするヒートシール性フィルムであり、フィルムの幅方向の厚み斑が、10%以内であることを特徴とするヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルム。また、Tダイ押し出し製膜において、Tスロット型ダイを用いる事を特徴とする上記のヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムの製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、食品、医療、電子材料などのクリーンな包装材、容器等が要求される分野において好適に使用される臭気および添加物や劣化物の溶出や移行性の少ない低温ヒートシール性に優れたヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムに関し、特に厚み斑の小さいヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムおよびその製造方法に関するものである。
線状低密度ポリエチレン系フィルムは低温ヒートシール性、引裂強度、耐衝撃性、透明性等に優れており、食品、医療、電子材料などの包装材や容器として広い分野において使用されている。近年、社会の成熟に伴い、上記の分野においても、臭気および添加剤や劣化物の溶出や移行性に関して、市場要求が極めて高度化してきており、該特性を改良した、いわゆるクリーンな素材が強く待たれている。線状低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂はポリエステル樹脂等に比べ熱安定性等の安定性が劣り、これらを改善する目的で酸化防止剤等の各種安定剤が配合されている。該安定剤は目的とした効果を発現する点では有用であるが、該安定剤自体あるいはその劣化物が臭気や包装対象物の汚染原因になっており、これらの安定剤を配合しない樹脂を原料とした成型体が求められている。
上記市場要求に答えるものとして、例えば、牛乳、乳製品等の包装材料である紙容器や包装資材には、乳等省令告示52号等に適合する包装資材として、高圧法低密度ポリエチレンなどが用いられている。しかしながら、高圧法低密度ポリエチレンは、引裂強度、耐衝撃性、腰の強さ等が劣っているという問題を有している。また、低温シール性も不十分であり、これらの特性を満足することのできる線状低密度ポリエチレンによるクリーンな成型体の開発が嘱望されていた。所が、線状低密度ポリエチレンは前記高圧法低密度ポリエチレンに比して成型温度が高いために、樹脂の劣化を防止するための酸化防止剤を添加する必要があり、また、触媒残渣として塩素等のハロゲン元素が存在するために、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト等のハロゲン吸収剤(酸中和剤)等を添加する必要があるので、臭気や汚染物等の移行性において問題があった。
特定のパラメーターを最適化し、添加剤が配合されてなく、かつ前記ハロゲン化物量が低減され該添加剤が実質に被接触物に移行しない線状低密度ポリエチレン樹脂および該樹脂を原料としたクリーン成型体が開示されている(例えば、特許文献1、2、3、4参照。)
しかしながら、これらの方法はインフレーション法や押出しラミ法で製膜されておりフィルムの厚み斑が大きいので市場の要求を満たしていない。一方、厚み斑の小さい製品の得られるTダイ法による製膜は、上記のインフレーション法の製膜温度である160〜200℃に対して210〜270℃で押出す必要があり、添加剤が入っていない原料樹脂を用いた場合は、樹脂の安定性が劣るため劣化による臭気が強く市場要求を満たすことができない。インフレーション法ではバルーン形成の安定化のために高い押出し粘度が必要であり一般に低温で押出し成型がなされるのでクリーン成型体を得る点では有利であるがフィルムの厚み斑が大きくなるという課題を有している。一方、Tダイ法では低温での高溶融粘度押出しをすると流動斑が出やすくなり厚み斑が大きくなることに繋がるので高温で押出し成型が行われている。そのために、上記の市場要求に答えられていない。
本発明は従来技術の課題を背景としてなされたものであり、食品、医療、電子材料などのクリーンな包装材、容器等が要求される分野において好適に使用される臭気および添加物や劣化物の溶出や移行性の少ない低温ヒートシール性に優れたヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムに関し、厚み斑の小さいヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、被接触物に移行する添加剤が含まれていないエチレンと炭素数が3〜12のα―オレフィンの共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを構成成分とするヒートシール性フィルムであり、フィルムの幅方向の厚み斑が、10%以内であることを特徴とするヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムである。また、Tダイ押し出し製膜において、Tスロット型ダイを用いる事を特徴とする上記のヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムの製造方法である。
