JP2004035625A - 4−メチル−1−ペンテン系重合体の樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【構成】(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して、
(B)ヒンダードフェノール系化合物0.01〜0.5重量部を加え、
さらに、
(D)フェノールアクリレート系化合物0.01〜0.5重量%、
(E)アルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物0.01〜0.5重量%、
及び、
(F)ホスファイト系化合物0.01〜0.5重量%
からなる(D)乃至(F)のうちの少なくとも1つを加えてなることを特徴とする、樹脂組成物。
【効果】本発明の樹脂組成物は、耐熱性、離型性、透明性に優れる。かつ従来品では製造不可能であった高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体のペレットの製造や、それを用いることにより延伸成形やブロー成形を容易にすることができる。また、フィルム成形や押出ラミネート成形、射出成形のような高剪断速度の条件下でも熱分解の起こりにくいため、これら成形時の生産性が向上できる。
【選択図】 なし
(B)ヒンダードフェノール系化合物0.01〜0.5重量部を加え、
さらに、
(D)フェノールアクリレート系化合物0.01〜0.5重量%、
(E)アルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物0.01〜0.5重量%、
及び、
(F)ホスファイト系化合物0.01〜0.5重量%
からなる(D)乃至(F)のうちの少なくとも1つを加えてなることを特徴とする、樹脂組成物。
【効果】本発明の樹脂組成物は、耐熱性、離型性、透明性に優れる。かつ従来品では製造不可能であった高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体のペレットの製造や、それを用いることにより延伸成形やブロー成形を容易にすることができる。また、フィルム成形や押出ラミネート成形、射出成形のような高剪断速度の条件下でも熱分解の起こりにくいため、これら成形時の生産性が向上できる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂組成物に関し、高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体を容易に得ることができ、延伸成形物として有用である樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
4−メチル−1−ペンテン系重合体は融点が220〜240℃であり、耐熱性、透明性、離型性などの各種の特性が優れることが知られている。またポリオレフィンであるため、安全衛生性にも優れている。この4−メチル−1−ペンテン系重合体は、種々の製造方法によって得ることができるが、その分子量の範囲は、分子量の指標として用いられているASTM D1238に準じた5kg荷重、260℃におけるメルトフローレート(以下MFR)の値で0.05〜500g/10分である(特開平2−77460号等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記4−メチル−1−ペンテン系重合体の成形には、押出機で同樹脂を溶融させてから行なうため、押出機のホッパー等の清掃が容易なペレット(平均粒子直径約1〜4mm)が用いられている。
そして、このペレットを製造するために、同樹脂の重合反応直後の形態であるパウダー(粒子直径約0.01〜1mm)を押出機で溶融させ、ダイノズルから押出した樹脂をカッティングする。しかし、4−メチル−1−ペンテン系重合体は、溶融時に熱分解しやすい特性のため、重合直後のパウダーでの分子量とペレットでの分子量の間に差が必要であった。そのため、高分子量であるMFRが0.05〜1g/10分の重合直後のパウダーを用いても、結局MFRが7〜10g/10分の分子量のペレットしか製造することができなかった。
【0004】
また、4−メチル−1−ペンテン系重合体の延伸成形やブロー成形においては、成形性の良好な高分子量のペレットが適しており、上記のMFRが7〜10g/10分の分子量のペレットでは成形が困難であった。
また、4−メチル−1−ペンテン系重合体をフィルム成形や押出ラミネート成形、射出成形のような高剪断速度の条件で成形すると、剪断発熱による熱分解が激しく起こるため、成形品が黄色味を帯びてしまい外観不良となる問題があった。そのため、外観良好な品質のためには、剪断速度を低下させた条件、すなわち押出機での生産速度を下げるなどの運転をせざるを得ないため、極めて低生産性であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体でのペレットを製造することにより、延伸成形やブロー成形を容易にする樹脂組成物を提供することにある。
また、フィルム成形や押出ラミネート成形、射出成形においても、高剪断速度の条件下でも熱分解の起こりにくい、その結果生産性を向上できる樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意研究の結果、4−メチル−1−ペンテン系重合体に対して、ヒンダードフェノール系化合物、フェノールアクリレート系化合物又はアルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物又はホスファイト系化合物を加えてなる樹脂組成物が溶融時の熱分解が少なく、高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体のペレットを得ることができることを見出し、本発明に到達した。さらに、この樹脂組成物は、延伸成形やブロー成形のみならず、フィルム成形、押出ラミネート成形、射出成形にも有用なことを見出し、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して、
(B)ヒンダードフェノール系化合物0.01〜0.5重量部を加え、
さらに(C)フェノールアクリレート系化合物0.01〜0.5重量部及び/又は(D)アルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物0.01〜0.5重量%及び/又は(E)ホスファイト系化合物0.01〜0.5重量%を加えてなることを特徴とする樹脂組成物である。
【0007】
(B)ヒンダードフェノール系化合物が下記(b−1)または(b−2)の構造式で示される化合物から選ばれる少なくとも1種化合物である4−メチル−1−ペンテン系重合体の樹脂組成物も本発明の好ましい態様である。
式(b−1)中、mは2または4、nは0または2である。
式(b−1)、(b−2)中、R1は下記式(b−3)である。
式(b−3)中、R2およびR3は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。R4はエステル基を含む下記式(b−4)〜(b−7)で表されるいずれかの基である。
【0008】
【化5】
【0009】
(C)フェノールアクリレート系化合物が下記(c−1)の構造式で示される化合物である4−メチル−1−ペンテン系重合体の樹脂組成物も本発明の好ましい態様である。
式(c−1)中、R1は水素原子またはメチル基、R2〜R5は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ペンチル基である。
【0010】
【化6】
【0011】
(D)アルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物が下記(d−1)の構造式で示される化合物である4−メチル−1−ペンテン系重合体の樹脂組成物も本発明の好ましい態様である。