本発明のヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムは、低温シール性や耐衝撃性等の線状低密度ポリエチレン系フィルムの特性を有したうえに、酸化防止剤等の添加剤が含まれてない樹脂を原料としており、該酸化防止剤等の添加剤やその劣化物による臭気、溶出および移行等が少なく被接触物の汚染が抑制されており、かつ厚み斑が小さいので、食品、医療、電子材料などのクリーンな包装材、容器等が要求される分野において好適に使用することができる。また、本発明の製造方法により、上記の高品質なヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムを安定して、かつ経済的に製造することができるという利点がある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる線状低密度ポリエチレン系樹脂は、エチレンと炭素数が3〜12のα―オレフィンの共重合体から成っており、炭素数の数は、好ましくは4〜8の範囲で選択されることが望ましい。これらの共重合成分の具体例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1等が挙げられるが、本発明は上記化合物に限定されるものではない。これらの中でもブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1が好ましい。密度は880〜950kg/m3が好ましい。885〜930kg/m3がより好ましく、890〜920kg/m3がさらに好ましい。密度が880kg/m3未満では剛性、耐熱性および耐ブロッキング性が低下するので好ましくない。逆に、密度が950kg/m3超えた場合は低温ヒートシール性が悪化するので好ましくない。また、メルトマスフローレート(以下、MFRと記す)は、1〜100g/10分(190℃)の範囲内のものを用いるのが好ましい。2〜80g/10分(190℃)の範囲のものがより好ましく、さらに好ましくは、2〜50g/10分(190℃)の範囲内である。MFRが1g/10分(190℃)未満では、フィルム成型において、溶融粘度が高くなり、押出し機のモーターにかかる負荷が大きくなると共に、フィルムの厚み精度が低下するので好ましくない。逆に、100g/10分(190℃)を超えと溶融粘度が低くなり過ぎ製膜が困難になる上、得られたフィルムの力学特性が悪化するので好ましくない。
本発明に用いられる線状低密度ポリエチレン系樹脂は、エチレンと炭素数が3〜12のα―オレフィンの共重合体から成っており、炭素数の数は、好ましくは4〜8の範囲で選択されることが望ましい。これらの共重合成分の具体例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1等が挙げられるが、本発明は上記化合物に限定されるものではない。これらの中でもブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1が好ましい。密度は880〜950kg/m3が好ましい。885〜930kg/m3がより好ましく、890〜920kg/m3がさらに好ましい。密度が880kg/m3未満では剛性、耐熱性および耐ブロッキング性が低下するので好ましくない。逆に、密度が950kg/m3超えた場合は低温ヒートシール性が悪化するので好ましくない。また、メルトマスフローレート(以下、MFRと記す)は、1〜100g/10分(190℃)の範囲内のものを用いるのが好ましい。2〜80g/10分(190℃)の範囲のものがより好ましく、さらに好ましくは、2〜50g/10分(190℃)の範囲内である。MFRが1g/10分(190℃)未満では、フィルム成型において、溶融粘度が高くなり、押出し機のモーターにかかる負荷が大きくなると共に、フィルムの厚み精度が低下するので好ましくない。逆に、100g/10分(190℃)を超えと溶融粘度が低くなり過ぎ製膜が困難になる上、得られたフィルムの力学特性が悪化するので好ましくない。
上記のエチレンとα―オレフィンの共重合体よりなる線状低密度ポリエチレン系樹脂の製造方法は特に制限されるものでなく、例えば、チグラー・ナッタ系触媒やシクロペンタジエニル金属化合物等のいわゆるメタロセン系触媒や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、溶液重合法、スラリー重合法、塊状重合法、気相重合法、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法、溶液重合法などの方法で製造されたものが挙げられる。
本発明においては、上記の線状低密度ポリエチレン系樹脂は被接触物に移行する添加剤が含まれていないものであることが重要である。すなわち、酸化防止剤、滑剤、中和剤、帯電防止剤、加工性改良剤、紫外線吸収剤、防曇剤等の比較的低分子量の有機物よりなる移行性の添加剤を配合されていないもの、もしくは、該添加剤が配合されたとしても、該配合された添加剤が実質的に内容物等の被接触物に移行し臭気や味覚に対して悪影響を及ぼさない量である必要がある。例えば、酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートで代表されるフェノール系安定剤、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等で代表されるホスファイト系安定剤等である。滑剤としては、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルに代表される。