式(d−1)中、R1、R2は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。R3、R4は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはメチル基である。
【0012】
【化7】
【0013】
(E)ホスファイト系化合物が下記(e−1)または(e−2)または(e−3)のいずれかの構造式で示される特許請求の範囲の欄の請求項1に記載の樹脂組成物も本発明の好ましい態様である。
式(e−1)中、R1は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはメチル基である。R2およびR3は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。
式(e−2)中、R1、R2は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。
式(e−3)中、R1〜R5は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。R6はメチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、メチル基が好ましい。
【0014】
【化8】
【0015】
上記樹脂組成物を用いて得られる延伸成形物も本発明の好ましい態様である。より具体的には、一軸延伸フィルム成形、二軸延伸フィルム成形、インフレーションフィルム成形、中空成形、射出ブロー成形、真空成形することによって得られる離型フィルム、離型紙、哺乳ビン、農薬容器、実験器具、医療用容器、化粧品容器、洗剤容器、食品容器、接着剤容器である延伸成形物も本発明の好ましい態様である。
【0016】
上記樹脂組成物を用いて成形されるフィルム成形品、押出ラミネート成形品、射出成形品も本発明の好ましい態様である。
より具体的には、食品包装フィルム、鮮度保持包材、ラップフィルム、離型フィルム、合皮用離型紙、食品容器、実験器具、医療用容器、化粧品容器、洗剤容器、食品容器、接着剤容器である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して、(B)ヒンダードフェノール系化合物0.01〜0.5重量部を加え、さらに(C)フェノールアクリレート系化合物0.01〜0.5重量部及び/又は(D)アルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物0.01〜0.5重量%及び/又は(E)ホスファイト系化合物0.01〜0.5重量%を加えてなることを特徴とする樹脂組成物である。
【0018】
以下、本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体について説明する。
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体とは、4−メチルペンテン−1と他のα―オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1―オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1―オクタデセン、エイコセン等の炭素数2乃至20のα―オレフィンとの共重合体である。本発明では該α―オレフィンとしては、この中でも炭素数10〜20のα―オレフィンが好ましく、特に1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンが好ましい。
本発明に使用される4−メチルペンテン−1系重合体における上記α―オレフィンの含有量は、通常0〜20重量%以下、好ましくは1〜10重量%である。
【0019】
本発明において用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体は、高温GPC試験法により測定される重量平均分子量が10万〜500万のものが用いられる。その中で、延伸成形やブロー成形に好適な高分子量のペレットを製造するためには、重量平均分子量が100万〜500万のパウダー(平均粒子直径約1mm以下)が好ましい。また、フィルム成形、押出ラミネート成形、射出成形に用いる4−メチル−1−ペンテン系重合体の重量平均分子量としては、30万〜300万が好ましい。
【0020】
また、示差走査型熱量計試験(DSC)に基づいて測定される融点は、200〜250℃、好ましくは220〜240℃のものが用いられる。さらに、ASTM D1238に準じた荷重5kg、温度260℃の条件により測定されるMFRは0.05〜500g/10分、その中で、延伸成形やブロー成形に好適な高分子量のペレットを製造するためには、MFRが0.05〜3g/10分のパウダー(平均粒子直径約1mm以下)が好ましい。また、フィルム成形、押出ラミネート成形、射出成形に用いる4−メチル−1−ペンテン系重合体のMFRとしては、0.5〜300g/10分が好ましい。
【0021】
本発明において、(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体に対して配合される(B)ヒンダードフェノール系化合物は、下記(b−1)または(b−2)の構造式で示される化合物から選ばれる少なくとも1種化合物である。
式(b−1)中、mは2または4、nは0または2である。
式(b−1)、(b−2)中、R1は下記式(b−3)。
式(b−3)中、R2およびR3は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。R4はエステル基を含む下記式(b−4)〜(b−7)で表されるいずれかの基である。
【0022】
【化9】
【0023】
この(B)ヒンダードフェノール化合物とは、フェノールの水酸基に対しオルト位置にt−ブチル基のようなバルキーなアルキル基か少なくとも1個置換したアルキルフェノール構造を分子内に有する化合物であり、本発明において使用される(B)ヒンダードフェノール化合物の具体例としては、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕あるいはn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても用いられる。これらの中でも、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGA−80)が特に好ましい。
【0024】
本発明の組成物における(B)ヒンダードフェノール系化合物の配合割合は、成形しても着色せず、紫外部の光線透過率に優れる組成物が得られる点で、通常、4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して0.01〜0.5重量部の割合が好ましく、特に0.02〜0.2重量部の割合が好ましい。
【0025】
本発明において、(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体に対して配合される(C)フェノールアクリレート系化合物は、下記(c−1)の構造式で示される化合物である。
式(c−1)中、R1は水素原子またはメチル基、R2〜R5は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ペンチル基である。
【0026】
【化10】
【0027】
フェノールアクリレート系の具体的な化合物としては、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートや2−[1−(2−ヒドロキシ−3,−5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられるが、耐熱性の面から2−[1−(2−ヒドロキシ−3,−5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGs(F))が好ましい。
【0028】
本発明の組成物における(C)フェノールアクリレート系化合物の配合割合は、成形しても着色せず、紫外部の光線透過率に優れる組成物が得られる点で、通常、4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して0.01〜0.5重量部の割合が好ましく、特に0.02〜0.4重量部の割合が好ましい。
【0029】
本発明において、(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体に対して配合される(D) アルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物は、下記(d−1)の構造式で示される化合物である。
式(d−1)中、R1、R2は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。R3、R4は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはメチル基である。
【0030】
【化11】
【0031】
アルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物の具体的な化合物としては、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4 ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンや5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4 ジ−プロピル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン(チバガイギー(株)製、商品名:HP−136)等が挙げられる。
【0032】
本発明の組成物における(D)アルキルラジカル捕捉性のラクトン系の配合割合は、成形して機械的強度に優れる成形品が得られる点で、通常、4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して0.01〜0.5重量部の割合が好ましく、特に0.02〜0.4重量部の割合が好ましい。
【0033】
本発明において、(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体に対して配合される(E) ホスファイト系化合物は、下記(e−1)または(e−2)または(e−3)のいずれかの構造式で示される化合物である。
式(e−1)中、R1は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはメチル基である。R2およびR3は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。
式(e−2)中、R1、R2は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。式(e−3)中、R1〜R5は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。R6はメチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、メチル基が好ましい。
【0034】
【化12】
【0035】
本発明で用いられる(E)ホスファイト系化合物の具体例として、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−ジ−ベンズ[d,f][1,3,2]−ジ−オキサホスフェピン
等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても用いられる。これらの中でも、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバガイギー(株)製、商品名:イルガフォス168)が好ましい。
【0036】
本発明の組成物における(E)ホスファイト系化合物の配合割合は、成形して機械的強度に優れる成形品が得られ、しかも保管中に(E)成分の加水分解によって黒色に変色することがない点で、通常、4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して0.01〜0.5重量部の割合が好ましく、特に0.02〜0.4重量部の割合が好ましい。
【0037】
本発明に用いられる(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体には、上記した以外の安定剤、例えば硫黄系安定剤などを併用しても良い。また、場合によって、例えば紫外線吸収剤、増核剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、カオリン、タルク等の粉末充填剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合しても良い。
【0038】
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体の樹脂組成物の製造は、特に限定されず、いずれの方法にしたがって行なっても良い。例えば前記樹脂組成物を構成する(A)ないし(E)の各成分、ならびに必要に応じて添加される前記配合剤を、それぞれ所定の割合で別個に押出機に供給し、あるいは、予め各成分を混合し、押出機に供給して、溶融、混錬して樹脂組成物を調整することができる。また、引き続き、T−ダイ、チューブダイ等の適当な成形用ダイから押出してフィルムを成形したり、射出成形に供することができる。押出機または射出成形機によって成形する場合、成形時の加熱温度は、通常、240〜320℃程度である。
【0039】
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、離型性、透明性に優れる。かつ従来品では製造不可能であった高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体のペレットの製造や、それを用いることにより延伸成形やブロー成形を容易にすることができる。また、フィルム成形や押出ラミネート成形、射出成形のような高剪断速度の条件下でも熱分解の起こりにくいため、これら成形時の生産性が向上できる。従って、本発明の樹脂組成物は、一軸延伸フィルム成形、二軸延伸フィルム成形、インフレーションフィルム成形、中空成形、射出ブロー成形、真空成形することによって得られる離型フィルム、離型紙、哺乳ビン、農薬容器、実験器具、医療用容器、化粧品容器、洗剤容器、食品容器、接着剤容器である延伸成形物やフィルム成形品、押出ラミネート成形品、射出成形品、より具体的には、食品包装フィルム、鮮度保持包材、ラップフィルム、離型フィルム、合皮用離型紙、食品容器、実験器具、医療用容器、化粧品容器、洗剤容器、食品容器、接着剤容器に好適である。
【0040】
【実施例】
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体の樹脂組成物について、下記の例により具体的に説明するが、本発明は下記の例に何ら限定されるものではない。
【0041】
▲1▼ MFR
ASTM D1238に準拠して荷重5kg、温度260℃の条件で測定した。
▲2▼ メルトテンション
ASTM D3835に準じてノズル径2.095mm、ランド長8mmのノズルより樹脂を押出し、温度310℃、引き取り速度15m/分の条件にて測定した。メルトテンションの測定値をブロー成形性の指標とした。
【0042】
ブロー成形性
プラコー(株)製ダイレクトブロー成形機(φ65押出機)にて1mm厚の400ccボトル容器を成形し、本成形時のドローダウン性にて評価した。
○:ドローダウンが小さく容易にブロー成形できる。
×:ドローダウンが大きくブロー成形が困難である。厚肉成形不可。
成形条件は以下である。
φ65押出機シリンダーおよびダイ温度:
C1/C2/C3/AD/D 310/310/310/320/320
【0043】
色相
下記成形条件で110mm×110mm×2mmtの角板を成形して、目視にて色相を評価した。
射出成形機:名機製作所製、M100
シリンダー温度:
C1/C2/C3/ノズル 290/290/290/300
【0044】
(実施例1)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.10重量部、フェノールアクリレート系化合物の2−[1−(2−ヒドロキシ−3,−5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGs(F))0.25重量部の比率で配合し、ヘンシェルミキサーを用いて高速で1分間混合した。得られた樹脂組成物を二軸押出機で300℃溶融混練し、押出成形してペレットを得た。このペレットにてMFRの測定、メルトテンションの測定、ブロー成形性の評価、色相の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0045】
(実施例2)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.10重量部、フェノールアクリレート系化合物の2−[1−(2−ヒドロキシ−3,−5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGs(F))0.10重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバガイギー(株)製、商品名:イルガフォス168)0.10重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0046】
(実施例3)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.13重量部、ラジカル捕捉性のラクトン系化合物の5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4 ジ−プロピル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン(チバガイギー(株)製、商品名:HP−136)0.04重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバガイギー(株)製、商品名:イルガフォス168)0.13重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0047】
(比較例1)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.25重量部、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ドデシルチオプロピオネート)(シプロ化成(株)製、商品名:シーノックス412S)0.50重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0048】
(比較例2)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.12重量部、ジラウリル−チオジプロピオネート(日本油脂(株)製、商品名:アンチオックスL)0.25重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0049】
(実施例4)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=0.1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.25重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバガイギー(株)製、商品名:イルガフォス168)0.10重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0050】
(実施例5)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=0.1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.40重量部、フェノールアクリレート系化合物の2−[1−(2−ヒドロキシ−3,−5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGs(F))0.30重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバガイギー(株)製、商品名:イルガフォス168)0.30重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0051】
(比較例1)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=0.1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.25重量部、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ドデシルチオプロピオネート)(シプロ化成(株)製、商品名:シーノックス412S)0.50重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0052】
(比較例2)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=0.1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.12重量部、ジラウリル−チオジプロピオネート(日本油脂(株)製、商品名:アンチオックスL)0.25重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0053】
(比較例3)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=0.1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.25重量部、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ドデシルチオプロピオネート)(シプロ化成(株)製、商品名:シーノックス412S)0.50重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0054】
(比較例4)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=0.1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.12重量部、ジラウリル−チオジプロピオネート(日本油脂(株)製、商品名:アンチオックスL)0.25重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【表1】
【0055】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、離型性、透明性に優れる。かつ従来品では製造不可能であった高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体のペレットの製造や、それを用いることにより延伸成形やブロー成形を容易にすることができる。また、フィルム成形や押出ラミネート成形、射出成形のような高剪断速度の条件下でも熱分解の起こりにくいため、これら成形時の生産性が向上できる。従って、本発明の樹脂組成物は、一軸延伸フィルム成形、二軸延伸フィルム成形、インフレーションフィルム成形、中空成形、射出ブロー成形、真空成形することによって得られる離型フィルム、離型紙、哺乳ビン、農薬容器、実験器具、医療用容器、化粧品容器、洗剤容器、食品容器、接着剤容器である延伸成形物やフィルム成形品、押出ラミネート成形品、射出成形品、より具体的には、食品包装フィルム、鮮度保持包材、ラップフィルム、離型フィルム、合皮用離型紙、食品容器、実験器具、医療用容器、化粧品容器、洗剤容器、食品容器、接着剤容器に好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂組成物に関し、高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体を容易に得ることができ、延伸成形物として有用である樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