触媒残渣の中和剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩及びハイドロタルサイト、帯電防止剤としては、炭素数8〜22の脂肪酸のグリセリンエステルやソルビタン酸エステル、ポリエチレングリコールエステル等に代表される。加工性改良剤として、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩等に代表される。紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、サリシレート系、シアノアクリレート系に代表される。防曇剤としては、グリセリン脂肪酸エステル系、ソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル系、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系に代表される。従って、外部に溶出してしまうような添加剤、例えば、内容物が液体の場合は、該液体に溶出されてしまうような添加剤、臭気が移行してしまう添加剤、あるいは時間とともにフィルム表面に偏在するような添加剤が樹脂中に含まれていないことにより、例えば食品の包装材や容器として用いた場合は、臭いや味覚の変化が少なく衛生的であり、また、医療や電子材料の包装材や容器として使用した場合は内容物を汚染しないクリーンフィルムが得られる。
本発明においては、実質的に被接触物に移行しない添加剤は本発明のクリーンフィルムの特性を本質的に阻害しない範囲で添加しても構わない。例えば、無機フィラーや有機、無機および無機/有機のハイブリッドポリマーよりなるフィラー等が例示される。無機フィラーとしては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウム、マグネシア、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、マイカ、ガラスフレーク、ゼオライト、珪藻土、パーライト、フライアッシュ、ガラスビーズ等が挙げられる。有機ポリマーよりなるフィラーとしては、ポリメチルメタクリレート架橋樹脂、ポリエステル架橋樹脂、フェノール樹脂、その他の合成樹脂の粉末及び微小ビーズ等よりなるものが挙げられる。無機ポリマーよりなるフィラーとしてはシリコーン樹脂よりなるものが、また、有機/無機ハイブリッド系ポリマーよりなるフィラーとしてはシリコーンと有機ポリマーとの複合樹脂よりなるもの等が挙げられる。
上記のフィラーの配合によりフィルムの滑り性を向上させ得られたフィルムのロールとしての巻き特性や得られたフィルムを使用する際の加工性を向上させることができる。
また、本発明においては、超低密度ポリエチレン、高圧法のポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、オレフィン系エラストマー等よりなる樹脂を配合してブロッキング防止、滑り性付与、耐衝撃性あるいはヒートシール特性の改善をすることも好ましい実施態様として推奨される。当然であるが、該改質用樹脂も上記の線状低密度ポリエチレン樹脂と同様に被接触物に移行する添加剤が含まれていないものを用いるのが好ましい実施態様である。
また、滑り性向上やブロッキング性防止性等を付与する目的でフィルム表面にエンボス加工を施す等の手段を取り入れることも好ましい実施態様である。
上記の線状低密度ポリエチレン樹脂は無添加グレードとして市販されている樹脂および樹脂配合物を用いても良いし、本発明の効果をより大きく発現できるように特別に設計したものを用いても構わない。
本発明においては、フィルムの幅方向の厚み斑が、10%以内にすることが重要である。8%以内がより好ましく、6%以内がさらに好ましい。10%を超えた場合は、フィルムをロール状にして保存した場合に起こる巻き締まり現象により発生する張力が厚み斑によりフィルムの幅方向に変動が発生しフィルムの部分たるみ等の変形が発生する。そのため、厚み斑の大きなフィルムの場合は、例えば、ラミネート素材として使用した場合はラミネート加工時にたるみ等の変形により皺の発生や空気の巻き込みが起こり加工操業性が低下し、かつ得られる製品の皺、透明斑等の外観不良やラミネート強度変動等に繋がる可能性があるので好ましくない。近年、ヒートシール性フィルムについてもそのフィルムの厚み斑に関する市場要求の厳しさが増してきており重要な特性である。なお、本発明における上記厚み斑は、フィルム幅400mm以上で、フィルム長1000m以上のロールにおいて満たされるのが好ましい。
本発明は、請求項3に記載のごとくTダイ法で製膜する必要がある。前述のごとく従来Tダイ法の製膜は200℃以上の温度で押出し成型されてきた。しかし、本発明では酸化防止剤等の安定剤を含まない線状低密度ポリエチレン樹脂を原料とする必要があり、従来公知の温度で押出し成型した場合は線状低密度ポリエチレン樹脂の熱劣化が起こり本発明の目的としているクリーンなフィルムが得られないので対策が必要となる。この課題を解決する手段は限定されないが、請求項4に記載のごとくダイス出口の樹脂温度が150〜200℃で押出し成型することが好ましい実施態様である。155〜195℃がより好ましく、160〜190℃がさらに好ましい。150℃未満では原料樹脂の溶融粘度が高くなりすぎ流動特性が悪化し得られるフィルムの厚み斑が増加するので好ましくない。逆に、200℃を超えた場合は劣化が増大するので好ましくない。なお、本発明におけるダイス出口の樹脂温度は精度が±5℃以内の赤外線式温度計を用いて測定したものである。該赤外線式温度計としてはチノー社製ポリエチレンフィルム用IR−CAM型が例示される。