4−メチル−1−ペンテン系重合体は融点が220〜240℃であり、耐熱性、透明性、離型性などの各種の特性が優れることが知られている。またポリオレフィンであるため、安全衛生性にも優れている。この4−メチル−1−ペンテン系重合体は、種々の製造方法によって得ることができるが、その分子量の範囲は、分子量の指標として用いられているASTM D1238に準じた5kg荷重、260℃におけるメルトフローレート(以下MFR)の値で0.05〜500g/10分である(特開平2−77460号等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記4−メチル−1−ペンテン系重合体の成形には、押出機で同樹脂を溶融させてから行なうため、押出機のホッパー等の清掃が容易なペレット(平均粒子直径約1〜4mm)が用いられている。
そして、このペレットを製造するために、同樹脂の重合反応直後の形態であるパウダー(粒子直径約0.01〜1mm)を押出機で溶融させ、ダイノズルから押出した樹脂をカッティングする。しかし、4−メチル−1−ペンテン系重合体は、溶融時に熱分解しやすい特性のため、重合直後のパウダーでの分子量とペレットでの分子量の間に差が必要であった。そのため、高分子量であるMFRが0.05〜1g/10分の重合直後のパウダーを用いても、結局MFRが7〜10g/10分の分子量のペレットしか製造することができなかった。
【0004】
また、4−メチル−1−ペンテン系重合体の延伸成形やブロー成形においては、成形性の良好な高分子量のペレットが適しており、上記のMFRが7〜10g/10分の分子量のペレットでは成形が困難であった。
また、4−メチル−1−ペンテン系重合体をフィルム成形や押出ラミネート成形、射出成形のような高剪断速度の条件で成形すると、剪断発熱による熱分解が激しく起こるため、成形品が黄色味を帯びてしまい外観不良となる問題があった。そのため、外観良好な品質のためには、剪断速度を低下させた条件、すなわち押出機での生産速度を下げるなどの運転をせざるを得ないため、極めて低生産性であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体でのペレットを製造することにより、延伸成形やブロー成形を容易にする樹脂組成物を提供することにある。
また、フィルム成形や押出ラミネート成形、射出成形においても、高剪断速度の条件下でも熱分解の起こりにくい、その結果生産性を向上できる樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意研究の結果、4−メチル−1−ペンテン系重合体に対して、ヒンダードフェノール系化合物、フェノールアクリレート系化合物又はアルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物又はホスファイト系化合物を加えてなる樹脂組成物が溶融時の熱分解が少なく、高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体のペレットを得ることができることを見出し、本発明に到達した。さらに、この樹脂組成物は、延伸成形やブロー成形のみならず、フィルム成形、押出ラミネート成形、射出成形にも有用なことを見出し、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して、
(B)ヒンダードフェノール系化合物0.01〜0.5重量部を加え、
さらに(C)フェノールアクリレート系化合物0.01〜0.5重量部及び/又は(D)アルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物0.01〜0.5重量%及び/又は(E)ホスファイト系化合物0.01〜0.5重量%を加えてなることを特徴とする樹脂組成物である。
【0007】
(B)ヒンダードフェノール系化合物が下記(b−1)または(b−2)の構造式で示される化合物から選ばれる少なくとも1種化合物である4−メチル−1−ペンテン系重合体の樹脂組成物も本発明の好ましい態様である。
式(b−1)中、mは2または4、nは0または2である。
式(b−1)、(b−2)中、R1は下記式(b−3)である。
式(b−3)中、R2およびR3は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。R4はエステル基を含む下記式(b−4)〜(b−7)で表されるいずれかの基である。
【0008】
【化5】
【0009】
(C)フェノールアクリレート系化合物が下記(c−1)の構造式で示される化合物である4−メチル−1−ペンテン系重合体の樹脂組成物も本発明の好ましい態様である。
式(c−1)中、R1は水素原子またはメチル基、R2〜R5は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ペンチル基である。
【0010】
【化6】
【0011】
(D)アルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物が下記(d−1)の構造式で示される化合物である4−メチル−1−ペンテン系重合体の樹脂組成物も本発明の好ましい態様である。
式(d−1)中、R1、R2は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。R3、R4は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはメチル基である。
【0012】
【化7】
【0013】
(E)ホスファイト系化合物が下記(e−1)または(e−2)または(e−3)のいずれかの構造式で示される特許請求の範囲の欄の請求項1に記載の樹脂組成物も本発明の好ましい態様である。
式(e−1)中、R1は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはメチル基である。R2およびR3は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。
式(e−2)中、R1、R2は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。
式(e−3)中、R1〜R5は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。R6はメチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、メチル基が好ましい。
【0014】
【化8】
【0015】
上記樹脂組成物を用いて得られる延伸成形物も本発明の好ましい態様である。より具体的には、一軸延伸フィルム成形、二軸延伸フィルム成形、インフレーションフィルム成形、中空成形、射出ブロー成形、真空成形することによって得られる離型フィルム、離型紙、哺乳ビン、農薬容器、実験器具、医療用容器、化粧品容器、洗剤容器、食品容器、接着剤容器である延伸成形物も本発明の好ましい態様である。
【0016】
上記樹脂組成物を用いて成形されるフィルム成形品、押出ラミネート成形品、射出成形品も本発明の好ましい態様である。
より具体的には、食品包装フィルム、鮮度保持包材、ラップフィルム、離型フィルム、合皮用離型紙、食品容器、実験器具、医療用容器、化粧品容器、洗剤容器、食品容器、接着剤容器である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して、(B)ヒンダードフェノール系化合物0.01〜0.5重量部を加え、さらに(C)フェノールアクリレート系化合物0.01〜0.5重量部及び/又は(D)アルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物0.01〜0.5重量%及び/又は(E)ホスファイト系化合物0.01〜0.5重量%を加えてなることを特徴とする樹脂組成物である。