上記の押出し温度で成型するための達成手段として原料の線状低密度ポリエチレン樹脂のMFRを高くする方法が挙げられるが、得られるフィルムの機械特性が満足されなくなるので好ましくない。従って、MFRは、1〜100g/10min(190℃)、好ましくは2〜80g/10min(190℃)、さらに好ましくは2〜50g/10min(190℃)のものを用いることが必要となる。該MFRの線状低密度ポリエチレン樹脂を用いて、上記、150〜200℃押出し温度で成型すれは、劣化は低減出来るが、フィルムの厚み斑を上記範囲にすることが困難となる。従って、得られるフィルムの特性を本発明の範囲にするためには、上記の押出し温度で押出しても厚み斑が大きくならないための改善が必須となる。そためには製膜機、特にダイスの構造や製膜条件の最適化が必要である。該方策について言及する。
まず上記達成手段の一つにダイスの形状最適化がある。一般に今日のプラスチック工業で広く使用されているコートハンガーダイはクラムシェルの問題を抱えていた。このクラムシェル現象はダイ本体の中央部に力が多く掛かりダイ端部より大きく変形するというダイの変形のことである。この不均一な変形は粘度の変動や吐出量の変動から絶え間なく樹脂圧が変化する点から厚み斑が発生し易い。また、コートハンガーダイは、圧力調整機構がマニホールドの配置の結果からプレランド部にあり、三角形の形状(コートを掛けるハンガーのような形状)をしている。このプレランドの形状は樹脂の異なる粘度に対して、直線のプレランド部で粘性変化を合わせるのは通常不可能である。その結果、一般にWパターンと呼ばれダイ出口で早く流れる部分と遅くなる部分が発生し、均一な流れにならない問題があった。それが厚み斑や熱履歴の違いによる劣化の原因になっていた。一方、近年、上記のコートハンガーダイの課題を克服するための方策としてTスロット型ダイが注目されている。該Tスロット型ダイは、例えば、Gary D.Oliver、「最新の共押出技術と市場同行」、コンバーテック、1996年12月、第24巻、第12号、P14〜19や小山、「機能性多層フィルムの押出技術」、プラスチックエージ、2003年、6月、第49巻、第595号、P93〜97等に記載されているように、以下の特徴を有している。
特徴1として、Tスリット型ダイのアスペクト比を大きくした直線状のマニホールドになっており、それにより、厚みの均一性を向上させることが出来きる。さらに樹脂が流れる面に力が均一にかかるのでクラムシェルが発生しない。特徴2として、プレランドを2段階にしてその段差部分の形状を曲線状に作ることにより、ダイス全体でバランスの取れた均一の流れになるような設計がなされており、溶融樹脂の各種粘度に対応できるように改良されている。従って、請求項3に記載のごとくTスロット型ダイを使用することが重要である。
特徴1として、Tスリット型ダイのアスペクト比を大きくした直線状のマニホールドになっており、それにより、厚みの均一性を向上させることが出来きる。さらに樹脂が流れる面に力が均一にかかるのでクラムシェルが発生しない。特徴2として、プレランドを2段階にしてその段差部分の形状を曲線状に作ることにより、ダイス全体でバランスの取れた均一の流れになるような設計がなされており、溶融樹脂の各種粘度に対応できるように改良されている。従って、請求項3に記載のごとくTスロット型ダイを使用することが重要である。
上記のTスロット型ダイの使用はフィルムの厚み斑の低減対策として有効であるが、本発明においては、押出し温度が低いためダイスリップにおける溶融樹脂のせん断粘度が高くなるので、線状低密度ポリエチレン樹脂に添加された、例えば無機フィラー等の樹脂に溶解しない添加物がダイスリップで流動体の外にはじきだされリップ口の周辺に析出して通常「目やに」と称する汚れを形成しフィルムの厚み斑や異物混入に悪影響を及ぼす。
このような高精度のTスロット型ダイを使う事により、フィードブロックの簡略化が可能となる。従来技術、例えばコートハンガー型ダイでは、ダイスでの厚み調整、品質均一化が不十分だったので、フィードブロックで厚み調整、品質均一化の補助を行う必要があり複雑な形状になっていたが、上記のTスロット型ダイの場合はダイス内の溶融樹脂の流れが均一化されているので、フィードブロックが簡略化出来る。該簡略化によりデッドスペースが減少できるので、熱劣化の低減に効果がでる。
Tストット型ダイ周りの空気の流れ方向がフィルムの厚み斑に影響を与えるので最適化することが好ましい実施態様である。該Tスロット型ダイから出てくる溶融樹脂シートに対して垂直な空気の流れである風を無くすことが重要である。これは溶融状態で垂直な風を受けると、溶融樹脂シートが振れて、その振れた部分の厚み変化や部分的な冷却斑が発生し厚み斑に繋がる。該対策の一つとしてシート、板、などで囲いを作り、ダイス回りを囲いで囲みダイス出口に上記の好ましくない風が当たらないようすることが挙げられる。さらに、積極的にダイス出口の溶融樹脂シートの流れが乱れないような風の流れを作ることも好ましい実施態様である。
Tスロット型ダイ周りの温度斑も厚み斑に影響を及ぼすので、できるだけ温度斑を小さくすることも重要である。例えば、前記のダイス周りに囲いをすることは当該現象の改善にも繋がるので好ましい実施態様として推奨される。また、湿度を高めた状態でしかも加温した状態にすることによりで温度斑が小さくなるので好ましい実施態様である。
Tスロット型ダイより押し出された溶融樹脂シートの冷却ロールへの密着方法の改善もフィルム厚み精度向上の重要な要因である。例えば、エアーで冷却ロールに密着させる方法として、エアーノズル法、エアーチャンバー法あるいはエアーナイフ法および真空チャンバー法等が広く普及しているが、請求項5に記載のごとく上記3方法を同時に作用させることが好ましい実施態様である。すなわち、溶融樹脂シートの冷却ロールへの密着に際して、エアーノズル法で両端を固定し、エアーチャンバー法あるいはエアーナイフ法により溶融樹脂シートの全幅の冷却ロールへの押さえつけを行い、同時に真空チャンバー法を作用させ溶融樹脂シートと冷却ロールの間への空気の巻き込みを防止することにより厚み斑が低減される。該方法においてもエアーナイフやエアーチャンバーの風を溶融樹脂シートに対して均一に、かつ流れの乱れが発生しないように当てる事および真空チャンバーの吸引力が幅および流れ方向において均一になるように装置構造、取り付け位置、エアーナイフやエアーチャンバーの空気の風量や方向、真空チャンバーの吸引度や吸引方向等を最適化することも大切である。このことにより、溶融樹脂シートの振れを小さくする事ができ、厚み精度向上に繋げられるので有効な手段として推奨される。
上記密着方法におけるエアーチャンバー法とエアーナイフ法の選択は該装置を設置する場所の空間容積や真空チャンバーの性能との関係で適宜選択すれば良い。
上記の押出し温度の温度範囲での製膜により、熱劣化を抑制することはできるが、本発明においては、原料の線状低密度ポリエチレン樹脂に酸化防止剤の配合がされていないので該押出し温度の最適化のみでは熱劣化を安定化することは困難である。該熱劣化低減のその他の好ましい達成手段について言及する。
本発明で使用する原料の線状低密度ポリエチレン樹脂ペレットは、乾燥するときに不活性ガス置換をして、乾燥したものを使用するのが好ましい。不活性ガス置換により脱酸素され押出し機に入り溶融する時の酸化分解が押さえられ、熱劣化の低減に繋がる。また、製膜の為の押出し機のホッパーや原料を入れるサイロにも酸素が入らないように不活性ガスで置換し、原料が酸化しない状態にしておくのも好ましい実施態様である。該方法は原料樹脂と共に押出し機への酸素の混入が抑えられる効果もありゲル生成の抑制に繋がる。該方策の採用はゲル生成抑制だけでなく臭気や味覚に影響する分解物の生成を抑制効果をも併せて発現できる。使用する不活性ガスとして、希ガス類元素例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンの6元素が挙げられるが、高価であるので実際的ではない。安価で入手が容易な窒素ガスが好ましい。
近年は原料配合物の混練効果を向上する目的で2軸押出し機が用いられることが多くなってきているが、本発明では低温押出しが必要であり2軸押出し機では局部発熱による樹脂の劣化が起こることがあるので、単軸スクリューを用いた押出し機を用いることが好ましい実施態様として推奨される。単軸スクリューの欠点は、スクリュー回転の高速化に伴って、混合・混練不良が発生する上、樹脂温度の過度な上昇のため適正な操業に限界があることである。この問題を解決するためには、例えば、坂上、「ミキシングスクリュの実験的研究[2].単軸スクリュの実験研究(2)」、プラスチックエージ、2003年4月、第49巻、第593号、P146〜157において記載されている3ステージスクリュー構造をとるのが好ましい実施態様である。すなわち、スクリューの中間部にミキシングエレメントを設け、その手前を第1ステージ、ミキシングエレメント部を第2ステージ、その後を第3ステージとする3ステージスクリュー構造をとるのが好ましい。中間部のミキシングエレメントにより混合・混練性能を高めると共に、先端の溝深さを深くして過度の発熱を抑制し、冷却能力を補強し、併せて押出し量をアップを図ることがより好ましい実施態様である。2軸タイプでもスクリュー設計を適切に調整することにより可能であり排除はされない。
回収原料も熱劣化抑制の重要な要素である。多くの場合、製品、切開屑等を再利用して原料に混ぜて使用している。それらを製品、切開屑などを溶融して樹脂ペレットにする方法。圧力により、それら製品、切開屑などを圧力により、ペレット状、板状にする方法。半溶融状態でペレット状にする方法が知られている。溶融し、ペレットにする方法は、熱により溶融しペレットにするので、熱劣化が発生する。圧力によりペレットにする方法は、柔らかいフィルムには不向きで、ペレットにしても元のフィルムの形に戻ろうとする力が強く、時間の経過と共に形が変化していく場合があり、管理が難しい。半溶融状態でペレットにする方法は、そのような時間の経過と共に変化することなく均一であり、熱劣化が発生しにくいので好ましい。
本発明においては、請求項2に記載のごとくシール開始温度が80〜140℃であることが好ましい実施態様である。85〜135℃がより好ましく、90〜130℃がさらに好ましい。シール開始温度が80℃未満では耐ブロッキング性が低下し二次加工適性が低下するので好ましくない。一方、140℃を超えた場合は低温シール性が悪化し、高速ヒートシール加工におけるシール強度低下に繋がるので好ましくない。
本発明で使用されるフィルム厚みは、5〜300μmである。好ましくは、10〜200μmである。