【0018】
以下、本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体について説明する。
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体とは、4−メチルペンテン−1と他のα―オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1―オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1―オクタデセン、エイコセン等の炭素数2乃至20のα―オレフィンとの共重合体である。本発明では該α―オレフィンとしては、この中でも炭素数10〜20のα―オレフィンが好ましく、特に1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンが好ましい。
本発明に使用される4−メチルペンテン−1系重合体における上記α―オレフィンの含有量は、通常0〜20重量%以下、好ましくは1〜10重量%である。
【0019】
本発明において用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体は、高温GPC試験法により測定される重量平均分子量が10万〜500万のものが用いられる。その中で、延伸成形やブロー成形に好適な高分子量のペレットを製造するためには、重量平均分子量が100万〜500万のパウダー(平均粒子直径約1mm以下)が好ましい。また、フィルム成形、押出ラミネート成形、射出成形に用いる4−メチル−1−ペンテン系重合体の重量平均分子量としては、30万〜300万が好ましい。
【0020】
また、示差走査型熱量計試験(DSC)に基づいて測定される融点は、200〜250℃、好ましくは220〜240℃のものが用いられる。さらに、ASTM D1238に準じた荷重5kg、温度260℃の条件により測定されるMFRは0.05〜500g/10分、その中で、延伸成形やブロー成形に好適な高分子量のペレットを製造するためには、MFRが0.05〜3g/10分のパウダー(平均粒子直径約1mm以下)が好ましい。また、フィルム成形、押出ラミネート成形、射出成形に用いる4−メチル−1−ペンテン系重合体のMFRとしては、0.5〜300g/10分が好ましい。
【0021】
本発明において、(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体に対して配合される(B)ヒンダードフェノール系化合物は、下記(b−1)または(b−2)の構造式で示される化合物から選ばれる少なくとも1種化合物である。
式(b−1)中、mは2または4、nは0または2である。
式(b−1)、(b−2)中、R1は下記式(b−3)。
式(b−3)中、R2およびR3は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。R4はエステル基を含む下記式(b−4)〜(b−7)で表されるいずれかの基である。
【0022】
【化9】
【0023】
この(B)ヒンダードフェノール化合物とは、フェノールの水酸基に対しオルト位置にt−ブチル基のようなバルキーなアルキル基か少なくとも1個置換したアルキルフェノール構造を分子内に有する化合物であり、本発明において使用される(B)ヒンダードフェノール化合物の具体例としては、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕あるいはn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても用いられる。これらの中でも、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGA−80)が特に好ましい。
【0024】
本発明の組成物における(B)ヒンダードフェノール系化合物の配合割合は、成形しても着色せず、紫外部の光線透過率に優れる組成物が得られる点で、通常、4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して0.01〜0.5重量部の割合が好ましく、特に0.02〜0.2重量部の割合が好ましい。
【0025】
本発明において、(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体に対して配合される(C)フェノールアクリレート系化合物は、下記(c−1)の構造式で示される化合物である。
式(c−1)中、R1は水素原子またはメチル基、R2〜R5は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ペンチル基である。
【0026】
【化10】
【0027】
フェノールアクリレート系の具体的な化合物としては、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートや2−[1−(2−ヒドロキシ−3,−5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられるが、耐熱性の面から2−[1−(2−ヒドロキシ−3,−5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGs(F))が好ましい。
【0028】
本発明の組成物における(C)フェノールアクリレート系化合物の配合割合は、成形しても着色せず、紫外部の光線透過率に優れる組成物が得られる点で、通常、4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して0.01〜0.5重量部の割合が好ましく、特に0.02〜0.4重量部の割合が好ましい。
【0029】
本発明において、(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体に対して配合される(D) アルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物は、下記(d−1)の構造式で示される化合物である。
式(d−1)中、R1、R2は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。R3、R4は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはメチル基である。
【0030】
【化11】
【0031】
アルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物の具体的な化合物としては、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4 ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンや5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4 ジ−プロピル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン(チバガイギー(株)製、商品名:HP−136)等が挙げられる。
【0032】
本発明の組成物における(D)アルキルラジカル捕捉性のラクトン系の配合割合は、成形して機械的強度に優れる成形品が得られる点で、通常、4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して0.01〜0.5重量部の割合が好ましく、特に0.02〜0.4重量部の割合が好ましい。
【0033】
本発明において、(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体に対して配合される(E) ホスファイト系化合物は、下記(e−1)または(e−2)または(e−3)のいずれかの構造式で示される化合物である。