本発明で得られたヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムは、酸化防止剤等の被接触物に移行する添加剤が含まれていない線状低密度ポリエチレン樹脂を原料としており、かつ低温で押出し製膜がなされているので、該添加剤やその劣化物による臭気、溶出および移行等が少なく被接触物の汚染が抑制されているので、食品、医療、電子材料等のクリーンな包装材、容器等が要求される分野において好適に使用することができる。
また、食品用に使用した場合は食品の味覚変化が少ないという効果が発現できる。例えば、臭気に関しては官能評価のみでなく熱線型半導体式ガスセンサーを使用することによりその効果が定量的に評価できる。
また、食品用に使用した場合は食品の味覚変化が少ないという効果が発現できる。例えば、臭気に関しては官能評価のみでなく熱線型半導体式ガスセンサーを使用することによりその効果が定量的に評価できる。
次に実施例および比較例を用いて、本発明を具体的に説明する。なお、各実施例で得られたフィルム特性は以下の方法により測定、評価した。
[シール開始温度]
ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)の間に、シール面がお互い向き合うようにフィルムを挟み込み0.2MPa×1秒で熱傾斜型シーラー(東洋精機社製)にて、シール面同士シールする。引張試験機(島津製作所製オートグラフ、形式:S−100−D)にて速度200mm/分で15mm巾での強度(N/15mm)を評価する。ポリエチレンテレフタレートとしては、東洋紡績(株)社製:E5100(12μm)を使用する。シール開始温度とは、シール強度が4.9N(500g)/15mmに到達する温度をいう。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)の間に、シール面がお互い向き合うようにフィルムを挟み込み0.2MPa×1秒で熱傾斜型シーラー(東洋精機社製)にて、シール面同士シールする。引張試験機(島津製作所製オートグラフ、形式:S−100−D)にて速度200mm/分で15mm巾での強度(N/15mm)を評価する。ポリエチレンテレフタレートとしては、東洋紡績(株)社製:E5100(12μm)を使用する。シール開始温度とは、シール強度が4.9N(500g)/15mmに到達する温度をいう。
[厚み斑評価]
JIS K7130:1999年に準じて評価する。一部方法が異なる部分は以下に詳細を説明する。測定する環境は、23℃×50%RH室内で行う。測定は、フィルムの両端5cmづつをカットし、該両端がカットされたサンプルを幅方向に40等分し測定位置に印を付ける。該印の位置で印の部分を外した場所についてダイヤルゲージにて行う。計測はフィルムロールMD方向に15cm、TD方向に全巾、表層部の皺のない部分から2巻き剥いだ部分と巻き芯部の皺の無い部分から2巻きほど剥いだ部分の2ヶ所で、それぞれ3サンプルを取り、その6サンプルの平均値を求める。使用する計測器は、最小読み取り値が0.001mmとする。精度は、JIS B7503:1997年に規定してあるダイヤルゲージと同等以上のものとする。
JIS K7130:1999年に準じて評価する。一部方法が異なる部分は以下に詳細を説明する。測定する環境は、23℃×50%RH室内で行う。測定は、フィルムの両端5cmづつをカットし、該両端がカットされたサンプルを幅方向に40等分し測定位置に印を付ける。該印の位置で印の部分を外した場所についてダイヤルゲージにて行う。計測はフィルムロールMD方向に15cm、TD方向に全巾、表層部の皺のない部分から2巻き剥いだ部分と巻き芯部の皺の無い部分から2巻きほど剥いだ部分の2ヶ所で、それぞれ3サンプルを取り、その6サンプルの平均値を求める。使用する計測器は、最小読み取り値が0.001mmとする。精度は、JIS B7503:1997年に規定してあるダイヤルゲージと同等以上のものとする。
[ダイス出口の樹脂温度]
本発明におけるダイス出口の樹脂温度は精度が±5℃以内の赤外線式温度計を用いて測定する。Tダイの幅方向等分した5箇所をn=3で計測し、その平均値を求める。チノー社製ポリエチレンフィルム用IR−CAM型を使用し、溶融樹脂から10〜15cmの位置で計測する。
本発明におけるダイス出口の樹脂温度は精度が±5℃以内の赤外線式温度計を用いて測定する。Tダイの幅方向等分した5箇所をn=3で計測し、その平均値を求める。チノー社製ポリエチレンフィルム用IR−CAM型を使用し、溶融樹脂から10〜15cmの位置で計測する。
[臭い評価]
測定環境は、23℃の環境下で行なう。ポータブル型臭いセンサーとして、熱線型半導体式ガスセンサー(キーエンス製:NS720、NS710)を使用する。機器調整終了後、測定するサンプルが入ったフラスコにセンサー部を入れ2分後の値を読み取る。
評価用サンプルは、流れ方向にカットしたA4サイズのフィルムを流れ方向に16分割し短冊状にする400mlのフラスコに入れ口部をアルミ箔で蓋をして、60℃×30分オーブン(根来製作所製循環式熱風乾燥機、形式:102.S.01)で加温した後、23℃×50%RH×2時間放置後、計測する。
測定環境は、23℃の環境下で行なう。ポータブル型臭いセンサーとして、熱線型半導体式ガスセンサー(キーエンス製:NS720、NS710)を使用する。機器調整終了後、測定するサンプルが入ったフラスコにセンサー部を入れ2分後の値を読み取る。
評価用サンプルは、流れ方向にカットしたA4サイズのフィルムを流れ方向に16分割し短冊状にする400mlのフラスコに入れ口部をアルミ箔で蓋をして、60℃×30分オーブン(根来製作所製循環式熱風乾燥機、形式:102.S.01)で加温した後、23℃×50%RH×2時間放置後、計測する。
[MFR]
JIS K 7210:1999年に準じて、評価条件は、2.16kg、190℃で原料樹脂の粘度を評価した。
JIS K 7210:1999年に準じて、評価条件は、2.16kg、190℃で原料樹脂の粘度を評価した。
[樹脂密度]
JIS K 7112:1999年に準じて、密度を評価した。
JIS K 7112:1999年に準じて、密度を評価した。
[実施例1]
通常の線状低密度ポリエチレン樹脂に添加されている酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤等の安定剤や滑り性向上等の機能性付与のための添加剤は全く添加されていない樹脂密度925kg/m3およびMFR8g/10min(190℃)の線状低密度ポリエチレン樹脂をスクリュー直径250mmの3ステージ型単軸押出し機を使用し、幅3000mmのTスロット型ダイを用いて、ダイス出口の樹脂温度180℃で押出した。ダイスからでてきた溶融樹脂シートを30℃の冷却ロールで冷却し、厚み30μmの線状低密度ポリエチレン系フィルムを得た。原料の線状低密度ポリエチレン樹脂の乾燥は窒素ガス置換して行った。また、上記押出し機への供給用サイロやホッパーも窒素ガス置換をした。冷却ロールでの冷却に際しては、エアーノズルで冷却ロール上のフィルムの両端を固定し、エアーナイフで溶融樹脂シートの全幅の冷却ロールへの押さえつけを行い、同時に真空チャンバーを作用させ溶融樹脂シートと冷却ロールの間への空気の巻き込みを防止した。また、ダイス周りはシートで囲い、溶融樹脂シートに風が当たらないようした。製膜は100m/分の速度で実施した。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
通常の線状低密度ポリエチレン樹脂に添加されている酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤等の安定剤や滑り性向上等の機能性付与のための添加剤は全く添加されていない樹脂密度925kg/m3およびMFR8g/10min(190℃)の線状低密度ポリエチレン樹脂をスクリュー直径250mmの3ステージ型単軸押出し機を使用し、幅3000mmのTスロット型ダイを用いて、ダイス出口の樹脂温度180℃で押出した。ダイスからでてきた溶融樹脂シートを30℃の冷却ロールで冷却し、厚み30μmの線状低密度ポリエチレン系フィルムを得た。原料の線状低密度ポリエチレン樹脂の乾燥は窒素ガス置換して行った。また、上記押出し機への供給用サイロやホッパーも窒素ガス置換をした。冷却ロールでの冷却に際しては、エアーノズルで冷却ロール上のフィルムの両端を固定し、エアーナイフで溶融樹脂シートの全幅の冷却ロールへの押さえつけを行い、同時に真空チャンバーを作用させ溶融樹脂シートと冷却ロールの間への空気の巻き込みを防止した。また、ダイス周りはシートで囲い、溶融樹脂シートに風が当たらないようした。製膜は100m/分の速度で実施した。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の方法において、押出し機をシングルステージ型に、ダイスをコートハンガー型に替え、かつ冷却ロールとの密着をエアーチャンバーのみに変更し、ダイス周りの囲いを無くすように変更する以外は、実施例1と同様にして比較例1の線状低密度ポリエチレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
実施例1の方法において、押出し機をシングルステージ型に、ダイスをコートハンガー型に替え、かつ冷却ロールとの密着をエアーチャンバーのみに変更し、ダイス周りの囲いを無くすように変更する以外は、実施例1と同様にして比較例1の線状低密度ポリエチレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
[比較例2]
比較例1の方法において、押出し温度を230℃にする以外は、比較例1と同様にして比較例2の線状低密度ポリエチレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
比較例1の方法において、押出し温度を230℃にする以外は、比較例1と同様にして比較例2の線状低密度ポリエチレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
[比較例3]
比較例1の方法において、状低密度ポリエチレン樹脂として添加剤を入れた樹脂を使用する以外は、比較例1と同様にして比較例3の線状低密度ポリエチレンフィルムを得た。添加剤は、酸化防止剤として、イルガノックス1076:1500ppm(チバスペシャルティケミカルズ社製)、イルガフォス168:500ppm、(チバスペシャルティケミカルズ社製)、中和剤として、カルシウムステアレートS:1000ppm、(日本油脂社製)、滑剤として、アーモスリップE:800ppm(ライオン社製)、サイリシア450:5000ppm(富士シリシア化学社製)添加した。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