式(e−1)中、R1は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはメチル基である。R2およびR3は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。
式(e−2)中、R1、R2は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。式(e−3)中、R1〜R5は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。R6はメチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、メチル基が好ましい。
【0034】
【化12】
【0035】
本発明で用いられる(E)ホスファイト系化合物の具体例として、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−ジ−ベンズ[d,f][1,3,2]−ジ−オキサホスフェピン
等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても用いられる。これらの中でも、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバガイギー(株)製、商品名:イルガフォス168)が好ましい。
【0036】
本発明の組成物における(E)ホスファイト系化合物の配合割合は、成形して機械的強度に優れる成形品が得られ、しかも保管中に(E)成分の加水分解によって黒色に変色することがない点で、通常、4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して0.01〜0.5重量部の割合が好ましく、特に0.02〜0.4重量部の割合が好ましい。
【0037】
本発明に用いられる(A)4−メチル−1−ペンテン系重合体には、上記した以外の安定剤、例えば硫黄系安定剤などを併用しても良い。また、場合によって、例えば紫外線吸収剤、増核剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、カオリン、タルク等の粉末充填剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合しても良い。
【0038】
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体の樹脂組成物の製造は、特に限定されず、いずれの方法にしたがって行なっても良い。例えば前記樹脂組成物を構成する(A)ないし(E)の各成分、ならびに必要に応じて添加される前記配合剤を、それぞれ所定の割合で別個に押出機に供給し、あるいは、予め各成分を混合し、押出機に供給して、溶融、混錬して樹脂組成物を調整することができる。また、引き続き、T−ダイ、チューブダイ等の適当な成形用ダイから押出してフィルムを成形したり、射出成形に供することができる。押出機または射出成形機によって成形する場合、成形時の加熱温度は、通常、240〜320℃程度である。
【0039】
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、離型性、透明性に優れる。かつ従来品では製造不可能であった高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体のペレットの製造や、それを用いることにより延伸成形やブロー成形を容易にすることができる。また、フィルム成形や押出ラミネート成形、射出成形のような高剪断速度の条件下でも熱分解の起こりにくいため、これら成形時の生産性が向上できる。従って、本発明の樹脂組成物は、一軸延伸フィルム成形、二軸延伸フィルム成形、インフレーションフィルム成形、中空成形、射出ブロー成形、真空成形することによって得られる離型フィルム、離型紙、哺乳ビン、農薬容器、実験器具、医療用容器、化粧品容器、洗剤容器、食品容器、接着剤容器である延伸成形物やフィルム成形品、押出ラミネート成形品、射出成形品、より具体的には、食品包装フィルム、鮮度保持包材、ラップフィルム、離型フィルム、合皮用離型紙、食品容器、実験器具、医療用容器、化粧品容器、洗剤容器、食品容器、接着剤容器に好適である。
【0040】
【実施例】
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体の樹脂組成物について、下記の例により具体的に説明するが、本発明は下記の例に何ら限定されるものではない。
【0041】
▲1▼ MFR
ASTM D1238に準拠して荷重5kg、温度260℃の条件で測定した。
▲2▼ メルトテンション
ASTM D3835に準じてノズル径2.095mm、ランド長8mmのノズルより樹脂を押出し、温度310℃、引き取り速度15m/分の条件にて測定した。メルトテンションの測定値をブロー成形性の指標とした。
【0042】
ブロー成形性
プラコー(株)製ダイレクトブロー成形機(φ65押出機)にて1mm厚の400ccボトル容器を成形し、本成形時のドローダウン性にて評価した。
○:ドローダウンが小さく容易にブロー成形できる。
×:ドローダウンが大きくブロー成形が困難である。厚肉成形不可。
成形条件は以下である。
φ65押出機シリンダーおよびダイ温度:
C1/C2/C3/AD/D 310/310/310/320/320
【0043】
色相
下記成形条件で110mm×110mm×2mmtの角板を成形して、目視にて色相を評価した。
射出成形機:名機製作所製、M100
シリンダー温度:
C1/C2/C3/ノズル 290/290/290/300
【0044】
(実施例1)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.10重量部、フェノールアクリレート系化合物の2−[1−(2−ヒドロキシ−3,−5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGs(F))0.25重量部の比率で配合し、ヘンシェルミキサーを用いて高速で1分間混合した。得られた樹脂組成物を二軸押出機で300℃溶融混練し、押出成形してペレットを得た。このペレットにてMFRの測定、メルトテンションの測定、ブロー成形性の評価、色相の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0045】
(実施例2)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.10重量部、フェノールアクリレート系化合物の2−[1−(2−ヒドロキシ−3,−5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGs(F))0.10重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバガイギー(株)製、商品名:イルガフォス168)0.10重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0046】
(実施例3)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.13重量部、ラジカル捕捉性のラクトン系化合物の5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4 ジ−プロピル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン(チバガイギー(株)製、商品名:HP−136)0.04重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバガイギー(株)製、商品名:イルガフォス168)0.13重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0047】
(比較例1)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.25重量部、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ドデシルチオプロピオネート)(シプロ化成(株)製、商品名:シーノックス412S)0.50重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0048】
(比較例2)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.12重量部、ジラウリル−チオジプロピオネート(日本油脂(株)製、商品名:アンチオックスL)0.25重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0049】
(実施例4)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=0.1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.25重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバガイギー(株)製、商品名:イルガフォス168)0.10重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0050】
(実施例5)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=0.1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.40重量部、フェノールアクリレート系化合物の2−[1−(2−ヒドロキシ−3,−5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGs(F))0.30重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバガイギー(株)製、商品名:イルガフォス168)0.30重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0051】
(比較例1)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=0.1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.25重量部、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ドデシルチオプロピオネート)(シプロ化成(株)製、商品名:シーノックス412S)0.50重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0052】
(比較例2)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=0.1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.12重量部、ジラウリル−チオジプロピオネート(日本油脂(株)製、商品名:アンチオックスL)0.25重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0053】
(比較例3)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=0.1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.25重量部、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ドデシルチオプロピオネート)(シプロ化成(株)製、商品名:シーノックス412S)0.50重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0054】
(比較例4)
4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン共重合体粉末(1−ヘキサデセン含有量:6.0重量%、MFR=0.1g/10分)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物のテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(株)製、商品名:イルガノックス1010)0.12重量部、ジラウリル−チオジプロピオネート(日本油脂(株)製、商品名:アンチオックスL)0.25重量部の比率で配合したほかは、実施例1同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【表1】
【0055】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、離型性、透明性に優れる。かつ従来品では製造不可能であった高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体のペレットの製造や、それを用いることにより延伸成形やブロー成形を容易にすることができる。また、フィルム成形や押出ラミネート成形、射出成形のような高剪断速度の条件下でも熱分解の起こりにくいため、これら成形時の生産性が向上できる。従って、本発明の樹脂組成物は、一軸延伸フィルム成形、二軸延伸フィルム成形、インフレーションフィルム成形、中空成形、射出ブロー成形、真空成形することによって得られる離型フィルム、離型紙、哺乳ビン、農薬容器、実験器具、医療用容器、化粧品容器、洗剤容器、食品容器、接着剤容器である延伸成形物やフィルム成形品、押出ラミネート成形品、射出成形品、より具体的には、食品包装フィルム、鮮度保持包材、ラップフィルム、離型フィルム、合皮用離型紙、食品容器、実験器具、医療用容器、化粧品容器、洗剤容器、食品容器、接着剤容器に好適である。
Claims (9)
- (A)4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して、
(B)ヒンダードフェノール系化合物0.01〜0.5重量部を加え、
さらに、
(D)フェノールアクリレート系化合物0.01〜0.5重量%、
(E)アルキルラジカル捕捉性のラクトン系化合物0.01〜0.5重量%、
及び、
(F)ホスファイト系化合物0.01〜0.5重量%
からなる(D)乃至(F)のうちの少なくとも1つを加えてなることを特徴とする、樹脂組成物。 - (E)ホスファイト系化合物が下記(e−1)または(e−2)または(e−3)のいずれかの構造式で示される請求項1に記載の樹脂組成物
(式(e−1)中、R1は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはメチル基である。R2およびR3は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。
式(e−2)中、R1、R2は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。式(e−3)中、R1〜R5は同一でも異なっていても良く、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、好ましくはt−ブチル基である。R6はメチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基のいずれかであるが、メチル基が好ましい。)。
- 請求項1の樹脂組成物を含んでなる延伸成形物。
- 請求項1の樹脂組成物を含んでなるフィルム成形品。
- 請求項1の樹脂組成物を含んでなるフィルム押出ラミネート成形品。
- 請求項1の樹脂組成物を含んでなる射出成形品。
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