比較例1の方法において、状低密度ポリエチレン樹脂として添加剤を入れた樹脂を使用する以外は、比較例1と同様にして比較例3の線状低密度ポリエチレンフィルムを得た。添加剤は、酸化防止剤として、イルガノックス1076:1500ppm(チバスペシャルティケミカルズ社製)、イルガフォス168:500ppm、(チバスペシャルティケミカルズ社製)、中和剤として、カルシウムステアレートS:1000ppm、(日本油脂社製)、滑剤として、アーモスリップE:800ppm(ライオン社製)、サイリシア450:5000ppm(富士シリシア化学社製)添加した。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
[比較例4]
空冷インフレーション方式、プラコー製押出し機(スクリュー直径55mm)、樹脂温度170℃、フィルム幅300mm、ブロー比2.7で単層押出しし、フィルム成型した。使用樹脂は、実施例1と同じ密度でMFR2g/10min(190℃)ものを用いた。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
空冷インフレーション方式、プラコー製押出し機(スクリュー直径55mm)、樹脂温度170℃、フィルム幅300mm、ブロー比2.7で単層押出しし、フィルム成型した。使用樹脂は、実施例1と同じ密度でMFR2g/10min(190℃)ものを用いた。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
[実施例2]
実施例1の方法において、樹脂密度を915kg/m3、押出し温度を170℃、フィルム厚みを50μmに変更する以外は、実施例1と同様にして実施例2の線状低密度ポリエチレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
実施例1の方法において、樹脂密度を915kg/m3、押出し温度を170℃、フィルム厚みを50μmに変更する以外は、実施例1と同様にして実施例2の線状低密度ポリエチレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
実施例1および2で得られたフィルムは、臭気、厚み斑共に良好であった。一方、比較例1および4で得られたフィルムは厚み斑が劣り、比較例2および3で得られたフィルムは臭気、厚み斑共に劣っていた。
本発明のヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムは、低温シール性や耐衝撃性等の線状低密度ポリエチレン系フィルムの特性を有したうえに、酸化防止剤等の添加剤が含まれてない樹脂を原料としており、該酸化防止剤等の添加剤やその劣化物による臭気、溶出および移行等が少なく被接触物の汚染が抑制されており、かつ厚み斑が小さいので、食品、医療、電子材料などのクリーンな包装材、容器等が要求される分野において好適に使用することができる。また、本発明の製造方法により該高品質な低温ヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムが安定して、かつ経済的に製造できる。従って、産業界に寄与する事が大である。
Claims (5)
- 被接触物に移行する添加剤が含まれていないエチレンと炭素数が3〜12のα―オレフィンの共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを構成成分とするヒートシール性フィルムであり、フィルムの幅方向の厚み斑が、10%以内であることを特徴とするヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルム。
- シール開始温度が80〜145℃であることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルム。
- Tダイ押し出し製膜において、Tスロット型ダイを用いる事を特徴とする請求項1または2に記載のヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムの製造方法。
- ダイス出口の樹脂温度が150〜200℃であることを特徴とする請求項3に記載のヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムの製造方法。
- Tスロット型ダイより押し出されたフィルムを冷却ロールに密着させるに際して、エアーノズル法、エアーチャンバー法あるいはエアーナイフ法および真空チャンバー法を同時に作用してなることを特徴とする請求項3または4に記載のヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムの製造方法。
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JP2004231407A JP2005126682A (ja) | 2003-10-03 | 2004-08-06 | ヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムおよびその製造方法 |
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-
2004
- 2004-08-06 JP JP2004231407A patent/JP2005126682A/ja not_active Withdrawn
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